以下に、本発明に係る画像処理システムをその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下に示す実施形態に係る画像処理システムは、本発明の画像処理装置と所定の外部装置としてのサーバ装置とを例えばLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続することにより構成される。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る画像処理装置の内部構成例を示すブロック図である。本実施形態1の画像処理装置1は、制御部10、ROM11、RAM12、NCU(Network Control Unit)13、モデム14、画像読取部15、画像メモリ16、画像形成部17、操作パネル18、ハードディスク装置(以下、HDDという)19、通信部20、管理部21、データ無効化部22等を備えており、それぞれはバス1aを介して相互に接続されている。
制御部10は、タイマ(図示せず)を有するCPU(Central Processing Unit )又はMPU(Micro Processor Unit)等により構成されており、バス1aを介して接続される上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROM11に予め格納されている制御プログラムを適宜RAM12に読み出して実行する。なお、ROM11には、画像処理装置1を本発明に係る画像処理装置として動作させるために必要な種々の制御プログラム、認証処理プログラム等が予め格納されている。RAM12はSRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部10による制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
モデム14は、ファクシミリ通信が可能なファックスモデムで構成されており、NCU13と直接的にも接続されている。NCU13は、公衆電話回線網101と接続されており、必要に応じてモデム14を公衆電話回線網101と接続し、公衆電話回線網101を介して外部のファクシミリ装置4との間でのファクシミリ通信処理を行なう処理手段として動作する。
通信部20は、通信ネットワーク100に接続するためのインタフェースであり、通信ネットワーク100に接続されたサーバ装置3、コンピュータ2,2からの印刷ジョブを受信すると共に、これらのサーバ装置3、コンピュータ2,2へ通知すべき情報を送信する。通信部20は、例えば、画像読取部15が原稿から読み取った画像データを外部のコンピュータ2,2へ送信処理する処理手段として動作する。
操作パネル18は、ユーザの操作指示を受け付ける操作部と、ユーザに対して報知すべき情報を表示する表示部とを有している。操作部は、ユーザからの操作指示を受け付けるための各種の操作ボタンを備えており、プリント枚数、コピー濃度等の各機能における設定値、各機能の切り替え操作、各処理の実行指示等のユーザからの指示を受け付ける指示受付手段である。表示部は、液晶ディスプレイを備えており、画像処理装置1の動作状況、操作部を通じて入力された各種の設定値、ユーザに報知すべき情報等を表示する。
画像読取部15は、読み取り対象の原稿に光を照射する光源、CCD(Charge Coupled Device)等を利用したイメージセンサ、A/D変換器等を備えたスキャナ装置であり、所定の読取り位置にセットされた原稿の画像を当該イメージセンサに結像させてアナログ電気信号に変換し、得られたアナログ電気信号をA/D変換器によりA/D変換する。そして、画像読取部15は、A/D変換して得られたデジタル信号に対して、原稿読取時の光源の配光特性、イメージセンサの感度ムラ等の補正を施すことによりデジタル形式の画像データを生成して画像メモリ16に記憶させる。
画像メモリ16は、例えばDRAMにより構成されており、画像読取部15が原稿の画像を読み取って生成した画像データ、公衆電話回線網101を介して外部のファクシミリ装置4から受信した画像データ、通信ネットワーク100を介して外部のコンピュータ2,2から受信した印刷ジョブを展開して取得した画像データ等を一時的に記憶する。画像メモリ16に記憶された画像データは、ページ単位でHDD19へ転送され、HDD19に蓄積される。
画像形成部17は、例えば、感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙、OHPフィルム等のシート上に転写する転写器等(いずれも不図示)を備えており、電子写真方式にてユーザが所望する画像を用紙上に形成する処理を行なう処理手段として動作する。なお、画像形成部17はレーザ書込装置を用いた電子写真方式により画像形成を行なう構成に限られず、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式により画像形成を行なわせる構成であっても良いことは勿論である。
管理部21は、例えばフラッシュメモリにより構成されており、画像処理装置1を構成するハードウェアに関する情報、及び装置内部の状態に関する情報を記憶しており、電源投入時に各ハードウェアと通信を行なってこれらの情報を取得すると共に、動作中のハードウェアの状態を定期的に監視して管理している情報の内容を随時更新するように構成されている。
また、管理部21は、画像処理装置1の動作中に適宜行なわれる認証処理に用いる認証情報を記憶している。認証情報として例えば複数桁の数字からなる認証番号が予め管理部21に記憶されており、制御部10は操作パネル18から認証データが入力された場合に、ROM11に記憶してある認証処理プログラムをRAM12に読み出して実行することによって、入力された認証データと、管理部21に予め記憶してある管理情報とが一致するか否かを判断し、一致した場合に正当なユーザ又は管理者であると認証する認証手段として動作する。
