JP2006089837A - ステンレス極細線の金網及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】目が均一、取扱容易、高精度で、変形しにくく、長寿命の精密フィルターやプリント印刷用金属メッシュ織物等に好適なステンレス極細線の金網及びその製造方法を提供。
【解決手段】互いに重なる部分でステンレス極細線の一部がつぶれて接触するように成形されたステンレス極細線の金網のステンレス極細線のオーステナイト基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物を分散させる。また、ステンレス極細線の直径を10〜50μmとする。さらに、炭化物の密度を外側から芯に向かって漸減させる。オーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、製織し、重なる部分を押圧成形し、金網とした後、金網を浸炭炉中で浸炭し、オーステナイト基地中に炭化物を分散させることにより製造する。浸炭は真空浸炭方法により行う。
【選択図】 図3
【解決手段】互いに重なる部分でステンレス極細線の一部がつぶれて接触するように成形されたステンレス極細線の金網のステンレス極細線のオーステナイト基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物を分散させる。また、ステンレス極細線の直径を10〜50μmとする。さらに、炭化物の密度を外側から芯に向かって漸減させる。オーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、製織し、重なる部分を押圧成形し、金網とした後、金網を浸炭炉中で浸炭し、オーステナイト基地中に炭化物を分散させることにより製造する。浸炭は真空浸炭方法により行う。
【選択図】 図3
Description
本発明は、数μm〜数十μmの線径の極細線に関し、特にオーステナイト系ステンレス鋼の極細線を用いた精密フィルターやプリント印刷用金属メッシュ織物等の金網及びその製造方法に関する。
精密フィルターやプリント印刷用金属メッシュ織物等の金網を編むための線は、ピアノ線やステンレス鋼極細線等が用いられる。かかる細線は伸線により加工されるのが一般である。炭素量が多いと加工硬化等により極細線の加工が困難になる。そこで、炭素量が少なく耐食性を有するオーステナイト系ステンレス鋼が用いられる例が。例えば、特許文献1には、オーステナイト系ステンレス鋼からなる線形40μm以下の極細線であって、JIS G0551による結晶粒の平均粒度番号(N)が10を越える微細組織となる伸線加工及び熱処理加工の付加によって、800〜1600N/mm2の0.2%耐力値と、10〜40%の伸び率を付与したステンレス鋼極細線を精密フィルターやプリント印刷用ハイメッシュ材等として金網に使用する例が開示されている。
また、特許文献2には線径1〜50μm、耐力1800MPa以上で、かつその引張試験での破断までの破断伸び(%)をAとし、この破断ポイントを通る荷重水平線aと、弾性域内での描線bの延長線cとが交差する交点dまでの降伏伸び(%)をBとするとき、{(A−B)/A}×100で求められる伸び比率Xが10〜60%の範囲にあることを特徴とする、高強度オーステナイト系ステンレス鋼からなる印刷用金属メッシュ織物用ステンレス極細線を金網に使用することが記載されている。
特許文献3には真空鋳造法により鋳造され、非金属介在物の大きさが3μm以下のオーステナイト系ステンレス鋼組成を有し、線径が30μm以下であり、950N/mm2以上の抗張力(引張強さ)および30%以上の伸び率を有し、かつ伸線加工率99.6%時の一断線当たりの伸線量が2kg/回以上である、印刷用金属メッシュ織物用ステンレス極細線を金網に使用することが記載されている。
