JP2006093158A - 封止パネル装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】2枚のパネル間の空間の真空度が高く、且つ、最終製品の組立てに際して立体的な制約の少ない封止パネル装置、及びかかる封止パネル装置を優れた量産性をもって製造する方法を提供する。
【解決手段】対向配置された第1パネル11と第2パネル12から成り、第1パネル11と第2パネル12とは、周縁部において、シール部材20bを用いて接着されている封止パネル装置であって、シール部材20bは、枠体23、第1接着層21、及び、第2接着層22から構成されており、第1パネル11と該枠体23とは、第1接着層21の加熱処理によって接着されており、第2パネル12と該枠体23とは、第2接着層22の加熱処理によって接着されており、第2接着層22の加熱温度は、第1接着層21の加熱温度よりも低い。
【選択図】 図1
【解決手段】対向配置された第1パネル11と第2パネル12から成り、第1パネル11と第2パネル12とは、周縁部において、シール部材20bを用いて接着されている封止パネル装置であって、シール部材20bは、枠体23、第1接着層21、及び、第2接着層22から構成されており、第1パネル11と該枠体23とは、第1接着層21の加熱処理によって接着されており、第2パネル12と該枠体23とは、第2接着層22の加熱処理によって接着されており、第2接着層22の加熱温度は、第1接着層21の加熱温度よりも低い。
【選択図】 図1
Description
本発明は、封止パネル装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、対向配置された2枚のパネルの間の空間が真空にされた封止パネル装置、及び、かかる封止パネル装置を優れた量産性をもって製造可能とする封止パネル装置の製造方法に関する。
例えば、画像表示装置の分野において、対向配置された2枚のパネルの間の空間が真空にされた封止パネル装置が用いられている。封止パネル装置の一般的な構成において、真空空間を規定する部材は、2枚のパネル及びこれら2枚のパネルの周縁部に介在されたシール部材である。シール部材は、一般に、2枚のパネルの対向距離に等しい厚さを有するフリット・ガラスの層、あるいは、2枚のパネルの対向距離にほぼ等しい高さを有する枠体と、枠体を2枚のパネルに接着するためのフリット・ガラスの層から成る。フリット・ガラスは、ガラス微粒子を有機バインダ中に分散させた高粘度のペースト状材料であり、所定のパターンに塗布した後、焼成によって有機バインダを除去することにより、固体層となる。
かかる封止パネル装置の代表例として、平面画像表示装置、例えば冷陰極電界電子放出型の表示装置(以下、単に表示装置と称する)を挙げることができる。この表示装置は、透明支持体上に蛍光体層とアノード電極とが形成されて成るアノード・パネルと、支持体上に複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、単に電界放出素子と称する)が形成されて成るカソード・パネルとが、真空空間を挟んで対向配置された構成を有する。電界放出素子は、ミクロン・オーダーの寸法にて形成された電子放出部を有しており、この電子放出部が或る強度以上の電界中に置かれたときに電子放出部から真空中へ向けて電子が放出され、この電子がアノード電極に引き付けられて蛍光体に衝突し、発光を得る。
封止パネル装置の真空空間を形成する方法には、大別して、(a)2枚のパネルをシール部材を用いて接着した後に排気を行って形成する方法と、(b)2枚のパネルをシール部材を用いて接着する作業を真空雰囲気中で行うことにより、接着と同時に形成する方法とがある。排気を行う方法(a)では、2枚のパネルの少なくとも一方に、予めチップ管と呼ばれる直径10mm程度のガラス管を挿通しておき、接着後にこの排気管を排気装置に接続して2枚のパネルの間の空間を排気し、空間が所望の真空度に達した時点でガラス管を加熱融着させる。一方、真空雰囲気中で接着を行う方法(b)では、真空容器内で2枚のパネルをシール部材を挟んで位置合わせし、この状態で加熱を行って2枚のパネルをシール部材で接着させる。加熱の温度は、シール部材としてフリット・ガラスを使用する場合、450°C程度である。この温度は、フリット・ガラスの典型的な焼成温度である。
しかしながら、従来の真空空間の形成方法には問題点もある。先ず、排気を行う方法(a)では、パネル間の空間の排気コンダクタンスに起因して、排気工程に多大な時間を要する。特に、電界放出素子を備えた表示装置を想定した場合、各パネルの対角寸法が数インチ〜数十インチであるのに対し、パネル間の対向距離は0.2mm〜1mmと狭いので、排気コンダクタンスは著しく大きくなる。現状では、上記表示装置の一般的な最終到達真空度として10-4Paのオーダーを達成するために、対角寸法数インチの表示装置ですら排気に十数時間を要している。対角寸法がより大きい表示装置では、排気に要する時間は膨大となり、排気装置の能力によっては所望の真空度が達成されない可能性もある。このことは、封止パネル装置の大画面化や量産に向けて大きな障害となる。
また、排気を行う方法(a)では、チップ管を加熱融着する際にチップ管の内壁から大量のガスが放出され、このガスの一部がパネル間の空間に閉じ込められるため、真空度は多くの場合、10-1Paのオーダーまで劣化してしまう。空間内に予めゲッターを組み込んでおけば、チップ管の加熱融着後にゲッターを加熱により活性化することで真空度の改善は可能であるが、その改善は1桁程度にとどまる。従って、最終到達真空度として10-4Paのオーダーを達成するためには、ゲッター活性化前の真空度として10-3Paのオーダーが達成されていることが必要であるが、チップ管の加熱融着を行う方法で10-3Paのオーダーの真空度を達成することは極めて困難である。特に、電界放出素子を備えた表示装置にあっては、パネル間の空間に何らかのガスが存在していると、このガスから生じたイオンによって微小な電子放出部がスパッタされ、電子放出効率が変化したり、あるいは電子放出部が損傷を受けて表示装置の寿命が短縮するといった問題がある。
排気を行う方法(a)は更に、チップ管がパネル面から突き出すために、表示装置の最終製品を組み立てる際に立体的な制約を招き、特に薄型化を図る上でも不利である。
真空雰囲気中で接着を行う方法(b)では、排気コンダクタンスに起因する排気工程の長時間化の問題が解決され、真空雰囲気さえ所望の最終到達真空度に設定しておけば、パネルの寸法に依存せずにパネル間に高真空空間を形成することは比較的容易である。しかし、接着に際してパネル全体を加熱するので、フリット・ガラスに起因する空間の汚染や真空度の劣化が生じ易い。空間の汚染は、主としてフリット・ガラスのペーストに含まれる有機バインダに起因する。また、真空度の劣化は、フリット・ガラスやパネル内壁面からの脱ガスに起因する。フリット・ガラスのペーストは一般に高粘度であるため、パネル上に所定のパターンに塗布される際に、塗膜中に気泡が形成され易く、この気泡の中に含まれていたガスがパネル間の空間に放出されて真空度を劣化させる。パネル内壁面からの脱ガスは、主として吸着水分の脱離による。
従って、本発明は、2枚のパネル間の空間の真空度が高く、且つ、最終製品の組立てに際して立体的な制約が少なく、薄型化を図ることができる封止パネル装置、及びかかる封止パネル装置を優れた量産性をもって製造する方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の封止パネル装置は、対向配置された第1パネルと第2パネル、及び蓋部から成り、第1パネルと第2パネルとは、周縁部においてシール部材を用いて接着され、
第1パネル、第2パネル及びシール部材の少なくとも1つには、開口部が設けられ、
該開口部は、低融点金属材料から成る接着層によってパネルに接着された該蓋部により閉鎖され、
第1パネルとシール部材と第2パネルと接着層と蓋部とによって囲まれた空間は真空であることを特徴とする。
第1パネル、第2パネル及びシール部材の少なくとも1つには、開口部が設けられ、
該開口部は、低融点金属材料から成る接着層によってパネルに接着された該蓋部により閉鎖され、
第1パネルとシール部材と第2パネルと接着層と蓋部とによって囲まれた空間は真空であることを特徴とする。
かかる封止パネル装置を製造するための本発明の製造方法は、第1パネルと第2パネルとが真空空間を挟んで対向配置され、第1パネル、第2パネル及びシール部材の少なくとも1つに設けられた開口部が蓋部によって閉鎖された構造を有する封止パネル装置の製造方法であって、
(イ)対向配置された第1パネルの周縁部と第2パネルの周縁部とを、シール部材を用いて接着する工程、及び、
