JP2006087942A - 消毒用容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】収容空間Sを有するケース体11でなり、前記ケース体が、前記載置状態において、仮想の水平断面がほぼ正方形でなり、左右側壁部に露出した把持部40を有しており、前記扉部20を手前とした場合に、奥行き方向に移動されて前記収容空間に挿脱されるトレー体30と、前記トレー体30の手前側となる端部に形成された手掛かり部と、前記扉部20が、前記ケース体11の前記開口部を閉止した際の閉止状態を保持するための閉止手段24と、前記扉部の下端付近に設けられ、前記扉部を閉止した際に、前記トレー体が前記収容空間に完全に収容された状態において、このトレー体の前端に当接して係止するための係止手段21とを備える消毒用容器。
【選択図】図2
Description
しかし、このような消毒方法は、特に、一般家庭で行う場合には手間がかかり、高温の湯を用いることで、取り扱いに伴う危険もある。
このような従来の消毒用容器では、扉部のついた矩形のケース体で構成されている。このケース体の扉で開閉される開口部には、スライドして出し入れされるトレー体が収容されており、このトレー体に複数の哺乳瓶を収容し、加熱用の水を入れることができるようになっている。
このため、トレー体に消毒すべき哺乳瓶を複数収容して出し入れできるので便利であり、加熱用の水の収容も簡単にできるようにされている。
そして、この消毒においては、電子レンジのマイクロ波による消毒効果と、さらに、ケース体の中の水が加熱されて、蒸気となり、これによる蒸気消毒及び洗浄を合わせて行うことができるようになっている。
例えば、電子レンジ消毒においては、上述した水か加熱されるので、消毒後に庫内から出す場合、特に持ちやすい配慮がされていないと、ケース体の姿勢が変化して傾斜し、不意に扉が開いて、高温の湯が収容されたトレー体が滑り出してきて、使用者の手等にかかるという危険がある。
また、このような火傷に関するものの他、不意に扉が開くと、哺乳瓶やその付属品といった消毒済みの物を取り落としてしまい、消毒をやりなおさなければならなかったり、破損してしまったりするおそれがある。
この場合、前記ケース体が、前記載置状態において、前記扉部を手前とした場合の扉部の幅方向が、奥行き方向に対して僅かに長く仮想の水平断面がほぼ正方形としたので、収容物となる哺乳瓶等の出し入れを行い易い。しかも、例えば、円形のターンテーブルを備えた電子レンジの庫内に収容した場合においても、ターンテーブルの円周に対して、ケース体の外形がほぼ内接する形態であり、可能な限り大きな容積を確保しつつ、電子レンジの庫内の壁に接触せず、支障なくターンテーブルを回転させることができる。
また、ケース体の左右側壁部に露出した把持部を有していることから、電子レンジの庫内に出し入れする場合にも把手が邪魔にならず、この把手を使用して出し入れの作業がしやすい。
さらに、前記トレー体が手掛かり部を備えているので、安全にトレー体の移動操作を行うことができる。しかも扉部を閉止した際には閉止手段により扉部の閉止状態が保持されるので、消毒後にケース体を取り扱う場合に、不意に扉部が開いてしまうことがない。特に、扉部の下端付近には、係止手段が設けられており、トレー体が不用意に引き出されることが防止されているので、トレー体に収容された湯が使用者にかかったり、消毒対象物等を取り落とすことが有効に防止される。
請求項2の構成によれば、扉部を開閉する支軸は、ケース体を含む容器全体の外形がほぼ内接する仮想の円周上に位置するようにされているので、載置状態で開口部を大きく開くことができるとともに、この仮想の円周に対応した電子レンジのターンテーブルが回転動作することを妨げない範囲で、可能なかぎり大きな容量のケース体を得ることができる。
請求項3の構成によれば、扉部が必要に応じて着脱される。特に、扉部の開閉の際に、開き過ぎた場合や、ケース体が落下した場合等に、破壊される前に扉部が外れるようにされている。
請求項4の構成によれば、電子レンジ加熱により生じる扉部に付着した水滴が、前記露出面に沿って下降し、トレー体に導かれるので、周囲を汚したり、濡らしたりすることがない。
