本発明に係る便座装置は、着座面を有する便座ケーシングと、便座ケーシングに内蔵され、着座面を加熱する加熱手段とを備え、便座ケーシングの少なくとも前記着座面を、軽量な合金により形成されたものである。
本発明に係る便座装置においては、軽量な合金により形成された便座ケーシングの内部に加熱手段が備えられ、便座ケーシングの有する着座面を加熱手段が加熱する。
このように、便座ケーシングが軽量な合金により形成されているので、質感が向上するとともに、以下に示す効果が得られる。
軽量な合金として、例えばマグネシウム合金は熱伝導性に優れている。これにより、加熱手段の発生する熱が着座面の全体に均一に伝達されるので、アルミニウム薄膜などの均熱板が不要であり、構成および製造工程の簡素化が図られる。さらに、マグネシウム合金の熱伝導性によれば、便座装置の不使用時に着座面の温度が低い状態であっても、加熱手段の発生する熱により急激に着座面を昇温することができる。したがって、便座装置の不使用時における加熱手段の消費電力が低減される。
軽量な合金として、例えばマグネシウムは多く存在する物質であるため、安価である。これにより、製作時における低コスト化が図られる。
また、軽量な合金として、マグネシウム合金は再利用しやすい。つまり、再加工時に必要となるエネルギーが低減できる。
軽量な合金であるマグネシウム合金は人体に対し安全である。これにより、使用者は金属アレルギー等の心配をする必要がない。
軽量な合金であるマグネシウム合金は非常に軽量である。これにより、便座装置の開閉に必要な使用者の負担が低減される。
軽量な合金として例えばマグネシウム合金は電磁波のシールド性に優れている。これにより、加熱手段より発生する電磁波が人体に及ぶことが防止できる。
軽量な合金として例えばマグネシウム合金は加工性に優れている。これにより、便座装置の製造が容易となる。
軽量な合金としてマグネシウム合金は耐くぼみ性に優れている。これにより、外部に露
出した便座装置の便座ケーシングは、設置工事の際に工具が衝突した場合においても、大きいくぼみができにくい。
上記に示す各種軽量な合金であるマグネシウム合金の特徴により、少い消費電力で効率の良い暖房を行うことができるとともに安価かつ容易に製造できる便座装置が実現する。
加熱手段は、線状発熱体を含み、線状発熱体は、便座ケーシングにおける着座面の裏面側に接着層を介して貼着されてもよい。
この場合、線状発熱体は接着層を介して便座ケーシングにおける着座面の裏面側に貼着されるので、便座装置の構成および製造工程の簡素化が図られる。
加熱手段は、外部に接着層を有する線状発熱体を含み、線状発熱体は、便座ケーシングにおける着座面の裏面側に融着により貼着されてもよい。
この場合、線状発熱体の外部に設けられる接着層が、便座ケーシングにおける着座面の裏面側に融着されるので、便座装置の構成および製造工程の簡素化が図られる。
加熱手段は、帯状発熱体を含み、帯状発熱体は、便座ケーシングにおける着座面の裏面側に印刷されてもよい。
この場合、帯状発熱体は便座ケーシングにおける着座面の裏面側に印刷されるので、便座装置の製造を機械化することができる。また、帯状発熱体が便座ケーシングにおける着座面の裏面側に面で接触するため、帯状発熱体の発生する熱が効率よく着座面に伝達される。さらに、帯状発熱体が便座ケーシングにおける着座面の裏面側に面で接触するため、帯状発熱体が熱を発生した場合に便座ケーシングにおける着座面に温度むらが生じない。
加熱手段に24V以下の電圧を印加する電源回路をさらに備えてもよい。この場合、加熱手段には、電源回路により24V以下の電圧が印加される。これにより、使用者は、便座装置から漏電があった場合においても、感電によるダメージを受ける心配がない。
便座ケーシングの表面に、コーティングによる防錆処理が行われてもよい。この場合、便座ケーシングの表面にコーティングがなされることにより、軽量な合金により形成される便座ケーシングの耐食性が向上し、過酷な環境下にあるトイレの空間においても、便座装置の耐久性が向上する。
便座ケーシングの表面に、塗装による防錆処理が行われてもよい。この場合、便座ケーシングの表面に塗装がなされることにより、軽量な合金により形成される便座ケーシングの耐食性が向上し、過酷な環境下にあるトイレの空間においても、便座装置の耐久性が向上する。
