JP2006090472A - 車両駆動系の捩りダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円周方向に広いスペースを確保する必要が無く、高い剛性を要求されることもなく、捩り振動を効率よく減衰・吸収することができる捩りダンパ装置を提供する。
【解決手段】変速機1のドライブ軸8に、ボールねじ機構を介して螺旋運動自在に連設されているダンパプランジャ33と、このダンパプランジャ33に圧縮トーションコイルばねからなる前進用ばね38,39、及び後進用ばね40を介して連設するケース本体32とを有する捩りダンパ装置31を介装する。ダンパプランジャ33とケース本体32との間の回転トルクは前進用ばね38,39、或いは後進用ばね40を介して伝達される。又、捩り振動が発生すると、ダンパプランジャ33とケース本体32とが相対螺旋運動し、そのときの回転及び軸方向に作用する荷重が前進用ばね38,39、或いは後進用ばね40にて減衰・吸収される。
【選択図】図2
【解決手段】変速機1のドライブ軸8に、ボールねじ機構を介して螺旋運動自在に連設されているダンパプランジャ33と、このダンパプランジャ33に圧縮トーションコイルばねからなる前進用ばね38,39、及び後進用ばね40を介して連設するケース本体32とを有する捩りダンパ装置31を介装する。ダンパプランジャ33とケース本体32との間の回転トルクは前進用ばね38,39、或いは後進用ばね40を介して伝達される。又、捩り振動が発生すると、ダンパプランジャ33とケース本体32とが相対螺旋運動し、そのときの回転及び軸方向に作用する荷重が前進用ばね38,39、或いは後進用ばね40にて減衰・吸収される。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転方向に発生する捩り振動を軸方向に変換して減衰・吸収する車両駆動系の捩りダンパ装置に関する。
エンジンのクランク軸を含む車両の駆動系に設けられている入出力軸には、エンジンの回転トルク変動等に起因する捩り振動が伝達される。この捩り振動は、クランク軸を含む車両駆動系の入出力軸に引張りや剪断等、種々の応力を生じさせるため、捩り振動を低減させる技術が種々提案されている。
このような捩り振動の低減させる構造体としてはダイナミックダンパが広く知られている。例えば特許文献1(特開平11−30281号公報)、特許文献2(特開平11−30282号公報)には、フライホイールの入力側と出力側との間にダイナミックダンパを介装し、このダイナミックダンパにより捩り振動を吸収する技術が開示されている。
特開平11−30281号公報
特開平11−30282号公報
しかし、上述した各特許文献に開示されている技術では、その何れもがダイナミックダンパに設けられている弾性部材を円周方向に配設する構造であるため、取付け部位がフライホイール、或いは自動変速機のトルクコンバータ付近や手動変速機のクラッチ付近等、円周方向に比較的に広いスペースを確保し易い部位に設ける必要があり、取付けスペースが限定され、設計の自由度が制限される不都合がある。
又、弾性部材を回転方向へ伸縮させることで捩り振動を吸収するようにしているため、捩り角を充分に確保することが困難で、狭い捩り角で捩り振動を吸収しなければ成らず、その分、高い剛性が必要となり、構造が複雑化する問題がある。更に、弾性部材の剛性が高く、しかも狭い捩り角で捩り振動を吸収しなければならないので、振動、騒音が発生し易くなる問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、円周方向に広いスペースを確保する必要が無く、高い剛性を要求されることもなく、振動、騒音を大幅に低減することのできる車両駆動系の捩りダンパ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は、駆動系に配設されている少なくとも1つの入出力軸に介装されて、該入出力軸に伝達される捩り振動を減衰・吸収する車両駆動系の捩りダンパ装置において、第1回転部材と該第1回転部材の同軸上に配設されている第2回転部材とを有し、上記両回転部材が軸方向へ相対的に螺旋運動自在に連結され、上記両回転部材間にスラスト剛性を発生させると共に一方の該回転部材から他方の該回転部材へ回転トルクを伝達するばね部材を介装したことを特徴とする。
本発明によれば、円周方向に広いスペースを確保する必要が無く、高い剛性を要求されることもなく、捩り振動を効率よく減衰・吸収することができると共に、振動、騒音を大幅に低減することができる。
