JP2006087337A - 飲料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】摂取した際に、果汁による甘味等によって柿渋の渋味を感じ難くするとともに、後味として残る渋味も丸くして感じ難くすることができ飲み易く嗜好性に優れ、また混合溶解させるだけで製造することができ生産性に優れ、また希釈したり他の溶媒に添加しても変わらないので、水,牛乳,ヨーグルト等の種々の溶媒に溶解させて用いることができ応用性に優れ、さらに加熱による活性低下が生じ難いので、柿渋による優れた血圧降下作用及び活性酸素消去作用を享受できる飲料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の飲料組成物は、柿渋と、果汁と、植物配糖体と、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、柿渋を含有する飲料組成物に関するものである。
従来より、渋柿果実からとった汁液を熟成して得られる柿渋は、血圧降下作用や脳卒中の治療等に効果があることから、血圧降下,ヘビ毒の解毒,火傷,凍傷の治療等の民間療法に一定の役割を果たしてきた。また、飲酒の前に摂取すると悪酔いを防ぐことができるといわれている。また最近では、柿渋にはポリフェノール化合物であるタンニン酸が多量に含まれているので、活性酸素消去作用の点で見直されている。活性酸素は、関節リューマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、シワ、糖尿病、動脈硬化、肩こり、冷え性等の原因の一つと考えられているからである。
しかし、柿渋は、タンニンの他、熟成中に生じた様々な有機酸類を含んでいて、その中の酢酸、プロピオン酸、酪酸等の揮発性有機酸が、他の臭気成分とも複合して特異な発酵臭と渋味を感じさせるため、そのままでは摂取が困難である。
そこで、柿渋を摂取し易くした飲料組成物が研究されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「グルコースを構成糖とする水溶性多糖類と柿渋との混合物の加熱乾燥物が添加された飲食物」が開示されている。
特開2000−290190号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、グルコースを構成糖とする水溶性多糖類と柿渋とを混合物して加熱乾燥する工程が煩雑で生産性に欠けるという課題を有していた。
(2)柿渋と水溶性多糖類とを混合して加熱乾燥することで、柿渋を無臭化することはできるが、加熱によって柿渋の活性が低下するという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、摂取した際に、果汁による甘味等によって柿渋の渋味を感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る渋味を丸くして感じ難くすることができ飲み易く嗜好性に優れ、また混合溶解させるだけで製造することができ生産性に優れるとともに加熱による活性低下が生じ難いので、柿渋による優れた血圧降下作用及び活性酸素消去作用を享受できる飲料組成物を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の飲料組成物は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の飲料組成物は、柿渋と、果汁と、植物配糖体と、を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)摂取した際に、果汁による甘味等によって柿渋の渋味を感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る渋味を丸くして感じ難くすることができ飲み易く嗜好性に優れる。
(2)柿渋の渋味を果汁と植物配糖体の甘味等によって和らげて飲み易くする作用は、飲料組成物を希釈したり他の溶媒に添加しても変わらないので、水,牛乳,ヨーグルト等の種々の溶媒に溶解させて血圧降下作用及び活性酸素消去作用を発現する飲料を得ることができ、応用性に優れる。
ここで、柿渋としては、渋柿のまめ柿やあぶら柿あるいは栽培種の未熟果等の原料柿を擂り潰したり圧搾して得られた汁液を熟成させてつくる液体が用いられる。具体的には、天王柿,山柿等の渋味の強い青い柿を8月頃に採取し、その原料柿を搾汁して汁液を得、これを容器に入れ常温で放置あるいは糖質分解酵素を加え、自然に静置発酵させて搾汁中の糖質を微生物により資化させて取り除き、その後加熱殺菌し、2〜3年程度常温で放置熟成させたものが用いられる。
