JP2006083187A - ハロゲン化アルコキシシランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、α−オレフィン重合体の触媒成分の製造に用いられるハロゲン化アルコキシシランの製造方法に関する。
グリニヤール試薬を用いる方法以外に、(ジアルキルアミノ)アルコキシシランは、ハロゲン化アルコキシシランを原料として製造する方法が知られている。
ハロゲン化アルコキシシランは半導体プロセス原料であるほか、化学合成上、種々の低分子および高分子のシリコン化合物の好適な前駆体である。即ち,ハロゲノ基とアルコキシ基の反応性の違い、および該置換基の置換数のバリエーションを利用して種々の高付加価値シリコン化合物へと誘導できる。
上記のハロゲン化アルコキシシランの製造方法としては、従来、例えば、クロロエトキシシランはJ.Am.Chem.Soc.,68巻,70ページ,1946年並びにKhimiya i Industriya,6号,248ページ,1983年においては、テトラクロロシランとエタノールを反応させて製造する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は、反応系中で塩化水素ガスが生じるため、これを除去および除害する必要がある点、並びに、当該ガスが腐食性であることに起因する反応装置上の制約が発生し、これらの対策を施すと工程的にもコスト的にも満足したものではなく、より一層の改良が望まれていた。
一方、特許文献1においては、テトラクロロシランとテトラアルコキシシランを反応させて製造する方法が提案されている。この方法によれば塩化水素ガスの発生を回避可能であるが、実施例の収率は高々60から75%で、より高い収率が望まれている。
さらに、トリクロロエトキシシランについては、非特許文献1において、エタノール存在下でテトラクロロシランとテトラアルコキシシランを反応させて、最高90%の収率で得られることが開示されているが、この反応系では塩化水素ガスが発生していることは明らかである。
本発明は、ハロゲン化アルコキシシランを塩化水素ガスなどの腐食性ガスを発生することなく、高収率で提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、化4で表されるテトラハロシランと化5で表されるオルトギ酸エステルを反応させて化6で表されるハロゲン化アルコキシシランを製造するハロゲン化アルコキシシランの製造方法である。
上記触媒の製造方法によれば、ハロゲン化アルコキシシランを塩化水素ガスなどの腐食性ガスを発生することなく、高収率で提供することができる。
触媒成分
本発明は、化7で表わされるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒の触媒成分である。
本発明は、化7で表わされるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒の触媒成分である。
化7においてR1は炭素数は炭素数1〜6の炭化水素基であり、炭素数1〜6の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられ、特に好ましくは、炭素数2〜6の炭化水素基である。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
化7においてR2は、炭素数は炭素数1〜12の炭化水素基又は水素であり、炭素数1〜12の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基又は水素などが挙げられる。具体例としては水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
化7においてR3は炭素数は炭素数1〜12の炭化水素基であり、炭素数1〜12の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である
化7の化合物としては、ジメチルアミノトリエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジエチルアミノトリメトキシシラン、ジエチルアミノトリn−プロポキシシラン、ジn−プロピルアミノトリエトキシシラン、メチルn―プロピルアミノトリエトキシシラン、t−ブチルアミノトリエトキシシラン、エチルn−プロピルアミノトリエトキシシラン、エチルイソプロピルアミノトリエトキシシラン及びメチルエチルアミノトリエトキシシランのうちいずれか一以上であることが好ましい。これら有機ケイ素化合物は、単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
化7の化合物は、たとえば、アルキルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、アルキルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランとアルキルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、マグネシウム塩のかわりに、リチウム塩を用いても良い。さらに、化7の化合物は、後述するようにグリニャール試薬を用いて合成する他、ハロゲン化アルコキシシランとジアルキルアミンを反応させることによっても合成することができる。
