JP2006086280A - SiOC膜の形成方法およびSiOC膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】 配線間に層間絶縁層として好適に用いることができるSiOC膜の形成することができるSiOC膜の形成方法およびSiOC膜を提供することにある。
【解決手段】 本発明のSiOC膜の形成方法は、
(a)基体上にシリコーンポリマー膜を形成する工程と、
(b)前記シリコーンポリマー膜に高エネルギー線を照射することによりSiOC膜に変える工程と、
(c)前記第2の膜に脱水処理を施す工程と、を含む。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明のSiOC膜の形成方法は、
(a)基体上にシリコーンポリマー膜を形成する工程と、
(b)前記シリコーンポリマー膜に高エネルギー線を照射することによりSiOC膜に変える工程と、
(c)前記第2の膜に脱水処理を施す工程と、を含む。
【選択図】 図2
Description
本発明は、SiOC膜の形成方法およびSiOC膜に関する。
近年の半導体装置の集積度の増大に伴い、多層配線化の要請が高まっている。この多層配線化に伴い、集積回路の配線間隔は減少し、配線間の容量増大に伴う配線遅延が集積回路の高速化の妨げになることがある。この配線間の容量の低減を図るために、配線間に低誘電率の層間絶縁層を設けるという試みがなされている。
このような低誘電率の層間絶縁層を形成するための材料としては、特開平10−74756号公報や、特開2001−354771号公報に開示されている技術が挙げられる。特開平10−74756号公報には、SiOF膜を形成する技術が開示されている。また、特開2001−354771号公報には、有機シリコン結合を有するシロキサン原料を用いて低誘電率の層間絶縁層を形成する技術が開示されている。
特開平10−74756号公報
特開2001−354771号公報
しかし、SiOF膜は、通常、酸化シリコン膜にフッ素をドーピングすることで形成される。この技術では、フッ素のドープ量によっては、熱的安定性または吸湿性が劣化してしまい、結果的に低比誘電率の層間絶縁層を形成するのが、困難なことがある。また、シロキサン原料を用いた層間絶縁層の形成では、熱処理工程において、膜中の溶媒成分の脱ガス現象が発生する。この脱ガス現象により、コンタクトホールに金属膜を埋め込む際の埋め込み不良を発生することがある。
本発明の目的は、配線間に設けられる層間絶縁層として好適に用いることができるSiOC膜の形成することができるSiOC膜の形成方法およびSiOC膜を提供することにある。
本発明のSiOC膜の形成方法は、
(a)基体上にシリコーンポリマー膜を形成する工程と、
(b)前記シリコーンポリマー膜に高エネルギー線を照射することによりSiOC膜に変える工程と、
(c)前記SiOC膜に脱水処理を施す工程と、
を含む。
(a)基体上にシリコーンポリマー膜を形成する工程と、
(b)前記シリコーンポリマー膜に高エネルギー線を照射することによりSiOC膜に変える工程と、
(c)前記SiOC膜に脱水処理を施す工程と、
を含む。
本発明のSiOC膜の形成方法によれば、低誘電率であり、耐湿性に優れたSiOC膜を形成することができる。そのため、本発明により得られるSiOC膜は、高集積化が図られた半導体装置の層間絶縁層として好適に用いることができる。
なお、SiOC膜とは、炭素含有酸化シリコン膜のことであり、特に、本発明では、シリコーンポリマー膜のSi−R結合の一部をSi−O結合に置き換えた組成を有する膜のことをいう。
本発明は、さらに、下記の態様をとることができる。
本発明のSiOC膜の形成方法において、
前記高エネルギー線は、紫外線および電子線の少なくとも1種であることができる。
前記高エネルギー線は、紫外線および電子線の少なくとも1種であることができる。
この態様によれば、シリコーンポリマー膜中のSi−R(Rはアルキル基)結合の一部をSi−O結合に変えてSiOC膜に変える工程を効率よく行うことができる。
本発明のSiOC膜の形成方法において、前記(b)は、酸素を含む雰囲気で行われることができる。