一方、特許文献4には、最終組成より炭素Cの含有量の少ない出発材料を用い、線径2.0mm以下まで伸線加工した後浸炭及び拡散焼き鈍しを行い所望の組成を有する高炭素合金細線の製造方法が記載されている。さらに、特許文献5には、低C鋼の6mm以下の細線を浸炭化し、最大粒径5μm未満のMC及びM6C型炭化物を有するマルテンサイト系の靱性、耐摩耗性に優れる金属部材が記載されている。
特開平11−6037号公報
特開2003−253399号公報
特許第3041843号公報
特開昭62−142019号公報
特許第3053605号公報
しかしながら、特許文献1のものは、結晶粒度を小さく、また、非金属介在物を3μm以下にし、伸び率が10〜40%という比較的メッシュ織物加工に適した伸び率を示すものの、その強度においては、800〜1600N/mm2の0.2%耐力値と、実施例において抗張力については高々1400MPaが得られるにとどまっており、強度が少ないという問題があった。
また、特許文献2のものは、耐力1800MPa(抗張力は一般的に耐力を上回りもしくは約2倍程度得られる場合があるので、抗張力に換算して1800〜3600MPa程度)以上と強度は高いが、実施例において明らかなようにこの方法ではいずれも伸びが5%未満と伸びが小さい。このような塑性領域の小さい線材で製織するには特に高度な技術が要求されるという問題があった。さらに、線材は伸線加工とともに抗張力および耐力が増加し、伸びが逆に低下するが、これを加熱により再び軟質化させる際には、再結晶温度以下でのわずかな軟化の後、再結晶温度に達すると一気に軟化する性質があるので、ある温度以上に加熱した段階で耐力が例えば軟質仕上線並の700MPaまで急に落ち、これらの中間的な値を得るための温度制御が困難であり、さらに、700℃以上ではσ相析出の可能性があり、従って、伸び5%以上の線が得られないという問題があった。
また、特許文献3のものは、成分バランスを規定し、かつ、非金属介在物を3μm以下としているが、伸び率は高いが、実施例によると抗張力は高々1200MPaまでのものが得られるにとどまり、織成加工中の強度が不足するという問題がある。このように、オーステナイト系ステンレス鋼の伸線加工は容易であるものの、抗張力を高くすると伸び率を確保できず、伸び率を確保すると抗張力が低くなるという問題があった。即ち、伸び率を確保すると抗張力が下がるので、製織時の断線や線径の細りや硬度アップによる不均一は押さえるられるがメッシュ織物としての寿命が短くなり、逆の場合は、加工性や歩留まりが悪くなるという問題があった。
一方、特許文献4のものは、所望の組成の高炭素合金細線を浸炭により得る製造方法であり、また、マルテンサイト系の高速度工具鋼相当および高硬度Co合金の例としてステライトへの実施例が開示されているに過ぎない。また、特許文献5のものもマルテンサイト系の靱性、耐摩耗性に優れた金属部材への適用が開示されているに過ぎない。従って、特許文献4,5においては、製織等の変形を伴う金属用への適用、耐食性への検討、さらには、オーステナイト系ステンレス鋼への適用については、示唆も開示されていない。
そこで、本出願人は、オーステナイト系ステンレス鋼の基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物が分散している金網用ステンレス極細線を提供することにより、耐食性に優れ、伸びが5%以上で抗張力が1400MPa以上の、伸び及び抗張力の両方を兼ね備え、断線しにくい加工性の優れたオーステナイト系ステンレス鋼製金網用ステンレス極細線を提案した。このものは、例えば、特許文献4,5に示すような、低炭素材を浸炭することにより得られる。即ち、低炭素のオーステナイト系ステンレス鋼を線引きして所望の極細線にした後、浸炭処理を行うことにより炭化物を表面に分散させ、また、マトリックス中に侵入型固溶体として分散させることにより得られる。また、浸炭処理に当たって、炭化物の大きさが等価円直径で2μm以下となるように浸炭量を調整する。特に、オーステナイト系ステンレス鋼に、浸炭により、炭化物を分散させ、さらに炭化物の大きさを制限することにより金網用に適したステンレス鋼の極細線とした。
