JP2006096013A - 感熱記録材料及び感熱記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 印画の際、短時間で所望の発色濃度を得ることができる、発色性に優れた感熱記録材料、及び感熱記録方法を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、非解離型カプラーと、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、を含む記録層を有する感熱記録材料であって、印画時の前記カプセル内の誘電率が15以下であることを特徴とする感熱記録材料、及び、ジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる非解離型カプラーと、の反応を利用した感熱記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されており、印画時の該カプセル内の誘電率を15以下とすることを特徴とする感熱記録方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジアゾニウム塩化合物及び非解離型カプラーの組合せを発色成分として用いる感熱記録材料及び感熱記録方法に関する。
ジアゾニウム塩化合物は、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物などのカップリング成分と反応してアゾ染料を形成する。また、ジアゾニウム塩化合物は光照射によって分解し、その活性を失うという性質を有している。従来から、ジアゾニウム塩化合物はこの性質を利用されて、ジアゾコピーに代表される光感熱記録材料として古くから利用されている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、ジアゾニウム塩化合物は、最近では画像の定着が要求される感熱記録材料にも応用され、代表的なものとして、ジアゾニウム塩化合物とカプラー化合物とを画像信号に従って加熱し、反応させて画像を形成させた後、光照射して画像を定着する、光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
前記光定着型感熱記録材料において、前記カプラーとして非解離型のカプラーを用いる場合がある。しかし、非解離型カプラーを用いた感熱記録材料の場合、高い発色性が得られず、その結果印字から定着までの間に色素化反応が完了せず、目的とする発色濃度が得られないという問題があった。
日本写真学会編「写真工学の基礎−非銀塩写真編−」コロナ社、1982年、89〜117頁、182〜201頁 佐藤弘次共著「画像電子学会誌」第11巻第4号、1982年、290〜296頁
本発明の目的は、印画の際、短時間で所望の発色濃度を得ることができる、発色性に優れた感熱記録材料、及び感熱記録方法を提供することにある。
上記課題は、以下の発明によって達成される。即ち、本発明は、
<1> 支持体上に、非解離型カプラーと、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、を含む記録層を有する感熱記録材料であって、印画時の前記カプセル内の誘電率が15以下であることを特徴とする感熱記録材料である。
<2> 前記非解離型カプラーが下記一般式(2)で表され、前記ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(3)で表されることを特徴とする前記<1>に記載の感熱記録材料である。
Figure 2006096013
[前記一般式(2)において、R3はアルキル基又はアリール基を表し、Arはアリール基を表す。]
Figure 2006096013
[前記一般式(3)において、R4はアルキル基又はアリール基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は水素原子を表す。Y4は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は単結合を表し、Y5及びY6はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は単結合を表す。但し、R5又はR6がアリール基又は水素原子である場合、それぞれY5又はY6は単結合である。また、R5、R6のいずれか一方はR4と結合してヘテロ環を形成してもよい。X-は陰イオンを表す。]
<3> ジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる非解離型カプラーと、の反応を利用した感熱記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されており、印画時の該カプセル内の誘電率を15以下とすることを特徴とする感熱記録方法である。
本発明によれば、印画の際、短時間で所望の発色濃度を得ることができる、発色性に優れた感熱記録材料、及び感熱記録方法を提供することができる。
−感熱記録材料−
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず本発明の感熱記録材料について述べる。
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、非解離型カプラーと、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、を含む記録層を有する感熱記録材料であって、印画時の前記カプセル内の誘電率が15以下であることを特徴とする。
尚、ここで「印画時」とは、本発明の感熱記録材料に、サーマルヘッドで40mJ/mm2以上のエネルギーを数十msec与えた時点をさす。
<記録層>
本発明の感熱記録材料は、非解離型カプラーと、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、を含む記録層を支持体上に有している。該記録層は、必要に応じて、発色助剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
(誘電率)
発色成分としてジアゾニウム塩化合物及び非解離型カプラーの組合せを用いている、本発明の感熱記録材料においては、印画時のカプセル内の誘電率が15以下であることが必要とされ、また10以下であることが好ましく、8以下であることが特に好ましい。誘電率を15以下とすることにより、発色性を向上させることができ、印画の際、短時間で所望の発色濃度を得ることができる。
尚、誘電率の下限は、容易に達成できる範囲として5以上であることが好ましい。
印画時のカプセル内の誘電率を下げ、上記範囲とするためには、用いるカプラー、ジアゾニウム塩化合物、有機溶媒、その他の添加物等として、疎水的なものを用いることが好ましい。上記カプラー等の具体例については後述する。
ここで、上記誘電率は、下記N−メチル−N−フェニル−2−ナフチルアミン(以降、「MPNa」という。)を極性(誘電率)プローブとして使用し測定を行った。誘電率の異なる各種溶媒(サンプル)にMPNaを溶解し、蛍光スペクトルを測定した結果(溶媒の誘電率と蛍光極大波長(λem)との関係)を図1に示す。
Figure 2006096013
(非解離型カプラー)
本発明の感熱記録材料においては、カプラーとして非解離型のカプラーを用いることが必要とされ、また、印画時のカプセル内の誘電率を下げる観点から、疎水的なものを用いることが好ましい。
ここで、非解離型カプラーとは、下記の何れかの方法を用いても、下記理由により酸解離定数(pKa)を求めることができないカプラーをいう。
(1) カプラーをTHF/水=6/4(質量)混合液に溶解した液を、酸解離定数測定装置(平沼産業(株)製のCom−980Wn)を用いて、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定しても、変曲点が観測されない。
(2) カプラーをTHF/pHバッファー水溶液=5/5(質量)混合液に溶解した液のUVスペクトルを測定し、pH12バッファー水溶液を用いても、低pHのバッファー水溶液でのUVスペクトルと比べて変曲点が観測されない。
本発明に用いられる非解離型カプラーとしては、アミノ置換ヘテロ5員環及びアルキルアニリンが好ましく、具体的には、アミノピラゾール類、3−アミノピロール類、3−アミノフラン類、3−アミノチオフェン類、5−アミノイソオキサゾール類、4−アミノイソチアゾール類、4−アミノイミダゾール類、N,N−ジアルキルアニリン類、N,N−ジアルキルナフタレン類等のカプラーを挙げることができる。これらの内、より好ましくは、アミノピラゾール類、3−アミノピロール類、3−アミノフラン類、3−アミノチオフェン類、5−アミノイソオキサゾール類、4−アミノイソチアゾール類、4−アミノイミダゾール類であり、更に好ましくは、アミノピラゾール類、3−アミノピロール類、5−アミノイソオキサゾール類、4−アミノイミダゾール類であり、これらの中でも特にアミノピラゾール類(アミノピラゾール型)のカプラーが好ましい。
上記アミノピラゾール型カプラーとしては、具体的に以下の一般式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006096013
一般式(1)において、R1は水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基又はアルコキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基又はスルホンアミド基を表す。
一般式(1)中、R1又はR2で表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
アルキル基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好ましい。
1又はR2で表されるアリール基としては、炭素数6〜25のものが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
アリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記アリール基としては、特に、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−ヘキシルオキシフェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、2−デシルオキシフェニル基、2−ドデシルオキシフェニル基、2−テトラデシルオキシフェニル基、2−ヘキサデシルオキシフェニル基、2−オクタデシルオキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシ−5−オクチルフェニル基、2,5−ジヘプチルオキシフェニル基、2−ヒドロキシ−5−ブトキシフェニル基が好ましい。
