JP2006093276A - 気相成長方法及び気相成長装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜厚のきわめて高い面内均一性を有するエピタキシャル層を得ることのできる気相成長方法及び気相成長装置を提供すること。
【解決手段】回転する板状のサセプタ3の開口5に、基板4をその成長面をガス流路側に向けて支持し、基板4の表面に沿って原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長方法において、基板4の裏面側40を反応炉内30より圧力が若干低い減圧状態にしてエピタキシャル成長する。
【選択図】 図1

Description

本発明はIII−V族化合物半導体結晶の成長に適した気相成長方法及び気相成長装置に係り、特に基板上に成長されるエピタキシャル層の膜厚の面内均一性を高める技術に関するものである。
ガリウム砒素(GaAs)やインジウムガリウム砒素(InGaAs)などのIII−V族化合物半導体は、シリコン(Si)に比べて、電子移動度が高いという特長がある。この特長をいかして、高速高効率動作を要求されるデバイスや、発光デバイスなどに多く用いられている。代表例として高電子移動度トランジスタ(HEMT)、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)などが挙げられる。
一例として、図2にLDの基本構造を示す。LDは、基板上に結晶成長した、上からキャップ層、p型クラッド層、発光層、n型クラッド層、バッファ層よりなる。キャップ層は電極を形成するための層である。p型クラッド層はp型ドーパントが、またn型クラッド層はn型ドーパントがそれぞれドーピングされており、発生したキャリアは発光層へ供給されて再結合し、発光する。バッファ層は基板表面の残留不純物によるデバイス特性劣化を防ぐ働きがある。基板は単結晶成長するための下地である。
表1にLDの構造例を示した。以下においては、結晶成長のことをエピタキシャルと言う。厚さの単位はnm(10-9m)であり、キャリア濃度の単位はcm-3である。
Figure 2006093276
表1に示したLD用エピタキシャルウェハの成長方法を以下に述べる。
上記LDの化合物半導体結晶は一般に有機金属気相成長法(MOVPE法)による気相エピタキシャル成長装置で成長される。MOVPE法は、III族有機金属原料ガスとV族原料ガスを、高純度水素キャリアガスとの混合ガスとして反応炉内に導入し、反応炉内で加熱された基板付近で原料が熱分解され、基板上に化合物半導体結晶がエピタキシャル成長する。
ここで従来の有機金属気相成長装置(MOVPE装置)が採用している反応炉の構成を図3に示す。これは、原料ガス供給口2aからガス排気口2bへ原料ガスが流通する反応炉2の上部壁に板状のサセプタ3を設け、これをモータ10で回転可能に構成すると共に、このサセプタ3に、気相エピタキシャル成長の対象である基板4とほぼ同じ形状に開口5を開け、この開口5内に基板4の表面を下向きに収納し下面を露出させた状態で支持すると共に、上記基板4を加熱する加熱源たるメインヒータ21に面して前記開口5に均熱板7をはめ込んだエピタキシャル成長装置である。なお、9は磁気シールドユニット、22は外周ヒータである。
エピタキシャル層を成長させる基板4をサセプタ3にセットし、成長炉内で加熱する。成長炉内に原料ガスを供給すると、原料ガスが熱により分解し、基板上にエピタキシャル層が成長される。
たとえば、n型GaAsを成長する場合には、Ga原料のトリメチルガリウム(Ga(CH33)とAs原料のアルシン(AsH3)及びn型ドーパントを基板に供給する。n型ドーパントの元素としてはシリコン(Si)やセレン(Se)がある。なお、Ga原料として他にトリエチルガリウム(Ga(CH3CH23)がある。またAs原料として、他にトリメチル砒素(As(CH33)、ターシャリーブチルアルシン(TBA)がある。Si原料としてモノシラン(SiH4)、ジシラン(Si26)がある。Se原料としてはセレン化水素(H2Se)がある。
n型Al0.7GaInPを成長する場合には、Al原料のトリメチルアルミニウム(Al(CH33)、Ga(CH33、トリメチルインジウム(In(CH33)、ホスフィン(PH3)及びn型ドーパントを基板に供給する。なお、Al原料として他にトリエチルアルミニウム(Al(CH3CH23)がある。またIn原料として、他にトリエチルインジウム(In(CH3CH23)がある。P原料として、他にターシャリーブチルホスフィン(TBP)がある。
アンドープGaInPを成長する場合には、Ga(CH33、In(CH33、PH3を基板に供給する。
p型Al0.7GaInPを成長する場合には、Al(CH33、Ga(CH33、In(CH33、PH3及びp型ドーパントを基板に供給する。p型ドーパントの元素としては亜鉛(Zn)やマグネシウム(Mg)がある。
p型GaAsを成長する場合には、Ga(CH33とAsH3及びp型ドーパントを基板に供給する。
なお、本発明と直接に関係はないが、基板上に成長されるエピタキシャル層の膜厚の面内均一性を高める技術に関連するものとして、一体型のヒータに代えて複数の基板加熱用ヒータを設け、反応炉内のサセプタ中心部分から基板到達直前までの領域の温度を厳密に制御し、これにより基板面内の電子移動度のバラツキを抑えることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−257867号公報
ところで、従来技術では、図3の如き炉内構造において、一般的に、反応炉たる反応炉2内と基板裏面側の圧力は同一とし、両者間に圧力差が生じない条件で成長していた。
しかしながら、基板とサセプタの間には、はめあい公差程度の隙間があり、ここでサセプタへのデポジットと基板へのデポジットが不連続となるため、どうしても成長されるエピタキシャル層はエピタキシャルウェハの周辺で膜厚が落ち込むという分布を持ってしまっていた。