また、柿渋を製造する際、原料柿をアスコルビン酸水溶液に浸漬処理する等、アスコルビン酸,亜硫酸化合物,エリソルビン酸塩等の還元剤を添加・混合することによって、タンニン成分の酸化防止や酸化による柿渋及び飲料組成物の変色を防止することができる。
なお、加熱殺菌した搾汁を、限外濾過膜を使用して低分子成分を除去して製造した柿渋が好適に用いられる。柿渋に溶存している臭気原因物質である揮発性有機酸、無機物、糖質等の分画分子量以下の低分子成分を除去して、柿渋を無臭化できるからである。さらに、限外濾過膜を使用して循環濾過された柿渋が好適に用いられる。循環濾過することにより、タンニン濃度が高くタンニン力価の高い柿渋を安定して得ることができるからである。
柿渋は、国税庁所定分析法注解337頁((財)日本醸造協会発行、昭和56年)に従って測定したタンニン力価が100〜260のものを用いるのが好ましい。活性が高いため、血圧降下作用等について高い効果が得られるからである。
ここで、タンニン力価が100より小さくなるにつれ、柿渋の活性が低下し血圧降下作用等が乏しくなる傾向がみられ、260より高くなるにつれ限外濾過等による濃縮に工数を要し生産性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
果汁としては、柑橘類,りんご,ぶどう,桃,なし,パインアップル,トマト,梅,グァバ,プルーン等の果実を搾汁して得られる天然果汁や、これを濃縮した濃縮果汁が用いられる。特に、濃縮果汁が好適に用いられる。香味が濃縮されているので、柿渋の渋味を感じさせ難くできるからである。果汁の濃縮方法としては、真空と加熱を利用した強制循環型,液膜落下型,プレート式,コイル式,撹拌膜式,回転円錐式,凍結濃縮法等が用いられる。
果汁は、りんご、もも、ぶどう等の酸度が0.3〜0.5の果実から搾汁したものが好適に用いられる。強い酸味を感じ難く柿渋の渋味を少なくできるからである。
酸度としては、りんご又は日本なしを主原料にした果汁はリンゴ酸、ぶどうを主原料にした果汁は酒石酸、その他の果汁はクエン酸の重量%で換算して表したものが用いられる。
また、果汁は、糖用屈折計で測定したブリックス度(溶液100gあたりの可溶性固形物重量(g))が30〜50のものを用いるのが好ましい。甘味等が高く柿渋の渋味を打ち消すことができるからである。
ここで、ブリックス度が30より低くなるにつれ、甘味等が低く柿渋の渋味が残る傾向がみられ、50より高くなるにつれ、果汁の濃縮度を高めなければならず工数を要し生産性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
植物配糖体としては、植物の根茎や葉等から抽出される配糖体の甘味成分が用いられる。具体的には、甘草の根茎から抽出されたグリチルリチン及びその同族体並びにそれらの金属塩であるグリチルリチン酸三ナトリウム,グリチルリチン酸二ナトリウム等、ステビアの葉から抽出されたステビオシド,レバウディオシド及びそれらの同族体並びにそれらの金属塩等の結晶物が用いられる。なかでも、これらを改質し嫌味除去、味質改善したものや易水溶化したもの、クエン酸三ナトリウム等を添加して増量するとともに易水溶化したもの等が好適に用いられる。飲料化を容易にするためである。
飲料組成物には、柿渋,果汁,植物配糖体以外に、ハチミツ,果糖,ブドウ糖,水,香料等を加えることができる。
また、スクラロース,アスパルテーム,アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料を加えることもできる。なお、高甘味度甘味料の添加量は、飲料組成物の全量に対し0.1重量%以下にするのが望ましい。甘味が強くなり飲み難くなるからである。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の飲料組成物であって、醸造酢を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)醸造酢のクエン酸,酢酸等の有機酸等が、疲労根源物質である乳酸をクエン酸回路を介して水と二酸化炭素に分解することによって疲労回復を助け、さらに血液をアルカリ性にして乳酸を蓄積させ難くして疲労が蓄積するのを防止することができるとともに、カルシウムやミネラル分の吸収性を高めることができる。
(2)醸造酢の酸味を果汁による甘味等によって感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る酸味も感じ難くすることができ嗜好性に優れるため、有機酸等を豊富に含む醸造酢を多量に摂取することができる。
ここで、醸造酢としては、米,大麦,とうもろこし,酒粕等の穀物及びその加工品を原料とする穀物酢、ぶどう,りんご,柿,柑橘類等の果実を原料とする果実酢等が用いられる。なかでも果実酢が好適に用いられる。果実中の酸や糖で酸味が和らげられており飲み易いからである。
