JP2006083482A - 全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブとからなるコンポジットファイバー - Google Patents

全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブとからなるコンポジットファイバー Download PDF

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Abstract

【課題】 機械特性、特に弾性率や強度が向上した全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブとからなるコンポジットファイバー、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
(Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。)
の構成単位から主としてなる全芳香族ポリアミド100重量部と単層カーボンナノチューブ0.01〜20重量部から構成されるコンポジットファイバーであり、90%以上の単層カーボンナノチューブが、凝集直径が10nm以下で分散していることを特徴とするコンポジットファイバー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブとからなるコンポジットファイバーであり、高度に分散し、かつ繊維軸方向に単層カーボンナノチューブが配向していることを特徴とする機械特性に優れたコンポジットファイバーに関するものである。
全芳香族ポリアミドは、剛直な芳香族環を連結させた構造をとり、耐熱性、機械特性、耐薬品性等に優れた素材として、繊維あるいはフィルムの形態で電気絶縁材料、各種補強剤、防弾繊維等、幅広く利用されており工業的に極めて価値の高い素材の一つであるが、使用される用途に応じて樹脂に対してより高度な特性が要求されるようになってきた。
このような要求特性を満たす技術の一つとして、熱可塑性樹脂にカーボンナノチューブをナノスケールで分散させた組成物、所謂ナノコンポジットが最近注目されており、カーボンナノチューブを例えば電解、適当なせん断作用もしくはコーミングによってマトリックス中で配向させるとの記載がある(特許文献1)。
また単層カーボンナノチューブと芳香族ポリアミドからなる組成物の製造法および繊維の記載があり(特許文献2)、芳香族ポリアミドの無水硫酸溶液中にカーボンナノチューブを添加する方法が好ましく挙げられているが、コンポジットファイバー中のカーボンナノチューブの分散、配向状態やそれが物性に及ぼす影響についての記載はなく、また繊維の機械特性に関する改善効果も不明である。
特公平8−26164号公報 WO03/085049号公報
本発明の目的は機械特性、特に弾性率や強度が向上した全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブとからなるコンポジットファイバー、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、単層カーボンナノチューブの溶媒分散液に少量の芳香族ポリアミドを添加することで、単層カーボンナノチューブが高度に分散し、かつ繊維軸方向に分散した全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブからなるコンポジットファイバーが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1. 下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
(Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表す。)
の構成単位から主としてなる全芳香族ポリアミド100重量部と単層カーボンナノチューブ0.01〜20重量部から構成されるコンポジットファイバーであり、90%以上の単層カーボンナノチューブが、凝集直径が10nm以下で分散していることを特徴とするコンポジットファイバー。
2. 偏光ラマン分光測定で入射レーザーを繊維の側面に繊維軸と直交方向から照射したときのカーボンナノチューブ由来のラマンスペクトルにおいて下記式(1)
P=IYY/IXX (1)
(レーザー偏光面を繊維軸と平行に配置した場合のGバンド強度をIXX,レーザー偏光面を繊維軸と垂直に配置した場合のGバンド強度をIYYとする。)
で表される配向度Pが0より大きく0.2以下を満たすことを特徴とする上記に記載のコンポジットファイバー。
3. 全芳香族ポリアミドが、Ar
Figure 2006083482
及び/または
Figure 2006083482
であり、Ar
Figure 2006083482
である上記に記載のコンポジットファイバー。
4. 全芳香族ポリアミドが、Ar
Figure 2006083482
及び
Figure 2006083482
であり、Ar
Figure 2006083482
である共重合体であって、その共重合比が1:0.8〜1:1.2である上記に記載のコンポジットファイバー。