この態様によれば、たとえば、高エネルギー線として紫外線を照射する場合に特に利点がある。酸素を含む雰囲気下で所定の波長の紫外線を照射することにより、酸素ラジカルやヒドロキシラジカルなどの活性酸素を発生させることができる。この活性酸素は、Si−C結合のCと置換してSi−O結合を生じさせることができるのである。そのため、より効率良くSi−O結合を有するSiOC膜を形成することができる。
本発明のSiOC膜の形成方法において、前記シリコーンポリマー膜は、オルガノシロキサン結合を有するシリコーンモノマーおよび/またはシリコーンオリゴマーをプラズマ重合により重合することにより形成されることができる。
本発明のSiOC膜の形成方法において、前記プラズマ重合は、低圧プラズマ重合であることができる。
この態様によれば、シロキサン結合の開裂に基づくシリコーンポリマー膜中へのシラノール基の混入を抑制することができる。そのため、誘電率の低下や水の含浸を抑制することができる。
本発明のSiOC膜の形成方法において、前記シリコーンモノマーおよび/またはシリコーンオリゴマーは、常温で液体であることができる。
この態様によれば、原料の取り扱いが容易であるという利点を有する。
本発明のSiOC膜の形成方法において、前記シリコーンモノマーおよび/またはシリコーンオリゴマーは、下記一般式(1)および下記一般式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種であることができる。
本発明のSiOC膜の形成方法において、前記シリコーンポリマー膜を形成した後に、該シリコーンポリマー膜が分解する温度より低い温度で熱処理することができる。
本発明にかかるSiOC膜は、上述した本発明にかかる形成方法によって得られる。このSiOC膜は、低誘電率かつ耐湿性の向上した絶縁膜であるため、半導体装置の層間絶縁層として好適に用いることができる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら、各工程につきそれぞれ説明する。
1.工程(a):成膜装置およびシリコーンポリマー膜の形成
工程(a)では、基体の上にシリコーンポリマー膜を形成する。まず、シリコーンポリマー膜をプラズマ重合を用いて成膜するための成膜装置について説明する。
工程(a)では、基体の上にシリコーンポリマー膜を形成する。まず、シリコーンポリマー膜をプラズマ重合を用いて成膜するための成膜装置について説明する。
プラズマ重合によるシリコーンポリマー膜の成膜は、例えば図1に示す成膜装置40によって行われる。成膜装置40は、真空ポンプ52を備えるチャンバー42を有する。チャンバー42の内部には、その下部に基体28を載置する処理ステージ50が備えられている。処理ステージ50は、温度調節可能に形成されることが好ましい。また、チャンバー42の上部には絶縁体44を介して高周波電極46が備えられている。高周波電極46は、高周波電源48に接続されている。
さらに、チャンバー42には、前述したシリコーン原料を供給する原料ガス供給手段70と、成膜を促進させるためのキャリアガス、たとえば、アルゴンガスや窒素ガスを供給するキャリアガス供給手段54とが接続されている。原料ガス供給手段70は、原料58を収納する容器56と、容器56を加熱するヒータ60とを有し、流量制御弁62を介在させる原料供給経路66によりチャンバー42に接続されている。また、キャリアガス供給手段54は、流量制御弁62を介在させるキャリアガス供給経路64によりチャンバー42に接続されている。チャンバー42は、アース部68によって接地されている。キャリアガスとしては、アルゴンガスや窒素ガスを例示したが、これに限定されず、不活性なガスであり、かつ、その雰囲気下でプラズマを発生させることができるガスであればよい。
このような成膜装置40による成膜処理は、まず基体28を処理ステージ50の上に配置する。このとき処理ステージ50の温度調節が可能であれば、基体28を常温以上(例えば25〜400℃)に保持するようにして、シリコーンポリマーの重合を促進させることもできる。このときにチャンバー42内の圧力は、シラノール基(−SiOH)がシリコーンポリマー膜中に導入されないように調整する。具体的には、チャンバー42内の圧力は、たとえば、10Pa以下にすることができる。好ましくは、2.7〜6Paの範囲である。チャンバー42内の圧力が上記の範囲内であるとき、シリコーンポリマー膜中にシラノール基が導入されることを抑制することができる。その結果、シリコーンポリマー膜への水の含浸を抑制でき、また、最終的に得られるSiOC膜の誘電率を低下させることができる。