請求項5の構成によれば、小ケースを用いて、人工乳首等の小物や付属品をケース体の収容空間にセットして、哺乳瓶等とともに同時に消毒することが可能である。特に、小ケースにおいては、トレー体の上方に位置決めされるため、加熱による蒸気が複数の開口もしくはスリットを通過して、小物や付属品に十分届くので、消毒効果が確実となる。
請求項6の構成によれば、使用者がその育児スタイルに合わせて、本消毒容器を使用して薬液消毒を選択することができるように、薬液消毒に際しては、電子レンジ消毒の際に水の収容等で利用したトレー体を用いて、押さえ蓋を取り付けるようにしたので、消毒対象の人工乳首等の小物等が薬液から浮き出ることがなく、確実に消毒することができる。
請求項7の構成によれば、薬液消毒に際しては、電子レンジ消毒の際に小物や付属品の収容で利用した小ケースの一部を用いて、押さえ蓋を得るようにしたので、消毒対象の小物等が薬液から浮き出ることがなく、確実に消毒することができる。
請求項8の構成によれば、扉部が前記ケース体の上面に沿ってスライドするようにしたので、片開きの扉部等を比較すると、開放時に開け放した扉部のためにスペースを必要とすることがない。しかも、扉部の開き方向が上方であることから、ケース体の外側に、扉部の内面をつたわる水滴等を落として、周囲を濡らすことが防止される。
しかも扉部は前記トレー体の移動方向と異なる方向に移動する構成としたので、扉部を敢えて上方に動かさない限り、閉止状態を保持する閉止手段として機能する。ことため、トレー体の移動方向への動きに追従して扉部は開くことがなく、トレー体の不意な飛び出し等を防止することができる。
請求項9の構成によれば、ケース体側の係合部を、前記案内手段に係合する構造で側壁に設けることができ、消毒用容器の外形がほぼ内接する前記仮想の円周上よりも内側に収めることができ、電子レンジの庫内に収容する上で有利なコンパクトな構成とすることができる。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
これらの図において、消毒用容器10は、内部に後述する哺乳瓶やその付属品である乳首等の消毒対象物を収容する収容空間を有する箱状の本体であるケース体11を有している。
この消毒用容器10は、図示するような載置状態において、電子レンジ消毒に使用され、後述する起立状態、すなわち、図において背後の面を底面として起立させた状態において、薬液消毒に使用されるようになっている。
また、図2に示すように、ケース体11の載置状態においては、トレー体30よりも上の位置で、ケース体11の上述した起立状態においてほぼ下向きとなる箇所に、開閉部材50によって開閉されるように設けられた水抜き孔が形成されている。この水抜き孔については、後で詳しく説明する。
図4に示されているように、小ケース60は、全体が通気可能な貫通した細かな編み目を備えたバスケット状に形成されており、開閉できるようになっている。小ケース60の内部には、哺乳瓶のボトルBに固定される乳首(人工乳首)Nと、乳首Nを固定するためのキャップK、これに被せるフードF等の付属品が収容されるようになっている。尚、好ましくは、図3のようにトレー体30が3本のボトルBを載置する場合に、乳首Nと、キャップK、フードFは、ボトルBの数に合わせて、3セット分の付属品が小ケース60に収容できるようになっている。この場合、小ケース60の乳首N等を載置する側の面は図22に示すように、編み目が同心の円形をなすように、放射状に連続していることから、乳首Nの内面に確実に蒸気を導くことができる。
このような状態で、消毒用容器10は、電子レンジ(図示せず)の庫内に収容されて消毒が行われるようになっている。
そして、これらの構成、すなわち、ケース体11、扉部20、トレー体30、小ケース60は、電子レンジによる加熱に耐え、消毒に用いる薬液に耐える性質を有し、成形性に優れた丈夫な材質で形成され、例えば、開閉部材50を除き、全て合成樹脂、例えば、PP(ポリプロピレン)で形成することができる。
この側壁把持部40は、図8に示されているように、水平な面を備える第1の把持部41と、垂直な面を備える第2の把持部42とが、それぞれ端部を一体にして、全体としてL字を横にしたような形態を備えている。この第1及び第2の把持部に隣接して、この実施形態では、第1の把持部41と第2の把持部42の内側に側壁突起部43が露出して設けられている。この側壁突起部43は、水平に平行して延びる複数の突条43a,43b,43c,43dを備えている。
