JP2006097128A - 板状電気銅の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハロゲン系銅電解液からの銅電解採取工程において、電解液に平滑化添加剤としてポリエチレングリコールを添加し、カソード面に接する液を攪拌しながら電解することにより、緻密な板状の電気銅を製造する板状電気銅の製造方法。
【選択図】 図1
Description
すなわち本発明は、
(1) ハロゲン系銅電解液からの銅電解採取工程において、前記ハロゲン系電解液に平滑化添加剤としてポリエチレングリコールを添加し、カソード面近傍の液を攪拌しながら電解することにより、緻密な板状の電気銅を製造する板状電気銅の製造方法。
(2) 上記(1)において、前記ハロゲン系銅電解液が、支持塩として3mol/L以上のアルカリ金属の塩化物及びまたは臭化物及びまたはその混合物を含む液に、銅の塩化物及びまたは臭化物を溶解した溶液である板状電気銅の製造方法。
(3) 上記(1)から(2)において、添加剤のポリエチレングリコールが平均分子量600から4,000の範囲であり、添加剤の濃度が5mg/L以上1,000mg/L以下である板状電気銅の製造方法。
(4) 上記(1)から(2)において、添加剤のポリエチレングリコールが平均分子量1,000から2,000の範囲であり、添加剤の濃度が10mg/L以上50mg/L以下である板状電気銅の製造方法。
(5) 上記(1)から(4)において、カソード面近傍の前記ハロゲン系電解液を攪拌するに際して、ガス撹拌及びまたは機械撹拌しながら電解する板状電気銅の製造方法。
である。
(1)ハロゲン系溶液から緻密な組織を有する電着銅を製造できるため、電解槽からの製品取り出しが容易である。
(2)電着物の洗浄性に優れ、表面汚染・酸化の問題もないため、製品品位が改善する。
(3)24時間以上の長時間にわたって均質な電着物が安定して得られる。
などの効果が得られる。
ハロゲン系の溶液から銅を電解採取する場合には塩基性塩や一価銅ハロゲン化物の沈殿生成を防ぐため、pH1〜3の酸性条件の銅浸出液中でかつ一価銅がハロゲン錯イオンとして安定に溶解するよう、塩化ナトリウムなどのハロゲン化アルカリを支持塩として高濃度に溶解した液を用いる。銅錯イオンが安定で十分に高い溶解度を持つには支持塩は少なくとも3mol/L以上、好ましくは4mol/L以上で飽和溶解度未満の濃度とする。
カソード室内は空気酸化を防ぐため、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを送る。このガスはカソライトに吹き込んで液の撹拌に用いることができる。
添加剤の濃度は、電解条件やカソード室内部の液撹拌状態により適切な値は異なるが、おおむね5から1,000mg/Lの範囲で緻密な電着銅が得られる。極端に添加剤濃度を増やしても表面状態の改善効果はなく、薬剤コストの増加、電着銅の脆化、液への有機分解物蓄積などの問題を生じる。実用的には10から50mg/Lの範囲で十分な効果が得られる。
これは添加剤のポリエチレングリコールが電着銅表面に強く吸着することで組織の緻密化・平滑化効果を示すことによる。カソード表面に接する液から添加剤分子が吸着して濃度が低下し拡散層が形成されると、カソード面への添加剤分子供給が拡散に律速され添加剤の効果が得られなくなる。したがってカソライトの撹拌は拡散層を解消できるようカソード電着面のごく近傍の液が流動するのに必要な強さで行う必要がある。
尚、本発明におけるカソード面のごく近傍とは、拡散層の状態に直接影響するカソード板から1から2mm以内をいう。
撹拌には上記のようにカソード室内を不活性雰囲気に保つために供給する不活性ガスを液に吹き込んでカソード近傍を気泡で撹拌すればよい。または、電解液をポンプ循環するまたは撹拌機で流動させることで直接機械撹拌する方法も利用できる。