5. 単層カーボンナノチューブのラマン分光測定から算出したD/G値(Dバンド強度/Gバンド強度)が0.1以下である単層カーボンナノチューブと分散溶媒とを混合して混合液を得る工程、ついで混合液中に少量の全芳香族ポリアミドを添加して単層カーボンナノチューブ分散液を調製する工程、ついで分散液中に全芳香族ポリアミドを添加して全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブからなる紡糸用溶液を得る工程、その溶液から紡糸することを特徴とする上記に記載のコンポジットファイバーの製造方法である。
本発明で得られる全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブからなるコンポジットファイバーは、単層カーボンナノチューブが微細にコンポジットファイバー中に分散し、かつ繊維軸方向に単層カーボンナノチューブが高度に配向している事により機械特性、とくに弾性率や引っ張り強度に優れている。
以下、本発明について詳述する。
(単層カーボンナノチューブについて)
本発明において、単層カーボンナノチューブとは、直径がおよそ0.4〜2nm、長さがおよそ数nm〜数μmのカーボンからなるチューブ状材料であり、理想的な構造としては炭素の6角網目の面(グラフェンシート)がチューブ軸に平行に管を形成し、一重管になっているものである。単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス力のために凝集力が著しく強く、容易に完全に溶媒およびポリマー中に分散できない。
上記の単層カーボンナノチューブの従来公知の製法として、現在は主に炭素化合物を高温下で触媒金属微粒子に接触させて熱分解する化学気相成長法(以下,CVD法とする)、アーク放電法、およびレーザー蒸発法が用いられている。またこの上記以外にもプラズマ合成法や固相反応法が知られているが、本発明に用いられる単層カーボンナノチューブの製造方法として、これらに限定されるものではない。篠原らが報告している多孔性担体に金属触媒を担持した基体に原料炭素源となる炭素化合物気体を接触させて熱分解するCVD法による単層カーボンナノチューブの製造方法は、特に精製することなく、純度が高く、高度にグラファイト化された単層カーボンナノチューブが得られることから好ましい製造方法である。(Chemical Physics Letter 303(1999) 117−124)
単層カーボンナノチューブの不純物としてフラーレン、活性炭、カーボンブラック、アモルファスカーボン、触媒金属等が知られているが、本発明における単層カーボンナノチューブは80%以上が、さらには90%以上が単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
本発明において、単層カーボンナノチューブは、例えば上記に記載したとおりの従来公知の方法で合成された単層カーボンナノチューブを使用することができる。また、従来公知の強酸処理や化学修飾された単層カーボンナノチューブも使用することができるが、化学修飾していない単層カーボンナノチューブを使用することが、欠陥構造が少ない点で好ましい。
通常、化学修飾していない単層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ間に働くファンデルワールス力により凝集力が著しく強く、液体中に入れただけでは分散させることが困難であり、分散させることができたとしても極めて低濃度であった。
(全芳香族ポリアミドについて)
本発明のコンポジットファイバーにおける全芳香族ポリアミドは、実質的に下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
上記一般式(A)、(B)において、Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。
の2つの構成単位が交互に繰り返された構造からなる全芳香族ポリアミドである。
上記Ar,Arは、各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基であるが、その具体例としては、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
これらの芳香族基の水素原子のうち1つまたは複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。なお、上記式(A)及び/又(B)の構成単位が、2種以上の芳香族基からなる共重合体であっても差し支えない。
これらのうち、Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、3,4’−ジフェニレンエーテル基が好ましく、パラフェニレン基、またはパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用したものがさらに好ましく、パラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用した場合にはそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあることがさらに好ましい。
Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、が好ましく、パラフェニレン基がさらに好ましい。