HDD19は、大容量の記憶装置であり、画像読取部15が原稿から読み取った画像データ、外部のファクシミリ装置4から受信した画像データ、外部のコンピュータ2,2から受信した印刷ジョブを展開して取得した画像データ等を記憶するデータ記憶手段である。HDD19に記憶された画像データは、出力の失敗又は出力部数の不足等のために一度出力した画像をもう一度出力する必要がある場合、又はユーザからの指示、コンピュータ2,2から送信されて通信部20で受信した指示に従って、必要に応じて読み出して再利用することができる。
このように、HDD19に画像データを保存しておくことにより、画像処理装置1は画像データのファイルサーバ装置として機能する。なお、HDD19に画像データを蓄積した場合には、画像データの再利用による利便性を向上させることができるが、HDD19に画像データを蓄積しない場合には、画像処理装置1からの画像データの漏洩を防止できるためセキュリティの向上を図ることができる。
従って、画像処理装置1のユーザ及び管理者は、画像処理装置1における利便性の向上とセキュリティの向上との優先順位に応じて、HDD19に画像データを蓄積するか否かを設定すればよい。HDD19に記憶された画像データは、その利用目的に応じた転送先へ転送される。具体的には、画像データは用紙上に画像形成される場合には画像形成部17へ転送され、画像データとしてコンピュータ2,2へ送信される場合には通信部20へ転送され、ファクシミリ送信される場合にはモデム14へ転送される。
データ無効化部(消去手段)22は、制御部10からの指示に従って、HDD19が記憶している画像データを消去、又は所定のデータを上書き等することにより、HDD19が記憶している画像データを利用できないように無効化するデータ消去機能を実行する。尚、HDD19のデータを消去しても、HDD19に残留している磁気のためにデータを復元できる場合があるため、ランダムなデータの上書きを複数回行なうことにより、データの復元をより不可能とするように設定することも可能である。
上述した構成により、画像処理装置1は、図示しない所定の原稿載置台にユーザが載置した原稿を画像読取部15が読み取り、得られた画像データを、モデム14及びNCU13を介して公衆電話回線網101に接続されているファクシミリ装置4へ送信し、また、外部のファクシミリ装置4がファクシミリ通信にて送信した画像データを公衆電話回線網101を介して受信するファクシミリ装置として機能する。
画像処理装置1は、画像読取部15が原稿を読み取りつつ、得られた画像データに基づく画像を画像形成部17で記録用紙に複写する複写装置としても機能する。また、画像処理装置1は、画像読取部15が原稿から読み取った画像データを通信部20から通信ネットワーク100に接続されたコンピュータ2,2へ送信するネットワークスキャナとしても機能する。更には、画像処理装置1は、通信部20が通信ネットワーク100を介して外部から受信したデータに基づく画像を画像形成部17で記録用紙に記録するネットワークプリンタとしても機能する。
ここで、本実施形態1の画像処理装置1は、ユーザが操作パネル18を操作することにより上述したような各種の画像処理の実行指示を受け付けた場合、受け付けた実行指示が示す画像処理に係る情報と、前記画像処理の処理対象である画像データとを履歴データ(履歴情報)として通信ネットワーク100に接続されたサーバ装置3へ通信部(出力手段)20から出力し、サーバ装置3に記憶させる。
具体的には、例えば、操作パネル18を介してユーザから複写処理の実行指示を受け付けた場合、制御部10は、所定の原稿載置台に載置された原稿を画像読取部15で読み取り、HDD19に一旦記憶させる。そして、制御部10は、操作パネル18から入力された実行指示が示す複写処理に係る処理情報と、HDD19に記憶させた画像データとを1つの履歴データとしてサーバ装置3へ送信する。
また、例えば、操作パネル18を介してユーザからファクシミリ送信処理の実行指示を受け付けた場合、制御部10は、所定の原稿載置台に載置された原稿を画像読取部15で読み取り、HDD19に一旦記憶させる。そして、制御部10は、操作パネル18から入力された実行指示が示すファクシミリ送信処理に係る処理情報と、HDD19に記憶させた画像データとを履歴データとしてサーバ装置3へ送信する。
上述の処理情報には、例えば、画像処理の実行日時、画像データを取得した場合の取得処理に係る情報、取得した画像データを用紙に画像出力した場合の画像処理に係る情報、取得した画像データを外部へ送信した場合の送信処理に係る情報等が含まれる。より具体的には、取得処理に係る情報としては、画像データの取得経路、画像データを送信したファクシミリ装置4のファクシミリ番号又はコンピュータ2,2のIPアドレス等がある。画像処理に係る情報としては、用紙の枚数、部数、濃度、縮小率又は拡大率等があり、送信処理に係る情報としては、画像データの送信先のファクシミリ装置4のファクシミリ番号又はコンピュータ2,2のIPアドレス等がある。
また、画像処理装置1をユーザが使用する際にユーザ認証を義務付けてある場合には、認証を行なった場合に取得できるユーザ情報も処理情報に含ませてサーバ装置3へ送信する。この場合には、サーバ装置3で管理される各履歴データが示す画像処理を行なったユーザを把握することができるため、画像データが不正使用された場合に、犯人を確実に追跡することができる。
図2は実施形態1に係るサーバ装置3の内部構成例を示すブロック図である。サーバ装置3は、制御部30、ROM31、RAM32、HDD33、キーボード及びマウス等を備えた操作部34、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等からなる表示部35、管理部36、通信ネットワーク100に接続するための通信部37、データ無効化部38等を備えており、それぞれはバス3aを介して相互に接続されている。制御部30は、タイマ(図示せず)を有するCPU又はMPU等により構成されており、バス3aを介して接続される上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROM31に予め格納されている制御プログラムを適宜RAM32に読み出して実行する。
