JP2006083420A - 導電性を改善した銅合金およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄板導電部品に適した特性を具備する導電性を改善した銅合金材料を提供する。
【解決手段】質量%で、Ni:0.2〜1.0%未満、Sn:0.5〜1.2%、P:0.01〜0.15%、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、導電率が45%IACS以上、0.2%耐力が400N/mm2以上好ましくは550N/mm2以上、ばね限界値が400N/mm2以上好ましくは550N/mm2以上の銅合金材料。金属組織において、この銅合金材料は、上記の化学組成を有する銅合金板材(中間製品)に「冷間圧延および焼鈍」の工程を1回以上付与したのち、仕上冷間圧延および低温焼鈍を施して板材製品とするに際し、仕上冷間圧延の直前に行う焼鈍(仕上前焼鈍という)を450〜550℃で3時間以上保持して行う製造法で製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コネクタ、スイッチ、リレー等の電気・電子部品に好適な導電性を改善した銅合金材料およびその製造法に関する。
近年の情報通信機器、家電製品、自動車用部品等の電気配線は複雑化、高集積化が進んでいる。それに伴いコネクタ、スイッチ、リレー等の電気・電子部品用に使用される伸銅品材料の需要が増大している。
従来、コネクタ等の導電部品には黄銅やりん青銅が一般的に使用されてきた。
黄銅は低コストの材料として選択される。しかし、導電率は26%IACS程度であり、また、耐食性、耐応力腐食割れ性、耐応力緩和特性について多少劣る面があるので、用途によっては使用に制約を受ける。
りん青銅は強度、耐食性、耐応力腐食割れ性、耐応力緩和特性のバランスに優れている。しかし、導電率が例えばばね用りん青銅で12%IACSと小さい。また、素材コストが高い。
そこで、種々の銅合金が研究、開発され提案されている。なかでも下記特許文献1には、Ni−P系の析出物を均一分散させた端子用銅基合金が開示されている。これは、引張強さ、ばね限界値、導電率、耐応力緩和特性、曲げ加工性を適度にバランスさせたものであり、コネクタ等の多くの導電部品用途に有用な材料である。
特開平10−226835号公報
昨今、電気・電子部品は小型化、軽量化される傾向にあり、それに使用される導電部品には必然的に薄肉化、細線化の要求が高まっている。また、自動車エンジンの高性能化やパーソナルコンピューターのCPUの高性能化に伴い、エンジンルーム内やCPU周辺で使用される電気・電子機器は従来にも増して高温に曝されるようになってきた。これらの要求に応えるためには、薄肉化した場合でも優れた耐久性・高信頼性が得られる材料特性が要求される。具体的には、高レベルの強度およびばね特性を維持しながら、できるだけ高い導電性を呈すること、さらには耐熱性(耐応力緩和特性)に優れることが重要となる。また、それらを改善する際、耐食性や複雑形状へのプレス成形性を劣化させてはならない。加えて、材料コストの増大も避けなければならない。
特許文献1に開示の銅合金材料は前述のように、強度や導電性の適度なバランスを有している。しかしながら、導電率は高々41%IACS程度であり、薄肉化の要求が厳しくなりつつある昨今の導電部品においては、更なる導電率の向上が望まれるところである。
本発明は、上記のような導電部品に必要な強度特性、ばね特性、耐食性、耐応力緩和特性等の基本的特性を具備した銅合金であって、特に昨今の薄肉化のニーズにもに十分対応できるように、導電性のレベルを向上させた材料を開発し提供しようというものである。
発明者らの検討の結果、上記目的はCu−Ni−Sn−P系の銅基合金において実現可能であることが明らかになった。ただし、そのためには合金組成と製造条件を工夫する必要がある。すなわち、組成面ではNi含有量を1質量%未満の低めのレンジに設定し、製造面では仕上冷間圧延前の段階で行う再結晶化焼鈍を、当該焼鈍後に導電率がピークとなる温度付近から、それより高温で導電率が大幅に低下しない温度までの領域で長時間行うことにより、この系の銅合金が本来有する諸特性を維持したまま導電性レベルを引き上げることが可能になるのである。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
