JP2006090527A - マイクロバルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能なマイクロバルブを提供する。
【解決手段】第1のシリコン基板を用いて形成され流体の流出口12が厚み方向に貫設され一表面側において流出口12の周部に弁座13が突設された弁座形成基板10と、第2のシリコン基板を用いて形成されて流出口12を開閉する弁体23を有し弁座形成基板10の上記一表面側に固着される弁体形成基板20と、弁体23を駆動するマイクロアクチュエータ用のアクチュエータ形成基板30とを備え、弁座形成基板10に、弁座形成基板10と弁体形成基板20との間に形成される流体の流路に連通する流入口11が厚み方向で貫設され、〔流入口11の圧力損失〕>〔流出口12の圧力損失〕の関係を満たすように流入口11および流出口12の構造パラメータを設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流体の流れを制御するマイクロバルブに関するものである。
従来から、マイクロエレクトロニクス分野や医療用のエレクトロニクス分野などにおいて、微量な流体の流れを制御するポンプとして、シリコン基板のような半導体基板をマイクロマシンニング技術により加工して形成した構造体を用いたマイクロバルブが各所で研究開発されており、例えば、構造体に形成した弁体を静電引力を利用して駆動する静電型アクチュエータが一体化されたものが提案されている(特許文献1参照)。
この種のマイクロバルブは、例えば、図10(a)に示すように、ガラス基板を用いて形成され流体の流出口12’が厚み方向に貫設されるとともに一表面(図10(a)における上面)側において流出口12’の周部に弁座13’が突設された弁座形成基板10’と、シリコン基板を用いて形成され弁座形成基板10’の上記一表面側に固着されるフレーム21’およびフレーム21’の内側に配置され流出口12’を開閉するように上記厚み方向に変位可能な弁体23’およびフレーム21’と弁体23’とを連結する薄肉の撓み部22’を一体に有する弁体形成基板20’とを備えている。つまり、弁体23’は撓み部22’を介してフレーム21’に支持されている。一方、弁座形成基板10’は、流出口12’が円形状に開口され、流出口12’の周部において弁体23’との対向面に上述の弁座13’が形成されている。なお、弁体形成基板20’のフレーム21’と弁座形成基板10’とは陽極接合により固着されている。
また、図10(a)に示す構成のマイクロバルブは、対向配置される一対の電極間に作用する静電力によって弁体23’を弁座形成基板10’の厚み方向に変位させるものであって、上記一対の電極の一方を構成する可動電極(図示せず)が弁体23’における弁座形成基板10’側とは反対側に形成され、弁体形成基板20’における弁座形成基板10’とは反対側に固着されるガラス製のアクチュエータ形成基板30’に上記一対の電極の他方を構成する固定電極31’が設けられている。ここにおいて、図10(a)に示したマイクロバルブでは、アクチュエータ形成基板30’の周部に流体の流入口38’を貫設し、弁体形成基板20’に、流入口38’と弁座形成基板10’の流路用凹部14’とを連通させる連通孔28’を厚み方向に貫設してある。ここにおいて、弁体形成基板20’のフレーム21’とアクチュエータ形成基板30’とは、弁体形成基板20’のフレーム21’におけるアクチュエータ形成基板30’との対向面に形成されたアルミニウム薄膜からなる陽極接合用電極125’を介して陽極接合により固着してある。
上述のマイクロバルブは、上記可動電極および固定電極31’それぞれ接続されたパッド(図示せず)を介して上記可動電極と固定電極31’との間に電圧を印加していない状態では、図11(a)に示すように弁体23’が弁座13’の先端面に密着することで流出口12’が弁体23’により閉止されている。これに対して、上記可動電極と固定電極31’との間に規定電圧以上の電圧を印加すると、図11(b)に示すように弁体23’が流出口12’から離れる向きに変位して流出口12’が開放される。すなわち、上述のマイクロバルブは、ノーマリクローズ型のマイクロバルブを構成している。なお、図11(a)は、弁体形成基板20’と弁座形成基板10’との間の空間へアクチュエータ形成基板30’に形成された流入口38’を通して流体が導入された状態を示しており、流出口12’が開放されると、流入口38’を通して弁体形成基板20’と弁座形成基板10’との間の空間へ導入された流体が流出口12’を通って流出することとなる(図10(a)中の矢印で示した経路は流体の流れる経路を示している)。
上述のマイクロバルブでは、図10(b)に示すように、円環状の弁座13’の内周の半径をr1、弁座13’の外周の半径をr2、円周率をπ、弁座13’の先端面(つまり、流出口12’の閉止時において弁体23’と密着する弁座面)における有効長さをwとすると、有効長さwは下記の数式で表される。
Figure 2006090527
また、弁座13’の外周の半径r2と内周の半径r1との差(シール長)をL、流出口12’が開放された状態で流出口12’を流れる流体の流量をQ、上記可動電極が固定電極31’に引き付けられた状態(つまり、図11(b)の状態)での弁体23’と弁座13’との間のギャップ長をd(ギャップ長dは、上記可動電極と固定電極31’との間に電圧が印加されていない状態での上記可動電極と固定電極31’との間隔に等しい)、弁体形成基板20’と弁座形成基板10’との間に形成される空間E1の圧力(つまり、流出口12’の入口側の圧力)をP1、弁座形成基板10’における弁体形成基板20’とは反対側の外部空間E2の圧力(つまり、流出口12’の出口側の圧力)をP2とすると、流量Qは下記の数式で表される。
