JP2006094673A - 回転電機および回転電機の固定子 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転電機の固定子では、鉄心ティース部において、鉄心外形側に電気設計的に冗長な鉄心部分を有しており、固定子コイルの断面形状が長方形形状であることや、コイルの組み立てに必要なスロット開口面積の関係から冗長部分を残した状態で設計せざるを得なかった。このためコイルの温度上昇が大きく、回転電機が大型化していた。
【解決手段】二層巻きの固定子コイル4の下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅を電気設計的に冗長な鉄心外形側の鉄心ティース部8Aを利用して拡大し、上下コイル4B、4Aを合わせた固定子コイル4の通電断面積を大きくして通電抵抗を減少させ、発熱損失を低減させる。
【選択図】図1
【解決手段】二層巻きの固定子コイル4の下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅を電気設計的に冗長な鉄心外形側の鉄心ティース部8Aを利用して拡大し、上下コイル4B、4Aを合わせた固定子コイル4の通電断面積を大きくして通電抵抗を減少させ、発熱損失を低減させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、たとえばタービン発電機などの回転電機の固定子において、固定子巻線の温度上昇の低減を図るようにした回転電機および回転電機の固定子に関する。
タービン発電機などの回転電機は、大きく分けて固定子と回転子とを備えている。固定子は、固定子鉄心と、この固定子鉄心に巻回された固定子コイルとからなり、中空円筒状を成している。
回転子は、同じく回転子鉄心と、この回転子鉄心に巻回された回転子コイルとからなり、前記固定子の中空円筒内に同心円状に配置されている。
固定子および回転子のコイルは、銅などの電気導電性のバーなどからなり、回転子コイルと固定子コイルとはお互いに鉄心を通して磁気的に結合している。
固定子および回転子のコイルは、銅などの電気導電性のバーなどからなり、回転子コイルと固定子コイルとはお互いに鉄心を通して磁気的に結合している。
図9に従来のタービン発電機などの回転電機における固定子の一部の概略構造を示す。
図9において、符号1は固定子鉄心で、ケイ素鋼板を扇形に打抜いたものを積重ねて全体として中空円筒状に形成されている。
図9において、符号1は固定子鉄心で、ケイ素鋼板を扇形に打抜いたものを積重ねて全体として中空円筒状に形成されている。
固定子鉄心1の内周面2には、固定子コイルを挿入するための空間として固定子スロット3が、矢印Xで示す固定子鉄心1の周方向に沿って複数個等間隔に並べて放射状に形成されている。
符号4は前記固定子鉄心1の固定子スロット3内に挿入され、所定の結線に従って順次接続された固定子コイルである。
符号5は固定子コイル4の絶縁被覆、符号6は固定子スロット3内に挿入された固定子コイル4の抜け止めのために固定子スロット3開口部を塞ぐコイルくさびである。
符号5は固定子コイル4の絶縁被覆、符号6は固定子スロット3内に挿入された固定子コイル4の抜け止めのために固定子スロット3開口部を塞ぐコイルくさびである。
固定子コイル4は通常二層巻きが用いられており、固定子スロット3の奥側(底側)に巻かれたコイル(以下、下コイルと称する)4Aと、固定子スロット3の入口側(開口部側)に巻かれたコイル(以下、上コイルと称する)4Bとから構成されている。
下コイル4Aと上コイル4Bとはそれぞれ固定子スロット3の下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aおよび上コイル4Bが挿入されるスロット部分3Bに挿入され、下コイル4Aと上コイル4Bとの間にはコイル間スペーサ7が介在されている。
このように構成された回転電機の固定子において、図示しない回転子コイルにより生ずる磁束は固定子鉄心1のスロット間に位置する鉄心ティース部8を図示矢印Yのごとき方向に沿って流れ、固定子コイル4(4A、4B)と鎖交することにより回転子コイルと固定子コイル4とはお互いに鉄心を通して磁気的に結合している(たとえば非特許文献1参照。)。
一般に回転電機の出力は、電流と電圧の積で表されるので、出力の大きい大型の回転電機になると当然固定子コイル4に流れる電流も大きくなり、回転電機の電流による損失(発熱損失)は電気抵抗に比例するため電流の大きな回転電機ではコイル導体の断面積を大きくして電気抵抗を小さくする必要がある。
このため、コイル導体としては曲げ成形が容易な細いワイヤー導体などを使用するのは適さず、前記したようにバーコイルのような曲げ成形のしにくい、硬く、太い導体を使用している。
バーコイルは固定子スロット3に挿入後、別の固定子スロットに挿入されたバーコイルと端部同士を電気的に接続して所定の結線に接続する必要があり、このためバーコイルの両端部はスロット間で接続しやすくするために所定の角度に曲げられている。
しかし、バーコイルは太くて、硬いため、固定子スロット3に挿入してから曲げ加工するのは難しく、損傷の原因ともなりかねないので、通常は固定子スロット3へ挿入する前に曲げ加工を施しておく。