なお、ROM31には、サーバ装置3を本発明に係る画像処理システムを構成する外部装置として動作させるために必要な種々の制御プログラム、認証処理プログラム等が予め格納されている。RAM32はSRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部30による制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
管理部36は、例えばフラッシュメモリにより構成されており、サーバ装置3を構成するハードウェアに関する情報、及び装置内部の状態に関する情報を記憶しており、電源投入時に各ハードウェアと通信を行なってこれらの情報を取得するとともに、動作中のハードウェアの状態を定期的に監視して管理している情報の内容を随時更新するように構成されている。
また、管理部36は、サーバ装置3の動作中に適宜行なわれる認証処理に用いる認証情報を記憶している。認証情報として例えば複数桁の数字からなる認証番号が予め管理部36に記憶されており、制御部30は操作部34から認証データが入力された場合に、ROM31に記憶してある認証処理プログラムをRAM32に読み出して実行することによって、入力された認証データと、管理部36に予め記憶してある管理情報とが一致するか否かを判断し、一致した場合に正当なユーザ又は管理者であると認証する。
HDD33は、大容量の記憶装置であり、上述したように画像処理装置1が出力した履歴データを記憶する外部履歴記憶手段である。HDD33には、各履歴データが、各画像データのファイル形式毎、複写、ファクシミリ送信、プリンタ出力等の画像処理毎、又はユーザが作成したフォルダ毎等に整理して記憶される。また、サーバ装置3が通常動作している場合、制御部30は、HDD33へのアクセスを制限している。
具体的には、HDD33に記憶してある履歴データの読出し又は消去等が指示された場合、制御部30(アクセス認証手段)は認証を行ない、例えば、サーバ装置3又は画像処理装置1の正当な管理者であると認証した場合にのみHDD33からの履歴データの読出し又は消去が許可される。なお、HDD33に記憶してある履歴データの読出しが許可された場合、即ち、正当な管理者によってサーバ装置3が操作された場合、サーバ装置3の表示部35、又は通信ネットワーク100を介して接続されたコンピュータ2,2の表示部において履歴データを表示させて確認することができる。
データ無効化部38は、制御部30からの指示に従って、HDD33が記憶している画像データを消去、又は所定のデータを上書き等することにより、HDD33が記憶している画像データを利用できないように無効化するデータ消去機能を実行する。
本実施形態1の画像処理システムにおいて、画像処理装置1が操作パネル18を介して画像処理の実行指示を受け付けることにより、上述したように履歴データをサーバ装置3へ送信した場合、サーバ装置3の制御部30は、画像処理装置1から送信される履歴データを取得して順次HDD33に記憶させる。制御部30は、画像処理装置1から取得する履歴データのHDD33への記憶が完了した場合、履歴データの取得が完了したことを示す取得完了信号を通信部37から画像処理装置1へ送信する。
サーバ装置3から送信された取得完了信号を通信部(取得手段)20で取得した場合、画像処理装置1の制御部10は、操作パネル18を介して受け付けていた実行指示に従って、HDD19に記憶してある画像データに対応する画像処理を開始する。また、制御部10は、受け付けた実行指示に従った画像処理が完了した場合、処理対象である画像データをデータ無効化部22によってHDD19から消去する。なお、HDD19に記憶してある画像データは、データ無効化部22によって消去されるほか所定のデータを上書きすることによって無効化されるようにしてもよい。
上述したように、画像処理装置1は、HDD19に一旦記憶させた画像データに画像処理を行なう場合に、処理対象の画像データそのものと画像処理に係る処理情報とを履歴データとしてサーバ装置3に記憶させる履歴データの管理処理を実行する。また、本実施形態では、この履歴データのサーバ装置3での管理処理の開始及び終了と、サーバ装置3に記憶してある履歴データの確認及び消去とを、画像処理装置1及びサーバ装置3の管理者による認証を行なって正当であるとされた場合にのみ可能としてある。
なお、履歴データのサーバ装置3での管理処理の開始及び終了、履歴データの確認及び消去は、画像処理装置1の操作パネル18の操作、及びサーバ装置3の操作部34の操作によって行なうことができる。以下の説明では、画像処理装置1の操作パネル18を操作することによって履歴データの管理処理の開始及び終了を行ない、サーバ装置3の操作部34を操作することによって履歴データの確認及び消去を行なう場合を例とする。
以下に、画像処理装置1の管理者が、履歴データの管理処理の開始又は終了を指示する操作を行なう際の制御部10による処理について説明する。管理者が、管理者にのみ許可されている操作を行なうために、操作パネル18の所定の操作ボタンを操作した場合、画像処理装置1の制御部10は、図3(a)に示すような管理者認証画面を操作パネル18に表示させる。なお、操作パネル18に表示される各種の画面情報はROM11に予め記憶してある。
管理者は、図3(a)に示す管理者認証画面に従って、管理者に割り当てられている認証データを操作パネル18のテンキーによって入力して「認証」ボタンを操作する。制御部10は、「認証」ボタンが操作された場合、管理部21に記憶してある管理者認証用の認証情報と、入力された認証データとが一致するか否かを判断し、一致しない場合、管理者であると認証されなかった旨を操作パネル18に表示させてユーザに通知する。
一方、制御部10は、管理者であると認証した場合、図3(b)に示すような管理者操作画面を操作パネル18に表示させる。管理者操作画面は、管理者にのみ許可されている「履歴データの管理処理を開始」,「履歴データの管理処理を終了」の操作を選択するための画面であり、管理者はいずれかを選択する。
