JP2006087304A - 農業用マルチングフィルムおよび該農業用マルチングフィルムを用いた作物の栽培方法 - Google Patents

農業用マルチングフィルムおよび該農業用マルチングフィルムを用いた作物の栽培方法 Download PDF

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泰一 阪谷
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Abstract

【課題】
抗菌性の持続性に優れた農業用マルチングフィルムを提供する。
【解決手段】
基材層と無機コロイド由来の無機物層とを有し、少なくとも片面が前記無機物層からなる農業用マルチングフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は農業用マルチングフィルムおよび該農業用マルチングフィルムを用いた作物の栽培方法に関する。
農業用マルチングフィルムで被覆した畝で、野菜、花、果樹等の作物を栽培する方法は一般的に行なわれている。農業用マルチングフィルムを用いることにより、該フィルムで覆われた土中の水分の保持、土壌の膨軟性の保持、肥料の流亡防止、地温を維持または上昇させる等の効果があり、これにより作物の初期生育の促進、初期収量の増加、生産の多収安定化等が達成される。
農業用マルチングフィルムとしては、透明フィルムのほか、除草効果を付与した各種着色フィルム(黒色、緑色、紫色等)や害虫忌避および地温上昇抑制を目的とした各種反射性フィルム(銀色、白色等)などが用いられている。
しかしながら農業用マルチングフィルムで被覆された土壌は、その温度や湿度が、ウィルス、細菌類、糸状菌などの繁殖に適した条件となるため、これら病原菌由来の病害が発生するおそれがある。これら病原菌のうち糸状菌は、樹脂を分解し栄養源とすることができるため、土壌たけでなくマルチングフィルム上でも繁殖し、水滴などを媒介として作物に付着し、病害を発生させる。
糸状菌由来の病害としては、ボトリチス菌由来の灰色カビ病、クラドスポリウム菌由来のカビ病、アルタナリア菌由来のスス病などがあげられる。これら病害に対しては、各種の農薬が使用されているが、農薬耐性が生じており、化学農薬による防除には限界が現われ、作物の栽培上大きな問題となっている。また最近では、減農薬、省農薬、無農薬栽培が盛んになってきており、ますます防除が困難になってきている。
糸状菌由来の病害発生を抑制するためのマルチングフィルムとして、特許文献1には、樹木成分を樹脂に練りこんでフィルム化したマルチングフィルムが開示されている。
特開平8−130994号公報
しかしながらこのようなマルチングフィルムでは、樹脂に練りこんだ樹脂成分が揮散しやすく、効果の持続期間が短いという問題があった。
本発明は、抗菌性の持続性に優れた農業用マルチングフィルムを提供するものである。
すなわち本発明は、基材層と無機コロイド由来の無機物層とを有し、少なくとも片面が前記無機物層からなる農業用マルチングフィルムを提供するものである。さらに本発明は、片面が無機物層であり他面が基材層である前記農業用マルチングフィルムを展張した作物栽培用地で作物を栽培する方法であって、前記農業用マルチングフィルムの基材層面が作物栽培用地側となるように該マルチングフィルムを展張する作物の栽培方法を提供するものである。
本発明の農業用マルチングフィルムは、抗菌性の持続性に優れた農業用マルチングフィルムである。また本発明の作物の栽培方法は、作物が病害に冒されにくく、作物の初期生育の促進、初期収量の増加、生産の多収安定化等の効果を奏する栽培方法である。
本発明の農業用マルチングフィルムが有する基材層は、オレフィン系樹脂や生分解性樹脂などの熱可塑性樹脂や、紙などから構成される。オレフィン系樹脂としては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。強度の観点から直鎖状低密度ポリエチレンから構成されることが好ましい。
生分解性樹脂とは微生物によって分解される性質を有する樹脂で、微生物系、化学合成系、天然物系の生分解性樹脂があげられる。入手が容易であることから、化学合成系が好ましく用いられる。化学合成系の生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸類があげられる。このうち、フィルム化した場合の強度面から、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などがあげられる。ダイセル化学工業株式会社製「セルグリーン」(ポリカプロラクトン)、昭和高分子株式会社製「ビオノーレ」(ポリブチレンサクシネート)や、日本触媒製「ルナーレ」(ポリエチレンサクシネート)、三井化学株式会社製「レイシア」(ポリ乳酸)などがあげられる。
本発明の農業用マルチングフィルムは、無機コロイド由来の無機物層を少なくとも片面に有する。無機コロイド由来の無機物層とは、無機コロイドを塗布し乾燥して形成される層である。本発明の農業用マルチングフィルムは、その片面のみが無機コロイド由来の無機物層であってもよく、両面が無機コロイド由来の無機物層であってもよい。