そして、側壁突起部43が、前記水平面と平行な方向に延びる複数の突条43a,43b,43c,43dで形成されているので、火傷等の防止のほか、ケース体を持ち上げる際等に指をそえれば、滑り止めとなって、取り落としにくくなる。尚、把持部40は、左右の側壁部14,15を膨らませ、そこに窪みを形成する等により形成してもよく、その場合には、当該窪みに突条等の滑り止めを形成すると好ましい。
このため、図10に示すように、トレー体30の凹面形状は、扉部20側に配置される先端側が、奥側(図10における右側)よりも僅かに高くされており、手前側に高温の湯がこぼれないようにされている。その底面は、哺乳瓶Bの形態に適合するように、奥側に向かって僅かに傾斜するように形成されている。
また、トレー体30の内面には、支持手段33が形成されており、後述するように薬液消毒の際に使用される。支持手段33は、小さな2枚の板を底面部から一体に起立させて、これらの間に狭いスリット状の空間を形成したものである。そして、トレー体30の手掛かり部31側が低くされており、後述する薬液消毒時に、薬液の液面に接触することなく支持手段33への着脱ができる。この実施形態では、図9に示すように支持手段33,33として二箇所に形成されており、トレー体30に複数の哺乳瓶Bを載置した際には、隣り合う哺乳瓶Bの間に位置して、哺乳瓶Bを載置する上で邪魔にならない位置に設けられている。そして、この支持手段33,33は、トレー体30の手掛かり部31寄りに設けられ、具体的には、後述する薬液消毒の際の消毒液の液面付近に位置するようにされている。尚、トレー体30の手掛かり部31は、その周縁31aが下方にリブ状となる構成とは異なり、扉部20側に把持部40と同様な突出部を設けることで形成してもよい。
支持手段32は、垂直方向に延びるスリット32aもしくは深い溝を備えており、図11及び図12に示す保持体35を支持するものである。
これらの図において、保持体35は、一方向に長い板体でなるベース38の一面に等間隔な長さ方向に並ぶ円筒状の保持部36,36,36を備えている。この保持部36,36,36は、電子レンジ消毒の対象となる哺乳瓶B等の瓶体の開口部内径よりも小さな外形を備えており、所定の長さを有している。
また、ベース38には、その長手方向の一辺に、それぞれ外方に延びる舌片状の支持片37,37,37が、等間隔に並んで形成されている。
図13は、扉部20の概略平面図、図14は扉部20の概略水平断面図、図15は、扉部20の概略右側面図である。
扉部20は、片開き式の扉でなっている。扉部20は、図3で説明したように、ケース体11の開口部12のトレー体30が占める領域を除く開口部面積を開閉する大きさに形成されている。この扉部20は、電子レンジ消毒の場合、トレー体30を移動させて、消毒対象物を出し入れしたり、消毒用の水を投入するとともに、図5で説明した小ケース60を挿脱するためのものであり、後述する薬液消毒の場合には、消毒対象の哺乳瓶Bその他や消毒液を出し入れするためのものである。
ここで、周縁21aは、扉部20の下縁に沿って、下縁全体に設けられ、トレー体30の先端側(図7の左側)上縁全体を覆い、スライドを防止するとともに密閉性を高めている。また、扉部20の内面には、リブ22が設けられている。このリブ22は、図7に示すように、収容空間S内で、トレー体30の先端側よりも内側に端部が位置しており、扉部20に付着した蒸気によるしずくが、外部に漏れでないようになっている。
図13において、扉部20の左端位置には、扉部20を開閉するためのヒンジ部23が設けられ、扉部20の右端位置には、扉部20の閉止手段としての掛止手段24が形成されている。図16は、扉部20の掛止手段24を拡大した断面で示す図であり、図において掛止手段24は、内方に向かってほぼ「く」の字状に曲折された掛止片で、その先端部24aは僅かに外側に折れている。掛止手段24の途中には、ケース体11側の右壁部に設けた掛止凸部25が入り込む窓状の孔24bが形成されている。ケース体11の右壁部15に設けられた掛止凸部25は図1に示されており、この掛止凸部25が設けられている位置は、図6で説明した軸受26と同様に、消毒容器10の外形がほぼ内接する仮想の円周よりも内側であるため、掛止手段24は、そのほとんどが右壁部15に位置して、この結果ターンテーブルCの内側に収まり、軸受26とほぼ対称の箇所である。