ここで、管理者が「履歴データの管理処理を開始」を選択した場合、制御部10は、図3(c)に示すような管理条件設定画面を操作パネル18に表示させる。管理条件設定画面は、各種処理の実行指示を受け付けた場合に対応する履歴データをサーバ装置3へ送信するか否かを設定するための画面であり、管理者は、「コピー」,「Fax」,「プリンタ」のうちから、履歴データを管理しておきたい処理の種類を選択して「設定」ボタンを操作する。なお、この管理条件設定画面では、「コピー」,「Fax」,「プリンタ」のうちのひとつだけでなく、2つ又は全ての処理を選択することができ、各処理毎に履歴データの管理を行なうか否かを選択することができる。
図3(c)に示す管理条件設定画面において、管理者が「設定」ボタンを操作した場合、制御部(設定手段)10は、選択された各処理の種類を履歴データの管理処理の対象に設定する。これにより、制御部10は、設定した種類の処理の実行指示を受け付けた場合、処理対象として原稿から読み取った画像データ、又は処理対象として外部から受信した画像データと、受け付けた実行指示が示す各処理に係る処理情報とを履歴データとしてサーバ装置3へ送信する。
具体的には、ユーザから複写処理(コピー)又はファクシミリ送信処理の実行指示を受け付けた場合、画像処理装置1の制御部10は、画像読取部15によって原稿から読み取られた画像データをHDD19に一旦記憶させた後、複写処理又はファクシミリ送信処理における各種の処理条件及び制御部10のタイマが示す日時情報等と共に履歴データとしてサーバ装置3へ送信する。履歴データをサーバ装置3へ送信した画像処理装置1において、制御部10は、前記履歴データの取得完了を示す取得完了信号がサーバ装置3から返信されるまで待機しており、通信部20が取得完了信号を取得した場合、受け付けた実行指示に従ってHDD19に記憶させた画像データを画像形成部17又はモデム14へ転送し、用紙への画像形成処理又はファクシミリ送信処理を実行させる。更に、制御部10は、画像形成処理又はファクシミリ送信処理が完了した場合、データ無効化部22によって、処理対象である画像データをHDD19から消去する。
また、画像処理装置1がファクシミリ受信処理又は外部のコンピュータ2,2から受信したデータに基づく画像形成処理を行なう場合、制御部10は、NCU13及びモデム14、又は通信部20を介して受信した画像データをHDD19に一旦記憶させた後、ファクシミリ受信処理又はコンピュータ2,2からのデータ受信処理における各種の処理条件及び制御部10のタイマが示す日時情報等と共に履歴データとしてサーバ装置3へ送信する。履歴データをサーバ装置3へ送信した画像処理装置1において、制御部10は、前記履歴データの取得完了を示す取得完了信号がサーバ装置3から返信されるまで待機しており、通信部20が前記信号を取得した場合、受け付けた実行指示に従ってHDD19に記憶させた画像データを画像形成部17へ転送し、用紙への画像形成処理を実行させる。更に、制御部10は、画像形成処理が完了した場合、データ無効化部22によって、処理対象である画像データをHDD19から消去する。
上述したように、画像処理装置1が各種の画像処理を行なう場合に、処理対象の画像データをサーバ装置3に記憶させることにより、画像処理装置1が行なう画像処理における履歴データをサーバ装置3で管理することができる。また、履歴データとして、処理対象の画像データと共に各処理に係る処理情報も蓄積しておくことにより、どの画像データが、いつ、どのような処理に利用されたかを把握することができる。更に、画像処理を行なう前に履歴データをサーバ装置3へ送信することにより、画像処理を実行するために画像処理装置1に取り込まれた画像データを確実に履歴データとして管理することができる。
一方、図3(b)に示す管理者操作画面において、管理者が「履歴データの管理処理を終了」を選択した場合、制御部10は、上述したように画像処理装置1が各種処理の実行指示を受け付けた場合に履歴データをサーバ装置3で記憶させる処理を終了させる。なお、履歴データの管理処理を終了する場合にも、図3(a)に示すように、制御部(停止認証手段)10が管理者認証を行ない、正当な管理者であると認証された場合にのみ履歴データの管理処理を終了させることができるため、正当でない者による履歴データの管理処理の終了によってセキュリティの低下を不用意に招くことはない。
以下に、サーバ装置3の管理者が、HDD33に記憶された履歴データを確認又は消去する場合にサーバ装置3の制御部30が行なう処理について説明する。管理者が、履歴データの確認又は消去を行なうために、操作部34を適切に操作した場合、制御部30は、図4(a)に示すような管理者認証画面を表示部35に表示させる。なお、表示部35に表示される各種の画面情報はROM31に予め記憶してある。
管理者は、図4(a)に示す管理者認証画面に従って、管理者に割り当てられている認証データを操作部34のテンキーによって入力し、例えばマウスを用いて「認証」ボタンを操作する。制御部30は、「認証」ボタンが操作された場合、管理部36に記憶してある管理者認証用の認証情報と、入力された認証データとが一致するか否かを判断し、一致しない場合、管理者であると認証されなかった旨を表示部35に表示させてユーザに通知する。
一方、制御部30は、管理者であると認証した場合、図4(b)に示すような管理者操作画面を表示部35に表示させる。管理者操作画面は、管理者にのみ許可されている「履歴データを確認」,「履歴データを消去」の処理を選択するための画面であり、管理者はいずれかを選択する。
ここで、管理者が「履歴データを確認」を選択した場合、制御部30は、図5(a)に示すような履歴データ表示画面を表示部35に表示させる。本実施形態1では、HDD33に記憶してある履歴データから所望の履歴データを選択する場合に、各履歴データが示す各処理の処理情報を用いるようにしてあり、図5(a)に示す履歴データ表示画面は、各処理情報を日時順で表示させるか、又は処理の種類別に日時順で表示させるかを選択するための画面である。
この履歴データ表示画面において、管理者が「日時順」を選択した場合、制御部30は、HDD33に記憶してある全ての履歴データのそれぞれに対応する処理情報を日時順に表示部35に一覧表示させる。また、管理者が「処理種類別」を選択した場合、制御部30は、図5(b)に示す履歴データ表示画面を表示部35に表示させ、管理者に、処理情報を表示させたい処理の種類の選択を促す。