醸造酢は、酸度が5〜6重量%のものが好適に用いられる。有機酸等を多く含有するので、疲労回復作用等に優れるからである。
なお、醸造酢の酸度は、水酸化ナトリウムの標準溶液を用いフェノールフタレイン液を指示薬として醸造酢をpH7まで中和し、その際に要した標準溶液量から醸造酢100mLあたりの酢酸のg数(重量%)に換算して表した。
醸造酢の酸度が5重量%より低くなるにつれ有機酸等の含有量が低下する傾向がみられ、6重量%より高くなるにつれ醸造酢の原料の糖分や種類を厳選しなければならず生産性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の飲料組成物であって、前記柿渋100重量部と、前記果汁80〜620重量部と、前記植物配糖体0.4〜3.2重量部と、を含有した構成、好ましくは前記柿渋100重量部と、前記果汁80〜570重量部と、前記植物配糖体0.4〜1.3重量部と、を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)柿渋と果汁と植物配糖体とが所定の割合で配合されているので、柿渋の渋味が感じられ難く飲み易く嗜好性に優れるとともに、冷蔵庫で保管する場合のような5℃程度の低温領域であっても沈殿や濁りが生じ難く澄んだ飲料を得ることができる。植物配糖体と果汁を混合すると5℃程度の低温領域において沈殿や濁りが生じ易くなり、沈殿が生じる場合は、低温領域で長時間静置保存しておくと、沈降して容器の底に固く付着した状態になり、均一に混合するのが困難になるため好ましくないからである。また、沈殿が生じると舌触りが悪くなるとともに、上澄みしか飲まない場合は沈殿(タンニン酸と植物配糖体の錯化合物と推定)が摂取されなくなるので、栄養分のロスが生じるからである。
ここで、柿渋100重量部に対する果汁の配合量が80重量部より少なくなるか植物配糖体の配合量が0.4重量部より少なくなるにつれ、渋味を感じ易くなる傾向がみられ、果汁の配合量が570重量部より多くなるか植物配糖体の配合量が1.3重量部より多くなるにつれ、低温領域において沈殿や濁りが生じ易くなる傾向がみられる。特に、果汁の配合量が620重量部より多くなるか植物配糖体の配合量が3.2重量部より多くなると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
なお、この配合量の数値範囲は、タンニン力価が130の柿渋を基準にしたものであり、用いる柿渋のタンニン力価がこの値より小さい場合は、果汁及び植物配糖体の配合量の数値範囲の上限及び下限は、柿渋のタンニン力価に応じて少なくする必要がある。例えば、用いる柿渋のタンニン力価をAとすれば、果汁及び植物配糖体の配合量の数値範囲の上限及び下限は、各配合量にA/130を乗じた値になる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の飲料組成物であって、前記柿渋100重量部に対し、前記醸造酢150〜600重量部が配合された構成、好ましくは前記柿渋100重量部に対し、前記醸造酢150〜350重量部が配合された構成を有している。
この構成により、請求項2又は3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)醸造酢が所定の割合で配合されているので、酸味が感じられ難く飲み易く嗜好性に優れるとともに、冷蔵庫で保管する場合のような5℃程度の低温領域であっても沈殿や濁りが生じ難く澄んだ飲料を得ることができる。
ここで、柿渋100重量部に対する醸造酢の配合量が150重量部より少なくなるにつれ、低温領域で沈殿や濁りを生じ易くなる傾向がみられ、350重量部より多くなるにつれ、酸味が増すとともに低温領域で沈殿や濁りを生じ易くなる傾向がみられる。特に、600重量部より多くなると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
なお、醸造酢の配合量の数値範囲は、酸度が5重量%の醸造酢を基準にしたものであり、用いる醸造酢の酸度がこの値よりずれている場合は、醸造酢の配合量の数値範囲の上限及び下限は、酸度に応じて増減する必要がある。例えば、用いる醸造酢の酸度をBとすれば、醸造酢の配合量の数値範囲は、上限及び下限の配合量の数値に5/Bを乗じた値になる。
さらに、用いる柿渋のタンニン力価によっても、上述の場合と同様に、増減させる必要がある。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の飲料組成物であって、前記果汁が、りんご果汁である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)りんご果汁のさわやかな酸味が、柿渋の渋味をまろやかにし嫌味を少なくすることができ嗜好性を高めることができるとともに、りんご果汁によって疲労回復効果が得られる。