(ロ)低融点金属材料から成る接着層によって、真空雰囲気中で開口部近傍のパネルに蓋部を接着する工程、
から成ることを特徴とする。
(イ)対向配置された第1パネルの周縁部と第2パネルの周縁部とを、シール部材を用いて接着する工程、及び、
(ロ)低融点金属材料から成る接着層によって、真空雰囲気中で開口部近傍のパネルに蓋部を接着する工程、
から成ることを特徴とする。
本発明の封止パネル装置の製造方法は、従来のような接着後の排気を行う代わりに、空間が閉鎖される直前の第1パネル及び第2パネルを真空雰囲気中に置き、蓋部の接着と同時に真空空間を形成することを趣旨としている。従って、必ず真空雰囲気中で行わなければならない工程は(ロ)であり、工程(イ)については特に真空雰囲気中で行う必要はなく、常圧下、あるいは減圧下で行うことができる。更に、常圧下あるいは減圧下の雰囲気は、窒素ガスや周期律表0族に属する希ガス(例えばArガス)を含む不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
本発明の封止パネル装置の製造方法では、工程(イ)において接着を行う際の温度は、工程(ロ)において接着を行う際の温度よりも高いことが好適である。工程(ロ)は、パネル間の空間を閉鎖真空空間とするための最終工程であるが、かかる温度設定を行うことにより、工程(ロ)を行う際に、既に形成されているシール部材の変形、あるいは、新たな脱ガスによる真空度の劣化を確実に避けることができる。尚、工程(ロ)において接着を行う際の温度は、工程(イ)において接着を行う際の温度よりも低く、且つ、接着層による接着が可能な温度であれば、特に限定されない。接着層を構成する低融点金属材料の種類によっては、加熱を行わなくても、圧力、超音波、高周波等のエネルギーを与えることにより、常温若しくはその近傍温度で接着が可能である。
本発明の封止パネル装置は、シール部材が枠体を含まない態様と、シール部材が枠体を含む態様とに大別することができる。以下、シール部材が枠体を含まない態様を本発明の第1の態様と称し、シール部材が枠体を含む態様を本発明の第2の態様と称する。本発明の第1の態様及び第2の態様に係る封止パネル装置の態様は、更に、シール部材の構成要素としてフリット・ガラスを含む態様と、シール部材の構成要素として低融点金属材料を含む態様とに分けることができる。以下、第1の態様であって、且つ、シール部材がフリット・ガラスから成る態様を第1Aの態様、第1の態様であって、且つ、シール部材が低融点金属材料から成る態様を第1Bの態様、第2の態様であって、且つ、シール部材の構成要素としてフリット・ガラスを含む態様を第2Aの態様、第2の態様であって、且つ、シール部材の構成要素として低融点金属材料を含む態様を第2Bの態様と称することにする。
また、本発明の封止パネル装置の製造方法も、シール部材が枠体を含まない場合の態様と、シール部材が枠体を含む場合の態様とに大別することができる。以下、シール部材が枠体を含まない場合の態様を本発明の第1の態様と称し、シール部材が枠体を含む場合の態様を本発明の第2の態様と称する。本発明の第1の態様及び第2の態様に係る封止パネル装置の製造方法は、更に、シール部材の構成要素としてフリット・ガラスを含む態様と、シール部材の構成要素として低融点金属材料を含む態様とに分けることができる。以下、第1の態様であって、且つ、シール部材がフリット・ガラスから成る態様を第1Aの態様、第1の態様であって、且つ、シール部材が低融点金属材料から成る態様を第1Bの態様、第2の態様であって、且つ、シール部材の構成要素としてフリット・ガラスを含む態様を第2Aの態様、第2の態様であって、且つ、シール部材の構成要素として低融点金属材料を含む態様を第2Bの態様と称することにする。
本発明の第1Aの態様に係る封止パネル装置において、シール部材は、その焼成温度が接着層を構成する低融点金属材料の融点よりも高いフリット・ガラスから成り、第1パネルと第2パネルとは、周縁部において該フリット・ガラスによって接着されている。
かかる第1Aの態様に係る封止パネル装置を製造するための本発明の第1Aの態様に係る封止パネル装置の製造方法においては、工程(イ)では、フリット・ガラスの焼成温度にてシール部材による接着を行う。尚、工程(ロ)では、前記焼成温度よりも低く、且つ、低融点金属材料の融点以上の温度にて接着層による接着を行ってもよいし、接着層を構成する低融点金属材料の種類によっては常温若しくはその近傍温度で接着を行ってもよい。
本発明の第1Bの態様に係る封止パネル装置において、シール部材は、接着層を構成する低融点金属材料の融点よりも高い融点を有する低融点金属材料から成り、第1パネルと第2パネルとは、周縁部において該低融点金属材料によって接着されている。
かかる第1Bの態様に係る封止パネル装置を製造するための本発明の第1Bの態様に係る封止パネル装置の製造方法においては、工程(イ)では、シール部材を構成する低融点金属材料の融点以上の温度にてシール部材による接着を行う。尚、工程(ロ)では、前記シール部材を構成する低融点金属材料の融点よりも低く、且つ、接着層を構成する低融点金属材料の融点以上の温度にて接着層による接着を行ってもよいし、接着層を構成する低融点金属材料の種類によっては常温若しくはその近傍温度で接着を行ってもよい。
また、本発明の第2Aの態様に係る封止パネル装置において、シール部材は、枠体、フリット・ガラスから成る第1接着層、及び、フリット・ガラスから成る第2接着層から構成されており、第1パネルと該枠体とは第1接着層によって接着されており、第2パネルと該枠体とは第2接着層によって接着されており、第1接着層を構成するフリット・ガラスの焼成温度、及び、第2接着層を構成するフリット・ガラスの焼成温度は、接着層を構成する低融点金属材料の融点よりも高い。尚、第1接着層を構成するフリット・ガラスと第2接着層を構成するフリット・ガラスとは、成分組成及び組成比が共に同一であっても、成分組成が同一で組成比のみが異なっていても、あるいは成分組成及び組成比が共に異なっていてもよい。
かかる第2Aの態様に係る封止パネル装置を製造するための本発明の第2Aの態様に係る封止パネル装置の製造方法においては、工程(イ)では、フリット・ガラスの焼成温度にて、第1パネルと枠体とを第1接着層によって接着し、且つ、枠体と第2パネルとを第2接着層によって接着する。ここで、第1接着層を構成するフリット・ガラスと第2接着層を構成するフリット・ガラスとが、共に等しい成分組成及び組成比を有する場合には、双方のフリット・ガラスの焼成温度は同一となるので、第1パネルと枠体と第2パネルの三者を同時に接着することができる。一方、第1接着層を構成するフリット・ガラスと第2接着層を構成するフリット・ガラスとが、成分組成及び組成比の少なくとも一方において異なっていると、焼成温度も異なる可能性がある。このような場合には、いずれか高い方の焼成温度で焼成を行って第1パネルと枠体と第2パネルの三者を同時に接着することもできるが、焼成温度の高い方のフリット・ガラスを用いて先ず高い焼成温度にて一方のパネルと枠体とを接着し、次に焼成温度の低い方のフリット・ガラスを用いて低い焼成温度にて枠体と他方のパネルとを接着することができる。尚、工程(ロ)では、前記焼成温度よりも低く、且つ、低融点金属材料の融点以上の温度にて接着層による接着を行ってもよいし、接着層を構成する低融点金属材料の種類によっては常温若しくはその近傍温度で接着を行ってもよい。
更に、本発明の第2Bの態様に係る封止パネル装置において、シール部材は、枠体、低融点金属材料から成る第1接着層、及び、低融点金属材料から成る第2接着層から構成されており、第1パネルと該枠体とは第1接着層によって接着されており、第2パネルと該枠体とは第2接着層によって接着されており、第1接着層を構成する低融点金属材料の融点、及び、第2接着層を構成する低融点金属材料の融点は、接着層を構成する低融点金属材料の融点よりも高い。尚、第1接着層を構成する低融点金属材料と第2接着層を構成する低融点金属材料とは、成分組成及び組成比が共に同一であっても、成分組成が同一で組成比のみが異なっていても、あるいは成分組成及び組成比が共に異なっていてもよい。
