JP3934219B2 - ビン体の消毒容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水とビン体を容器本体に収容して、水蒸気により殺菌消毒するようにした消毒容器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、哺乳ビン等の特に清潔をこころがける必要があるビン体を消毒する場合には、湯を張った鍋にビン体をいれて煮沸したり、蒸し器にビン体を収容して蒸気消毒したりしていた。
このような手段では、消毒に長時間を要すると共に、消毒後にビン体を清潔に保管する方法を考えなければならず、煩雑であった。
【0003】
そこで、このようなビン体を消毒する消毒容器として、特開平8−187274号に開示されたものが知られている。
この消毒容器は、図8及び図9に示すように構成されている。
これらの図において、消毒容器7は、上方が開放された直方体状の容器本体1と、容器本体1の上部開口を開閉するフード状の蓋体2を備えている。容器本体1内には支持体3に形成されたホルダー8,8が設けられ、このホルダー8,8に対して、哺乳ビンB1,B1がその開口を下にして支持されるようになっている。
【0004】
このように構成された消毒容器1によれば、容器本体1の底部と支持体3の間に注水口5を介して水を注入し、蓋体2を閉めた状態で電子レンジ内に収容する。電子レンジにより加熱すると、容器本体1内の水が水蒸気となって、哺乳ビンB1を加熱消毒することになる。
消毒後は、そのまま保管しても、蓋体2を閉めておけば清潔に保てる。また、取り出すときは、図9に示すように蓋体2を開いて、収容されている哺乳ビンB1を外に出すことができるようになっている。
さらに、この消毒容器7は、横にすることによって、つまり図9の左側面を下にして、電子レンジの狭い開口からレンジ内に差し入れることができるようになっており、その場合、水は容器本体1の側面4の浅いトレイ状の部分に収容できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような消毒容器7では、図9に示すように蓋体2を開いた時に、蓋体2の内面に付いた水滴が矢印Aで示すように外部に漏れてしまい、消毒容器7の周囲を濡らしてしまうという問題がある。
また、コンパクトタイプの電子レンジの多くは、その開口が狭いため、従来の消毒容器7は上述のように横にして内部に差し入れる必要がある。ところが電子レンジ内にこのように収容すると、図9における哺乳ビンB1は完全に横になってしまい、哺乳ビンB1の開口も横を向くことになるので、下から上昇してくる水蒸気がビン内に十分に入りにくい。また、ビンの内側をつたって落下するべき水滴がビン内に溜まってしまい、十分な洗浄ならびに消毒を行うことができないという欠点を有している。
【0006】
本発明は、以上の点を解決するためになされたもので、開口部の小さな電子レンジに収容した場合にも、十分な消毒を行うことができ、しかも、蓋体を開いても、周囲を濡らしてしまうことのない、ビン体の消毒容器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明によれば、容器本体と、この容器本体の一端側を開閉する蓋体と、容器本体内でビン体をその開口部を下にして斜めに支持する支持部と、浅いトレイ状に形成され、前記蓋体に開閉される開口に近接した前端側が上を向いた斜面とされた前記容器本体の底部とを有しており、前記蓋体は、外面を湾曲させることによりある程度深さのあるトレイ状に形成されていると共に、該蓋体の側壁が、前記容器本体の前記開口近傍の側壁内側に対して枢止されることにより、開閉自在に支持されていて、さらに、前記蓋体が、前記容器本体の開口を閉止した状態において、少なくとも該蓋体の下端部の一部が前記容器本体底部の前端側とオーバーラップするように前記容器本体内に入り込むとともに、前記蓋体が開かれて、前記容器本体の開口を開放した状態においては、該蓋体の下端部が前記容器本体内にさらに深く入り込む構成とされている
ビン体の消毒容器により、達成される。
【0008】