1で表されるアルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等が挙げられる。
アルキルスルホニル基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記アルキルスルホニル基としては、特に、メチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基が好ましい。
1で表されるアリールスルホニル基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、例えば、ベンゼンスルホニル基等が挙げられる。
アリールスルホニル基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記アリールスルホニル基としては、特に、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、クロロベンゼンスルホニル基、ブトキシベンゼンスルホニル基、2,5−ジブトキシベンゼンスルホニル基が好ましい。
1で表されるアシル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、アシル基のカルボニル基以外の部分は脂肪族、芳香族、複素環基のいずれでもよい。
アシル基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アシル基としては、特に、アセチル基、プロパノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンゾイル基、フェノキシアセチル基、2−エチルヘキサノイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基が好ましい。
1又はR2で表されるカルバモイル基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
置換カルバモイル基としては、特に、エチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、エトキシエチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、トリルアミノカルボニル基、ベンジルアミノカルボニル基が好ましい。
1又はR2で表されるカルボンアミド基としては、脂肪族、芳香族のカルボンアミド基のいずれでもよく、その炭素数は2〜20が好ましい。
カルボンアミド基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記カルボンアミド基としては、特に、アセタミド基、ブタナミド基、ヘキサナミド基、デカナミド基、テトラデカナミド基、2−エチルヘキサナミド基、ベンジルアミド基、ベンゾイルアミド基、2,5−ジブトキシフェニルカルボンアミド基が好ましい。
1又はR2で表されるスルホンアミド基としては脂肪族、芳香族のスルホンアミド基のいずれでもよく、その炭素数は1〜20が好ましい。
スルホンアミド基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記スルホンアミド基としては、特に、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、オクタンスルホンアミド基、デカンスルホンアミド基、2−エチルヘキシルスルホンアミド基、フェニルスルホンアミド基、2−ブトキシフェニルスルホンアミド基、4−クロロフェニルスルホンアミド基、2,5−ジエトキシスルホンアミド基、4−ヘキシルオキシフェニルスルホンアミド基が好ましい。
2で表されるアミノ基は無置換、1置換、2置換のいずれでもよく、置換基としては脂肪族、芳香族のどちらでもよい。
アミノ基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アミノ基としては、特に、無置換のアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ブトキシエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、フェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基が好ましい。
1又はR2で表されるアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
アルコキシカルボニル基は更に置換基を有してもよく、その置換基としては、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
上記アルコキシカルボニル基としては、特に、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、4−エトキシフェニルオキシカルボニル基が好ましい。
2で表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、また置換基を有していてもよい。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−フェノキシエトキシ基、2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)エトキシ基、2−ベンゾイルオキシエトキシ基、メトキシカルボニルメチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、ブトキシカルボニルエチルオキシ基、2−イソプロピルオキシエチルオキシ基が好ましい。中でも炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基が好ましい。
2で表されるアリールオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、また置換基を有していてもよい。
上記アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基が好ましい。中でも炭素数6〜15のアリールオキシ基がより好ましい。
尚、一般式(1)で表される非解離型カプラーの中でも、下記一般式(2)で表されるものがより好ましい。
Figure 2006096013
前記一般式(2)において、R3はアルキル基又はアリール基を表し、Arはアリール基を表す。
一般式(2)中、R3で表されるアルキル基、並びにR3及びArで表されるアリール基としては、前記一般式(1)においてR1及びR2として列挙したものと同様のものが挙げられる。
以下、本発明に用いることができる前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるアミノピラゾール型カプラーの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物は、公知の化合物であり、種々の報告例に記載の合成法で合成することができる。例えばZh.Obshch.kim.1961,2311、Chem.Ber.1909,67、特開昭63−313774号公報、特開昭61−236768号公報、特開平4−275277号公報に記載の合成法で合成することができる。
また、本発明においては、上記非解離型カプラーと共に、色相調整等の目的で、必要に応じて、塩基性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成する公知のカプラーを併用することもできる。上記カプラーと公知のカプラーとを併用する場合、記録層に含有される全カプラーの50質量%以上が上記非解離型カプラーであることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
上記公知のカプラーとしては、例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有する、いわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体等が挙げられる。
上記公知のカプラーとして、より具体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルホナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2−{3−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド〕ベンズアミド}フェノール、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。
記録層中のカプラーの総含有量としては、ジアゾニウム塩化合物1molに対し0.2〜8molが好ましく、0.5〜4molがより好ましい。カプラーの総含有量がジアゾニウム塩化合物1molに対して0.2mol以上であることにより、十分な発色性を得ることができ、また8mol以下であることにより、塗布適正を好適に保つことができる。
(ジアゾニウム塩化合物)
本発明の感熱記録材料においては、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物を記録層中に含有することが必要とされ、また、印画時のカプセル内の誘電率を下げる観点から、疎水的なものを用いることが好ましい。尚、疎水性の観点からは、ジアゾニオ基が結合している芳香環には、置換する窒素、酸素、硫黄等のヘテロ元素の総数が4以下であることがより好ましい。
上記ジアゾニウム塩化合物としては特に限定はないが、下記一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物を用いることが好ましい。
Figure 2006096013
前記一般式(3)において、R4はアルキル基又はアリール基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は水素原子を表す。Y4は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は単結合を表し、Y5及びY6はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は単結合を表す。