かかる第2Aの態様に係る封止パネル装置を製造するための本発明の第2Bの態様に係る封止パネル装置の製造方法においては、工程(イ)では、第1接着層及び第2接着層を構成する低融点金属材料の融点以上の温度にて、第1パネルと枠体とを第1接着層によって接着し、且つ、枠体と第2パネルとを第2接着層によって接着する。ここで、第1接着層を構成する低融点金属材料と第2接着層を構成する低融点金属材料とが、共に等しい成分組成及び組成比を有する場合には、双方の低融点金属材料の融点は同一となるので、第1パネルと枠体と第2パネルの三者を同時に接着することができる。一方、第1接着層を構成する低融点金属材料と第2接着層を構成する低融点金属材料とが、成分組成及び組成比の少なくとも一方において異なっていると、融点も異なる可能性がある。このような場合には、いずれか高い方の融点以上の温度で加熱を行って第1パネルと枠体と第2パネルの三者を同時に接着することもできるが、融点の高い方の低融点金属材料を用いて先ず高い融点以上の温度にて一方のパネルと枠体とを接着し、次に融点の低い方の低融点金属材料を用いて低い融点以上の温度にて枠体と他方のパネルとを接着することができる。尚、工程(ロ)で、第1接着層及び第2接着層を構成する低融点金属材料の融点よりも低く、且つ、接着層を構成する低融点金属材料の融点以上の温度にて接着層による接着を行ってもよいし、接着層を構成する低融点金属材料の種類によっては常温若しくはその近傍温度で接着を行ってもよい。
第2A及び第2Bの態様に係る封止パネル装置の製造方法において、上述のように工程(イ)では、第1パネル、枠体及び第2パネルの三者を第1接着層及び第2接着層を用いて接着するが、(a)これら三者を位置合わせした状態で同時に接着しても、あるいは、(b)枠体を予め第1パネルか第2パネルのいずれか一方に接着しておき、この枠体を残りの他方のパネルに接着してもよい。(a)、(b)のいずれの方法による接着も、窒素あるいは希ガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好適である。但し、(b)の方法において、枠体をアノード電極が形成されている側のパネルに接着する際の雰囲気は、大気であっても構わない。(b)の方法の方が、位置合わせ作業は簡便である。
本発明の全ての態様に係る封止パネル装置及び全ての態様に係るその製造方法において、開口部は、第1パネル、第2パネル及びシール部材の単独あるいは如何なる組合せにおいて設けられてもよく、またこれら三者の各々に設けられる開口部の個数も単数、複数を問わない。第1パネルや第2パネルに開口部を設ける場合、各パネルの機能や美観に支障を及ぼさない部位に設けることが必要であり、例えば、本発明の封止パネル装置として表示装置を想定する場合には、表示画面に対応する有効領域を避けることが肝要である。開口部の形状や大きさは特に限定されないが、この開口部の周囲には接着層が配され、加熱、押圧、超音波印加等の方法によって蓋部が接着されるので、このときの加熱、押圧、超音波印加等の影響が及ぶ範囲をなるべく狭い領域内に限定する観点からは、円形であって、パネル面積に比べて十分に小さく選択することが望ましい。第1パネルに開口部が設けられている場合には、この開口部を閉鎖する蓋部は接着層によって第1パネルに接着される。第2パネルに開口部が設けられている場合には、この開口部を閉鎖する蓋部は接着層によって第2パネルに接着される。
また、本発明の全ての態様に係る封止パネル装置及び全ての態様に係るその製造方法においてシール部材に開口部を設ける場合、開口部はどのような形態にて設けられてもよいが、パネルの周縁部に沿った方向の一部においてシール部材を切り欠くように設けることが最も実用的である。開口部がシール部材を切り欠くように設けられている場合、接着層による蓋部の接着はシール部材のみに対して行われもよいが、シール部材を横断し、第1パネルと第2パネルの双方の側面に対して行われることが一層好ましい。但し、かかる開口部を接着層を用いて蓋部で閉鎖しようとすると、シール部材の構成材料と接着層を構成する低融点金属材料との組合せによっては、これら両者が直接接触することが信頼性の観点から好ましくない場合もある。このような場合には、シール部材と接着層との間に何らかの補助的な部材を介在させることが好ましい。典型的には、第1A及び第2Aの態様に係る封止パネル装置及びその製造方法において、シール部材を構成するフリット・ガラスと接着層を構成する低融点金属材料との直接接触を避けるために、例えば先ず、開口部の周囲にフリット・ガラスから成る補助接着層を用いて貫通孔を有する補助枠体を接着し、この補助枠体の上に接着層を用いて蓋部を接着すればよい。かかる構成においては、第1パネルとシール部材と第2パネルと補助接着層と補助枠体と接着層と蓋部とによって囲まれた空間が真空となる。
本発明の封止パネル装置若しくはその製造方法において、第1パネルとシール部材と第2パネルと接着層と蓋部とによって囲まれた空間内には、非蒸発型のゲッターが備えられていてもよい。非蒸発型のゲッターとは、封止パネル装置の真空空間において、原形を保ったままで残留ガス吸着の機能を果たすタイプのゲッターである。非蒸発型のゲッターは、800〜1000°Cに加熱されて最終的に蒸着膜に変化される蒸発型のゲッターとは異なり、低融点金属材料の融点近傍の温度でも活性化することが可能である。できる限り低温化された製造プロセスにより空間の最終到達真空度を高めるために、非蒸発型のように低温で活性化できるゲッターは、本発明の封止パネル装置に用いるのに好適である。非蒸発型のゲッターの構成材料は一般にジルコニウム(Zr)その他の卑金属であり、形状や配設数は特に限定されない。本発明の封止パネル装置として、例えば2枚のパネルの対向距離が1mm以下と極めて小さい表示装置を想定する場合には、箔状の非蒸発型のゲッターを無機系接着剤を用いて第1パネル及び/又は第2パネルの適当な部位に貼付しておけばよい。場合によっては、パネル表面の一部を箱部によって構成し、パネル間の空間と箱部とを連通させ、この箱部内にゲッターを収容してもよい。
本発明の全ての態様に係る封止パネル装置及び全ての態様に係るその製造方法において、「低融点」の語が意味する温度範囲は、概ね400゜C以下である。一般的なフリット・ガラスの軟化温度は600゜C前後、焼成温度は450゜C前後であるから、低融点金属材料の融点はこれらの温度よりも更に低い。本発明では、低融点金属材料は接着層及びシール部材の構成材料として用いられるが、融点の下限は特に限定されない。接着層の構成材料として用いられる低融点金属材料については、120〜160°C程度の融点を持つ材料であれば、接着条件にも依存するが、室温でも押圧により接着を行うことが可能である。シール部材の構成材料として用いられる低融点金属材料は、接着層を構成する低融点金属材料よりも高い融点を有することが好ましい。
低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。特に、インジウム(In)は、常温であっても圧力を加えることにより接着層として機能し得る低融点金属材料である。
本発明の全ての態様に係る封止パネル装置の製造方法において、工程(イ)又は工程(ロ)で加熱を行う場合には、ランプを用いた加熱、レーザを用いた加熱、炉を用いた加熱等の公知の加熱方法により行うことができる。また、工程(イ)においては、加熱炉中で加熱を行ってもよい。
本発明において、第1パネルとシール部材と第2パネルと接着層と蓋部とによって囲まれた空間の真空度は、封止パネル装置の構成に応じて異なる。封止パネル装置として冷陰極電界電子放出型の表示装置を想定した場合、要求される真空度はおおよそ10-4Paのオーダー、あるいはそれ以上(即ち、より低圧)である。
本発明の全ての態様に係る封止パネル装置、及び本発明の全ての態様に係る封止パネル装置の製造方法における封止パネル装置としては、プラズマ表示装置、蛍光表示管、冷陰極電界電子放出型表示装置を例示することができる。冷陰極電界電子放出表示装置は、第1パネルが透明支持体、並びに、該透明支持体上に形成されたアノード電極及び蛍光体層から成り、第2パネルが支持体、並びに、該支持体上に形成され、アノード電極及び蛍光体層に対向した複数の冷陰極電界電子放出素子(以下、単に電界放出素子と称する)から成り、電界放出素子から放出された電子が蛍光体層に衝突することによる発光に基づいて表示を行う構成を有する。尚、冷陰極電界電子放出型表示装置を以下、単に表示装置と称することがある。
表示装置の構成要素である電界放出素子としては、公知の如何なる型式の電界放出素子をも用いることができ、例えば、所謂スピント型、平面型、エッジ型等の型式を例示することができる。
表示装置の第1パネルを構成する透明支持体として、ガラス基板、表面に絶縁層が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁層が形成された石英基板を例示することができる。また、表示装置の第2パネルを構成する支持体は、少なくとも表面が絶縁性部材より構成されていればよく、ガラス基板、表面に絶縁層が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁層が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を用いることができる。蓋部を構成する材料として、ガラス、石英、ステンレススチール等の金属材料を例示することができる。