請求項1の構成によれば、容器本体には、ビン体の支持部が設けられている。この支持部は、ビン体の開口を下にした状態で斜めに支持するようになっているので、容器本体の高さを低く設定できる。このため、開口の高さに制限のある電子レンジであっても、その中に容器本体を無理なく差し入れることができる。
この場合、容器本体内では、消毒されるべきビン体が開口を下にして斜めに支持されているので、上昇してくる水蒸気が十分ビン体内に侵入することができ、ビン体内面に付着した水滴は、その開口から落下する。
また、容器本体の一端側が開閉するようにした蓋体は、開いた状態でも閉じた状態でも、容器本体内に蓋体の下端部が入り込むように構成され、しかも蓋体はある程度の深さを有するトレイ状となっている。このため、蓋体を開いても、この蓋体の内側に付着した水滴は、蓋体の内側に留まり、外部に漏れ出ることがない。
【0009】
また、上記目的は、請求項2の発明によれば、容器本体と、容器本体の一端側を開閉する蓋体と、容器本体内でビン体をその開口部を下にして斜めに支持する支持部とを有しており、前記蓋体は、外面を湾曲させることによりある程度深さのあるトレイ状に形成されていると共に、該蓋体の側壁が、前記容器本体の前記開口近傍の側壁内側に対して枢止されることにより、開閉自在に支持されていて、さらに、前記蓋体が、前記容器本体の開口を閉止した状態において、少なくとも該蓋体の下端部の一部が前記容器本体底部の前端側とオーバーラップするように前記容器本体内に入り込むとともに、前記蓋体が開かれて、前記容器本体の開口を開放した状態においては、該蓋体の下端部が前記容器本体内にさらに深く入り込む構成とされていて、さらに、前記容器本体内の前記支持部より下方に着脱自在の水タンクを配置した、ビン体の消毒容器により、達成される。
【0010】
上記請求項2の発明によれば、請求項1の発明が有する作用に加えて、次のような作用を発揮する。
すなわち、容器本体には、ビン体を支持する支持部より下方に水タンクが配置される。この水タンクは着脱自在に構成されているから、蒸気消毒に先立って、水タンクを取り外し、水をいれて容器本体内に収容させることができる。これにより、蒸気消毒に必要な水の補給が容易となり、かつ消毒後は、この水タンクを外して残った水を棄てるだけで、消毒作業毎に清潔な水を簡単に使用でき、使い勝手が向上する。
また消毒後にあっては、上記水タンクが高温の湯を収容保持しているので、トレイ状の底部から熱い湯が外部に容易にこぼれてしまうことがなく、使用者が高温の湯が触れるおそれが減り、安全である。
【0011】
また、請求項3によれば、前記支持部は、容器本体に棚状に形成されており、ビン体の開口部を下にして斜めに載置されるように構成してもよい。
【0012】
請求項3の構成によれば、前記支持部は、例えば容器本体内において、棚状の部材を斜めに配置することで実現される。
【0013】
また、請求項4によれば、前記支持体は、棚状の載置部の奥行き方向の途中に、長さの短いビン体の開口部を掛止するための掛止部を有するように構成してもよい。
【0014】
この請求項4の構成によれば、支持部が、その奥行き方向の途中に掛止部を備えることにより、長さの短いビン体を斜めに支持することが可能となる。
【0015】
また、請求項5によれば、前記容器本体の底部近傍に水抜き孔を備えるようにしてもよい。
【0016】
さらに、請求項6によれば、前記水タンクは,底面が奥行き方向に向かって傾斜して形成されており、前記容器本体の底面に水タンクの底面が沿うように配置されることにより、水タンクの上端側は奥行き方向に下がるように配置されるように構成してもよい。
【0017】
請求項6の構成によれば、水タンクを容器本体内に水タンクを装着して、蒸気消毒を行った後等に、容器本体を奥行き方向が下になるようにして傾けると、水タンクの上端側が奥行き方向に向かって下がっていることから、内部に収容された水(湯)がタンクから排出され易い。このため、例えば、蒸気水抜き孔を容器本体の奥側に配置すれば、高温の湯を危険なく外部に排出させることができる。
【0018】
請求項7によれば、前記水タンク内には内部空間を仕切る隔壁が形成されていてもよい。
