JP2006083764A - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】 エンジン運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力の燃料噴射とを選択的に切り替えることを課題とする。
【解決手段】 ノズル噴孔部として、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状の燃料流を形成する第1噴孔入口流路31と、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流を形成する第2噴孔入口流路32とをブッシュ3に形成している。そして、エンジンの運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合には、第1ニードルピース1のみをブッシュ3の第1シート面11よりリフトさせて、第1噴孔入口流路31のみを開放することで、高貫徹力の燃料噴射を得る。また、エンジンの運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合には、第2ニードルピース2のみをブッシュ3の第2シート面12よりリフトさせて、第2噴孔入口流路32のみを開放することで、低貫徹力の燃料噴射を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】 ノズル噴孔部として、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状の燃料流を形成する第1噴孔入口流路31と、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流を形成する第2噴孔入口流路32とをブッシュ3に形成している。そして、エンジンの運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合には、第1ニードルピース1のみをブッシュ3の第1シート面11よりリフトさせて、第1噴孔入口流路31のみを開放することで、高貫徹力の燃料噴射を得る。また、エンジンの運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合には、第2ニードルピース2のみをブッシュ3の第2シート面12よりリフトさせて、第2噴孔入口流路32のみを開放することで、低貫徹力の燃料噴射を得る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関の気筒内に燃料噴射を実施する燃料噴射ノズルに関するもので、特に燃料噴射ポンプにより加圧されて高圧化された燃料を、直接噴射式ディーゼルエンジン等の内燃機関の気筒内に噴射する燃料噴射ノズルに係わる。
[従来の技術]
近年、例えばディーゼルエンジンの排気ガス規制強化に対応し、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにするためには、特に黒煙(スモーク)を代表とするディーゼルパティキュレートを低減するためには、燃料噴射ノズルの噴孔部から噴射される燃料を極限まで微粒化することが重要である。この燃料の微粒化を促進するためには、燃料の高噴射圧化と噴孔部の小噴孔径化とが有効であるが、ディーゼルエンジン用燃料噴射システムにおける高噴射圧化は限界に近づいており、小噴孔径化が進んでいる。
近年、例えばディーゼルエンジンの排気ガス規制強化に対応し、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにするためには、特に黒煙(スモーク)を代表とするディーゼルパティキュレートを低減するためには、燃料噴射ノズルの噴孔部から噴射される燃料を極限まで微粒化することが重要である。この燃料の微粒化を促進するためには、燃料の高噴射圧化と噴孔部の小噴孔径化とが有効であるが、ディーゼルエンジン用燃料噴射システムにおける高噴射圧化は限界に近づいており、小噴孔径化が進んでいる。
従来より、例えば直接噴射式ディーゼルエンジンにおいて、燃料噴射ノズルから噴射される燃料の燃焼特性は、噴霧粒径によって大きく影響を受ける。すなわち、噴霧粒径が小さい程燃料の着火性が向上して良好な燃焼が確保される。これにより、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにすることができ、特に黒煙(スモーク)を低減することができ、エンジン出力や燃費も向上することができる。そして、燃料噴霧の微粒化を促進し、ディーゼル拡散燃焼を活発化させ、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにする方法として、噴孔部の噴孔径の縮小化を図ることが考えられる。
しかし、単純に噴孔部の噴孔径の縮小化を図ると、燃料噴霧の微粒化は達成されるものの、噴射期間が長くなるため、長く緩慢な燃焼となり、逆にエンジン性能が悪化する現象、つまり噴射期間の増大化による黒煙(スモーク)の増加現象が生起する可能性がある。これに対して、燃料の噴射圧力を増加させることで、噴射期間を短縮できるが、コスト的にも、また、材料強度的にも、燃料噴射系全体にかかる負荷が大きくなってしまう。この問題を解決する方法として、噴孔部に、スワールがかかった状態で燃料を噴霧することが可能なスワール形成部を設けた燃料噴射ノズル(ホール型ノズル)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、燃料噴射は膜状噴射となるので、空気との混合が促進され、エミッションの改善に大きな効果がある。
[従来の技術の不具合]
ところが、上記の特許文献1に記載の燃料噴射ノズルにおいては、ノズルボデーの構造上、噴孔部よりエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧の貫徹力が弱く、エンジンの運転領域が高負荷領域の時に貫徹力を可変して大きくすることが期待できないという問題が生じている。すなわち、エンジンの運転領域が(高速)高負荷領域では、高貫徹力の燃料噴射が望ましい。しかし、エンジンの運転領域が(低速)低負荷領域では、高貫徹力の燃料噴射よりも低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射を行った方が良好な燃焼状態を得ることができ、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにすることができる。したがって、内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射とを切り替えることのできる燃料噴射ノズルの開発が望まれている。
特開平11−324868号公報(第1−7頁、図1−図5)
ところが、上記の特許文献1に記載の燃料噴射ノズルにおいては、ノズルボデーの構造上、噴孔部よりエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧の貫徹力が弱く、エンジンの運転領域が高負荷領域の時に貫徹力を可変して大きくすることが期待できないという問題が生じている。すなわち、エンジンの運転領域が(高速)高負荷領域では、高貫徹力の燃料噴射が望ましい。しかし、エンジンの運転領域が(低速)低負荷領域では、高貫徹力の燃料噴射よりも低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射を行った方が良好な燃焼状態を得ることができ、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにすることができる。したがって、内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射とを切り替えることのできる燃料噴射ノズルの開発が望まれている。
本発明は、高貫徹力の燃料噴射形態と低貫徹力の燃料噴射形態との両方を得ることが可能な燃料噴射ノズルにおいて、内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射とを選択的に切り替えることにより、内燃機関の運転領域に対応した良好な燃焼状態を得て、内燃機関より排出される排気ガスを更に浄化することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射形態と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射形態とを選択的に切り替える噴射形態切替手段を設けている。そして、内燃機関の気筒内に燃料噴射を行う噴孔部を有するハウジングを設けている。そして、その噴孔部に、第1シート面近傍で開口すると共に、指向性の強い燃料噴霧を発生させる第1噴孔流路、および第2シート面近傍で開口すると共に、拡散性の高い燃料噴霧を発生させる第2噴孔流路を設けることにより、第1噴孔流路を開放した場合には、高貫徹力の燃料噴射形態が得られ、また、第2噴孔流路を開放した場合には、低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射形態が得られる。そして、噴射形態切替手段として、第1シート面に着座、離脱して第1噴孔流路を閉塞、開放する第1ニードルピースと、第2シート面に着座、離脱して第2噴孔流路を閉塞、開放する第2ニードルピースとを設けている。