軽量な合金は、マグネシウム、アルミニウムおよび亜鉛を含むんでもよい。この場合、高強度で耐食性が高い便座装置が実現する。また、このマグネシウム合金の成形は、チクソモールド法により行うことができる。
人体を検出する検出手段をさらに備え、検出手段による検出に応答して加熱手段が昇温してもよい。この場合、検出手段が人体を検出することにより、便座ケーシングにおける着座面が加熱手段により昇温される。したがって、便座装置の不使用時における加熱手段の消費電力が低減される。便座装置の不使用時に着座面の温度が低い状態であっても、便座ケーシングが軽量な合金により形成されるので加熱手段の発生する熱により急激に着座
面を昇温することができる。
本発明に係る衛生洗浄装置は、洗浄水を人体の局部に噴出する噴出手段と、便座装置とを備え、便座装置は、着座面を有する便座ケーシングと、便座ケーシングに内蔵され着座面を加熱する加熱手段とを含み、便座ケーシングが、軽量な合金により形成されたものである。
本発明に係る衛生洗浄装置においては、噴出手段により洗浄水が人体の局部に噴出される。また、軽量な合金により形成された便座ケーシングの内部に加熱手段が備えられ、便座ケーシングの有する着座面を加熱手段が加熱する。
このように、便座ケーシングが軽量な合金により形成されているので、質感が向上するとともに、以下に示す効果が得られる。
軽量な合金として、特にマグネシウム合金は熱伝導性に優れている。これにより、加熱手段の発生する熱が着座面の全体に均一に伝達されるので、アルミニウム薄膜などの均熱板が不要であり、構成および製造工程の簡素化が図られる。さらに、マグネシウム合金の熱伝導性によれば、便座装置の不使用時に着座面の温度が低い状態であっても、加熱手段の発生する熱により急激に着座面を昇温することができる。したがって、便座装置の不使用時における加熱手段の消費電力が低減される。
軽量な合金として、例えばマグネシウムは多く存在する物質であるため、安価である。これにより、製作時における低コスト化が図られる。
また、軽量な合金として、マグネシウム合金は再利用しやすい。つまり、再加工時に必要となるエネルギーが低減できる。
軽量な合金であるマグネシウム合金は人体に対し安全である。これにより、使用者は金属アレルギー等の心配をする必要がない。
軽量な合金であるマグネシウム合金は非常に軽量である。これにより、便座装置の開閉に必要な使用者の負担が低減される。
軽量な合金として例えばマグネシウム合金は電磁波のシールド性に優れている。これにより、加熱手段より発生する電磁波が人体に及ぶことが防止できる。
軽量な合金として例えばマグネシウム合金は加工性に優れている。これにより、衛生洗浄装置の製造が容易となる。
軽量な合金としてマグネシウム合金は耐くぼみ性に優れている。これにより、外部に露出した便座装置の便座ケーシングは、設置工事の際に工具が衝突した場合においても、大きいくぼみができにくい。
上記に示す各種軽量な合金であるマグネシウム合金の特徴により、少い消費電力で効率の良い暖房を行うことができるとともに安価かつ容易に製造できる衛生洗浄装置が実現する。
噴出手段および加熱手段を制御する制御部を内蔵する本体ケーシングをさらに備え、本体ケーシングが軽量な合金により形成されてもよい。この場合、噴出手段および加熱手段は制御部により制御される。
このように、本体ケーシングが軽量な合金により形成されているので、質感が向上するとともに、製作時における低コスト化、再加工時に必要となるエネルギーの低減、安全性の向上、加工性の向上および耐くぼみ性の向上が図られる。その結果、安価かつ容易に製造できる衛生洗浄装置が実現する。
便座装置に開閉自在に設けられた便蓋をさらに備え、便蓋が軽量な合金により形成されてもよい。
このように、便蓋が軽量な合金により形成されているので、質感が向上するとともに、軽量化、製作時における低コスト化、再加工時に必要となるエネルギーの低減、安全性の向上、加工性の向上および耐くぼみ性の向上が図られる。その結果、安価かつ容易に製造できる衛生洗浄装置が実現する。