表示装置を構成するカソード電極及び電子放出部は、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等の高融点金属を用いて形成することができる。表示装置を構成するゲート電極及びアノード電極は、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Au)等の金属層又はこれらの金属元素を含む合金層、あるいは不純物を含有するシリコン等の半導体層を用いて形成することもできる。また、絶縁層の構成材料としては、SiO2、SiN、SiON、ガラス・ペースト硬化物を単独あるいは適宜積層して使用することができる。絶縁層の製膜には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
以上の説明からも明らかなように、本発明の封止パネル装置あるいはその製造方法においては、シール部材を用いて2枚のパネルの全体若しくは大部分を接着する段階と、接着された2枚のパネルを真空雰囲気中に置き、2枚のパネルのいずれか又はシール部材に設けられた十分に小さな開口部に低融点金属材料から成る接着層を用いて蓋部を接着する段階から成る2段階プロセスによりパネル間の真空空間が形成される。従って、高い真空度を比較的短い時間内に達成することができ、チップ管を通じて排気を行う従来プロセスに比べ、スループットを著しく改善することが可能である。また、最終的なパネル封止が、2枚のパネルに比べて十分に面積の小さい開口部を蓋部と接着層とを用いて閉鎖するプロセスによって行われるため、この閉鎖に際してパネル全体を加熱する必要がなく、新たな脱ガスが生じない。従って、パネル間の空間の最終到達真空度も高いレベルに維持される。更に、第1パネルと第2パネルとが真空雰囲気中に置かれるとき、両パネルは既に接着されているため、真空中で両パネルの位置合わせを行うといった複雑な作業も不要である。更には、封止パネル装置の薄型化を図ることができる。本発明は特に、封止パネル装置として電界電子放出型の表示装置を想定した場合、表示装置の高信頼化、長寿命化、生産性の向上に大きく貢献する。
以下、図面を参照して、発明の実施例に基づき、本発明の封止パネル装置及びその製造方法について説明する。
実施例1は、第1Aの態様を含む本発明の第1の態様に係る封止パネル装置、及び、第1Aの態様を含む本発明の第1の態様に係る封止パネル装置の製造方法に関する。実施例1に係る封止パネル装置の概念図を図1に示し、この封止パネル装置を適用して構成された冷陰極電界電子放出型の表示装置の模式的断面図を図2に示し、かかる表示装置の一部を拡大して模式的に示す分解斜視図を図3に示す。また、第1Aの態様に係る封止パネル装置の製造方法の工程図を図4に示し、更に、第1Aの態様に係る封止パネル装置の製造方法の変形例と、第1Aの態様に係る封止パネル装置の変形例を図5に示す。
図1に、実施例1の封止パネル装置の概念的な構成を示す。図1の(A)は模式的断面図、図1の(B)は模式的斜視図である。対角画面寸法14インチを想定して30cm×23cmの矩形形状を有する第1パネル11と第2パネル12とは、周縁部においてシール部材20aによって接着されている。ここで、シール部材20aは厚さ1mmのフリット・ガラスから成る。フリット・ガラスの焼成温度は約450°Cである。第1パネル11は、封止パネル装置としての実用上の機能を果たす中央部の有効領域(28cm×21cm)と、この有効領域を機能を支援するために有効領域を額縁状に包囲する無効領域とを有する。尚、図においては、有効領域及び無効領域を明確化するために、有効領域に斜線を付した。また、シール部材にも明確化のため斜線を付した。無効領域には直径約5mmの円形の開口部13が設けられている。開口部13は、接着層30によって第1パネル11に接着された蓋部40により閉鎖されている。接着層30は低融点金属材料から成り、ここではインジウムから成る内径8mm、外径10mmのリングを用いる。インジウムの融点は157°Cである。つまり、この封止パネル装置においては、シール部材20aを構成するフリット・ガラスの焼成温度の方が、接着層30を構成する低融点金属材料よりも高い。蓋部40は、直径15mm、厚さ1mmの円盤状のガラス板である。蓋部40と接着層30と第1パネル11とシール部材20aと第2パネル12とによって囲まれた空間は、真空(VAC)とされている。
図2に、実施例1の封止パネル装置を表示装置に適用した例を示す。また、図3には表示装置の一部分を拡大して示す。第1パネル11は、透明支持体110、並びに、透明支持体110上に形成されたアノード電極113及び3原色の蛍光体層112R,112G,112Bから成る。個々の蛍光体層112R,112G,112Bは一例として矩形形状を有しており、所定の規則的なパターンに従って配列されている。隣接する蛍光体層112R,112G,112Bの間は、カーボン等の光吸収性材料から成るブラック・マトリクス111で埋め込まれ、表示画像の色濁りが防止されている。図示は省略するが、蛍光体層112R,112G,112Bとアノード電極113の間には、表示画面の輝度を高める目的でアルミニウムの蒸着膜、所謂メタルバック膜が設けられていてもよい。又、図2及び図3では、透明支持体110上において蛍光体層112R,112G,112Bとアノード電極113とがこの順に積層されているが、積層順を逆にしても構わない。但し、積層順を逆とした場合には、表示装置の観察面側から見てアノード電極113が蛍光体層112の手前に来るため、アノード電極113をITO(インジウム・錫酸化物)等の透明導電材料にて構成する必要がある。
第2パネル12は、支持体120、並びに、支持体120上に形成され、アノード電極113及び蛍光体層112R,112G,112Bに対向した複数の電界放出素子から成る。電界放出素子は、一方向に設けられた帯状のカソード電極121と、絶縁層122と、絶縁層122上に形成され、カソード電極121と直交する方向に帯状に形成されたゲート電極123と、カソード電極121とゲート電極123との重複領域においてゲート電極123及び絶縁層122に設けられた円形の電子放出用開口部125内に配された電子放出部から構成される。図2に示す表示装置においては、電子放出用開口部125の底面に露出したカソード電極121の部分が電子放出部として機能する、所謂平面型の電界放出素子が例示されているが、他の型式の電界放出素子であっても勿論構わない。例えば、カソード電極121上に導電材料から成る円錐形の電子放出部が形成されていれば、所謂スピント型の電界放出素子である。また、導電材料から成る電子放出層、絶縁層、ゲート電極層が順に積層され、ゲート電極、絶縁層及び電子放出層を貫通する開口部が形成され、開口部内に露出した電子放出層の端部が電子放出部とされていれば、これは所謂エッジ型の電界放出素子である。あるいは又、第1ゲート電極、第1絶縁層、電子放出層、第2絶縁層、第2ゲート電極が順に積層され、第2ゲート電極、第2絶縁層、電子放出層及び第1絶縁層を貫通する開口部が形成され、開口部内に露出した電子放出層の端部が電子放出部とされていれば、これも所謂エッジ型の電界放出素子である。
尚、図2では1画素の領域内に電子放出用開口部125が一つしか図示されていないが、実際には、図3に示すように、複数の電子放出用開口部125が形成される場合が多い。但し、本発明の封止パネル装置は、図2及び図3に何ら限定されるものではない。例えば、図3では、1画素の領域内に電子放出用開口部125が16個形成されているが、勿論これは例示に過ぎず、実際には数千個にも及ぶ場合がある。また、アノード電極113とカソード電極121とゲート電極123の形成方向や、電子放出用開口部125の形状も任意である。
カソード電極121には走査回路53から相対的に負電圧が印加され、ゲート電極123には制御回路52から相対的に正電圧が印加され、アノード電極113にはゲート電極123よりも更に高い正電圧が加速電源51から印加される。表示装置において表示を行う場合、制御回路52にはビデオ信号、走査回路53には走査信号が入力される。カソード電極121とゲート電極123とに電圧を印加した際に生ずる電界により、電子放出部から電子eが放出される。この電子eが、アノード電極113に引き付けられて蛍光体層112R,112G,112Bに衝突すると、蛍光体層112R,112G,112Bが発光し、所望の表示を得ることができる。この表示装置の動作は、基本的にゲート電極123に印加される電圧によって制御される。