本発明で用いる化7の化合物であるジエチルアミノトリエトキシシランは、たとえば、ジエチルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、ジエチルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランとジエチルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、ジエチルアミンのマグネシウム塩のかわりに、ジエチルアミンのリチウム塩を用いても良い。
本発明で用いる化7の化合物であるメチル−n―プロピルアミノトリエトキシシランは、たとえば、メチル−n―プロピルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、メチル−n―プロピルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランとメチル−n―プロピルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、メチル−n―プロピルアミンのマグネシウム塩のかわりに、メチル−n―プロピルアミンのリチウム塩を用いても良い。
本発明で用いる化7の化合物であるt−ブチルアミノトリエトキシシランは、たとえば、t−ブチルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、t−ブチルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランとt−ブチルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、t−ブチルアミンのマグネシウム塩のかわりに、t−ブチルアミンのリチウム塩を用いても良い。
本発明で用いる化7の化合物であるエチル−n−プロピルアミノトリエトキシシランは、たとえば、エチル−n−プロピルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、エチル−n−プロピルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランとエチル−n−プロピルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、エチル−n−プロピルアミンのマグネシウム塩のかわりに、エチル−n−プロピルアミンのリチウム塩を用いても良い。
本発明で用いる化7の化合物であるメチルエチルアミノトリエトキシシランは、たとえば、メチルエチルアミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応により、メチルエチルアミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランとメチルエチルアミンのマグネシウム塩の当量反応により合成することができる。また、メチルエチルアミンのマグネシウム塩のかわりに、メチルエチルアミンのリチウム塩を用いても良い。
また、本発明は、化8で表わされるα−オレフィンの重合又は共重合用触媒の触媒成分である。
化8においてR1は炭素数は炭素数1〜6の炭化水素基であり、炭素数1〜6の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられ、特に好ましくは、炭素数2〜6の炭化水素基である。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
化8の化合物のRNは、環状アミノ基であり、例えば、パーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ基、オクタメチレンイミノ基などが考えられる。
化8の化合物として具体的には、(パーヒドロキノリノ)トリエトキシシラン、(パーヒドロイソキノリノ)トリエトキシシラン、(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)トリエトキシシラン、(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ)トリエトキシシラン、オクタメチレンイミノトリエトキシシランである。
化8の化合物は、たとえば、パーヒドロイソキノリンの様な多環式アミンとグリニャール試薬を当量反応させて、グリニャール交換反応を行い、多環式アミンのマグネシウム塩を得た後、引き続いて、テトラエトキシシランと多環式アミンのマグネシウム塩との当量反応により容易に合成することができる。また、多環式アミンのマグネシウム塩のかわりに、ブチルリチウム等を用いて得られた多環式アミンのリチウム塩を用いることもできる。さらに、化8の化合物は、後述するようにグリニャール試薬を用いて合成する他、ハロゲン化アルコキシシランとジアルキルアミンを反応させることによっても合成することができる。
触媒成分の製造方法
上述した化7で表される触媒成分は、上述したグリニャール試薬を用いて合成する他、化9で表されるハロゲン化アルコキシシランと化10で表されるジアルキルアミンを反応させることにより合成することができる。
上述した化7で表される触媒成分は、上述したグリニャール試薬を用いて合成する他、化9で表されるハロゲン化アルコキシシランと化10で表されるジアルキルアミンを反応させることにより合成することができる。
化9で表されるハロゲン化アルコキシシランにおいて、Xはハロゲン基であり、例えば、フルオル基、クロル基、ブロム基などが挙げられ、特にクロル基が好ましい。また、化9で表されるハロゲン化アルコキシシランにおいて、R1は炭素数1〜4の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基などのプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などのブチル基などが挙げられ、特にエチル基が好ましい。さらに、化9で表されるハロゲン化アルコキシシランにおいて、n=1、2又は3であり、特に1が好ましい。化9で表されるハロゲン化アルコキシシランの具体例としては、フルオロトリエトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリn−プロポキシシラン、ブロモトリエトキシシランなどが挙げられ、特にクロロトリエトキシシランが好ましい。