Figure 2006090527
要するに、上述のマイクロバルブでは、シール長Lが長くなるほど流量Qが減少し、ギャップ長d、有効長さwが長くなるほど流量Qが増加するので、シール長L、ギャップ長d、有効長さw、それぞれを適宜設計することにより、流出口12’の開放時に所望の流量Qの流体を流すことが可能となる。
特開2004−176802号公報
ところで、上述の数2から分かるように、マイクロバルブの流出口12’を流れる流体の流量Qは、ギャップ長dの3乗に比例するので、流出口12’を流れる流体の流量Qの精度を高めるためには、ギャップ長dの精度を高める必要があり、ギャップ長dが上記可動電極と固定電極31’との間に電圧を印加していない状態での上記可動電極と固定電極31’との間の間隔(電極間距離)に等しいから、電極間距離の精度を向上させる必要がある。
ここにおいて、上述のマイクロバルブの製造にあたっては、弁体23’を有する弁体形成基板20’を、固定電極31’を有するアクチュエータ形成基板30’および弁座13’を有する弁座形成基板10’それぞれと陽極接合により固着するので、アクチュエータ形成基板30’の形成にあたっては、ガラス基板の一面において固定電極31’の形成予定部位を含む所定領域に深さが数μmのギャップ形成用凹部33’を形成し、ギャップ形成用凹部33’の内底面に固定電極31’を形成している。したがって、所望の電極間距離および陽極接合用電極125’の膜厚に応じてギャップ形成用凹部33’の深さ寸法および固定電極31’の膜厚を設計すればよい。
しかしながら、上記可動電極と固定電極31’との間に形成されるギャップのギャップ長dを数μmの値で精度良く得るためには、弁体形成基板20’とアクチュエータ形成基板30’とを固着する工程において、高度な接合技術が必要であり、製品間で流出口12’を流れる流体の流量Qのばらつきが大きく、流出口12’を流れる流体の流量Qの精度を高めるのが難しかった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能なマイクロバルブを提供することにある。
請求項1の発明は、第1の半導体基板もしくはガラス基板を用いて形成され流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が突設された弁座形成基板と、第2の半導体基板を用いて形成されて流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、弁座形成基板と弁体形成基板との間に形成される流体の流路に連通する流体の流入口が厚み方向で貫設され、
〔流入口の圧力損失〕>〔流出口の圧力損失〕
の関係を満たすことを特徴とする。
この発明によれば、流出口を開放させた状態で流出口を流れる流体の流量が弁体と弁座との間のギャップ長によらず、流入口の構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータのうち流入口の開口形状に関する構造パラメータは、第1の半導体基板を用いて弁座形成基板を形成する場合には第1の半導体基板と第2の半導体基板との一方に一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用して流入口を形成することで高精度化を図れ、ガラス基板を用いて弁座形成基板を形成する場合には一般的なガラス加工技術であるドリル加工やサンドブラスト加工によってガラス基板に流入口を形成するか、一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用して第2の半導体基板に流入口を形成することにより高精度化を図れ、上記構造パラメータのうち流入口の長さ(流路長)は第1の半導体基板もしくはガラス基板と第2の半導体基板との一方において流入口を貫設する部位の厚みに等しいから、流出口を流れる流量を決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能となる。
請求項2の発明は、第1の半導体基板もしくはガラス基板を用いて形成され流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が突設された弁座形成基板と、第2の半導体基板を用いて形成されて流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、弁座形成基板と弁体形成基板との間に形成される流体の流路に連通する流体の流入口が厚み方向で複数貫設され、
〔各流入口それぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口の圧力損失〕
の関係を満たすことを特徴とする。
この発明によれば、流出口を開放させた状態で流出口を流れる流体の流量が弁体と弁座との間のギャップ長によらず、流入口の構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータのうち流入口の開口形状に関する構造パラメータは、第1の半導体基板を用いて弁座形成基板を形成する場合には第1の半導体基板と第2の半導体基板との一方に一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用して流入口を形成することで高精度化を図れ、ガラス基板を用いて弁座形成基板を形成する場合には一般的なガラス加工技術であるドリル加工やサンドブラスト加工によってガラス基板に流入口を形成するか、一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用して第2の半導体基板に流入口を形成することにより高精度化を図れ、上記構造パラメータのうち流入口の長さ(流路長)は第1の半導体基板もしくはガラス基板と第2の半導体基板との一方において流入口を貫設する部位の厚みに等しいから、流出口を流れる流量を決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能となる。また、流入口を複数備えていることにより、流体中の塵などで1つの流入口が塞がれても残りの流入口を通して流体を流すことができるという利点がある。