そして、内燃機関の運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合には、第1ニードルピースのみをハウジングの第1シート面より離脱(リフト)させて、第1噴孔流路のみを開放することで、高貫徹力の燃料噴射を実現できる。このように、高貫徹力の燃料噴射形態に切り替えられると、高貫徹力の燃料噴霧が形成されて、内燃機関の気筒内の狙った方向に遠くまで噴射され、内燃機関の気筒内の燃料噴射ノズルから遠い箇所に届き、良好な燃焼状態を確保することができる。
また、内燃機関の運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合には、第2ニードルピースのみをハウジングの第2シート面より離脱(リフト)させて、第2噴孔流路のみを開放することで、低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射を実現できる。このように、低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射形態に切り替えられると、低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴霧が形成されて、微粒化される。これにより、燃料の着火性が向上して良好な燃焼が確保されるため、内燃機関より排出される排気ガスをクリーンにすることができ、特に黒煙(スモーク)を低減することができ、内燃機関の出力や燃費も向上することができる。
請求項2に記載の発明によれば、内燃機関の運転領域が高貫徹力および低貫徹力を要求する領域である場合には、第1、第2ニードルピースの両方をハウジングの第1、第2シート面より離脱(リフト)させて、第1、第2噴孔流路の両方を開放することで、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射とを実現できる。したがって、燃料噴射の直後から燃料噴霧の微粒化を促進でき、且つ高貫徹力の燃料噴霧を噴射することができる。すなわち、燃料噴霧を分散させることなく、内燃機関の気筒内の狙った方向に燃料噴霧を噴射させることができる。これによって、内燃機関の気筒内に噴射される燃料噴霧は、太くて長い燃料噴霧となり、内燃機関の気筒内全体に行き渡るので、内燃機関の気筒内の空気利用率を上げることができ、良好な燃焼を確保できる。これにより、内燃機関の気筒内の燃焼状態を改善できるので、内燃機関より排出される排気ガスをクリーンにすることができ、特に黒煙(スモーク)を低減することができ、内燃機関の出力や燃費も向上することができる。
請求項3に記載の発明によれば、上記の第1噴孔流路を、ハウジングの内壁面で開口する第1噴孔入口流路、およびこの第1噴孔入口流路に連通する噴孔出口流路によって構成しても良い。また、上記の第2噴孔流路を、ハウジングの内壁面で開口する第2噴孔入口流路、およびこの第2噴孔入口流路に連通する噴孔出口流路によって構成しても良い。そして、噴孔出口流路は、第1噴孔入口流路および第2噴孔入口流路の両方に、第1噴孔入口流路内を流れる燃料流と第2噴孔入口流路内を流れる燃料流とが合流する合流室を介して連通するように設けても良い。
請求項4に記載の発明によれば、上記の合流室を、第1噴孔入口流路の軸線に対して、第2噴孔入口流路の軸線がオフセット配置された円形状空間としても良い。そして、第2噴孔入口流路内から円形状空間内に流入した燃料流は、円形状空間内で噴孔出口流路に向かう旋回流を形成するようにしても良い。また、請求項5に記載の発明によれば、上記のハウジングを、噴孔出口流路が形成されたノズルボデー、および第1、第2噴孔入口流路が形成されたブッシュ等によって構成しても良い。そして、ブッシュを、ノズルボデー内に圧入嵌合しても良い。また、上記の合流室を、ノズルボデーの内壁面とブッシュの外壁面との間に設けても良い。
請求項6に記載の発明によれば、ノズルニードルを、ノズルボデーの第1、第2シート面に対して2段階にリフトさせるようにしている。これにより、内燃機関の運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合には、ノズルニードルのリフト量を小さくして、第2噴孔流路のみを開放することで、低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射を実現できる。また、内燃機関の運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合には、ノズルニードルのリフト量を大きくして、第1、第2噴孔流路の両方を開放することで、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射とを実現できる。
本発明を実施するための最良の形態は、内燃機関の運転領域に対応した良好な燃焼状態を得て、内燃機関より排出される排気ガスを更に浄化するという目的を、高貫徹力の燃料噴射形態と低貫徹力の燃料噴射形態との両方を得ることが可能な燃料噴射ノズルにおいて、内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力(で、且つ高拡散性)の燃料噴射とを選択的に切り替えることで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図6は本発明の実施例1を示したもので、図1は内燃機関用燃料噴射ノズルのノズル噴孔部を示した図で、図2は内燃機関用燃料噴射ノズルの全体構成を示した図である。
図1ないし図6は本発明の実施例1を示したもので、図1は内燃機関用燃料噴射ノズルのノズル噴孔部を示した図で、図2は内燃機関用燃料噴射ノズルの全体構成を示した図である。
本実施例の内燃機関用燃料噴射装置は、例えば自動車等の車両に搭載される多気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと言う)の各気筒(シリンダ)の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射システム)であって、燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール(図示せず)と、吸入調量弁(図示せず)を経由して加圧室内に吸入した燃料を加圧して高圧化し、この高圧燃料をコモンレールに圧送供給するサプライポンプ(燃料供給ポンプ:図示せず)と、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する複数のインジェクタ(図示せず)と、サプライポンプの吸入調量弁等のアクチュエータおよびインジェクタの電磁弁等のアクチュエータを電子制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ:図示せず)とを備えている。
なお、複数のインジェクタには、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの内燃機関用燃料噴射ノズル(以下燃料噴射ノズルと略す)と、ノズルニードル(弁体)を開弁方向に駆動する電磁弁等のアクチュエータとが設けられている。その燃料噴射ノズルは、エンジンの各気筒毎に対応して搭載されており、エンジンの各気筒の燃焼室内に少なくとも高貫徹力の燃料噴射と低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射との両方を得ることが可能なノズル噴孔部を有するハウジングと、エンジンの運転領域に対応して高貫徹力の燃料噴射形態と低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射形態とを選択的に切り替える噴射形態切替手段と、図示しない第1、第2ニードル付勢手段としての第1、第2スプリングを収容するノズルホルダー(図示せず)と、ハウジングの密着面とノズルホルダーの密着面との間に配置されたチップパッキン(図示せず)と、このチップパッキンを介してハウジングの密着面とノズルホルダーの密着面とを所定の締結軸力によって締め付け固定するためのリテーニングナット(図示せず)とから構成されている。