すなわち本発明において好適に用いられるものとして具体的には、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基であり、Arがパラフェニレン基である共重合体であって、その共重合比(Arのパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基のモル比)が1:0.8〜1:1.2の範囲にある全芳香族ポリアミド、およびArとArがともにパラフェニレン基である全芳香族ポリアミドを挙げることが出来る。
これらの全芳香族ポリアミドは溶液重合法、界面重合法、溶融重合法など従来公知の方法にて製造する事が出来る。重合度は芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分の比率によりコントロールすることが出来、得られるポリマーの分子量としては98重量%濃硫酸に0.5g/100mLの濃度で溶かした溶液を30℃にて測定した特有粘度(inherent viscosity)ηinhが0.05〜20dL/gであることが好ましく、1.0〜10dL/gの間に有るものがより好ましい。
(組成)
本発明のコンポジットファイバーの組成としては全芳香族ポリアミド100重量部に対して、カーボンナノチューブが0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。カーボンナノチューブが0.01重量部未満だと機械特性の向上の効果が観察されにくく、20重量部より上のものは単層カーボンナノチューブの分散性が低下する。
(分散性について)
本発明ではコンポジットファイバー中の90%以上の単層カーボンナノチューブが、凝集直径が10nm以下で分散していることを特徴とする。本発明において単層カーボンナノチューブの分散性は繊維軸と平行に切断した繊維断面を直接TEM等の電子顕微鏡で観察することができる。また、X線散乱測定によっても評価することができる。
X線散乱測定では,コンポジットファイバー中の単層カーボンナノチューブに由来する散乱X線の散乱角強度分布によって単層カーボンナノチューブの分散性を判定できる。すなわち,単層カーボンナノチューブがコンポジットファイバー中で均一に分散した状態では,散乱体の直径が数nmとなり,散乱体の大きさと散乱角の逆相関により散乱X線パターンは広角側まで広がった形となる。他方,単層カーボンナノチューブがコンポジットファイバー中で凝集した形態をとる場合は,散乱体の大きさは均一分散の場合より大きくなり,散乱X線パターンは相対的に低角側に集中した形をとる。このように,散乱X線パターンの比較から,コンポジットファイバー中の単層カーボンナノチューブの分散評価が可能である。
(配向、及び配向方法について)
本発明ではコンポジットファイバー中の単層カーボンナノチューブが、繊維軸方向に配向していることを特徴とする。かかる単層カーボンナノチューブの配向性は繊維軸と平行に切断した繊維断面を直接TEM等の電子顕微鏡で観察する他に、本発明ではX線散乱測定および偏向ラマン分光測定により評価する。
X線散乱測定による配向評価は、コンポジットファイバー中の単層カーボンナノチューブに由来する散乱X線の散乱方位角分布の異方性によって判定できる。単層カーボンナノチューブが繊維軸方向に高度に配向している場合は、ナノチューブに由来する散乱X線は繊維赤道方向に集中したストリーク状の散乱パターンとなる。一方、単層カーボンナノチューブの配向が低い場合には、ナノチューブの散乱パターンの赤道方向異方性は小さくなり、無配向においては完全に等方的な散乱パターンを画く。このように、X線散乱パターンの方位角異方性から、コンポジットファイバー中の単層カーボンナノチューブの配向を評価することができる。
偏光ラマン分光測定とは入射レーザーを繊維の側面に繊維軸と直交方向から照射したときの単層カーボンナノチューブ由来のラマンスペクトルにおいて下記式(1)
P=IYY/IXX (1)
(式中、レーザー偏光面を繊維軸と平行に配置した場合のGバンド強度をIXX,レーザー偏光面を繊維軸と垂直に配置した場合のGバンド強度をIYYとする。)
で表される配向度Pにて配向性を評価する方法である。本発明では配向度Pが0以上0.2以下を満たすことが好ましい。
配向度Pはナノチューブが繊維軸方向に平行に配向したときにP=0に漸近し、ランダムな配向ではP=1となる。Pの値の上限としてより好ましくは0.2、さらに好ましくは0.1であり、0に近いほど好ましい。Pの値が0.2を超えると単層カーボンナノチューブの配向が不十分であるため好ましくない。
単層カーボンナノチューブおよび全芳香族ポリアミドの繊維軸方向への配向方法としては全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブからなる混合溶液から紡糸する際、流動配向、液晶配向、せん断配向、又は延伸配向させる事等が挙げられる。得られた繊維組成物をさらに延伸配向させることにより単層カーボンナノチューブの配向係数を上昇させる事も本発明のコンポジットファイバーを得るうえでさらに好ましい。配向度Pの減少度としては、0.01以上好ましくは0.05さらには0.1以上が好ましい。
(コンポジットファイバー)