化10で表されるジアルキルアミンにおいて、R2は、炭素数は炭素数1〜12の炭化水素基又は水素であり、炭素数1〜12の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基又は水素などが挙げられる。具体例としては水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
化10で表されるジアルキルアミンにおいて、R3は炭素数は炭素数1〜12の炭化水素基であり、炭素数1〜12の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはエチル基である。
化10で表されるジアルキルアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、メチルn―プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチルn−プロピルアミン、エチルイソプロピルアミン及びメチルエチルアミンなどが挙げられる。
また、上述した化8で表される触媒成分は、上述したグリニャール試薬を用いて合成する他、化9で表されるハロゲン化アルコキシシランと化11で表される環状アミンを反応させることにより合成することができる。
化11で表される環状アミンにおいて、RNは、環状アミノ基であり、例えば、パーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ基、オクタメチレンイミノ基などが考えられる。
化11で表される環状アミンの具体例としては、パーヒドロキノリン、パーヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、オクタメチレンイミンなどが挙げられる。
化9で表される化合物は、化12で表されるテトラハロシランと化13で表されるオルトギ酸エステルを反応させるという本発明者らが発明した新規な方法で製造することができる。
化12で表されるテトラハロシランにおいて、Xはハロゲン基であり、例えば、フルオル基、クロル基、ブロム基などが挙がられる。中でもクロル基が好ましい。また、化12で表されるテトラハロシランの具体例としては、テトラフルオロシラン、テトラククロロシラン、テトラブロモシランなどが挙げられる。中でも、テトラクロロシランが好ましい。
化13で表されるオルトギ酸エステルにおいて、R1は炭素数1〜4の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基などのプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などのブチル基などが挙げられる。中でも、エチル基が好ましい。また、化13で表されるオルトギ酸エステルの具体例としては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチルなどが挙げられる。中でも、オルトギ酸エチルが好ましい。
化12で表されるテトラハロシランと化13で表されるオルトギ酸エステルの反応は、溶媒を用いなくても進行するが、原料および反応生成物と反応しないような溶媒を用いて行うこともできる。溶媒を用いる場合、溶媒としては、n−ヘプタン、トルエン、ジエチルエーテルなどが挙げられる。中でも、n−ヘプタンが好ましい。
反応温度は、−20〜200℃が好ましく、0〜120℃が特に好ましい。反応時間は通常0.25〜120hrでテトラハロシランおよびオルトギ酸エステルおよび触媒および溶媒の種類と量、および反応温度などによって変化する。また、場合によれば、−20〜15℃で0.25〜24hr反応した後、室温で0.25〜120hr反応することが好ましい。
化12で表されるテトラハロシランと化13で表されるオルトギ酸エステルの添加割合によって、Siに結合するXとORの数、即ちXnSi(OR)4−nのnを制御可能である。n=1のX1Si(OR)3で表されるトリアルコキシハロシランの場合、SiX4:HC(OR)3=1:2.6〜3.5(モル比)が好ましい。
反応は、無触媒でも進行するが、反応時間短縮などの効果があるので酸触媒を用いることが望ましい。酸触媒はルイス酸でもブレンステッド酸でも良い。ルイス酸としては塩化アルミ、塩化チタン、フッ化ホウ素などが挙げられる。ブレンステッド酸としては、ハロゲン化水素ガスの発生を抑制する観点では、余剰の水分が含まれていない形態の酸が好ましく、カルボン酸(例えばトリフルオロ酢酸)、スルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸)、ポリリン酸などが挙げられる。中でもp−トルエンスルホン酸が好ましい。少量のハロゲン化水素の発生が問題とならない場合、p−トルエンスルホン酸は水和物として用いてもよい。
p−トルエンスルホン酸の添加量は、SiX4に対して、10−5〜10モル%が好ましく、10−2〜5モル%が特に好ましい。
反応は、化12で表されるテトラハロシランに化13で表されるオルトギ酸エステルを滴下することが好ましい。このとき両者もしくはどちらか一方を溶液としても良い。
