JP2006092598A - 相変化型光記録媒体と高速記録時の最適記録パワー予測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 21〜42m/sで記録可能な相変化型光記録媒体のリードインゾーンにおいてEFM+変調方式で2T周期ストラテジによりテスト記録を行ない、高速記録線速度での最適記録パワーを予測する方法であって、最短マーク長を0.38〜0.42μmとし、媒体の最内周において1種類の記録線速度Vで記録パワーPpを変化させながらテスト記録及び再生を行なって得られるテストデータと、媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式から、高速記録線速度V0におけるテストデータを予測する高速記録線速度での最適記録パワー予測方法。
【選択図】 図2
Description
特許文献2には、2つ以上の異なる記録線速度でそれぞれ段階的に記録パワーを変化させて記録を行ない、その記録を再生してそれぞれの記録パワーにおける信号振幅を測定し、異なる記録線速度において信号振幅が等しくなる記録パワーについて、線速度に対する記録パワーの一次近似式を求めることにより、テスト記録(試し書き)の時よりも速い記録線速度における最適記録パワーを決定する方法が開示されているが、この発明は、2種類以上の記録線速度から高速記録線速度での最適記録パワーを予測する方法に係るものであって本発明とは異なる。また、テスト記録や読み出しに手間がかかってしまい、ユーザーが光ディスクを利用する際に時間を取られるという難点がある。
特許文献4には、光ディスクのPCA領域に所定の基本線速度でテスト記録を行ない、その結果に基づいて基本線速度における最適記録パワーを決定し、基本線速度とは異なる線速度で記録を行なう時、基本線速度における最適記録パワーに対して所定の演算を行なった結果に基づいて記録パワーを決定する方法の発明が開示されており、これにより高速域でも品質の良い記録を行なうことができるとの記述がある。しかし、この発明は情報記録方法に関するものであり、光記録媒体のリードインゾーンに新たに物理フォーマット情報を記載し高速記録線速度での最適記録パワーを予測する方法についての記述は無い。
特許文献5に開示された技術は、γ法を用いた最適記録パワー決定方法を利用するところは本発明に類似しているが、DVD−ROMの8倍速以上の走査速度で繰り返し記録が可能な光記録媒体を対象としておらず、高線速での最適記録パワーを予測する方法に関する記述は無い。
このCAV回転方式でディスクの所定領域に記録パワーを振って(変化させて)テスト記録(試し書き)を行ない、その信号を読み出して最適記録パワーを決定するOPC(Optimum Power Control、最適記録パワー制御)が光ディスクドライブで用いられている。最適記録パワーを決定する際に用いられる手法は、テスト記録で得られた信号のアシンメトリを記録パワー決定に用いる方法や、テスト記録で得られた信号の変調度カーブやガンマカーブを記録パワー決定に用いる方法などがある。
現在市販されている走査速度1〜4倍速で記録が行なえる書き換え可能なDVD+RW相変化型光記録媒体は、記録したい走査速度に相当する回転数においてOPCが行なわれている。例えば、1倍速での回転数は約1500rpm、4倍速での回転数は約6000rpmであり、スピンドルモーターの許容回転数までには余裕がある。しかし、8倍速以上の走査速度でも記録が行なえるDVD+RW相変化型光記録媒体を開発するに当たり、CAV回転方式でOPCを行なうと、記録したい線速度に対応するスピンドルモーターの回転数が限界に近くなり、それ以上の回転数では光記録媒体を回転させることができない。例えば、最内周での記録線速度を6倍速(約20.9m/s)に設定すると、回転数が約9000rpmとなり、回転数が許容限界に近くなるし、最内周での記録線速度が8倍速(約27.9m/s)になると、回転数が約12000rpmとなってしまい、回転数が10000rpmを大きく超える。つまり、PCAでのテスト記録を行なう際には、DVD−ROMの再生速度の6倍に相当する走査速度までが許容範囲となる。
従って本発明は、DVD−ROMと同容量(4.7GB)で、再生速度3.49m/sの8倍速以上の走査速度でも記録が行なえる書き換え可能な相変化型光記録媒体に対し、6倍速以下の速度VでのOPC結果から、6倍速よりも高速の記録線速度V0(21m/s≦V0≦42m/s)に対応した最適記録パワーPpo(V0)を予測する方法、及び、この方法に適した相変化型光記録媒体の提供を目的とする。