本発明で提供する銅合金材料は、質量%で、Ni:0.2〜1.0%未満、Sn:0.5〜1.2%、P:0.01〜0.15%、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、導電率が45%IACS以上、0.2%耐力が400N/mm2以上好ましくは550N/mm2以上、ばね限界値が400N/mm2以上好ましくは550N/mm2以上のものである。金属組織において、Cuマトリックス中にNi−P系析出物が微細分散して存在するものが好ましい適用対象となる。代表的な素材形態としては、例えば厚さ0.5mm程度以下の板状のものが挙げられ、更に0.25mm以下、あるいは0.1mm以下の極薄材とすることもできる。
ここで、「Ni−P系析出物」は、NiとPの化合物を主体とする析出物である。
この合金材料には導電性の被覆層を形成することができる。特に、厚さ0.3〜2.0μmのCuめっき層およびその上に厚さ0.5〜5.0μmのSnめっき層を有する材料が提供される。
また、その銅合金の製造法として、上記の化学組成を有する銅合金板材(中間製品)に「冷間圧延および焼鈍」の工程を1回以上付与したのち、仕上冷間圧延および低温焼鈍を施して板材製品とするに際し、仕上冷間圧延の直前に行う焼鈍(仕上前焼鈍という)を450〜550℃で3時間以上保持して行う製造法が提供される。特に、前記仕上前焼鈍により、粒径10μm以下の再結晶粒を有する金属組織に調整することが好ましい。
本発明によれば、Cu−Ni−Sn−P系の銅基合金の導電性を安定して改善する手法が明らかにされ、従来実現されなかった45%IACS以上の導電率を有するものが提供可能になった。この銅合金は、当該合金系が本来有する強度、加工性等の諸特性を具備し、熱的安定性(耐応力緩和特性)も良好である。したがって本発明は、電気・電子部品の小型化・薄肉化に寄与するものである。
〔化学組成〕
Niは、Cuマトリックス中に固溶して、母材の強度、弾性、耐熱性、耐応力緩和特性、耐マイグレーション性の向上に寄与する元素である。さらに、Pとの化合物を形成して分散析出させることにより導電性の向上にも寄与する。Cu−Ni−Sn−P系合金において、これらの各作用は、Ni含有量範囲が概ね0.1〜3質量%の範囲で十分発揮されると考えられていた。しかし発明者らの最近の研究によると、「導電性」に関してはNi含有量レンジを低めにした場合に顕著な向上作用を生じることが明らかになった。
図1は、Ni含有量が0.55質量%の発明合金(後述表1の合金4)と、同1.12質量%の比較合金(後述表1の合金11)について、約50%の冷間圧延後に種々の温度で1時間熱処理した場合の、当該熱処理後における導電率と引張強さを示したものである。導電率を見ると、Ni含有量が低いものにおいて導電性のレベルが向上しているが、さらに注目すべきは、Ni低減材では導電性が顕著に向上するピーク温度が現れるようになることである。本発明は、低Ni化によって発現するこの現象を利用して、最終的な導電性を安定して45%IACS以上に高めることに成功したものである。
Niの添加効果を十分に発揮させるためには、0.2質量%以上のNi含有が必要である。ただし、1質量%以上になると導電性のピーク的効果が薄くなり、45%IACS以上の導電率を安定して実現するのが難しくなる。Ni含有量のより好ましい上限は0.9質量%、さらに好ましい上限は0.75質量%である。
Snは、母材のマトリックス中に固溶して強度、弾性および耐食性を向上させる元素である。Sn含有量が0.5質量%未満では特に強度、弾性の向上が十分に達成できない。一方、1.2質量%を超えると前記効果は徐々に飽和し、不経済となる。したがって、Sn含有量は0.5〜1.2質量%とする。0.6〜1.1質量%が一層好ましく、0.7〜1.0質量%が更に好ましい。
Pは、溶湯の脱酸剤として作用するとともに、Niとの化合物を分散析出させることにより、電気伝導性を向上させ、且つ引張強さ、弾性、耐応力緩和特性を向上させる。P含有量が0.01質量%未満ではこれらの効果は十分に得られない。しかし、0.15質量%を超えるとNi共存下でも電気伝導性、加工性、はんだ耐候性の低下が顕著となり、さらに耐マイグレーション性の低下を招く。したがって、P含有量は0.01〜0.15質量%とする。0.01〜0.10質量%が一層好ましく、0.03〜0.07質量%が更に好ましい。