本発明のコンポジットファイバーは単繊維径は0.01〜1000dtexである。好ましくは、0.1から500dtexである。
(コンポジットファイバーの製造法)
本発明のコンポジットファイバーの製造法としては、全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブの混合溶液を調製し、その混合溶液から紡糸する方法が好ましい。
混合溶液を調製する方法としては、例えば、1)全芳香族ポリアミドの溶液に、固体のカーボンナノチューブを添加する。2)全芳香族ポリアミド溶液とカーボンナノチューブの溶媒分散液とを混合する。3)カーボンナノチューブの溶媒分散液に固体の全芳香族ポリアミドを添加する。4)カーボンナノチューブの溶媒分散液中で、全芳香族ポリアミドのIn-situ重合を行う等の方法が知られている。しかし、混合溶液内で単層カーボンナノチューブが均一に分散していることが、単層カーボンナノチューブの配向つまりはコンポジットファイバーの機械物性向上のためには重要である。その観点からは紡糸用混合溶液の調製方法として上記2)のカーボンナノチューブの溶媒分散液を作製し、全芳香族ポリアミド溶液と混合する方法が好ましい。
しかし、単層カーボンナノチューブはファンデルワールス相互作用によりバンドル状態を形成しやすく、絡み合いが顕著なため、単にカーボンナノチューブの溶媒分散液と前芳香族ポリアミド溶液とを混合するだけでは、分散性に優れた紡糸用混合溶液を得ることは困難である。
そこで本発明者らは、単層カーボンナノチューブ分散液の分散性を向上させる方法として、単層カーボンナノチューブ溶媒分散液に少量の全芳香族ポリアミドを分散剤として添加し、分散させることで飛躍的に単層カーボンナノチューブの分散性が向上することを見出した。
すなわち、単層カーボンナノチューブと分散溶媒とを混合して混合液を得る工程、ついで混合液中に少量の全芳香族ポリアミドを添加して単層カーボンナノチューブ分散液を調製する工程、ついで分散液中に全芳香族ポリアミドを添加して全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブからなる紡糸用溶液を得る工程、その溶液から紡糸する工程により、本発明のコンポジットファイバーを好ましく製造することができる。
以下本発明のコンポジットファイバーの製造方法について詳述する。
使用される単層カーボンナノチューブは、ラマン散乱測定から算出したDバンドとGバンドの強度比(D/G)が、0.1以下であり、好ましくは0.05以下である。D/Gの値が0.1よりも大きい場合は、アモルファスカーボン等不純物が多く含まれているか、あるいは単層カーボンナノチューブに欠陥構造が多いために好ましくはない。
分散溶媒は、種類が特に限定されるものではなく、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド等、100%硫酸、りん酸、ポリりん酸、メタンスルホン酸等の酸溶媒が挙げられる。これらの液体は単独で用いても、2種以上を混合して用いることもできる。これらの分散媒は、単層カーボンナノチューブを分散させるのに好ましい液体である。また、分散性を阻害しない範囲において水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールといった1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールといった2価アルコール、グリセリンといった3価アルコール、アセトンといったケトン類、テトラヒドロフランといった環状エーテル、1,2−ジクロロベンゼンといったハロゲン化芳香族炭化水素、クロロホルムといったハロアルカン、1−メチルナフタレンといった置換複素環化合物を含んでいてもさしつかえない。
単層カーボンナノチューブを分散媒に混合する際には、特に限定されないが超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。中でも超音波処理装置が好ましい。
単層カーボンナノチューブの分散媒に対する濃度は特に限定されるものではないが、濃度が薄すぎると利用価値が低く、濃度が高すぎると単層カーボンナノチューブの分散性が低下することもあるので、0.0001〜1重量%が好ましく、0.005〜0.5重量%がより好ましい。
本発明において、少量の全芳香族ポリアミドを分散剤として添加するによって単層カーボンナノチューブ分散液の分散性が極めて向上する。
本発明におけて分散剤として用いられる全芳香族ポリアミドは、実質的に下記式(A)及び(B)
―NH―Ar―NH― (A)
―OC―Ar―CO― (B)
(Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。)
の2つの構成単位が交互に繰り返された構造からなる全芳香族ポリアミドである。
上記Ar,Arは、各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基であるが、その具体例としては、メタフェニレン基、パラフェニレン基、オルトフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ジフェニレンスルフィド基、4,4’−ジフェニレンスルホン基、4,4’−ジフェニレンケトン基、4,4’−ジフェニレンエーテル基、3,4’−ジフェニレンエーテル基、メタキシリレン基、パラキシリレン基、オルトキシリレン基等が挙げられる。