図6に示すように、扉部20のヒンジ部23を設けた隅部は、消毒容器10の外形がほぼ内接する仮想の円周に対応するターンテーブルCの周縁に近接している。この場合、アーム部23aが曲線状に扉部20の隅部を回り込んで、距離y1だけ奥側にとなる左側壁部14側にオフセットした位置に回動軸が設けられており、ケース体11の側壁14に軸受26が設けられて、この軸受26に支軸23aが装着されている。これにより、ヒンジ部23は外方に突出してターンテーブルCの周縁から外に出た領域に位置しないようにされている。
各軸受26,26はケース体11を成形する際に一体に成形され、その材料に基づくある程度の弾性を備えている。
図21は、図20はヒンジ部23の周辺を拡大して示す図である。この場合、曲線状のアーム部23cの突出した外面がケース体11の側壁14に当接して、支軸23aが弾性により開いた軸受26のスリット26aが、その弾性によって拡開し、支軸23aが軸受26から外れるようにされている。これにより、ヒンジ部23に極端に大きな力がかかってヒンジ部23の支軸23aや軸受26が破壊されることを有効に防止できる。
図19では、複数の軸受27,28,27が示されている。軸受27においては、その片側27aだけがケース体11の側壁部14と一体である。軸受28においては、その片側28aだけがケース体11の側壁部14と一体である。つまり、軸受27と軸受28は、固定端が反対で、軸受27と軸受28は、支軸23aの延びる方向に交互に配置されている。
このような構成によっても、上述したと同等の作用を得ることができる。
また、図19において、軸受27と軸受28とが交互に3つ配置されているが、ひとつの軸受27とひとつの軸受28で構成してもよい。
小ケース30は、消毒対象の付属品等を主に収容する手段であり、図22及び図23に示されているように、浅い箱状のバスケットのような形態である。すなわち、小ケース60は、所定の深さの本体61と、この本体61に対してヒンジを介して開閉される蓋体62を有しており、蓋体62を閉じた状態で形成される内部空間は、図7に示されているように、乳首NやフードF、キャップK等が完全に収容できる大きさとなるようにされている。
本体61の底面は、固定底面部63と、着脱底面部64とを備えている。固定底面部63と、着脱底面部64には、ともに同様の同心円状のスリット61aが、図示の場合合計6組形成されている。これは一度の消毒対象の個数に対応しており、より多い数でも、少ない数でもよい。ひとつひとつの同心円状のスリットには、それぞれ、乳首NやフードF、キャップKが開口部を伏せた状態で置かれることで、乳首NやフードF、キャップKの内面を含めた表面がスリットを通過する蒸気に好適にさらされるようになっている。
着脱底面部64は、後述するように、固定底面部63と同一面となる位置に掛止され、あるいは掛止状態を解除することで取り外すことができるようにされている。
着脱底面部64には、そのひとつの長辺の中央付近に、着脱底面部64の主面と直交する方向に延びるつまみ部65を有しており、着脱作業に利用できるようになっている。着脱底面部64の他の長辺には、この着脱底面部64の主面と同じ方向に延びる一対の支持片66,66が形成されている。後述する薬液消毒の際には、この着脱底面部64を取り外して、その一対の支持片66,66を図6や図10で説明した支持手段33,33の隙間に差し入れることにより、図7に示すように起立状態で薬液消毒する際に取り付けることができる。
これにより、電子レンジ消毒の際には、トレー体30に収容した水が水切り孔70からこぼれることがなく、消毒後には、水切り孔から不要となった湯を排出することができる。また、薬液消毒時には、後述する開閉部材を使用して密閉することで薬液が水切り孔から漏れ出ることがない。
ケース体11を起立させた状態では水切り孔70が底面である奥側壁部16に近接し、下を向くので、湯または水を捨てる際には、完全に残さず捨てる作業が容易である。