但し、R5又はR6がアリール基又は水素原子である場合、それぞれY5又はY6は単結合である。(即ち、R5がアリール基又は水素原子である場合、Y5は単結合であり、また、それと同様に、R6がアリール基又は水素原子である場合、Y6は単結合である。尚、R5及びR6が共にアリール基又は水素原子であってもかまわない。)
また、R5、R6のいずれか一方はR4と結合してヘテロ環を形成してもよい。X-は陰イオンを表す。
一般式(3)中、R4又はR6で表されるアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。また、該アルキル基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記(置換)アルキル基としては、特に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好ましい。
4又はR6で表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。また、該アリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記(置換)アリール基としては、特に、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基、ナフチル基が好ましい。
5で表されるアルキル基及びアリール基としては、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。具体的には、上記R4及びR6で表されるアルキル基及びアリール基において列挙したもののうち、炭素数が上記範囲のものが好ましい。
5、R6のいずれか一方がR4と結合し、L4とL5、又は、L4とL6、を含んで形成されるヘテロ環としては、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環等が挙げられる。これらは更に置換基を有してもよく、該置換基としては、上述のアルキル基における置換基と同様のものが挙げられる。
4としては、硫黄原子又は窒素原子(アミノ基)がより好ましい。Y4がアミノ基である場合更に置換基を有してもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
また、Y4とR4とは環を形成してもよく、Y4とR4とが形成する環としては、ピロリジニル基、ピペリジニル基、インドリル基等が挙げられる。これらは更に置換基を有してもよく、該置換基としては、上述のアルキル基における置換基と同様のものが挙げられる。
5としては、硫黄原子又は酸素原子がより好ましく、同様に、Y6としては、硫黄原子又は酸素原子がより好ましい。
-で表わされる陰イオンは、無機陰イオン及び有機陰イオンが挙げられる。上記無機陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオン、ホウフッ化水素酸イオンが特に好ましい。上記有機陰イオンとしては、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオンが特に好ましい。
一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物は、下記一般式(4)又は一般式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物であることがより好ましい。
Figure 2006096013
前記一般式(4)において、R7、R8及びR9はそれぞれ独立して、アルキル基又はアリール基を表し、X-は陰イオンを表す。
Figure 2006096013
前記一般式(5)において、R10、R11及びR12は、それぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表すか、R11とR12は互いに結合して環を形成してもよい。X-は陰イオンを表す。
一般式(4)中、R7、R8及びR9で表されるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。該アルキル基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記(置換)アルキル基としては、特に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ベンゾイルオキシエチル基、2−(4−ブトキシフェノキシ)エチル基、ベンジル基、アリル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ジブチルアミノカルボニルメチル基が好ましい。
7、R8及びR9で表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。該アリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基等が挙げられる。
上記(置換)アリール基としては、特に、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基が好ましい。
一般式(4)においてX-で表される陰イオンは、一般式(3)におけるX-と同義であり、同様のものが挙げられる。
一般式(5)中、R10、R11及びR12で表されるアルキル基、アリール基、及びX-で表される陰イオンの好ましい例は、上記一般式(4)におけるR7〜R9で表されるアルキル基、アリール基、及びX-と同様のものが挙げられる。
また、R11とR12とは互いに結合して環を形成してもよく、R11とR12とが形成する環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環等が挙げられる。
以下に一般式(3)、(4)及び(5)で表されるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〜一般式(3)で表されるジアゾニウム塩化合物〜
Figure 2006096013
Figure 2006096013
〜一般式(4)で表されるジアゾニウム塩化合物〜
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
〜一般式(5)で表されるジアゾニウム塩化合物〜
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
Figure 2006096013
一般式(3)、(4)及び(5)で表されるジアゾニウム塩化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。更に色相調整等の諸目的に応じて、一般式(3)、(4)及び(5)で表されるジアゾニウム塩化合物と公知のジアゾニウム塩化合物とを併用することもできる。一般式(3)、(4)及び(5)で表されるジアゾニウム塩化合物と公知のジアゾニウム塩化合物とを併用する場合、一般式(3)、(4)及び(5)で表されるジアゾニウム塩化合物が、記録層に含有される全ジアゾニウム塩化合物の50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
上記公知のジアゾニウム塩化合物としては、4−ジアゾ−1−ジメチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−2−ブトキシ−5−クロル−1−ジメチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−1−メチルベンジルアミノベンゼン、4−ジアゾ−1−エチルヒドロキシエチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−1−ジエチルアミノ−3−メトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−モルホリノベンゼン、4−ジアゾ−1−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−トルイルメルカプト−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−ピペラジノ−2−メトキシ−5−クロルベンゼン、4−ジアゾ−1−(N,N−ジオクチルアミノカルボニル)ベンゼン、4−ジアゾ−1−(4−t−オクチルフェノキシ)ベンゼン、4−ジアゾ−1−(2−エチルヘキサノイルピペリジノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチリルピペリジノ〕ベンゼン、4−ジアゾ−1−(4−メトキシ)フェニルチオ−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4−メトキシ)ベンズアミド−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−ピロリジノ−2−メトキシベンゼン等が好ましい。
また、本発明の感熱記録材料においては、感熱記録材料の使用前の生保存性を良好なものとするために、後に詳述する如く、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル中に内包させることが必要とされるが、その際、適当な溶剤に溶解させて用いるため、ジアゾニウム塩化合物は、これらの溶剤に対する適当な溶解度と、低い水溶性とを有していることが好ましい。具体的には、使用する有機溶剤に対して5%以上の溶解度を有すると共に、水に対する溶解度は1%以下であることが好ましい。
本発明の感熱記録材料においては、記録層中にジアゾニウム塩化合物を0.02〜3g/m2の範囲で含有させることが好ましく、発色濃度の点から、特に0.1〜2g/m2の範囲で含有させることが好ましい。
(マイクロカプセル)
本発明の感熱記録材料は、その使用前の生保存性を良好とするために、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルに内包させる。
この場合に使用されるマイクロカプセルは、疎水性の有機溶媒にジアゾニウム塩化合物、及び、互いに反応して高分子物質を生成する同種又は異種の化合物を溶解した溶液を、親水性保護コロイド溶液中に乳化分散した後、反応容器を減圧にしながら溶液を昇温して溶媒を留去しつつ油滴表面に壁形成物質を移動させ、且つ油滴表面で重付加又は重縮合による高分子生成反応を進行させて壁膜を形成させることによって製造される。
マイクロカプセル壁を形成する高分子物質は、ポリウレタンやポリウレアの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