以下、本発明の実施の形態に係る便座装置およびそれを備えた衛生洗浄装置について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器に装着した状態を示す斜視図である。
図1に示すように、便器600上に衛生洗浄装置100が装着される。タンク700は、水道配管に接続されており、便器600内に洗浄水を供給する。
衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座装置400および便蓋部500により構成される。
本体部200には、便座装置400および便蓋部500が開閉自在に取り付けられる。また、本体部200には、ノズル部800を含む洗浄水供給機構が設けられるとともに、制御部および人体検出センサ250が内蔵されている。本体部200の制御部は、遠隔操作装置300により送信される信号に基いて、洗浄水供給機構を制御する。さらに、本体部200の制御部は、後述の人体検出センサ250により送信される信号に基づき後述の便座装置400に内蔵された線状ヒータを制御したり、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等を制御したりする。
遠隔操作装置300には、複数の調整スイッチ、おしりスイッチ、刺激スイッチ、停止スイッチ、ビデスイッチ、乾燥スイッチおよび脱臭スイッチ等(図示せず)が備えられている。そして、使用者が各種スイッチを押下することにより本体部200の制御部に各種指令信号が送信される。例えば、使用者がおしりを洗浄したい場合におしりスイッチを押下すると、おしりの洗浄を行う旨の指令信号が本体部200の制御部に送信される。
人体検出センサ250には、赤外線センサまたは超音波センサ等が用いられる。そして、人体検出センサ250は、使用者の存在を検知することにより衛生洗浄装置100の使用が開始された旨の信号を本体部200の制御部に送信する。
上記に示す衛生洗浄装置100の本体部200のケーシング、便座装置400の後述する便座ケーシングおよび便蓋部500は、マグネシウム合金により形成されている。
以下に、第1の実施の形態に係る衛生洗浄装置100の便座装置400の構造について図2〜図6に基づき説明する。
図2は、第1の実施の形態に係る衛生洗浄装置100の便座装置400を上面より見た場合の模式的透視図であり、図3は、図2に示す便座装置400のA−A線断面図である。
図2および図3によれば、便座装置400は、便座ケーシング405、線状ヒータ10および電源回路490により構成されている。便座ケーシング405は、さらに便座表板401および便座裏板402により形成されており、内部に線状ヒータ10を備える。また、線状ヒータ10の両端部は電源回路490に接続されている。
線状ヒータ10は、均等な間隔をもって便座表板401の裏面全体にわたって蛇行するように配置されている。また、線状ヒータ10の両端部は、電源回路490に接続されている。以下に、線状ヒータ10の構造について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る便座装置400に用いられる線状ヒータ10の構造を示す切り欠き斜視図である。
図4によれば、線状ヒータ10は、芯線11、発熱線12および被覆チューブ13を含み、芯線11が発熱線12に巻回され、さらに発熱線12が巻回された芯線11が被覆チューブ13により被覆されている。ここで、上記に示す芯線11はポリエステル等により形成され、発熱線12は銅合金等により形成され、被覆チューブ13はシリコンゴム等により形成されている。そして、電源回路490が発熱線12に電圧を印加することにより発熱線12に電流が流れる。それにより、発熱線12が熱を発生し、発熱線12より発生した熱は被覆チューブ13を介して外部へ放出される。本実施の形態において、線状ヒータ10には最大24Vの電圧が印加される。
上記に示す電源回路490による発熱線12への電圧の印加は、本体部200の制御部290により制御される。つまり、上述のように人体検出センサ250は、使用者の存在を検知することにより衛生洗浄装置100の使用が開始された旨の信号を本体部200の制御部に送信する。そして、人体検出センサ250より衛生洗浄装置100の使用が開始された旨の信号を受信した制御部290は、電源回路490を制御し、発熱線12への電圧の印加を行う。