次に、上記のような条件に設定された成膜装置40を用いて、プラズマ重合反応によりシリコーンポリマー膜の成膜を行う。シリコーン原料58として常温で液体として存在するもの、例えばオクタメチル、ヘキサメチルトリシロキサンなどを使用することができる。シリコーン原料58をヒータ60で加熱することによりガス化させ原料供給経路66を介して、チャンバー42に導入させる。
ガス化した原料をチャンバー42に導入させる際、原料供給経路66に図示しないヒータを設け、再び加熱した後に導入させるようにしても良い。同時にキャリアガスもキャリアガス供給経路64を介して、チャンバー42へ導入させる。
その後、高周波電極46によりチャンバー42の内部に高周波電圧を印加させることにより、シリコーン原料のガスが電離してプラズマ化され、基体28の表面で重合することで、シリコーンポリマーが形成される。このようにプラズマ重合によりシリコーンポリマーを形成することで、基体50上にシリコーンポリマー膜16を形成することができる。
上記のシリコーンポリマー膜の形成に用いられるシリコーン原料としては、下記一般式で示す化合物を用いることができる。
前記一般式(1)、(2)において、R1〜R10としては、例えば、メチル基,エチル基などのアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基などを挙げることができる。中でも、アルキル基、特に次数に低い基(たとえばメチル基)を有する化合物であることが好ましい。これは、R1〜R10がメチル基であるときSi−CH3結合をSiOC膜に導入することができるためである。Si−CH3結合は、熱的に安定であるために、後の工程(c)の脱水処理の加熱を高い温度で行うことができる。その結果、脱水処理を良好に行うことができるという利点がある。
前記一般式(1)で示される化合物としては、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、デカメチルペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサンなどを例示できる。
2.工程(b)
工程(b)では、上記工程(a)で形成されたシリコーンポリマー膜に高エネルギー線の照射して、SiOC膜に変える。この工程(b)は、酸素を含む雰囲気で行われることが好ましい。このときの酸素の量は、特に制限がある訳ではなく、高エネルギー線の照射が行われる雰囲気中に存在していればよい。詳しくは後述するが、この工程(b)では、活性酸素が存在している場合、SiOC膜の形成をスムーズに行うことができる。そのため、酸素を含有した雰囲気で行うと、その酸素が活性酸素の供給源として積極的に働くという利点があるのである。高エネルギー線照射の雰囲気中で、酸素分圧は、0.1Pa以上であることが好ましい。この場合、紫外線の照射により発生するオゾンや活性酸素により、シリコーンポリマー膜内の有機不純物を確実に除去することができる。
工程(b)では、上記工程(a)で形成されたシリコーンポリマー膜に高エネルギー線の照射して、SiOC膜に変える。この工程(b)は、酸素を含む雰囲気で行われることが好ましい。このときの酸素の量は、特に制限がある訳ではなく、高エネルギー線の照射が行われる雰囲気中に存在していればよい。詳しくは後述するが、この工程(b)では、活性酸素が存在している場合、SiOC膜の形成をスムーズに行うことができる。そのため、酸素を含有した雰囲気で行うと、その酸素が活性酸素の供給源として積極的に働くという利点があるのである。高エネルギー線照射の雰囲気中で、酸素分圧は、0.1Pa以上であることが好ましい。この場合、紫外線の照射により発生するオゾンや活性酸素により、シリコーンポリマー膜内の有機不純物を確実に除去することができる。