これらの芳香族基の水素原子のうち1つまたは複数がそれぞれ独立にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン基;メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基等の炭素数6〜10の芳香族基で置換されていてもよい。なお、上記式(A)及び/又(B)の構成単位が、2種以上の芳香族基からなる共重合体であっても差し支えない。
これらのうち、Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、3,4’−ジフェニレンエーテル基が好ましく、パラフェニレン基、またはパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用したものがさらに好ましく、パラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基とを併用した場合にはそのモル比が1:0.8〜1:1.2の範囲にあることがさらに好ましい。
Arはメタフェニレン基、パラフェニレン基、が好ましく、パラフェニレン基がさらに好ましい。
すなわち本発明において好適に用いられるものとして具体的には、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基であり、Arがパラフェニレン基である共重合体であって、その共重合比(Arのパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基のモル比)が1:0.8〜1:1.2の範囲にある全芳香族ポリアミド、およびArとArがともにパラフェニレン基である全芳香族ポリアミドを挙げることが出来る。
これらの全芳香族ポリアミドは溶液重合法、界面重合法、溶融重合法など従来公知の方法にて製造する事が出来る。重合度は芳香族ジアミン成分と芳香族ジカルボン酸成分の比率によりコントロールすることが出来、得られるポリマーの分子量としては98重量%濃硫酸に0.5g/100mLの濃度で溶かした溶液を30℃にて測定した特有粘度(inherent viscosity)ηinhが0.05〜20dL/gであることが好ましく、1.0〜10dL/gの間に有るものがより好ましい。
また、本発明において、分散剤として用いられる全芳香族ポリアミドは、コンポジットファイバーの構成要素である全芳香族ポリアミドと同じであることが好ましい。
分散剤としての全芳香族ポリアミドの使用量としては単層カーボンナノチューブに対して、0.1〜50重量%であることが好ましく、0.2〜20重量%であることがより好ましい。
本発明において、単層カーボンナノチューブの混合液に、全芳香族ポリアミドを添加する方法として、固体の状態で添加する方法、または分散剤を溶解する溶媒に溶解した溶液の状態で添加する方法が挙げられる。分散剤溶液で添加する場合においては、使用する溶媒として特に限定はされないが、単層カーボンナノチューブを分散させるのに使用している分散媒と同種であることが好ましい。
混合液中に全芳香族ポリアミドを添加して単層カーボンナノチューブ分散液を調整する方法としては、特に限定はされないが超音波や各種攪拌方法を用いることができる。攪拌方法としては、ホモジナイザーのような高速攪拌やアトライター、ボールミル等の攪拌方法も使用することができる。なかでも超音波処理を行うことが好ましい。
このように本発明において全芳香族ポリアミドを分散剤として添加することで、分散性の向上、分散している状態が保持、安定化し、分散性に優れた単層カーボンナノチューブ分散液を得ることができる。これらの作用機構については、明らかではないが分散している単層カーボンナノチューブの間に分散剤が均一に挿入された状態であり、単層カーボンナノチューブ間のファンデルワールス力を抑制し、凝集を抑制しているものと推定される。
得られた単層カーボンナノチューブ分散液を濃縮することにより、分散性を保持したまま高濃度の単層カーボンナノチューブ分散液を得ることも可能である。
次いで単層カーボンナノチューブ分散液と全芳香族ポリアミド溶液とを混合することにより、紡糸用混合溶液を作製することができる。
単層カーボンナノチューブ分散液と全芳香族ポリアミド溶液とを混合する方法としては、特に限定はされないが、超音波や各種攪拌方法を使用することができる。
紡糸用混合溶液からの紡糸方法は、湿式、乾式、乾式湿式の併用いずれを用いても良い。前述したように紡糸工程において、流動配向、液晶配向、せん断配向、又は延伸配向させる事により全芳香族ポリアミドおよびカーボンナノチューブの配向を高め機械特性を向上させる事が出来る。