1) 記録可能な線速範囲が21〜42m/sである相変化型光記録媒体のリードインゾーンの所定領域で実際に記録に用いる記録線速よりも遅い線速範囲でテスト記録を行なった結果から、高速記録線速度での最適記録パワーを予測する方法であって、テスト記録においてマークを記録するための変調方式としてEFM+変調方式を採用し、最短マーク長(3T)を0.38〜0.42μmとし、かつ、マークを記録するためのパルス条件として、3Tマークを記録する際には1パルスとし、(3+N)Tマーク(Nは自然数)を記録する際には、Nが2増える毎に1パルス付加する記録ストラテジ(2T周期ストラテジ)を採用し、相変化型光記録媒体の最内周の所定領域において1種類の記録線速度Vで記録パワーPpを変化させながらテスト記録を行ない、記録された情報を再生することによって得られるテストデータに、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式を掛けることを少なくとも含む操作により、高速記録線速度V0におけるテストデータを予測する(但し、V0/2≦V<V0)ことを特徴とする相変化型光記録媒体の高速記録線速度での最適記録パワー予測方法。
2) テストデータが、変調度カーブm(Pp,V)で表されることを特徴とする1)記載の最適記録パワー予測方法。
3) 高速記録線速度V0における変調度カーブm(Pp0,V0)を、1種類の記録線速度Vでのテスト記録から得られた変調度カーブm(Pp,V)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式A[Pp]を使って、下記式により予測することを特徴とする請求項2記載の最適記録パワー予測方法。
m(Pp0,V0)=m(Pp×A[Pp],V)
4) 変調度カーブm(Pp0,V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているModulationtargetを使って、Ptarget(V0)を予測することを特徴とする3)記載の最適記録パワー予測方法。
5) Ptarget(V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているρ(V0)を使って、最適記録パワーPpo(V0)を予測することを特徴とする4)記載の最適記録パワー予測方法。
6) テストデータが、変調度カーブm(Pp,V)から下記式により計算されるガンマカーブγ(Pp,V)で表されることを特徴とする1)記載の最適記録パワー予測方法。
γ(Pp,V)=〔dm(Pp,V)/dPp〕×〔Pp/m(Pp,V)〕
7) 高速記録線速度V0におけるガンマカーブγ(Pp0,V0)を、1種類の記録線速度Vでのテスト記録から得られたガンマカーブγ(Pp,V)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式B[Pp]を使って、下記式により予測することを特徴とする6)記載の最適記録パワー予測方法。
γ(Pp0,V0)=γ(Pp×B[Pp],V)
8) ガンマカーブγ(Pp0,V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているγtargetを使って、Ptarget(V0)を予測することを特徴とする7)記載の最適記録パワー予測方法。
9) Ptarget(V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているρ(V0)を使って、最適記録パワーPpo(V0)を予測することを特徴とする8)記載の最適記録パワー予測方法。
10) 少なくとも透明基板と記録層を有し、記録可能な線速範囲が21〜42m/sであり、リードインゾーンに複数の記録線速度におけるPIND、Modulationtarget又はγtarget、ρ(V0)、及び係数演算式がプリフォーマットされていることを特徴とする1)、2)、6)の何れかに記載の最適記録パワー予測方法を適用することが可能な相変化型光記録媒体。
11) 少なくとも透明基板と記録層を有し、記録可能な線速範囲が21〜42m/sであり、リードインゾーンに複数の記録線速度におけるPIND、Modulationtarget、ρ(V0)、及び係数演算式A[Pp]がプリフォーマットされていることを特徴とする3)〜5)の何れかに記載の最適記録パワー予測方法を適用することが可能な相変化型光記録媒体。
12) 少なくとも透明基板と記録層を有し、記録可能な線速範囲が21〜42m/sであり、リードインゾーンに複数の記録線速度におけるPIND、γtarget、ρ(V0)、及び係数演算式B[Pp]がプリフォーマットされていることを特徴とする7)〜9)の何れかに記載の最適記録パワー予測方法を適用することが可能な相変化型光記録媒体。