しかし、極細線を製織するにあたっては、多くの曲げ、折りたたみ、変形が必要であり、目の均一化、極細線の取り扱いが面倒であるという問題が残っていた。
本発明の課題は、かかる問題点に鑑みて、目がより均一で、取り扱いが容易であり、さらには精度が高く、変形しにくく、寿命の長い精密フィルターやプリント印刷用金属メッシュ織物等の金網及びその製造方法を提供することである。
本発明においては、オーステナイト系ステンレス鋼のステンレス極細線が互いに重なる部分で前記ステンレス極細線の一部がつぶれて接触するように網状に成形されたステンレス極細線の金網であって、前記ステンレス極細線のオーステナイト基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物が分散しているステンレス極細線の金網を提供することにより前述した課題を解決した。
即ち、基地組織がオーステナイト相であるので耐食性に優れる。さらに、オーステナイト組織中に等価円直径で表す粒径が3μm以下の炭化物が表面部分及びマトリックス中に分散するので、抗張力および耐力が向上する。炭化物の等価円直径を3μm以下としたのは、2μmを超えるような粗大な粒子は金網の曲げや外力等の応力集中により断線の原因となるからである。より好ましくは、炭化物は1μm以下とできる限り小さい方がよい。また、互いに重なる部分の一部をつぶして接触するようにしているので、厚み方向に薄くされ、また重なる部分で互いに極細線が固定される。なお、等価円直径で表す粒径とは、断面組織を観察した場合にその粒子の断面積に等しい面積を有する正円の直径として定義されるものである。
また、請求項2に記載の発明においては、前記ステンレス極細線の直径が10〜50μmであるステンレス極細線の金網とした。直径を10μm以上としたのは、10μm未満の線材は素線として実用上のコストで製造できる手段が無いからであり、50μm以下としたのは、50μm超の線は強度が高いので、あえて本発明の金網とする必要がないからである。
また、抗張力を確保するためには、浸炭量をある程度確保する必要がある。そこで、請求項3に記載の発明においては、前記オーステナイト系ステンレス鋼の基地中の炭化物の密度が外側から芯に向かって漸減しているステンレス極細線の金網とした。かかる組成にあっては、浸炭量の確保の目安になるとともに、浸炭による炭化物の供給により容易に得られ、また、表面に炭化物が多い方が硬度が確保でき、内部が少ないことにより靱性を確保できるという利点がある。
かかる極細線の金網は、前述したと同様に、低炭素材を浸炭することにより得られる。即ち、請求項4に記載のように、オーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、製織し、ステンレス極細線の互いに重なる部分を押圧して押しつぶし成形し、金網とした後、浸炭により、オーステナイト系ステンレス鋼の基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物を分散させるステンレス極細線の金網の製造方法により得られる。
即ち、低炭素のオーステナイト系ステンレス鋼を線引きして所望の極細線にした後、そのまま製織するので、抗張力は低いが伸びが大きく製織しやすい。さらに、互いに重なる部分の一部をつぶして接触変形させる。このとき、抗張力が低いので容易につぶれやすく金網として成形しやすい。金網とした後、浸炭処理を行うことにより炭化物を表面に分散させ、また、マトリックス中に侵入型固溶体として分散させることにより、炭化物の大きさが等価円直径で2μm以下となるように浸炭量を調整することにより、強度が高く、伸びを兼ね備えたステンレス極細線の金網とすることができる。
また、浸炭方法はガス浸炭等でもよいが、不純物が少なく、浸炭後の処理が少ない真空浸炭が好ましい。そこで、請求項5記載の発明においては、前記浸炭は真空浸炭方法により行われるのステンレス極細線の金網の製造方法とした。