一例として、図5に成長されるエピタキシャル層のエピタキシャルウェハ直径方向における膜厚分布を示す。このように、エピタキシャルウェハ周辺で膜厚に落ち込みが見られていた。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、膜厚のきわめて高い面内均一性を有するエピタキシャル層を得ることのできる気相成長方法及び気相成長装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1の発明に係る気相成長方法は、回転する板状のサセプタの開口に、基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、基板の表面に沿って原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長方法において、基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態にしてエピタキシャル成長することを特徴とする。
請求項2の発明は、回転する板状のサセプタに、その中心から少し離れた位置にて周方向に複数の開口を配設し、各開口内に基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、サセプタの直径方向又は半径方向に原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長方法において、基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態にしてエピタキシャル成長することを特徴とする気相成長方法。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の気相成長方法において、有機金属気相成長法によりIII−V族化合物半導体結晶を成長し、V族原料として、アルシン(AsH3)、トリメチル砒素(As(CH33)、ターシャリーブチルアルシン(TBA)、ホスフィン(PH3)またはターシャリーブチルホスフィン(TBP)を用い、III族原料として、トリメチルアルミニウム(Al(CH33)、トリメチルガリウム(Ga(CH33)、トリメチルインジウム(In(CH33)、トリエチルアルミニウム(Al(CH3CH23)、トリエチルガリウム(Ga(CH3CH23)、トリエチルインジウム(In(CH3CH23)を用い、希釈用ガスとして、水素(H2)、窒素(N2)またはアルゴン(Ar)を用いることを特徴とする。
請求項4の発明に係る気相成長装置は、回転する板状のサセプタの開口に、基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、基板の表面に沿って原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長装置において、反応炉内の圧力制御系と、基板裏面側の圧力制御系を独立に設け、基板裏面側の圧力制御系により基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態に制御することを特徴とする。
請求項5の発明は、回転する板状のサセプタに、その中心から少し離れた位置にて周方向に複数の開口を配設し、各開口内に基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、サセプタの直径方向又は半径方向に原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長装置において、反応炉内の圧力制御系と、基板裏面側の圧力制御系を独立に設け、基板裏面側の圧力制御系により基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態に制御することを特徴とする。
<発明の要点>
従来技術では、反応炉内圧力と基板裏面側圧力を同じとなるようにしていたため、基板とサセプタの間の隙間の影響により、基板上に成長されるエピタキシャル層にはどうしてもエピタキシャルウェハの周辺で膜厚が落ち込む分布を持ってしまっていた。これに対し、本発明では、反応炉内圧力に対して基板裏面側の圧力を微妙に、例えば2〜3Torr低く設定しているので、基板周辺エッジ部まで確実に原料ガスが接触する。この結果、基板上に成長されるエピタキシャル層の膜厚の面内均一性がきわめて高いものとなる。
本発明によれば、基板が1枚の場合及び複数枚の場合でも、基板の裏面側を反応炉内より圧力が若干低い減圧状態にして、つまり基板の裏面側を反応炉内より微妙に減圧状態となるようにしてエピタキシャル成長する。具体的には、反応炉内の圧力制御系と、基板裏面側の圧力制御系を独立させ、基板裏面側の方が減圧状態となるようにする。このため、基板周辺エッジ部まで確実に原料ガスが接触し、従来よりも基板上に成長されるエピタキシャル層の膜厚の面内均一性を高めることができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
前提となる気相成長装置1は、図3のものと同一とした。すなわち、本実施形態に係る化合物半導体の気相エピタキシャル成長装置1は、原料ガス供給口2aからガス排気口2bへ原料ガスが流通する反応炉2の上部壁に円板状のサセプタ3を設け、これをモータ10で回転可能に構成する。このサセプタ3に、気相エピタキシャル成長の対象である基板4とほぼ同じ形状に開口5を開け、この開口5内に基板4の表面を下向きに収納し、下面を露出させた状態で支持する。基板4を加熱する加熱源たるメインヒータ21に面して開口5に均熱板7をはめ込んで、基板の裏側に重ねた構成とする。なお、9は磁気シールドユニット、22は外周ヒータである。