全芳香族ポリアミドが例えば、Arがパラフェニレン基及び3,4’−ジフェニレンエーテル基でありArがパラフェニレン基であって、その共重合比(Arのパラフェニレン基と3,4’−ジフェニレンエーテル基のモル比)が1:0.8〜1:1.2の範囲にある共重合全芳香族ポリアミドの場合は、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒を混合溶媒として乾湿式紡糸を行った後、高温下、高倍率で延伸配向させることによりコンポジットファイバーを得ることが出来る。かかる際の好ましい延伸倍率としては2〜40倍、より好ましくは5〜30倍であるが、最大延伸倍率(MDR)になるべく近づけて延伸することが機械物性の面で望ましい。好ましい延伸配向時の温度としては100℃〜800℃、より好ましくは200℃〜600℃である。また全芳香族ポリアミドが例えば、ArとArがともにパラフェニレン基であるポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の場合は、100%硫酸、りん酸、ポリりん酸、メタンスルホン酸等の酸溶媒を混合溶媒として、液晶紡糸によりコンポジットファイバーを得ることが出来る。液晶紡糸では通常、高いドラフト比でキャップから溶液を紡糸することにより配向させることができる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(1)コンポジットファイバー中の単層カーボンナノチューブの凝集直径:EFI社製TECNAI12 BIO TWINを用いて繊維軸と平行に切断した繊維断面(倍率:10万倍)を用いて4μmの範囲での凝集直径を直接観察することにより評価した。
(2)X線散乱測定:X線発生装置(理学電機社製)はターゲットCuKα線、電圧45kV、電流70mAの条件にて測定した。入射X線はオスミック社製多層膜ミラーにより集光及び単色化して、繊維試料を直径1mmに束ねたバンドルに対して入射X線が繊維軸垂直配置の透過法で測定した。散乱X線の検出は大きさ200mm×250mmのイメージングプレート(富士写真フィルム製)を用い、カメラ長200mm,露光時間10分の条件で測定した。
(3)偏向ラマン分光測定:ラマン分光装置は,顕微レーザーラマン分光測定装置(堀場ジョバンイボン製LabRamHR)を用いた。励起レーザー光源として波長785nmの半導体レーザーを用い,レーザービーム径は約1μmに集光した。かかる装置を使い、以下のようにして偏光ラマン分光測定を行なった。入射レーザーを繊維組成物の側面に繊維軸と直交方向から照射してカーボンナノチューブのラマンスペクトルを測定する際、レーザー偏光面を繊維軸と平行に配置した場合のラマンシフト波数1580cm−1付近のグラファイト構造由来のGバンド強度(IXX),レーザー偏光面を繊維軸と垂直に配置した場合のGバンド強度(IYY)を測定した。
(4)ラマン分光測定:ラマン分光装置は,顕微レーザーラマン分光測定装置(堀場ジョバンイボン製T64000)を用いた。励起レーザー光源として波長514.5nmのArイオンレーザーを用い,レーザービーム径は約1μmに集光した。D/Gの値はラマンシフト波数1360cm−1付近のディスオーダー構造由来のDバンド強度とラマンシフト波数1580cm−1付近のグラファイト構造由来のGバンド強度から算出した。
(5)繊維の機械特性:オリエンテック株式会社製テンシロン万能試験機1225Aを用いて、得られた繊維の単糸での引張り試験を行い、弾性率および強度を求めた。
[参考例1]アラミド樹脂溶液の作成
十分に乾燥した攪拌装置付きの三口フラスコに、脱水精製したNMP2152g、p−フェニレンジアミン27.04g及び3、4’―ジアミノジフェニルエーテル50.06gを常温下で添加し窒素中で溶解した後、氷冷し攪拌しながらテレフタル酸ジクロリド101.51gを添加した。その後徐々に昇温して最終的に80℃、60分反応させたところで水酸化カルシウム37.04gを添加して中和反応を行い、NMPのアラミド樹脂溶液を得た。得られたドープを水にて再沈殿することにより得たアラミド樹脂の濃度0.5g/100mLの濃硫酸溶液を30℃で測定した特有粘度は3.5dL/gであった。
[参考例2]単層カーボンナノチューブの合成
多孔性担体にY型ゼオライト粉末(東ソー製;HSZ−320NAA)を用い、触媒金属化合物に酢酸第二鉄と酢酸コバルトを用いて、Fe/Co触媒をゼオライトに担持した。触媒の担持量はそれぞれ2.5重量%に調製した。その後、石英ボートに触媒粉末を乗せてCVD装置の石英管内に設置して真空排気をおこない、流量10mL/分でArガスを導入しながら室温から800℃まで昇温した。所定の800℃に達した後、エタノール蒸気を流量3000mL/分で導入し、Ar/エタノール雰囲気下で30分間保持した。得られた黒色の生成物をレーザーラマン分光法および透過型電子顕微鏡で分析した結果、単層カーボンナノチューブが生成していることが確認された。ついで、得られた生成物(単層カーボンナノチューブ/ゼオライト/金属触媒)を、フッ化水素酸10%に3時間浸漬後、中性になるまでイオン交換水で洗浄することでゼオライトおよび金属触媒を除去してカーボンナノチューブを精製した。ラマン分光測定から算出したD/G値は0.11であった。
[参考例3]単層カーボンナノチューブの精製
参考例2で合成した単層カーボンナノチューブを450℃で10分熱処理したのち、塩酸で洗浄する操作を繰り返すことで単層カーボンナノチューブを精製した。ラマン分光測定から算出したD/G値は0.035であった。
[実施例1]