13) 記録層が、少なくともGa、Sb、Snの3元素を含む相変化材料からなり、非晶質を形成させることで情報を記録し、結晶質を形成させることで情報を消去し、非晶質と結晶質とを交互に繰り返すことによって繰り返し記録が可能であることを特徴とする10)〜12)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
14) 透明基板が、トラックピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.3μmの蛇行溝を有することを特徴とする10)〜13)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
本発明1によれば、媒体のリードインゾーンの所定領域に1種類の記録線速度Vでテスト記録を行なうことにより、目的のDVD8倍速以上の高速記録線速度における最適記録パワーを予測することが可能となる。テスト記録によって得られたテストデータに、媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式を掛けることにより、高速記録線速度V0でのテストデータが予測できる。その後は前述した従来のγ法で最適記録パワーを決定する方法に従えばよい。1種類の記録線速度Vでのテスト記録で済むので、テスト記録や読み出しの時間を最短にすることができ、ユーザーが光ディスクを利用する際に時間を取られないようにできる。
その方法としては、本発明3のように、1種類の記録線速度Vでのテスト記録から得られる変調度カーブm(Pp,V)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているPpの関数である係数演算式A[Pp]を用いて、次の式から求めるのが良い。
m(Pp0,V0)=m(Pp×A[Pp],V)
つまり、記録線速度Vでの変調度カーブm(Pp,V)を、記録パワーPp方向に係数A[Pp]を掛けて移動させることにより、高速記録線速度V0での変調度カーブm(Pp0,V0)を予測する。A[Pp]は、その時に使用される光記録媒体に固有の関数であれば定数関数でも複雑な関数でも良い。これにより、従来のγ法の考え方を利用して、予め決められているModulationtargetの値を使えば、ガンマカーブを計算しなくても変調度のデータから高速記録線速度V0でのPtarget〔=Ptarget(V0)〕を予測することが可能である(本発明4)。そして、予め決められているρ(V0)を用いて、Ppo(V0)=ρ(V0)×Ptarget(V0)の式から、高速記録線速度V0での最適記録パワーPpo(V0)を求めることができる(本発明5)。
その方法としては、本発明7のように、1種類の記録線速度Vでのテスト記録から得られる変調度カーブm(Pp,V)から計算されるγ(Pp,V)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているPpの関数である係数演算式B[Pp]を用いて、次の式から求めるのが良い。
γ(Pp0,V0)=γ(Pp×B[Pp],V)
つまり、記録線速度Vでのガンマカーブを、記録パワーPp方向に係数B[Pp]を掛けて移動させることにより、高速記録線速度V0でのガンマカーブγ(Pp0,V0)を予測する。B[Pp]は、その時に使用される光記録媒体に固有の関数であれば定数関数でも複雑な関数でも良い。これにより、従来のγ法の考え方と同様に、予め決められているγtargetの値を使えば、高速記録線速度V0でのPtarget〔=Ptarget(V0)〕を予測することが可能となる(本発明8)。そして、本発明2〜3の場合と同様に、予め決められているρ(V0)を用いて、Ppo(V0)=ρ(V0)×Ptarget(V0)の式から、高速記録線速度V0での最適記録パワーPpo(V0)を求めることができる(本発明9)。
図1は、従来のある記録線速度での最適記録パワーPpoが求まるまでのフローチャートであり、図2は、本発明の方法により、高速記録線速度V0での最適記録パワーPpo(V0)を予測するまでのフローチャートである。
従来の1〜4倍速DVD+RWでは、記録したい線速でのOPCを行なえば良かったため、A[Pp]、B[Pp]のような物理フォーマット情報は必要なかった。しかし、DVD−ROMの再生速度3.49m/sの8倍速以上の走査速度でも記録が行なえる書き換え可能なDVD+RW光記録媒体を開発するに当っては、高速記録線速度V0でのOPCが困難なため、光記録媒体のリードインゾーンに新たな物理フォーマット情報を加える必要がある。