表示装置の場合、蛍光体層112R,112G,112Bのマトリクスが形成されている領域が表示装置としての実用上の機能を果たす有効領域であり、マトリクスの周辺回路の収容や表示画面の機械的支持等、有効領域の機能を支援する領域が無効領域である。開口部13は、この無効領域に形成されている。尚、開口部13を第2パネル12側の支持体120に設けてもよい。しかし、第2パネル12上には電界放出素子が半導体プロセスと同様のプロセスによってミクロン・オーダーの精度で作製されており、電界放出素子への熱的歪みあるいは機械的歪みはできるだけ避けたいので、開口部13はアノード電極113を有する第1パネル11側に設ける方が望ましい。
第1パネル11と第2パネル12の無効領域には、非蒸発型のゲッター15が貼付されている。ここでは、ゲッター15として厚さ0.1〜0.2mmのジルコニウム箔を使用する。この程度の厚さは、第1パネル11と第2パネル12の対向距離よりも十分に薄く、従ってゲッター15が両パネルを短絡させる虞はない。ゲッター15は無機系接着剤を用いて貼付するが、このとき、無機系接着剤の熱膨張係数及びこれと直接接触する部材の熱膨張係数を略一致させる。例えば、ゲッター15を図2に示した表示装置に使用する場合、無機系接着剤としては、第1パネル11を構成する透明支持体110、及び第2パネル12を構成する支持体120と熱膨張係数が略一致するものを選択する。尚、図2には、ゲッター15が第1パネル11と第2パネル12の双方に貼付された例を示したが、空間の真空度として十分に高い値が達成できる限りにおいて、いずれか一方のパネルにのみ貼付してもよい。あるいは又、場合によっては、ゲッターは不要である。
以下、上述した封止パネル装置の製造方法を、図4を参照して説明する。先ず、図4の(A)に示すように、第1パネル11と第2パネル12の周縁部に、シール部材20cを形成する。具体的には、フリット・ガラスを0.7mmの厚さに塗布し、100°Cのホットプレート上で乾燥させる。次に、第1パネル11と第2パネル12とを位置合わせし、約400°Cで仮焼成を行ってフリット・ガラスに含まれる有機物を除去する。これにより、図4の(B)に示すように、シール部材20cが融合してシール部材20aが形成され、両パネルが接着される。更に、約450°Cで本焼成を行い、接着状態をより強固にする。尚、封止パネル装置が上述のような表示装置である場合、本焼成を行う雰囲気は希ガス又は窒素ガス等を含む不活性ガス雰囲気であることが望ましい。これは、カソード電極の酸化やゲッター15の劣化を防止するためである。
続いて、シール部材20aにより接着された第1パネル11と第2パネル12を真空容器VC内にセットし、第1パネル11上に開口部13を取り囲むように接着層30を載置し、更に、図示されない治具を用いて開口部13の上方に蓋部40を保持する。尚、ここでは接着層30としてインジウムのリングを想定しているので、接着層30を第1パネル11上に載置したが、接着層30は予め蓋部40に設けても、あるいは、第1パネル11と蓋部40の双方に設けてもよい。この状態で、真空容器VCを10-6Paのオーダーの真空度となるまで排気し、続いて排気を継続したまま、全体を例えば約350°Cで5〜6時間加熱することによりパネルやシール部材の脱ガスを促進させる。脱ガスの開始に伴って、真空度は一時的に2桁程度低下するが、上記の時間内には10-6Paのオーダーに回復する。尚、図4には示していないが、非蒸発型のゲッターは、このときの加熱により脱ガスされる。
次に、接着層30の上に位置合わせした蓋部40を載せ、接着層30を完全に押し潰さないように注意しながら押圧する。次に、接着層30を約160°Cに加熱する。この温度は、接着層30を構成する低融点金属材料、即ち、ここではインジウムの融点よりも高く、そして当然のことながら、シール部材20aを構成するフリット・ガラスの焼成温度よりも低い。このようにして、図4の(D)に示すように、第1パネル11と蓋部40とを完全に接着する。接着層30の加熱は、例えば接着層30の直径と同等のビーム径に集光されたハロゲン・ランプ光を第1パネル11側から照射して行うことができる。ハロゲン・ランプの出力を適切に設定すると、照射開始直後は接着層30が選択的に加熱され、他の部分は殆ど加熱されない。従って、パネルの内壁や既に形成されているシール部材20aから新たな脱ガスを生じることがなく、最終的に形成される空間の真空度を10-4Paのオーダーに維持することができる。しかも、両パネルが真空雰囲気中に置かれた状態で封止が行われるため、封止後に排気を行う方法に比べてスループットも格段に優れている。尚、接着条件、使用する低融点金属材料の種類によっては、押圧のみで接着を行うこともできる。
尚、図4の(A)では、第1パネル11と第2パネル12の双方にシール部材20cを配置しており、第1パネル11と第2パネル12の対向距離を大きく設定したい場合に適しているが、シール部材20cの配置はこれに限られない。例えば、図5の(A)に示すように、シール部材20cを第2パネル12上のみに配置しても、あるいは図5の(B)に示すように、第1パネル11上のみに配置してもよい。
また、図5の(C)に示すように、第1パネル11と第2パネル12との間隔を一定に維持するための間隔維持部材16が、第1パネル11と第2パネル12との間に挟持されていてもよい。この間隔維持部材16は、絶縁性を有する剛性材料、例えばガラス球や円柱体から成る。かかる封止パネル装置を製造するには、シール部材20cを形成した後の第2パネル12の表面に、間隔維持部材16を塗布、散布、吹付け等の方法により配置し、しかる後に第1パネル11を接着すればよい。かかる構成を有する封止パネル装置においては、パネル間の対向距離は、実質的に間隔維持部材16の寸法により決定される。従って、シール部材20aの形成段階におけるシール部材20aの寸法制御や形状制御の負担を軽減しても、寸法精度に優れる封止パネル装置を得ることができる。
実施例2は、第1Bの態様に係る封止パネル装置、及び、第1Bの態様に係る封止パネル装置の製造方法に関する。実施例2に係る封止パネル装置では、シール部材20aの構成材料として、実施例1におけるフリット・ガラスに替えて、低融点金属材料を用いる。シール部材20aを構成する低融点金属材料の融点は、接着層30を構成する低融点金属材料の融点よりも高い。実施例2に係る封止パネル装置の構成は、実施例1に係る封止パネル装置の構成と同様であり、図1〜図3、及び図5の(C)に示したとおりである。ただし、実施例2では実施例1と異なり、シール部材20a自体に導電性が備わっているため、例えば図2においては、加速電源51に対する接続端子を形成するためにアノード電極113を外部に引き出す部分には、シール部材20aとアノード電極113との間に、通常形成されるパッシベーション膜とは別に絶縁層を形成しておくことが望ましい。また、制御回路52に対する接続端子を形成するためにゲート電極123を外部に引き出す部分にも、シール部材20aとゲート電極123との間に、通常形成されるパッシベーション膜とは別に絶縁層を形成しておくことが望ましい。
更に、シール部材20aを低融点金属材料により構成する場合の封止パネル装置の好ましい構成を、図5の(D)に示す。この構成においては、第1パネル11とシール部材20aとの間、及び、シール部材20aと第2パネル12との間に濡れ性改善層17が設けられている。ただし、濡れ性改善層17をどこに設けるかは、低融点金属材料に対する第1パネル及び第2パネルの濡れ性に応じて決定すればよく、第1パネル11側のみ、あるいは第2パネル12側のみに設けてもよいし、第1パネル11及び第2パネル12の両側に設けてもよい。濡れ性改善層17を設けた場合、加熱前の濡れ性改善層17とシール部材20cとの位置合わせ精度がそれ程高くなくても、加熱を経て最終的な接着が終了した時点で低融点金属材料が自らの表面張力により濡れ性改善層の上に自己整合的に収斂し、最終的に濡れ性改善層17とシール部材20aとが正確に位置合わせされるメリットがある。
濡れ性改善層17は、例えばチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、酸化銅(CuO)を用いて構成することができる。厚さは、0.1μm前後であればよい。尚、濡れ性改善層17の表面には自然酸化膜が生成する場合があるので、シール部材20aを形成する直前に、自然酸化膜を除去することが好適である。自然酸化膜の除去は、エッチング法、超音波印加法等の公知の方法で行うことができる。濡れ性改善層の形成方法として、スパッタ法、メッキ法を例示することができる。
実施例2に係る封止パネル装置の製造プロセスは、概念的には図4、図5の(A)及び図5の(B)に示したとおりであるが、以下、低融点金属材料の使用に伴う相違点について説明する。先ず、図4の(A)に示す段階では、第1パネル11及び第2パネルの周縁部にシール部材20cを形成または配置する。ここで、「形成」とは蒸着法、スパッタリング法、イオン・プレーティング法等の真空薄膜形成技術による製膜を意味し、「配置」とは線材や箔の載置又は貼り付けを意味する。これら「形成」又は「配置」の方法によっては、図5の(A)又は図5の(B)に示したように、第1パネル11又は第2パネル12のいずれか一方のみにシール部材20cが存在しても構わない。ここではシール部材20cの構成材料として、錫系はんだ(融点310〜350°C)を使用する。