残部は実質的にCuからなる。
なお、本発明ではNiとPの化合物(Ni−P系化合物)の分散析出を利用して強度や導電性を向上させることから、NiとPの含有量(質量%)の比「Ni/P」は20以下、好ましくは5〜20とすることが望ましい。
〔材料特性〕
導電部品の代表的な用途であるコネクタにおいては、挿入時の応力負荷や曲げに対して座屈や変形が生じない強度が必要であり、さらに電線の加締め、保持に対する強度も必要である。そのためには高い0.2%耐力が要求され、圧延方向に対して平行方向(L.D.)、直角方向(T.D.)ともに0.2%耐力400N/mm2以上、できれば500N/mm2以上、更には550N/mm2以上が望まれる。ばね限界値は400N/mm2以上であることが望ましく、できれば450N/mm2以上、更には550N/mm2以上が望まれる。
導電性については、特に厚さが薄い導電部品における通電時のジュール熱発生を十分抑えるために、本発明では45%IACS以上の導電率を確保する。できれば47%IACS以上の確保が望ましい。
コネクタ等の部品の小型化によりプレス成形性の要求も厳しくなり、曲げ部半径(R)と板厚(t)の比R/tが1以下を満足するような加工性が求められる。
上記に加え、金型のメンテナンスがコストに占める割合も大きいことから、できるだけ金型メンテナンスを軽減することが重要である。金型のメンテナンスが必要である大きな理由として、工具の摩耗を防ぐことが挙げられる。素材をプレス加工(打抜きや曲げ)する際に、パンチ、ダイス、ストリッパー等の工具が摩耗し、加工材のバリ発生や寸法不良、さらには材料自体の摩耗を招く。このため、金型摩耗性に対する材料側の要求も高まっている。
さらに、耐食性、耐応力腐食割れ性に優れていることが望まれ、またメス端子に至っては熱的負荷が加わることから耐応力緩和特性に優れることも重要となる。具体的には、応力腐食割れ寿命は従来の黄銅1種の3倍以上、応力緩和率は150℃×1000時間の緩和率が黄銅1種の半分である25%以下好ましくは10%以下であることが望ましい。
〔表面処理〕
以上の銅合金板には導電性の表面被覆を施すことができる。例えば、表面に厚さ0.3〜2.0μmのCuめっき層およびその上に厚さ0.5〜5.0μmのSnめっき層を有するものは、コネクタ等において一層高い耐久性を呈する。
〔製造法〕
前記のような特性を有する銅合金材料は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、前述の組成を有する銅合金を溶製し、通常の手法で熱間圧延して中間製品である銅合金板材を得る。これに「冷間圧延→焼鈍」の工程を1回以上行って焼鈍材を作る。この焼鈍は再結晶化を伴うものである。そして、最終的な仕上冷間圧延を行って、例えば0.5mm以下、0.25mm以下、更には0.1mm以下といった所望のゲージの薄板を作製する。その後、低温焼鈍を行えばよい。
ただし、本発明では導電性を改善するために、熱処理条件を工夫する。すなわち、仕上冷間圧延の直前に行う焼鈍(仕上前焼鈍)に際しては、再結晶化を起こすことは必要であるが、できるだけ低温域で行うことが望ましい。特に、低Ni化を図った本発明の対象合金では、前述のように導電率がピークとなる温度が出現する。図1に示すように、このピーク温度では既に引張強さの低減が始まっており、例えばこの温度で3時間以上の長時間加熱によって粒径10μm以下といった比較的微細な再結晶粒を有する組織を得ることができる。
このように低温で再結晶化させて、仕上前焼鈍終了後、すなわち仕上冷間圧延前の段階で高い導電性を呈する組織状態にしておくと、後工程で仕上冷間圧延および低温焼鈍を経て製造した最終製品において、45%IACS以上の優れた導電性が安定して実現できるのである。そのメカニズムは現時点で未解明な部分も多いが、仕上前焼鈍の段階で導電率の向上に有効な析出物の分散形態にしておくと、それが最終製品の導電率向上に反映されるものと考えられる。
実際には、この仕上前焼鈍は、導電率がピークになる温度付近から、それより高温で導電率がピーク時の例えば92%(好ましくは95%)に低下する温度までの温度域で保持することが好ましい。導電率がピークになる温度付近よりも低温側で保持しても、望ましい析出物の分散形態は得られず、また、再結晶化も不十分となりやすい。