図5は、第1の実施の形態に係る便座装置400に使用可能な線状ヒータの他の例を示す切り欠き斜視図である。
図5によれば、線状ヒータ50は、芯線11、発熱線12、保護層51および被覆ューブ52を含み、芯線11が発熱線12に巻回され、発熱線12が巻回された芯線11が保護層51により巻回され、さらに保護層51が被覆チューブ52により被覆されている。ここで、上記に示す芯線11はポリエステル等により形成され、発熱線12は銅合金等により形成され、保護層51は横巻糸等により形成され、被覆チューブ52は耐熱PVC(塩化ビニル)等により形成されている。そして、発熱線12の両端に電圧を印加することにより発熱線12に電流が流れる。それにより、発熱線12が熱を発生し、発熱線12より発生した熱は保護層51および被覆チューブ52を介して外部へ放出される。
図6は、図3に示す便座装置400のA−A線断面の一部を拡大した図である。
図6によれば、便座表板401の裏面には、上記に示す線状ヒータ10が粘着層21を介して直接貼着されている。また、便座表板401の表面は、ブラスト加工により下地処理面41が形成され、下地処理面41上にテフロン(登録商標)(フッ素樹脂)42がコーティングさ
れている。ここで、下地処理面41およびテフロン(登録商標)(フッ素樹脂)42のコーティングは図3の便座裏板402の表面にも施されている。
なお、本実施の形態においては、上記に示すように便座ケーシング405の表面はテフロン(登録商標)(フッ素樹脂)42のコーティングによる表面処理がなされているが、便座ケーシング405の表面に下塗りプライマー層を設け、さらに下塗りプライマー層上に上塗り塗膜層を形成することにより表面処理を行ってもよい。
上記構成を有する便座装置400においては、線状ヒータ10は上述のように電圧が印加されることにより熱を発生し、線状ヒータ10により発生された熱はマグネシウム合金により形成された便座表板401の全体に均一に伝達される。このようにして、便座装置400による暖房が行われる。
以上に示す衛生洗浄装置100の本体部200のケーシング、便座装置400の便座ケーシング405および便蓋部500に用いられるマグネシウム合金には、Mg−Al−Zn合金が用いられる。Mg−Al−Zn合金としては、例えばマグネシウムにアルミニウムが約9%、亜鉛が約1%の割合で添加され、さらに微量のマンガン、ケイ素、銅、ニッケルおよび鉄が添加されたもの(AZ91D)が用いられる。このAZ91Dは高強度で耐食性が高い。そして、このマグネシウム合金の成形は、チクソモールド法により行われる。このチクソモールド法によれば、マグネシウム合金に熱と振動を加えることにより樹脂と同様の射出成形が可能となる。
本実施の形態に係る衛生洗浄装置100においては、上記に示すように本体部200のケーシング、便座装置400の便座ケーシング405および便蓋部500が、マグネシウム合金により形成されているため、質感が向上するとともに、以下に示す特徴を有する。
マグネシウム合金は熱伝導性に優れている。これにより、上述のように便座表板401の裏面側に線状ヒータ10が直接貼着された場合においても、線状ヒータ10より発生する熱が便座表板401の表面側に均一に伝達される。つまり、便座装置400の製造時においては、アルミニウム薄膜などの均熱板が不要であり、構成および製造工程の簡素化が図られる。
さらに、マグネシウム合金の熱伝導性によれば、便座装置400の待機時の温度が低い状態であっても、線状ヒータ10の発熱とともに急激に便座装置400の着座面の温度が上昇するため消費電力を低減することができる。
マグネシウムは地球上で8番目に多く存在する物質であるため、安価である。これにより、製作時における低コスト化が図られる。
また、マグネシウム合金は再利用しやすい。つまり、再加工時に必要となるエネルギーが低減できる。
マグネシウム合金は人体に対し安全である。これにより、使用者は金属アレルギー等の心配をする必要がない。
マグネシウム合金は非常に軽量である。これにより、便座装置400および便蓋部500の開閉に必要な使用者の負担が低減される。
