JP2006083600A - 埋設石綿管の撤去方法およびそのための装置 - Google Patents

埋設石綿管の撤去方法およびそのための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】石綿粉塵を外部に飛散させることなく、超高圧水によって石綿管の破砕を行うようにする。
【解決手段】回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置13に接続された超高圧ホース14を、石綿管1内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持し、前記超高圧水噴射装置13及び超高圧ホース14を石綿管1の上部口より挿入し、前記超高圧水噴射装置13より超高圧水を噴射させることにより前記石綿管1を破砕する埋設石綿管の撤去方法において、前記石綿管1の上部口1cを、前記超高圧ホース14のシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具16によって封鎖するとともに、該石綿管上部封鎖具16に接続された吸引用ホース18を減圧集塵装置17に接続し、前記超高圧水噴射装置13による石綿管1の破砕時に、石綿粉塵を前記減圧集塵装置17により吸引除去することにより、石綿粉塵の管外部への飛散を防止する。
【選択図】図5

Description

本発明は、建物の躯体に埋設されている石綿管(アスベスト)を超高圧水噴射装置によって破砕する際、石綿粉塵を管外部に飛散させないようにした埋設石綿管の撤去方法およびそのための装置に関する。
現在では、アスベスト粉塵が中皮腫や肺ガンを引き起こす原因となることが判明しているため、その使用には厳しい制限が設けられているが、従来はアスベスト(石綿)に対する規制が無かったため、建築物では断熱材や絶縁材としてアスベストが頻繁に使用されていた。
近年、アスベストを使用している過去の古い建物の解体時期が来ており、その解体方法が問題となっている。たとえば、集合住宅等では浴室風呂釜用として石綿で内面をライニングした排熱管が躯体中に埋設され、またビル等でボイラー管として石綿で内面をライニングした排熱管が躯体中に埋設されており、これら建物の解体に当たっては、躯体解体に先だって先ず石綿管撤去が行われる。石綿管の撤去に当たっては、従来、管の埋設方向に沿って躯体をブレーカなどのハツリ機により破砕し、石綿管を露出させたならば水などを十分噴霧することにより湿潤状態を維持しアスベストが飛散しないようにしながら作業が進められていた。
しかし、前述した解体方法では、躯体のハツリ作業にかなりの時間と手間が掛かるため解体作業が効率的に行えないなどの問題があるとともに、極力アスベストが飛散しないように湿潤化を図りながら作業を行ってもアスベストの飛散を完全に防止することは出来ず、作業者および周囲の住人がアスベスト粉塵の危険に侵される危険性があるなどの問題が発生していた。
この問題を解決すべく、下記特許文献1では、先端に超高圧水噴射ノズルヘッドを備えたシャフトを部材長手方向に沿って前後進自在かつ軸芯周りに回転自在に保持するとともに、前記シャフトを石綿管上部口より挿入し、一方、前記石綿管の下端口に吸引用ホースを接続するとともに、この吸引用ホースを減圧集塵装置に接続して吸引・除去可能としておき、前記シャフトを石綿管の孔底部まで挿入した後、シャフトを軸芯周りに回転させるとともに、挿入元側に引上げながら前記超高圧水噴射ノズルヘッドより超高圧水を噴射させることにより石綿管を連続的に破砕し、かつ前記石綿管の下端口に接続してある前記吸引用ホースにより破砕された石綿粉塵および石綿片を吸引除去するようにした石綿管の撤去方法及びそのための装置が提案されている。
さらに、下記特許文献2では、上記問題の解決に加え湾曲石綿管や屈曲石綿管などにも対応した石綿管破砕装置を提供すること等を目的として、先端部分に回転噴射ノズルヘッドを備える超高圧水噴射ユニットと、この超高圧水噴射ユニットの後端部に接続され超高圧水を送給する超高圧ホースと、架台上に配置され前記超高圧水ホースを石綿管へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持する昇降ユニットと、前記超高圧水噴射ユニットの後端部に接続され前記回転噴射ノズルヘッドに回転駆動力を伝達するフレキシブルシャフトと、このフレキシブルシャフトに回転駆動力を与える回転駆動ユニットとから構成される石綿管破砕装置が提案されている。
特開2000−226942号公報 特開2003−97059号公報