次に、図4の(B)に示す段階では、約370°Cで加熱を行ってシール部材20aを形成し、第1パネル11と第2パネル12を接着する。この加熱温度は、シール部材20cを構成する低融点金属材料の融点よりも高い。続いて、図4の(C)に示す段階以降は、実施例1で述べたプロセスと同様である。即ち、接着層30としてインジウムのリングを使用し、真空雰囲気下、160°Cの加熱条件下で接着を行う。この温度は当然ながら、シール部材20cの構成材料である錫系はんだの融点よりも低く、接着層30を構成するインジウムの融点よりも高い。尚、実施例2においても、実施例1で述べた間隔維持部材16を同様に用いることができる。
実施例3は、実施例1又は実施例2の変形例である。即ち、実施例3の封止パネル装置においては、図6の(A)及び図6の(B)に示すように、シール部材20aの一部をパネルの周縁部に沿った方向の一部において切り欠くように開口部14が設けられており、この開口部14の周囲に配された補助接着層33によって先ず補助枠体43が接着され、更にこの補助枠体43の上に配された接着層31によって蓋部41が接着されている。蓋部41は、第1パネル11の縁部からシール部材20aを横断し、第2パネル12の縁部に亙るように設けられている。かかる構成は、無効領域の面積に開口部を設ける余裕が無い場合に有効である。しかも、パネル面の上下方向に蓋部や接着層による突起が生じないので、表示装置の薄型化に有利である。
実施例3の封止パネル装置におけるシール部材20aは、フリット・ガラス、低融点金属材料のいずれにより構成されてもよいが、フリット・ガラスにより構成される場合に特に有効である。これは、フリット・ガラスから成るシール部材20aと低融点金属材料から成る接着層31の直接接触を避けることができるからである。このようにシール部材20aがフリット・ガラスから成る場合は、補助接着層33もフリット・ガラスを用いて構成することが、信頼性確保の観点から最も簡便である。貫通孔を有する補助枠体43は、ガラス、金属、セラミクス等の材料から構成することができる。尚、シール部材20aが低融点金属材料から成る場合には、補助接着層33や補助枠体43は必ずしも必要ではない。実施例3における封止パネル装置においては、間隔維持部材や濡れ性改善層も適宜併用することができる。
実施例3の封止パネル装置の製造方法を、図7を参照して説明する。焼成条件や真空排気条件は実施例1で述べた通りでよく、ここでは実施例1と相違する部分を中心に述べる。先ず、図7の(A)に示すように、第1パネル11及び第2パネル12の周縁部に、例えばフリット・ガラスから成るシール部材20cを形成する。このとき、開口部14の形成予定領域を残すようにフリット・ガラスを塗布する。また、開口部14の周辺には補助接着層33を形成しておく。補助接着層33は、シール部材20cと異なる材料を用いて構成してもよいが、シール部材20cと同じくフリット・ガラスを用いて構成することが最も簡便である。なぜなら、シール部材20cを形成する際に、フリット・ガラスを両パネルの外縁部にはみ出すように塗布すれば、補助接着層33はシール部材20cの延在部分として形成することができるからである。あるいは、補助接着層33は予め補助枠体43上に形成しておいても良く、補助接着層33をシール部材20cとを互いに異なる材料にて構成する場合には、かかる方法が簡便である。
次に、第1パネル11と第2パネル12と補助枠体43とを位置合わせし、仮焼成及び本焼成を行う。これにより、図7の(B)に示すように、両パネルがシール部材20aにより接着され、更に、補助接着層33により補助枠体43が開口部14の周囲に接着される。
次に、図7の(C)に示すように、互いに接着された第1パネル11と第2パネル12と補助枠体43とを真空容器VC内にセットし、補助枠体43上に貫通孔を取り囲むように例えばインジウムから成る接着層31を載置し、更に、図示されない治具を用いて開口部14の延長上に蓋部41を保持する。尚、接着層31を予め蓋部41に設けても、あるいは、補助枠体43と蓋部41の双方に設けてもよい。この状態で、真空容器VCを排気し、続いて排気を継続したまま全体を加熱することにより、パネル、シール部材、接着層、補助接着層の脱ガスを促進させる。この後、接着層31の上に位置合わせした蓋部41を載せ、押圧、加熱を行えば、図7の(D)に示すように、補助枠体43と蓋部41とを完全に接着することができる。
実施例4は、実施例1〜実施例3とは異なり、シール部材が枠体を含む第2A及び2Bの態様に係る封止パネル装置、並びに、第2A及び2Bの態様に係る封止パネル装置の製造方法に関する。実施例4に係る封止パネル装置の概念図を図8に示し、これらの封止パネル装置を適用して構成された表示装置の模式的断面図を図9に示す。また、第2の態様に係る封止パネル装置の製造方法の概念図を図10〜図13に示す。尚、これらの図面で使用する符号は図1〜図6と一部共通であり、共通部分については詳しい説明を省略する。
図8に、第2A及び第2Aの構成に係る封止パネル装置の概念図を示す。図8の(A)は模式的断面図、図8の(B)は模式的斜視図である。矩形形状を有する第1パネル11と第2パネル12とは、シール部材20bによって接着されており、このシール部材20bは、第1接着層21と枠体23と第2接着層22とから構成されている。第1パネル11と枠体23とは第1接着層21によって接着されており、第2パネル12と枠体23とは第2接着層22によって接着されている。第2Aの態様に係る封止パネル装置においては、第1接着層21と第2接着層22は共にフリット・ガラスから成る。第2Bの態様に係る封止パネル装置においては、第1接着層21と第2接着層22は共に低融点金属材料から成る。第1パネル11の無効領域には開口部13が設けられており、この開口部13は、低融点金属材料から成る接着層30によって第1パネル11に接着された蓋部40により閉鎖されている。蓋部40と接着層30と第1パネル11と第1接着層21と枠体23と第2接着層22と第2パネル12とによって囲まれた空間は、真空(VAC)とされている。
図9に、実施例4の封止パネル装置を表示装置に適用した例を示す。この表示装置は、図2に示した実施例1の封止パネル装置におけるシール部材20aが、第1接着層21と枠体23と第2接着層22から成るシール部材20bに置き換わった構成を有する。かかる構成を有する表示装置においては、パネル間の対向距離は、実質的に枠体23の高さにより決定される。従って、枠体23の高さを選択することにより、実施例1〜実施例3に係る封止パネル装置に比べて、パネル間の対向距離をより長く設定することが可能であり、アノード/カソード間の電位差が7kV程度の所謂高電圧タイプの表示装置に有効である。
以下、実施例4の封止パネル装置の製造方法について説明する。枠体23を用いた封止パネル装置の製造方法は、(a)第1パネルと枠体と第2パネルの三者を同時に位置合わせして接着する方法と、(b)先ず、一方のパネルと枠体とを接着し、その後、枠体に他方のパネルを接着する方法に大別される。(a)の方法を図10及び図11に示し、(b)の方法を図12及び図13に示す。
(a)の方法においては、先ず図10の(A)に示すように、第1パネル11の周縁部及び枠体23の一方の面に第1接着層21cを配し、枠体23の他方の面及び第2パネル12の周縁部に第2接着層22cを配する。第2Aの態様に係る製造方法においては、第1接着層21cと第2接着層22cは共にフリット・ガラスから成り、双方の接着層を構成するフリット・ガラスは、同一組成を有するか、若しくは焼成温度が同一又は近似したものとする。第2Bの態様に係る製造方法においては、第1接着層21cと第2接着層22cは共に低融点金属材料から成り、双方の接着層を構成する低融点金属材料は、同一組成を有するか、若しくは融点が同一又は近似したものとする。尚、図10の(A)には、第1接着層21cと第2接着層22cとを第1パネル11、枠体23及び第2パネル12に配した例を示したが、この段階における第1接着層21cと第2接着層22cの配設パターンには図11の(A)〜(I)に示す計9通りがあり、第1パネル11及び/又は枠体23に対する第1接着層21cの濡れ性や所望の接着強度、並びに、枠体23及び/又は第2パネル12に対する第2接着層22cの濡れ性と所望の接着強度に応じて、適宜選択すればよい。