マグネシウム合金は電磁波のシールド性に優れている。これにより、線状ヒータ10より発生する電磁波が人体に及ぶことが防止できる。
マグネシウム合金は加工性に優れている。これにより、衛生洗浄装置100の製造が容易となる。
マグネシウム合金は耐くぼみ性に優れている。これにより、外部に露出した本体部200のケーシング、便座装置400の便座ケーシング405および便蓋部500は、設置工事の際に工具が衝突した場合においても、大きいくぼみができにくい。
また、本実施の形態に係る衛生洗浄装置100においては、上記に示すように便座装置400に用いられる電圧は最大で24Vである。これにより、使用者は、便座装置400から漏電があった場合においても、感電によるダメージを受ける心配がない。
さらに、本実施の形態に係る衛生洗浄装置100においては、上記に示すように便座装置400の便座ケーシング405の表面は、テフロン(登録商標)(フッ素樹脂)によりコーティングされている。これにより、金属材料であるマグネシウム合金の耐食性が向上し、過酷な環境下にあるトイレの空間においても、衛生洗浄装置100の耐久性が向上する。また、テロン(フッ素樹脂)によるコーティングに代えて塗膜層が設けられる場合においても、上記と同様の効果が得られる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る衛生洗浄装置は、以下に示す便座装置の構造を除き第1の実施の形態に示す衛生洗浄装置と同様の構造を有する。
以下に、第2の実施の形態に係る衛生洗浄装置の便座装置について図7および図8に基づき説明する。
第2の実施の形態に係る便座装置410においては、第1の実施の形態に係る便座装置400に用いられる線状ヒータ10に代えて接着チューブ22を有する線状ヒータ60が用いられている。なお、線状ヒータ60は、図2および図3に示す便座装置400と同様に、均等な間隔をもって便座表板401の裏面全体にわたって蛇行するように配置されている。また、線状ヒータ60の両端部は、電源回路に接続されている。
図7は、第2の実施の形態に係る便座装置410に用いられる線状ヒータ60の構造を示す切り欠き斜視図である。
図7によれば、線状ヒータ60は、芯線11、発熱線12、被覆チューブ13および接着チューブ22を含み、芯線11が発熱線12に巻回され、発熱線12が巻回された芯線11が被覆チューブ13により被覆され、さらに被覆チューブ13が接着チューブ22により被覆されている。ここで、上記に示す芯線11はポリエステル等により形成され、発熱線12は銅合金等により形成され、被覆チューブ13はシリコンゴム等により形成さ、接着チューブ22はポリエチレン等により形成されている。そして、電源回路が発熱線12に電圧を印加することにより発熱体12に電流が流れる。それにより、発熱線12が熱を発生し、発熱線12より発生した熱は被覆チューブ13および接着チューブ22を介して外部へ放出される。本実施の形態において、線状ヒータ60には最大24Vの電圧が印加される。なお、電源回路による発熱線12への電圧の印加は、第1の実施の形態と同様に本体部の制御部により制御される。
図8は、便座装置410の便座表板401の断面の一部を拡大した図である。
図8によれば、便座表板401の裏面には、上記に示す線状ヒータ10が接着チューブ
22を介して直接貼着されている。また、第1の実施の形態に係る便座装置400と同様に便座表板401の表面は、ブラスト加工により下地処理面41が形成され、下地処理面41上にテフロン(登録商標)(フッ素樹脂)42がコーティングされている。ここで、下地処理面1およびテフロン(登録商標)(フッ素樹脂)42のコーティングは第1の実施の形態と同様に図3の便座裏板402の表面にも施されている。
本実施の形態に係る便座装置410においては、線状ヒータ60は、外部より熱を与えられることにより接着チューブ22が溶解し便座表板401に融着される。このため便座表板401への線状ヒータ60の貼着が容易に行われる。つまり、予め便座表板401の表面に熱を加えておくことで線状ヒータ60を直接、便座表板401の裏面に融着することができる。なお、便座表板401への線状ヒータ60の融着は、予め便座表板401の裏面上に線状ヒータ60を配線し、その後、便座表板401を加熱することにより行ってもよい。