管理者が処理情報を表示させたい処理の種類を選択した場合、制御部30は、選択された種類の処理に対応する処理情報をHDD33から読み出して日時順に表示部35に表示させる。例えば管理者が「Fax」を選択した場合、制御部30は、図5(c)に示すように、ファクシミリ送信処理及びファクシミリ受信処理における履歴データを示す処理情報を表示部35に表示させる。
管理者は、この処理情報一覧から、表示部35に表示させて確認したい履歴データを示す処理情報を特定し、特定した処理情報を選択してOKボタンを操作する。管理者がOKボタンを操作した場合、制御部30は、選択された処理情報に対応する履歴データをHDD33から読み出して表示部35に表示させる。このように、HDD33に記憶してある履歴データを表示させる場合においても、図4(a)に示す管理者認証画面に従って管理者認証を行なうことにより、正当でない者による履歴データの読出しを禁止することができる。
図5(d)に示す履歴データ表示画面には、読み出した履歴データ中の処理情報及び画像データと、表示された履歴データを用紙に画像出力するための「プリント」ボタンとが表示される。管理者は、表示された履歴データを画像出力したい場合には「プリント」ボタンを操作し、「プリント」ボタンが操作された場合、制御部30は、HDD33から読み出された履歴データを印刷ジョブとして通信部37から画像処理装置1へ出力する。
一方、図4(b)に示す管理者操作画面において、管理者が「履歴データを消去」を選択した場合、制御部30は、図6(a)に示すような履歴データ消去画面を表示部35に表示させる。履歴データ消去画面は、HDD33に記憶してある履歴データについて「全履歴データを消去」,「処理種類毎に消去」,「日時毎に消去」の消去方法を選択するための画面である。
ここで、管理者が「全履歴データを消去」を選択した場合、制御部30は、図6(b)に示すような確認画面を表示部35に表示させ、更に管理者により「消去」ボタンが操作された場合、HDD33に記憶してある全履歴データをデータ無効化部38によって消去する。なお、HDD33に記憶してある履歴データは、データ無効化部38によって消去されるほか、所定のデータを上書きすることによって無効化されるようにしてもよい。
また、管理者が「処理種類毎に消去」を選択した場合、制御部30は、図6(c)に示すように、履歴データをHDD33から消去する処理の種類を選択するための画面を表示部35に表示させる。図6(c)に示す履歴データ消去画面において、管理者が履歴データを消去させたい処理の種類を選択して「消去」ボタンを操作した場合、制御部30は、HDD33に記憶してある履歴データ中の、選択された処理に対応する履歴データをデータ無効化部38によって消去する。
更に、管理者が「日時毎に消去」を選択した場合、制御部30は、図6(d)に示すように、HDD33から消去する履歴データにおける日時を入力するための画面を表示部35に表示させる。図6(d)に示す履歴データ消去画面において、管理者が所望の日時をテンキーによって入力して「消去」ボタンを操作した場合、制御部30は、HDD33に記憶してある履歴データ中の、入力された日時の範囲に対応する履歴データをデータ無効化部38によって消去する。
このように、HDD33に記憶してある履歴データを消去させる場合においても、図4(a)に示す管理者認証画面に従って管理者認証を行なって正当であるとされた管理者によってのみ履歴データの消去を可能とすることにより、正当でない者による履歴データの消去を禁止し、画像処理装置1が行なった画像処理の履歴データをサーバ装置3において確実に管理することができると共に、不要となった履歴データを管理者により消去できるため、HDD33の有効活用を図ることができる。
更に、HDD33に記憶してある履歴データ中の処理情報にユーザ情報も含まれる場合には、上述したように、履歴データを処理の種類毎又は日時毎に消去するだけでなく、ユーザ毎に消去することも可能となり、例えば転勤等で画像処理装置1を使用しなくなったユーザが行なった処理に関する履歴データを選択して消去することができる。
以下に、上述したように管理者により履歴データの管理処理の開始が設定された場合の画像処理装置1による動作について説明する。図7は実施形態1に係る画像処理装置1による履歴データの管理処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理はROM11に格納されているプログラムに従って制御部10が実行する。
通常動作中の画像処理装置1において、ユーザによる操作パネル18の操作によって複写処理又はファクシミリ送信処理の実行指示を受け付けた場合、NCU13及びモデム14がファクシミリデータを受信した場合、又は通信部20が印刷ジョブを受信した場合、制御部10は、各種の画像処理の実行指示と共に、処理対象の画像データを受け付ける(S1)。制御部10は、受け付けた画像データ、具体的には画像読取部15によって原稿から読み取った画像データ、モデム14を介して受信したファクシミリデータを展開して得られた画像データ、又は通信部20を介して受信した印刷ジョブを展開して得られた画像データを一旦HDD19に記憶させる(S2)。
ここで、制御部10は、ステップS1で実行指示を受け付けた画像処理に対して履歴データの管理処理を行なうように設定されているか否かに基づいて、ステップS2でHDD19に記憶させた画像データに係る履歴データを管理する必要があるか否かを判断する(S3)。制御部10は、履歴データの管理が必要であると判断した場合(S3:YES)、HDD33に記憶させた画像データと、ステップS1で実行指示を受け付けた画像処理に係る処理情報とを履歴データとして通信部20からサーバ装置3へ送信する(S4)。なお、制御部10は、履歴データの管理が必要でないと判断した場合(S3:NO)、ステップS6へ処理を移行する。