導電率がピークとなる温度や焼鈍上限温度を決めるためには、予め所定組成の合金を用いて図1のような温度−導電率曲線を求めておけばよい。Niを所定範囲に低減した本発明対象のCu−Ni−Sn−P系合金の場合、導電率がピークになる温度は450℃前後である。種々実験の結果、仕上前焼鈍は450〜550℃の範囲で行えば良いことがわかった。550℃を超えると、十分な導電性改善効果が期待できない。これらの温度に保持後は水冷等の急冷を行うことが望ましい。
仕上前焼鈍の加熱保持時間は、一般的な再結晶焼鈍と比べ低温レンジであることから、長めに取ることが望ましい。図2には、本発明例である後述表1の合金4(Ni:0.55%)について450℃または500℃で仕上前焼鈍を施した場合の熱処理時間(加熱保持時間)と引張強さおよび導電率の関係を示す。この図からわかるように、450℃の場合でも3時間以上の加熱保持時間を確保することで軟化挙動が落ち着いてくる。したがって、3時間以上の保持時間を確保することが望ましい。24時間程度保持しても構わないが、あまり長すぎても不経済となるので、製造現場では概ね8時間以下で行えばよい。
製造プロセスにおいて「冷間圧延→焼鈍」の工程を1回以上行う際、各冷延後の焼鈍は、通常、再結晶化を伴う焼鈍とする。本発明では、このような再結晶化を伴う焼鈍のうち、少なくとも仕上前焼鈍について前述のような低温にシフトした焼鈍を行う必要があるが、可能であれば、仕上冷間圧延前に行われる全ての再結晶化を伴う焼鈍についても同様に低温域で行うことが望ましい。なお、仕上前焼鈍の直前に行う冷間圧延では、50%以上、好ましくは60%以上の圧延率を確保することが望ましい。
仕上前焼鈍の後、必要に応じて酸洗などの表面手入れを行い、仕上冷間圧延に供する。仕上冷間圧延は25%以上の圧延率を確保することが望ましい。好ましい仕上冷間圧延率は25〜95%、更に好ましくは30〜90%である。板厚が薄くなるとへリングボーンの発生防止に注意する必要がある。また、特に0.10mm、0.05mmといった極薄材の場合、板厚精度の確保にも注意が必要である。このような薄板の圧延は、板に通常の冷間圧延の2倍前後の張力を加えることで可能となる。具体的には仕上冷間圧延直後の材料の0.2%耐力に対し、その30%以上の張力を加えることが望ましい。
次いで、材料を低温焼鈍して製品に仕上げる。例えば200〜550℃の温度に保持する。再結晶化を伴うような比較的高い温度域では5秒程度でよいが、比較的低い温度域で実施する場合は長時間の加熱が望ましい。200〜550℃の範囲であれば概ね5秒〜3時間の範囲で選択できる。前記組成のCu−Ni−Sn−P系合金の場合、250〜400℃で10〜60分程度保持することが好ましい。この低温焼鈍後も酸洗することが望ましい。
このようにして、前記の優れた特性を有する銅合金板を得ることができる。
この銅合金板の表面に前述した厚さ0.3〜2.0μmのCuめっき層およびその上に厚さ0.5〜5.0μmのSnめっき層を施す場合は、めっき後に100〜200℃の温度範囲で材料を加熱することが望ましい。この熱処理により、ばね限界値が向上し、また、曲げ加工部での硬化が大きくなるのでコネクタ材料として一層有利となる。
なお、合金の原料としてSnめっき層を有する材料のプレス打ち抜き屑を使用する場合は、予め溶解前に当該屑を大気中または不活性ガス雰囲気中で300〜600℃、0.5〜24時間保持する熱処理に供しておくことが望ましい。
表1に示す化学組成の銅合金を高周波誘導溶解炉を用いて溶製し、40mm×40mm×150mmの鋳塊を得た。その際、溶解から鋳造までの雰囲気はArガス雰囲気とし、鋳造後直ちに水冷した。
各鋳塊を熱間圧延して銅合金板材(中間製品)としたのち、冷間圧延と焼鈍を繰り返して板厚0.5〜1.4mmにした。その際、最後の焼鈍(仕上前焼鈍)は450〜550℃で3〜8時間保持し、水冷する条件で行った。なお、仕上前焼鈍の直前の冷間圧延では圧延率を50〜80%とした。
その後、酸洗し、30%以上の圧延率で最終的に板厚0.08mm〜0.25mmまで冷間圧延した(仕上冷間圧延)。次いで、低温焼鈍を施した。低温焼鈍は250〜350℃で5秒〜60分保持する条件範囲とした。
