JP2006084111A - 冷却庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】 冷凍機の発生した冷熱を二次冷媒を介して冷却器に伝えるにあたり、冷熱が二酸化炭素の三相点以下であっても冷却器に伝えられるようにする。
【解決手段】 冷却庫1は、断熱筐体10の中に冷蔵室20、冷凍室30、及びスターリング冷凍機50を収納した機械室40を備える。スターリング冷凍機50の放熱部51で生成された熱は高温側二次冷媒循環回路60によって高温側凝縮器62に伝えられ、吸熱部52で生成された冷熱は低温側二次冷媒循環回路70によって冷却器である低温側蒸発器72に伝えられる。低温側二次冷媒循環回路70には、二次冷媒として、二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物が封入されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は二次冷媒循環回路を介して庫内の冷却を行う冷却庫に関し、更に詳しくは二次冷媒に関する。「冷却庫」とは、食品その他の物品の温度を下げる装置全般を指す概念であり、「冷蔵庫」「冷凍庫」「冷凍冷蔵庫」といった商品としての名称を問わない。
冷凍機によって生成された冷熱を冷却庫内の冷却器に伝えるのに、二次冷媒を用いることがある。すなわち冷凍機の低温部に装着された凝縮器と冷却器の間に二次冷媒の循環回路を形成し、凝縮器により熱を奪われた二次冷媒を冷却器に送り、冷却器から熱を奪った二次冷媒を凝縮器に帰還させるというサイクルを繰り返し、これにより庫内を冷却するものである。このように構成した冷却庫の例を特許文献1に見ることができる。
特開2004−20056号公報(第5頁−第7頁、図1−図2)
冷凍機がスターリング冷凍機である場合、一般のコンプレッサ型冷凍機では到達不可能な低温の冷熱を生成することができる。この冷熱を冷却器に伝える二次冷媒として、従来は二酸化炭素が用いられていたが、二酸化炭素は三相点(気相、液相、固相が共存する点)の温度がマイナス56.6℃であるため、それ以下の冷熱をスターリング冷凍機が生成したとしても、それを冷却器に伝えることができない。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、二次冷媒の工夫により、冷凍機が生成した、二酸化炭素の三相点以下の冷熱を冷却器に伝えられるようにすることを目的とする。
(1)上記目的を達成するために本発明は、二次冷媒循環回路を介して冷熱を冷却器に伝え庫内を冷却する冷却庫において、前記二次冷媒循環回路に封入する二次冷媒として二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物を用いることを特徴としている。
この構成によると、二酸化炭素単体を二次冷媒として用いる場合に比べ、二次冷媒の三相点が大幅に下がるので、二酸化炭素の三相点以下の温度の冷熱を冷却器に伝え、庫内を極低温に冷却できる。また炭化水素系冷媒は地球温暖化係数が小さく、万一漏れたとしても環境に大きな悪影響を与えない。しかも純二酸化炭素を用いる場合より低い作動圧力で運転できるようになり、圧力気体の封止という設計課題が軽減される。
(2)また本発明は、上記構成の冷却庫において、前記二次冷媒を二次冷媒循環回路に封入するに際し、単体冷媒を臨界温度の高い順に封入することを特徴としている。
温度が同じのとき、臨界温度の高い冷媒は臨界温度の低い冷媒よりも圧力が低い。臨界温度の低い冷媒を先に封入すると二次冷媒循環回路の中の圧力が上がってしまい、臨界温度の高い冷媒を後から封入するのが難しくなるが、このように臨界圧力の高い順に冷媒を封入すれば、そのような問題はない。
(3)また本発明は、上記構成の冷却庫において、前記冷熱がスターリング冷凍機で生成された冷熱であることを特徴としている。
この構成によると、スターリング冷凍機の能力を最大限に発揮させて作り出した冷熱を冷却器に伝え、極低温の冷却能力を備えた冷却庫とすることができる。