しかしながら、前述した石綿管の撤去方法および装置の場合には、石綿管の上部口から石綿粉塵が外部に飛散するおそれがあるため、石綿管上部を覆うように囲み込み養生を行う必要があるとともに、この囲い込み養生の内部で作業する作業員は防塵マスクなどにより粉塵対策は行うものの、常に石綿粉塵に晒される危険性があった。また、作業員に付着した石綿粉塵を外部に持ち出さないように、出入口部にエアーウォッシャー室を設け、該出入口部で完全に石綿粉塵の除去を行う必要があるなど、仮設設備の設置手間が掛かるとともに、安全管理が非常に煩雑であった。
そこで、本発明の主たる課題は、石綿粉塵を外部に飛散させることなく、超高圧水によって石綿管の撤去を行えるようにすることで、囲い込み養生やエアーウォッシャー室などの仮設設備を不要とするとともに、安全性の高い埋設石綿管の撤去方法およびそのための装置を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースを、石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持し、前記超高圧水噴射装置及び超高圧ホースを建物の躯体内に埋設された石綿管の上部口より挿入し、前記超高圧水噴射装置より超高圧水を噴射させることにより前記石綿管を破砕する埋設石綿管の撤去方法において、
前記石綿管の上部口を、前記超高圧ホースのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具によって封鎖するとともに、該石綿管上部封鎖具に接続された吸引用ホースを減圧集塵装置に接続し、前記超高圧水噴射装置による石綿管の破砕時に、石綿粉塵を前記減圧集塵装置により吸引除去することにより、石綿粉塵の管外部への飛散を防止することを特徴とする埋設石綿管の撤去方法が提供される。
上記請求項1記載の本発明においては、石綿管の上部口を前記石綿管上部封鎖具により封鎖するとともに、前記超高圧水噴射装置による石綿管の破砕時に、石綿粉塵を前記減圧集塵装置により吸引除去することにより、石綿粉塵が管外部へ飛散するのを防止することができるため、囲い込み養生やエアウォッシャー室のような仮設設備を省略することが可能となる。
なお、前記石綿管としては、石綿を含有する石綿セメント円筒や、内面を石綿でライニングしたカポスタック(商標名)などの石綿を含有する管全般を対象とすることができる。
請求項2に係る本発明として、前記石綿管の下端口に吸引用ホースを接続するとともに、この吸引用ホースを減圧集塵装置に接続し、破砕された石綿粉塵を吸引除去する請求項1記載の埋設石綿管の撤去方法が提供される。
上記請求項2記載の本発明においては、更に石綿管の下端口においても、減圧集塵装置に接続し、石綿粉塵を吸引・除去する。従って、石綿管の上端口及び下端口を完全に塞ぎ、石綿管内を外部と遮断した状態で破砕作業が行われるため、石綿粉塵を外部に漏らすことがなくなる。
請求項3に係る本発明として、回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースを、石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持し、前記超高圧水噴射装置及び超高圧ホースを建物の躯体内に埋設された石綿管の上部口より挿入し、前記超高圧水噴射装置より超高圧水を噴射させることにより前記石綿管を破砕する埋設石綿管の撤去方法において、
前記石綿管の上部口を、前記超高圧ホースのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具によって封鎖するとともに、該石綿管上部封鎖具に接続された送風用ホースを送風機に接続して石綿管内に圧縮空気を供給可能とする一方、前記石綿管の下端口に吸引用ホースを接続するとともに、この吸引用ホースを減圧集塵装置に接続し、
前記超高圧水噴射装置による石綿管の破砕時に、前記送風機から圧縮空気を石綿管内に供給するとともに、石綿管の下端口から前記減圧集塵装置によって吸引することにより前記石綿管内に下方向の気流を生じせしめ、石綿粉塵の管外部への飛散を防止することを特徴とする埋設石綿管の撤去方法が提供される。
上記請求項3記載の本発明においては、前記石綿管上部封鎖具に送風機を接続し圧縮空気の供給を可能としておく一方、前記石綿管の下端口に吸引用ホースを接続するとともに、この吸引用ホースを減圧集塵装置に接続して吸引・除去可能としておき、石綿管の破砕時に、前記送風機から圧縮空気を送風するとともに、前記減圧集塵装置によって吸引することにより前記石綿管内に下方向の気流を生じせしめ、石綿粉塵の管外部への飛散を防止する。従って、石綿粉塵の飛散は確実に防止できるようになる。