また、高エネルギー線の積算照射量については、たとえば、高エネルギー線として、紫外線を用いる場合、膜表面における積算光量は、1000〜10000mJ/cm2である。積算光量が、上記の範囲内である場合、シリコーンポリマー膜中のSi−R基の脱離やシラノール基の導入による誘電率の増加や脱ガス減少の低減を図ることができる。
紫外線としては、Xeエキシマランプなどにより波長242nm以下の紫外線を照射することが好ましい。酸素を含む雰囲気下で波長が242nm以下の紫外線を用いる場合、活性酸素を発生させることができ、SiOC膜を良好に形成することができるためである。
この高エネルギー線の照射により、シリコーンポリマー膜からSiOC膜に変わるメカニズムについては、明らかではないが以下のように考えられる。以下の説明では、紫外線を用いた場合を例として説明する。高エネルギー線の照射雰囲気中またはシリコーンポリマー膜中に存在する酸素分子は、紫外線のエネルギーを吸収して、酸素ラジカルやヒドロキシラジカルなどの活性酸素に変化する。この活性酸素は、シリコーンポリマー膜中の有機基(たとえば、シリコーン原料が有するアルキル基などの有機基)をシラノール基に変える。このとき、全ての有機基をシラノール基に変えることはなく、有機基が部分的に残存していることになる。その後、シラノール基同士が、脱水反応を起こし、シロキサン結合を形成して架橋する。このようにして、炭素が含まれた酸化シリコン膜、すなわち、SiOC膜を形成することができる。
また、この高エネルギー線の照射により、SiOC膜中に架橋構造を形成することができ、強度や、界面密着性の向上や、濡れ性の向上をも図ることができる。
3.工程(c)
工程(c)では、得られたSiOC膜に脱水処理を施す。この脱水処理は、たとえば、加熱をすることで行うことができる。加熱により脱水処理を行う場合、その最低温度は、水の沸点である。たとえば、大気圧下で脱水処理を行う場合には、100℃以上の温度に加熱する必要がある。また、加熱処理の上限となる温度は、SiOC膜中のSi−R結合(Rは、1価の有機基である)が切断されない温度である。上述の範囲で加熱処理を行うことにより、工程(b)で形成されたSiOC膜中の水を除去することができる。SiOC膜中の水を除去することにより、親水性の成分を低減することができ耐湿性を向上させることができる。その結果、誘電率の低下および耐湿性の向上した膜を得ることができる。
工程(c)では、得られたSiOC膜に脱水処理を施す。この脱水処理は、たとえば、加熱をすることで行うことができる。加熱により脱水処理を行う場合、その最低温度は、水の沸点である。たとえば、大気圧下で脱水処理を行う場合には、100℃以上の温度に加熱する必要がある。また、加熱処理の上限となる温度は、SiOC膜中のSi−R結合(Rは、1価の有機基である)が切断されない温度である。上述の範囲で加熱処理を行うことにより、工程(b)で形成されたSiOC膜中の水を除去することができる。SiOC膜中の水を除去することにより、親水性の成分を低減することができ耐湿性を向上させることができる。その結果、誘電率の低下および耐湿性の向上した膜を得ることができる。
本実施の形態のSiOC膜の形成方法によれば、低誘電率であり耐湿性が向上したSiOC膜を形成することができる。このSiOC膜を半導体装置の層間絶縁層として用いることで、配線層容量の低減が実現された半導体装置を形成することができる。
4.実験例および実施例
以下に、本実施の形態の発明の効果を示す実験例および実施例について述べる。
以下に、本実施の形態の発明の効果を示す実験例および実施例について述べる。
4.1.実験例
本実験例では、工程(a)、(b)を経て得られたSiOC膜の赤外線吸収スペクトルを測定し、シリコーンポリマー膜からSiOC膜に変わっていることを確認した。この実験例では、シリコンウエハを基体として用いて、このシリコンウエハの上にオクタメチルトリシロキサンを原料として、下記の成膜条件に従い、シリコーンポリマー膜を形成した。
本実験例では、工程(a)、(b)を経て得られたSiOC膜の赤外線吸収スペクトルを測定し、シリコーンポリマー膜からSiOC膜に変わっていることを確認した。この実験例では、シリコンウエハを基体として用いて、このシリコンウエハの上にオクタメチルトリシロキサンを原料として、下記の成膜条件に従い、シリコーンポリマー膜を形成した。