本発明においては、基地組織がオーステナイト相であり耐食性に優れ、オーステナイト組織中に等価円直径で表す粒径2μm以下の炭化物を表面部分及びマトリックス中に分散させ抗張力および耐力を向上させたので、耐食性に優れ、伸び及び抗張力の両方を兼ね備え、断線しにくい、さらに、互いに重なる部分の一部をつぶして接触させ、厚みが薄く、互いに極細線がしっかり固定されるので目崩れのない、高強度で長寿命の精密フィルターやプリント印刷用金属メッシュ織物等のステンレス極細線の金網を提供するものとなった。
また、請求項2に記載の発明においては、ステンレス極細線の直径を10〜50μmとし、伸び及び強度が要求される線径に適した太さとしたので、かかる太さのステンレス極細線の金網として有用なものとなった。また、請求項3に記載の発明においては、炭化物の密度を外側から芯に向かって漸減させ、浸炭量の確保の目安とし、浸炭により炭化物の供給が容易になるので、製造や品質管理が容易になった。また、表面硬度と靱性を確保できるので、製織が容易で寿命が長いステンレス極細線の金網を提供するものとなった。
さらに、請求項4に記載の発明においては、抗張力は低いが伸びが大きい低炭素のオーステナイト系ステンレス鋼を線引きして所望の極細線にした後、そのまま製織し、重なり部をつぶして接触変形させ、目を均一に固定、高い精度の金網とするとともに、さらに、浸炭処理を行うことにより等価円直径で2μm以下となるような炭化物を表面及びマトリックス中に侵入型固溶体として分散させ、強度が高く、伸びを兼ね備えたステンレス極細線の金網を製造することができるので、歩留まりがよく、精度が高く、変形しにくく、寿命の長い精密フィルターやプリント印刷用金属メッシュ織物等のステンレス極細線の金網の製造方法を提供するものとなった。また、請求項5記載の発明においては、真空浸炭方法により浸炭するので、品質の安定したステンレス極細線の金網の製造方法となった。
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明のステンレス極細線の金網の実施の形態を示す出発材料の成分を示す表、図2は本発明のステンレス極細線の金網の浸炭前の部分拡大写真、図3は本発明の実施の形態を示すステンレス極細線の金網の部分拡大写真、図4は図3のステンレス極細線を切断した部分拡大断面組織写真である。本実施の形態のステンレス極細線の金網は伸線等により直径を35μmにされた図1に示す成分のSUS304(JIS G 4308)相当のオーステナイト系ステンレス鋼線材を格子状に編み込み金網に製織した。製織後、互いに重なる部分の一部をつぶして接触変形させ、図2に示すような金網に成形する。このとき、オーステナイト系ステンレス鋼線材の抗張力は976MPaと低い一方、伸びは29.6%程度であり、容易に製織でき、つぶれやすく金網として精度よく成形しやすい。
次に、金網とした後、浸炭処理を行うことにより炭化物を表面に分散させ、また、マトリックス中に侵入型固溶体として分散させることにより、炭化物の大きさが等価円直径で2μm以下となるように浸炭量を調整する。浸炭後の金網は図3に示すように、表面に炭化物の凹凸の皺が形成されている。また、素地はオーステナイト組織となっている。図4に示すように、素地中には炭化物が黒い点となって分散している。炭化物の大きさは、0.5μm以下、即ち、等価円直径で表す粒径が2μm以下となっている。また、炭化物は外側に多く、芯側で少なくなっており、炭化物の密度が外側から芯に向かって漸減している。また、ステンレス極細線が重なった部分は表面からの浸炭が少ないので、ステンレス極細線が重なった部分の炭化物の量は露出した表面の炭化物より少ない。また、芯側とほぼ同量にされている。さらに、重ね部は浸炭処理に際しての高熱による、重ね部の離間、塑性戻り(熱により膨らんでつぶれがなくなる)、形状変化等はほとんど認められず、形状が安定した目の均一性が確保されている。