図2にも示したように、変調度カーブから最適記録パワーPpo(V0)を予測するには、物理フォーマット情報として係数演算式A[Pp]が必要であるし、ガンマカーブから最適記録パワーPpo(V0)を予測するには、物理フォーマット情報として係数演算式B[Pp]が必要である。従って、これらの情報の少なくとも一方を、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットしておく必要がある。
従来の1〜4倍速DVD+RWに用いられているAgInSbTe系の相変化型記録層材料では、材料独自の持つ結晶化速度が遅く高速記録には向いていないため、8倍速以上の記録走査速度ではアモルファスマークを的確に記録することができない。従って8倍速以上の記録走査速度でも記録が可能となる新規の相変化型記録層材料の発見が求められている。これまでのところ、GaSbSnの3元素系、GaSbSnGe、GaSbSnInの4元素系、GaSbSnGeInの5元素系などの記録層材料が発見されてきている。これらの元素の組成比を変化させることによって、高速記録に対応可能な程度の結晶化速度を持たせることができる。また、それぞれの元素の組成比を数パーセントの範囲で突き詰めていくことにより、8倍速以上の記録に対応できる記録層材料を実現させることが可能となる。
相変化型記録層材料の好ましい具体例としては、Ga11.9Sb73.1Sn15.0、Ga5Sb70Sn17Ge8、Ga2Sb74Sn10Ge9In5などが挙げられる。組成比に関しては、これらに限定されることなく、本発明の最適記録パワー予測方法を適用することができる。
トラックピッチ0.74μm、溝深さ27nm、溝幅0.27μmの案内溝を持つ透明基板上に、ZnS−SiO2からなる膜厚60nmの下部保護層、SiO2からなる膜厚2nmの界面層、Ga5Sb70Sn17Ge8(原子%)からなる膜厚16nmの相変化記録層、ZnS−SiO2からなる膜厚7nmの上部第一保護層、SiCからなる膜厚4nmの上部第二保護層、Agからなる膜厚140nmの反射層を、スパッタリング法でこの順に積層し相変化型光記録媒体(ディスク)を得た。次いで、相変化ディスク用初期化装置で初期化した。初期化は集光ビーム径が75μmとなる光ヘッドを用い、パワー1500mW(ここでは、LDの消費電力であり、照射パワーとは異なる)、走査速度18.5m/s、送り50μm/回転、の条件で結晶化することで行なった。
上記のようにして得られた相変化型光記録媒体に対し記録実験を行なった。
相変化記録層への情報の記録は、アモルファス状態を形成させて記録マークを作るためのピークパワーPp、急冷効果を与えてアモルファスマークを作り易くするためのボトムパワーPb、結晶質を形成させて情報を消去するためのイレースパワーPeの3レベル(Pp>Pe>Pb)で強度変調された2T周期記録ストラテジを用いて行った。ストラテジのパルス発生装置には日本テクトロニクス社製DTG−5274を用い、設定分解能は、記録走査速度v≦27.9m/sのときは、0.026159×16×v[GHz]であり、記録走査速度v>27.9m/sのときは、0.026159×12×v[GHz]である。記録走査速度が速くなることにより分解能が増加し、DTG−5274の分解能のスペック(3.5GHz)を超えてしまうため、特に、v>27.9m/sではストラテジの分解能を下げる必要があった。使用した評価装置は、パルステック社製のDDU−1000であり、対物レンズのNA=0.65、記録再生に用いられるレーザー波長λ=660nmである。記録パワーのスペックは、Ppで最大40mW、Peで最大18mWである。また、Pbは、急冷効果を与えるには出来るだけ小さなパワーが良いため、0.1mWに固定して記録を行なった。変調度カーブは、1トラックにオーバーライト10回のテスト記録を行なうことによって算出した。
記録線速度V=20.9m/sでテスト記録を行なった結果を図3に示す。高速記録線速度V0=27.9m/sの変調度カーブは最内周では書くことができないため、予測するためのデータを光ディスクの中周域で取ったものである。
この図3によると、記録線速度V=20.9m/sでの変調度カーブm(Pp,V=20.94)に、係数演算式A[Pp]=1.11を掛けることにより、V0=27.9m/sでの変調度カーブm(Pp0,V0=27.9)を予測できる。
界面層を無くし、記録層材料をGa7Sb69Sn18Ge6(原子%)に変え、上部第一保護層の膜厚を5nmに変えた点以外は、実施例1と同様にして相変化型光記録媒体を作成し、記録実験を行なった。
記録線速度V=20.9m/sでテスト記録を行なった結果を図4に示す。高速記録線速度V0=27.9m/sの変調度カーブは最内周では書くことができないため、予測するためのデータを光ディスクの中周域で取ったものである。
この図4によると、記録線速度V=20.9m/sでの変調度カーブm(Pp,V=20.9)に、係数演算式A[Pp]=1.1を掛けることにより、V0=27.9m/sでの変調度カーブm(Pp0,V0=27.9)を予測できる。