ここで、りんご果汁としては、りんごの搾汁を4〜8倍に脱水濃縮した濃縮果汁が好適に用いられる。甘味が高いからである。りんご果汁は、ふじ、紅玉、つがる等の栽培種の果実を摘果し、次いで切断又は破砕した後搾汁し、不溶性固形分を濾過によって除去し、得られた混濁果汁を瞬間殺菌し低温真空濃縮することによって得ることができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の飲料組成物であって、前記醸造酢が、柿酢である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)柿酢はミネラル類と有機酸が豊富で、さらに柿に由来する多くのビタミン類とタンニン成分が含まれているので、摂取することで生活習慣病の予防等に有益である。
ここで、柿酢は、例えば、ほぼ完熟した柿を水洗して発酵槽に入れて6ヶ月間程度自然発酵させたものを濾過した後、その濾過液をさらに6ヶ月間以上2次発酵させて製造することができる。また、破砕した柿にアルコール発酵酵母を添加してアルコール発酵させて柿酒を製造し、次いで柿酒に酢酸菌を添加して酢酸発酵させることによって製造することもできる。
柿酢は、酸度が5〜6重量%のものが好適に用いられる。ほぼ完熟した柿を用い水を加えないで発酵させた場合に、この範囲のものが得られるからである。柿酢の酸度が5重量%より低くなるにつれ有機酸等の含有量が低下する傾向がみられ、6重量%より高くなるにつれ原料柿の糖分や種類を厳選しなければならず、原料の入手が困難になり生産性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
以上のように、本発明の飲料組成物によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)摂取した際に、果汁による甘味等によって柿渋の渋味を感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る渋味を丸くして感じ難くすることができ飲み易く嗜好性に優れるとともに柿渋による優れた血圧降下作用及び活性酸素消去作用を享受できる飲料組成物を提供することができる。
(2)水,牛乳,ヨーグルト等の種々の溶媒に溶解させて血圧降下作用及び活性酸素消去作用を発現する飲料を得ることができ、応用性に優れた飲料組成物を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)醸造酢のクエン酸,酢酸等の有機酸等が、疲労根源物質である乳酸をクエン酸回路を介して水と二酸化炭素に分解することによって疲労回復を助け、さらに血液をアルカリ性にして乳酸を蓄積させ難くして疲労が蓄積するのを防止することができるとともに、カルシウムやミネラル分の吸収性を高めることができ体調維持に有益な飲料組成物を提供することができる。
(2)醸造酢の酸味を果汁による甘味等によって感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る酸味も感じ難くすることができ嗜好性に優れるため、有機酸等を豊富に含む醸造酢を多量に摂取することができ体調維持に有益な飲料組成物を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)柿渋の渋味が感じられ難く飲み易く嗜好性に優れるとともに、冷蔵庫で保管する場合のような5℃程度の低温領域であっても沈殿や濁りが生じ難く澄んだ飲料を得ることができ、低温領域で長期間保管した場合でも容器の底に沈殿が付着することがなく商品価値の高い飲料組成物を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加え、
(1)醸造酢の酸味が感じられ難く飲み易く嗜好性に優れるとともに、冷蔵庫で保管する場合のような5℃程度の低温領域であっても沈殿や濁りが生じ難く澄んだ飲料を得ることができ、低温領域で長期間保管した場合でも容器の底に沈殿が付着することがなく商品価値の高い飲料組成物を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)りんご果汁のさわやかな酸味が、柿渋の渋味をまろやかにし嫌味を少なくすることができ嗜好性に優れた飲料組成物を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)柿酢はミネラル類と有機酸が豊富で、さらに柿に由来する多くのビタミン類とタンニン成分が含まれているので、摂取することで生活習慣病の予防等に有益な飲料組成物を提供することができる。
以下、本発明を実験例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
(実験例1)