無機コロイドとしては、金属コロイド、酸化物コロイド、水酸化物コロイド、炭酸塩コロイド、硫酸塩コロイドなどが挙げられる。金属コロイドの元素としては、金、パラジウム、白金、銀などが例示される。酸化物コロイド、水酸化物コロイド、炭酸塩コロイド、硫酸塩コロイドの元素としては、それぞれ、珪素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、セリウム、ニッケル、スズなどが例示される。
中でも、酸化物コロイド、水酸化物コロイドが好ましく、特に、珪素またはアルミニウムの酸化物コロイドまたは水酸化物コロイドが、無機コロイドを主成分とする組成物を含む液を塗布して形成される層の安定性、耐久性などの観点から好ましく用いることができる。なお、チタン、亜鉛、鉄、ビスマス、タングステン、チタンストロンチウムなどの光触媒性酸化物を含む無機コロイドは、基材層が熱可塑性樹脂からなる場合には樹脂を劣化させ、耐久性に劣ることがあるため用いないことが好ましい。
無機物層を構成する無機コロイドの平均粒径は、塗工により均一な層を形成しやすいことと、得られるフィルムの光線透過性の観点から、1〜300nmであることが好ましく、さらに10〜300nm、特に20〜100nmであることが好ましい。
無機コロイドは、水、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、キシレンなどの各種溶剤に分散された状態で用いることができる。特に、水が環境保全の面から好ましい。
無機物層を形成するために用いられる無機コロイドは、本発明の目的を損しない範囲で他の成分を種々含んでいてもよく、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの高分子樹脂バインダーや、アルキル基、アルコキシ基および反応性基を有するシラン誘導体なども含み得る。しかしながらマルチングフィルムの表面を形成する無機物層は、実質的に無機コロイド由来の無機物のみで構成されていることが好ましい。なお、実質的に無機コロイド由来の無機物のみで構成されるとは、表面を形成する層において、無機コロイド由来の無機物が該層の全有効成分体積中に占める割合として80%以上、好ましくは90%以上であることを指し、界面活性剤、有機系電解質および無機層状化合物などを含むことができることを意味する。
無機コロイドとしては、例えば、特開平7−53747号公報に記載されている無機コロイド(コロイダルアルミナおよびコロイダルシリカ)および界面活性剤からなる組成物、特開平7−82398号公報に記載されている無機コロイド(コロイダルアルミナおよびコロイダルシリカ)、界面活性剤、有機系電解質および無機層状化合物とを含有する組成物などが好ましく用いられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性などの各種界面活性剤が挙げられる。具体的には、アニオン性界面活性剤としては、カプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、デカン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、炭素原子数6〜10のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
アニオン性界面活性剤を配合する場合、その配合量は、分散媒100重量部に対し0.001〜0.1重量部であることが好ましい。0.001重量部より少ないと充分な界面活性化効果が得られず、0.1重量部より多いと該組成物の取り扱い中に気泡が発生することがある。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、臭化−N−オクタデシルピリジニウム、臭化セチルトリエチルホスホニウムなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の配合量は、通常、分散媒100重量部に対し、0.001〜0.1重量部の範囲となることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤などが挙げられる。非イオン性界面活性剤を配合する場合の配合量は、通常、分散媒100重量部に対し、0.001〜0.1重量部の範囲となることが好ましい。
有機系電解質とは、電離性イオン性基を有する有機化合物のうちで界面活性剤でないものを指す。例えば、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルスルホン酸カリウム、フェニルホスフィン酸ナトリウム、ジエチルリン酸ナトリウムなどが挙げられ、特に、ベンゼンスルホン酸誘導体が好ましい。また、無機コロイドを主成分とする組成物における有機電解質の配合量は、分散媒100重量部に対し、0.0001〜0.01重量部の範囲となることが好ましい。0.0001重量部より少ないと充分な効果が得られず、0.01重量部より多いと電気的バランスが崩れ、他の有効成分に悪影響を及ぼすため好ましくない。