本発明によると、二次冷媒循環回路を介して冷熱を冷却器に伝えるにあたり、二次冷媒として二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物を採用することにより、二酸化炭素の三相点以下の温度の冷熱を冷却器に伝えて、冷却庫の庫内を極低温に冷却できる。冷凍機がスターリング冷凍機である場合には、その持てる能力を最大限に発揮させ、極低温の冷却能力を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態を図1−図4に基づき説明する。図1は冷却庫の垂直断面図、図2は冷却サイクルの概略構成図、図3は二次冷媒の流れ方の説明図、図4は二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物の特性を示す表である。
冷却庫1は食品保存用であり、断熱筐体10が本体を構成する。断熱筐体10の内部は水平仕切壁11によって上下2段に仕切られており、上段は冷蔵室20及び解凍室25、下段は冷凍室30という設定になっている。冷蔵室20及び解凍室25と、冷凍室30とは、共に正面(図1において左側)が食品を出し入れするための開口部となっており、この開口部を断熱扉21、31が閉ざす。
冷蔵室20の内部には複数の棚板22が設けられている。冷蔵室20の最下部に隣接して断熱構造の解凍室25がある。解凍室25は、冷蔵室20と断熱扉21を共有する他、独自の断熱扉26も備えている。
冷凍室30には計4個の冷凍容器32a、32b、32c、32dが上下に重なる形で収納されている。冷凍容器32a、32b、32c、32dはそれぞれ両側縁部によって冷凍室14の内面に支持されており、前方にスライドさせて引き出すことができる。
断熱筐体10の背面中央部には機械室40が形成される。機械室40は板金製の部品を組み合わせて構成された直方体形状の構造物であり、背面側が開口している。この機械室40の中にスターリング冷凍機50が収納される。機械室40は冷蔵室20と冷凍室30の間の高さに置かれている。
スターリング冷凍機50を設置した後、機械室40の背面側開口を蓋44で閉ざす。蓋44には、後述する高温側凝縮器を冷却する空気を取り入れるための通風口45と、後述する空冷ダクトの出口を接続するための開口47が形成されている。
スターリング冷凍機50の一部は放熱部51となり、ここに高温側蒸発器61が取り付けられる(図2参照)。放熱部51と高温側蒸発器61は互いの間で熱を授受する状態、すなわち熱接続された状態にある。
スターリング冷凍機50の上には高温側凝縮器62が設置される。高温側蒸発器61と高温側凝縮器62とは二次冷媒配管で接続され、高温側の二次冷媒循環回路60を構成する。二次冷媒循環回路60には水(水溶液を含む)あるいは炭化水素系の冷媒を密封する。高温側蒸発器61は中空リングを二つに割って合わせた形状であり、半割のリングのそれぞれの内部は互いに独立した蒸発室61aとなっている(図3参照)。
スターリング冷凍機50の他の一部は吸熱部52となり、ここに低温側凝縮器71が取り付けられる(図2参照)。吸熱部52と低温側凝縮器71は互いの間で熱を授受する状態、すなわち熱接続された状態にある。
冷凍室30の奥には冷却器である低温側蒸発器72が設置される。低温側凝縮器71と低温側蒸発器72とは二次冷媒配管で接続され、低温側の二次冷媒循環回路70を構成する。二次冷媒循環回路70に封入する二次冷媒については後述する。低温側凝縮器71は単一の中空リング形状であり、内部は凝縮室71aとなっている(図3参照)。
高温側凝縮器62は、銅や銅合金、アルミなど熱伝導の良い金属からなるパイプを折り曲げ、これに、同じく熱伝導の良い金属からなる多数の放熱フィン63を取り付けた構造である。低温側蒸発器72も同様に、銅や銅合金、アルミなど熱伝導の良い金属からなるパイプを折り曲げたうえで熱伝導の良い金属からなる多数の吸熱フィン73を取り付けた構造である。
図3に見られるように、高温側蒸発器61の2個の蒸発室61aからはそれぞれ往路側二次冷媒配管64が導出される。2本の往路側二次冷媒配管64は高温側蒸発器61の外で合流し、1本のパイプとなって高温側凝縮器62に接続される。高温側凝縮器62からは復路側二次冷媒配管65が戻ってくるが、この復路側二次冷媒配管65も高温側蒸発器61の手前で分岐して2本のパイプとなり、そのパイプが1本ずつ蒸発室61aに接続される。
断熱筐体10の内部には、背面側の内壁に沿って垂直方向に延びる冷却ダクト80、81が設けられる。冷却ダクト80は奥側に位置し、冷却ダクト81はその手前側に位置する。冷却ダクト80は冷凍室30の途中までの高さで終わるが、ダクト81は冷蔵室20の天井まで続く。
冷却ダクト80の下端には冷凍室30から庫内空気を吸い込む吸気口82が設けられる。吸気口82の上方には低温側蒸発器72が設置され、さらにその上方には、冷却ダクト81に空気を吹き出す送風機83が設けられる。