本実施例の噴射形態切替手段は、ハウジングの第1、第2シート面11、12に着座、離脱してノズル噴孔部の第1、第2噴孔流路13、14を閉塞、開放する第1、第2シート部15、16を有するノズルニードルによって構成されている。そして、本実施例のノズルニードルは、ハウジングの中心軸線上に設置された第1ニードルピース1、およびこの第1ニードルピース1の軸線方向に対して直交する半径方向の外径側に設置された第2ニードルピース2を有している(図1ないし図6参照)。これらの第1、第2ニードルピース1、2は、ノズルニードルの軸線方向に対して直交する半径方向に2分割されている。
また、本実施例のハウジングは、少なくとも先端側の円錐状空間内に圧入嵌合されるブッシュ3、およびノズルニードルをその軸線方向に移動自在に収容するノズルボデー4を有している(図1ないし図6参照)。なお、第1ニードルピース1の外周面と第2ニードルピース2の内周面との間には、図示下方に燃料が流れる円筒状の第1燃料通路5が形成されている。また、第2ニードルピース2の外周面とブッシュ3の内壁面との間には、図示下方に燃料が流れる円筒状の第2燃料通路6が形成されている。
なお、ノズルボデー4には、密着面から油溜り室8へ延びる燃料送出路(以下燃料孔と言う)7が設けられている。また、ノズルホルダーには、継手部から密着面へ延びる燃料供給路(図示せず)が設けられている。また、チップパッキンには、ノズルボデー4の燃料孔7とノズルホルダーの燃料供給路とを連通する燃料中継路(図示せず)が設けられている。また、チップパッキンの端面には、第1、第2ニードルピース1、2の最大リフト量を規制する規制面が設けられている。そして、第1、第2ニードルピース1、2は、例えば炭素鋼等の金属材料によって略丸棒形状または略円筒形状に形成されて、ノズルホルダー内に収容された第1、第2スプリングの付勢力によってノズル噴孔部の第1、第2噴孔流路13、14を閉じる方向に常に付勢されている。
第1ニードルピース1は、ブッシュ3の内壁面に形成されたテーパ状の第1シート面11に着座、離脱して、ノズル噴孔部の第1噴孔流路13のみを閉塞、開放する小径(内側)ニードルである。この第1ニードルピース1の燃料流方向の下流側(図示下端側)の先端部には、円環状の稜線(エッジ)および円錐形状面が設けられており、円環状の稜線(エッジ)には、第1シート面11に液密的に接触(着座)して第1燃料通路5とノズル噴孔部の第1噴孔流路13との連通状態を遮断するための第1シート部15が形成されている。また、第1ニードルピース1の開弁方向の移動(リフト)によって、第1シート部15をブッシュ3の第1シート面11から離脱(リフト)させた場合には、第1燃料通路5と第1噴孔流路13とが連通状態(開放状態)となり、第1燃料通路5から第1噴孔流路13へと燃料が流れる。
第1ニードルピース1は、単純な円柱面形状の径大部(図示せず)とこの径大部よりも外径が小さい単純な円柱面形状の径小部17を有している。第1ニードルピース1の径大部は、第2ニードルピース2の軸方向孔19の図示上部側に設けられる摺動孔(図示せず)内において摺動自在に保持されている。そして、第1ニードルピース1は、径小部17と第2ニードルピース2の軸方向孔19との間に所定のクリアランスを保って往復移動自在に収容されている。このクリアランスは、第2ニードルピース2に設けられた連通路(図示せず)から第1シート面11へ延びる第1燃料通路5として利用されている。ここで、連通路は、第2ニードルピース2の軸線方向に対して直交する半径方向に、第2ニードルピース2の内周面と外周面とを連通するように貫通する燃料通路であって、油溜り室8および第2燃料通路6と第1燃料通路5とを連通する。そして、径大部と径小部17との間には、円環状の段差部(図示せず)が設けられている。その段差部は、第1ニードルピース1のリフト開始時に、油溜り室8および第2燃料通路6に連通する第1燃料通路5内の燃料圧力を受ける燃料受圧面積となる。
第2ニードルピース2は、ブッシュ3の内壁面に形成されたテーパ状の第2シート面12に着座、離脱して、ノズル噴孔部の第2噴孔流路14のみを閉塞、開放する大径(外側)ニードルである。この第2ニードルピース2の燃料流方向の下流側(図示下端側)の先端部には、概略2段の円錐形状面が設けられており、それらの円錐形状面間に設けられる円環状の稜線(エッジ)には、ブッシュ3の内壁面に形成された第2シート面12に液密的に接触(着座)して第2燃料通路6とノズル噴孔部の第2噴孔流路14との連通状態を遮断するための第2シート部16が形成されている。また、第2ニードルピース2の開弁方向の移動(リフト)によって、第2シート部16をブッシュ3の第2シート面12から離脱(リフト)させた場合には、第2燃料通路6と第2噴孔流路14とが連通状態(開放状態)となり、第2燃料通路6から第2噴孔流路14へと燃料が流れる。
第2ニードルピース2は、単純な円筒面形状の軸方向部21とこの軸方向部21よりも外径が小さい単純な円筒面形状の軸方向部22との間に径小部23を有している。なお、第2ニードルピース2の軸方向部21は、ノズルボデー4の軸方向孔24の図示上部側に設けられる摺動孔25内において摺動自在に保持されている。また、軸方向部21の図示上端面より軸方向に突出した凸状部26の周りには、第1、第2ニードルピース1、2が最もリフトした際にチップパッキンの規制面に当接する円環状の肩部27が形成されている。そして、第2ニードルピース2は、軸方向部22とノズルボデー4の軸方向孔24との間に所定のクリアランスを保って往復移動自在に収容されている。このクリアランスは、油溜り室8から第1、第2シート面11、12へ延びる第2燃料通路6として利用されている。そして、軸方向部21と径小部23との間には、円環状の段差部(図示せず)が設けられている。その段差部は、第2ニードルピース2のリフト開始時に、油溜り室8内の燃料圧力を受ける燃料受圧面積となる。
上記のような2分割型のノズルニードルの場合には、アクチュエータ(第1、第2ニードルピース1、2を開弁方向に駆動するニードル駆動手段)としての電磁弁を開弁駆動することによって第1、第2ニードルピース1、2と連動して動作する第1、第2コマンドピストンの背後(例えばノズルホルダーの後端部)に形成される第1、第2背圧制御室(図示せず)内の燃料圧力を増減することにより、第1、第2ニードルピース1、2が軸方向(図示上下方向)に往復移動するように構成することが可能である。
ブッシュ3は、例えば炭素鋼等の金属材料によって円錐筒形状に形成されている。ブッシュ3には、概略2段の円錐形状面が設けられており、これらの円錐形状面間には円環状の稜線(エッジ)が設けられている。そのブッシュ3は、ノズルボデー4の先端側に設けられる略円錐筒状部29によって囲まれた略円錐状空間内に、ノズルボデー4の内壁面とブッシュ3の外壁面とが液密的に密着するように圧入嵌合されている。そして、ブッシュ3の内壁面には、燃料噴射終了時に第1、第2ニードルピース1、2の第1、第2シート部15、16が着座する逆円錐面形状(テーパ状)の第1、第2シート面11、12が形成されている。そのブッシュ3の第1シート面11は、第2シート面12よりも、ブッシュ3の先端側、つまりブッシュ3内を流れる燃料流方向の下流側(図示下端側)に設けられている。そして、第1シート面11と第2シート面12との間には、ブッシュ3の内部空間(略円錐状空間)側に突出する円環状の稜線(エッジ)が設けられている。すなわち、第1シート面11のブッシュ3の軸線方向に対する第1傾斜(テーパ)角度は、第2シート面12のブッシュ3の軸線方向に対する第2傾斜(テーパ)角度よりも急角度とされている。また、ブッシュ3には、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射するためのノズル噴孔部が設けられている。
ノズルボデー4は、例えば炭素鋼等の金属材料によって略円筒形状に形成されている。そのノズルボデー4の先端側の略円錐筒状部29には、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射するためのノズル噴孔部が設けられている。そして、ノズルボデー4の拡大部には、密着面よりノズル噴孔部側へと延びる軸方向孔24が設けられ、その軸方向孔24の図示上端側には、軸方向孔24よりも孔径が窄められて、第1、第2ニードルピース1、2を摺動自在に保持するための摺動孔25が設けられ、軸方向孔24と摺動孔25との間には、軸方向孔24および摺動孔25よりも孔径が拡げられた油溜り室8が設けられている。そのノズルボデー4には、チップパッキンを介してノズルホルダーの密着面に液密的に当接する密着面(ノズルボデー4の密着面)から油溜り室8へ斜めに延びる燃料孔7が設けられている。また、ノズルボデー4内には、摺動孔25よりも孔径が拡げられた軸方向孔24が形成され、その軸方向孔24と第2ニードルピース2の軸方向部22との間には、油溜り室8からノズル噴孔部側へ軸方向に真っ直ぐ延びる第2燃料通路6が形成されている。