本発明に用いられる無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している無機化合物であり、粒径が5μm以下であることが好ましい。特に、粒径が3μm以下であることが、透明性の面で好ましい。無機層状化合物としては、分散媒に膨潤・へき開するものが好ましく、中でも、膨潤性を有する粘土系鉱物が好ましい。粘土系鉱物はシリカの4面体層の上部に、アルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした8面体層を有する2層構造からなる化合物と、アルミニウムやマグネシウムなどを中心金属にした8面体層を両側から挟んだ3層構造からなる化合物に分類される。前者としては、カオリナイト族、アンチゴライト族などを挙げることができ、後者としては、層間のカチオンの数によって、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族を挙げることができる。特に、水を分散媒とした場合にチキソトロピックな粘性を与えることを特徴とするスメクタイト族が好ましい。
無機層状化合物は、無機コロイドの粘度を制御し、基材への塗工性、定着性を向上させる効果がある。無機コロイドにおける無機層状化合物の配合量は、分散媒100重量部に対し、0.01〜0.5重量部の範囲となることが好ましい。0.01重量部より少ないと充分な塗工性、定着性改良効果が得られず、0.5重量部より多いと透明性が損なわれるので好ましくない。
無機コロイドとしてコロイダルアルミナを使用する場合、陽性に帯電するアルミナ粒子を安定化させる目的で、塩素イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどの陰イオンを対アニオンとして用いることが好ましい。また、用いるコロイダルアルミナはpH2〜6であることが安定性の面から好ましい。
無機コロイドとしてコロイダルシリカを使用する場合、陰性に帯電するシリカ粒子を安定化させる目的で、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンなどの陽イオンを対カチオンとして用いられることが多い。また、用いるコロイダルシリカはpH9〜11であることが安定性の面から好ましい。
本発明における無機コロイドとして、コロイダルアルミナとコロイダルシリカの混合物を併用する場合は、その重量比が電荷のバランスに影響を及ぼしゲル化を生じることがあるため、重量比(コロイダルアルミナ/コロイダルシリカ)が、90/10〜60/40の範囲である。コロイダルアルミナがコロイダルシリカに対し90/10より多いと、無機物層を均一に形成することが困難となる。一方、コロイダルアルミナがコロイダルシリカに対し60/40より少ないと、コロイド溶液中での電荷バランスが崩れてコロイドとしての安定性が失われ、ゲル化して沈殿を生じる。また、この無機コロイドの濃度は、分散媒100重量部に対し、固形分として0.1〜1重量部の範囲であることが塗工性の観点から好ましい。
本発明の農業用マルチングフィルムにおいて、基材層と少なくとも片面を構成する無機コロイド由来の無機物層との間に、前記無機物層を構成する無機コロイドよりも平均粒径の大きい無機コロイド由来の無機物層を設けることが、表層の無機物層と基材層との密着性を改良する観点から好ましい。
本発明のマルチングフィルムにおける基材層の製造方法は特に限定されるものではない。例えは基材層が熱可塑性樹脂フィルムである場合には、インフレーション成形法、T−ダイキャスティング成形法、カレンダー成形法など通常の熱可塑性樹脂フィルムを形成する方法によって製造することができる。中でも、広幅の熱可塑性樹脂フィルムを効率的に製造することができるインフレーション成形法がより好ましい。
基材層は多層であってもよい。基材層として多層の熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、その多層フィルムの成形方法は特に限定されず、例えば、共押出インフレーション成形法、共押出T−ダイキャスティング成形法、押出ララミネーション成形法、ドライラミネーション成形法など通常の多層フィルムの製造方法により製造することができる。中でも、上記と同様の観点において、共押出インフレーション成形法が好ましい。
本発明における基材層として多層の熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、その多層フィルムの層構成は特に限定されず、例えば、2種2層、2種3層、3種3層、2種4層、3種4層、4種4層、2種5層、3種5層、4種5層、5種5層、2種6層、3種6層、4種6層、5種6層、6種6層、一般式でP種Q層(P≦Q、PとQは2以上の自然数)などが可能である。たとえば、無機コロイドを塗布して形成される層との接着を重視する層、フィルムとしての機械的強度を重視する層、成形加工性を付与する層、基材フィルム自身との接着(熱融着、熱圧着)を重視する層、無機フィラーを高濃度含有し輻射線吸収を重視する層、など多様な機能を各層に分担させ複合することができ、本発明のフィルムの多様な品質向上を図る観点から好ましい。2≦Pかつ3≦Q、が好ましく、熱圧着などで基材フィルム同士を再積層する場合などは、2種4層(2種2層を熱圧着などで再積層したもの。以下も同様の意。)、3種6層、4種8層、5種10層、なども強度向上などに効果的であり、好ましい形態である。