以下に、本発明の感熱記録材料におけるジアゾニウム塩化合物含有マイクロカプセル(ポリウレア・ポリウレタン壁)の製造方法について述べる。
まず、上記ジアゾニウム塩化合物を、カプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解させる。尚、本発明の感熱記録材料においては、印画時のカプセル内の誘電率を低くし、所望の範囲とするため、用いる疎水性の有機溶媒としては、総炭素数が24以上で、且つ窒素、酸素、硫黄、リン等のヘテロ元素の総数が5以下で、芳香環の総数が2以下で構成される分子構造であることが好ましい。また、有機溶媒の沸点は100℃〜300℃であること好ましい。このような疎水的な有機溶媒としては、上記条件を満たす芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、硫酸エステル類、スルホン酸エステル類、ケトン類、エーテル類等が挙げられる。具体例としては、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、トリアルキルホスフェート、マレイン酸ジアルキルエステル、アジピン酸ジアルキルエステル、シュウ酸ジアルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、カプセル化しようとするジアゾニウム塩化合物の上記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、該ジアゾニウム塩化合物に対する溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。該低沸点溶媒としては、具体的に、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。また、マイクロカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒中には、更に多価イソシアネートが壁材として添加される(油相)。
一方、水相としては、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性高分子を溶解した水溶液を用意し、次いで上記油相を投入し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行う。このとき水溶性高分子は乳化分散の安定化剤として作用する。乳化分散を更に安定に行うために、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。
多価イソシアネートの使用量は、マイクロカプセルの平均粒径が0.3〜12μmで、壁厚みが0.01〜0.3μmとなるように決定される。分散粒子径は0.2〜10μm程度が一般的である。乳化分散液中では、油相と水相の界面において多価イソシアネートの重合反応が生じてポリウレア壁が形成される。
水相中にポリオールを添加しておけば、多価イソシアネートとポリオールが反応してポリウレタン壁を形成することもできる。反応速度を速めるために反応温度を高く保ち、或いは適当な重合触媒を添加することが好ましい。多価イソシアネート、ポリオール、反応触媒、或いは、壁剤の一部を形成させるためのポリアミン等については成書に詳しい(岩田敬治編、ポリウレタンハンドブック日刊工業新聞社(1987))。
マイクロカプセル壁の原料として用いる多価イソシアネート化合物としては3官能以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましいが、2官能のイソシアネート化合物を併用しても、また2官能のイソシアネート化合物を単独で用いてもよい。具体的にはキシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートを主原料とし、これらの2量体或いは3量体(ビューレット或いはイソシヌレート)の他、トリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体として多官能としたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などが挙げられる。
更に、ポリオール又はポリアミンを、芯となる疎水性溶媒中又は分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、マイクロカプセル壁の原料の一つとして用いることもできる。これらのポリオール又はポリアミンの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。ポリオールを添加した場合には、ポリウレタン壁が形成される。
このようにして調製されたカプセルの油相を分散する水溶性高分子水溶液に用いる水溶性高分子は、乳化しようとする温度における水に対する溶解度が5以上の水溶性高分子が好ましく、その具体例としては、ポリビニルアルコール及びその変成物、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応性がないか、低いことが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め変成するなどして反応性をなくしておくことが必要である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の質量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
乳化は、ホモホジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ケディーミルなど、公知の乳化装置を用いることができる。乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させるために乳化物を30〜70℃に加温することが行われる。また反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を下げたり、充分な攪拌を行う等の必要がある。
また、反応中に改めて凝集防止用の分散剤を添加してもよい。重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その終息をもっておよそのカプセル壁形成反応の終点とみなすことができる。通常、数時間反応させることにより、目的のジアゾニウム塩化合物含有マイクロカプセルを得ることができる。
(発色助剤)
本発明においては、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。該発色助剤とは、加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低発色温度を低くする物質であり、カプラー、ジアゾニウム塩化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、ジアゾニウム塩化合物、カプラー等が反応しやすい状況を作るためのものである。
本発明の感熱記録材料に用いられる発色助剤として、例えば低エネルギーで迅速かつ完全に熱現像が行われるように、記録層中にフェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合物等を加えることができる。これらの化合物は、カプラーの融点を低下させるか、或いは、マイクロカプセル壁の熱透過性を向上させ、その結果高い発色濃度を可能とするものと考えられる。
本発明の感熱記録材料に用いられる発色助剤は、熱融解性物質でもよい。熱融解性物質は、常温では固体であって加熱により融解する融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾニウム塩化合物、カプラー等を溶かす物質である。これらの化合物の具体例としては、カルボン酸アミド、N置換カルボン酸アミド、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等が挙げられる。
(他の添加剤)
本発明の感熱記録材料においては、熱発色画像の光及び熱に対する堅牢性を向上させ、又は、定着後の未印字部分の光による黄変を軽減する目的で、以下に示す公知の酸化防止剤等を用いることが好ましい。
上記の酸化防止剤については、例えばヨーロッパ公開特許第223739号公報、同第309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、アメリカ特許第4814262号、同第4980275号等に記載されている。
更に、感熱記録材料や感圧感熱記録材料において既に用いられている公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の具体例としては、特開昭60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同63−088381号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平01−239282号公報、同04−291685号公報、同04−291684号公報、同05−188687号公報、同05−188686号公報、同05−110490号公報、同05−1108437号公報、同05−170361号公報、特公昭48−043294号公報、同48−033212号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
これらの酸化防止剤の添加量は、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して0.05〜100質量部の割合であることが好ましく、特に0.2〜30質量部であることが好ましい。上記した公知の酸化防止剤はジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることも、カプラーやその他の発色助剤等と共に固体分散物として、若しくは適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることも、或いはその両方の形態で用いることもできる。また酸化防止剤を単独又は複数併用することができるのは勿論である。また、記録層上に保護層を設け、該保護層に添加又は存在させることもできる。
これらの酸化防止剤は同一層に添加しなくもよい。更にこれらの酸化防止剤を組み合わせて複数用いる場合には、アニリン類、アルコキシベンゼン類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン誘導体、りん化合物、硫黄化合物の様に構造的に分類し、互いに異なる構造のものを組み合わせてもよいし、同一のものを複数組み合わせることもできる。