本実施例のブッシュ3およびノズルボデー4のノズル噴孔部は、ブッシュ3の内壁面からノズルボデー4の外壁面までを連通するように設けられた第1、第2噴孔流路13、14を有している。第1噴孔流路13は、高貫徹力の燃料噴射形態を得るために指向性の強い燃料噴霧を発生させる噴孔部である。また、第2噴孔流路14は、低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射形態を得るために拡散性の高い燃料噴霧を発生させる噴孔部である。第1噴孔流路13は、ブッシュ3の内壁面で開口する第1噴孔入口流路31を有している。また、第2噴孔流路14は、ブッシュ3の内壁面で開口する第2噴孔入口流路32を有している。そして、第1、第2噴孔流路13、14は、第1噴孔入口流路31および第2噴孔入口流路32(のスワール溝33)の両方に、第1噴孔入口流路31内を流れる燃料流と第2噴孔入口流路32内を流れる燃料流とが合流する合流室34を介して連通する噴孔出口流路35を有している。
ブッシュ3のノズル噴孔部のうちの第1噴孔入口流路31は、ブッシュ3の第1シート面11よりも燃料流方向の下流側の内壁面から外壁面(ノズルボデー4の内壁面に接触する面)までを、ブッシュ3の軸線方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して貫通している。この第1噴孔入口流路31は、噴孔出口流路35と同一軸心上に設けられており、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状(直進状)の燃料流を形成することが可能な噴孔部である。なお、第1噴孔入口流路31は、ブッシュ3の内壁面で開口しており、ブッシュ3の周方向に所定の間隔(例えば90°の等間隔)で4個形成されている。ここで、第1噴孔流路13を構成する噴孔出口流路35の噴孔径をφD、第1噴孔流路13を構成する第1噴孔入口流路31、合流室34および噴孔出口流路35の軸線方向の全長をLとしたとき、L/Dが大きい値である程、高貫徹力の燃料噴射形態を得ることができる。
ブッシュ3のノズル噴孔部のうちの第2噴孔入口流路32は、ブッシュ3の第2シート面12から外壁面(ノズルボデー4の内壁面に接触する面)に形成されたスワール溝33までを、ブッシュ3の軸線方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して貫通している。この第2噴孔入口流路32は、第1噴孔入口流路31および噴孔出口流路35の軸線方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して設けられている。なお、第2噴孔入口流路32は、ブッシュ3の内壁面で開口しており、ブッシュ3の周方向に所定の間隔(例えば90°の等間隔)で4個形成されている。これらの第1、第2噴孔入口流路31、32は、略円形状の断面を有し、合流室34よりも燃料の流れ方向の上流側に設けられている。これらの第1、第2噴孔入口流路31、32は、ドリル等の工具によってブッシュ3の外壁面から内壁面までを連通するように穿設されている。
合流室34は、第1噴孔入口流路31の軸線に対して、第2噴孔入口流路32のスワール溝33の軸線がオフセット配置された円形状空間(スワール流形成部、スワール室)である。具体的には、スワール溝33が合流室34の接線方向に位置するように設けられている。これにより、第2噴孔入口流路32のスワール溝33内から合流室34内に流入した燃料流は、合流室34内で噴孔出口流路35に向かう旋回流を形成することが可能となる。すなわち、第2噴孔入口流路32(のスワール溝33)および合流室34は、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流を形成することが可能な噴孔部である。なお、スワール溝33および合流室34は、ブッシュ3の外壁面とノズルボデー4の内壁面との間に設けられている。具体的には、スワール溝33および合流室34は、ブッシュ3の外壁面をドリル等の工具によって外径切削加工することによってブッシュ3の外壁面に凹状となるように形成されている。
ノズルボデー4のノズル噴孔部の噴孔出口流路35は、ノズルボデー4の内壁面から外壁面(エンジンの各気筒の燃焼室内に露出する面)までを、ノズルボデー4の軸線方向に対して所定の傾斜角度だけ傾斜して貫通している。なお、噴孔出口流路35は、ノズルボデー4の内壁面および外壁面で開口しており、ノズルボデー4の略円錐筒状部29の周方向に所定の間隔(例えば90°の等間隔)で4個形成されている。この噴孔出口流路35は、略円形状の断面を有し、ブッシュ3の合流室34よりも燃料の流れ方向の下流側に設けられている。この噴孔出口流路35は、ドリル等の工具によってノズルボデー4の略円錐筒状部29の外壁面から内壁面までを連通するように穿設されている。
ここで、ECUには、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROMまたはEEPROM、RAMまたはスタンバイRAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータと、サプライポンプの吸入調量弁へポンプ駆動電流を印加するポンプ駆動回路と、インジェクタの電磁弁へインジェクタ駆動電流を印加するインジェクタ駆動回路とが設けられている。そして、ECUのうちのCPUは、クランク角度センサ等の回転速度検出手段によって検出されたエンジン回転速度(NE)とアクセル開度センサ等のエンジン負荷検出手段によって検出されたアクセル開度(ACCP)とに対応して設定された基本噴射量(Q)に、冷却水温センサによって検出されたエンジン冷却水温(THW)や、燃料温度センサによって検出された燃料温度(THF)等の噴射量補正量を加算して指令噴射量(QFIN)を算出する演算機能(噴射量設定手段)を有している。
また、CPUは、エンジン回転速度(NE)と基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)とによって指令噴射時期(TFIN)を算出する演算機能(噴射時期設定手段)を有している。また、CPUは、燃料圧力センサ等の燃料圧力検出手段によって検出されたコモンレール内の燃料圧力(コモンレール圧力:PC)と基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)とによってインジェクタの電磁弁の通電時間である指令噴射期間(TQFIN)を算出する演算機能(噴射期間設定手段)を有している。そして、ECUに内蔵されたインジェクタ駆動回路は、指令噴射時期(TFIN)から指令噴射期間(TQFIN)が終了するまでの間、インジェクタの電磁弁にパルス状のインジェクタ駆動電流を印加するように構成されている。
また、CPUは、エンジン回転速度(NE)と基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)とによって目標燃料圧力(PFIN)を算出する演算機能(燃料圧力設定手段)を有している。そして、ECUに内蔵されたポンプ駆動回路は、目標燃料圧力(PFIN)を達成するために、コモンレール圧力(PC)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差がなくなるようにサプライポンプの吸入調量弁に対して公知のPID制御またはPI制御によるフィードバック制御を行うように構成されている。
また、CPUは、エンジン回転速度(NE)、アクセル開度(ACCP)、エンジン負荷、指令噴射時期(TFIN)、指令噴射量(QFIN)、指令噴射期間(TQFIN)等によってエンジンの運転領域を算出する演算機能(運転領域算出手段)を有している。そして、ECUに内蔵されたインジェクタ駆動回路は、エンジンの運転領域に基づいて、第1、第2ニードルピース1、2を互いに独立して開弁または閉弁できるように、インジェクタの電磁弁にパルス状のインジェクタ駆動電流を印加するように構成されている。
ここで、ディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルは、例えばエンジンの運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合、すなわち、指令噴射量(QFIN)が比較的大噴射量で、高速(または低速)高負荷領域(特に高負荷領域)の場合に、第1ニードルピース1のみをブッシュ3の第1シート面11より離脱(リフト)させて、ブッシュ3のノズル噴孔部のうちの第1噴孔入口流路31のみを開放するように構成されている。これにより、エンジンの各気筒の燃焼室内に、高貫徹力の燃料噴射形態を得ることが可能となる。
また、燃料噴射ノズルは、例えばエンジンの運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合、すなわち、指令噴射量(QFIN)が比較的小噴射量で、低速(または高速)低負荷領域(特に低負荷領域)の場合に、第2ニードルピース2のみをブッシュ3の第2シート面12より離脱(リフト)させて、ブッシュ3のノズル噴孔部のうちの第2噴孔入口流路32のみを開放するように構成されている。これにより、エンジンの各気筒の燃焼室内に、低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射形態を得ることが可能となる。