【0019】
水タンクが内部空間を仕切る隔壁を有していると、水タンク内に水を収容して容器本体内にセットし、容器本体を運ぶ際等において、水タンク内の水の波立ちを低減することができ、水が溢れにくくなる。
【0020】
また、請求項8によれば、前記水タンクは、上方に開口した開口部を有し、この開口部は水の収容空間に比して大きく構成されていてもよい。
【0021】
請求項8の構成のよれば、水タンクの上方に位置するビン体の支持部から、蒸気消毒のさいに滴ってくる水滴を水タンク内の回収しやすくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明によるビン体の消毒容器の概略斜視図であり、図2はその概略断面図である。
図において、消毒容器10は、所定の奥行きを有する容器本体11と、容器本体11の一端側を開閉する蓋体12と、容器本体11内でビン体を支持する支持部13とを備えている。
【0024】
上記容器本体11は、耐熱材料,例えばポリプロピレンやポリカーボネート等により形成されており、電子レンジ内で加熱されても損傷しないようになっている。
容器本体11は、消毒されるべき哺乳ビン等のビン体を斜めに横にして収容できるように、ビン体の長さに対応して決定された奥行きを有しており、図2に示すように、底部14は浅いトレイ状とされていて、蒸気消毒のための水を収容できるようになっている。また、底部14の前端側(図2において左端側)はやや上を向いた斜面になっており、水が外部に漏れないようになっている。容器本体11の一端側(この実施形態の場合左端側)は、大きく開放されて本体開口11aとされている。
【0025】
この本体開口11aは、外部からビン体を差し込んだり、あるいは収容されたビン体を取り出すために十分な大きさを備えている。
さらに、容器本体11の奥側の底部14付近には、図2に示すように、水抜き孔16が設けられ、栓16aによって塞がれている。これによって、容器本体11に収容した水を消毒後に抜くことができるようになっている。
尚、容器本体11の図1及び図2のおいて上面部及び/又は下面部に、着脱自在の脚部を設けて、縦方向に支持することができるようにしてもよい。このようにすると、消毒後に、脚部を使って、限られた面積の場所に消毒容器10を立てておくことができる。
【0026】
蓋体12は、耐熱材料で形成されており、図2に示すように、本体開口11aを完全に覆うことができる大きさを備えていて、外面12aを湾曲させることにより、ある程度の深さを備えるトレイ状に形成されている。
図1に示すように、蓋体12は本体11に対して開閉自在に取付けられている。具体的には、例えば、蓋体12の下端付近は、本体11の開口11a近傍の側壁11bに対して枢支されている。
つまり、容器本体11の両側の側壁11bには内方に突出する支軸11cが設けられており、この支軸11bは、蓋体12の下端付近に設けた穴に入り込んでいる。これにより、図1の矢印に示すように、蓋体12は、枢軸11cを中心に回動するようにして、開閉されるようになっている。
また、これとは逆に、容器本体11の両側の側壁11b側に穴を設け、蓋体12の下端付近に設けた支軸が、側壁側の穴に入り込むように構成されてもよい。
【0027】
図2は蓋体12の開閉の様子を示しており、実線で表されているのは、蓋体12を閉じた状態、一点鎖線で表されているのは開閉の途中の状態、二点鎖線で表されているのは完全に開いた状態である。
蓋体12の断面は、図示されているように、ある程度の深さを有する碗状になっており、完全に閉めた状態では、容器本体11の内部に収容された長いビン体LBの露出部分を収めることができるようになっている。
また、容器本体11を平らな基準面G上に載置した状態において、蓋体12を閉めた時、蓋体12の下端部の一部12bは、容器本体11内に入り込むようになっている。これにより、後述するようにして、蒸気消毒を行ったとき、蓋体12の内面に付着した水滴が下降しても、外部に漏れずに容器本体11の底部14に戻るようになっている。尚、蓋体12を開いたときは、その下端12bは、容器本体11内に一層深く入り込むから、蓋体12の内面に付着した水滴が容器本体11の外側に漏れるおそれは全くない。