図6ないし図8で説明したように、ケース体11を構成する各面の突き合わせ箇所は、陵線にそって曲面状に面取りされている。図26に示された奥側壁部16と他の面との突き合わせ箇所の少なくとも水切り孔70が形成された突き合わせ箇所もこのような曲面16aとされている。この曲面16aの中央部には、奥側壁部16を底面として、起立状態とした際に、ケース体11の起立状態を支持する支持脚16aが奥側壁部16の四隅に形成されている。
また、水切り孔70周辺を保護するために一対のリブ71,71が、ケース体11の載置状態における水切り孔70の上下の箇所に設けられている。
一対のリブ71,71は間に所定の間隔が設けられており、このリブ71とリブ71の間の領域は、曲面16aと異なり平坦面72とされている。この平坦面72に後述する開閉部材50が装着されることで、隙間をつくりにくく、密閉性能をより確実にすることができる。また、平坦面72に後述するガイド部74の構造を形成する上において、曲面にガイド部や孔を形成する場合と比べて、型を用いた成形が容易となる。
これらの図において、水切り孔70は貫通孔である。水切り孔70の外面側には、その周縁に沿ってガイド部74が形成されている。ガイド部74はその内側と外側を一部連通する壁で形成さる。この実施形態では、ガイド部74は、例えば、水切り孔70の周縁に沿って、例えば、4箇所配置されたリブである。このガイド部74のリブの間には、流路74aが複数箇所形成されている。ガイド部74の高さGTは、少なくとも外側のリブ71,71の高さを超えない高さとされている。ガイド部74の内側には、水切り孔70との間に段部75を形成することで、ガイド部74の内径GL1は、水切り孔70の内径HLよりも大きく形成されている。
さらに、平坦面72のガイド部74及び水切り孔70とずれた位置に固定用ボス73が形成されている。固定用ボス73の高さはガイド部74と同じであることが好ましい。
図27に示されているように、固定用ボス73は外径の縦横比は僅かに相違しており方向性が付与されており、長径側の上面(図28における上端)側には、後述する開閉部材の一部を着脱可能な範囲で係止可能とするためのリブとされている。
図29は開閉部材50の概略平面図、図30は開閉部材50の概略側面図、図31は開閉部材50の概略底面図、図32は図29のE−E線切断端面図である。開閉部材50は、弾力性のある比較的柔軟で丈夫な材料で形成されており、例えば、シリコン等の成形品で形成されている。
開閉部材50は、一方向に長い板状のベース51と、ベース51の中央付近で、その一面に一体に起立した低い有底の円筒状の中空の密閉部52と、密閉部52と異なる面に一体に起立させて設けた低い有底の円筒状の中空の嵌合部53とを備えている。そして、密閉部52及び嵌合部53の各仮想の中心線C1は一致するようにされている。
また、密閉部52の高さTL1は、図28のガイド部74の高さGTとほぼ一致するか僅かに小さい。これに対して、嵌合部53の高さ、すなわち嵌合部53の基部から先端部53aまでの距離TL2は、ガイド部74の高さGTよりも小さく形成することで、嵌合部53をガイド部74にセットした状態において、ガイド部74及び流路74aの平坦面側が、開閉部材50から露出するようにされ、また、ガイド部74への結合力が密閉部52よりも弱くなるようにされている。
ベース51の一端よりには、図30において、段部54bを介して嵌合部53の上記先端部53aよりも低い位置に、固定用孔54が形成されている。この固定用孔54は、図27及び図28で説明した固定用ボス73が着脱可能に係止されて、開閉部材50を仮固定するためのものである。
図34に示されているように、電子レンジ消毒の場合には、ケース体の外側から開閉部材50−1として示されたように装着する(あわせて図2参照)。薬液消毒の場合ケース体の内側から、50−2として示されたように装着する。
開閉部材50−1は、図34(a)の状態とされる。すなわち、開閉部材50−1は、消毒用容器10の外側から、嵌合部53を空間部53bを中心にむかって変形させるようにして、ガイド部74の外側に装着されている。すなわち、ガイド部74は嵌合部53の内側で凸部53cの外側に受容される。この状態においては、嵌合部53の高さは、ガイド部74の高さよりも低いことから、浅く結合しており、結合力は比較的弱い。したがって、開閉部材50−1をガイド部74に装着するのは容易で、取り外しもしやすい。