制御部10は、履歴データを送信したサーバ装置3から、履歴データの取得が完了したことを示す取得完了信号を受信したか否かを判断しており(S5)、取得完了信号を受信していないと判断した場合(S5:NO)、取得完了信号を受信するまで履歴データのサーバ装置3への送信を続行し(S4)、取得完了信号を受信したと判断した場合(S5:YES)、ステップS2でHDD19に記憶させた画像データに、ステップS1で受け付けた実行指示に従った画像処理を実行する(S6)。
具体的には、用紙への画像出力処理が指示されている場合には、HDD19に記憶してある画像データを画像形成部17へ転送し、ファクシミリ送信処理が指示されている場合には、HDD19に記憶してある画像データをモデム14へ転送し、ネットワーク送信処理が指示されている場合には、HDD19に記憶してある画像データを通信部20へ転送する。
制御部10は、実行した画像処理が完了したか否かを判断しており(S7)、完了していないと判断した場合(S7:NO)、完了するまで画像処理を続行し(S6)、完了したと判断した場合(S7:YES)、ユーザ又は管理者からの設定に基づいて、実行した画像処理の処理対象である画像データをHDD19で保存しておくか否かを判断する(S8)。制御部10は、HDD19で保存すると判断した場合(S8:YES)、そのまま処理を終了し、HDD19で保存しないと判断した場合(S8:NO)、ステップS2でHDD19に記憶させた画像データをデータ無効化部22によって消去し(S9)、処理を終了する。
このように、画像処理装置1が複写処理、ファクシミリ通信処理及びネットワーク通信処理の実行指示を受け付けた場合に、処理対象である画像データを、各処理に係る処理情報と共に履歴データとしてサーバ装置3へ送信し、サーバ装置3のHDD33に記憶させておくことにより、各画像データについて、いつ、どのような処理に利用されたかを把握することができる。また、画像処理装置1において、各ユーザが使用する際にユーザ認証を義務付けた構成とした場合には、処理された各画像データについて、処理情報と共にユーザ情報も管理することができるため、画像データの不正使用を防止することができる。また、不正使用された画像データについては、いつ、誰が、どのような処理に利用したかを追跡することができる。
(実施形態2)
図8は実施形態2に係る画像処理装置の内部構成例を示すブロック図である。本実施形態2の画像処理装置1は、上述した実施形態1の画像処理装置1と同様の構成を有しており、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態2のサーバ装置3は、上述の実施形態1のサーバ装置3と同一であるため説明を省略する。
本実施形態2の画像処理装置1において、HDD19は、画像読取部15が原稿から読み取った画像データ、外部のファクシミリ装置4から受信した画像データ、外部のコンピュータ2,2から受信した印刷ジョブを展開して取得した画像データ等を再利用するために蓄積しておく画像蓄積部(データ記憶手段)19aと、ユーザが操作パネル18を操作することにより各種の画像処理の実行指示を受け付けた場合、受け付けた実行指示が示す画像処理に係る情報と、前記画像処理の処理対象である画像データとを履歴データとして記憶する処理管理部(履歴記憶手段)19bとを有する。
画像蓄積部19aに記憶される画像データは、出力の失敗又は出力部数の不足等のために一度出力した画像をもう一度出力する必要がある場合、又はユーザからの指示、コンピュータ2,2から送信されて通信部20で受信した指示に従って、必要に応じて読み出して再利用することができる。これにより、画像処理装置1は、データのファイルサーバ装置として機能する。なお、画像蓄積部19aに画像データを蓄積した場合には、データの再利用による利便性を向上させることができるが、画像蓄積部19aに画像データを蓄積しない場合には、画像蓄積部19aからの画像データの漏洩を防止できるため、画像処理装置1のセキュリティを向上させることができる。
従って、画像処理装置1のユーザ及び管理者は、画像処理装置1における利便性の向上とセキュリティの向上との優先順位に応じて、画像蓄積部19aに画像データを蓄積するか否かを設定すればよい。画像蓄積部19aに記憶された画像データは、その利用目的に応じた転送先へ転送される。具体的には、画像データは用紙上に画像形成される場合には画像形成部17へ転送され、画像データとしてコンピュータ2,2へ送信される場合には通信部20へ転送され、ファクシミリ送信される場合にはモデム14へ転送される。
一方、処理管理部19bには、各履歴データが、各画像データのファイル形式毎、複写、ファクシミリ送信、プリンタ出力等の画像処理毎、又はユーザが作成したフォルダ毎等に整理して記憶される。また、画像処理装置1が通常動作している場合、制御部10は、処理管理部19bへのアクセスを制限しており、例えば画像処理装置1及びサーバ装置3の管理者による認証によって正当であると認証された場合にのみ処理管理部19bに記憶された履歴データの読出しが許可される。
本実施形態2の画像処理装置1は、ユーザが操作パネル18を操作することにより各種の画像処理の実行指示を受け付けた場合、受け付けた実行指示が示す画像処理に係る情報と、前記画像処理の処理対象として取得してHDD19の画像蓄積部19aに記憶させた画像データとを履歴データとして処理管理部19bに記憶させる。
具体的には、例えば、操作パネル18を介してユーザから複写処理又はファクシミリ送信処理の実行指示を受け付けた場合、制御部10は、所定の原稿載置台に載置された原稿を画像読取部15で読み取り、HDD19の画像蓄積部19aに一旦記憶させる。そして、制御部10は、操作パネル18から入力された実行指示が示す複写処理又はファクシミリ送信処理における処理情報と、画像蓄積部19aに記憶させた画像データとを履歴データとして処理管理部19bに記憶(複写)させる。また、制御部10は、受け付けた実行指示に従って画像蓄積部19aに記憶させた画像データを画像形成部17又はモデム14へ転送し、用紙への画像形成処理又はファクシミリ送信処理を実行させる。