請求項3の発明は、流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が形成された弁座形成基板と、流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、流体の流入口が厚み方向で貫設されるとともに、弁座形成基板と弁体形成基板との間において流入口の2次側の空間と流出口の1次側の空間とを連通させる圧力調整用流路が凹設され、
〔圧力調整用流路の圧力損失〕>〔流出口の圧力損失〕
の関係を満たすことを特徴とする。
この発明によれば、流出口を開放させた状態で流出口を流れる流体の流量が弁体と弁座との間のギャップ長によらず、圧力調整用流路の構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータのうち開口形状に関する構造パラメータおよび深さ寸法および長さ寸法(流路長)は一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用することで高精度化を図れるから、流出口を流れる流量を決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能となる。
請求項4の発明は、流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が形成された弁座形成基板と、流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、流体の流入口が厚み方向で貫設されるとともに、弁座形成基板と弁体形成基板との間において流入口の2次側の空間と流出口の1次側の空間とを連通させる圧力調整用流路が複数凹設され、
〔各圧力調整用流路それぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口の圧力損失〕
の関係を満たすことを特徴とする。
この発明によれば、流出口を開放させた状態で流出口を流れる流体の流量が弁体と弁座との間のギャップ長によらず、圧力調整用流路の構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータのうち開口形状に関する構造パラメータおよび深さ寸法および長さ寸法(流路長)は一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用することで高精度化を図れるから、流出口を流れる流量を決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能となる。また、圧力調整用流路を複数備えていることにより、流体中の塵などで1つの圧力調整用流路が塞がれても残りの圧力調整用流路を通して流体を流すことができるという利点がある。
請求項1〜4の発明では、流出口を流れる流体の流量の精度を容易に高めることが可能となるという効果がある。
(実施形態1)
以下、本実施形態のマイクロバルブについて図1〜図3を参照しながら説明する。なお、本実施形態のマイクロバルブは、例えば、小型の燃料電池や燃料改質器への液体燃料(例えば、メタノール、純水、メタノール水溶液など)の供給路上に設けて使用することができるが、他の用途への使用も可能である。 本実施形態のマイクロバルブは、導電率が比較的低い半導体基板(例えば、シリコン基板)を用いて形成され流体(例えば、液体燃料)の流入口11および流出口(弁口)12が厚み方向に貫設されるとともに一表面(図1における上面)側において流出口12の周部に弁座13が突設された弁座形成基板10と、導電率が比較的高い半導体基板(例えば、シリコン基板)を用いて形成され弁座形成基板10の上記一表面側に固着されるフレーム21およびフレーム21の内側に配置され流出口12を開閉するように上記厚み方向に変位可能な弁体23およびフレーム21の一表面(図1における上面)側でフレーム21と弁体23とを連結する薄肉の撓み部22を一体に有する弁体形成基板20と、ガラス基板を用いて形成され弁体形成基板20の一表面(図1における上面)側に固着されるアクチュエータ形成基板30とを備えている。ここにおいて、本実施形態では、弁体23が可動電極24を兼ねており、アクチュエータ形成基板30は、弁体23との対向部位に弁体23からなる可動電極24とともに弁体23を駆動する静電型のマイクロアクチュエータを構成する金属薄膜(例えば、クロム薄膜)からなる固定電極31を有している。すなわち、本実施形態のマイクロバルブは、対向配置される一対の電極間に作用する静電力によって弁体23を弁座形成基板10の厚み方向に変位させるものであって、上記一対の電極の一方を構成する可動電極24を弁体形成基板20の弁体23に備え、弁体形成基板20と固着されるアクチュエータ形成基板30に上記一対の電極の他方を構成する固定電極31が設けられている。なお、固定電極31を構成する金属薄膜の材料はクロムに限らず、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステン、金などを採用してもよい。また、弁体形成基板20の基礎となるシリコン基板として導電率が比較的低いシリコン基板を採用して、弁体23における流出口12との対向面とは反対側に、可動電極24を高濃度不純物拡散層や金属膜により構成するようにしてもよい。