熱可塑性樹脂フィルム同士を再積層する工程、無機コロイドを塗布して形成される層を該フィルムの最表層に形成する工程、を経て本発明のマルチングフィルムを製造することにより、再積層することにより、基材となるフィルムの腰(曲げ硬さ)が強くなりしわが発生しにくくなり、続く無機コロイドの塗布をより容易に行なうことができる。さらに、再積層工程が熱圧着による場合には、フィルムの幅方向でのたるみを抑制する効果もあり、無機コロイドの塗布を容易にすることができる。このように予め基材層となるフィルムに腰を付与したり、たるみを除去したりすることで、無機コロイドを塗布して形成される無機物層の欠陥を抑制でき、長期にわたる使用においても該層の剥離などが起こりにくくなり、結果として、糸状菌の発生を長期間にわたって抑制することができる。
無機コロイド由来の無機物層の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、グラビアコーティング方式、リバースコーティング方式、刷毛ロールコーティング方式、スプレーコーティング方式、キッスコーティング方式、ダイコーティング方式、ディッピング/ロール・バーコーティング方式、エアーナイフ方式など、公知の方法から適宜選択することができる。中でも、より均一に層を形成することができることから、グラビアコーティング方式、ディッピング/ロール・バーコーティング方式などが好ましい。
無機コロイド由来の無機物層の厚みは、重量厚みとして、0.01〜10g/m2であることが好ましく、0.05〜2g/m2であることがより好ましい。
本発明の農業用マルチングフィルムの厚みは、フィルム強度の観点から、0.01mm以上であることが好ましい。また、フィルムの被覆作業性などの観点から、0.3mm以下が好ましく、0.02〜0.25mmの範囲がより好ましい。
本発明の農業用マルチングフィルムの基材層が熱可塑性樹脂フィルムである場合、該熱可塑性樹脂フィルムは、通常用いられると同様の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防霧剤、防曇剤、無機フィラー、ワックス、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、顔料、など(例えば「プラスチック及びゴム用添加剤実用便覧」化学工業(1970年)など参照)を含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジアルキルフェノール誘導体や2−アルキルフェノール誘導体などのいわゆるヒンダードフェノール系化合物、フォスファイト系化合物、フォスフォナイト系化合物などの3価のリン原子を含むリン系エステル化合物が挙げられる。さらには、ビタミンE群から選ばれるトコフェロール類が挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。特に色相安定化の観点から、ヒンダードフェノール系化合物とフォスファイト系化合物との併用またはフォスファイト系化合物とビタミンE群から選ばれるトコフェロール類との併用が好ましい。また酸化防止剤の含有量は、0.01〜1重量%が好ましく、0.03〜0.5重量%がより好ましい。
光安定剤としては、例えば、特開平8−73667号公報に記載の構造を有するヒンダードアミン系化合物が挙げられ、具体的には、商品名チヌビン622−LD、キマソーブ944−LD(以上チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ホスタビンN30、VP Sanduvor PR−31(以上クラリアント社製)、サイヤソーブUV3529、サイヤソーブUV3346(以上サイテック社製)などが挙げられる。さらには、特開平11−315067号公報に記載の構造を有する立体障害性アミンエーテル化合物が挙げられ、具体的には、商品名チヌビンNOR371(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。光安定剤の含有量は、目的とする用途に応じて適宜選択され、例えば農業資材として用いる場合には、0.01〜3重量%が好ましく、0.05〜2重量%がより好ましく、特に0.1〜1重量%が好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、目的とする用途に応じて適宜選択され、例えば農業資材として用いる場合には、耐候性付与効果とブルーミング抑制の観点から、0.01〜3重量%が好ましく、0.03〜2重量%がより好ましい。
本発明の農業用マルチングフィルムの両表面が無機物層からなる場合、その使用方法は通常のマルチングフィルムと同様である。本発明の農業用マルチングフィルムの片面が無機物層であり他面が基材層であり、該農業用マルチングフィルムを用いて作物を栽培する場合には、前記農業用マルチングフィルムの基材層面が作物栽培用地側となるように展張した作物栽培用地で作物を栽培することにより、作物が病害、とりわけ糸状菌由来の病害に冒されにくくなり、作物の初期生育の促進、初期収量の増加、生産の多収安定化等の効果を奏する。作物の栽培は土耕栽培であってもよく、水耕栽培であってもよい。前者の場合、作物栽培用地は土壌であり、後者の場合は水である。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<基材層の製造>