したがって、蓋体12の下端が本体11内に入りこむ構造としては、上記の他に例えば、本体11の両側内面にレールを設けて、蓋体12をスライドさせるようにしてもよく、この場合に、蓋体12の下端が、少なくとも本体11の図2において左端部よりも左よりに出ない構成であればよい。本発明において、「蓋体12の下端が本体11内に入りこむ」構造とはこのような場合も含むものである。
【0028】
支持部13は、本実施形態の場合、容器本体11内で、長さが異なる複数種類のビン体LB,SBと、ビン体のキャップC1並びに、図示しない人口乳首等を斜めに支持できる構成とされている。
具体的には、支持部13は、容器本体11の底部14上に配置されたベース部17に載置され、位置決めされるようになっている。即ち、支持部13は、平らな棚状の載置部としての棚板部19と、棚板部19の底部に一体に設けられ、図2に示すように側面から見て上側が奥行きに従って下がる傾斜面となるような略三角形状の脚部18を備えている。これにより、脚部18が、ベース部17上に載ることによって、棚板部19は奥側(図2において右側)が下がった傾斜棚部となっている。
【0029】
棚板部19は、図1に示すように、隔壁20,20によって、横方向に複数列(図示の場合三列)に区画されており、それぞれの区画毎に、哺乳ビン等のビン体LBが差し込まれるようになっている。隔壁20の奥側には、各区画の幅方向の間隔を狭めて内方に突出するようにして形成した固定部22が設けられている。固定部22は各区画毎に両側からそれぞれ内方に突出するように形成されている。また、固定部22の中央には、哺乳ビンの長さ方向に沿って突出する突起部31が設けられている。
これにより、図2に示されているように、長いビン体LBを差し込むと、ビン体LBはその開口部Oを下にして、斜めに支持されるようになっている。このビン体LBの開口部Oは、図1の固定部22の間に挟まれるとともに、開口部Oの内側には、突起部31に嵌入して、固定されるようになっている。
尚、図1に示されているように、奥側に区画の本体11内壁よりには固定部22が設けられていないが、隣接する区画よりの固定部22と突起部31とにより、ビン体を固定して支持できるようになっている。
【0030】
支持部13の棚板部19の前端側(図2の左端側)には、垂直壁21が一体に形成されている。垂直壁21には、図1に示されているように、開口部11aに臨んで手前に斜めに延びる棒状の掛け具23,23,23が、複数個(図示の場合三つ)形成されている。
この各掛け具23に対して、図2に示されているように、ビン体LBのキャップC1や人口乳首(図示せず)がその開口部を下にして斜めに掛けることができるようになっている。
【0031】
さらに、棚板部19の奥行き方向の途中には、各区画毎に、短いビン体SBの掛止部25が設けられている。
この掛止部25は、貫通孔28と、この貫通孔28の先端側に形成されている掛止突起26と、掛止突起26の両側に形成されたスリット27,27とでなっている。
貫通孔28は、短いビン体SBの開口部の幅よりやや広い幅を有するように形成されている。これにより、図1に示すように短いビン体SBは、開口部は、貫通孔28のスリット27,27に入り込んで、下を向くとともに、ビン体SBの開口の内縁には掛止突起26が当たることで、ビン体SBは開口を下にして斜めに支持されるようになっている。
尚、支持部13は、容器品体11と一体に設けられてもよく、別体に設けられてよい。
【0032】
本実施形態のビン体の消毒容器10は以上のように構成されており、次にその使用方法とともに作用を説明する。
ビン体の消毒容器10の蓋体12を図2の二点鎖線で示されているように開いて、容器本体11の底部14に水を入れる。
次いで、図1の開口部11aから、支持部13の棚板部19に載せるようにして、消毒されるべきビン体,例えば哺乳瓶を差し入れる。このとき、通常の長さを有するビン体LBは、図2に示すようにして、棚板部19上の各区画毎に一本または複数本載置される。