本発明に用いられるカプラーは、その他の発色助剤等と共に、サンドミル等により水溶性高分子と共に固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤と共に乳化物にして用いることが特に好ましい。好ましい水溶性高分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いられる水溶性高分子が挙げられる(例えば、特開昭59−190886号公報参照)。この場合、水溶性高分子溶液に対してカプラー、発色助剤はそれぞれ5〜40質量%になるように投入される。分散された或いは乳化された粒子サイズは10μm以下であることが好ましい。
本発明の感熱記録材料には、定着後の地肌部の黄変を軽減する目的で、光重合性組成物等に用いられる遊離基発生剤(光照射により遊離基を発生する化合物)を加えることができる。このような遊離基発生剤としては、芳香族ケトン類、キノン類、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、アゾ化合物、有機ジスルフィド類、アシルオキシムエステル類などが挙げられる。添加する量は、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、遊離基発生剤を0.01〜5質量部とすることが好ましい。
また、同様に黄変を軽減する目的で、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(以下、「ビニルモノマー」ということがある。)を用いることもできる。ビニルモノマーとは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合(ビニル基、ビニリデン基等)を有する化合物であって、モノマーやプレポリマーの化学形態をもつものである。それらの例としては、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミド化合物等が挙げられる。
ビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して0.2〜20質量部の割合で用いることが好ましい。上記遊離基発生剤やビニルモノマーは、ジアゾニウム塩化合物と共にマイクロカプセル中に含有させて用いることもできる。本発明では以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を添加することができる。
本発明の感熱記録材料は、ジアゾニウム塩化合物を含有したマイクロカプセル、カプラー、及びその他の添加物を含有した塗布液を調製し、紙や合成樹脂フィルム等の支持体の上にバー塗布、ブレード塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロールコーティング塗布、スプレー塗布、ディップ塗布、カーテン塗布等の塗布方法により塗布乾燥して、固型分2.5〜30g/m2の感熱記録層を設けることが好ましい。
本発明の感熱記録材料においては、マイクロカプセル、カプラーなどが同一層に含まれていてもよいが、別層に含まれるような積層型の構成をとることもできる。また、支持体の上に特開昭61−054980号公報等に記載されているような中間層を設けた後、感熱記録層を塗布することもできる。
<支持体>
本発明の感熱記録材料で使用される支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、アルキルケテンダイマー等の中性サイズ剤によりサイジングされた、pHが5〜9の中性紙(特開昭56−112383号公報記載のもの)、特開昭57−116687号公報に記載されたステキヒトサイズ度とメートル坪量との関係を満たし、かつベック平滑度が90秒以上の紙、特開昭58−136492号公報に記載された光学的表面粗さが8μm以下で、かつ厚みが30〜150μmの紙、特開昭58−69091号公報に記載されている密度0.9g/cm3以下でかつ光学的接触率が15%以上の紙、特開昭58−69097号公報に記載されたカナダ標準濾水度(JIS P8121)で400ml(400cc)以上に叩解処理されたパルプより抄造してなる塗布液のしみこみを防止した紙、特開昭58−65695号公報に記載のヤンキーマシーンにより抄造された原紙の光沢面を塗布面とし発色濃度及び解像力を改良した紙、特開昭59−35985号公報に記載された原紙にコロナ放電処理を施し、塗布適性を改良した紙なども用いることができる。
また、支持体として使用される合成樹脂フィルムは、現像過程での加熱に対しても変形せず、寸法安定性を有する公知の材料の中から任意に選択することができる。このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム等が挙げられる。これらは、単体で或いは貼り合わせて用いることができる。支持体の厚みとしては、20〜200μmのものが好ましい。
<保護層>
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱記録層上にサーマルヘッドで印字する際の、スティッキングやヘッド汚れ等を防止したり感熱記録材料に耐水性を付与する目的で、感熱記録層上に、ポリビニルアルコール等を主成分とし、各種の顔料や離型剤等を添加した保護層を、更に設けることが好ましい。
<印字記録>
このようにして得られる本発明の感熱記録材料の記録面にサーマルヘッド等で加熱すると、ポリウレア、ポリウレタン等のカプセル壁が軟化し、カプセル外のカプラーがカプセル内に進入して発色する。記録後は、ジアゾニウム塩化合物の吸収波長の光を照射することにより、ジアゾニウム塩化合物が分解してカプラーとの反応性を失うため、画像の定着が行われる。
定着用光源としては、種々の蛍光灯、キセノンランプ、水銀灯などが用いられる。この発光スペクトルは、感熱記録材料で用いたジアゾニウム塩化合物の吸収スペクトルとほぼ一致していることが、効率良く光定着させることができるので好ましい。また、本発明の感熱記録材料は、原稿を用いて露光し、画像形成部以外のジアゾニウム塩化合物を分解して潜像を形成させた後、感熱記録材料を加熱して現像し、画像を得ることもできる。
<多色感熱記録材料>
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層を1層有する単色の感熱記録材料、及び単色の記録層を複数積層した積層構造の感熱記録層を有する多色の感熱記録材料のいずれであってもよい。多色の感熱記録材料である場合、少なくとも1層の記録層が、本発明に係る感熱記録層(本発明の要件を満たす感熱記録層)であればよい。
特に、シアン発色層、イエロー発色層、マゼンタ発色層を含むフルカラーの感熱記録層の場合には、支持体上の3層が全てジアゾ系発色剤で構成された形態、或いは支持体に近い第一層目の感熱記録層が電子供与性染料及び電子受容性化合物を含有するロイコ系発色剤で構成され、第二及び第三層目の感熱記録層がジアゾ系発色剤で構成された形態よりなる感熱記録材料が好ましい。本発明の感熱記録材料としては、支持体側からシアン発色層、マゼンタ発色層、イエロー発色層の順に積層した構成が好ましく、また上述した様に、その内の少なくとも1層が本発明に係る感熱記録層であればよい。
上記多色感熱記録材料の一例を下記に示す。
支持体上に、電子供与性染料と電子受容性化合物を含有する記録層(第一の記録層(A層))と、最大吸収波長365±30nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第二の記録層(B層))と、最大吸収波長445±50nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型記録層(第三の記録層(C層))と、をこの順に積層してなる記録層を有し、該層上に必要に応じて光透過率調整層、保護層を設けた感熱記録材料である。
次に、この多色感熱記録材料の記録方法について説明する。
まず、第3の記録層(C層)を加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。次に、発光中心波長430±30nmの光を照射して、C層中に含まれる未反応のジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、第2の記録層(B層)が発色するに十分な熱を与え、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき、C層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており(光定着されている)、発色能力が失われているため発色しない。さらに、発光中心波長360±20nmの光を照射し、B層に含まれるジアゾニウム塩化合物を分解し光定着した後、最後に、第1の記録層(A層)が発色しうる十分な熱を加えて発色させる。このとき、C層、B層の記録層も同時に強く加熱されるが、既にジアゾニウム塩化合物は分解されており、発色能力が失われているため発色しない。
−感熱記録方法−
本発明の感熱記録方法は、ジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる非解離型カプラーと、の反応を利用した感熱記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されており、印画時の該カプセル内の誘電率を15以下とすることを特徴とする。
前述の通り、誘電率を15以下とすることにより、発色性を向上させることができ、印画の際、短時間で所望の発色濃度を得ることができる。
尚、カプセル内の誘電率は、印画前から15以下となっていてもよいし、サーマルヘッドで加熱した際カプセル内に疎水性のカプラーが侵入する等の方法によって、印画時に15以下となるような態様であってもかまわない。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りのない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
−誘電率測定用の感熱記録材料の作製−
[実施例1]
<フタル化ゼラチン水溶液の調製>
フタル化ゼラチン(商品名;MGPゼラチン,ニッピコラーゲン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.9143部、イオン交換水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