実施例2と同じ相変化型光記録媒体を用いて記録実験を行なった。
記録線速度V=14m/sでテスト記録を行なった結果を図5に示す。高速記録線速度V0=27.9m/sの変調度カーブは最内周では書くことができないため、予測するためのデータを光ディスクの中周域で取ったものである。
この図5によると、記録線速度V=14m/sでの変調度カーブm(Pp,V=14)に、係数演算式A[Pp]=0.0003Pp2−0.024Pp+1.6159を掛けることにより、V0=27.9m/sでの変調度カーブm(Pp0,V0=27.9)を予測できる。
この場合、記録線速度Vは高速記録線速度V0の約半分であるため、実施例1及び実施例2の場合に比べて、予測されたカーブと実際の高速記録線速度である27.9m/sでの変調度カーブとのフィッティングが悪くなった。
本実施例の線速条件(27.9m/sのパワー条件を14m/sの条件において予測する)の場合には、それでもまだ良いフィッティングが得られているので、実際のドライブでのパワー予測を行った場合でも記録特性に大きな影響は無いが、14m/sより遅い線速を用いた場合にはその誤差が大きくなっていく。誤差の許容度は媒体自体が最適パワーからマイナス側で15%、ドライブの設定誤差を10%と見積もるのが一般的であるため、パワー予測分の誤差範囲は±5%程度に抑えるべきである。実際の高速記録線速度が27.9m/s程度であれば、14m/s未満でも誤差範囲内に留めることが可能であるが、例えば2T周期記録ストラテジの適用限界と見られる42m/sの高速記録線速条件になると1/2倍未満の線速では、許容範囲である±5%を超えてしまう場合があることが実験により確かめられている。このためテスト記録に用いる記録線速度Vの範囲は、V0/2≦V≦V0を満たすようにする必要がある。
相変化記録層の材料をGa5Sb70Sn17Ge8(原子%)に変えた点以外は、実施例2と同様にして相変化型光記録媒体を作成し、記録実験を行なった。
記録線速度V=14m/sでテスト記録を行なった結果を図6に示す。高速記録線速度V0=27.9m/sの変調度カーブは最内周では書くことができないため、予測するためのデータを光ディスクの中周域で取ったものである。
この図6によると、記録線速度V=14m/sでの変調度カーブm(Pp,V=14)に、係数演算式A[Pp]=0.0003Pp2−0.0215Pp+1.5194を掛けることにより、V0=27.9m/sでの変調度カーブm(Pp0,V0=27.9)を予測できる。
実施例2と同じ相変化型光記録媒体を用いて記録実験を行なった。
記録線速度V=20.9m/sでテスト記録を行なって、ガンマカーブを計算した後の結果を図7に示す。高速記録線速度V0=27.9m/sのガンマカーブは、最内周では書くことができないため、予測するための変調度データを光ディスクの中周域で取り、それをガンマカーブに変換したものである。
この図7によると、記録線速度V=20.9m/sでのガンマカーブγ(Pp,V=20.9)に、係数演算式B[Pp]=1.1を掛けることにより、V0=27.9m/sでのガンマカーブm(Pp0,V0=27.9)を予測できる。
実施例4と同じ相変化型光記録媒体を用いて記録実験を行なった。
記録線速度V=14m/sでテスト記録を行なって、ガンマカーブを計算した後の結果を図8に示す。高速記録線速度V0=27.9m/sのガンマカーブは、最内周では書くことができないため、予測するための変調度データを光ディスクの中周域で取り、それをガンマカーブに変換したものである。
この図8によると、記録線速度V=14m/sでのガンマカーブγ(Pp,V=14)に、係数演算式B[Pp]=1.27を掛けることにより、V0=27.9m/sでのガンマカーブγ(Pp0,V0=27.9)を予測できる。
Claims (14)
- 記録可能な線速範囲が21〜42m/sである相変化型光記録媒体のリードインゾーンの所定領域で実際に記録に用いる記録線速よりも遅い線速範囲でテスト記録を行なった結果から、高速記録線速度での最適記録パワーを予測する方法であって、テスト記録においてマークを記録するための変調方式としてEFM+変調方式を採用し、最短マーク長(3T)を0.38〜0.42μmとし、かつ、マークを記録するためのパルス条件として、3Tマークを記録する際には1パルスとし、(3+N)Tマーク(Nは自然数)を記録する際には、Nが2増える毎に1パルス付加する記録ストラテジ(2T周期ストラテジ)を採用し、相変化型光記録媒体の最内周の所定領域において1種類の記録線速度Vで記録パワーPpを変化させながらテスト記録を行ない、記録された情報を再生することによって得られるテストデータに、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式を掛けることを少なくとも含む操作により、高速記録線速度V0におけるテストデータを予測する(但し、V0/2≦V<V0)ことを特徴とする相変化型光記録媒体の高速記録線速度での最適記録パワー予測方法。