弁座形成基板10の上記一表面には、流入口11と流出口12との間において流体の流路となる流路用凹部14が流入口11および流出口12を囲むように形成されており、弁体形成基板20の撓み部22と弁座形成基板10との間の空間が流入口11と連通する。ここで、流入口11および流出口12の開口形状は円形状とし、流路用凹部14の内周形状は矩形状としてある。また、弁座形成基板10における流出口12の周部には、上述の弁座13が流路用凹部14の内底面よりも突出する形で連続一体に形成されており、可動電極24と固定電極31との間に電圧を印加していない状態では、弁体23が弁座13の先端面(弁座面)に密着するようになっている。なお、流路用凹部14は、ドライエッチングやウエットエッチングにより形成する。また、弁座形成基板10の基礎となるシリコン基板の厚さを200μm程度に設定し、流路用凹部14の深さを40μmに設定してあるが、これらの数値は特に限定するものではない。
弁座形成基板10における流入口11および流出口12は、シリコン基板からなる半導体基板における流入口11および流出口12の形成予定部位を、垂直方向(厚み方向)への深堀加工が可能なドライエッチング装置(例えば、誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置)を用いてドライエッチングすることによって形成している。なお、流入口11および流出口12については後述する。
弁体形成基板20は、導電率が比較的高いシリコン基板からなる半導体基板をマイクロマシンニング技術により加工することで形成してあり、具体的には、リソグラフィ技術、エッチング技術などを利用して、フレーム21および撓み部22および弁体23を形成してあり、弁体23が撓み部22を介してフレーム21に支持されている。弁体23は弁座形成基板10の厚み方向に直交する断面形状が円形状となっており、弁座形成基板10に対向する先端面での直径が弁座13の外径よりも大きくなっている。また、撓み部22は弁体23を全周に亙って囲む円環状に形成されている。弁体形成基板20は、フレーム21の上記一表面側に露出した一対のパッド26a,26bを備えており、一方のパッド26aが可動電極24に電気的に接続され、他方のパッド26bが固定電極31に金属配線32を介して電気的に接続されている。ここに、他方のパッド26とフレーム21との間にはシリコン酸化膜からなる絶縁膜27を介在させてある。なお、各パッド26a,26bの材料としては、例えば、アルミニウムや、アルミニウムとシリコンとの合金などを採用すればよく、各パッド26a,26bそれぞれには、金属細線(例えば、アルミニウムワイヤ)W,Wがワイヤボンディングによって接続される。
ここに、弁体形成基板20の基礎となるシリコン基板の厚さは300μm程度に設定し、撓み部22の厚さを数μm〜20μm程度に設定してあるが、これらの厚さは特に限定するものではない。なお、本実施形態のマイクロバルブでは、弁体形成基板20および弁座形成基板10の外周形状を矩形状とし、弁体形成基板20のフレーム21と弁座形成基板10の周部とを接着剤や半田などの接合材を用いることなく陽極接合により固着しているので、弁体23のストローク量の管理が容易になる。
また、アクチュエータ基板30の外周形状は、矩形状に形成されているが、弁体形成基板20に固着した状態において弁体形成基板20のパッド26a,26bが露出するように、長辺の寸法(図2(a)における左右方向の寸法)が弁体形成基板20の長辺の寸法(図2(b)における左右方向の寸法)よりも短く設定されている。ここにおいて、アクチュエータ形成基板30は、弁体形成基板20との対向面における周部がフレーム21に陽極接合により固着されている。
アクチュエータ形成基板30における弁体形成基板20との対向面において、撓み部22および弁体23に対向する部位には弁座形成基板10の厚み方向への弁体23の移動空間41を確保するためのギャップ形成用凹部33が形成されており、ギャップ形成用凹部33の内底面に上述の金属薄膜からなる固定電極31を形成してある。ここに、ギャップ形成用凹部33は、円形状に開口されている。固定電極31は、例えば、スパッタ法、蒸着法、めっき法などによって形成すればよい。アクチュエータ形成基板30としてはシリコンと熱膨張係数が略等しく且つ耐熱性を有するパイレックス(登録商標)を採用すればよい。また、アクチュエータ形成基板30の基礎となるガラス基板の厚さを500μm程度に設定し、ギャップ形成用凹部33の深さを4μmに設定してあるが、これらの数値は特に限定するものではない。
なお、図1はパッド26a,26bを介して可動電極24と固定電極31との間に電圧を印加していない状態を示しており、流出口12が弁体23により閉止されているが、パッド26a,26bを介して可動電極24と固定電極31との間に規定電圧以上の電圧を印加すれば弁体23が流出口12から離れる向きに変位して流出口12が開放され、撓み部22とベース基板10との間の空間が流出口12を通して外部と連通するから、流入口11−流路用凹部14−流出口12の経路で流体が流れる。要するに、本実施形態のマイクロバルブは、ノーマリクローズ型のマイクロバルブを構成している。ここにおいて、弁体23によって流出口12を閉止した状態における可動電極24と固定電極31との間の間隔は、数μm(例えば、3μm程度)に設定してある。