エチレン/ブテン−1共重合体(商品名:スミカセンL FR144;住友化学工業製)80重量%、ポリエチレン樹脂(商品名:スミカセン F208−0;住友化学工業製)19.5重量%、光安定剤としてヒンダードアミン系化合物(商品名:キマソーブ944;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.4重量%および酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1重量%からなる熱可塑性樹脂組成物を用いて、加工温度180℃にて、インフレーション成形法により厚みが50μmの熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
<無機コロイドを主成分とする組成物の作製>
水100重量部に対し、コロイダルアルミナ1.84重量部(商品名:アルミナゾル520、固形分濃度20重量%;日産化学工業社性を使用)、コロイダルシリカ0.49重量部(商品名:スノーテックス20、固形分濃度20重量%;日産化学工業社製を使用)、カプリル酸ナトリウム(試薬;東京化成社製)0.013重量部、p−トルエンスルホン酸ナトリウム(試薬;ナカライテスク社製)0.002重量部および無機層状化合物(商品名:スメクトンSA;クニミネ工業社製)を0.09重量部となるように調整して組成物とした。
<コロイダルシリカの調整>
コロイダルシリカ水分散液(商品名:スノーテックス−ZL、平均粒子径70nm、固形分濃度40重量%;日産化学工業社製)を水で希釈し、固形分濃度が10重量%となるように調整した。
<被膜の形成>
上記熱可塑性樹脂フィルムを基材層とし、該基材層の片面にコロナ処理を施した後、無機コロイドを主成分とする組成物を、マイヤーバーを用いて前記コロナ処理面に塗工して乾燥させ、無機コロイドを主成分とする組成物を含む被膜を形成した。マイヤーバーとしては、線径0.2mmφのワイヤー巻き、バー長さ4500mm、バー径16mmφのものを用いた。また、被膜の重量厚みが0.2g/m2となるように調整した。乾燥条件は、ドライヤーの風温60℃、風速18m/秒であった。
上記工程に続いて、無機コロイドを主成分とする組成物を含む被膜の上に、コロイダルシリカの水分散液をプレーンバーを用いて塗工して乾燥させ、片面がコロイダルシリカ由来の無機物層からなる農業用マルチングフィルムを得た。プレーンバーとしては、表面粗さ(最大径と最小径の差)6μm以下、バー長さ4500mm、バー径16mmφのものを用いた。また、被膜の重量厚みが0.2g/m2となるように調整した。乾燥条件は、ドライヤーの風温60℃、風速18m/秒であった。
<評価1>
アルタナリア菌、クラドスポリウム菌を用いて、試験を行った。
サブロー寒天培地上に前記片面がコロイダルシリカ由来の無機物層からなる農業用マルチングフィルムを基材層面を寒天培地側にして静置した。該フィルムの無機物層側にアルタナリア菌を接触させ、23℃、50%RHの環境下で7日間培養し、繁殖状態を顕微鏡にて観察し、コロニー数を計測し、以下の判定基準で評価した。結果を表1に示す。
+++:16個以上、++:6〜15個、+:1〜5個、−:0個
<評価2>
前記片面がコロイダルシリカ由来の無機物層からなる農業用マルチングフィルムを、千葉県市原市の農場において展張し、トマトを栽培した。展張の際には、前記農業用マルチングフィルムの基材層面を、栽培用地である土壌側にして展張した。4ヶ月経過時点での、フィルム外観、およびフィルム上のアルタナリア菌、クラドスポリウム菌の生育状況を観察し、評価1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1で作製した基材層のみを用いて、実施例1の評価1、評価2と同様の評価を行なった。結果を表1、2に示す。
Figure 2006087304
Figure 2006087304

Claims (5)

  1. 基材層と無機コロイド由来の無機物層とを有し、少なくとも片面が前記無機物層からなる農業用マルチングフィルム。
  2. 基材層が熱可塑性樹脂からなる請求項1に記載の農業用マルチングフィルム。
  3. 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である請求項2に記載の農業用マルチングフィルム。
  4. 熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である請求項2に記載の農業用マルチングフィルム。
  5. 片面が無機物層であり他面が基材層である請求項1〜4のいずれかに記載の農業用マルチングフィルムを展張した作物栽培用地で作物を栽培する方法であって、前記農業用マルチングフィルムの基材層面が作物栽培用地側となるように該マルチングフィルムを展張する作物の栽培方法。

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