解凍室25は、冷凍食品の解凍に用いられるだけでなく、冷蔵室や冷凍室にも切換え使用可能である。このため解凍室25は、ダンパ86(図1参照)を介して冷却ダクト81に連通しており、冷蔵室として使用するときは冷蔵温度を得るのに必要な量の冷気を冷却ダクト81から取り入れ、冷凍室として使用するときは冷凍温度を得るのに必要な量の冷気を冷却ダクト81から取り入れる仕組みになっている。
また図示しないが、冷蔵室20及び解凍室25から空気を回収する戻りダクトも断熱筐体10に設けられている。戻りダクトは低温側蒸発器72に向かい合う位置に吹出口を有し、回収した空気を低温側蒸発器72に供給する。
スターリング冷凍機50を運転すると、放熱部51は高温となり、吸熱部52は低温となる。放熱部51で生成された熱は二次冷媒循環回路60を介して高温側凝縮器62に伝えられる。吸熱部52で生成された冷熱は二次冷媒循環回路70を介して低温側蒸発器72に伝えられる。
ここで送風機83を運転すると、冷却ダクト80の下端の吸気口82から冷凍室30の中の空気が吸い込まれ、低温側蒸発器72を通過する。また前記図示しない戻りダクトを通じ、冷蔵室20及び解凍室25の中の空気が冷却ダクト80に吸い込まれ、同じく低温側蒸発器72を通過する。低温側蒸発器72を通過する空気は冷却されて冷気となる。
冷気は送風機83により冷却ダクト81に吹き込まれ、ダクト81の上方部分(水平仕切壁11より上の部分)に設けられた吹出口84を通じて冷蔵室20に、また冷却ダクト81の下方部分(水平仕切壁11より下の部分)に設けられた吹出口85を通じて冷凍室30に、それぞれ送り込まれる。ダンパ86が開いていれば解凍室25にも冷気が送り込まれる。このようにして冷蔵室20、解凍室25、及び冷凍室30にはそれぞれ所定量の冷気が送り込まれ(または送り込まれず)、冷蔵室20、解凍室25、及び冷凍室30はそれぞれ所定の温度に冷却される。断熱筐体10の背面上部に設置された制御部15が上記の運転制御を司る。
なお高温側の二次冷媒循環回路60は自然循環のみで十分に循環が成立するが、低温側の二次冷媒循環回路70は自然循環だけでは必要な循環を得られないことがある。そのような場合には二次冷媒循環回路70に循環ポンプを配置し、強制循環を行う。
スターリング冷凍機50の運転効率を向上させるためには高温側凝縮器62からの凝縮熱の放出を効率良く行う必要がある。この目的のため、空冷ダクト90が高温側凝縮器62に組み合わせられる。空冷ダクト90は通風路の断面が矩形となった合成樹脂成型品であり、その入口部は高温側凝縮器62の上面にあてがわれ、出口部は蓋44の開口47にあてがわれる。側面から見ると、空冷ダクト90は入口部から出口部まで、水平に対し45゜の角度をなして斜め上方に延びる形になっている。
空冷ダクト90の中には送風機91を挿入する。送風機91はプロペラファンを2個、図1の奥行き方向に並べたものであり、送風方向は空冷ダクト90の軸線に一致する。送風機91は空冷ダクト90の出口部から出し入れ可能であり、空冷ダクト90の内面からダクト軸線と直交する形で突出する取付突部93に図示しないビスで固定される。
送風機91を運転すると、蓋44の通風口45から外部の空気が吸い込まれる。機械室40に入った空気は高温側凝縮器62を通り、高温側凝縮器62が放出する凝縮熱を奪う。熱を奪った空気は空冷ダクト90に吸い込まれ、さらに送風機91に吸い込まれ、そこから機外へと斜め上方に向けて排出される。
機械室40の蓋44は単なる平板ではなく、中央が背面側に突き出し、その四周は斜面となった形状を有している。これらの斜面部のうち、斜め上を向いた斜面部に空冷ダクト90の出口が開口する。このため、空冷ダクト90の出口と冷却庫1を据え付ける部屋の壁面との間に一定以上の隙間が生じ、空気がスムーズに流れる。高温側凝縮器62を空冷するためには大量の空気が必要であるが、その空気の排出経路がこのように確保されることにより、スターリング冷凍機50を常に効率良く運転することができる。
二次冷媒循環回路70には、二次冷媒として、二酸化炭素と炭化水素系冷媒(いずれも自然冷媒)の混合物が封入されている。炭化水素系冷媒としてはイソブタン(isobutane)、ブタン(butane)、プロパン(propane)、アルコール(例えばエタノール)などがあり、これらを二酸化炭素に組み合わせる。その目的は、低い三相点を得るためである。