ところで、流出口12が弁体23により閉止された状態において、流入口11を通して撓み部22とベース基板10との間の空間に流れ込んだ流体の圧力により弁体23が浮き上がって流出口12が開放されるのを防止するために、弁体形成基板20のフレーム21の上記一表面側に他の部位に比べて薄肉の圧力調整用ダイヤフラム部25が形成され、アクチュエータ形成基板30における弁体形成基板20との対向面において、圧力調整用ダイヤフラム部25に対向する部位には円形状に開口した圧力調整空間用凹部34が形成され、圧力調整空間用凹部34とギャップ形成用凹部33との間には圧力調整空間用凹部34とギャップ形成用凹部33とを連通させる連通用凹部35が形成されている。圧力調整用ダイヤフラム部25の厚さは撓み部22の厚さと同じ厚さに設定してあるので、製造時に圧力調整用ダイヤフラム部25と撓み部22とを同時に形成することができる。また、アクチュエータ形成基板30の各凹部33,34,35は、アクチュエータ形成基板30の基礎となるガラス基板における各凹部33,34,35それぞれの形成予定部位をサンドブラスト法、フッ酸系の薬液によるウェットエッチング、ドライエッチングなどにより加工することで形成してある。
ここにおいて、アクチュエータ形成基板30に各凹部33,34,35を設けたことによりアクチュエータ形成基板30と弁体形成基板20との間に形成される空間には、気体(例えば、窒素、アルゴン、キセノン、ヘリウムなどの不活性ガスや空気など)若しくは液体(例えば、フロリナート、シリコーンオイル、フレオン、シリコーンゲルなど)からなる受圧媒体が封入されている。受圧媒体として用いる液体として電気絶縁性を有するものが好ましい。また、受圧媒体として気体を採用する場合には、不活性ガスを用いた方が空気を用いた場合よりも長期的な信頼性が向上し安定した開閉動作が得られる。
したがって、本実施形態のマイクロバルブでは、流入口11を通して弁座形成基板10と圧力調整用ダイヤフラム部25との間の空間へ流入した流体の圧力を受けて圧力調整空間(圧力調整空間用凹部34の内面と圧力調整用ダイヤフラム部25とで囲まれる空間)42の容積が縮小するように圧力調整用ダイヤフラム部25が変形する(アクチュエータ形成基板30側へ凸となる形で撓む)ことによって、アクチュエータ形成基板30と弁体形成基板20との間の空間内の受圧媒体が圧縮されて圧力が高まって弁体23が流出口12を閉止する向き(つまり、弁体23を押し下げる向き)の力が作用するので、可動電極24と固定電極31との間に電圧が印加されていない状態では、図1に示すように、圧力調整用ダイヤフラム部25が変形し、弁体23が浮き上がることなく弁体23により流出口12が確実に閉止されている。これに対して、可動電極24と固定電極31との間に上述の力に抗して弁体23が流出口12を開くのに必要な規定電圧以上の電圧を印加すれば、両電極24,31間に発生する静電力によって可動電極24が固定電極31に当接するように撓み部22が撓んで流出口12が開放されるので、上述のように、流入口11−流路用凹部14−流出口12の経路で流体が流れることとなる。ここにおいて、本実施形態のマイクロバルブでは、可動電極24と固定電極31との間の間隔が弁体23のストローク量に等しく、弁体23のストローク量を数μm程度に設定することができるので、応答性が良く、粘性が高い流体であっても数μl/minレベルの微量な流体を精度良く高速に制御することができる。また、弁体23のストローク量が小さいので、数V程度の電圧を印加することにより、流出口12の開閉を行うことができる。
なお、本実施形態のマイクロバルブの製造にあたっては、弁体形成基板20を多数形成したシリコンウェハと弁座形成基板10を多数形成したシリコンウェハおよびアクチュエータ形成基板30を多数形成したガラス基板を陽極接合してからダイシングすれば、工程の簡略化および製造コストの低減を図れ、生産性を向上させることができる。
ところで、本実施形態のマイクロバルブにおける弁座形成基板10は、上述のようにシリコン基板を基礎として流入口11および流出口12を形成してあり、流出口12よりも流入口11のサイズを小さくしてある。言い換えれば、流入口11の内径を流出口12の内径よりも小さくしてある。ここに、流入口11および流出口12の形成にあたって、リソグラフィ技術およびドライエッチング技術を利用するので、高精度に形成することが可能である。ここで、流入口11および流出口12は、垂直方向への深堀加工が可能なエッチング装置(例えば、誘導結合型プラズマを利用したドライエッチング装置)を用いたドライエッチングにより形成することが望ましい。
ここにおいて、本実施形態のマイクロバルブでは、流入口11の構造パラメータと流出口12の構造パラメータとを、
〔流入口11の圧力損失〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係を満たすように設計すればよい。
具体的に説明すれば、図3に示すように、円環状の弁座13の内周の半径をr1、弁座13の外周の半径をr2、円周率をπ、弁座13の先端面(つまり、流出口12の閉止時において弁体23と密着する弁座面)における有効長さ(図3(b)中の仮想円Cの円周)をwとすると、有効長さwは上述の数1で表される。
また、弁座13の弁座面における外周の半径r2と内周の半径r1との差(シール長)をL、流出口12が開放された状態で流出口12を流れる流体の流量をQout、可動電極24が固定電極31に引き付けられた状態での弁体23と弁座13との間のギャップ長をd(ギャップ長dは、可動電極24と固定電極31との間に電圧が印加されていない状態での可動電極24と固定電極31との間隔に等しい)、流出口12の近傍で弁体形成基板20と弁座形成基板10との間に形成される空間E1の圧力、つまり、流出口12の1次側(入口側)の圧力をPin、弁座形成基板10における弁体形成基板20とは反対側の外部空間E2の圧力、つまり、流出口12の2次側(出口側)の圧力をPout、流体の粘性係数をηとすると、流量Qoutは下記の数式で表される(なお、図3(a)中の一点鎖線の矢印は流出口12を通る流体の流れを示している)。
Figure 2006090527