あるいは、複数本のビン体のうち、一部が短いビン体SBである場合には、図1に示すように、掛止部25を利用して、棚板部19の上に掛止する。
さらに、ビン体のキャップや図示されない人口乳首も同時に消毒しようとする場合には、図1の各掛け具23に対して、キャップC1や人口乳首を図2に示すように掛ける。
【0033】
次いで、図2に実線で示すように、蓋体12を閉止し、この状態にて電子レンジ(図示せず)の中へ差し入れる。この時、消毒容器10は、本体11内にビン体LB,SB等を斜めに収容しているため、全体の高さが低くなり、利用しようとする電子レンジの開口部が狭く、その高さに制限がある場合にも、そのまま差し入れることができる。
【0034】
続いて、電子レンジのスイッチを入れると、消毒容器10内のビン体LB,SB等は、電子レンジのマイクロ波により発生する熱で消毒される。加えて、このマイクロ波の作用により、消毒容器10内の水が気化して水蒸気となり上方に立ちのぼる。この上昇した水蒸気は、各ビン体LB,SB等の下を向いた開口Oから、ビン体内部に侵入し、ビン体の内側を水蒸気消毒するとともに、微細なゴミ等を洗い流すことができる。
【0035】
この後、各ビン体LB,SBやキャップC1は、斜めに支持されていて、各開口は下を向いていることから、これらの内面に付着した水滴は、下方へ落下し、容器本体11の底部14に戻る。したがって、各ビン体の消毒後は消毒容器10内にて、そのまま水切りが行える。
また、容器本体11の内側に付着した水滴が各ビン体内に戻ることもないので、完全な消毒が行える。
さらに、容器本体11の底部14に溜まった水は、水栓16aを外して水抜き孔16から、外部に出してしまえば、このままの状態で各ビン体を清潔に保管できる。このように消毒容器10は保管容器としても用いることができる。
【0036】
また、消毒後、直ぐにビン体LBを用いる場合には、電子レンジによる消毒後に、消毒容器10を電子レンジから取り出し、図2に鎖線で示すようにして蓋体12を開くと、大きな開口11aから、ビン体LBの底部が露出するので、きわめて取り出し易く、必要なビン体(例えば)LBを取り出せば、そのまま使用できる。この時、蓋体12の内面に付着した水滴が下降しても、蓋体12の下端部12bは、容器本体11内に入り込んでいるから、この水滴が外部に漏れ出ることはない。したがって、消毒容器10の周囲を濡らすことがない。
【0037】
このように、本実施形態のビン体の消毒容器10によれば、開口部の小さなコンパクトタイプの電子レンジにも利用できる。そして、消毒のさいには、容器本体11内にビン体をその開口部を下にして斜めに支持できるから、上昇する水蒸気が適切にビン体の内部に入り込んで完全な消毒を行える。この際、長さが異なるビン体LB,SBを同時に消毒でき、キャップC1や図示しない人口乳首等も同時に消毒できる。
また、消毒容器10の蓋体12を開いたときに、内側に付着している水滴が外部に漏れることがないので、周囲を汚すこと無く利用できる。
さらに、蓋体12の下端部が本体11内に深く入り込むことにより蓋体12が開く構成であるから、消毒容器10を電子レンジ内にいれたままで蓋体12を開いても、この蓋体12は電子レンジの庫内で干渉することなく開く。
同様にして、消毒容器10は、外部に置かれて保管容器と使用された場合にも、哺乳ビン等をその開口部を下にして斜めに支持した状態で保管でき、この状態で蓋体12の開閉が支障なくできる。
【0038】
図3及び図4は本発明の第2の実施形態を示しており、図3は消毒容器40の概略斜視図、図4は概略断面図である。尚、図3は消毒容器40のビン体の支持部を取り外してその下の部分の構造を示しており、図4では、ビン体の支持部が装着されている。
図3及び図4において、第1の実施形態を図1及び図2において使用した符号と同一の符号を付した部分は同一の構造であるから重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0039】