請求項4に係る本発明として、回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置と、該超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースと、この超高圧ホースを石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持するホース用昇降ユニットと、石綿管の上部口を封鎖するとともに、前記超高圧ホースを挿通するためのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具と、この石綿管上部封鎖具に接続された吸引用ホースと、この吸引用ホースが接続された減圧集塵装置とからなることを特徴とする請求項1記載の埋設石綿管の撤去方法のための石綿管破砕装置が提供される。
請求項5記載の本発明として、回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置と、該超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースと、この超高圧ホースを石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持するホース用昇降ユニットと、石綿管の上部口を封鎖するとともに、前記超高圧ホースを挿通するためのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具と、この石綿管上部封鎖具に接続された送風用ホースと、この送風用ホースが接続された送風機と、前記石綿管の下端口に接続された吸引用ホースと、この吸引用ホースが接続された減圧集塵装置とからなることを特徴とする請求項3記載の埋設石綿管の撤去方法のための石綿管破砕装置が提供される。
請求項6に係る本発明として、前記石綿管上部封鎖具は、函体形状を成し、石綿管を封鎖する封鎖板部に前記シール挿通部を備える石綿吸引器具が設けられている請求項4,5いずれかに記載の石綿管破砕装置が提供される。
請求項7に係る本発明として、前記石綿管上部封鎖具の函体側面には、腕挿入孔が形成されるとともに、この腕挿入孔に連続して手袋状の腕挿入体が設けられ、かつ函体内部に洗浄用スプレーガンが備えられている請求項6記載の石綿管破砕装置が提供される。
請求項8に係る本発明として、前記石綿管上部封鎖具のシール挿通部は、放射状に複数の切込みが形成されたゴムシール体である請求項4〜7いずれかに記載の石綿管破砕装置が提供される。
以上詳説のとおり本発明によれば、石綿粉塵を外部に飛散させることなく、超高圧水によって石綿管の撤去を行えるようになるため、囲い込み養生やエアーウォッシャー室などの仮設設備を省略できるようになるとともに、作業の効率化が図れるようになる。また、作業員の安全も確保されるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1に示される古い集合住宅Tでは、浴室風呂釜からの排熱管として、各住戸毎に石綿管1,1…が鉛直方向に沿って躯体に埋設されている。図示の例では、図2に示されるように、コンクリート壁体2中に各階毎の石綿管1A〜1Dが並んで埋設されているとともに、各石綿管1は下端部には2つの排熱口1a,1bを有し、上部口1cが排熱放出口となっている。
〔第1形態例〕
(装置構成)
かかる石綿管1を撤去するために、本形態例に係る方法では図3に示されるように、撤去対象石綿管1の排熱放出口部1c部位に設置される石綿管破砕装置3Aと、この石綿管破砕装置3Aに超高圧水を供給するためのポンプ車4と、前記石綿管1下端の排熱口1aに吸引ホース10が接続されたバキューム車5とを用いて撤去が行われる。なお、前記バキューム車5の吸引ホース10は、図4に示されるように、2つある排熱口1a、1bの内、下端側排熱口1aに対して接続され、上段側排熱口1bの方は排熱口封鎖板12によって少なくとも施工中は塞がれている。
前記石綿管破砕装置3Aは、図5に示されるように、超高圧水を噴射するための回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置13と、この高圧水噴射装置13に接続され超高圧水を供給するための超高圧ホース14と、この超高圧ホース14を石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持する昇降ユニット15と、石綿管1の上部口1cを封鎖するとともに、前記超高圧ホース14を挿通するためのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具16と、この石綿管上部封鎖具16に接続された吸引用ホース18と、この吸引用ホース18が接続された減圧集塵装置17とから構成されるものである。