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1〜図3に本発明の第1形態を示す。図1は車両駆動系の概略図、図2は捩りダンパ装置の側面断面図である。
図1を参照して、手動変速機1の構成について簡単に説明する。この手動変速機1は四輪駆動用手動変速機であり、前部からトランスミッションケース2、トランスファケース3、エクステンションケース4に分割されている。又、トランスミッションケース2の前部にクラッチハウジング5が一体形成されている。更に、トランスミッションケース2内が、フロントデフ室2aとトランスミッション室2bとに区画されている。又、トランスファケース3の後部側にトランスファ室3aが形成され、トランスファ室3aの後部がエクステンションケース4により閉塞されている。
又、クラッチハウジング5に収納されているクラッチ6の入力側に、エンジン7から延出するクランク軸7aが連結され、クラッチ6の出力側にドライブ軸8が連結されている。
更に、フロントデフ室2aの下部に、前輪9にフロントアクスル軸10等を介して駆動トルクを伝達するフロントデファレンシャル装置11が配設されている。このフロントデファレンシャル装置11に、フロントドライブ軸12の先端に形成されたフロントドライブギヤ13が噛合されている。フロントドライブ軸12は、トランスミッション室2bを貫通して後方のトランスファ室3a方向へ延出されている。
又、フロントドライブ軸12には、中空のドリブン軸14が相対回転自在に外装されている。トランスファ室3aには、フロントドライブ軸12と同軸上に配設されたセンタデファレンシャル装置15と、ドライブ軸8の後方に配設されたリヤドライブ軸16とが内装され、センタデファレンシャル装置15から延出するトランスファ軸17とリヤドライブ軸16とがトランスファギヤ18を介して連設されている。トランスファ軸17からトランスファギヤ18を介してリヤドライブ軸16に伝達される回転トルクは、プロペラ軸19、リヤデファレンシャル装置20、リヤアクスル軸21等を介して後輪22に伝達される。
センタデファレンシャル装置15は、ドリブン軸14からの回転トルクを、フロントドライブ軸12とリヤドライブ軸16とに配分すると共に、前輪9と後輪22との間の回転差を吸収する機能を有している。又、このセンタデファレンシャル装置15に、ビスカスカップリング等の差動制限装置23が併設されている。
又、トランスミッション室2b内に平行に配設されているドライブ軸8とドリブン軸14とに、シンクロメッシュ機構(図示せず)により特定の変速ギヤが選択的に連結される複数段の変速ギヤ列24が配設されている。
エンジン7のクランク軸7aから出力される回転トルクは、クラッチ6を介してドライブ軸8に伝達されて変速ギヤ列24へ至る。変速ギヤ列24に入力された回転トルクは、図示しないシフトレバーにより選択された変速段にて所定に変速された後、ドリブン軸14からセンタデファレンシャル装置15に伝達され、フロントドライブ軸12とリヤドライブ軸16とに配分される。
そして、フロントドライブ軸12に配分された回転トルクは、フロントドライブギヤ13、フロントデファレンシャル装置11、フロントアクスル軸10等を経て前輪9に伝達される。一方、リヤドライブ軸16に配分された駆動トルクは、プロペラ軸19、リヤデファレンシャル装置20、リヤアクスル軸21等を経て後輪22に伝達される。
又、ドライブ軸8に捩りダンパ装置31が介装されている。捩りダンパ装置31は、ドライブ軸8の出力軸(ドライブ出力軸)8aと入力軸(ドライブ入力軸)8bとの間のトルク伝達を行うと共に、捩り振動を減衰・吸収する機能を有している。
図2に示すように、捩りダンパ装置31は、第1回転部材としてのダンパプランジャ33と、第2回転部材としてのケース本体32とを備えている。又、ケース本体32は、その後端に、ドライブ入力軸8bに連結される軸部32aが形成されている。又、ケース本体32内の中程にばね室32bが形成されている。更に、ケース本体32の後部にばね室32bに連通する軸受け室32cが形成されている。又、ケース本体32の先端部側にナット部32dが形成されており、このナット部32dの内周に、ボール溝32eが螺設されている。
一方、ダンパプランジャ33はねじ軸部34を有しており、このねじ軸部34の後端にフランジ部35を介してロッド部36が一体形成されている。更に、このロッド部36の後端に支持軸部36aを介してピストンフランジ36bが形成されている。このピストンフランジ36bには、1或いは複数のリーク孔36cが形成されている。又、ねじ軸部34の先端に、ドライブ出力軸8aにスプライン結合されるスプライン軸部34aが形成されている。