図1に、この気相成長装置の主要部の構成を拡大して示す。基板4とサセプタ3の間に隙間Gが存在するため、従来のように反応炉30内の圧力P1と基板裏面側の圧力P2が同じであると、隙間Gの影響により、基板4上に成長されるエピタキシャル層には、図5に示すように、どうしてもエピタキシャルウェハの周辺で膜厚が落ち込む分布を持ってしまう。
そこで、本実施形態では、反応炉30内の圧力制御系(図示せず)と独立に、基板裏面側の圧力制御系41を設け、該基板裏面側の圧力制御系41により基板の裏面側の圧力P2を反応炉内の圧力P1より若干2〜3Torrほど低くなるように制御し、つまり基板の裏面側を反応炉内より微妙に低い減圧状態に維持する。
このように反応炉内圧力に対して基板裏面側の圧力を微妙に低く設定すると、基板周辺エッジ部まで確実に原料ガスが接触し、この結果、基板上に成長されるエピタキシャル層の膜厚の面内均一性は図4に示すようにきわめて高いものとなる。
ただし、反応炉内圧力P1と比較して、基板裏面側圧力P2を必要以上に減圧状態としてしまうと、例えば膜厚は周辺で立ち上がるような分布を持ってしまうため、反応炉内圧力に対応した調整が必要である。
本発明を表1のLDエピタキシャルウェハの成長に適用した。
成長時の基板温度は640℃、反応炉内圧力は70Torr、基板裏面側の圧力は68Torr、希釈用ガスは水素である。基板には、GaAsからなる基板を用いた。
n型Al0.7GaInPの成長にはGa(CH33、Al(CH33、In(CH33及びPH3を用いた。
本実施例によれば、基板裏面側を反応炉内より2Torr低くして微妙に減圧状態にしているので、原料ガスは基板とサセプタの隙間に若干入り込むようになる。これにより、基板上に成長されるエピタキシャル層はエピタキシャルウェハの周辺まできちんと成長され、結果としてきわめて面内均一性の高いエピタキシャル層を容易に得ることができる。
図4に、上記本実施例で成長したエピタキシャル層のエピタキシャルウェハ直径方向における膜厚分布を示す。図4より、本実施例の場合、きわめて膜厚の面内均一性の高いエピタキシャル層が得られていることがわかる。また本実施例によれば、組成、キャリア濃度に関しても、極めて高い面内均一性を達成できた。
本発明の実施形態に係る気相成長装置のサセプタに対する基板のセット状態を示す図である。 LDの基本構造を示す説明図である。 従来技術における気相成長装置の構造を示した断面図である。 本発明により成長したエピタキシャル層の膜厚の面内分布を示した図である。 従来技術により成長したエピタキシャル層の膜厚の面内分布を示した図である。
符号の説明
1 気相成長装置
2 反応炉
3 サセプタ
4 基板
5 開口
30 反応炉内
40 基板裏面側
41 基板裏面側圧力制御系

Claims (5)

  1. 回転する板状のサセプタの開口に、基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、基板の表面に沿って原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長方法において、
    基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態にしてエピタキシャル成長することを特徴とする気相成長方法。
  2. 回転する板状のサセプタに、その中心から少し離れた位置にて周方向に複数の開口を配設し、各開口内に基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、サセプタの直径方向又は半径方向に原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長方法において、
    基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態にしてエピタキシャル成長することを特徴とする気相成長方法。
  3. 請求項1又は2記載の気相成長方法において、
    有機金属気相成長法によりIII−V族化合物半導体結晶を成長し、
    V族原料として、アルシン、トリメチル砒素、ターシャリーブチルアルシン、ホスフィンまたはターシャリーブチルホスフィンを用い、
    III族原料として、トリメチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリエチルインジウムを用い、
    希釈用ガスとして、水素、窒素またはアルゴンを用いることを特徴とする気相成長方法。
  4. 回転する板状のサセプタの開口に、基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、基板の表面に沿って原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長装置において、
    反応炉内の圧力制御系と、基板裏面側の圧力制御系を独立に設け、基板裏面側の圧力制御系により基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態に制御することを特徴とする気相成長装置。
  5. 回転する板状のサセプタに、その中心から少し離れた位置にて周方向に複数の開口を配設し、各開口内に基板をその成長面をガス流路側に向けて支持し、サセプタの直径方向又は半径方向に原料ガスを流し、加熱された基板上で半導体結晶をエピタキシャル成長させる気相成長装置において、
    反応炉内の圧力制御系と、基板裏面側の圧力制御系を独立に設け、基板裏面側の圧力制御系により基板の裏面側を反応炉内より圧力が低い減圧状態に制御することを特徴とする気相成長装置。
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