表1に組成を示した、添加剤(ポリエチレングリコール、平均分子量1,000)を加えたハロゲン系銅電解液(ハロゲン化アルカリの濃度5mol/L、液調製後に金属銅片を加えて空気を絶って60℃で加熱撹拌し液中の二価銅をあらかじめ還元した後、pH1に調節した。この液を、耐酸テトロン製濾布の隔膜をつけた電解槽に入れ57〜60℃で保温した。この電解槽のカソード室にチタン板カソード(有効面100mm角)を、アノード室に不溶性アノード(チタン板にイリジウム化合物を焼付け塗布したもの、有効面100mm角)を入れてカソード下側からアルゴンガスを吹き込んでカソード表面付近の液を常時撹拌しながら1.5A(電流密度150A/m2)の電流を流した。カソード室には表1に同じく示した組成の電解給液を連続して補給し、カソード室内の銅濃度を約25g/Lに保ちながら、24時間通電した。この間にアノード室内の液中の銅は一価から二価に酸化されたがカソード室内同様銅濃度は25g/Lを保った。図2に示すようにカソードに密着した板状の電着銅が得られ組織も緻密だった。
実施例1と塩類の濃度は等しく、添加剤のポリエチレングリコールとして重合度の異なるものを選び、添加濃度は10mg/Lにそろえて、同一の電流・撹拌条件でそれぞれ6時間の電解採取を行った。表2に示すように平均分子量600以上のもので緻密化の効果が認められ、特に1,000から2,000において外観の良好な電着銅が得られた。
実施例2と塩類の濃度は等しく、添加剤のポリエチレングリコール(PEG)として平均分子量1,000の製品を使い、添加剤の濃度だけを変えて、他は同一の電流・撹拌条件でそれぞれ6時間の電解採取を行った。表3に示すように電着物緻密化の効果を得るには濃度5mg/L以上、好ましくは10mg/Lが必要であった。
実施例1と塩類の濃度は等しく、添加剤のポリエチレングリコールとして平均分子量1,000の製品を濃度1,000mg/L添加した液を使って24時間の電解採取を行った。図3に示すように実施例1とほぼ同等の外観の緻密な電着銅が得られたが、全体に硬く剥離がやや困難であった。
前記の実施例1と同様にして、表1に示すように添加剤だけを加えず他の成分濃度は同一の液を用いて同じ電解条件・撹拌条件で24時間の電解採取を行った。電着銅は図4に示すように全面に突起状の凹凸が生じた。電着銅の洗浄性は悪く、カソードからの剥離時にも砕けやすかった。
前記の実施例1と同様にして、添加剤の濃度も含めて同一組成の液を用いて液撹拌だけを行わずに他の条件は全てそろえて6時間の電解採取を行った。電着開始直後から電着状態にむらが見られ、図5に示すように部分的にデンドライト状の突起が多発して、添加剤による緻密化効果は認められなかった。
Claims (5)
- ハロゲン系銅電解液からの銅電解採取工程において、前記ハロゲン系電解液に平滑化添加剤としてポリエチレングリコールを添加し、カソード面近傍の前記ハロゲン系電解液を攪拌しながら電解することにより、緻密な板状の電気銅を製造することを特徴とする板状電気銅の製造方法。
- 請求項1において、前記ハロゲン系銅電解液が、支持塩として3mol/L以上のアルカリ金属の塩化物及びまたは臭化物及びまたはその混合物を含む液に、銅の塩化物及びまたは臭化物を溶解した溶液であることを特徴とする板状電気銅の製造方法。
- 請求項1から2において、添加剤のポリエチレングリコールが平均分子量600から4,000の範囲であり、添加剤の濃度が5mg/L以上1,000mg/L以下であることを特徴とする板状電気銅の製造方法。
- 請求項1から2において、添加剤のポリエチレングリコールが平均分子量1,000から2,000の範囲であり、添加剤の濃度が10mg/L以上50mg/L以下であることを特徴とする板状電気銅の製造方法。
- 請求項1から4において、カソード面近傍の前記ハロゲン系電解液を攪拌するに際して、ガス撹拌及びまたは機械撹拌しながら電解することを特徴とする板状電気銅の製造方法。
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