一方、曲げ加工を施したバーコイルを固定子スロット3に挿入する場合、固定子鉄心1の軸方向(図9において紙面に垂直な方向)に挿入することは難しいため、固定子スロット3の開口部から固定子鉄心1の径方向に沿って固定子スロット3の奥へ押し込むようにして、挿入するようにしている。
このようなコイルの組み立て方をとる場合は、固定子コイル4の下コイル4Aの可能な導体幅はスロット開口部の幅によって制約を受けるので、固定子スロット3の形状は矩形が用いられ、上下コイル4A、4Bの導体幅は同じ幅とするのが一般的である。
また、固定子スロット3内に挿入された固定子コイル4は、スロット内でのガタツキを抑え固定するために波形ばね板のようなコイル固定具9を固定子スロット3内に挿入してスロット内に固定されるので、固定子スロット3のスロット幅はコイル寸法に加えてコイル固定具9を入れるのに必要な隙間を空けている。
電気工学ハンドブック(第6版) 発行所:社団法人電気学会2001年2月20日発行、第635頁
電気工学ハンドブック(第6版) 発行所:社団法人電気学会2001年2月20日発行、第635頁
前記した如く鉄心ティース部8は磁束の重要な通り道であるため、この部分の磁路面積を小さくしていくとそれに伴い磁束密度が増え、磁気抵抗が急激に増大することとなるため、固定子スロット3の幅は鉄心ティース部8を通過する磁束密度の大きさによって制約を受ける。
しかしながら、上述したように一般に、従来の固定子スロット3の形状はその幅が一定で、矩形を成し、しかも中空円筒状の固定子鉄心1に放射状に形成されているため、図9のように鉄心ティース部8の幅は固定子鉄心1の内径側の鉄心スティー部8Bに比べて外径側の鉄心スティー部8Aの方が広くなっている。
このため、固定子鉄心1の内側部分の鉄心ティース部8Bの幅をその磁束密度が設計制限値となるように設計した場合、固定子鉄心1の内側よりも外側に位置する鉄心ティース部8Aの磁束密度はその幅が広がっている分設計制限値よりも小さくなり、固定子鉄心内側の鉄心ティース部よりも外側で電気設計的に冗長となる部分が生じる。
一方、固定子鉄心組立時に、固定子鉄心1の径方向に沿って固定子コイル4を固定子スロット3内に挿入するために、下コイル4Aの導体幅は少なくとも上コイル4B部分のスロット幅よりも小さくする必要があるが、固定子スロット3の幅はコイルの導体幅よりもコイル固定具7が入るための隙間の分だけ大きく作られるため、組立の面からは下コイル4Aの導体幅は上コイル4Bの導体幅よりも最大で固定具のための隙間分だけ大きくできる。
本発明は、固定子スロット形状による鉄心ティース部の設計冗長部分を利用し、固定子コイルの断面積を増加させ、固定子コイルおよび固定子鉄心の冷却効果を高め、電流による損失を低減して、発電機を小型化、高効率化した回転電機の固定子を得ることを目的とする。
以上の目的を達成するために本発明の回転電機の固定子は、円筒状を成し、内周面に固定子スロットを周方向に沿って複数個並べて放射状に形成した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の固定子スロット内に二層巻きにして挿入された上コイルと下コイルとからなる固定子コイルと、前記固定子コイルを前記固定子スロット内に固定するコイル固定具とからなる回転電機の固定子において、前記固定子コイルの前記下コイルが挿入されるスロット部分のスロット幅と前記下コイルの幅を、前記上コイルが挿入されるスロット部分のスロット幅と前記上コイルの幅より拡大したことを特徴とする。
本発明の回転電機の固定子によれば、固定子スロット形状による鉄心ティース部の設計冗長部分を利用し、固定子コイルの断面積を増加させ、固定子コイルおよび固定子鉄心の冷却効果を高め、電流による損失を低減して、発電機を小型化、高効率化することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態の説明において、図9に示す従来の回転電機の固定子と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図1は本発明の第1の実施の形態による回転電機の固定子の一部の概略構造を示す図である。本実施の形態による固定子は、固定子スロット3の数をN、固定子鉄心1の内周面2から下コイル4Aの上端部までの距離をL1、固定子鉄心1の内周面2から固定子スロット3の底までの距離をL2、上コイル4B、下コイル4Aのコイル固定具9を挿入するのに必要な幅をWとする。
本実施の形態においては、固定子鉄心1の上コイル4Bが挿入されるスロット部分3Bのスロット幅は、このスロット部分3Bに隣り合う固定子鉄心1の内側の鉄心ティース部8Bの磁束密度が設計制限値となるような幅に定められている。
一方、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅は、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aにおいて、固定子鉄心1の周方向Xに沿って、いずれか一方の方向に2πL1/N、もしくはWのいずれか一方の短い方の長さの範囲内でスロット部分3Bのスロット幅より拡大し、二段階スロット幅に形成されている。