最後に酸洗を行い、試験用サンプルとした。
各試験用サンプルを用いて、導電率、ビッカース硬さ、0.2%耐力、ばね限界値、曲げ加工性、応力緩和率、Ni−P系析出物の有無を求めた。また、仕上前焼鈍後の段階の材料からもサンプルを採取し、導電率および再結晶粒径を調べた。
導電率はJIS H 0505、ビッカース硬さはJIS Z 2244、ばね限界値はJIS H 3130の繰り返したわみ式試験にそれぞれ準じて求めた。
0.2%耐力は圧延方向に対し平行方向(L.D.)、および直角方向(T.D.)のJIS 5号引張試験片を用いて、JIS Z 2241の引張試験を行って求めた。
曲げ加工性は、90°W曲げ試験(CES−M−0002−6、R/t=1、W/t=10、ただしWは試験片幅(mm))を行い、中央部の山表面が良好なものを○評価、シワが発生したものを△評価、割れの発生したものを×評価とした。試験方向は、曲げ軸が圧延方向に対し直角方向(G.W.)および平行方向(B.W.)とした。
応力緩和試験は、試験片(寸法:10W×75L(mm))の中央部の応力が400N/mm2となるようにアーチ曲げを行い、150℃で1000時間保持後の曲げぐせを応力緩和率として次式により算出した。
応力緩和率(%)=〔(L1−L2)/(L1−L0)〕×100
ただし、L0は治具の長さ(mm)、L1は試験開始時の試料長さ(mm)、L2は試験後の試料端間の水平距離(mm)である。
応力緩和率が10%以下であれば耐応力緩和特性に優れていると言える。
これらの結果を表1に示してある。
なお、試験用サンプルの金属組織を透過型電子顕微鏡で観察したところ、いずれの例においてもNi−P系析出物が均一微細に分散析出していた。
Figure 2006083420
表1からわかるように、本発明例であるNo.1〜7は、最終的な導電率がいずれも45%IACS以上をクリアした。しかも、0.2%耐力がL.D.、T.D.とも550N/mm2以上、ばね限界値も550N/mm2以上を維持し、曲げ加工性および耐応力緩和特性にも優れた。
これに対し、比較例No.8および10はそれぞれ本発明例の合金4および2と同じ組成を有するが、いずれも仕上前焼鈍の温度が高すぎたため最終的に導電率45%IACSには達しなかった。No.9は本発明例の合金2と同じ組成を有するが、逆に仕上前焼鈍温度が低すぎたため、仕上前焼鈍にて再結晶化が図れなかった。No.11はNi含有量が1%以上の従来材について仕上前焼鈍を通常の600℃で行ったものであり、導電率が低い。
Cu−Ni−Sn−P系合金においてNi含有量の低減を図った本発明合金(Ni:0.55%)と従来合金(Ni:1.12%)について、冷間圧延後の熱処理温度と引張強さおよび導電率の関係を示すグラフ。
本発明合金(Ni:0.55%)について引張強さおよび導電率に及ぼす仕上前焼鈍時間の影響を示したグラフ。

Claims (6)

  1. 質量%で、Ni:0.2〜1.0%未満、Sn:0.5〜1.2%、P:0.01〜0.15%、残部Cuおよび不可避的不純物からなり、導電率が45%IACS以上、0.2%耐力が400N/mm2以上の銅合金。
  2. 0.2%耐力が550N/mm2以上であり、さらに、ばね限界値が550N/mm2以上である請求項1に記載の銅合金。
  3. Cuマトリックス中にNi−P系析出物が存在する請求項1または2に記載の銅合金。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の銅合金の表面に、厚さ0.3〜2.0μmのCuめっき層およびその上に厚さ0.5〜5.0μmのSnめっき層を有する銅合金材料。
  5. 質量%で、Ni:0.2〜1.0%未満、Sn:0.5〜1.2%、P:0.01〜0.15%、残部Cuおよび不可避的不純物からなる銅合金板材(中間製品)に「冷間圧延および焼鈍」の工程を1回以上付与したのち、仕上冷間圧延および低温焼鈍を施して板材製品とするに際し、仕上冷間圧延の直前に行う焼鈍(仕上前焼鈍という)を450〜550℃で3時間以上保持して行う銅合金の製造法。
  6. 前記仕上前焼鈍により、粒径10μm以下の再結晶粒を有する金属組織に調整する請求項5に記載の銅合金の製造法。
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