上記構成を有する便座装置410においては、線状ヒータ60は電圧が印加されることにより熱を発生し、線状ヒータ60により発生された熱はマグネシウム合金により形成された便座表板401の全体に均一に伝達される。このようにして、便座装置410の暖房が行われる。
以上に示す衛生洗浄装置の本体部のケーシング、便座装置410の便座ケーシング405および便蓋部500に用いられるマグネシウム合金には、Mg−Al−Zn合金が用いられる。Mg−Al−Zn合金としては、例えばマグネシウムにアルミニウムが約9%、亜鉛が約1%の割合で添加され、さらに微量のマンガン、ケイ素、銅、ニッケルおよび鉄が添加されたもの(AZ91D)が用いられる。このAZ91Dは高強度で耐食性が高い。そして、このマグネシウム合金の成形は、チクソモールド法により行われる。このチクソモールド法によれば、マグネシウム合金に熱と振動を加えることにより樹脂と同様の射出成形が可能とな
る。
本実施の形態に係る衛生洗浄装置においても、第1の実施の形態に係る衛生洗浄装置と様に本体部のケーシング、便座装置410の便座ケーシング405および便蓋部500が、マグネシウム合金により形成されているため、質感が向上するとともに、以下に示す特徴を有する。
マグネシウム合金は熱伝導性に優れている。これにより、上述のように便座表板401の裏面側に線状ヒータ60が直接貼着された場合においても、線状ヒータ60より発生する熱が便座表板401の表面側に均一に伝達される。つまり、便座装置410の製造時においては、アルミニウム薄膜などの均熱板が不要であり、構成および製造工程の簡素化が図られる。
さらに、マグネシウム合金の熱伝導性によれば、便座装置410の待機時の温度が低い状態であっても、線状ヒータ60の発熱とともに急激に便座装置410の着座面の温度が上昇するため消費電力を低減することができる。
マグネシウムは地球上で8番目に多く存在する物質であるため、安価である。これにより、製作時における低コスト化が図られる。
また、マグネシウム合金は再利用しやすい。つまり、再加工時に必要となるエネルギーが低減できる。
マグネシウム合金は人体に対し安全である。これにより、使用者は金属アレルギー等の心配をする必要がない。
マグネシウム合金は非常に軽量である。これにより、便座装置410および便蓋部500の開閉に必要な使用者の負担が低減される。
マグネシウム合金は電磁波のシールド性に優れている。これにより、線状ヒータ60より発生する電磁波が人体に及ぶことが防止できる。
マグネシウム合金は加工性に優れている。これにより、衛生洗浄装置の製造が容易となる。
マグネシウム合金は耐くぼみ性に優れている。これにより、外部に露出した本体部のケーシング、便座装置410の便座ケーシング405および便蓋部500は、設置工事の際に工具が衝突した場合においても、大きいくぼみができにくい。
また、本実施の形態に係る衛生洗浄装置においては、上記に示すように便座装置410に用いられる電圧は最大で24Vである。これにより、使用者は、便座装置410から漏電があった場合においても、感電によるダメージを受ける心配がない。
さらに、本実施の形態に係る衛生洗浄装置においては、上記に示すように便座装置410の便座ケーシング405の表面は、テフロン(登録商標)(フッ素樹脂)によりコーティングされている。これにより、金属材料であるマグネシウム合金の耐食性が向上し、過酷な環境下にあるトイレの空間においても、衛生洗浄装置の耐久性が向上する。また、テフロン(登録商標)(フッ素樹脂)によるコーティングに代えて塗膜層が設けられる場合においても、上記と同様の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る衛生洗浄装置は、以下に示す便座装置の構造を除き第1の実施の形態に示す衛生洗浄装置と同様の構造を有する。
以下に、第3の実施の形態に係る衛生洗浄装置の便座装置について図9および図10に基づき説明する。
図9は、第3の実施の形態に係る便座装置420の断面の一例を示す模式的断面図である。図10は、便座装置420の便座表板401の断面の一部を拡大した図である。