これらのスロット部分3A、3Bには、それぞれスロット幅からコイル固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅をもつ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aを利用して下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅を拡大することにより、下コイル4Aの幅を、従来の矩形スロットの場合に比してスロット幅の拡大分大きくすることができる。
そのため同じスロット深さの場合、従来の矩形スロットの場合に比して、上下合わせた固定子コイル4の通電断面積を大きくすることができ、固定子コイル4の通電抵抗を減少することができる。
これによって、コイル抵抗値に比例する通電抵抗損を減少できるため、通電によって生じる発熱を減少でき、発電機効率向上、上下コイルの温度上昇低減、発電機出力の向上、信頼性向上、および発電機重量の軽減が実現できる。
次に本発明の第2の実施の形態について図2を参照して説明する。なお、以下の実施の形態の説明において、寸法L1、L2は図1に示す第1の実施の形態と同一であるので、説明ならびに図示は省略する。
また、固定子鉄心1の上コイル4Bが挿入されるスロット部分3Bのスロット幅は、このスロット部分3Bに隣り合う固定子鉄心1の内側の鉄心ティース部8Bの磁束密度が設計制限値となるような幅に定められている点においても第1の実施の形態と同一であるので詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aの幅は、電気設計的に冗長となる鉄心ティース部8Aにおいて、固定子鉄心1の周方向Xに沿って、両側の方向に、合計が2πL1/NのもしくはWのいずれか一方の小さい方の長さの範囲内でスロット部分3Bの幅より拡大し、二段階スロット幅に形成されている。
これらのスロット部分3A、3Bには、それぞれスロット幅から固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅をもつ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
さらに、下コイル4Aはスロット幅方向に2つに分割され、2つの下コイル4A1、4A2を並べてスロット部分3A内に挿入し、2つの下コイル4A1、4A2間に配置されたコイル固定具9により固定されている。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aを利用して下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅を拡大することにより、下コイル4A1、4A2二本分が挿入できる幅を、矩形スロットの場合に比して大きくすることができる。
そのため同じスロット深さの場合、従来の矩形スロットの場合に比して上、下合わせたコイルの通電断面積を大きくすることができ、コイルの通電抵抗を減少することができる。
そのため同じスロット深さの場合、従来の矩形スロットの場合に比して上、下合わせたコイルの通電断面積を大きくすることができ、コイルの通電抵抗を減少することができる。
これによって、コイル抵抗値に比例する通電抵抗損を減少できるため、通電によって生じる発熱を減少でき、発電機効率向上、上下コイルの温度上昇低減、発電機出力の向上、信頼性向上、および発電機重量の軽減が実現できる。
なお、前記第2の実施の形態の説明において、スロット部分3Aを固定子鉄心1の周方向に沿って両側の方向に拡大しているが、いずれか一方の側に拡大するようにしてもよい。
なお、前記第2の実施の形態の説明において、スロット部分3Aを固定子鉄心1の周方向に沿って両側の方向に拡大しているが、いずれか一方の側に拡大するようにしてもよい。
次に本発明の第3の実施の形態について図3を参照して説明する。
本実施の形態においては、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅は、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aにおいて、固定子鉄心1の周方向Xに沿って、いずれか一方の方向に2πL1/N、もしくはWのいずれか一方の小さい方の長さの範囲内で前記スロット部分3Bのスロット幅より拡大し、二段階スロット幅に形成されている。
本実施の形態においては、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅は、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aにおいて、固定子鉄心1の周方向Xに沿って、いずれか一方の方向に2πL1/N、もしくはWのいずれか一方の小さい方の長さの範囲内で前記スロット部分3Bのスロット幅より拡大し、二段階スロット幅に形成されている。
さらに、同じ方向にスロット底部3Cの幅を上コイル4Bの幅に対して2πL2/Nまでの範囲で拡大し、そこから下コイル4Aを挿入するスロット部3Aの適当な位置まで直線で結ぶ範囲までに空隙10を形成している。