この状態においては、嵌合部53の先端部53aと平坦面72との間に、隙間が生じる。この隙間は小開口M1となって、ガイド部54を構成する各リブどうしの間でなる流路74aが、隙間である小開口M1の分だけ露出し、水切り孔70と連通している。
このため、電子レンジ消毒に際して、レンジ加熱の熱で、ケース体の内側の圧力が高まった場合には、流路74a及び小開口M1から空気や蒸気が抜けるので、ケース体内部の圧力が高い圧力となった場合の危険を回避できる。また、流路74aが開口とされているため、電子レンジ消毒後に流路74aから湯を捨てることで水切りすることができる。
このため、作業途中において、開閉部材50−1が脱落して紛失する等の心配がないようにされている。
開閉部材50−1は、図34(b)の状態とされる。すなわち、開閉部材50−1は、消毒用容器10の内側から、その密閉部52を空間部52aを中心にむかって変形させるようにして、水切り孔70の内側に強制的に挿入されることで、装着されている。つまり、密閉部52は水切り孔70の内側に受容される。この場合密閉部52の外径は水切り孔70の内径より僅かに大きい状態から変形させて、深く挿入されることで結合している。このため結合力は電子レンジ消毒の場合よりもはるかに強い。したがって、開閉部材50−2を水切り孔70から外れにくく、しかも水切り孔70は、密閉部52の筒状の壁で遮蔽されるので、水抜き孔70は完全に密閉される。さらに、ベース51も平坦面72に接触するように形成されているため、確実に密閉することができる。
これにより、後述するようにしてケース体を起立状態とし、内部に消毒用の薬液を収容しても、密閉状態は完全であり、外に漏れることがない。しかも、開閉部材50−2は水切り孔70と強固に結合しており、外れにくいので、開閉部材50−2が容易に外れて薬液が外に漏れる心配もない。尚、電離レンジ消毒のために開閉部材を外側セットした図34(a)の状態で、誤って薬液消毒のための消毒液をケース体11内に充填しようとした場合、上述したように、流路74a及び小開口M1から消毒液が漏れるため、ケース体11内に消毒液を保持できないようになっている。
そもそも、開閉部材50では、図29ないし図32で説明したように、ベース52の異なる面に密閉部52と嵌合部53とを別々に設けたことから、これらを択一的にしか使用できないようにされている。このため、密閉部52と嵌合部53とを区別しさえすれば、誤使用が生じないようにされている。
あるいは、ケース体の内側から開閉部材50−4の嵌合部53に対応すべきガイド部がケース体11の内面には存在しないため結合することができない。
このようにして、誤使用を防止することができる。
電子レンジ消毒を行う場合には、消毒用容器10を図1及び図2に示すように載置状態とする。事前の準備として、開閉部材50は、図2及び、詳しくは図34の符号50−1で説明したように装着する。さらに、小ケース60に図4で説明したように、予め洗浄を済ませた付属品として例えば、乳首NとフードF、キャップKを配置しておく。
扉部20を閉めて、掛止手段24により扉部20を固定して、図示しない電子レンジの庫内を収容する。次いで、電子レンジにより、所定時間、例えば5分程度加熱する。内部空間Sに収容された哺乳瓶Bや付属品は、電子レンジのマイクロ波により加熱消毒されるとともに、トレー体30に入れた水が加熱されて蒸気となり、その蒸気が収容物の内外に接触することで、蒸気消毒されるとともに、付着した微細なゴミ等も除去される。加熱終了後、消毒用容器10を、側壁把持部40,40をそれぞれの手で保持して取り出す。
最後に、図1の状態、もしくは、後述する起立状態として、清潔な哺乳瓶及び付属品をそのまま保管する。これにより、消毒後の哺乳瓶及び付属品をケース体11内で清潔に保管することができる。
また、図1や図2の状態で保管している場合には、使用のため扉部20を開くと、扉部20の内面に付着していた蒸気による水滴は、重力で下降して図3のリブ22で受けられるので、外にたれて周囲を濡らすおそれがない。