第3の実施の形態に係る便座装置420においては、第1の実施の形態に係る便座装置400に用いられる線状ヒータ10に代えてプリントヒータ70が用いられている。図9によれば、プリントヒータ70は便座表板401の裏面側を覆うように印刷(プリント)されている。図10に示すように、プリントヒータ70は、抵抗体71、導体72、絶縁層75および保護層76からなる。なお、抵抗体71は、一本の帯状に形成されており、図2および図3に示す便座装置400の線状ヒータ10と同様に均等な間隔をもって便座表板401の裏面全体にわたって蛇行するように配置されている。また、抵抗体71の両端部は、導体72を介して電源回路に接続されている。
ここで、図10に基づき便座表板401の裏面へのプリントヒータ70のプリント工程について説明する。初めに、便座表板401の裏面には絶縁層75がプリントされる。そして、絶縁層75の乾燥および焼成が行われる。その後、絶縁層75の表面上に帯状の抵抗体71がプリントされる。
次に、プリントされた抵抗体71を乾燥させた後、電極となる一対の導体72が抵抗体71の両端部と接触した状態でプリントされる。最後に、導体72が乾燥および焼成された後、一対の導体72の一部が露出するように保護層76が抵抗体71および導体72を覆うように絶縁層75上にプリントされ、乾燥および焼成される。以上が、プリントヒータ70の便座表板401へのプリント工程である。
ここで、本実施の形態においては、上記に示す抵抗体71は、例えば10μmの厚さを有する銀とパラジウムからなる合金等により形成されている。また、導体72は、例えば10μmの厚さを有する銀等により形成されている。さらに、絶縁層75は、例えば75μmの厚さを有するガラス等の絶縁材料により形成されており、保護層76は、例えば50μmの厚さを有するガラス等の絶縁材料により形成されている。
上記構成を有する便座装置420においては、電源回路が一対の導体72間に電圧を印加することにより、抵抗体71に電流が流れる。ここで、プリントヒータ70には最大24Vの電圧が印加される。これにより、抵抗体71は熱を発生し、抵抗体71により発生された熱は絶縁層75を介してマグネシウム合金により形成された便座表板401の全体に均一に伝達される。このようにして、便座装置420による暖房が行われる。なお、電源回路による一対の導体72間への電圧の印加は、第1の実施の形態と同様に本体部の御部により制御される。
本実施の形態に係る便座装置420においては、熱を発生する抵抗体71が帯状である。これにより、便座装置420は抵抗体71が面で便座表板401に接触しているため、抵抗体71より発生する熱が効率よく便座表板401に伝達される。つまり、便座装置420は昇温特性に優れている。さらに、便座装置420は抵抗体71が面で便座表板401に接触しているため、便座装置420の着座面に温度むらが生じない。
ここで、図11に基づき便座装置420の昇温特性について説明する。図11は、従来の便座装置と本実施の形態に係る便座装置420との昇温特性を比較した図である。
図11において、横軸は時間を示し、縦軸は便座装置420の着座面の温度を示す。ここでは、従来の便座装置として、便座ケーシングがPP(ポリプロピレン)樹脂により形成され、熱の発生源に線状ヒータが用いられたものを想定する。
従来の便座装置および本実施の形態に係る便座装置420の昇温動作は、第1の実施の形態で示したように人体検出センサ250が人体の存在を検知した入室検知時Sより開始されるものとし、入室検知時Sまでの時間を待機時間T1とする。また、入室検知時Sより使用者の便座装置への着座時Uまでの時間は非常に短時間であると想定されるが、この入室検知時Sより使用者の便座装置への着座時Uまでの時間を便座装置の昇温時間T2とする。
使用者の着座に適した温度を着座温度Kvとした場合、本実施の形態に係る便座装置420によれば、図11の実線Mhに示すように昇温時間T2において急激な昇温が行われている。つまり、マグネシウム合金により形成されている便座装置420は昇温特性に優れているため、待機時間T1に着座面が低い温度Kmであった場合においても、使用者の入室が検知されるとともに着座面が短い昇温時間T2の間に急激に着座温度Kvまで昇温している。