NMP30gに参考例3で精製した単層カーボンナノチューブ0.1gを加え、発振周波数38kHzの超音波により8時間超音波処理を行った。この単層カーボンナノチューブNMP混合液に、参考例1で作成したNMPのアラミド樹脂溶液1.67gを分散剤として加えて温度0℃で4時間超音波処理することにより、アラミド樹脂を少量含む単層カーボンナノチューブ分散液を調製した。アラミド樹脂溶液を添加することにより、単層カーボンナノチューブの分散性は飛躍的に向上した。さらに単層カーボンナノチューブ分散液にアラミド樹脂溶液を少しずつ攪拌しながら添加して均一な全芳香族ポリアミド100重量部/単層カーボンナノチューブ1重量部からなるポリマー濃度5重量%の紡糸用混合溶液を調製した。かくして得られたポリマードープを孔径0.3mm、L/D=1、孔数5個のキャップを用いて、シリンダー温度50℃にてNMP30重量%の水溶液である温度50℃の凝固浴中に速度3m/分にて押出した。キャップ面と凝固浴面との距離は10mmとした。凝固浴から取り出した繊維を50℃の水浴中にて水洗し、120℃の乾燥ローラーで乾燥後、500℃の熱板上にて延伸させた。先にこの延伸工程における最大延伸倍率(MDR)を求め、その0.9倍の倍率(15.3倍)で延伸を行い,コンポジットファイバーを得た。TEM観察結果からコンポジットファイバー中に存在するすべての単層カーボンナノチューブの凝集直径が10nm以下であることがわかった。また、X線散乱測定結果から単層カーボンナノチューブのサイズが1〜10nmであり、赤道方向に単層カーボンナノチューブに基づくストリークが発達していることから、単層カーボンナノチューブが高度に繊維軸方向に配向していることがわかった。偏向ラマン分光測定から配向係数Pは0.069であった。ファイバーの単繊維径は1.9de、弾性率は87.5GPa、強度は29.6deであった。
[実施例2]
NMP1000gに参考例3で精製した単層カーボンナノチューブ0.1gを加え、発振周波数38kHzの超音波により8時間超音波処理を行った。この単層カーボンナノチューブNMP混合液に、参考例1で作成したNMPのアラミド樹脂溶液1.67gを分散剤として加えて温度0℃で4時間超音波処理することにより、アラミド樹脂を少量含む単層カーボンナノチューブ分散液を調製した。得られた単層カーボンナノチューブ分散液をエバポレーターにてNMPが30gになるまで濃縮することで、分散性に優れた単層カーボンナノチューブ分散液を調製した。さらに単層カーボンナノチューブ分散液にアラミド樹脂溶液を少しずつ攪拌しながら添加して均一な全芳香族ポリアミド100重量部/単層カーボンナノチューブ1重量部からなるポリマー濃度5重量%の紡糸用混合溶液を調製した。かくして得られたポリマードープを孔径0.3mm、L/D=1、孔数5個のキャップを用いて、シリンダー温度50℃にてNMP30重量%の水溶液である温度50℃の凝固浴中に速度3m/分にて押出した。キャップ面と凝固浴面との距離は10mmとした。凝固浴から取り出した繊維を50℃の水浴中にて水洗し、120℃の乾燥ローラーで乾燥後、500℃の熱板上にて延伸させた。先にこの延伸工程における最大延伸倍率(MDR)を求め、その0.9倍の倍率(15.4倍)で延伸を行い,コンポジットファイバーを得た。TEM観察結果からコンポジットファイバー中に存在する単層カーボンナノチューブのすべての凝集直径が5nm以下であることがわかった。また、X線散乱測定結果から単層カーボンナノチューブのサイズが1〜3nmであり、赤道方向に単層カーボンナノチューブに基づくストリークが発達していることから、単層カーボンナノチューブが高度に繊維軸方向に配向していることがわかった。(図1)偏向ラマン分光測定から配向係数Pは0.032であった。ファイバーの単繊維径は1.8de、弾性率は89.1GPa、強度は31.3deであった。
[比較例1]
NMP30gに参考例3で精製した単層カーボンナノチューブ0.1gを加え、発振周波数38kHzの超音波により8時間超音波処理を行った。この単層カーボンナノチューブNMP分散液にアラミド樹脂溶液を少しずつ攪拌しながら添加して全芳香族ポリアミド100重量部/単層カーボンナノチューブ1重量部からなるポリマー濃度5重量%の紡糸用混合溶液を調製した。得られた溶液は、部分的に単層カーボンナノチューブの凝集物が観察された。かくして得られたポリマードープを孔径0.3mm、L/D=1、孔数5個のキャップを用いて、シリンダー温度50℃にてNMP30重量%の水溶液である温度50℃の凝固浴中に速度3m/分にて押出した。キャップ面と凝固浴面との距離は10mmとした。凝固浴から取り出した繊維を50℃の水浴中にて水洗し、120℃の乾燥ローラーで乾燥後、500℃の熱板上にて延伸させた。先にこの延伸工程における最大延伸倍率(MDR)を求め、その0.9倍の倍率(15.3倍)で延伸を行い,コンポジットファイバーを得た。TEM観察結果からコンポジットファイバー中に存在する単層カーボンナノチューブの80%の凝集直径が50nm以上であることがわかった。また、また、X線散乱測定結果では、赤道ストリークのない低角領域のハローパターンが発達していることから、散乱体サイズが大きく、繊維軸方向に配向していない単層カーボンナノチューブが存在していることがわかった。偏向ラマン分光測定から配向係数Pは0.22であった。ファイバーの単繊維径は1.9de、弾性率は79.7GPa、強度は27.6deであった。
[比較例2]