RF周波数:13.56MHz
RF出力:300W
シリコーン原料−アルゴン混合ガス流量:20sccm
このようにして得られたシリコーンポリマー膜をホットプレート上で200℃で2分間アニールした。ここまでの工程により形成されたシリコーンポリマー膜の膜厚をX線反射率測定装置(理学電機製「ATX−G」)により評価したところ、膜厚は225nmであった。
RF出力:300W
シリコーン原料−アルゴン混合ガス流量:20sccm
このようにして得られたシリコーンポリマー膜をホットプレート上で200℃で2分間アニールした。ここまでの工程により形成されたシリコーンポリマー膜の膜厚をX線反射率測定装置(理学電機製「ATX−G」)により評価したところ、膜厚は225nmであった。
次に、得られたシリコーンポリマー膜に対して、露点−30℃の乾燥窒素雰囲気においてエキシマランプで波長172nmの紫外線を照射し、SiOC膜を形成した。なお,乾燥窒素中の02濃度は8ppmであった。この実験例では、紫外線の照射時間を制御することで、積算照射光量が0mJ/cm2(照射時間0分)、2400mJ/cm2(照射時間2分)、6000mJ/cm2(照射時間5分)、24000mJ/cm2(照射時間20分)の4種類の条件で形成されたSiOC膜を得た。得られたSiOC膜の赤外線吸収スペクトル(測定装置:デジラボ社製 FTS7000)を図2に示す。
図2から分かるように、積算照射光量が増加していくにつれて、シリコーンポリマー膜中のCH3基、Si−CH3結合の存在を示すピークが小さくなり、Si−O−Si結合、Si−OH結合の存在を示すピークが増加している。これにより、この紫外線照射により、シリコーンポリマー膜からSiOC膜に変化していることが確認された。また、紫外線の照射時間により炭素の含有割合を制御できることも確認された。
また、本実験例で得られたSiOC膜の弾性率および硬度を図3に示す。図3では、紫外線照射時間を横軸とし、弾性率および硬度を縦軸にとったグラフである。なお、弾性率および硬度は、ナノインデンテーション装置(測定装置:ハイジトロン社製 トライボスコープ)により測定した。図3から分かるように、積算照射光量の増加していくにつれて、硬度および弾性率が向上していることが確認された。
4.2.実施例
次に、本願実施例にかかるSiOC膜を形成して、各種評価を行った。
次に、本願実施例にかかるSiOC膜を形成して、各種評価を行った。
工程(a):実施例1では、基体として、シリコンウエハ上に800nmの膜厚のアルミニウムのスパッタ膜が形成されたシリコンウエハを用いた。この基体の上に、上記の実験例と同様にして、シリコーンポリマー膜を形成した。得られたシリコーンポリマー膜の膜厚は、223nmであった。
工程(b):ついで、シリコーンポリマー膜に対して、露点−30℃の乾燥窒素雰囲気においてエキシマランプで波長172nmの紫外線を1分間照射し、SiOC膜を形成した。膜表面での紫外線照射光量は1200mJ/cm2であった。なお,乾燥窒素中の02濃度は8ppmであった。
工程(c):次に、工程(b)で得られたSiOC膜に対して脱水処理を施した。脱水処理は、昇温脱離測定装置(ベース真空度7×10―8Pa)にて、320℃で8分間加熱した。以上の工程により、実施例1にかかるSiOC膜を得た。
実施例2では、工程(b)の紫外線照射の時間が、2分間である以外は、実施例1と同様にして、実施例2にかかるSiOC膜を得た。
工程(a):実験例と同様にして、ステンレス板の上に、シリコーンポリマー膜を形成した。このシリコーンポリマー膜の膜厚は、225nmであった。
工程(b):紫外線の照射時間が5分間である以外は、実施例1の工程(b)と同様に行いSiOC膜を得た。このときの紫外線照射光量は、6000mJ/cm2であった。
工程(c):次に、工程(b)で得られたSiOC膜に対して、大気雰囲気にて、300℃で、10分間加熱した。以上の工程により、実施例3にかかるSiOC膜を得た。
実施例4では、実施例3の工程(c)の加熱温度が450℃である以外は、実施例3と同様に行い、実施例4にかかるSiOC膜を得た。
(評価)
実施例1〜4にかかるSiOC膜について、誘電率の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、測定装置は、HP社製4285ALCRメータであった。