また、燃料噴射ノズルは、例えばエンジンの運転領域が高貫徹力で、且つ高拡散性を要求する領域である場合、すなわち、指令噴射量(QFIN)が比較的中噴射量で、中速(または高速または低速)中負荷領域(特に中負荷領域)の場合に、第1、第2ニードルピース1、2の両方をブッシュ3の第1、第2シート面11、12より離脱(リフト)させて、ブッシュ3のノズル噴孔部の第1、第2噴孔入口流路31、32の両方を開放するように構成されている。これにより、エンジンの各気筒の燃焼室内に、高貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射形態を得ることが可能となる。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルの作用を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。
次に、本実施例のディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルの作用を図1ないし図6に基づいて簡単に説明する。
サプライポンプより圧送供給された高圧燃料がコモンレールに蓄圧され、このコモンレールに蓄圧された高圧燃料が燃料管を経由して燃料噴射ノズルの燃料孔7に常時供給されている。この燃料孔7内に供給された高圧燃料は、油溜り室8を経由して、第2ニードルピース2の軸方向部22とノズルボデー4の軸方向孔24との間に形成される第2燃料通路6内に蓄えられる。また、燃料孔7内に供給された高圧燃料は、油溜り室8または第2燃料通路6から連通路を経由して、第1ニードルピース1の径小部17と第2ニードルピース2の軸方向孔19との間に形成される第1燃料通路5内に蓄えられる。ここで、図3(a)に示したように、第1、第2ニードルピース1、2が共にブッシュ3の第1、第2シート面11、12より離脱(リフト)していない場合には、第1、第2ニードルピース1、2の第1、第2シート部15、16がブッシュ3の第1、第2シート面11、12に着座することで、第1、第2燃料通路5、6とノズル噴孔部の第1、第2噴孔入口流路31、32との連通状態が遮断されているため、第1、第2燃料通路5、6から第1、第2噴孔入口流路31、32へ燃料は流れない。
また、例えばエンジンの運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合、すなわち、指令噴射量(QFIN)が比較的大噴射量で、高速(または低速)高負荷領域(特に高負荷領域)の場合には、第1ニードルピース1のみをブッシュ3の第1シート面11より離脱(リフト)させるように、電磁弁を開弁駆動して、第1ニードルピース1の後端部に作用する閉弁方向の燃料圧力を減少させることで、第1燃料通路5内の燃料圧力がノズルホルダー内に収容された第1スプリングの付勢力よりも上回る。これにより、図4(a)に示したように、第1ニードルピース1のみが、ブッシュ3の第1シート面11から離脱(リフト)する。
この第1ニードルピース1の開弁方向の移動(リフト)によって、第1ニードルピース1の第1シート部15がブッシュ3の第1シート面11から離脱(リフト)する。このため、第1燃料通路5からノズル噴孔部に向かう燃料が、図4(a)に示したように、ブッシュ3のノズル噴孔部のうちの第1噴孔入口流路31にのみ流れ込む。そして、第1噴孔入口流路31内に流入した燃料は、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状(直進状)の燃料流(主噴流)となって、噴孔出口流路35から流出してエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される。
この場合、得られる燃料噴霧は、高貫徹力の燃料噴霧(長くて指向性の強い燃料噴霧)となる。したがって、高貫徹力の燃料噴射(形態)が得られる。また、燃料噴射率は、従来型の燃料噴射ノズルと同等なものとなる。また、直線状(直進状)の燃料流(主噴流)を利用するため、流量係数は増加し、燃料噴射率は高くなる。
また、例えばエンジンの運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合、すなわち、指令噴射量(QFIN)が比較的小噴射量で、低速(または高速)低負荷領域(特に低負荷領域)の場合には、第2ニードルピース2のみをブッシュ3の第2シート面12より離脱(リフト)させるように、電磁弁を開弁駆動して、第2ニードルピース2の後端部に作用する閉弁方向の燃料圧力を減少させることで、第2燃料通路6内の燃料圧力がノズルホルダー内に収容された第2スプリングの付勢力よりも上回る。これにより、図5(a)に示したように、第2ニードルピース2のみが、ブッシュ3の第2シート面12から離脱(リフト)する。
この第2ニードルピース2の開弁方向の移動(リフト)によって、第2ニードルピース2の第2シート部16がブッシュ3の第2シート面12から離脱(リフト)する。このため、第1、第2燃料通路5、6からノズル噴孔部に向かう燃料が、図5(a)に示したように、ブッシュ3のノズル噴孔部のうちの第2噴孔入口流路32にのみ流れ込む。そして、第2噴孔入口流路32内に流入した燃料は、第2噴孔入口流路32のスワール溝33を通過し、合流室34へ送られる。このとき、燃料は合流室34にて回転方向の流れを形成し、すなわち、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流(スワール流)となって、噴孔出口流路35から流出してエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される。
この場合、得られる燃料噴霧は、低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴霧(拡散性の高い燃料噴霧)となる。したがって、低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射(形態)が得られる。また、旋回状の燃料流(スワール流)を利用するため、流量係数は低下し、燃料噴射率は低くなる。このニードルリフトパターンは、エンジンの気筒内圧力が比較的小さい低負荷領域だけでなく、主の燃料噴射(メイン噴射)に先立って実施されるパイロット噴射に使用しても良く、混合気を薄く広く形成させたい場合に用いても良い。
また、例えばエンジンの運転領域が高貫徹力で、且つ高拡散性を要求する領域である場合、すなわち、指令噴射量(QFIN)が比較的中噴射量で、中速(または高速または低速)中負荷領域(特に中負荷領域)の場合に、第1、第2ニードルピース1、2の両方をブッシュ3の第1、第2シート面11、12より離脱(リフト)させるように、電磁弁を開弁駆動して、第1、第2ニードルピース1、2の後端部に作用する閉弁方向の燃料圧力を減少させることで、第1、第2燃料通路5、6内の燃料圧力がノズルホルダー内に収容された第1、第2スプリングの付勢力よりも上回る。これにより、図6に示したように、第1、第2ニードルピース1、2の両方が、ブッシュ3の第1、第2シート面11、12から離脱(リフト)する。
これらの第1、第2ニードルピース1、2の開弁方向の移動(リフト)によって、第1、第2ニードルピース1、2の第1、第2シート部15、16がブッシュ3の第1、第2シート面11、12から共に離脱(リフト)する。このため、第1、第2燃料通路5、6からノズル噴孔部に向かう燃料が、図6に示したように、ブッシュ3のノズル噴孔部の第1、第2噴孔入口流路31、32の両方に流れ込む。そして、第1噴孔入口流路31内に流入した燃料は、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状(直進状)の燃料流(主噴流)となって、噴孔出口流路35から流出してエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される。さらに、第2噴孔入口流路32内に流入した燃料は、スワール溝33を通過して合流室34へ送り込まれ、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流(スワール流)となって、噴孔出口流路35から流出してエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される。