前記超高圧水噴射装置13は、図6に示されるように、超高圧水を噴射するためのノズルユニット13Aと、このノズルユニット13Aを回転自在に保持するスイベルジョイント13Bと、このスイベルジョイント13Bに固定された昇降ガイド13Cとから構成されている。
さらに詳しくは、前記ノズルユニット13Aは、ヘッド部13aよりノズル管13b、13cが夫々側方に延在するように設けられているとともに、これらノズル管13b、13cを平面的に偏倚させることにより、噴射圧によって生じる偶力によってノズルユニット13Aが自回転するようになっている。一方、前記スイベルジョイント13Bは、上部に超高圧ホース14が接続されるとともに、前記ノズルユニット13Aを回転自在に保持し、前記昇降ガイド13Cの支持体となるものである。前記昇降ガイド13Cは、超高圧水噴射装置13を石綿管1内に挿入した際、前記ノズルユニット13Aを石綿管1の略中心部に位置決めするためのものである。昇降ガイド13Cは、図示例では、管材により構成されたフレーム部材であり、下端部に環状部材13eを有し、この環状部材13eから上方向に延在する4本の縦方向部材13f、13f…が設けられ、上部において前記縦方向部材13f、13f…が中心側に屈曲し、超高圧ホース14を挿通させるリング13gに接続され、前記縦方向部材13f、13f…に設けられた連結部材13h、13h…が前記スイベルジョイント13Bに外嵌される締結部材13dに連結された構造となっている。
なお、前記超高圧水噴射装置13として、本例では回転駆動源を有しない自回転方式としたが、例えばエアーモーター等の駆動装置を設けて前記ノズルユニット13Aを回転させるようにしてもよい。
前記石綿管上部封鎖具16は、図5に示されるように、函体形状(ボックス状)を成し、石綿管1の封鎖板部となる底面板部16aに、シール挿通部を備える石綿吸引器具16Bが設けられ、函体部16Aの側面には函体部16A内の状況を観察できるようにするための覗き窓16dが設けられているとともに、上面には昇降ユニット15を載置するための載置台24が設けられている。
前記石綿吸引器具16Bは、縦管16bと、この縦管16bの側面に接続された横管16cとからなり、前記縦管16bの上部には、図7に示されるように、放射状に切込みが形成されたゴムシール体からなるシール挿通部材19が設けられ、石綿粉塵が外部に飛散するのを防止している。
前記横管16cには、吸引用ホース18が接続されるとともに、この吸引用ホース18の他端が減圧集塵機17に接続されている。
図示されるように、前記昇降ユニット15より送り出された高圧ホース14は、載置台24に形成された孔部(図示せず)を挿通するとともに、前記石綿吸引器具16Bのシール挿通部材19を通して石綿管1内に挿入され、前記超高圧ホース14が、前記昇降ユニット15によって石綿管1内へ送り出し自在かつ石綿管1から引上げ自在に保持されている。この昇降ユニット15は、図8に示されるように、上部側に対向配置された一対の上部側昇降用プーリ20A、20Bと、下部側に対向配置された下部側昇降用プーリ21A、21Bとを上下段で配置するとともに、前記下部側昇降用プーリ21Aの回転軸に電動機22の原動軸を接続するとともに、下部側昇降用プーリ21Aのベルト車21aと上部側昇降用プーリ20Aのベルト車20aとの間にベルト23を巻回した構造の装置で、前記上下段の昇降用プーリ20A・20B、21A・21Bが同調的に回転駆動し、超高圧ホース14が送り出し自在かつ引上げ自在に保持されている。なお、前記超高圧ホース14は、図示しない巻取り装置に巻き取られるようになっている。また、前記電動機22は発電機26から給電ケーブル25によって電源が供給されるとともに、送り出し/引上げのために正逆方向に回転制御されるようになっている。
前記減圧集塵機17は、負圧を掛けることにより、石綿管破砕時に生じた石綿粉塵を外部に漏らすことなく、吸引除去し得る装置であればどのようなものであっても良いが、好ましくは減圧機と、貯留タンク又はバグフィルターとからなる装置を作業現場サイトに設備するのが良い。