実施例1〜4にかかるSiOC膜について、誘電率の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、測定装置は、HP社製4285ALCRメータであった。
図4に、実施例3,4にかかるSiOC膜の赤外線吸収スペクトルを示す。なお、図4には、参考のために、工程(a)を終えた形成されたシリコーンポリマー膜およびこのシリコーンポリマー膜に乾燥空気(ドライエア)中で紫外線を5分間照射した膜の赤外線吸収スペクトルを併せて示す。
図4から分かるように、シリコーンポリマー膜には、CH3基、Si−CH3結合およびSi−0−Si結合が含まれていることが確認できた。そして、工程(b)の紫外線照射によりCH3基,Si−CH3結合量が減少するとともに,Si−OH基と水が膜に導入されることが確認できた。さらに、工程(c)の加熱処理により、CH3基、Si−CH3結合量を減少させることなく、Si−OH基と水がほぼ消失することが確認できた。すなわち,この加熱処理により誘電率の低いSi−CH3基を脱離させることなく,誘電率を増加させる水やSi−OH基を除去することができることが確認された。
次に、実施例3,4にかかるSiOC膜について耐湿性の評価を行った。耐湿性の評価は、次のようにして行った。まず、実施例3,4にかかるSiOC膜と、参考のために、シリコーンポリマー膜に乾燥空気(ドライエア)中で紫外線を5分間照射した膜を準備し、これらの赤外線吸収スペクトルを測定した。その後、これらの膜を90℃の純水浴に入れ、10時間煮沸をした。この煮沸処理を終えた後に、再び赤外線吸収スペクトルの測定を行った。図5に得られた赤外線吸収スペクトルを示す。図5から明らかなように、工程(c)の有無および加熱温度の上昇により、純水煮沸処理後にSiOC膜中に含有される水分量が少ないことが分かる。このことは、工程(c)により、SiOC膜中の水分やシラノール等の親水成分が低減されたので、純水浴中の水がSiOC膜内部に吸湿されることが抑制されたことによる。すなわち、紫外線照射後の脱水処理によって,SiOC膜に耐吸湿性を向上できることが確認された。
以上の実施例および実験例から、本発明のSiOC膜は、低誘電率であり、耐湿性や強度にも優れた膜であることを確認することができた。
なお、本発明は、上述の実施の形態、実施例に限定されることなく、本発明の要旨の範囲内で変更が可能である。
16 SiOC膜、 28 基体、 40 成膜装置、 42 真空チャンバー、 50 処理ステージ、 70 原料供給ガス供給手段。
Claims (9)
- (a)基体上にシリコーンポリマー膜を形成する工程と、
(b)前記シリコーンポリマー膜に高エネルギー線を照射することによりSiOC膜に変える工程と、
(c)前記SiOC膜に脱水処理を施す工程と、
を含む、SiOC膜の形成方法。 - 請求項1において、
前記高エネルギー線は、紫外線および電子線の少なくとも1種である、SiOC膜の形成方法。 - 請求項1または2において、
前記(b)は、酸素を含む雰囲気で行われる、半導体装置の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記工程(a)は、オルガノシロキサン結合を有するシリコーンモノマーおよび/またはシリコーンオリゴマーをプラズマ重合により重合することによりシリコーンポリマー膜を形成する、SiOC膜の形成方法。 - 請求項4において、
前記プラズマ重合は、低圧プラズマ重合である、SiOC膜の形成方法。 - 請求項4または5において、
前記シリコーンモノマーおよび/またはシリコーンオリゴマーは、常温で液体である、SiOC膜の形成方法。 - 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
前記シリコーンポリマー膜を形成した後に、該シリコーンポリマー膜が分解する温度より低い温度で熱処理する、SiOC膜の形成方法。 - 基体上に、請求項1ないし8のいずれかに記載の形成方法によって形成されたSiOC膜。
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