本実験例における柿渋は以下の方法を用いて製造した。京都府産の天王柿を庄田式圧搾機を用いて搾汁を得、これをプレートヒータを用いて90℃で1分間加熱した後、珪藻土を添加し薮田式濾過圧搾機で濾過して透明な液体を得た。この液体をポリスルホン酸の中空糸モジュールの限外濾過装置を用い50℃に保温しながら3時間循環させて、タンニン力価260の濃縮液を得た。この濃縮液をタンニン力価130になるように加水調整して、これを1年間常温で容器内で静置し、本実験例における柿渋とした。
醸造酢は、以下の方法を用いて製造した。山口県産の熟した横野柿を破砕し酵母を接種し、次いでアルコール発酵菌株を加えて温度30℃でアルコール発酵させた。その後、酢酸菌(アセトバクター)を接種し温度30℃の条件下で撹拌しながら、150時間酢酸発酵させたものを本実験例における醸造酢(果実酢)とした。この醸造酢の酸度は5重量%であった。
加温して85℃にした水600gに醸造酢250g、柿渋150gを加え、撹拌して溶解させて実験例1の飲料1kgを得た。
(実験例2)
本実験例の植物配糖体としては、甘草の根から抽出・精製した結晶物をクエン酸三ナトリウムで増量した甘草抽出物(商品名:グルチミン−C、丸善製薬製)を用いた。
加温して85℃にした水600gに醸造酢250g、柿渋150g、植物配糖体1g(クエン酸三ナトリウムの増量分を除いた甘草抽出物分の重量)を加え、撹拌して溶解させて実験例2の飲料約1kgを得た。
(実験例3)
本実験例の果汁としては、果汁を5倍濃縮した濃縮りんご果汁(商品名:リンゴ濃縮果汁50BX、青森アップルジュース製)を用いた。この果汁のブリックス度は45であった。
果汁400gに水200gを加えたものを85℃に加温して、これに醸造酢250g、柿渋150gを加え、撹拌して溶解させて実験例3の飲料1kgを得た。
(実験例4)
果汁400gに水200gを加えたものを85℃に加温して、これに醸造酢250g、柿渋150g、植物配糖体1gを加え、撹拌して溶解させて実験例4の飲料約1kgを得た。
(実験例5〜47)
所定量の果汁と水とを混合したものを85℃に加温して、これに所定量の醸造酢、柿渋、植物配糖体を加え、撹拌して溶解させて実験例5〜47の飲料約1kgを得た。実験例1〜47の飲料における配合量(g)を(表1)に示す。また(表1)には、実験例1〜47の飲料における柿渋100重量部に対する果汁、植物配糖体、醸造酢の配合量(重量部)も併せて示す。
Figure 2006087337
(飲料の評価)
実験例1〜47の飲料を5℃の冷蔵庫内で冷却し20時間経過後、目視で沈殿の有無を評価した。評価は、沈殿が生じたもの、沈殿はないが濁りが生じたもの、沈殿も濁りも生じないものの3つに分類し、(表1)に、沈殿が生じたものを●、沈殿はないが濁りが生じたもの△、沈殿も濁りも生じないものを○で示した。
次に、10代から50代の各年齢層の男女のサンプラー10名に、実験例1〜47の飲料のうち沈殿が生じなかった飲料を冷蔵庫から出した直後に飲んでもらい、各飲料について渋味及び酸味の有無を評価してもらった。評価は、渋味(又は酸味)が感じられない、やや渋味(又は酸味)が感じられる、渋味(又は酸味)が感じられる、非常に渋味(又は酸味)が感じられるの4つに分類し、10名の平均を(表1)に、渋味(又は酸味)が感じられないものを1、やや渋味(又は酸味)が感じられるものを2、渋味(又は酸味)が感じられるものを3、非常に渋味(又は酸味)が感じられるものを4で示した。
また、傾向を把握するため、沈殿及び渋味の評価結果を図1及び図2に示す。
図1は柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量(重量部)と果汁の配合量(重量部)と渋味の有無に関する図であり、図2は柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量(重量部)と果汁の配合量(重量部)と沈殿の有無に関する図である。なお、図1において、渋味が感じられないもの(1)を○で示し、やや渋味が感じられるもの(2)を△で示し、渋味が感じられるもの(3)を▲で示し、非常に渋味が感じられるもの(4)を●で示した。また、図2おいては表1と同様に、沈殿が生じたものを●、沈殿はないが濁りが生じたもの△、沈殿も濁りも生じないものを○で示した。
図1及び図2から、柿渋100重量部に対する果汁の配合量が80重量部より少なくなるか植物配糖体の配合量が0.4重量部より少なくなるにつれ、渋味を感じ易くなる傾向がみられ、柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量が0.4〜3重量部、かつ、果汁の配合量が80〜600重量部のとき、柿渋の渋味が感じられ難く飲み易いことがわかった(但し、柿渋100重量部に対する醸造酢の配合量が100重量部の実験例35,36,37、柿渋100重量部に対する醸造酢の配合量が400重量部の実験例5を除く)。なお、植物配糖体の配合量と果汁の配合量がともに増えるにつれ沈殿が生じ易くなることがわかった。