一方、前記石綿管破砕装置3Aに超高圧水を供給するためのポンプ車4は、機構的には図9に示されるように、油圧ユニット27と、給水ユニット28と、ブースター(増圧機)29と、アキュムレータ30とから構成される超高圧水発生装置6を荷台に搭載した車両で、油圧ユニット27から出された作動油によりブースター29内のピストンが左右に動作され、ウォーターチャンバー内にある水を圧縮し超高圧水を発生させるようになっている。また、アキュムレータ30を送給路途中に介在させることにより超高圧水の圧力が一定に保たれるようになっている。通常は、前記超高圧水発生装置6により1000〜4000kgf/cm程度の超高圧水を発生させることができるが、本石綿管1の破砕では2300〜2500kgf/cmの噴射圧に設定される。
(施工手順)
以下、前述した装置を用いた石綿管撤去手順について図10を参照しながら詳述する。
まず、作業をはじめる前に、石綿管1の撤去前の状況をCCDカメラによって撮影する。図10(A)に示されるように、シャフト35の先端に小型CCDカメラ36を取り付け、これを石綿管1の上部口1cから挿入し、長手方向全長に亘って撮影を行い、ビデオに収録する。
次いで、図10(B)に示されるように、石綿管1の上部口1c部位に本発明に係る石綿管破砕装置3Aを設置するとともに、石綿管1の下端に設けられた2つの排熱口の内、上段排熱口1bについては排熱口封鎖板12によって塞ぎ、下段側排熱口1aに対してバキューム車5の吸引ホース10を接続する。また、前記石綿管破砕装置3Aは、前記超高圧ホース14を昇降用プーリ20A・20B、21A・21Bの回転によって繰り出し、超高圧水噴射装置13を石綿管1の管底部まで下降させる。
ここまでの準備作業が完了したならば、石綿管1の破砕撤去を開始する。石綿管1の上部口側からは減圧集塵機17により吸引を行うとともに、下端側からはバキューム車5による吸引を行う。
次いで、ポンプ車4を稼働させて超高圧噴射装置13に超高圧水を供給し、ノズルユニット13Aを回転させながら、前記超高圧水噴射装置13を徐々に引上げることにより、超高圧水の噴射によって石綿管1を連続的に破砕する(図10(B)(C)参照)。この際、前記ノズルユニット13Aの回転速度は概ね150〜270rpm、引上げ速度は300〜500mm/minに設定するのが望ましい。
前記超高圧噴射装置13を石綿管上部口1cまで引上げ、石綿管1の撤去が完了したならば、破砕残しがないかどうかを確認するため、図10(A)に示される要領にてCCDカメラ36を孔内に挿入し、全長に亘って確認を行い、仮に破砕残しがあったならば、深さ位置を確認した後、超高圧水噴射装置13を前記破砕残し部まで挿入し、この周辺部分を再び超高圧水噴射によって破砕する。
上記作業を石綿管1毎に繰り返し行い、すべての石綿管1.1…を撤去する。
(廃水処理)
前記バキューム車5により回収された石綿粉塵や石綿片(以下、石綿回収水という。)は、現場サイトの処理施設または所定場所に設けられた処理施設まで運搬され、石綿分が分離された後、放流処理される。
具体的には、図11に示されるように、内部が隔壁32,32により3つの槽に区画された沈降分離漕31A〜31Cを連設し、先ず第1の沈降分離槽31Aに石綿回収水を投入する。石綿回収水は、各隔壁32、32を溢流した水が順番に区画された槽に流れ込む過程で重力沈降により石綿片等の比較的重量のあるものが沈降分離される。最終区画槽に沈設された水中ポンプ33により次の沈降分離槽31B、31Cの順に移送され、最終沈降槽となる31Cでは高分子凝集剤を添加することにより水中に浮遊している石綿繊維が凝集され沈降分離される。これらの沈降分離槽31A〜31Cによっても分離できない25〜100μmクラスの石綿微細粒子については、これら沈降分離槽31A〜31Cを経た上澄水からさらにフィルター34によって前記石綿微細粒子を取り除いた後、下水に放流処理される。
〔第2形態例〕
図12に示される本第2形態例に係る石綿管破砕装置3Bは、石綿管1内に下方向の気流を生じせしめることにより、発生した石綿粉塵を管外部に飛散させないようにした装置例である。なお、本形態例以降では、第1形態例と基本的に同じ構成については説明を省略する。
具体的には、前記石綿管破砕装置3Bは、図12に示されるように、超高圧水を噴射するための回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置13と、この高圧水噴射装置13に接続され超高圧水を供給するための超高圧ホース14と、この超高圧ホース14を石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持する昇降ユニット15と、石綿管1の上部口1cを封鎖するとともに、前記超高圧ホース14を挿通するためのシール挿通部19を備えた石綿管上部封鎖具16と、この石綿管上部封鎖具に接続された送風用ホース18と、この送風用ホース18が接続された送風機37と、前記石綿管1の下端口に接続された吸引用ホース10と、この吸引用ホース10に接続されたバキューム車5〔減圧集塵装置〕(吸引ホース及びバキューム車は図3参照)とから構成されるものである。