<アルカリ処理ゼラチン水溶液の調製>
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)0.7286部、水酸化カルシウム0.153部、イオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解し、乳化物作製用アルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
(1)感熱記録層用塗布液(a)の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>
酢酸エチル16.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(A)4.4部、モノイソプロピルビフェニル4.4部、フタル酸ジフェニル4.4部及びジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(商品名;ルシリンTPO,BASFジャパン(株)製)0.4部、N−メチル−N−フェニル−2−ナフチルアミン(MPNa)0.8部を添加し、40℃に加熱して均一に溶解した。該混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名;タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)8.6部を添加し、均一に攪拌し混合液(I)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液58.6部にイオン交換水16.3部、Scraph AG−8(50%;日本精化(株)製)0.34部添加し、混合液(II)を得た。
混合液(II)に混合液(I)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.36μmであった。
Figure 2006096013
<カプラー化合物乳化液(a)の調製>
酢酸エチル33.0部に下記カプラー化合物(C)10.5部と、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM、三井化学(株)製)10.4部、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン5.5部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)3.4部、4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド(マナック(株)製)1.7部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名;パイオニンA−41−C,70%メタノール溶液,竹本油脂(株)製)4.2部、及びトリ(テトラデシル)ホスフェート10.4部を溶解し、混合液(III)を得た。
別途前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、混合液(IV)を得た。
混合液(IV)に混合液(III)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃の下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が26.5%になるように濃度調節をおこなった。得られたカプラー化合物乳化物の粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.21μmであった。
更に前記カプラー化合物乳化物100部に対して、SBRラテックス(商品名;SN−307(48%液)、住化エイビーエスラテックス(株)製)を26.5%に濃度調整したものを9部添加して均一に攪拌してカプラー化合物乳化液(a)を得た。
Figure 2006096013
<感熱記録層用塗布液(a)の調製>
前記ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)及び前記カプラー化合物分乳化液(a)を、内包しているカプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物のmol比が2.8/1になるように混合し、感熱記録層用塗布液(a)を得た。
(2)光透過率調整層用塗布液の調製
<紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液の調製>
酢酸エチル209部に紫外線吸収剤前駆体として[2−アリル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−オクチルフェニル]ベンゼンスルホナート37部、2,2’−t−オクチルハイドロキノン12.7部、燐酸トリクレジル4.8部、α−メチルスチレンダイマー(商品名;MSD−100,三井化学(株)製)15.1部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名;パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)1.8部を溶解し均一に溶解した。前記混合液にカプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),三井武田ケミカル(株)製)74.5部を添加し、均一に攪拌し紫外線吸収剤前駆体混合液(V)を得た。
別途、イタコン酸変性ポリビニルアルコール(商品名;KL−318,クラレ(株)製)83.4部、シリカ変性ポリビニルアルコール(商品名;R−1130、クラレ(株)製)46.9部に30%燐酸水溶液14.1部、イオン交換水1685部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液を調製した。
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液用PVA水溶液1530部に前記紫外線吸収剤前駆体混合液(V)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて20℃の下で乳化分散した。得られた乳化液にイオン交換水300部を加え均一化した後、40℃下で攪拌しながら3時間カプセル化反応をおこなった。この後、イオン交換樹脂アンバーライトMB−3(オルガノ(株)製)830部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除きカプセル液の固形分濃度が13%になるように濃度調節した。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA−700,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.3μmであった。このカプセル液1244部に、コロイダルシリカ(商品名;スノーテックスOL(20%水溶液)、日産化学工業(株)製)20.6部、カルボキシ変性スチレンブタジエンラテックス(商品名;SN−307(48%水溶液),住友ノーガタック(株)製)3.4部を混合し、紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液を得た。
<光透過率調整層用塗布液の調製>
前記紫外線吸収剤前駆体マイクロカプセル液1000部に、4%水酸化ナトリウム水溶液15部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)51.36部を混合し、光透過率調整層用塗布液を得た。
(3)保護層用塗布液の調整
<保護層用ポリビニルアルコール溶液の調製>
ビニルアルコール−アルキルビニルエーテル共重合物(商品名;EP−130,電気化学工業(株)製)160部、アルキルスルホン酸ナトリウムとポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステルとの混合液(商品名;ネオスコアCM−57(54%水溶液),東邦化学工業(株)製)8.74部、イオン交換水3832部を混合し、90℃のもとで1時間溶解し均一な保護層用ポリビニルアルコール溶液を得た。
<保護層用顔料分散液の調製>
硫酸バリウム(商品名;BF−21F,硫酸バリウム含有量93%以上,堺化学工業(株)製)8部に陰イオン性特殊ポリカルボン酸型高分子活性剤(商品名;ポイズ532A(40%水溶液),花王(株)製)0.2部、イオン交換水11.8部を混合し、ダイノミルにて分散して硫酸バリウム分散液を調製した。この分散液は粒径測定(LA−910,堀場製作所(株)製で測定)の結果、メジアン径で0.20μm以下であった。
上記硫酸バリウム分散液45.6部に対し、コロイダルシリカ(商品名;スノーテックスO(20%水溶液)、日産化学工業(株)製)8.1部を添加して目的の保護層用顔料分散液を得た。
<保護層用マット剤分散液の調製>
小麦澱粉(商品名;小麦澱粉S,新進食料工業(株)製)220部に1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの水分散物(商品名;PROXEL B.D.I.C.I(株)製)3.81部、イオン交換水1976.19部を混合し、均一に分散し、保護層用マット剤分散液を得た。
<保護層用塗布液の調製>
前記保護層用ポリビニルアルコール溶液1000部に、フッ素系界面活性剤(商品名;メガファックF−120(5%水溶液)、大日本インキ化学工業(株)製)40部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製,2.0%水溶液)50部、前記保護層用顔料分散液59.87部、前記保護層用マット剤分散液16.65部、ステアリン酸亜鉛分散液(商品名;ハイリドンF115(20.5%水溶液),中京油脂(株)製)48.7部、イオン交換水280部を均一に混合し保護層用塗布液を得た。
(4)感熱記録材料の作製
支持体として、厚さ10μmの三酢酸セルロースフィルム(商品名;フジタック、富士写真フイルム(株)製)を用い、その表面に下から、前記感熱記録層用塗布液(a)、前記光透過率調整層用塗布液、前記保護層用塗布液の順に3層同時に連続塗布し、30℃・湿度30%の条件でそれぞれ乾燥して実施例1の感熱記録材料を得た。
この際前記感熱記録層用塗布液(a)の塗布量は液中に含まれるジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.3mmolとなるように調整し、前記光透過率調整層用塗布液は固形分塗布量が2.35g/m2、保護層用塗布液は固形分塗布量が1.39g/m2となるように塗布をおこなった。