次に、図10の(B)に示すように、第1パネル11、枠体23、第2パネル12の三者を位置合わせし、第1接着層21及び第2接着層22で接着する。このときの接着は、第2Aの態様に係る製造方法においてはフリット・ガラスの仮焼成温度及び本焼成温度にて、又、第2Bの態様に係る製造方法においては第1接着層21c及び第2接着層22cを構成する低融点金属材料の融点よりも高い温度で行う。尚、フリット・ガラスの本焼成、及び低融点金属材料を用いた接着は、不活性ガス雰囲気中で行うことが好適である。
以後、図10の(C)に示すように、シール部材20bにより接着された第1パネル11と第2パネル12を真空容器VC内にセットし、実施例1又は実施例2で述べたプロセスに従い、低融点金属材料から成る接着層30を用いて蓋部40を接着し、封止を行う。蓋部40を接着する際の温度は160°Cと低く、且つ、接着のための加熱は極めて局所的に行われるので、第1接着層21c及び第2接着層22cをフリット・ガラスあるいは低融点金属材料のいずれを用いて形成した場合にも、第1接着層21や枠体23や第2接着層22、並びに第1パネル11や第2パネル12から新たな脱ガスが生ずることがない。従って、図10の(D)に示す封止パネル装置において、空間の最終到達真空度を極めて高いレベルに維持することが可能となる。
一方、(b)の方法においては、例えば、第1段階として第1接着層21による第1パネル11と枠体23との接着を行い、第2段階として第2接着層22による枠体23と第2パネル12との接着を行う。従って、第2段階で行われる加熱により、第1段階で既に形成された第1接着層21が変形したり流失したりすることを避けるために、第1接着層21は第2接着層22よりも耐熱性の高い材料にて構成する必要がある。即ち、第2Aの態様に係る製造方法では、第1接着層21を構成するフリット・ガラスの焼成温度は、第2接着層22を構成するフリット・ガラスの焼成温度よりも高くなければならず、第2Bの態様に係る製造方法では、第1接着層21を構成する低融点金属材料の融点は、第2接着層22を構成する低融点金属材料の融点よりも高くなければならない。
先ず、図12の(A)に示すように、第1パネル11の周縁部と枠体23とに第1接着層21cを配する。次に、図12の(B)に示すように、加熱を行って第1パネル11と枠体23とを第1接着層21により接着する。このときの加熱は、第1接着層21がフリット・ガラスから成る場合にはこのフリット・ガラスの仮焼成温度及び本焼成温度にて行い、又、第1接着層21が低融点金属材料から成る場合にはこの低融点金属材料の融点以上の温度にて行う。
次に、図12の(C)に示すように、枠体23と第2パネル12の周縁部に第2接着層22cを配する。図12の(C)には、第2接着層22cとを枠体23と第2パネル12の双方に配した例を示したが、この段階における第1接着層21cと第2接着層22cの配設パターンには図13の(A)〜(C)に示す計3通りがあり、第2パネル11及び/又は枠体23に対する第2接着層22cの濡れ性や所望の接着強度に応じて、適宜選択すればよい。尚、第1接着層21cの配置パターンについても同様に3通りが存在するので、(b)の方法における第1接着層21cと第2接着層22cの配置パターンには計9通りが存在することになる。
次に、加熱を行って枠体23と第2パネル12とを第2接着層22により接着する。このときの加熱は、第2接着層22がフリット・ガラスから成る場合にはこのフリット・ガラスの仮焼成温度及び本焼成温度にて行うが、第1接着層21を構成するフリット・ガラスの仮焼成温度よりも低い温度とする。又、第2接着層22が低融点金属材料から成る場合にはこの低融点金属材料の融点以上の温度にて行うが、第1接着層21を構成する低融点金属材料の融点よりも低い温度とする。この後、上述したプロセスに従って接着層30により蓋部40を接着し、封止パネル装置を完成させる。
尚、第2A及び第2Bの態様の中間的な態様として、第1接着層21をフリット・ガラス、第2接着層22を低融点金属材料から構成することも可能である。このような場合には、フリット・ガラスの焼成温度にて先ず第1パネルと枠体とを接着し、しかる後に、この焼成温度より低く、低融点金属材料の融点以上の温度にて枠体と第2パネルを接着すればよい。また、第1パネルが表示装置においてアノード電極が形成される側のパネルである場合、高電圧が印加されるアノード電極の引出し部の絶縁性を高めるために、第1接着層の中でアノード電極の引出し部の近傍のみをフリット・ガラスで構成し、残部を低融点金属材料で構成することもできる。
実施例5は、実施例4の変形例である。即ち、実施例5の封止パネル装置においては、図14の(A)及び図14の(B)に示すように、シール部材20bの一部をパネルの周縁部に沿った方向の一部において切り欠くように開口部15が設けられている。つまり、開口部15は第1接着層21と枠体23と第2接着層22の全てを同一部位で切り欠くように設けられており、この開口部15の周囲に配された補助接着層34によって先ず補助枠体44が接着され、更にこの補助枠体44の上に配された接着層32によって蓋部42が接着されている。蓋部42は、第1パネル11の縁部からシール部材20aを横断し、第2パネル12の縁部に亙るように設けられている。
実施例5に係る封止パネル装置のシ−ル部材20bに含まれる第1接着層21、第2接着層22及び補助接着層34は、フリット・ガラス、低融点金属材料のいずれにより構成されてもよいが、以下、これら三者をいずれもフリット・ガラスとする場合の製造方法を、図15を参照して説明する。焼成条件や真空排気条件は実施例4で述べた通りでよく、ここでは実施例4と相違する部分を中心に述べる。先ず、図15の(A)に示すように、第1パネル11と第2パネル12の周縁部であって、開口部14の形成予定領域を残す部位に、フリット・ガラスを塗布する。又、枠体23の両面にもフリット・ガラスを塗布する。更に、開口部15の周辺には補助接着層34を形成しておく。この補助接着層34は、第1接着層21cや第2接着層22cの延在部分として形成してもよいし、あるいは第1接着層21cや第2接着層22cとは別に形成してもよいし、更にあるいは補助枠体44上に形成してもよい。
次に、第1パネル11と第2パネル12と補助枠体44とを位置合わせし、仮焼成及び本焼成を行う。これにより、図15の(B)に示すように、両パネルと枠体23とがそれぞれ第1接着層21及び第2接着層22により接着され、更に、補助接着層34により補助枠体44が開口部15の周囲に接着される。
次に、図15の(C)に示すように、互いに接着された第1パネル11と第2パネル12と補助枠体44とを真空容器VC内にセットし、補助枠体44上に貫通孔を取り囲むように例えばインジウムから成る接着層32を載置し、更に、図示されない治具を用いて開口部15の延長上に蓋部42を保持する。尚、接着層32は予め蓋部42に設けても、あるいは、補助枠体44と蓋部42の双方に設けてもよい。この状態で、真空容器VCを排気し、続いて排気を継続したまま全体を加熱することにより、パネル、シール部材、接着層、補助接着層の脱ガスを促進させる。この後、接着層32の上に位置合わせした蓋部42を載せ、押圧、加熱を行えば、図15の(D)に示すように、補助枠体44と蓋部42とを完全に接着することができる。
以上、本発明を、発明の実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。封止パネル装置の構造の細部、封止パネル装置を適用した表示装置の構造の細部は例示であり、適宜変更、選択、組合せが可能である。例えば、間隔維持部材16や濡れ性改善層17は、本発明の全ての態様に係る封止パネル装置及びその製造方法に適用することができる。また、本発明の全ての態様に係る封止パネル装置を適用して表示装置を構成することができる。
本発明の封止パネル装置あるいはその製造方法においては、第1パネル及び/又は第2パネルとして、周縁部にフリット・ガラスから成る突起部(第2の態様に係る封止パネル装置における枠体に相当する)が形成された第1パネル及び/又は第2パネルを用いることもできる。そして、必要に応じて、第1パネル及び/又は第2パネルのかかる突起部に低融点金属材料から成るシール部材を形成し、あるいは配置すればよい。また、かかる構造の第1パネル及び/又は第2パネルを用いる場合であって、濡れ性改善層を形成する必要がある場合には、フリット・ガラスから成る突起部の頂面に濡れ性改善層を形成すればよい。
又、本発明の封止パネル装置の製造方法においては、低融点金属材料から成る接着層、第1接着層又は第2接着層の表面に自然酸化膜が生成する場合があるので、加熱による接着を行う直前に、自然酸化膜を除去することが好適である。自然酸化膜の除去は、例えば、希塩酸を用いたウェットエッチング法、塩素系ガスを用いたドライエッチング法、超音波印加法等の公知の方法で行うことができる。