この消毒容器40にあっては、図3に示すように、容器本体11内に水タンク51が着脱自在に配置される。この水タンク51は図4に示すように、ビン体支持部13の下に位置するようになっており、これにより、水タンク51内に収容した水が電子レンジのマイクロ波によって加熱されると、蒸発した蒸気はビン体LBに向かうようになっている。
【0040】
図5,図6,図7は水タンク51を示しており、図5はその平面図、図6は図5のA−A線断面図、図7は図5のB−B線断面図である。
これらの図に示されているように、水タンク51は、容器本体11とは別に独立して構成されており、略直方体状で、上方が開口した開口部52を有し、内側に水を収容する収容空間Sを備えている。水タンク51は、その底部が図7に示すように傾斜した傾斜底部53となっており、図7の右方向が高くなるように傾斜した傾斜面を有している。図4に示すように、水タンク51を容器本体11内に装着したときは、この高くなった右方向が、容器本体11内では奥側となる。
【0041】
さらに、図7において、右側内面(容器本体11の奥側)は、途中から外側に向かって拡がるように緩く傾斜した傾斜面54を有しており、図5に示すように、この傾斜面54は水タンクの上部で外側に突出している。これにより、開口52は水タンク51の水収容空間Sに比して広くなっている。
また、図5及び図6に示すように、水タンク51の収容空間S内にて、垂直に起立する隔壁57を備えている。この隔壁57は、水タンク51の底面部53からその開口12よりも低い位置まで垂直に延びており、収容空間を図5に示すように左右にほぼ二分していて、奥側(図5では上側)は、各区分した空間は連通している。このように構成することにより、水タンク51に水を入れる場合に、区分された各収容空間内の水位が常に一定になるようにされている。
さらに、水タンク51は、図5及び図7に示すように、蒸気傾斜面54が形成された端部と反対側端部に、把手55を備えている。
【0042】
このように構成された水タンク51は、図3に示すように、蓋体12を開いて、把手55を手前側にして、容器本体11の内側に載置される。
この状態にて、図4に示すように、容器本体11の底部に形成したベース部41の左端側が、水タンク51の図において左側壁面(奥側壁面)56に当接し、奥行き方向の位置決めが行われる。
このようにして、水タンク51は、消毒容器40の蓋体12を開いて、水タンク51の把手55を持って容器本体11内に載置すると、水タンク51は,図7に示すようにその底面53が奥行き方向に向かって傾斜して形成されているから、容器本体11の底面に水タンクの底面53が沿うように配置されることにより、水タンク51の開口52は奥行き方向に下がるように配置されることになる。
したがって、水タンク51は、消毒容器40の蓋体12を開いて、容器本体11内に差し入れるだけで、上記のような配置に簡単に着脱される。
【0043】
本実施形態の消毒容器40は以上のように構成されており、次にその使用方法ならびに作用を第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
ビン体の消毒容器40の蓋体12を図4の二点鎖線で示されているように開いて、水を満たした水タンク51を図3に示すように容器本体11内にセットする。この場合、水タンク51は、その収容空間S内に隔壁57を有しているので、水タンク57を運ぶときに、収容した水の波立ちが抑えられ、溢れにくい。
次いで、図3の開口部11aから、図4の支持部13を水タンク51の上にセットし、支持部13の棚板部19に載せるようにして、消毒されるべきビン体,例えば哺乳瓶等を差し入れる。この支持部13にビン体や人口乳首等をセットする点は第1の実施形態の場合と同じである。
【0044】
次いで、図4に実線で示すように、蓋体12を閉止し、この状態にて電子レンジ(図示せず)の中へ差し入れ、電子レンジのスイッチを入れると、消毒容器40内のビン体LB,SB等は、電子レンジのマイクロ波により発生する熱で消毒される。加えて、このマイクロ波の作用により、水タンク51に収容された水が気化して水蒸気となり上方に立ちのぼる。この上昇した水蒸気は、上方にある支持部13にセットされた各ビン体LB,SB等の下を向いた開口Oから、ビン体内部に侵入し、ビン体の内側を水蒸気消毒するとともに、微細なゴミ等を洗い流すことができる。