かかる本実施の形態に示すステンレス極細線の金網は、オーステナイト組織中に浸炭された炭化物により、高い抗張力を得られる。一方、オーステナイト組織中に炭化物を浸炭させるので、伸びの低下も小さく、抗張力が高く、形状精度も確保でき、均一さ、形状安定性、強度、柔軟性を必要とするスクリーン印刷用ステンレス金網に適したステンレス極細線の金網となった。また、炭化物の量を大きくできるの、伸びを小さくさらに高抗張力の金網とすることも可能である。
次に、本発明のステンレス極細線の金網の浸炭方法の例について説明する。本発明ステンレス極細線の金網を得るには、伸線して線径10〜50μmのオーステナイト系ステンレス鋼線材を製織して金網にした後、浸炭する。浸炭はガス浸炭や一般的な浸炭が可能である。但し、線型が数十μmであるので制御に注意が必要である。また、不純物の混入、表面組織の安定性、均一さ等の点から真空浸炭によるのが好ましい。金網が小さい、あるいは短い場合はバッチ式浸炭処理でよい。また、金網が長尺の場合は、連続浸炭による浸炭が好ましい。そこで、本出願人が出願した特願2003−271038の金属線、金属帯もしくは金属パイプの連続真空浸炭方法及び装置に記載の方法及び装置を用いて実験した例について説明する。
図5は本発明の実施の形態で述べたステンレス極細線の金網を浸炭するために用いた連続真空浸炭装置の説明図である。図5に示すように、連続真空浸炭炉は、細長い真空容器9と、同容器内にその長手方向に沿って配置した複数(図示例では3つ)の炉心管1,11,12と、所定径に線引き完了したオーステナイト系ステンレス鋼線7を、これら炉心管から成る炉心部に通す繰り出し巻き取り機構(13,14)とを有する。
各炉心管1,11または12は、両端を開いた細長い形状で、浸炭ガス導入管2と、キャリアガス導入管3と、一対の排気管4を備えている。さらに、各炉心管には、その長手方向に沿って電気ヒータ10が設けられている。これら導入管2,3と排気管4は、真空容器9を貫いて炉心管に接続していて、真空容器外から浸炭ガスとキャリアガスを炉心管へ導入し、真空容器外へ排出するようになっている。
排気管4は、炉心管の長手方向に関して浸炭ガス導入管2の両側に配置され、これら排気管の間の炉心管内は、浸炭ガスが占める浸炭部5となる。キャリアガス導入管3は、鋼線7の移動方向に関して、導入管2と排気管4の下流側に配置され、この下流側の炉心管内はキャリアガスの充満する拡散部6となる。なお、図4では、炉心管1のみに参照符号2から6および10を付しているが、炉心管11,12も同様な構造である。
真空容器9は、真空排気弁(図示なし)を設けた排気管8を有し、容器内を排気可能である。繰り出し巻き取り機構は、真空容器内で炉心管1,11,12の両側に配置した繰り出し側ボビン13と、巻き取り側ボビン14とを含む。本実施の形態においては、実験的におこなったもので、前述した直径が35μmの図1に示す成分のSUS304相当のオーステナイト系ステンレス鋼線材を格子状に編み込んだ浸炭前の金網7を幅2cmで長さ10cmの金網として両端を同出発材料のオーステナイト系ステンレス鋼線材で結んだものである。ボビン13,14は回転駆動され、ボビン13に巻いたオーステナイト系ステンレス鋼線材とステンレス極細線の金網7を繰り出し、炉心管1,11,12を通してボビン14に巻き取る。なお、繰り出し巻き取り機構は真空容器の外に設置しても良い。この場合、差動排気機構を設けて、ステンレス極細線の金網7の移動に伴って大気が真空容器内へ侵入しないようにすることが望ましい。
この連続真空浸炭炉は、本発明の実施例のステンレス極細線の金網の焼き入れは次のように行う。先ず、ステンレス極細線の金網7の導入するためのオーステナイト系ステンレス鋼線材を、繰り出し側ボビン13から炉心管1,11,12に通して、巻き取り側ボビン14に接続する。次いで、排気管8から真空容器9全体を十分に排気する。真空容器内が10Pa以下の所定の真空度になると、ヒータ10に電流を流して、炉心管1,11,12を850℃から1050℃の所定の温度に加熱する。