そして、これらのスロット部分3A、3Bには、それぞれのスロット幅からコイル固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅をもつ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
本実施の形施の回転電機の固定子によれば、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aを利用して下コイル4Aのコイル幅を拡大することができるとともに、下コイル4Aとが挿入されるスロット部分3Aにおいて、スロット部分3Aと矩形の下コイル4Aの間に空隙10を設けることが可能となり、この空隙10を冷却ガス通路として利用できる。
上記構成によって、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅が拡大するため、同じスロット深さの場合、従来の矩形スロットに比して上下合わせたコイル4の通電断面積を大きくすることが可能となるためコイルの通電抵抗を減少することができる。
これによって、コイル抵抗値に比例する通電抵抗損を減少できるため、通電によって生じる発熱を減少できる。
これによって、コイル抵抗値に比例する通電抵抗損を減少できるため、通電によって生じる発熱を減少できる。
さらに非一様幅鉄心スロットにより生じる空隙10に冷却ガスを流すことにより冷却性能を向上することができ、発電機効率向上、上下コイルの温度低減、発電機出力の向上、信頼性向上、および発電機重量の軽減が実現できる。
次に本発明の第4の実施の形態について図4を参照して説明する。
本実施の形態においては、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅は、固定子鉄心1の周方向に沿って2πL3/Nの範囲内で一方に、且つ固定子鉄心1の径方向にはスロット部分3Aの長さの範囲内となるような長方形のスロット拡大部3Dを形成している。
本実施の形態においては、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅は、固定子鉄心1の周方向に沿って2πL3/Nの範囲内で一方に、且つ固定子鉄心1の径方向にはスロット部分3Aの長さの範囲内となるような長方形のスロット拡大部3Dを形成している。
ここでL3は、前記スロット拡大部3Dの鉄心内径側面と固定子鉄心1の内周面2との間の距離である。
さらに、スロット底部3Cの幅を前記スロット拡大部3Dと反対側に、前記第3の実施の形態で示したと同様に、前記スロット拡大部3Dの幅との合計が2πL2/Nとなる幅の範囲内で拡大し、そこから下コイル4Aを挿入するスロット部3Aの適当な位置までを直線で結ぶ範囲までに空隙10を形成している。
さらに、スロット底部3Cの幅を前記スロット拡大部3Dと反対側に、前記第3の実施の形態で示したと同様に、前記スロット拡大部3Dの幅との合計が2πL2/Nとなる幅の範囲内で拡大し、そこから下コイル4Aを挿入するスロット部3Aの適当な位置までを直線で結ぶ範囲までに空隙10を形成している。
これらのスロット部分3A、3Bには、それぞれのスロット幅からコイル固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅をもつ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aにおいて、スロット部分3Aと矩形の下コイル4Aとの間に空隙10および多角形形状のスロット拡大部3Dを設けることが可能となり、冷却ガス通路として利用できる。
上記構成によって、非一様幅鉄心スロットにより生じる空隙10およびスロットを長方形拡大したことによるスロット拡大部3Dの空隙10に冷却ガスを流すことにより冷却性能を向上することができ、上下コイルの温度低減、発電機出力の向上、信頼性向上、および発電機重量の軽減が実現でき。
次に本発明の第5の実施の形態について図5を参照して説明する。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿ってπL2/Nの範囲で拡大し、この拡大した外側の点aと下コイル4A上端部のスロット部分3Aの幅をπL1/Nの範囲で拡大した点bとを結んだ直線までの範囲内で、スロット部分3Aの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に階段形状に拡大し、且つスロット部分3Aを高さ方向にスロット形状に沿って分割し、且つ幅方向に複数個に分割した下コイル4Aを挿入してコイル固定具9により固定している。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿ってπL2/Nの範囲で拡大し、この拡大した外側の点aと下コイル4A上端部のスロット部分3Aの幅をπL1/Nの範囲で拡大した点bとを結んだ直線までの範囲内で、スロット部分3Aの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に階段形状に拡大し、且つスロット部分3Aを高さ方向にスロット形状に沿って分割し、且つ幅方向に複数個に分割した下コイル4Aを挿入してコイル固定具9により固定している。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、電気設計的に冗長となる外側の鉄心ティース部8Aを利用して下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aのスロット幅を拡大することにより、下コイル4Aの幅を、従来の矩形スロットの場合に比してスロット幅の拡大分大きくすることができる。