[実施例2]
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において用いたトリ(テトラデシル)ホスフェートを、等モルのトリデシルホスフェートに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録材料を得た。
[実施例3]
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において用いたトリ(テトラデシル)ホスフェートを、等モルのトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートに変え、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールの量を10.4部から15.6部に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録材料を得た。
[比較例1]
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において用いたトリ(テトラデシル)ホスフェートを、等モルのフタル酸ジブチルエステルに変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱記録材料を得た。
[比較例2]
実施例1の<カプラー化合物乳化液(a)の調製>において用いた各添加剤の量を下記の通り変えた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録材料を得た。
・4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール 20.8部
・3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−
テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン 3.3部
・4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホン酸アミド 13.6部
・4−n−ペンチルオキシベンゼンスルホン酸アミド 6.8部
−発色性試験用の感熱記録材料の作製−
[実施例4〜6及び比較例3〜4]
実施例1〜3及び比較例1〜2の<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(a)の調製>において用いた各添加剤の量を下記の通り変え、
・モノイソプロピルビフェニル 4.8部
・フタル酸ジフェニル 4.8部
・N−メチル−N−フェニル−2−ナフチルアミン(MPNa) 0部
且つ、<感熱記録材料の作製>において支持体として用いた三酢酸セルロースフィルムを、下記より得られた支持体に変えた以外は、それぞれ実施例1〜3及び比較例1〜2と同様にして、実施例4〜6及び比較例3〜4の感熱記録材料を得た。
<支持体の作製>
(下塗り層用塗布液の作製)
酵素分解ゼラチン(平均分子量:10000、PAGI法粘度:15mP、PAGI法ゼリー強度:20g)40部をイオン交換水60部に加えて40℃で攪拌溶解して下塗り層用ゼラチン水溶液を調製した。
別途水膨潤性の合成雲母(アスペクト比:1000、商品名:ソマシフME100,コープケミカル社製)8部と水92部とを混合した後、ビスコミルで湿式分散し、平均粒径が2.0μmの雲母分散液を得た。この雲母分散液に雲母濃度が5%となるように水を加え、均一に混合し、所望の雲母分散液を調製した。
次いで、40℃の40%の前記ゼラチン水溶液100部に、水120部およびメタノール556部を加え、十分攪拌混合した後、5%前記雲母分散液208部を加えて、十分攪拌混合し、1.66%ポリエチレンオキサイド系界面活性剤9.8部を加えた。そして液温を35℃から40℃に保ち、エポキシ化合物のゼラチン硬膜剤(ナガセ化成工業(株)製・デナコールEX80)7.3部を加えて下塗り層用塗布液(5.7%)を調製した。
(下塗り層つき支持体の作製)
1種以上のLBPK(広葉樹晒クラフトパルプ)100部からなる木材パルプをディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300ccまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、硫酸アルミニウム1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部をいずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し長網抄紙機により抄紙し、更にその原紙両面をサイズプレス機にて塩化カルシウム、水溶性蛍光増白剤を含むポリビニルアルコール溶液を塗布して、坪量114g/m2の原紙を抄造しキャレンダー処理によって厚み100μmに調整した。
次に原紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押し出し機を用いてポリエチレンを樹脂厚36μmとなるようにコーティングしマット面からなる樹脂層を形成した(この面をウラ面と呼ぶ)。次に上記樹脂層を形成した面とは反対側に溶融押し出し機を用いてアナターゼ型二酸化チタンを10%及び微量の群青を含有したポリエチレンを樹脂厚50μmとなるようにコーティングし光沢面からなる樹脂層を形成した(この面をオモテ面と呼ぶ)。ウラ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、帯電防止剤として酸化アルミニウム(商品名;アルミナゾル100、日産化学工業(株)製)/二酸化珪素(商品名;スノーテックスO、日産化学工業(株)製)=1/2(質量比)を水に分散させて乾燥後の質量で0.2g/m2塗布した。次にオモテ面のポリエチレン樹脂被覆面にコロナ放電処理した後、上記下塗り層用塗布液を40℃にて保温し、斜線グラビアロール100メッシュにて、乾燥前塗布量で12.5g/m2となるように、塗布・乾燥し、下塗り層つき支持体を得た。
−多色感熱記録材料の作製−
[実施例7]
(5)マゼンタ記録層用塗布液(b)の調製
<ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)の調製>
酢酸エチル12.8部に、下記ジアゾニウム塩化合物(D)(最大吸収波長365nm)3.8部、イソプロピルビフェニル4.8部、リン酸トリクレジル4.8部、硫酸ジブチル1.1部、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸エチルエステル0.38部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(界面活性剤;商品名;パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液);竹本油脂(株)製)0.15部を添加した後、加熱して均一に溶解した。
Figure 2006096013
得られた混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)10.9部を添加し、均一に攪拌し混合液(VI;油相)を得た。
別途、前記フタル化ゼラチン水溶液59.9部にイオン交換水22.8部を混合し、混合液(VII;水相)を得た。
上記より得た混合液(VII)に、前記混合液(VI)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に、水27.3部を加えて均一化した後、40℃下で攪拌し酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行った。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA67(オルガノ(株)製)1.16部、SWA100−HG(オルガノ(株)製)2.33部を加え、更に0.5時間攪拌した。
引き続き、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、マイクロカプセル液の固形分濃度が18.5%になるように濃度調節して、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)を得た。得られたマイクロカプセルの粒径をLA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.57μmであった。
<カプラー化合物乳化液(b)の調製>
酢酸エチル33.0部に、下記カプラー化合物(E)6.3部と、下記有機塩化合物(K)2.4部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学(株)製)14.0部と、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールM、三井石油化学(株)製)14.0部と、1,1’−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部と、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部と、下記化合物(G)3.5部と、リン酸トリクレジル2.5部と、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名;パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液),竹本油脂(株)製)4.5部とを溶解し、混合液(VIII)を得た。
Figure 2006096013
別途、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部に、イオン交換水107.3部を混合し、混合液(IX)を得た。
上記混合液(IX)に、上記混合液(VIII)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行い、カプラー化合物乳化液(b)を得た。得られたカプラー化合物乳化液(b)の粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で0.24μmであった。
<マゼンタ記録層用塗布液(b)の調製>