上記構成からも明らかなように、前記石綿管破砕装置3Bは、基本的な配置自体は送風機37以外は第1形態例と変わらないが、本第2形態例では、石綿管1の上部口1cにおいて前記送風機によって石綿管1内に圧縮空気を供給する一方、石綿管1の下端部において前記バキューム車5によって吸引することにより、前記石綿管1内に下方向の気流を生じせしめるため、石綿粉塵が管外部へ飛散するのを確実に防止することが可能となる。
前記送風機37としては、一般に圧縮空気を供給可能な装置であればどのようなものであっても良く、例えばファン、ブロア、エアコンプレッサー等を使用することができる。
〔第3形態例〕
図13、図14に示される本第3形態例に係る石綿管破砕装置(全体としては図示せず)は、石綿管1の撤去後に、超高圧水噴射装置13を管内から取り出す際、前記超高圧水噴射装置13(図5参照)を石綿管上部封鎖具16内で洗浄可能とした装置例である。
本形態例における石綿管上部封鎖具16は、図13及び図14に示されるように、函体部16Aの上部側に設置され、その下側部分に覗き窓16dが設けられ、かつ腕挿入孔16f、16gが形成されるとともに、この腕挿入孔16f,16gに連続して手袋状の腕挿入体39、39が設けられている。また、函体部16Aの内部には高圧水噴射装置13を洗浄するために、高圧水を噴射可能とした洗浄用スプレーガン38が設けられている。
前記洗浄用スプレーガン38は、市販されるものであれば特に種類は問わず、低圧、中圧、高圧いずれのタイプのものであっても良いが、前記超高圧水噴射装置13に付着した石綿粉塵を確実に洗い流すには、高圧タイプでジェット噴霧ができるものを使用するのが望ましい。
本形態例に係る石綿管破砕装置では、石綿管1の撤去作業完了後、超高圧水噴射装置13を函体部16A内まで引き上げたならば、腕挿入孔16f、16gより腕挿入体39に夫々腕を挿入し、函体部16Aの内部に備えられている洗浄用スプレーガン38を用いて、覗き窓16dより汚れ具合を確認しながら超高圧水噴射装置13を洗浄する。
なお、上述した洗浄装置構造は、前記第1形態例及び第2形態例に対しても適用が可能である。
〔第4形態例〕
図15に示される第4形態例に係る石綿管破砕装置3Dは、石綿管上部封鎖具16の構成を簡略化した装置の例である。
前記石綿管破砕装置3Dは、図15に示されるように、石綿管上部封鎖具16は、函体部16Aを備えておらず、封鎖板16aと石綿吸引器具16Bとのみから構成されている。そして、昇降ユニット15は、別途設けた架台40上に設置され、超高圧ホース14を前記石綿吸引器具16Bに挿通させ石綿管1内に挿入するようになっている。
なお、この石綿管破砕装置3Dも、前記第1形態例及び第2形態例に対して適用が可能である。
石綿管1が排熱管として使用されている集合住宅の全体図である。 石綿管埋設部位の縦断面図である。 石綿管1の撤去作業要領図である。 石綿管1の下部での吸引ホース接続要領図である。 石綿管破砕装置3Aを示す側面図(一部断面)である。 超高圧水噴射装置13を示す、(A)は平面図、(B)は側面図である。 図5のVII−VII線矢視図である。 昇降ユニット15を示す、(A)は正面図、(B)は側面図である。 超高圧水発生装置6の装置構成図である。 (A)〜(C)は石綿管1の撤去要領段階図である。 回収した石綿管混入水の沈降分離処理要領図である。 第2形態例に係る石綿管破砕装置3Bを示す側面図(一部断面)である。 第3形態例に係る石綿管破砕装置の石綿管上部封鎖具16の斜視図である。 図13のXIV−XIV線矢視図(正面図)である。 第4形態例に係る石綿管破砕装置3Dの側面図(一部断面)である。
符号の説明
1…石綿管、2…躯体、3A・3B・3D…石綿管破砕装置、4…ポンプ車、5…バキューム車、6…超高圧水発生装置、10…吸引ホース、13…超高圧水噴射装置、14…超高圧ホース、15…昇降ユニット、16…石綿管上部封鎖具、16A…函体部、16B…石綿吸引器具、17…減圧集塵機、24…載置台、37…送風機、38…洗浄用スプレーガン、39…腕挿入体、40…架台

Claims (8)