そのため同じスロット深さの場合、従来の矩形スロットの場合に比して、上下合わせた固定子コイル4の通電断面積を大きくすることができ、固定子コイル4の通電抵抗を減少することができる。
これによって、コイル抵抗値に比例する通電抵抗損を減少できるため、通電によって生じる発熱を減少でき、発電機効率向上、上下コイルの温度上昇低減、発電機出力の向上、信頼性向上、および発電機重量の軽減が実現できる。
次に本発明の第6の実施の形態について図6を参照して説明する。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に向けてπL2/Nの範囲で拡大し、この拡大した外側の点aと固定子鉄心1の内周面2とを結ぶ直線の範囲内で、固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側それぞれにスロット部分3A、3B側面に凹凸形状を設けている。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に向けてπL2/Nの範囲で拡大し、この拡大した外側の点aと固定子鉄心1の内周面2とを結ぶ直線の範囲内で、固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側それぞれにスロット部分3A、3B側面に凹凸形状を設けている。
これらのスロット部分3A、3Bにはそれぞれスロット幅からコイル固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅をもつ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、鉄心スロット3と固定子コイル4の間に固定子コイル4のほぼ全長に亘って多数の空隙11設けることが可能となり、冷却ガス通路として利用できる。
これによって、スロット側面に設けた凹凸形状の空隙11に冷却ガスを流すことにより冷却性能を向上することができ、上下コイルの温度低減、発電機出力の向上、信頼性向上、および発電機重量の軽減が実現できる。
次に本発明の第7の実施の形態について図7を参照して説明する。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に向けてそれぞれ上コイル4Bの幅に対してπL2/Nまでの範囲内で拡大し、そこから下コイル4Aを挿入するスロット部3Aの適当な位置まで直線で結ぶ範囲に空隙10a、10bを形成している。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に向けてそれぞれ上コイル4Bの幅に対してπL2/Nまでの範囲内で拡大し、そこから下コイル4Aを挿入するスロット部3Aの適当な位置まで直線で結ぶ範囲に空隙10a、10bを形成している。
これらのスロット部分3A、3Bにはそれぞれスロット幅からコイル固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅を持つ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、スロット部分3Aと矩形の下コイル4Aとの間に空隙10a、10bを設けることが可能となり、冷却ガス通路として利用できる。
これによって、非一様幅鉄心スロットにより生じる空隙10a、10bに冷却ガスを流すことにより冷却性能を向上することができ、上下コイルの温度低減、発電機出力の向上、信頼性向上および発電機重量の軽減が実現できる。
次に本発明の第8の実施の形態について図8を参照して説明する。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に向けてそれぞれπL3/Nの範囲内で、且つ固定子鉄心1の径方向にはスロット部分3Aの長さの範囲内となるような長方形のスロット拡大部3D1、3D2を形成している。
本実施の形態においては、スロット底部3Cの幅を固定子鉄心1の周方向Xに沿って両側に向けてそれぞれπL3/Nの範囲内で、且つ固定子鉄心1の径方向にはスロット部分3Aの長さの範囲内となるような長方形のスロット拡大部3D1、3D2を形成している。
これらのスロット部分3A、3Bにはそれぞれのスロット幅からコイル固定具9を挿入するために必要なだけの空隙の寸法Wを差し引いた幅をもつ矩形の上下コイル4B、4Aが挿入され、コイル固定具9により固定されている。
本実施の形態の回転電機の固定子によれば、下コイル4Aが挿入されるスロット部分3Aにおいて、スロット部分3Aと矩形の下コイル4Aとの間の両側にスロット拡大部3D1、3D2を設けることが可能となり、冷却ガス通路として利用できる。