更に、このねじ軸部34の基部側外周にボール溝32eが螺旋状に形成されている。このボール溝32eは、ケース本体32のナット部32dの内周に形成されているボール溝32eと同一ピッチを有している。
ダンパプランジャ33がケース本体32内に配設されている状態では、後端に形成されているピストンフランジ36bが軸受け室32cに挿通され、又、ロッド部36が軸受け室32cの内周に芯出し用ブッシュ37を介して回動自在で且つ進退自在に支持される。この軸受け室32cは、芯出し用ブッシュ37とロッド部36とで密閉されており、内部にオイル42が充填されている。従って、この軸受け室32cの芯出し用ブッシュ37とロッド部36とで閉塞された空間がオイル室として機能し、このオイル室がピストンフランジ36bによって2室に区画される。
又、ナット部32dと、このナット部32dに挿通されているねじ軸部34とに形成された螺旋状のボール溝32e,34bが互いに対設された状態で配設され、この両ボール溝32e,34b間にボール列41が介装されて、ボールねじ機構が構成される。両ボール溝32e,34bは右ねじ状に螺設されており、従って、ねじ軸部34を、図3の時計回り方向(右回り方向)へ回転させると、ダンパプランジャ33が、図2の右方向へ移動する。
更に、ケース本体32の中程に形成されたばね室32bに、ダンパプランジャ33のフランジ部35が配設されている。ばね室32bには、フランジ部35を挟んで後進用ばね38と二重化された前進用ばね39,40とが配設されている。この各ばね38〜40は、圧縮と捩れとを同時に受けるばね部材としての圧縮トーションコイルばねであり、その一端がフランジ部35の座面に固設され、他端がばね室32bの壁面に固設されている。尚、前進用ばね39,42を二重化ばねとしたことで、スラスト剛性(ねじ軸部34に対する予圧特性)を幅広く調整することができる。
前進走行時のドライブ出力軸8aは、エンジン7側から見た場合、時計回り方向(右回り方向)へ回転しており、従って、ダンパプランジャ33が同方向へ回転するため、そのときの螺旋運動により、図2の右方向へ移動し、前進用ばね39,40を圧縮すると共に、この前進用ばね39,40に捩れを発生させる。そして、その捩れによりケース本体32が回転し、ドライブ出力軸8aが正転する。
一方、後進走行時のドライブ出力軸8aは、前進走行時と逆方向へ回転するため、そのときの螺旋運動によりダンパプランジャ33は、図2の左方向へ移動し、後進用ばね38を圧縮すると共に捩れを発生させ、その捩れによりケース本体32が回転し、ドライブ出力軸8aが逆転する。
又、ケース本体32とダンパプランジャ33との間には、両者の相対回転による捩り角を規制する捩り角ストッパ43が形成されている。本形態では、この捩り角ストッパ43が、ダンパプランジャ33に形成したフランジ部35の外周と、この外周に対向するばね室32bの内周との間に形成されている。
すなわち、図3に示すように、捩り角ストッパ43は、フランジ部35の外周に、一定間隔(本形態では、90°)毎に形成されたスプライン外歯35aと、ばね室32bの内周に形成すると共に、スプライン外歯35aに係合するスプライン内歯32fとで構成されている。又、スプライン外歯35aとスプライン内歯32fとの間に、相対回転を許容する隙間Gが形成されており、この隙間Gが、スプライン外歯35aを挟んで両側に設けられている。従って、総隙間は2Gとなる。尚、図の矢印は前進走行時の回転方向を示している。
次に、このような構成による本形態の作用について説明する。エンジン7のクランク軸7aから出力された回転トルクは、クラッチ6を介して手動変速機1のドライブ軸8に伝達される。ドライブ軸8は、ドライブ出力軸8aとドライブ入力軸8bとに分割されており、この両軸8a,8b間に捩りダンパ装置31が介装されている。
ドライブ出力軸8aは、捩りダンパ装置31に設けられているダンパプランジャ33の先端に形成されているスプライン軸部34aにスプライン係合されている。尚、この場合、スプライン係合は、セレーション係合であっても良い。従って、ドライブ出力軸8aからの回転トルクは、ダンパプランジャ33にそのまま伝達される。ダンパプランジャ33は、入力された回転トルクにより、図3の矢印で示す時計回り方向へ回転する。
ダンパプランジャ33とケース本体32とは、互いに対向するボール溝34b,32eとボール列41とから成るボールねじ機構を介して連設されており、従って、ダンパプランジャ33が、図3の時計回り方向へ回転すると、ボールねじ機構により螺旋運動し、ケース本体32に対して、図2の右方向へ相対移動しようとする。