一方、流入口11を流れる流体の流量をQin、流入口11の開口面の半径(流路の半径)をr、流入口11の長さ(流路長)をl、流入口11の近傍で弁座形成基板10における弁体形成基板20とは反対側の外部空間E3の圧力、つまり、流入口11の1次側(入口側)の圧力をPin’、弁体形成基板20と弁座形成基板10との間に形成される空間E4の圧力、つまり、流入口11の2次側(出口側)の圧力をPout’、流体の粘性係数をηとすると、流量Qinは下記の数式で表される(なお、図3(a)中の実線の矢印は流入口11を通る流体の流れを示している)。
Figure 2006090527
上述の数3において、流出口12の圧力損失は、〔Pin−Pout〕で表され、上述の数4において、流入口11の圧力損失は、〔Pin’−Pout’〕で表される。
したがって、〔流入口11の圧力損失〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係は、下記の数式に整理することができる。
Figure 2006090527
しかして、本実施形態のマイクロバルブでは、流出口12を開放させた状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutが弁体23と弁座13との間のギャップ長dによらず、流入口11の構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータである流入口11の開口面の半径rは一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用して流入口11を形成することで高精度化を図れ、上記構造パラメータである流入口11の流路長lは弁座形成基板10の基礎となるシリコン基板において流入口11を貫設する部位の厚みに等しいから、流出口12を流れる流量Qoutを決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口12を流れる流体の流量Qoutの精度を容易に高めることが可能となる。
なお、上述の例では、半導体基板を用いて弁座形成基板10を形成してあるが、ガラス基板を用いて弁座形成基板10を形成してもよく、上記構造パラメータである流入口11の開口面の半径rは一般的なガラス加工技術であるドリル加工やサンドブラスト加工によって上記ガラス基板に流入口11を形成することにより高精度化を図れ、上記構造パラメータである流入口11の流路長lは弁座形成基板10の基礎となる上記ガラス基板において流入口11を貫設する部位の厚みに等しいから、流出口12を流れる流量Qoutを決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口12を流れる流体の流量Qoutの精度を容易に高めることが可能となる。
(実施形態2)
本実施形態のマイクロバルブの基本構成は実施形態1と略同じであって、図4および図5に示すように、実施形態1に比べて流入口11のサイズ(流入口11の流路の半径r)を小さくして、開口形状が円形状の流入口11を複数形成している点が相違する。ここにおいて、各流入口11のサイズは同じサイズに設定してある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、本実施形態のマイクロバルブでは、各流入口11の構造パラメータと流出口12の構造パラメータとを、
〔各流入口11それぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係を満たすように設計すればよい。
具体的に説明すれば、流出口12が開放された状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutは実施形態1にて説明した数3で表され、各流入口11それぞれを流れる流体の流量をQ(i=1,…,n)、流入口11の開口面の半径(流路の半径)をr(i=1,…,n)、流入口11の長さ(流路長)をl(i=1,…,n)、流入口11の近傍で弁座形成基板10における弁体形成基板20とは反対側の外部空間E3の圧力、つまり、流入口11の1次側(入口側)の圧力をPin’、弁体形成基板20と弁座形成基板10との間に形成される空間E4の圧力、つまり、流入口11の2次側(出口側)の圧力をPout’、流体の粘性係数をηとすると、
〔各流入口11それぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係は、下記の数式のように整理することができる。
Figure 2006090527
しかして、本実施形態のマイクロバルブにおいても、実施形態1と同様に、流出口12を開放させた状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutが弁体23と弁座13との間のギャップ長dによらず、流入口11の構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータである流入口11の開口面の半径rは一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用して流入口11を形成することで高精度化を図れ、上記構造パラメータである流入口11の流路長lは弁座形成基板10の基礎となるシリコン基板において流入口11を貫設する部位の厚みに等しいから、流出口12を流れる流量Qoutを決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口12を流れる流体の流量Qoutの精度を容易に高めることが可能となる。