これによって、スロット拡大部3D1、3D2に冷却ガスを流すことにより冷却性能を向上することができ、上下コイルの温度低減、発電機出力の向上、信頼性向上および発電機重量の軽減が実現できる。
1…固定子鉄心、2…固定子鉄心の内周面、3…固定子スロット、3A、3B…スロット部分、3C…スロット底部、3D…スロット拡大部、4…固定子コイル、4A…下コイル、4B…上コイル、5…絶縁被覆、6…コイルくさび、7…コイル間スペーサ、8…鉄心ティース部、8A…外側の鉄心ティース部、8B…内側の鉄心ティース部、9…コイル固定具、10,11…空隙。
Claims (11)
- 円筒状を成し、内周面に固定子スロットを周方向に沿って複数個並べて放射状に形成した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の固定子スロット内に二層巻きにして挿入された上コイルと下コイルとからなる固定子コイルと、前記固定子コイルを前記固定子スロット内に固定するコイル固定具とからなる回転電機の固定子において、前記固定子コイルの前記下コイルが挿入されるスロット部分のスロット幅と前記下コイルの幅を、前記上コイルが挿入されるスロット部分のスロット幅と前記上コイルの幅より拡大したことを特徴とする回転電機の固定子。
- 前記上コイルが挿入されるスロット部分のスロット幅を、このスロット部分に隣り合う鉄心ティース部の磁束密度が設計制限値となるように定めたことを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
- 前記固定子スロットの数をN、前記コイル固定具を前記固定子スロット内に挿入するために必要な空隙寸法をW、前記固定子鉄心の内周面から前記下コイル上端部までの距離をL1、前記固定子鉄心の内周面から前記固定子スロットの底までの距離をL2とした場合、2πL1/NまたはWのいずれか短い方の長さの範囲内で前記下コイルが挿入されるスロット部分のスロット幅を前記固定子鉄心の周方向に沿っていずれか一方に拡大したことを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
- 前記下コイルが、前記固定子鉄心の周方向に複数個に分割され、分割された各下コイル間に前記コイル固定具を挿入したことを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
- スロット幅を拡大した方向にスロット底部の幅を前記上コイルの幅に対して2πL2/Nまでの範囲で拡大した点から前記下コイルが挿入されるスロット部分の側面までを直線で結んだ範囲内でスロット幅を拡大して空隙を形成したことを特徴とする請求項3記載の回転電機の固定子。
- 前記下コイルが挿入されるスロット部分を前記固定子鉄心の周方向に沿って少なくとも一方に、合計が2πL2/NもしくはWのいずれか短い方の範囲で拡大する点と、前記下コイル上端部のスロット幅を2πL1/NもしくはWのいずれか短い方の範囲内で拡大した位置を結んだ直線までの範囲内で、スロット幅を前記固定子鉄心の周方向両側に階段形状に拡大したスロットを有し、且つ前記下コイルを径方向にスロット形状に沿って分割し、且つ幅方向に複数個に分割したことを特徴とする請求項3記載の回転電機の固定子。
- 円筒状を成し、内周面に固定子スロットを周方向に沿って複数個並べて放射状に形成した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の固定子スロット内に二層巻きにして挿入された上コイルと下コイルとからなる固定子コイルと、前記固定子コイルを前記固定子スロット内に固定するコイル固定具とからなる回転電機の固定子において、前記固定子スロットの数をN、前記コイル固定具を前記固定子スロット内に挿入するために必要な空隙寸法をW、前記固定子鉄心の内周面から前記下コイル上端部までの距離をL1、前記固定子鉄心の内周面から前記固定子スロットの底までの距離をL2とした場合、前記下コイルが挿入されるスロット部分に、幅方向に2πL3/Nの範囲内で前記固定子鉄心の周方向に沿って一方の方向に、径方向には前記下コイルが挿入されるスロット部分の範囲内となるような長方形状に拡大したスロット拡大部を形成し、スロット底部のスロット幅を他方の側に、前記スロット拡大部の幅との合計が2πL2/Nとなる範囲内で拡大し、その拡大点と前記下コイルが挿入されるスロット側面の適当な位置までを直線で結んだ範囲までスロット幅を拡大して空隙を形成したことを特徴とする回転電機の固定子(ただしL3:固定子鉄心の内周面から拡大部の鉄心内径側の面までの距離。)。