消毒用容器10は、図1や図2のような配置ではなく、図36に概略的に示すように、奥側壁部16を底面として起立した状態の容器として使用する。
先ず、消毒用容器10について扉部20を開いて、トレー体30を取り出し、小ケース60や保持体35を取り外すとともに、開閉部材50を内部空間Sの内側から、図34で説明した符号50−2に示すようにセットする。これにより、ケース体11の内部空間Sは密閉される。この場合、ケース体11の内側に、装着する開閉部材50の外形を縁取りした線等による案内手段を設けておけば、これに従って開閉部材50を装着することができ、装着が容易となる。
こうして、ケース体11の密閉状態を確保した後に、けーす体11の内部空間S内に所定量の水を入れる。この実施形態では、ケース体11内には、例えば、水を3.4リットル入れた場合の液面に対応して目盛りを設けている。さらに、消毒液42ミリリットルを計量し、水に溶かして消毒薬液が準備された状態とすることができる。
これにより、図37に示すように、哺乳瓶のボトルBだけでなく、取り付けた着脱底面部64が押さえ蓋となって、付属品、例えば、乳首NやフードF、キャップKが液面L3より上に浮かないように押さえられて、これらが薬液ML中に完全に浸漬される。
この状態で扉部20を閉めて、例えば1時間程度で薬液の消毒が終了するので、扉部20を開けて、市販のハサミ状の治具等で、哺乳瓶のボトルBや付属品を取り出し、ケース体11内の薬液は、ケース体11を逆さにして、図3の開口部12から流し等に廃棄する。
以上により薬液消毒を完了する。
図38は、着脱底面部64使用しないで、各ボトルBを横向きにして収容した状態を示しており、ボトルBを横向きにして互い違いに積み、本数を多く消毒する場合を示している。
かくして、消毒用容器10によれば、ひとつの容器で電子レンジによる消毒と薬液消毒をそれぞれ行うことができる消毒用容器を提供することができる。
図41の消毒用容器80では、扉部20を開閉する構造だけが相違し、その他の構成は第1の実施形態と同じである。図42は、消毒用容器80を起立状態として扉部20を開いた状態の概略斜視図、図43は消毒用容器80を載置状態として扉部20を開いた状態の概略斜視図である。
具体的には、扉部20は、ケース体11の開口部12を覆う本体部20aを有している。この本体部20aの両側面が各側壁部14,15に向かってほぼ90度曲折されて一体に設けた側面部81が形成されている。
側面部81には、扉部20の開閉の動きを案内するための案内手段82が形成されている。この案内手段は、実施形態では、例えば、図41において、扉部20の本体部20aの高さ方向にややカーブしながら延びる長溝で、その下端部がL字状に曲折されている。
ケース体11の側壁部15には、例えば、側面部81の板厚程度の嵌合溝を有して突出した突起状の係合部83が一体に形成されており、この係合部83が、長溝82に対して係合している。
係合部83が長溝82の下端部に達するまでに、係合部83を中心に側面部81が徐々に回動することで、本体部20aは徐々に倒れて、長溝82の下端部に達した位置で完全にケース体11の上面18に沿うように変位する。かくして扉部20は、ケース体11の上面18に沿ってスライドして、図43に示すように、開口部12を開くことができる。
さらに、扉部20がケース体11の上面18に沿ってスライドするようにしたので、図42や図43に示すように、開放時に開け放した扉部20のためにスペースを必要とすることがない。しかも、扉部20の開き方向が上方であることから、ケース体11の外側に、扉部20の内面をつたわる水滴等を落として、周囲を濡らすことが防止される。
また、ケース体11側の係合部83を、長溝82に係合する程度に突出させて側壁15に設けることができ、消毒用容器80の外寸が必要以上に大きくならないことから、電子レンジの庫内に収容する上で有利なコンパクトな構成とすることができる。尚、扉部20の手掛かり部21を、扉部20の移動方向に合わせ、矢印aーdの方向に沿って延びるように形成してもよい。また、扉部20側に係合部83を形成し、ケース体11側に長溝82を設ける構成としてもよい。
開閉部材は、本発明の原理を利用して、さらに他の構成とすることができる。上述の実施形態における種々の構成は必ずしも全て実施されなくてもよく、一部を省略したり、説明しない他の構成と適宜組み合わせることができる。