この場合、得られる燃料噴霧は、主噴流による高貫徹力の燃料噴霧とスワール流による高拡散性の燃料噴霧とが組み合わされた燃料噴霧となる。したがって、高貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射(形態)が得られる。このニードルリフトパターンは、噴射流量が大きく、且つ広範囲に混合気を形成することが可能となるため、中負荷領域で使用することが望ましいが、高負荷領域で使用しても良い。また、第1、第2ニードルピース1、2の両方を、ブッシュ3の第1、第2シート面11、12から離脱(リフト)させる場合、第1ニードルピース1と第2ニードルピース2との開弁期間または開弁時期や閉弁時期を変化させて、第1噴孔入口流路31と第2噴孔入口流路32との燃料流量を調節することで、噴孔出口流路35から噴射される燃料の噴霧角度の大きさや貫徹力の大きさを調節しても良い。また、第1ニードルピース1と第2ニードルピース2との開弁期間または開弁時期や閉弁時期を変化させて、流量係数の異なる第1噴孔流路13と第2噴孔流路14の干渉によって、燃料噴射率を可変するようにしても良い。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルにおいては、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うノズル噴孔部として、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状(直進状)の燃料流(主噴流)を形成することが可能な第1噴孔入口流路31と、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流(スワール流)を形成することが可能な第2噴孔入口流路32(のスワール溝33)および合流室34とを、噴孔出口流路35を形成したノズルボデー4の先端側に設けられる略円錐筒状部29内に圧入嵌合されたブッシュ3に形成している。
以上のように、本実施例のディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルにおいては、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うノズル噴孔部として、噴孔出口流路35の軸線方向に対して直線状(直進状)の燃料流(主噴流)を形成することが可能な第1噴孔入口流路31と、噴孔出口流路35の軸線方向に対して旋回状の燃料流(スワール流)を形成することが可能な第2噴孔入口流路32(のスワール溝33)および合流室34とを、噴孔出口流路35を形成したノズルボデー4の先端側に設けられる略円錐筒状部29内に圧入嵌合されたブッシュ3に形成している。
そして、第1、第2ニードルピース1、2によって構成される2分割型のノズルニードルを選択的に開閉することによって、第1、第2噴孔入口流路31、32への燃料流の流入時期と燃料流量とを制御することにより、エンジンの運転領域(特にエンジン負荷領域)に対応して、主噴流のみによる燃料噴射形態と、スワール流のみによる燃料噴射形態と、主噴流とスワール流とを組み合わせた燃料噴射形態との切り替えを実施している。これによって、エンジンの運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合には、第1ニードルピース1のみをブッシュ3の第1シート面11より離脱(リフト)させて、ノズル噴孔部のうちの第1噴孔入口流路31のみを開放することで、主噴流のみによる高貫徹力の燃料噴射が得られるようになる。これによって、ノズル噴孔部の噴孔出口流路35よりエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧は、細くて長い指向性の強い燃料噴霧となる。したがって、この燃料噴霧は、エンジンの各気筒の燃焼室内の狙った方向に遠くまで噴射され、エンジンの各気筒の燃焼室内の燃料噴射ノズルから遠い箇所に届くため、良好な燃焼状態を確保することができる。
また、エンジンの運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合には、第2ニードルピース2のみをブッシュ3の第2シート面12より離脱(リフト)させて、ノズル噴孔部のうちの第2噴孔入口流路32のみを開放することで、スワール流のみによる低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射が得られるようになる。これによって、ノズル噴孔部の噴孔出口流路35よりエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧は、太くて短い拡散性の高い燃料噴霧となる。したがって、この燃料噴霧は、微粒化が促進されるため、燃料の着火性が向上して良好な燃焼が確保される。これにより、エンジンより排出される排気ガスをクリーンにすることができ、特に黒煙(スモーク)を低減することができ、エンジンの出力や燃費も向上することができる。
また、エンジンの運転領域が高貫徹力で、且つ高拡散性を要求する領域である場合には、第1、第2ニードルピース1、2の両方をブッシュ3の第1、第2シート面11、12より離脱(リフト)させて、ノズル噴孔部の第1、第2噴孔入口流路31、32の両方を開放することで、主噴流とスワール流とを組み合わせた高貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射が得られるようになる。これによって、ノズル噴孔部の噴孔出口流路35よりエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧は、太くて長い高貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴霧となる。これによって、ノズル噴孔部の噴孔出口流路35よりエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧は、エンジンの各気筒の燃焼室内全体に行き渡るので、エンジンの各気筒の燃焼室内の空気利用率を上げることができる。これにより、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射される燃料噴霧とエンジンの各気筒の燃焼室内の空気との混合が促進されるため、燃料と空気とが効率良く混ぜ合わされ、燃料の着火性が向上して良好な燃焼を確保することができる。したがって、ノズル噴孔部の噴孔径を縮小することなく、しかも燃料の噴射期間や噴射圧力を増加することなく、エンジンの各気筒の燃焼室内の空気との混合を促進することで、燃料噴霧または燃料液滴を微粒化し、エンジンより排出される排気ガス中の黒煙(スモーク)を低減することができる。また、エンジンの各気筒の燃焼室内の燃焼状態を改善できるので、エンジンの排気ガス性能を向上でき、且つエンジンの出力や燃費も向上することができる。
また、スワール溝33および合流室(スワール室)34を、ノズルボデー4の先端側に設けられる略円錐筒状部29内に圧入嵌合されたブッシュ3の外壁面に例えば外面切削加工や外面溝加工等により形成することにより、ブッシュ3とノズルボデー4とを一体化したハウジング(ノズル本体)の内部にスワール溝33および合流室(スワール室)34を設ける場合と比較して加工が容易となるので、高品質で、且つ高精度な燃料噴射ノズルを製造することができる。なお、スワール溝33および合流室(スワール室)34を、ノズルボデー4の略円錐筒状部29の内壁面に例えば内面切削加工や内面溝加工等により形成しても良く、また、スワール溝33および合流室(スワール室)34を、ブッシュ3の外壁面およびノズルボデー4の略円錐筒状部29の内壁面に形成しても良い。また、第2噴孔入口流路32の流路壁面に螺旋状の溝加工を施して旋回状の燃料流を形成するようにしても良い。また、第1噴孔入口流路31内を流れる燃料流と第2噴孔入口流路32内を流れる燃料流とが合流する合流室34をT字状またはY字状にしたり、第1、第2噴孔入口流路31、32の入口または出口にR形状の面取りを施したりしても良い。
図7は本発明の実施例2を示したもので、図7(a)は小リフト時の燃料噴射ノズルを示した図で、図7(b)は大リフト時の燃料噴射ノズルを示した図である。
本実施例の燃料噴射ノズルは、ノズルボデー(ハウジング)9の略円錐筒状部29の内壁面に概略2段の円錐形状面よりなる第1、第2シート面(第1、第2円錐台面)11、12を設け、ノズルニードル(噴射形態切替手段)10の先端側に第1、第2シート面11、12に液密的に接触(着座)するテーパ状の第1、第2シート部(第1、第2円錐形状面)15、16を設け、これらの第1、第2シート部15、16で開口する第1、第2噴孔流路13、14を設けて、ノズルニードル10をノズルボデー9の第1、第2シート面11、12に対して2段階にリフトさせることで、エンジンの運転領域(特にエンジン負荷領域)に対応して、ノズル噴孔部より噴射される燃料噴射形態、およびノズル噴孔部の噴孔数(燃料噴射を行う噴孔数)を変更する可変噴孔ノズルである。