- 円筒状を成し、内周面に固定子スロットを周方向に沿って複数個並べて放射状に形成した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の前記固定子スロット内に二層巻きにして挿入された上コイルと下コイルとからなる固定子コイルと、前記固定子コイルを前記固定子スロット内に固定するコイル固定具とからなる回転電機の固定子において、前記固定子スロットの数をN、前記コイル固定具を前記固定子スロット内に挿入するために必要な空隙寸法をW、前記固定子鉄心の内周面から前記下コイル上端部までの距離をL1、前記固定子鉄心の内周面から前記固定子スロットの底までの距離をL2とした場合、固定子スロットを固定子鉄心の周方向に沿って一方もしくは両側に、合計が2πL2/Nとなる範囲でスロット底部のスロット幅を拡大する点と、スロット開口部を結ぶ直線までの範囲内で、固定子スロットを凹凸形状に拡大したことを特徴とする回転電機の固定子。
- 円筒状を成し、内周面に固定子スロットを周方向に沿って複数個並べて放射状に形成した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の前記固定子スロット内に二層巻きにして挿入された上コイルと下コイルとからなる固定子コイルと、前記固定子コイルを前記固定子スロット内に固定するコイル固定具とからなる回転電機の固定子において、前記固定子スロットの数をN、前記コイル固定具を前記固定子スロット内に挿入するために必要な空隙寸法をW、前記固定子鉄心の内周面から前記下コイル上端部までの距離をL1、前記固定子鉄心の内周面から前記固定子スロットの底までの距離をL2とした場合、スロット底部のスロット幅を前記固定子鉄心の周方向に沿って両側に合計が2πL2/Nとなる範囲内で拡大し、その拡大点と前記下コイルが挿入されるスロット側面の適当な位置までを直線で結んだ範囲までスロット幅を拡大して空隙を形成したことを特徴とする回転電機の固定子。
- 円筒状を成し、内周面に固定子スロットを周方向に沿って複数個並べて放射状に形成した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の前記固定子スロット内に二層巻きにして挿入された上コイルと下コイルとからなる固定子コイルと、前記固定子コイルを前記固定子スロット内に固定するコイル固定具とからなる回転電機の固定子において、前記固定子スロットの数をN、前記コイル固定具を固定子スロット内に挿入するために必要な空隙寸法をW、前記固定子鉄心の内周面から前記下コイル上端部までの距離をL1、前記固定子鉄心の内周面から前記固定子スロットの底までの距離をL2とした場合、前記下コイルが挿入されるスロット部分に、幅方向に2πL3/Nの範囲内で固定子鉄心の周方向に沿って両側に、径方向には前記下コイルが挿入されるスロット部分の範囲内となるような長方形状に拡大したスロット拡大部を形成したことを特徴とする回転電機の固定子(ただしL3:固定子鉄心の内周面から拡大部の鉄心内径側の面までの距離。)。
- 請求項1乃至10に記載の回転電機の固定子を用いた回転電機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004279783A JP2006094673A (ja) | 2004-09-27 | 2004-09-27 | 回転電機および回転電機の固定子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004279783A JP2006094673A (ja) | 2004-09-27 | 2004-09-27 | 回転電機および回転電機の固定子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006094673A true JP2006094673A (ja) | 2006-04-06 |
Family
ID=36235088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004279783A Pending JP2006094673A (ja) | 2004-09-27 | 2004-09-27 | 回転電機および回転電機の固定子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006094673A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2008044703A1 (ja) * | 2006-10-12 | 2010-02-12 | 三菱電機株式会社 | 回転電機の固定子およびその固定子の製造方法並びに回転電機の製造方法 |
KR101019665B1 (ko) * | 2008-12-17 | 2011-03-07 | 주식회사 효성 | 각선용 고정자 코어 |
JP2013132176A (ja) * | 2011-12-22 | 2013-07-04 | Nissan Motor Co Ltd | 固定子及び回転電機 |
GB2595933A (en) * | 2020-06-12 | 2021-12-15 | Jaguar Land Rover Ltd | Electric machine apparatus |
-
2004
- 2004-09-27 JP JP2004279783A patent/JP2006094673A/ja active Pending
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