本発明の消毒用容器により消毒される対象は哺乳瓶やその付属品に限るものではなく、形態上ケース体に収容できれば、消毒対象の種類はなんでもよい。
Claims (9)
- 内部に消毒対象物を収容する収容空間を有するケース体でなり、このケース体の開口部を開閉する扉部が前面に位置する載置状態として使用できるようにした消毒用容器であって、
前記ケース体が、
前記載置状態において、前記扉部を手前とした場合の扉部の幅方向が、奥行き方向に対して僅かに長く、仮想の水平断面がほぼ正方形でなり、左右側壁部に露出した把持部を有しており、
前記扉部を手前とした場合に、奥行き方向に移動されて前記収容空間に挿脱されるトレー体と、
前記トレー体が前記収容空間に挿脱される状態で配置された際に手前側となる端部に形成された手掛かり部と、
前記扉部が、前記ケース体の前記開口部を閉止した際の閉止状態を保持するための閉止手段と、
前記扉部の下端付近に設けられ、前記扉部を閉止した際に、前記トレー体が前記収容空間に完全に収容された状態において、このトレー体の前端に当接して係止するための係止手段と
を備えることを特徴とする消毒用容器。 - 前記扉部は、前記開口部の側縁に位置した支軸を中心として回動されることにより開閉される構成とされており、この支軸は、全体の外形がほぼ内接する仮想の円周上に位置するようにして、前記ケース体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の消毒用容器。
- 前記扉部の前記支軸が、これを保持する軸受に対して着脱可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の消毒用容器。
- 前記扉部を閉止した状態において、前記扉部の前記収容空間に露出する面に、この面に付着した水滴を前記トレーに案内する水滴案内手段を設けたことを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の消毒用容器。
- 前記トレー体の前記収容空間には、前記トレー体よりも上方の位置で、トレー体と同じ方向に挿脱される小ケースが配置されるようになっており、この小ケースが、比較的小さな消毒対象物を収容するための開閉可能な空間を有し、かつこの空間と外部とを連通する複数の開口もしくはスリットを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の消毒用容器。
- 前記ケース体の前記開口部が上方に位置するように、起立状態とすることで、前記収容空間に薬液を収容して薬液消毒を行うようにされており、前記起立状態で、前記トレー体の消毒の際に薬液の液面付近となる位置に、押さえ蓋を取り付けるための支持手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の消毒用容器。
- 前記トレー体の前記収容空間には、前記トレー体よりも上方の位置で、トレー体と同じ方向に挿脱される小ケースが配置されるようになっており、この小ケースが、比較的小さな消毒対象物を収容するための開閉可能な空間を有し、かつこの空間と外部とを連通する複数の開口もしくはスリットを備えていて、さらに、この小ケースの一部が小ケースから着脱される構成とされており、この取り外した一部が、前記トレー体の前記支持手段に取り付けられる前記押さえ蓋であることを特徴とする請求項6に記載の消毒用容器。
- 前記載置状態において、前記扉部が上方に移動されることで前記開口部を開き、かつこの扉部が前記ケース体の上面に沿ってスライドする構成としたことを特徴とする請求項1に記載の消毒用容器。
- 前記扉部が、前記開口部を覆う本体部と、この本体部から両側面に曲折された側面部と、この側面部に形成された案内手段と、この案内手段に係合する前記ケース体側壁部に設けられた係合部とを備えており、この係合部が前記案内手段によって前記扉部に対して相対的に移動することにより、前記扉部が、前記ケース体の上面に沿ってスライドして前記開口部を開く構成としたことを特徴とする請求項8に記載の消毒用容器。
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