そのノズル噴孔部のうちの第1噴孔流路13は、高貫徹力の燃料噴射形態を得るために指向性の強い燃料噴霧を発生させる噴孔部であって、また、ノズル噴孔部のうちの第2噴孔流路14は、低貫徹力の燃料噴射形態を得るために拡散性の高い燃料噴霧を発生させる噴孔部である。そして、第1噴孔流路13は、ノズルボデー9の第1シート面11で開口する第1噴孔入口流路31、およびこの第1噴孔入口流路31のみに連通すると共に、ノズルボデー9の外壁面(エンジンの各気筒の燃焼室内に露出する面)で開口する第1噴孔出口流路41を有している。また、第2噴孔流路14は、ノズルボデー9の第2シート面12で開口する第2噴孔入口流路32、およびこの第2噴孔入口流路32のみに連通すると共に、ノズルボデー9の外壁面(エンジンの各気筒の燃焼室内に露出する面)で開口する第2噴孔出口流路42を有している。
また、第2噴孔流路14は、第1噴孔流路13よりもノズルボデー9の油溜り室8に連通する円筒状の燃料通路43内を流れる燃料流方向の上流側に設けられている。また、第1、第2噴孔流路13、14は、ノズルボデー9の略円錐筒状部29を斜めに貫通している。なお、ノズルボデー9の略円錐筒状部29よりも先端側には、サックボリューム(サック室)44を形成する円頂部45が設けられている。そして、ノズルニードル10は、軸方向部22とノズルボデー9の軸方向孔24との間に所定のクリアランスを保って往復移動自在に収容されている。このクリアランスは、油溜り室8から第1、第2シート面11、12へ延びる燃料通路43として利用されている。
以上のように、燃料噴射ノズルとして、ノズルニードル10が分離されていない可変噴孔ノズルを用いた場合においても、ノズルニードル10をノズルボデー9の第1、第2シート面11、12に対して2段階にリフトさせることで、エンジンの運転領域(特にエンジン負荷領域)に対応して、スワール流のみによる燃料噴射形態と、主噴流とスワール流とを組み合わせた燃料噴射形態との切り替えを実施できる。ここで、例えばエンジンの運転領域が低貫徹力を要求する領域である場合には、図7(a)に示したように、ノズルニードル10のリフト量を小さくして、ノズルボデー9の第2シート面12とノズルニードル10の第2シート部16との間のクリアランスを非常に狭いクリアランスとする。この場合、第1噴孔流路13の第1噴孔入口流路31がノズルニードル10の第1シート部15によってシールされているが、燃料通路43からノズルボデー9の第2シート面12とノズルニードル10の第2シート部16との間のクリアランスを経由して第2噴孔流路14の第2噴孔入口流路32内に燃料が流入するため、スワール流のみによる低貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射が得られる。
また、例えばエンジンの運転領域が高貫徹力を要求する領域である場合には、図7(b)に示したように、ノズルニードル10のリフト量を大きくして、ノズルボデー9の第1、第2シート面11、12とノズルニードル10の第1、第2シート部15、16との間のクリアランスを非常に広いクリアランスとする。この場合、燃料通路43からノズルボデー9の第1、第2シート面11、12とノズルニードル10の第1、第2シート部15、16との間のクリアランスを経由して第1、第2噴孔流路13、14の第1、第2噴孔入口流路31、32内に燃料が流入するため、主噴流とスワール流とを組み合わせた高貫徹力で、且つ高拡散性の燃料噴射が得られる。
また、エンジンの運転領域(エンジン負荷領域)が低貫徹力を要求する領域である際に、ノズルニードル10をノズルボデー9の第1、第2シート面11、12より離脱(リフト)させて、第2噴孔流路14を第1噴孔流路13よりも優先的に開放するようにしても良い。この場合には、図7(a)に示したようなノズルニードル10の小リフト時に、ノズルボデー9の第1シート面11とノズルニードル10の第1シート部15との間の第1クリアランスよりも、ノズルボデー9の第2シート面12とノズルニードル10の第2シート部16との間の第2クリアランスの方を広くすることで、燃料通路43から第1噴孔流路13の第1噴孔入口流路31よりも第2噴孔流路14の第2噴孔入口流路32内に優先的に燃料が流入する。また、エンジンの運転領域(エンジン負荷領域)が高貫徹力を要求する領域である場合に、ノズルニードル10をノズルボデー9の第1、第2シート面11、12より離脱(リフト)させて、第1噴孔流路13を第2噴孔流路14よりも優先的に開放しても良い。この場合には、図7(a)に示した第1、第2噴孔流路13、14を入れ換えることにより、燃料通路43から第2噴孔流路14の第2噴孔入口流路32よりも第1噴孔流路13の第1噴孔入口流路31内に優先的に燃料が流入する。
[変形例]
本実施例では、本発明の燃料噴射ノズルを、サプライポンプから圧送された高圧燃料をコモンレール内に蓄圧し、このコモンレール内に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射システム)に使用されるインジェクタ(例えば電磁式燃料噴射弁)の燃料噴射ノズルに適用した例を説明したが、本発明の燃料噴射ノズルを、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから油溜り室8および第1、第2燃料通路5、6内に直接圧送され、第1、第2燃料通路5、6内の燃料圧力が第1、第2スプリング等のニードル付勢手段の付勢力よりも大きくなると第1、第2ニードルピース1、2が開弁して、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料噴射する内燃機関用燃料噴射装置に使用される燃料噴射ノズルに適用しても良い。なお、インジェクタとして、圧電方式の燃料噴射弁を採用しても良い。また、本発明の燃料噴射ノズルを、ガソリンエンジン用のフューエルインジェクタの燃料噴射ノズルに適用しても良い。
本実施例では、本発明の燃料噴射ノズルを、サプライポンプから圧送された高圧燃料をコモンレール内に蓄圧し、このコモンレール内に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射システム)に使用されるインジェクタ(例えば電磁式燃料噴射弁)の燃料噴射ノズルに適用した例を説明したが、本発明の燃料噴射ノズルを、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから油溜り室8および第1、第2燃料通路5、6内に直接圧送され、第1、第2燃料通路5、6内の燃料圧力が第1、第2スプリング等のニードル付勢手段の付勢力よりも大きくなると第1、第2ニードルピース1、2が開弁して、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料噴射する内燃機関用燃料噴射装置に使用される燃料噴射ノズルに適用しても良い。なお、インジェクタとして、圧電方式の燃料噴射弁を採用しても良い。また、本発明の燃料噴射ノズルを、ガソリンエンジン用のフューエルインジェクタの燃料噴射ノズルに適用しても良い。
本実施例では、本発明の燃料噴射ノズルを、直接噴射式ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けて燃料をエンジンの各気筒の燃焼室内に直接噴射する直接噴射タイプの燃料噴射ノズルに適用した例を説明したが、本発明の燃料噴射ノズルを、副燃焼室式ディーゼルエンジンのシリンダヘッドに取り付けて燃料をエンジンの各気筒の副燃焼室内に噴射するタイプの燃料噴射ノズルに適用しても良い。また、本実施例では、第1、第2噴孔流路13、14の断面形状を円形状としたが、第1、第2噴孔流路13、14の断面形状を多角形状、長円形状、楕円形状としても良い。また、本実施例では、ノズル噴孔部の第1、第2噴孔入口流路31、32を、ブッシュ3またはノズルボデー9の第1、第2シート面11、12で開口させているが、ノズル噴孔部の第1、第2噴孔入口流路31、32を、内部にサックボリューム(サック室)44が形成される円頂部45の内壁面で開口させても良い。
本実施例では、第1噴孔流路13の第1噴孔入口流路31を、第2噴孔流路14の第2噴孔入口流路32に対してブッシュ3の円錐台状部の燃料流方向の下流側に設けているが、第1噴孔流路13の第1噴孔入口流路31を、第2噴孔流路14の第2噴孔入口流路32に対してブッシュ3の円錐台状部の燃料流方向の上流側に設けても良い。また、複数個の第1噴孔流路13の第1噴孔入口流路31の出口をブッシュ3の円錐台状部の外壁面の同一円周上に設けているが、異ならせても良い。また、複数個の第2噴孔流路14の第2噴孔入口流路32の出口をブッシュ3の円錐台状部の外壁面の同一円周上に設けているが、異ならせても良い。
1 第1ニードルピース(噴射形態切替手段、ノズルニードル)
2 第2ニードルピース(噴射形態切替手段、ノズルニードル)
3 ブッシュ(ハウジング)
4 ノズルボデー(ハウジング)
9 ノズルボデー(ハウジング)
10 ノズルニードル(噴射形態切替手段)
11 第1シート面
12 第2シート面
13 第1噴孔流路(噴孔部)
14 第2噴孔流路(噴孔部)
15 第1シート部
16 第2シート部
31 第1噴孔入口流路
32 第2噴孔入口流路
33 スワール溝
34 合流室