【0045】
この後、各ビン体LB,SBやキャップC1は、斜めに支持されていて、各開口は下を向いていることから、これらの内面に付着した水滴は、下方へ落下し、その大部分は、水タンク51の大きな開口52から収容空間S内に戻る。
したがって、第1の実施形態の消毒容器10と比較すると、気化した水が再び水滴化した高温の温水を、水タンク51にて大部分回収できることから、容器本体11内の底部に高温の温水が溜まることは殆どなく、取り扱いが楽で安全である。
また、容器本体11の内側に付着した水滴が各ビン体内に戻ることもないので、完全な消毒が行える。
【0046】
さらに、水タンク51の収容空間S内に溜まった水は、容器本体11の奥側,すなわち、図4の右側を下にして容器40を傾ければ、水タンク51の開口52は、奥側が下がっているから、容器本体11の奥側に向かって流れ出る。この時、水タンク51の開口52には、傾斜面54が連続しているから、収容空間S内の水は、この傾斜面54に導かれて、奥側に流出しやすい。したがって、上記消毒後の高温の温水に使用者が誤って触れてしまうことなく、安全に棄てることができる。
一方、容器本体11の奥側には、水抜き孔16aが設けられているから、この高温の温水は、水栓16aを外して水抜き孔16から、容易に外部に棄てることができる。そして、このままの状態で各ビン体を清潔に保管できる。このように消毒容器40は保管容器としても用いることができる点は第1の実施形態と同じである。
【0047】
また、また、第1の実施形態と同様に、消毒後、直ぐにビン体LBを用いる場合には、電子レンジによる消毒後に、消毒容器40を電子レンジから取り出し、図4に鎖線で示すようにして蓋体12を開くと、大きな開口11aから、ビン体LBの底部が露出するので、きわめて取り出し易く、必要なビン体(例えば)LBを取り出せば、そのまま使用できる。この時、蓋体12の内面に付着した水滴が下降しても、蓋体12の下端部12bは、容器本体11内に入り込んでいるから、この水滴が外部に漏れ出ることはない。したがって、消毒容器40の周囲を濡らすことがない。
【0048】
このように、本実施形態のビン体の消毒容器40によれば、第1の実施形態の消毒容器10と同様に、開口部の小さなコンパクトタイプの電子レンジにも利用できる。そして、消毒のさいには、水蒸気が適切にビン体の内部に入り込んで完全な消毒を行える。この際、長さが異なるビン体LB,SBを同時に消毒でき、キャップC1や図示しない人口乳首等も同時に消毒できる点の第1の実施形態の消毒容器10と同じである。
そして、第1の実施形態の効果に加えて、水タンク51を備え、消毒後の高温の温水を安全に外部に排出することができるという効果を備えている。
【0049】
尚、上述の各実施形態では、棚板部19を三つに区画して、三本のビン体LBを同時に消毒できるようにしているが、このような区画を設けなくてもよく、一本だけ消毒する場合には、その分容器本体11をコンパクトに形成できる。
また、棚板部19を三つ以上の区画してさらに多数のビン体を一度に消毒できるようにしてもよい。
さらに、容器本体の図1,図2において上面側に水の注入口を設けてもよい。このようにすると、蓋体12を閉めた状態で上から水を注入することが可能となる。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、開口部の小さな電子レンジに収容した場合にも、十分な消毒を行うことができ、しかも、蓋体を開いても、周囲を濡らしてしまうことのない、ビン体の消毒容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるビン体の消毒容器の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1のビン体の消毒容器の概略断面図である。
【図3】本発明によるビン体の消毒容器の第二の実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】図3のビン体の消毒容器の概略断面図である。