ダンパプランジャ33の中途に形成されているフランジ部35は、ケース本体32の中途に形成されているばね室32bに臨まされており、このフランジ部35とばね室32bの図2の右側の壁面との間に前進用ばね39,40が介装されている。この前進用ばね39,40は、圧縮トーションコイルばねであり、その両端がフランジ部35とばね室32bの壁面とに各々固設されている。従って、ダンパプランジャが図2の右方向へ螺旋運動すると、前進用ばね39,40が圧縮且つ捩れを受ける。
この捩れによる回転トルクは、前進用ばね39,40からケース本体32へ伝達される。すると、このケース本体32が回転し、その回転トルクが後端に形成された軸部32aに軸着されているドライブ入力軸8bに伝達されて、変速ギヤ列24へ至り、図示しないシフトレバーにより選択された変速段にて所定に変速された後、ドリブン軸14からセンタデファレンシャル装置15に伝達され、フロントドライブ軸12とリヤドライブ軸16とに配分される。
尚、ダンパプランジャ33とケース本体32とは、ダンパプランジャ33のロッド部36が、ケース本体32に形成されている軸受け室32cに対して芯出し用ブッシュ37を介して回動自在で且つ進退自在に支持されているため、ダンパプランジャ33とケース本体32とは、軸芯が常に一致された状態で相対回転、或いは同期回転する。
又、前進用ばね39,40が二重化されているため、両ばね39,40のばね定数を個々に適正に設定することで、スラスト剛性(ねじ軸部34に対する予圧特性)を幅広く調整することができる。
ところで、エンジン7の回転トルク変動等に起因する捩り振動が、ドライブ軸8のドライブ出力軸8aに全く伝達されてない場合、すなわち、ドライブ軸8が等速回転している場合、ダンパプランジャ33とケース本体32とは、前進用ばね39,40を介して一体回転する。
一方、ドライブ出力軸8aに捩り振動が伝達されると、ダンパプランジャ33とケース本体32との間に差回転が生じる。その差回転によりダンパプランジャ33がケース本体32に対し、螺旋運動しながらスラスト方向へ相対移動するので、捩り振動の一部はスラスト荷重に変換される。前進用ばね39,40は圧縮トーションコイルばねを採用しているため、ダンパプランジャ33の螺旋運動により、この前進用ばね39,40に捩れが生じると共に、圧縮或いは伸張される。この前進用ばね39,40の捩れと圧縮或いは伸張により、前進走行時の捩り振動が、減衰・吸収され、低騒音化、低振動化を実現することができる。
更に、本形態では、ダンパプランジャ33の後端に形成したピストンフランジ36bが、ケース本体32の後部に形成された軸受け室32cに臨まされている。この軸受け室32cにはオイル42が充填されており、ダンパプランジャ33の螺旋運動により、ピストンフランジ36bが軸方向へ移動すると、2室に区画された軸受け室32cの一方のオイル42がピストンフランジ36bに穿設されているリーク孔36cを通り他方へ流れ込もうとする。このときの流動抵抗がオイルダンパとして機能し、急激なトルク変動が発生しても、そのときのスラスト荷重として作用する捩り振動を減衰・吸収させることができる。
又、オイルダンパを併設することで、前進用ばね39,40及び後述する後進用ばね38のスラスト剛性を相対的に低く設定することができ、その分、捩りダンパ装置31の構造を簡素化することができると共に、より一層の低騒音化、低振動化を実現することができる。
一方、後進走行時の捩りダンパ装置31に設けられているダンパプランジャ33は、図3の矢印で示す方向と反対方向(反時計回り方向)へ回転する。従って、ダンパプランジャ33は、図2の左方向へ螺旋運動しようとし、ダンパプランジャ33の中途に形成されているピストンフランジ36bと、ばね室32bの壁面とに両端を固設する後進用ばね38が捩れ且つ圧縮を受ける。そして、この捩れによる回転トルクがケース本体32へ伝達され、このケース本体32に軸着するドライブ入力軸8bが回転する。この場合も、前進走行と同様、ドライブ軸8が等速回転している場合は、ダンパプランジャ33とケース本体32とは、後進用ばね38を介して一体回転する。
又、後進走行の際に、ドライブ出力軸8aに捩り振動が伝達されると、ダンパプランジャ33とケース本体32との間に差回転が生じ、その差回転によりダンパプランジャ33がケース本体32に対し、螺旋運動しながらスラスト方向へ相対移動する。後進用ばね38は、圧縮トーションコイルばねを採用しているため、ダンパプランジャ33の螺旋運動により、この後進用ばね38に捩れが生じると共に圧縮或いは伸張される。この後進用ばね38の捩れと、圧縮或いは伸張により、後進走行時の捩り振動が、減衰・吸収され、低振動、低騒音化が実現できる。