また、画像処理装置1がファクシミリ受信処理又は外部のコンピュータ2,2から受信したデータに基づく画像形成処理を行なう場合、制御部10は、NCU13及びモデム14、又は通信部20を介して受信した画像データをHDD19の画像蓄積部19aに一旦記憶させる。そして、制御部10は、ファクシミリ受信処理又はコンピュータ2,2からのデータ受信処理における処理情報と、画像蓄積部19aに記憶させた画像データとを履歴データとして処理管理部19bに記憶させる。また、制御部10は、画像蓄積部19aに記憶してある画像データを画像形成部17へ転送し、用紙への画像形成処理を実行させる。
本実施形態2においても、上述の処理情報には、画像処理の実行日時が、画像データに基づく画像を用紙に出力した場合には、用紙の枚数、部数、濃度、縮小率又は拡大率等が、外部から受信したデータに基づく画像処理を行なった場合には、送信先のファクシミリ装置4のファクシミリ番号が、送信先のコンピュータ2,2のIPアドレス等が含まれる。また、画像処理装置1をユーザが使用する際にユーザ認証を義務付けてある場合には、認証を行なった場合に取得できるユーザ情報も処理情報に含ませて処理管理部19bに記憶させる。
上述したように、画像処理装置1が各種の画像処理を行なう場合に、処理対象の画像データをHDD19の画像蓄積部19aとは別の処理管理部19bに記憶させることにより、画像処理装置1における履歴データとして管理することができる。また、処理対象の画像データと共に、各処理に係る処理情報も履歴データとして蓄積しておくことにより、どの画像データが、いつ、どのような処理に利用されたかを把握することができる。
本実施形態2の画像処理システムにおいて、画像処理装置1は、上述したようにHDD19の処理管理部19bに蓄積した履歴データを定期的に通信部20からサーバ装置3へ送信する。定期的に画像処理装置1から履歴データを送信されるサーバ装置3の制御部30は、画像処理装置1から送信される履歴データを取得して順次HDD33に記憶させ、画像処理装置1から取得する履歴データのHDD33への記憶が完了した場合、履歴データの取得が完了したことを示す取得完了信号を通信部37から画像処理装置1へ送信する。
サーバ装置3から送信された取得完了信号を通信部20で取得した場合、画像処理装置1の制御部10は、HDD19の処理管理部19bに蓄積した履歴データをデータ無効化部22によって消去する。なお、処理管理部19bの履歴データは、データ無効化部22によって消去されるほか所定のデータを上書きすることによって無効化されるようにしてもよい。
上述したように、画像処理装置1は、HDD19の画像蓄積部19aに一旦記憶させた画像データに画像処理を行なう場合に、処理対象の画像データそのものと画像処理に係る処理情報とを履歴データとして処理管理部19bに記憶させる。また、処理管理部19bに溜まった履歴データを定期的にサーバ装置3へ送信してサーバ装置3のHDD33に記憶させることにより、各履歴データをより確実に管理することができる。
本実施形態2では、履歴データの処理管理部19bでの管理処理の開始及び終了、処理管理部19bに記憶してある履歴データの確認及び消去、更にサーバ装置3に記憶してある履歴データの確認及び消去を、画像処理装置1及びサーバ装置3の管理者による認証を行なって正当であるとされた場合にのみ可能としてある。
なお、履歴データの処理管理部19bでの管理処理の開始及び終了、処理管理部19bに記憶してある履歴データの確認及び消去、サーバ装置3に記憶してある履歴データの確認及び消去は、画像処理装置1の操作パネル18の操作、及びサーバ装置3の操作部34の操作によって行なうことができ、実施形態1で説明した処理と同様の処理により実現できるため説明を省略する。
以下に、上述したように管理者により履歴データの管理処理の開始が設定された場合の画像処理装置1による動作について説明する。図9は実施形態2に係る画像処理装置1による履歴データの処理管理部19bへの記憶処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理はROM11に格納されているプログラムに従って制御部10が実行する。
通常動作中の画像処理装置1において、ユーザによる操作パネル18の操作によって複写処理又はファクシミリ送信処理の実行指示を受け付けた場合、NCU13及びモデム14がファクシミリデータを受信した場合、又は通信部20が印刷ジョブを受信した場合、制御部10は、各種の画像処理の実行指示と共に、処理対象の画像データを受け付ける(S11)。制御部10は、受け付けた画像データ、具体的には画像読取部15によって原稿から読み取った画像データ、モデム14を介して受信したファクシミリデータを展開して得られた画像データ、又は通信部20を介して受信した印刷ジョブを展開して得られた画像データを一旦HDD19の画像蓄積部19aに記憶させる(S12)。
ここで、制御部10は、ステップS11で実行指示を受け付けた画像処理に対して履歴データの管理処理を行なうように設定されているか否かに基づいて、ステップS12で画像蓄積部19aに記憶させた画像データに係る履歴データを管理する必要があるか否かを判断する(S13)。制御部10は、履歴データの管理が必要であると判断した場合(S13:YES)、画像蓄積部19aに記憶させた画像データと、ステップS11で実行指示を受け付けた画像処理に係る処理情報とを履歴データとしてHDD19の処理管理部19bに記憶させる(S14)。なお、制御部10は、履歴データとしての管理が必要でないと判断した場合(S13:NO)、ステップS15へ処理を移行する。
制御部10は、履歴データを処理管理部19bに記憶させた場合、ステップS12で画像蓄積部19aに記憶させた画像データに、ステップS11で受け付けた実行指示に従った画像処理を実行する(S15)。具体的には、用紙への画像出力処理が指示されている場合には、画像蓄積部19aに記憶してある画像データを画像形成部17へ転送し、ファクシミリ送信処理が指示されている場合には、画像蓄積部19aに記憶してある画像データをモデム14へ転送し、ネットワーク送信処理が指示されている場合には、画像蓄積部19aに記憶してある画像データを通信部20へ転送する。