- テストデータが、変調度カーブm(Pp,V)で表されることを特徴とする請求項1記載の最適記録パワー予測方法。
- 高速記録線速度V0における変調度カーブm(Pp0,V0)を、1種類の記録線速度Vでのテスト記録から得られた変調度カーブm(Pp,V)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式A[Pp]を使って、下記式により予測することを特徴とする請求項2記載の最適記録パワー予測方法。
m(Pp0,V0)=m(Pp×A[Pp],V) - 変調度カーブm(Pp0,V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているModulationtargetを使って、Ptarget(V0)を予測することを特徴とする請求項3記載の最適記録パワー予測方法。
- Ptarget(V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているρ(V0)を使って、最適記録パワーPpo(V0)を予測することを特徴とする請求項4記載の最適記録パワー予測方法。
- テストデータが、変調度カーブm(Pp,V)から下記式により計算されるガンマカーブγ(Pp,V)で表されることを特徴とする請求項1記載の最適記録パワー予測方法。
γ(Pp,V)=〔dm(Pp,V)/dPp〕×〔Pp/m(Pp,V)〕 - 高速記録線速度V0におけるガンマカーブγ(Pp0,V0)を、1種類の記録線速度Vでのテスト記録から得られたガンマカーブγ(Pp,V)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされている係数演算式B[Pp]を使って、下記式により予測することを特徴とする請求項6記載の最適記録パワー予測方法。
γ(Pp0,V0)=γ(Pp×B[Pp],V) - ガンマカーブγ(Pp0,V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているγtargetを使って、Ptarget(V0)を予測することを特徴とする請求項7記載の最適記録パワー予測方法。
- Ptarget(V0)と、相変化型光記録媒体のリードインゾーンにプリフォーマットされているρ(V0)を使って、最適記録パワーPpo(V0)を予測することを特徴とする請求項8記載の最適記録パワー予測方法。
- 少なくとも透明基板と記録層を有し、記録可能な線速範囲が21〜42m/sであり、リードインゾーンに複数の記録線速度におけるPIND、Modulationtarget又はγtarget、ρ(V0)、及び係数演算式がプリフォーマットされていることを特徴とする請求項1、2、6の何れかに記載の最適記録パワー予測方法を適用することが可能な相変化型光記録媒体。
- 少なくとも透明基板と記録層を有し、記録可能な線速範囲が21〜42m/sであり、リードインゾーンに複数の記録線速度におけるPIND、Modulationtarget、ρ(V0)、及び係数演算式A[Pp]がプリフォーマットされていることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の最適記録パワー予測方法を適用することが可能な相変化型光記録媒体。
- 少なくとも透明基板と記録層を有し、記録可能な線速範囲が21〜42m/sであり、リードインゾーンに複数の記録線速度におけるPIND、γtarget、ρ(V0)、及び係数演算式B[Pp]がプリフォーマットされていることを特徴とする請求項7〜9の何れかに記載の最適記録パワー予測方法を適用することが可能な相変化型光記録媒体。
- 記録層が、少なくともGa、Sb、Snの3元素を含む相変化材料からなり、非晶質を形成させることで情報を記録し、結晶質を形成させることで情報を消去し、非晶質と結晶質とを交互に繰り返すことによって繰り返し記録が可能であることを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
- 透明基板が、トラックピッチ0.74±0.03μm、溝深さ22〜40nm、溝幅0.2〜0.3μmの蛇行溝を有することを特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
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