図4には、二酸化炭素とイソブタンの混合物の気液共存状態で到達可能な温度を、混合比(重量比)を様々に変えて調べた結果が示されている。混合比としては二酸化炭素が100%でイソブタンが0%、二酸化炭素が90%でイソブタンが10%、二酸化炭素が85%でイソブタンが15%、二酸化炭素とイソブタンが50%ずつの4通りが例示されている。
二酸化炭素とイソブタンの混合物の気液共存状態で到達可能な温度に関しては、二酸化炭素100%の場合はマイナス56.6℃(二酸化炭素の三相点でもある)、二酸化炭素90%、イソブタン10%の場合はマイナス70℃、二酸化炭素75%、イソブタン25%の場合はマイナス90℃、二酸化炭素50%、イソブタン50%の場合はマイナス120℃であり、二酸化炭素に対するイソブタンの混合比を高めるほど気液共存状態で使用可能な温度が低下している様子が見てとれる。
二次冷媒は気液共存状態であれば、流動して潜熱で冷熱を伝達することができる。従って冷熱伝達の限界は、二酸化炭素100%の場合がマイナス56.6℃、二酸化炭素90%、イソブタン10%の場合がマイナス70℃、二酸化炭素75%、イソブタン25%の場合がマイナス90℃、二酸化炭素50%、イソブタン50%の場合がマイナス120℃ということになる。
このように、二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物を二次冷媒として用いることにより、二酸化炭素の三相点以下の温度の冷熱を低温側蒸発器72に伝え、一般の冷却庫からすれば極低温と言い得るレベルにまで庫内を冷却することが可能になる。
炭化水素系冷媒は地球温暖化係数が小さく、万一漏れたとしても環境に大きな悪影響を与えない。しかも純二酸化炭素を用いる場合より低い作動圧力で運転できるようになり、圧力気体の封止という設計課題が軽減される。
二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合比は、目標とする冷却レベルに応じて適宜のものを選ぶ。炭化水素系冷媒自体は可燃性であるが、阻燃性である二酸化炭素と混合して用いるため、万一漏れたとしても引火の危険性は小さい。
二酸化炭素と炭化水素系冷媒を二次冷媒循環回路70に封入する際には、単体冷媒を臨界温度の高い順に封入する。例えばイソブタンと二酸化炭素の組み合わせであれば、先にイソブタンを封入し、後で二酸化炭素を封入する。これは次の理由による。すなわち温度が同じのとき、臨界温度の高い冷媒は臨界温度の低い冷媒よりも圧力が低い。臨界温度の低い冷媒を先に封入すると二次冷媒循環回路70の中の圧力が上がってしまい、臨界温度の高い冷媒を後から封入するのが難しくなるが、このように臨界圧力の高い順に冷媒を封入することとすれば、そのような問題はない。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、上記実施形態では冷凍機をスターリング冷凍機とし、スターリング冷凍機の能力を最大限に発揮させて作り出した冷熱を冷却器に伝えて強力な冷却能力が得られるようにしているが、スターリング冷凍機以外の冷凍機であっても本発明の作用効果を享受することは十分に可能である。
本発明は家庭用又は業務用の冷却庫に広く利用可能である。
本発明の第1実施形態に係る冷却庫の垂直断面図 冷却サイクルの概略構成図 二次冷媒の流れ方の説明図 二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物の特性を示す表
符号の説明
1 冷却庫
10 断熱筐体
15 制御部
20 冷蔵室
30 冷凍室
40 機械室
50 スターリング冷凍機
51 放熱部
52 吸熱部
60 二次冷媒循環回路
61 高温側蒸発器
62 高温側凝縮器
70 二次冷媒循環回路
71 低温側凝縮器
72 低温側蒸発器(冷却器)

Claims (3)

  1. 二次冷媒循環回路を介して冷熱を冷却器に伝え庫内を冷却する冷却庫において、
    前記二次冷媒循環回路に封入する二次冷媒として二酸化炭素と炭化水素系冷媒の混合物を用いることを特徴とする冷却庫。
  2. 前記二次冷媒を封入するに際し、単体冷媒を臨界温度の高い順に封入することを特徴とする請求項1に記載の冷却庫。
  3. 前記冷熱がスターリング冷凍機で生成された冷熱であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却庫。
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