上記より得た、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)とカプラー化合物乳化液(b)とを、カプラー化合物/ジアゾニウム塩化合物の質量比が1.9/1になるように混合した。更に、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)を、混合したジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(b)10部に対して0.015部となる量を混合し、マゼンタ記録層用塗布液(b)を得た。
(6)シアン記録層用塗布液(c)の調製
<電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)の調製>
酢酸エチル18.1部に、下記電子供与性染料前駆体(H)7.6部と、1−メチルプロピルフェニルフェニルメタン及び1−(1−メチルプロピルフェニル)−2−フェニルエタンの混合物(商品名;ハイゾールSAS−310,日本石油(株)製)9.0部と、下記化合物(I)(商品名;Irgaperm2140,チバガイギー(株)製)7.0部とを添加し、加熱して均一に溶解した。
得られた混合液に、カプセル壁材としてキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名;タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液),武田薬品工業(株)製)7.2部と、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名;ミリオネートMR−200,日本ポリウレタン工業(株)製)5.3部とを添加し、均一に攪拌し混合液(X)を得た。
Figure 2006096013
別途、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液28.8部に、イオン交換水9.5部、Scraph AG−8(50%,日本精化(株)製)0.17部、及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(10%水溶液)4.3部を添加混合し、混合液(XI)を得た。
上記より得た混合液(XI)に上記混合液(X)を添加し、ホモジナイザー(日本精機製作所(株)製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に、水50部及びテトラエチレンペンタミン0.12部を加えて均一化し、65℃下で攪拌して酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行い、マイクロカプセル液の固形分濃度が33%になるように濃度調節されたマイクロカプセル液を得た。この時のマイクロカプセルの粒径を、LA−700(堀場製作所(株)製)を用いて測定した結果、メジアン径で1.00μmであった。
更に、濃度調節後のマイクロカプセル液100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(商品名;ネオペレックスF−25、花王(株)製)3.7部と、4,4’−ビストリアジニルアミノスチルベン−2,2’−ジスルフォン誘導体を含む蛍光増白剤(商品名;Kaycoll BXNL、日本曹達(株)製)4.3部とを添加して均一に攪拌し、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)を得た。
<電子受容性化合物分散液(c)の調製>
上記より得たフタル化ゼラチン水溶液11.3部に、イオン交換水30.1部と、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名;ビスフェノールP、三井石油化学(株)製)15部と、2%の2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム水溶液3.8部とを加えて、ボールミルを用いて一晩分散して、固形分濃度26.6%の分散液を得た。
この分散液100部に、上記より得たアルカリ処理ゼラチン水溶液45.2部を加えて30分間攪拌した後、分散液の固形分濃度が23.5%となるようにイオン交換水を加え、電子受容性化合物分散液(c)を得た。
<シアン記録層用塗布液(c)の調製>
上記より得た、電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液(c)と電子受容性化合物分散液(c)とを、電子受容性化合物/電子供与性染料前駆体の質量比が10/1となるように混合し、シアン記録層用塗布液(c)を得た。
(7)中間層用塗布液の調製
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名;#750ゼラチン,新田ゼラチン(株)製)100.0部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所(株)製)2.857部、水酸化カルシウム0.5部、イオン交換水521.643部を混合して50℃下で溶解し、中間層用塗布液調製用のゼラチン水溶液を得た。
得られたゼラチン水溶液10.0部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウム(三協化学(株)製;2.0%水溶液)0.05部、硼酸(4.0%水溶液)1.5部、ポリスチレンスルホン酸(一部水酸化カリウム中和型)水溶液(5%)0.19部、下記化合物(J)(和光純薬(株)製)の4%水溶液1.32部、下記化合物(J’)の4%水溶液0.44部、イオン交換水0.67部を混合し、中間層用塗布液とした。
Figure 2006096013
(8)感熱記録材料の作製
実施例4と同様の方法により得た下塗り層つき支持体の下塗り層表面に順次、シアン記録層用塗布液(c)、中間層用塗布液、マゼンタ記録層用塗布液(b)、中間層用途布液、イエロー記録層用塗布液(a)、光透過率調整層用塗布液、及び保護層用塗布液を同時連続塗布(7層同時塗布)し、30℃、30%RHの乾燥条件、及び40℃、30%の乾燥条件で、それぞれ乾燥処理を行い、多色の感熱記録材料を作製した。尚、ここで、上記イエロー記録層用塗布液(a)としては、実施例1における感熱記録層用塗布液(a)と同様のものを用い、また上記光透過率調整層用塗布液及び保護層用塗布液も、実施例1におけるものと同様のものを用いた。
このとき、イエロー記録層用塗布液(a)は、前記ジアゾニウム塩化合物(A)の塗布量が固形分塗布量で0.156g/m2となる量を、マゼンタ記録層用塗布液(b)は、前記ジアゾニウム塩化合物(D)の塗布量が固形分塗布量で0.225g/m2となる量を、シアン記録層用塗布液(c)は、前記電子供与性染料前駆体(H)の塗布量が固形分塗布量で0.355g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
また、中間層用塗布液は、前記イエロー記録層用塗布液(a)と前記マゼンタ記録層用塗布液(b)との間においては、ゼラチンの固形分塗布量が2.064g/m2となる量を、前記マゼンタ記録層用塗布液(b)と前記シアン記録層用塗布液(c)との間においては、ゼラチンの固形分塗布量が2.885g/m2となる量を、光透過率調整層用塗布液は、固形分塗布量が2.35g/m2となる量を、保護層用塗布液は、固形分塗布量が1.39g/m2となる量を、それぞれ塗布した。
≪評価≫
(誘電率の測定)
実施例1〜3及び比較例1〜2の感熱記録材料を、発光中心波長が365nm、出力40Wの紫外線ランプを用いて15秒間全面光照射した。その後、サーマルヘッド(商品名;KST型、京セラ(株)製)を用いて50mJ/mm2になるように印画した。印画部を励起波長365nmで励起したときの蛍光スペクトルを測定し、その蛍光極大波長から図1に従って、カプセル内の誘電率を求めた。誘電率の測定結果を表1に示す。
Figure 2006096013
(発色性試験)
実施例4〜7及び比較例3〜4の感熱記録材料を、上記サーマルヘッドで52mJ/mm2になるように印画した。印画から6秒後のイエロー濃度と600秒後のイエロー濃度を、X−Rite310RDにて測定し、6秒後の濃度に対する600秒後の濃度の増加割合を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2006096013
上記表1より、実施例1〜3の感熱記録材料はカプセル内の誘電率が15以下と望ましい値になっており、比較例1〜2ではそれを超える値となっている。表1の結果、並びに表2の実施例4〜7及び比較例3〜4より、カプセル内の誘電率が低い感熱記録材料は、高い感熱記録材料に比べ発色濃度の増加割合が極めて良好であることが分かる。
溶媒の誘電率と蛍光極大波長(λem)との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 支持体上に、非解離型カプラーと、マイクロカプセルに内包されたジアゾニウム塩化合物と、を含む記録層を有する感熱記録材料であって、印画時の前記カプセル内の誘電率が15以下であることを特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記非解離型カプラーが下記一般式(2)で表され、前記ジアゾニウム塩化合物が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
    Figure 2006096013
    [前記一般式(2)において、R3はアルキル基又はアリール基を表し、Arはアリール基を表す。]
    Figure 2006096013
    [前記一般式(3)において、R4はアルキル基又はアリール基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基又は水素原子を表す。Y4は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子又は単結合を表し、Y5及びY6はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は単結合を表す。但し、R5又はR6がアリール基又は水素原子である場合、それぞれY5又はY6は単結合である。また、R5、R6のいずれか一方はR4と結合してヘテロ環を形成してもよい。X-は陰イオンを表す。]
  3. ジアゾニウム塩化合物と、該ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させる非解離型カプラーと、の反応を利用した感熱記録方法であって、該ジアゾニウム塩化合物がマイクロカプセルに内包されており、印画時の該カプセル内の誘電率を15以下とすることを特徴とする感熱記録方法。
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