また、柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量が0.4〜1.3重量部、かつ、果汁の配合量が80〜570重量部であって、柿渋100重量部に対する醸造酢の配合量が150〜600重量部のとき、渋味をさらに感じ難くなるとともに(但し、柿渋100重量部に対する醸造酢の配合量が400重量部の実験例5を除く。)、沈殿も生じ難くなることがわかった
さらに、柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量が0.4〜1.3重量部、かつ、果汁の配合量が80〜570重量部であって、柿渋100重量部に対する醸造酢の配合量が150〜350重量部のとき、渋味を感じ難く、かつ、沈殿も生じ難い飲料が得られることがわかった。
以上のように、本実験例によれば、摂取した際に、果汁による甘味等によって柿渋の渋味を感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る渋味を丸くして感じ難くすることができ飲み易く嗜好性に優れ、また85℃程度に加温して混合・溶解させるだけで飲料を製造することができ生産性に優れるとともに、加熱温度が低いため、加熱による柿渋の活性低下が生じ難く、柿渋による優れた血圧降下作用及び活性酸素消去作用を享受できる飲料組成物が得られることが明らかになった。また、冷蔵庫で保管する場合のような5℃程度の低温領域であっても沈殿が生じ難い飲料組成物が得られることが明らかになった。
なお、醸造酢として、米,大麦,とうもろこし,酒粕等の穀物及びその加工品を原料とする穀物酢、ぶどう,りんご等の果実を原料とする果実酢を用いて同様の実験を行ったところ、同様の傾向が得られた。また、植物配糖体として、ステビアの葉から抽出されたステビオシド,レバウディオシド等を用いた場合も、同様の傾向が得られた。また、醸造酢を配合せず、柿渋と果汁と植物配糖体とを加温して85℃にした水に溶解させた飲料を作成し、渋味と沈殿について同様の評価を行ったところ、本実験例と同様の傾向が得られた。
本発明は柿渋を含有する飲料組成物に関し、摂取した際に、果汁による甘味等によって柿渋の渋味を感じ難くするとともに、植物配糖体の強い甘味と遅延甘味効果によって、後味として残る渋味を丸くして感じ難くすることができ飲み易く嗜好性に優れ、また混合溶解させるだけで製造することができ生産性に優れるとともに加熱による活性低下が生じ難いので、柿渋による優れた血圧降下作用及び活性酸素消去作用を享受できる飲料組成物を提供できる。
柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量(重量部)と果汁の配合量(重量部)と渋味の有無に関する図 柿渋100重量部に対する植物配糖体の配合量(重量部)と果汁の配合量(重量部)と沈殿の有無に関する図

Claims (6)

  1. 柿渋と、果汁と、植物配糖体と、を含有していることを特徴とする飲料組成物。
  2. 醸造酢を含有していることを特徴とする請求項1に記載の飲料組成物。
  3. 前記柿渋100重量部と、前記果汁80〜620重量部と、前記植物配糖体0.4〜3.2重量部と、を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料組成物。
  4. 前記柿渋100重量部に対し前記醸造酢150〜600重量部が配合されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の飲料組成物。
  5. 前記果汁が、りんご果汁であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の飲料組成物。
  6. 前記醸造酢が、柿酢であることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載の飲料組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010092941A1 (ja) * 2009-02-16 2010-08-19 株式会社 ブルボン 血管拡張作用を有する組成物、製造法および用途
JP2013252118A (ja) * 2012-06-08 2013-12-19 House Foods Group Inc 春ウコン成分含有飲料及び春ウコン成分による風味の調整を行う方法
JP2016015917A (ja) * 2014-07-08 2016-02-01 株式会社ヤクルト本社 グルコサミン含有飲料

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