  1. 回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースを、石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持し、前記超高圧水噴射装置及び超高圧ホースを建物の躯体内に埋設された石綿管の上部口より挿入し、前記超高圧水噴射装置より超高圧水を噴射させることにより前記石綿管を破砕する埋設石綿管の撤去方法において、
    前記石綿管の上部口を、前記超高圧ホースのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具によって封鎖するとともに、該石綿管上部封鎖具に接続された吸引用ホースを減圧集塵装置に接続し、前記超高圧水噴射装置による石綿管の破砕時に、石綿粉塵を前記減圧集塵装置により吸引除去することにより、石綿粉塵の管外部への飛散を防止することを特徴とする埋設石綿管の撤去方法。
  2. 前記石綿管の下端口に吸引用ホースを接続するとともに、この吸引用ホースを減圧集塵装置に接続し、破砕された石綿粉塵を吸引除去する請求項1記載の埋設石綿管の撤去方法。
  3. 回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースを、石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持し、前記超高圧水噴射装置及び超高圧ホースを建物の躯体内に埋設された石綿管の上部口より挿入し、前記超高圧水噴射装置より超高圧水を噴射させることにより前記石綿管を破砕する埋設石綿管の撤去方法において、
    前記石綿管の上部口を、前記超高圧ホースのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具によって封鎖するとともに、該石綿管上部封鎖具に接続された送風用ホースを送風機に接続して石綿管内に圧縮空気を供給可能とする一方、前記石綿管の下端口に吸引用ホースを接続するとともに、この吸引用ホースを減圧集塵装置に接続し、
    前記超高圧水噴射装置による石綿管の破砕時に、前記送風機から圧縮空気を石綿管内に供給するとともに、石綿管の下端口から前記減圧集塵装置によって吸引することにより前記石綿管内に下方向の気流を生じせしめ、石綿粉塵の管外部への飛散を防止することを特徴とする埋設石綿管の撤去方法。
  4. 回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置と、該超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースと、この超高圧ホースを石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持するホース用昇降ユニットと、石綿管の上部口を封鎖するとともに、前記超高圧ホースを挿通するためのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具と、この石綿管上部封鎖具に接続された吸引用ホースと、この吸引用ホースが接続された減圧集塵装置とからなることを特徴とする請求項1記載の埋設石綿管の撤去方法のための石綿管破砕装置。
  5. 回転噴射ノズルを備えた超高圧水噴射装置と、該超高圧水噴射装置に接続された超高圧ホースと、この超高圧ホースを石綿管内へ送り出し自在かつ石綿管内から引上げ自在に保持するホース用昇降ユニットと、石綿管の上部口を封鎖するとともに、前記超高圧ホースを挿通するためのシール挿通部を備えた石綿管上部封鎖具と、この石綿管上部封鎖具に接続された送風用ホースと、この送風用ホースが接続された送風機と、前記石綿管の下端口に接続された吸引用ホースと、この吸引用ホースが接続された減圧集塵装置とからなることを特徴とする請求項3記載の埋設石綿管の撤去方法のための石綿管破砕装置。
  6. 前記石綿管上部封鎖具は、函体形状を成し、石綿管を封鎖する封鎖板部に前記シール挿通部を備える石綿吸引器具が設けられている請求項4,5いずれかに記載の石綿管破砕装置。
  7. 前記石綿管上部封鎖具の函体側面には、腕挿入孔が形成されるとともに、この腕挿入孔に連続して手袋状の腕挿入体が設けられ、かつ函体内部に洗浄用スプレーガンが備えられている請求項6記載の石綿管破砕装置。
  8. 前記石綿管上部封鎖具のシール挿通部は、放射状に複数の切込みが形成されたゴムシール体である請求項4〜7いずれかに記載の石綿管破砕装置。
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