その後、浸炭ガス導入管2およびキャリアガス導入管3から、エチレンなどの浸炭源ガスおよび窒素またはアルゴンなどのキャリアガスを炉心管1,11,12内へ導入する。同時に、排気管8の真空排気弁を調節して、真空容器9内の真空を制御することにより、炉心管1,11,12内部の圧力を5kPa以下、好ましくは1〜3kPaまで復圧する。かかる雰囲気調整の後に、繰り出し巻き取り機構を作動し、ステンレス極細線の金網7を炉心管1,11,12を通過させて、ボビン14に巻き取り、炉を冷却し、真空容器を真空破壊し、ボビンごとステンレス極細線の金網7を炉から取り出す。
浸炭源ガスは、850℃〜1050℃に加熱された各炉心管に、導入管2と排気管4から連続的に導入および排気されることによって、真空浸炭可能な、圧力および組成ガスの一定な浸炭雰囲気として機能する。この雰囲気は、そこを通過するステンレス極細線の金網7を浸炭させる。浸炭されたステンレス極細線の金網7は、続いて、各炉心管の加熱された拡散部6を通る。この拡散部には浸炭源となるガスが無く、ステンレス極細線の金網7の表面から浸炭された炭素が合金断面内部に拡散する。このようにして、前述した図3、4に示すようなステンレス極細線の金網が得られる。なお、浸炭ゾーン温度は920℃、拡散ゾーンの温度920℃、浸炭ゾーンの全長および拡散ゾーンの全長を線送り速度で除して求めた線材通過時間、即ち浸炭、拡散時間は30秒とした。
又、実施例では実施した炉心管の大きさの関係で幅2cm、長さ10cmの金網としたが、炉心管等の横幅を金網の幅に合わせた寸法の連続真空浸炭装置を用いることで、スクリーン用に適した横幅を有する長尺のステンレス極細線の金網の浸炭を容易に実施できることはいうまでもない。
なお、本図5の装置を用い、オーステナイト系ステンレス鋼を浸炭し、オーステナイト系ステンレス鋼の基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物が分散した金網用ステンレス極細線を用いて、製織し、金網とすることもできる。この場合、浸炭条件により、伸びが5%〜16%、抗張力が1400(好ましくは1500)MPa〜2600MPaのステンレス極細線を用いることができる。しかし、本請求項4に記載の発明の製造方法による場合には、重ね部のつぶれ、炭化物の量が他の表面に比べて少ない等、分散量や分散状態が異なる。また、製織時の伸びや強度の制限等が大幅に緩和されるので、製織が容易となる。さらに、また、金網となった状態で浸炭するので、製織行程を気にすることなく、多くの炭化物を浸炭できるので、さらに強度の強いステンレス極細線の金網を提供できる等応用範囲が広いものとなる。
Claims (5)
- オーステナイト系ステンレス鋼のステンレス極細線が互いに重なる部分で前記ステンレス極細線の一部がつぶれて接触するように網状に成形されたステンレス極細線の金網であって、前記ステンレス極細線のオーステナイト基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物が分散していることを特徴とするステンレス極細線の金網。
- 前記ステンレス極細線の直径が10〜50μmであることを特徴とする請求項1記載のステンレス極細線の金網。
- 前記オーステナイト系ステンレス鋼の基地中の炭化物の密度が外側から芯に向かって漸減していることを特徴とする請求項1又は2に記載のステンレス極細線の金網。
- オーステナイト系ステンレス鋼線を用いて、製織し、ステンレス極細線の互いに重なる部分を押圧して押しつぶし成形し、金網とした後、浸炭により、オーステナイト系ステンレス鋼の基地中に等価円直径で表す粒径が2μm以下の炭化物を分散させることを特徴とするステンレス極細線の金網の製造方法。
- 前記浸炭は真空浸炭方法により行われることを特徴とする請求項4に記載のステンレス極細線の金網の製造方法。
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