尚、後進用ばね38は、前進用ばね39,40と異なり、一条の圧縮トーションコイルばねを採用している。その理由は、後進走行時に発生する捩り振動は、前進走行時に発生する捩れ振動に比し小さく、又、軸受け室32cに臨まされているピストンフランジ36b及びオイル42がオイルダンパとして機能するため、後進走行時の捩れ振動を、一条の後進用ばね40にて充分に減衰・吸収することができるからである。勿論、後進用ばね38を二重化しても良いことはいうまでもない。又、本形態では、前進用ばね39,40と後進用ばね38とを備えているので、前進走行時と後進走行時とのスラスト剛性を異なる値に設定することができる。
又、図3に示すように、本形態による捩りダンパ装置31には、捩れ角ストッパ43が設けられている。同図に示す状態は、中立状態、すなわち、ドライブ軸8に駆動トルクが伝達されてない、停車状態、及びドライブ軸8が等速回転している状態が示されている。この状態では、前進用ばね39,40、或いは後進用ばね38を介してダンパプランジャ33からの回転トルクがケース本体32に伝達される。
一方、走行時において、捩り振動が大きく、従って、ダンパプランジャ33とケース本体32との差回転が大きくなると、上述した中立状態からダンパプランジャ33が一方へ大きく相対回転する。そして、フランジ部35の外周に形成されているスプライン外歯35aの歯すじが、ケース本体32の内周に形成されているスプライン内歯32fの歯すじに接触し、ケース本体32が、ダンパプランジャ33の回転と同方向へ押圧される。その結果、ダンパプランジャ33から出力される回転トルクは、捩り角ストッパ43を介してケース本体32へ直接伝達される。
従って、捩り振動が発生した場合であっても、前進用ばね39,40、及び後進用ばね38に過大な回転トルクが印加されることが無く、この各ばね38〜40の耐久性を向上させることができる。
又、捩り振動をスラスト方向で減衰させるようにしたので、円周方向に広いスペースを確保する必要が無い。従って、スラスト方向に捩りダンパ装置31を組み付けるスペースを確保することができれば、図1に一点鎖線で示すように、この捩りダンパ装置31を、手動変速機1内のリヤドライブ軸16、或いは手動変速機1から突出されたリヤドライブ軸16に介装することも可能である。或いは、捩りダンパ装置31を、エンジン7から突出されているクランク軸7aに介装することも可能である。
又、図4に本発明の第2形態による図2相当の断面図を示す。上述した第1形態では、ケース本体32の後部に形成した軸受け室32cにオイル42を充填し、このオイル42と、このオイル42内を移動するピストンフランジ36bとでオイルダンパを構成するようにしたが、本形態では、ダンパプランジャ33の後端に形成されている支持軸部36aとピストンフランジ36bとを廃止し、代わりに、芯出し用ブッシュ37を摩擦材を用いて形成し、更に、前進用ばね39を一条の圧縮トーションコイルばねとしたものであり、その他の構成は、第1形態と同様である。
本形態では、ダンパプランジャ33の後端に形成されている支持軸部36aとピストンフランジ36bとを廃止すると共に、前進用ばね39を一条の圧縮トーションコイルばねとすることで、構造の簡素化が図れ、製品コストの低減を実現することができる。
又、ダンパプランジャ33の支持軸部36aとピストンフランジ36bとを廃止したので、その分、軸方向の長さを短くし、小型化を実現することができる。
更に、芯出し用ブッシュ37を摩擦材で形成したので、ダンパプランジャ33の螺旋運動により、ロッド部36が芯出し用ブッシュ37を摺動する際に摩擦抵抗が生じ、この摩擦抵抗により捩り振動を減衰・吸収させることができる。従って、相対的に前進用ばね39と後進用ばね38とのスラスト剛性を低くすることができ、構造化の簡素化を実現することができる。
又、図5に本発明の第3形態による図2相当の断面図を示す。上述した第2形態では、ケース本体32とダンパプランジャ33とをボールねじ機構を用いて相対的に螺旋運動可能な構造としたが、本形態では、ダンパプランジャ33のねじ軸部34に雄ねじ34cを形成し、ケース本体32のナット部32dの内周に、雄ねじ34cに螺合する雌ねじ32gを形成し、この両ねじ34c,32gにより、ダンパプランジャ33を螺旋運動させるようにしたものである。
従って、本形態は、第2形態のボールねじ機構をねじ34c,32gの螺合構造とした点が相違しているのみで、その他の構成は同じである。