NMP30gに参考例2で合成した未精製の単層カーボンナノチューブ0.1gを加え、発振周波数38kHzの超音波により8時間超音波処理を行った。この単層カーボンナノチューブNMP混合液に、参考例1で作成したNMPのアラミド樹脂溶液1.67gを分散剤として加えて温度0℃で4時間超音波処理することにより、アラミド樹脂を少量含む単層カーボンナノチューブ分散液を調製した。アラミド樹脂溶液を添加することにより、単層カーボンナノチューブの分散性は向上したが、部分的に単層カーボンナノチューブの凝集物が観察された。さらに単層カーボンナノチューブ分散液にアラミド樹脂溶液を少しずつ攪拌しながら添加して均一な全芳香族ポリアミド100重量部/単層カーボンナノチューブ1重量部からなるポリマー濃度5重量%の紡糸用金剛溶液を調製した。かくして得られたポリマードープを孔径0.3mm、L/D=1、孔数5個のキャップを用いて、シリンダー温度50℃にてNMP30重量%の水溶液である温度50℃の凝固浴中に速度3m/分にて押出した。キャップ面と凝固浴面との距離は10mmとした。凝固浴から取り出した繊維を50℃の水浴中にて水洗し、120℃の乾燥ローラーで乾燥後、500℃の熱板上にて延伸させた。先にこの延伸工程における最大延伸倍率(MDR)を求め、その0.9倍の倍率(15.9倍)で延伸を行い,コンポジットファイバーを得た。TEM観察結果からコンポジットファイバー中に存在する単層カーボンナノチューブの85%以上の凝集直径が50nm以上であることがわかった。また、X線散乱測定結果では、赤道ストリークのない低角領域のハローパターンが発達していることから、散乱体サイズが大きく、繊維軸方向に配向していない単層カーボンナノチューブが存在していることがわかった。(図2)偏向ラマン分光測定から配向係数Pは0.2であった。ファイバーの単繊維径は2.0de、弾性率は83.2GPa、強度は27.6deであった。
[比較例3]
参考例1で作成したNMPのアラミド樹脂溶液245gに、さらにNMP55gを加えて温度80℃で4時間攪拌することにより、実施例とほぼ同じポリマー濃度であるカーボンナノチューブを含まないアラミド樹脂溶液を得た。かくして得られたポリマードープを孔径0.3mm、L/D=1、孔数5個のキャップを用いて、シリンダー温度50℃にてNMP30重量%の水溶液である温度50℃の凝固浴中に速度3m/分にて押出した。キャップ面と凝固浴面との距離は10mmとした。凝固浴から取り出した繊維を50℃の水浴中にて水洗し、120℃の乾燥ローラーで乾燥後、500℃の熱板上にて延伸させた。先にこの延伸工程における最大延伸倍率(MDR)を求め、その0.9倍の倍率(15.3倍)で延伸を行い,ファイバーを得た。ファイバーの単繊維径は2.0de、弾性率は79.5GPa、強度は27.3deであった。図3にX線散乱測定結果を示す。
実施例2で得られた単層カーボンナノチューブのX線散乱測定結果。 比較例2で得られた単層カーボンナノチューブのX線散乱測定結果。 比較例3で得られた単層カーボンナノチューブのX線散乱測定結果。

Claims (5)

  1. 下記式(A)及び(B)
    ―NH―Ar―NH― (A)
    ―OC―Ar―CO― (B)
    (Ar,Arは各々独立に炭素数6〜20の2価の芳香族基を表わす。)
    の構成単位から主としてなる全芳香族ポリアミド100重量部と単層カーボンナノチューブ0.01〜20重量部から構成されるコンポジットファイバーであり、90%以上の単層カーボンナノチューブが、凝集直径が10nm以下で分散していることを特徴とするコンポジットファイバー。
  2. 偏光ラマン分光測定で入射レーザーを繊維の側面に繊維軸と直交方向から照射したときのカーボンナノチューブ由来のラマンスペクトルにおいて下記式(1)
    P=IYY/IXX (1)
    (レーザー偏光面を繊維軸と平行に配置した場合のGバンド強度をIXX,レーザー偏光面を繊維軸と垂直に配置した場合のGバンド強度をIYYとする。)
    で表される配向度Pが0より大きく0.2以下を満たすことを特徴とする請求項1に記載のコンポジットファイバー。
  3. 全芳香族ポリアミドが、Ar
    Figure 2006083482
    及び/または
    Figure 2006083482
    であり、Ar
    Figure 2006083482
    である請求項1または2に記載のコンポジットファイバー。
  4. 全芳香族ポリアミドが、Ar
    Figure 2006083482
    及び
    Figure 2006083482
    であり、Ar
    Figure 2006083482
    である共重合体であって、その共重合比が1:0.8〜1:1.2である請求項3に記載のコンポジットファイバー。
  5. 単層カーボンナノチューブのラマン分光測定から算出したD/G値(Dバンド強度/Gバンド強度)が0.1以下である単層カーボンナノチューブと分散溶媒とを混合して混合液を得る工程、ついで混合液中に少量の全芳香族ポリアミドを添加して単層カーボンナノチューブ分散液を調製する工程、ついで分散液中に全芳香族ポリアミドを添加して全芳香族ポリアミドと単層カーボンナノチューブからなる紡糸用溶液を得る工程、その溶液から紡糸することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンポジットファイバーの製造方法。
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