なお、上述の例では、半導体基板を用いて弁座形成基板10を形成してあるが、ガラス基板を用いて弁座形成基板10を形成してもよく、上記構造パラメータである流入口11の開口面の半径rは一般的なガラス加工技術であるドリル加工やサンドブラスト加工によって上記ガラス基板に流入口11を形成することにより高精度化を図れ、上記構造パラメータである流入口11の流路長lは弁座形成基板10の基礎となる上記ガラス基板において流入口11を貫設する部位の厚みに等しいから、流出口12を流れる流量Qoutを決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口12を流れる流体の流量Qoutの精度を容易に高めることが可能となる。
また、本実施形態のマイクロバルブでは、流入口11を複数備えていることにより、流体中の塵などで1つの流入口11が塞がれても残りの流入口11を通して流体を流すことができるという利点がある。
(実施形態3)
本実施形態のマイクロバルブの基本構成は実施形態1と略同じであって、図6〜図8に示すように、流入口11の内径と流出口12の内径とを同じ寸法としている点と、弁座形成基板10の上記一表面に形成された流路用凹部14の平面形状が相違する。すなわち、本実施形態では、流路用凹部14を、流入口11を囲むように形成された内周形状が矩形状の流入口側凹部14bと、流出口12を囲むように形成された内周形状が矩形状の流出口側凹部14cと、流入口側凹部14bと流出口側凹部14cとの間に形成された細長の圧力調整用凹部14aとで構成してある。ここにおいて、流路用凹部14は、一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用することで形成してある。また、本実施形態では、弁座形成基板10の上記一表面に凹設された圧力調整用凹部14aが、弁座形成基板10と弁体形成基板20との間において流入口11の2次側の空間E4と流出口12の1次側の空間E1とを連通させる圧力調整用流路(マイクロチャネル)を構成しており、圧力調整用流路14aの長手方向に直交する断面(流路断面)の形状は矩形状の形状となっている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、本実施形態のマイクロバルブでは、圧力調整用流路となる圧力調整用凹部14aの構造パラメータと流出口12の構造パラメータとを、
〔圧力調整用流路14aの圧力損失〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係を満たすように設計すればよい(要するに、圧力調整用流路14aにより流量が制限されるように各構造パラメータを設計すればよい)。
具体的に説明すれば、流出口12が開放された状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutは実施形態1にて説明した数3で表され、圧力調整用流路14aを流れる流体の流量をQx、圧力調整用流路14aの流路断面積をS(この流路断面積は、圧力調整用凹部14aの深さ寸法および幅寸法により決まる)、圧力調整用流路14aの長さ寸法(流路長)をH、流入口側凹部14b側の圧力、つまり、圧力調整用流路14aの1次側(入口側)の圧力をPin”、流出口側凹部14c側の圧力、つまり、圧力調整用流路14aの2次側(出口側)の圧力をPout”とすると、圧力調整用流路14aの圧力損失は〔Pin”−Pout”〕で表され、
〔圧力調整用流路14aの圧力損失〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係は、下記の数式のように整理することができる。
Figure 2006090527
しかして、本実施形態のマイクロバルブでは、流出口12を開放させた状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutが弁体23と弁座13との間のギャップ長dによらず、圧力調整用流路14aの構造パラメータにより決まることとなり、上記構造パラメータのうち開口形状に関する構造パラメータである幅寸法(図8(a)における上下方向の寸法)および深さ寸法(図8(b)における上下方向の寸法)および流路長H(図8(a)における左右方向の寸法)は一般的な半導体製造プロセスで利用されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを利用することで高精度化を図れるから、流出口12を流れる流量を決める各構造パラメータの高精度化が容易であり、流出口12を流れる流体の流量Qoutの精度を容易に高めることが可能となる。
(実施形態4)
本実施形態のマイクロバルブの基本構成は実施形態3と略同じであり、図9に示すように、流入口側凹部14bと流出口側凹部14cとの間に複数の圧力調整用凹部14aを形成している点が相違する。なお、実施形態3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
したがって、本実施形態のマイクロバルブでは、流入口側凹部14bと流出口側凹部14cとの間に複数の圧力調整用流路14aが形成されることとなり、それぞれ圧力調整用流路となる各圧力調整用凹部14aの構造パラメータと流出口12の構造パラメータとを、
〔各圧力調整用流路14aそれぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係を満たすように設計すればよい。
具体的に説明すれば、流出口12が開放された状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutは実施形態1にて説明した数3で表され、各圧力調整用流路14aそれぞれを流れる流体の流量をQx(i=1,…,n)、各圧力調整用流路14aそれぞれの流路断面積をS(i=1,…,n)、各圧力調整用流路14aそれぞれの長さ寸法(流路長)をH(i=1,…,n)、流入口側凹部14b側の圧力、つまり、圧力調整用流路14aの1次側(入口側)の圧力をPin”、流出口側凹部14c側の圧力、つまり、圧力調整用流路14aの2次側(出口側)の圧力をPout”とすると、