【図5】図4の消毒容器にセットされる水タンクの概略平面図である。
【図6】図4の消毒容器にセットされる水タンクのA−A線に沿った概略断面図である。
【図7】図4の消毒容器にセットされる水タンクのB−B線に沿った概略断面図である。
【図8】従来の哺乳ビンの消毒容器の概略構成を示す斜視図である。
【図9】図7の消毒容器の概略断面図である。
【符号の説明】
10,40・・・ビン体の消毒容器、11・・・容器本体、12・・・蓋体、12b・・・下端部、13・・・支持部、14・・・底部、16・・・水抜き孔、17・・・ベース部、18・・・脚部、19・・・棚板部、20・・・隔壁部、22・・・固定部、23・・・掛け具、25・・・掛止部、LB,SB・・・ビン体、C1・・・キャップ、51・・・水タンク、52・・・開口、53・・・底部、54・・・傾斜面、55・・・把手、57・・・隔壁。
Claims (8)
- 容器本体と、
容器本体の一端側を開閉する蓋体と、
容器本体内でビン体をその開口部を下にして斜めに支持する支持部と、
浅いトレイ状に形成され、前記蓋体に開閉される開口に近接した前端側が上を向いた斜面とされた前記容器本体の底部と
を有しており、
前記蓋体は、外面を湾曲させることによりある程度深さのあるトレイ状に形成されていると共に、該蓋体の側壁が、前記容器本体の前記開口近傍の側壁内側に対して枢止されることにより、開閉自在に支持されていて、
さらに、前記蓋体が、前記容器本体の開口を閉止した状態において、少なくとも該蓋体の下端部の一部が前記容器本体底部の前端側とオーバーラップするように前記容器本体内に入り込むとともに、
前記蓋体が開かれて、前記容器本体の開口を開放した状態においては、該蓋体の下端部が前記容器本体内にさらに深く入り込む
構成とされている
ことを特徴とするビン体の消毒容器。 - 容器本体と、
容器本体の一端側を開閉する蓋体と、
容器本体内でビン体をその開口部を下にして斜めに支持する支持部と
を有しており、
前記蓋体は、外面を湾曲させることによりある程度深さのあるトレイ状に形成されていると共に、該蓋体の側壁が、前記容器本体の前記開口近傍の側壁内側に対して枢止されることにより、開閉自在に支持されていて、
さらに、前記蓋体が、前記容器本体の開口を閉止した状態において、少なくとも該蓋体の下端部の一部が前記容器本体底部の前端側とオーバーラップするように前記容器本体内に入り込むとともに、
前記蓋体が開かれて、前記容器本体の開口を開放した状態においては、該蓋体の下端部が前記容器本体内にさらに深く入り込む
構成とされていて、
さらに、前記容器本体内の前記支持部より下方に着脱自在の水タンクを配置した
ことを特徴とする、ビン体の消毒容器。 - 前記支持部は、容器本体に棚状に形成されており、ビン体の開口部を下にして斜めに載置されるように構成したこと
を特徴とする、請求項1または2に記載のビン体の消毒容器。 - 前記支持体は、棚状の載置部の奥行き方向の途中に、長さの短いビン体の開口部を掛止するための掛止部を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のビン体の消毒容器。
- 前記容器本体の底部近傍に水抜き孔を備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のビン体の消毒容器。
- 前記水タンクは,底面が奥行き方向に向かって傾斜して形成されており、前記容器本体の底面に水タンクの底面が沿うように配置されることにより、水タンクの上端側は奥行き方向に下がるように配置されること
を特徴とする、請求項2に記載のビン体の消毒容器。 - 前記水タンク内には内部空間を仕切る隔壁が形成されていることを特徴とする、請求項2または6のいずれかに記載のビン体の消毒容器。
- 前記水タンクは、上方に開口した開口部を有し、この開口部は水の収容空間に比して大きく構成されていることを特徴とする、請求項2または7のいずれかに記載のビン体の消毒容器。
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