制御部10は、実行した画像処理が完了したか否かを判断しており(S16)、完了していないと判断した場合(S16:NO)、完了するまで画像処理を続行し(S15)、完了したと判断した場合(S16:YES)、ユーザ又は管理者からの設定に基づいて、実行した画像処理の処理対象である画像データをHDD19の画像蓄積部19aで保存しておくか否かを判断する(S17)。制御部10は、画像蓄積部19aで保存すると判断した場合(S17:YES)、そのまま処理を終了し、画像蓄積部19aで保存しないと判断した場合(S17:NO)、ステップS12でHDD19の画像蓄積部19aに記憶させた画像データをデータ無効化部22によって消去し(S18)、処理を終了する。
このように、画像処理装置1が複写処理、ファクシミリ通信処理及びネットワーク通信処理を行なった場合に、処理対象である画像データを、各処理に係る処理情報と共に履歴データとしてHDD19の処理管理部19bに記憶させておくことにより、各画像データについて、いつ、どのような処理に利用されたかを把握することができる。画像処理装置1において、各ユーザが使用する際にユーザ認証を義務付けた構成とした場合には、処理された各画像データについて、処理情報と共にユーザ情報も管理することができるため、画像データの不正使用を防止することができる。また、不正使用された画像データについては、いつ、誰が、どのような処理に利用したかを追跡することができる。
以下に、本実施形態2の画像処理装置1が、上述したように処理管理部19bに蓄積した履歴データを定期的にサーバ装置3へ転送する処理について説明する。図10は実施形態2に係る画像処理装置1による履歴データのサーバ装置3への転送処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理はROM11に格納されているプログラムに従って制御部10が実行する。
画像処理装置1の制御部10は、上述したような画像処理の実行、履歴データの処理管理部19bへの記憶等の各種の処理とは別に、自身のタイマが示す時刻に従って所定時間が経過したか否かを判断しており(S21)、所定時間が経過していないと判断した場合(S21:NO)、所定時間が経過するまで履歴データの転送処理以外の処理を行ないつつ待機する。
制御部10は、所定時間が経過したと判断した場合(S21:YES)、この時点までに蓄積した履歴データをHDD19の処理管理部19bから読み出し、サーバ装置3へ送信する(S22)。制御部10は、履歴データを送信したサーバ装置3から、履歴データの取得が完了したことを示す取得完了信号を受信したか否かを判断しており(S23)、取得完了信号を受信していないと判断した場合(S23:NO)、取得完了信号を受信するまで履歴データのサーバ装置3への送信を続行し(S22)、取得完了信号を受信したと判断した場合(S23:YES)、サーバ装置3へ送信した履歴データをデータ無効化部22によって処理管理部19bから消去し(S24)、処理を終了する。
このように、画像処理装置1が複写処理、ファクシミリ通信処理及びネットワーク通信処理を行なった場合に、逐次HDD19の処理管理部19bに蓄積させた履歴データを、定期的にサーバ装置3へ送信してサーバ装置3で管理することにより、画像処理装置1が行なった画像処理における履歴データを確実に管理することができると共に、画像処理装置1からサーバ装置3への履歴データの転送処理による通信ネットワーク100への負荷を軽減することができる。
上述した実施形態の画像処理装置1では、画像読取部15による原稿画像の読取処理、モデム14又は通信部20を介した画像データの受信処理によって画像データを取得する構成について説明したが、画像処理装置1がICカード又はメモリカード等のカード型記録媒体の読取機構を備える場合には、カード型記録媒体から読み取った画像データを取得する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、管理者認証及びユーザ認証を行なう際の認証データを操作パネル18の操作によって行なう構成について説明したが、例えばRFID(Radio Frequency Identification:電波方式認識)カードを非接触で読み取ることが可能な読取装置を備え、RFIDカードに記憶してある認証データを読取装置によって読み取る構成とすることもできる。
更に、上述した実施形態では、複写処理、ファクシミリ通信処理又はネットワーク通信処理の処理対象である画像データを、履歴データとしてHDD19の処理管理部19bに記憶させる構成について説明したが、原稿から読み取った画像データ、外部から受信した画像データに所定情報が含まれている場合に、対応する履歴データを処理管理部19bに記憶させる構成とすることもできる。この場合、例えば「社外秘」等のように重要書類であることを示すマークが付加された原稿から読み取った画像データのみを選択して処理管理部19bに記憶させることができる。
また、操作パネル18に全クリアボタン又はクリアボタンが設けられており、画像読取部15による原稿の読取処理中に全クリアボタン又はクリアボタンが操作された場合、又は外部からの画像データを受信中に全クリアボタン又はクリアボタンが操作された場合等のようにデータの取得が中断された場合であっても、中断されるまでに取得した画像データを履歴データとして処理管理部19bに記憶させておく構成とすることもできる。この場合には、画像処理が完了していない場合であっても、画像処理装置1で画像処理を実行させようとした全てのデータを履歴データとして管理することができる。
更に、例えば管理部(鍵記憶手段)21に暗号処理に用いる暗号鍵を記憶させておき、画像処理装置1からサーバ装置3へ履歴データを送信する際に、制御部10によって履歴データを暗号化し、暗号化された履歴データをサーバ装置3に記憶させる構成としてもよい。また、暗号鍵はサーバ装置3へは送信せずに、暗号化された履歴データのみを送信するように構成した場合には、サーバ装置3から履歴データが漏洩した場合であっても、履歴データの不正使用が困難となり、画像処理装置1のセキュリティを向上させることができる。更に、この場合には、サーバ装置3に記憶させた暗号化された履歴データを画像処理装置1を用いて取得し、画像処理装置1によって復号することにより、サーバ装置3で管理される暗号化された履歴データを確認することができる。