本発明の封止パネル装置を適用した表示装置においては、収束電極を設けてもよい。即ち、電界放出素子を構成するゲート電極123上に層間絶縁層を形成し、更に、その上に収束電極を形成した構成とすることもできる。尚、この場合には、層間絶縁層及び収束電極には、電子放出用開口部125と連通した開口部を設けておく。
また、本発明の封止パネル装置を適用した表示装置においては、第1パネルと第2パネルの少なくとも一方において、パネル表面の一部はゲッターを収容するための箱部によって構成されており、かかるゲッター室には開口部が設けられており、開口部は低融点金属材料から成る接着層によってパネルを構成するゲッター室に接着された蓋部により閉鎖された構造とすることもできる。第1パネル11の表面の一部がゲッター63を収容するための箱部60で形成された封止パネル装置を概念的に図16に示す。また、かかる封止パネル装置の概念的に示す分解斜視図を図17に示す。尚、図17に示した封止パネル装置の基本的な構成は実施例4と同様であるが、他の封止パネル装置にもゲッター63を収容するための箱部60を適用することができることは云うまでもない。ここで、これらの図面の符号は図8と一部共通であり、共通部分については詳しい説明を省略する。図17では、第1接着層21と第2接着層22の図示を省略し、第1パネル11の有効領域と第2パネル12を明確化するために斜線を施した。
箱部60に設けられた開口部61は、低融点金属材料から成る接着層30によって第1パネル10の一部を構成する箱部60に接着された蓋部40により閉鎖されている。箱部60は例えばガラスを用いて構成され、底の無い直方体形状を有する。箱部60の底側の四辺は、図示しない接着材層(例えば、フリット・ガラスから成る)を用いて第1パネル11の無効領域に接着されている。箱部60内において、箱部60の天井面と第1パネル11の上面との間に一対の板ばね64が架け渡されており、この板ばね64の付勢によって円盤状のゲッター63が箱部60内に保持されている。このゲッター63は非蒸発型であり、例えばジルコニウム等の卑金属から成る。箱部60の上面には開口部61が設けられている。箱部60に囲まれる第1パネル11の領域には、第1パネル11と第2パネル12との間の空間と箱部60内とを連通させるための貫通孔62が設けられている。
11・・・第1パネル、12・・・第2パネル、15・・・ゲッター、16・・・間隔維持部材、17・・・濡れ性改善層、20a,20b,20c・・・シール部材、21・・・第1接着層、22・・・第2接着層、23・・・枠体、30,31,32・・・接着層、40,41,42・・・蓋部、33,34・・・補助接着層、43,44・・・補助枠体、110・・・透明支持体、111・・・ブラック・マトリクス、112R,112G,112B・・・蛍光体層、113・・・アノード電極、120・・・支持体、121・・・カソード電極、123・・・ゲート電極、51・・・加速電源、52・・・制御回路、53・・・走査回路、60・・・箱部、61・・・開口部、62・・・貫通孔、63・・・ゲッター、64・・・板ばね
Claims (20)
- 対向配置された第1パネルと第2パネルから成り、
第1パネルと第2パネルとは、周縁部において、シール部材を用いて接着されている封止パネル装置であって、
シール部材は、枠体、第1接着層、及び、第2接着層から構成されており、
第1パネルと該枠体とは、第1接着層の加熱処理によって接着されており、
第2パネルと該枠体とは、第2接着層の加熱処理によって接着されており、
第2接着層の加熱温度は、第1接着層の加熱温度よりも低いことを特徴とする封止パネル装置。 - 第1接着層はフリット・ガラスから成り、第2接着層はフリット・ガラスから成ることを特徴とする請求項1に記載の封止パネル装置。
- 第1接着層は低融点金属材料から成り、第2接着層は低融点金属材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の封止パネル装置。
- 第1接着層はフリット・ガラスから成り、第2接着層は低融点金属材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の封止パネル装置。
- 第1接着層、及び/又は、第2接着層は、In、インジウム−金系の低融点合金、錫(Sn)系高温はんだ、鉛(Pb)系高温はんだ、亜鉛(Zn)系高温はんだ、あるいは、ろう材から成ることを特徴とする請求項3に記載の封止パネル装置。
- 第2接着層は、In、インジウム−金系の低融点合金、錫(Sn)系高温はんだ、鉛(Pb)系高温はんだ、亜鉛(Zn)系高温はんだ、あるいは、ろう材から成ることを特徴とする請求項4に記載の封止パネル装置。
- 第1パネルとシール部材との間、及び/又は、シール部材と第2パネルとの間に、濡れ性改善層が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の封止パネル装置。
- シール部材と第2パネルとの間に、濡れ性改善層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の封止パネル装置。
- 濡れ性改善層は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、あるいは、酸化銅(CuO)により構成されていることを特徴とする請求項7あるいは請求項8に記載の封止パネル装置。
- 第1パネルは、透明支持体、並びに、該透明支持体上に形成されたアノード電極及び蛍光体層から成り、
第2パネルは、支持体、並びに、該支持体上に形成され、アノード電極及び蛍光体層に対向した複数の冷陰極電界電子放出素子から成ることを特徴とする請求項1に記載の封止パネル装置。 - 対向配置された第1パネルと第2パネルから成り、第1パネルと第2パネルとは、周縁部において、枠体、第1接着層、及び、第2接着層から成るシール部材を用いて接着されている封止パネル装置の製造方法であって、
(1)第1パネルの周縁部、及び/又は、枠体に、第1接着層を配し、
(2)加熱処理によって第1パネルと枠体とを第1接着層により接着し、
(3)第2パネルの周縁部、及び/又は、枠体に、第2接着層を配し、
(4)第1接着層の加熱温度よりも低い温度での加熱処理によって枠体と第2パネルとを第2接着層により接着することを特徴とする封止パネル装置の製造方法。 - 第1接着層はフリット・ガラスから成り、第2接着層はフリット・ガラスから成ることを特徴とする請求項11に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 第1接着層は低融点金属材料から成り、第2接着層は低融点金属材料から成ることを特徴とする請求項11に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 第1接着層はフリット・ガラスから成り、第2接着層は低融点金属材料から成ることを特徴とする請求項11に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 第1接着層、及び/又は、第2接着層は、In、インジウム−金系の低融点合金、錫(Sn)系高温はんだ、鉛(Pb)系高温はんだ、亜鉛(Zn)系高温はんだ、あるいは、ろう材から成ることを特徴とする請求項13に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 第2接着層は、In、インジウム−金系の低融点合金、錫(Sn)系高温はんだ、鉛(Pb)系高温はんだ、亜鉛(Zn)系高温はんだ、あるいは、ろう材から成ることを特徴とする請求項14に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 第1パネルとシール部材との間、及び/又は、シール部材と第2パネルとの間に、濡れ性改善層が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の封止パネル装置の製造方法。
- シール部材と第2パネルとの間に、濡れ性改善層が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 濡れ性改善層は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、あるいは、酸化銅(CuO)により構成されていることを特徴とする請求項17あるいは請求項18に記載の封止パネル装置の製造方法。
- 第1パネルは、透明支持体、並びに、該透明支持体上に形成されたアノード電極及び蛍光体層から成り、
第2パネルは、支持体、並びに、該支持体上に形成され、アノード電極及び蛍光体層に対向した複数の冷陰極電界電子放出素子から成ることを特徴とする請求項11に記載の封止パネル装置の製造方法。
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