〔各圧力調整用流路14aそれぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口12の圧力損失〕
の関係は、下記の数式のように整理することができる。
Figure 2006090527
しかして、図9のように複数の圧力調整用流路14aを形成した場合にも、実施形態3と同様に、流出口12を開放させた状態で流出口12を流れる流体の流量Qoutが弁体23と弁座13との間のギャップ長dによらず、圧力調整用流路14aの構造パラメータにより決まることとなり、流出口12を流れる流体の流量Qoutの精度を容易に高めることが可能となる。
また、本実施形態のマイクロバルブでは、圧力調整用流路14aを複数備えていることにより、流体中の塵などで1つの圧力調整用流路14aが塞がれても残りの圧力調整用流路14aを通して流体を流すことができるという利点がある。
ところで、上記各実施形態では、弁座形成基板10の厚み方向に流入口11および流出口12を貫設してあるが、弁体形成基板20の厚み方向に流入口11を貫設してもよい。ここに、流入口11および流出口12の開口形状は円形状の形状に限定するものではなく、例えば、矩形状の形状でもよい。また、アクチュエータ形成基板30の基礎としてガラス基板の代わりにシリコン基板を用いるようにして、流入口11をアクチュエータ形成基板30の周部において厚み方向に貫設し、弁体形成基板20に、流入口11と弁座形成基板10の流路用凹部14とを連通させる連通孔を厚み方向に貫設するようにしてもよい。
実施形態1を示す概略断面図である。 同上を示し、(a)はアクチュエータ形成基板の概略平面図、(b)は弁体形成基板の概略平面図、(c)は弁座形成基板の概略平面図である。 同上を示し、(a)は要部概略断面図、(b)は要部概略平面図である。 実施形態2を示す概略断面図である。 同上を示し、(a)はアクチュエータ形成基板の概略平面図、(b)は弁体形成基板の概略平面図、(c)は弁座形成基板の概略平面図である。 実施形態3を示す概略断面図である。 同上を示し、(a)はアクチュエータ形成基板の概略平面図、(b)は弁体形成基板の概略平面図、(c)は弁座形成基板の概略平面図である。 同上を示し、(a)は要部概略平面図、(b)は(a)のD−D’断面に対応する要部の断面図である。 実施形態4を示し、(a)はアクチュエータ形成基板の概略平面図、(b)は弁体形成基板の概略平面図、(c)は弁座形成基板の概略平面図である。 従来例を示し、(a)は一部破断した概略分解斜視図、(b)は要部説明図である。 同上の動作説明図である。
符号の説明
10 弁座形成基板
11 流入口
12 流出口
13 弁座
14 流路用凹部
20 弁体形成基板
21 フレーム
22 撓み部
23 弁体
25 圧力調整用ダイヤフラム部
30 アクチュエータ形成基板
31 固定電極
33 ギャップ形成用凹部

Claims (4)

  1. 第1の半導体基板もしくはガラス基板を用いて形成され流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が突設された弁座形成基板と、第2の半導体基板を用いて形成されて流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、弁座形成基板と弁体形成基板との間に形成される流体の流路に連通する流体の流入口が厚み方向で貫設され、
    〔流入口の圧力損失〕>〔流出口の圧力損失〕
    の関係を満たすことを特徴とするマイクロバルブ。
  2. 第1の半導体基板もしくはガラス基板を用いて形成され流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が突設された弁座形成基板と、第2の半導体基板を用いて形成されて流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、弁座形成基板と弁体形成基板との間に形成される流体の流路に連通する流体の流入口が厚み方向で複数貫設され、
    〔各流入口それぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口の圧力損失〕
    の関係を満たすことを特徴とするマイクロバルブ。
  3. 流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が形成された弁座形成基板と、流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、流体の流入口が厚み方向で貫設されるとともに、弁座形成基板と弁体形成基板との間において流入口の2次側の空間と流出口の1次側の空間とを連通させる圧力調整用流路が凹設され、
    〔圧力調整用流路の圧力損失〕>〔流出口の圧力損失〕
    の関係を満たすことを特徴とするマイクロバルブ。
  4. 流体の流出口が厚み方向に貫設され一表面側において流出口の周部に弁座が形成された弁座形成基板と、流出口を開閉する弁体を有し弁座形成基板の上記一表面側に固着される弁体形成基板と、弁体を駆動するマイクロアクチュエータとを備え、弁座形成基板と弁体形成基板との一方に、流体の流入口が厚み方向で貫設されるとともに、弁座形成基板と弁体形成基板との間において流入口の2次側の空間と流出口の1次側の空間とを連通させる圧力調整用流路が複数凹設され、
    〔各圧力調整用流路それぞれの圧力損失の総和〕>〔流出口の圧力損失〕
    の関係を満たすことを特徴とするマイクロバルブ。
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