一方、従来の便座装置によれば、図11の点線Phに示すように昇温時間T2においてなだらかな昇温しか行われない。つまり、PP樹脂により形成されている従来の便座装置
では短時間に昇温できる温度に制限があるため、着座面を待機時間T1に予め上記の温度Kmよりも高い特定の便座温度Kp(32〜36℃)に保持しておく必要がある。
上記に示すように、本実施の形態に係る便座装置420は非常に優れた昇温特性を有するため、衛生洗浄装置の不使用時(待機時)において着座面を高い温度に保持しておく必がない。これにより、便座装置420の消費電力が従来のPP樹脂製の便座装置に比べ低減されている。
以上に示す衛生洗浄装置の本体部のケーシング、便座装置420の便座ケーシング405および便蓋部500に用いられるマグネシウム合金には、Mg−Al−Zn合金が用いられる。Mg−Al−Zn合金としては、例えばマグネシウムにアルミニウムが約9%、亜鉛が約1%の割合で添加され、さらに微量のマンガン、ケイ素、銅、ニッケルおよび鉄が添加されたもの(AZ91D)が用いられる。このAZ91Dは高強度で耐食性が高い。そして、このマグネシウム合金の成形は、チクソモールド法により行われる。このチクソモールド法によれば、マグネシウム合金に熱と振動を加えることにより樹脂と同様の射出成形が可能となる。
本実施の形態に係る衛生洗浄装置においては、上記に示すように本体部のケーシング、便座装置420の便座ケーシング405および便蓋部500が、マグネシウム合金により形成されているため、質感が向上するとともに、以下に示す特徴を有する。
マグネシウム合金は熱伝導性に優れている。これにより、上述のように便座表板401の裏面側にプリントヒータ70が直接貼着された場合においても、プリントヒータ70より発生する熱が便座表板401の表面側に均一に伝達される。つまり、便座装置420の製造時においては、アルミニウム薄膜などの均熱板が不要であり、構成および製造工程の簡素化が図られる。
マグネシウムは地球上で8番目に多く存在する物質であるため、安価である。これにより、製作時における低コスト化が図られる。
また、マグネシウム合金は再利用しやすい。つまり、再加工時に必要となるエネルギーが低減できる。
マグネシウム合金は人体に対し安全である。これにより、使用者は金属アレルギー等の心配をする必要がない。
マグネシウム合金は非常に軽量である。これにより、便座装置420および便蓋部00の開閉に必要な使用者の負担が低減される。
マグネシウム合金は電磁波のシールド性に優れている。これにより、プリントヒータ70より発生する電磁波が人体に及ぶことが防止できる。
マグネシウム合金は加工性に優れている。これにより、衛生洗浄装置の製造が容易となる。
マグネシウム合金は耐くぼみ性に優れている。これにより、外部に露出した本体部のケーシング、便座装置420の便座ケーシング405および便蓋部500は、設置工事の際に工具が衝突した場合においても、大きいくぼみができにくい。
また、本実施の形態に係る衛生洗浄装置においては、上記に示すように便座装置420
に用いられる電圧は最大で24Vである。これにより、使用者は、便座装置420から漏電があった場合においても、感電によるダメージを受ける心配がない。
さらに、本実施の形態に係る衛生洗浄装置においては、上記に示すように便座装置20の便座ケーシング405の表面は、テフロン(登録商標)(フッ素樹脂)によりコーティングさている。これにより、金属材料であるマグネシウム合金の耐食性が向上し、過酷な環境下にあるトイレの空間においても、衛生洗浄装置の耐久性が向上する。また、テフロン(登録商標)(フッ素樹脂)によるコーティングに代えて塗膜層が設けられる場合においても、上記と同様の効果が得られる。
以上に示す第1〜第3の実施の形態においては、線状ヒータ10,50,60およびプリントヒータ70が加熱手段に相当し、線状ヒータ10,50,60が線状発熱体に相当し、粘着層21および接着チューブ22が接着層に相当し、抵抗体71が帯状発熱体に相当し、人体検出センサ250が検出手段に相当し、ノズル部800が噴出手段に相当する。