本形態では、ダンパプランジャ33とケース本体32とをねじ34c,32gの螺合構造としたので、第2形態に比し構成が簡素化され、製造が容易となり、製品コストの低減を図ることができる。
尚、本発明は上述した各形態に限るものではなく、例えば、適用する変速機は手動変速機に限らず、自動変速機、或いは無段変速機であっても良い。更に、適用する車両は4輪駆動車に限らず、前輪駆動車、後輪駆動車の何れであっても良い。
1…手動変速機、2…トランスミッションケース、7…エンジン、8…ドライブ軸、8a…ドライブ出力軸、8b…ドライブ入力軸、31…捩りダンパ装置、32…ケース本体、32a…軸部、32b…ばね室、32c…軸受け室、32d…ナット部、32e,34b…ボール溝、32f…スプライン内歯、33…ダンパプランジャ、34…軸部、34a…スプライン軸部、35…フランジ部、35a…スプライン外歯、36…ロッド部、36b…ピストンフランジ、36c…リーク孔、37…芯出し用ブッシュ、41…ボール列、42…オイル、43…捩り角ストッパ、G…隙間
代理人 弁理士 伊 藤 進
代理人 弁理士 伊 藤 進
Claims (8)
- 駆動系に配設されている少なくとも1つの入出力軸に介装されて、該入出力軸に伝達される捩り振動を減衰・吸収する車両駆動系の捩りダンパ装置において、
第1回転部材と該第1回転部材の同軸上に配設されている第2回転部材とを有し、
上記両回転部材が軸方向へ相対的に螺旋運動自在に連結され、
上記両回転部材間にスラスト剛性を発生させると共に一方の該回転部材から他方の該回転部材へ回転トルクを伝達するばね部材を介装した
ことを特徴とする車両駆動系の捩りダンパ装置。 - 上記ばね部材が圧縮トーションコイルばねであることを特徴とする請求項1記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。
- 上記圧縮トーションコイルばねが二重化されている
ことを特徴とする請求項2記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。 - 上記螺旋運動は、上記両回転部材間に配設されるボールねじ機構により生成される
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。 - 上記螺旋運動は、上記両回転部材間の一方に形成された雄ねじと他方に形成された雌ねじとの螺合により生成される
ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。 - 上記第1回転部材と上記第2回転部材との間にスラスト荷重を減衰するオイルダンパが介装されている
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。 - 上記第1回転部材と上記第2回転部材との間に、該両回転部材の軸芯を保持した状態で回転及びスラスト方向への移動を許容する芯出し用ブッシュが介装されていると共に、
上記芯出し用ブッシュを摩擦材を用いて形成した
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。 - 上記両回転部材間に、該両回転部材の相対回転角を規制する捩り角ストッパが設けられている
ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の車両駆動系の捩りダンパ装置。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004277987A Pending JP2006090472A (ja) | 2004-09-24 | 2004-09-24 | 車両駆動系の捩りダンパ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006090472A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013021922A (ja) * | 2011-07-14 | 2013-02-04 | Kaaz Corp | 振動吸収継手及びそれを備えた刈払機 |
-
2004
- 2004-09-24 JP JP2004277987A patent/JP2006090472A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013021922A (ja) * | 2011-07-14 | 2013-02-04 | Kaaz Corp | 振動吸収継手及びそれを備えた刈払機 |
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