35 噴孔出口流路
41 第1噴孔出口流路
42 第2噴孔出口流路
2 第2ニードルピース(噴射形態切替手段、ノズルニードル)
3 ブッシュ(ハウジング)
4 ノズルボデー(ハウジング)
9 ノズルボデー(ハウジング)
10 ノズルニードル(噴射形態切替手段)
11 第1シート面
12 第2シート面
13 第1噴孔流路(噴孔部)
14 第2噴孔流路(噴孔部)
15 第1シート部
16 第2シート部
31 第1噴孔入口流路
32 第2噴孔入口流路
33 スワール溝
34 合流室
35 噴孔出口流路
41 第1噴孔出口流路
42 第2噴孔出口流路
Claims (6)
- (a)内燃機関の気筒内に燃料噴射を行う噴孔部を有する筒状のハウジングと、
(b)前記内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射形態と低貫徹力の燃料噴射形態とを選択的に切り替える噴射形態切替手段と
を備えた燃料噴射ノズルであって、
前記ハウジングは、第1、第2シート面を有し、
前記噴孔部は、前記第1シート面近傍で開口しており、高貫徹力の燃料噴射形態を得るために指向性の強い燃料噴霧を発生させる第1噴孔流路、および前記第2シート面近傍で開口しており、低貫徹力の燃料噴射形態を得るために拡散性の高い燃料噴霧を発生させる第2噴孔流路を有し、
前記噴射形態切替手段は、前記第1シート面に着座、離脱して前記第1噴孔流路を閉塞、開放する第1ニードルピースと、前記第2シート面に着座、離脱して前記第2噴孔流路を閉塞、開放する第2ニードルピースとを備え、
前記内燃機関の運転領域が高貫徹力を要求する領域である際に、前記第1ニードルピースのみを前記第1シート面より離脱させて、前記第1噴孔流路のみを開放すると共に、
前記内燃機関の運転領域が低貫徹力を要求する領域である際に、前記第2ニードルピースのみを前記第2シート面より離脱させて、前記第2噴孔流路のみを開放することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記噴射形態切替手段は、
前記内燃機関の運転領域が高貫徹力および低貫徹力を要求する領域である際に、前記第1、第2ニードルピースの両方を前記第1、第2シート面より離脱させて、前記第1、第2噴孔流路の両方を開放することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記第1噴孔流路は、前記ハウジングの内壁面で開口する第1噴孔入口流路を有し、
前記第2噴孔流路は、前記ハウジングの内壁面で開口する第2噴孔入口流路を有し、
前記第1、第2噴孔流路は、前記第1噴孔入口流路および前記第2噴孔入口流路の両方に、前記第1噴孔入口流路内を流れる燃料流と前記第2噴孔入口流路内を流れる燃料流とが合流する合流室を介して連通する噴孔出口流路を有していることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項3に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記合流室は、前記第1噴孔入口流路の軸線に対して、前記第2噴孔入口流路の軸線がオフセット配置された円形状空間であって、
前記第2噴孔入口流路内から前記円形状空間内に流入した燃料流は、前記円形状空間内で前記噴孔出口流路に向かう旋回流を形成することを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 請求項3または請求項4に記載の燃料噴射ノズルにおいて、
前記ハウジングは、前記噴孔出口流路が形成されたノズルボデー、および前記第1、第2噴孔入口流路が形成されたブッシュを有し、
前記ブッシュは、前記ノズルボデー内に圧入嵌合されており、
前記合流室は、前記ノズルボデーの内壁面と前記ブッシュの外壁面との間に設けられていることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - (a)内燃機関の気筒内に燃料噴射を行う噴孔部を有する筒状のノズルボデーと、
(b)前記内燃機関の運転領域に対応して、高貫徹力の燃料噴射形態と低貫徹力の燃料噴射形態とを選択的に切り替える噴射形態切替手段と
を備えた燃料噴射ノズルであって、
前記ノズルボデーは、第1、第2シート面を有し、
前記噴孔部は、前記第1シート面近傍で開口しており、高貫徹力の燃料噴射形態を得るために指向性の強い燃料噴霧を発生させる第1噴孔流路、および前記第2シート面近傍で開口しており、低貫徹力の燃料噴射形態を得るために拡散性の高い燃料噴霧を発生させる第2噴孔流路を有し、
前記噴射形態切替手段は、前記第1、第2シート面に着座、離脱して前記第1、第2噴孔流路を閉塞、開放すると共に、前記第1、第2シート面に対して2段階にリフトすることが可能なノズルニードルを備え、
前記内燃機関の運転領域が低貫徹力を要求する領域である際に、前記ノズルニードルのリフト量を小さくして、前記第2噴孔流路のみを開放すると共に、
前記内燃機関の運転領域が高貫徹力を要求する領域である際に、前記ノズルニードルのリフト量を大きくして、前記第1、第2噴孔流路の両方を開放することを特徴とする燃料噴射ノズル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004269434A JP2006083764A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | 燃料噴射ノズル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004269434A JP2006083764A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | 燃料噴射ノズル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006083764A true JP2006083764A (ja) | 2006-03-30 |
Family
ID=36162482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004269434A Pending JP2006083764A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | 燃料噴射ノズル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006083764A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013145451A1 (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 火花点火式筒内噴射弁 |
JP2014148897A (ja) * | 2013-01-31 | 2014-08-21 | Hino Motors Ltd | 燃料噴射ノズル |
-
2004
- 2004-09-16 JP JP2004269434A patent/JP2006083764A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013145451A1 (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 火花点火式筒内噴射弁 |
JP2013199876A (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | Hitachi Automotive Systems Ltd | 火花点火式筒内噴射弁 |
US9677526B2 (en) | 2012-03-26 | 2017-06-13 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Spark-ignition direct fuel injection valve |
US10024288B2 (en) | 2012-03-26 | 2018-07-17 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Spark-ignition direct fuel injection valve |
US10704518B2 (en) | 2012-03-26 | 2020-07-07 | Hitachi Automotive Systems, Ltd. | Spark-ignition direct fuel injection valve |
JP2014148897A (ja) * | 2013-01-31 | 2014-08-21 | Hino Motors Ltd | 燃料噴射ノズル |
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