化12で表されるテトラハロシランと化13で表されるオルトギ酸エステルの反応で得られた化9で表されるハロゲン化アルコキシシランは、単離することなく、化10で表されるジアルキルアミンと反応させて化7で表される触媒成分を得ることができる。
また、化12で表されるテトラハロシランと化13で表されるオルトギ酸エステルの反応で得られた化9で表されるハロゲン化アルコキシシランは、単離することなく、化11で表される環状アミンと反応させて化8で表される触媒成分を得ることができる。
攪拌羽と滴下ロートを備えた容量300mLのフラスコ内を真空ポンプを用いて窒素置換した後,フラスコ内にテトラクロロシラン8.5g(0.050mol)、脱水n−ヘプタン100mLとp−トルエンスルホン酸一水和物0.48g(0.0025mol)を入れ,氷浴中で攪拌した。滴下ロートにはオルトギ酸エチル22.2g(0.15mol)を脱水n−ヘプタン25mLに溶解させた溶液を入れた。氷浴中で攪拌したまま滴下ロートからオルトギ酸エチル溶液をゆっくりと滴下し、氷冷したまま5時間攪拌した後、室温で三夜放置した。この時点のガスクロマトグラフィーによる分析から、クロロトリエトキシシランが78%生成していることが確認された。再び氷冷した後、トリエチルアミン10.1g(0.10mol)を反応溶液に加え、次いで滴下ロートから、ジエチルアミン3.7g(0.050mol)を脱水n−ヘプタン5mLに溶かした溶液をゆっくりと滴下した。氷冷したまま2時間攪拌した後、室温で一夜放置した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、クロロトリエトキシシランが1%とトリエトキシ(ジエチルアミノ)シランが78%で得られ、テトラエトキシシランが8%副生していた。
また、p−トルエンスルホン酸一水和物の代わりに、p‐トルエンスルホン酸0.43g(0.0025mol)を用い、三夜放置を一夜放置にした以外は、実施例1と同様に反応を行った。ジエチルアミン添加前の段階でガスクロマトグラフィーによる分析から、クロロトリエトキシシランが61%生成していることが確認された。ジエチルアミン添加後はクロロトリエトキシシランが1%とトリエトキシ(ジエチルアミノ)シランが59%で得られ、テトラエトキシシランが13%副生していた。
次に、オルトギ酸エチルの代わりにエタノールを添加して比較実験1を行った。すなわち、 攪拌羽と滴下ロートを備えた容量300mLのフラスコ内を真空ポンプを用いて窒素置換した後,フラスコ内にテトラクロロシラン8.5g(0.050mol)、脱水n−ヘプタン100mLとトリエチルアミン30.4g(0.30mol)を入れ,氷浴中で攪拌した。滴下ロートにはエタノール6.9g(0.15mol)を脱水n−ヘプタン20mLに溶解させた溶液を入れた。氷浴中で攪拌したまま滴下ロートからエタノール溶液をゆっくりと滴下し、氷冷したまま4時間攪拌した後、室温で二夜放置した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、目的のクロロトリエトキシシランの生成は7%で、テトラエトキシシランが60%副生していた。
オルトギ酸エチルの代わりにナトリウムエトキシドを添加して比較実験2を行った。すなわち、攪拌羽と滴下ロートを備えた容量300mLのフラスコ内を真空ポンプを用いて窒素置換した後,フラスコ内にテトラクロロシラン5.1g(0.030mol)、脱水n−ヘプタン100mLを入れ,氷浴中で攪拌した。滴下ロートにはナトリウムエトキシド6.1g(0.090mol)を脱水THF90mLに充分に均一に懸濁させた液を入れた。氷浴中で攪拌したまま滴下ロートから懸濁液をゆっくりと滴下し、氷冷したまま1時間攪拌した後、室温で三夜放置した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、クロロトリエトキシシランの生成は14%であった。再び氷冷した後、トリエチルアミン6.1g(0.060mol)を反応溶液に加え、次いで滴下ロートから、ジエチルアミン2.2g(0.030mol)を脱水n−ヘプタン6mLに溶かした溶液をゆっくりと滴下した。氷冷したまま2時間攪拌した後、室温で2時間攪拌した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、クロロトリエトキシシランおよびトリエトキシ(ジエチルアミノ)シランは確認されず、テトラエトキシシランが22%副生していた。
テトラクロロシランにジエチルアミンを先に添加し、後からオルトギ酸エチルでエトキシ化して、比較実験3を行った。すなわち、攪拌羽と滴下ロートを備えた容量200mLのフラスコ内を真空ポンプを用いて窒素置換した後,フラスコ内にテトラクロロシラン5.1g(0.030mol)、脱水n−ヘプタン70mLを入れ,トリエチルアミン18.2g(0.18mol)を加え氷浴中で攪拌した。滴下ロートにはジエチルアミン2.2g(0.030mol)を脱水n−ヘプタン20mLに溶かした溶液を入れた。氷浴中で攪拌したまま滴下ロートからジエチルアミン溶液をゆっくりと滴下し、氷冷したまま2時間攪拌した。反応により生成したトリエチルアミン塩酸塩を窒素ガス雰囲気化でろ過によって除去した。得られた反応溶液を、再び氷冷した後、オルトギ酸トリエチル23.8g(0.16mol)を反応溶液に滴下し、氷冷したまま1時間攪拌した後、室温で4時間攪拌、次いで還流するまで加熱した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリエトキシ(ジエチルアミノ)シランが35%確認された。
テトラクロロシランにジエチルアミンを先に添加し、後からエタノールでエトキシ化して、比較実験4を行った。すなわち、比較例3と同様にテトラクロロシランとジエチルアミンとの反応を行い、得られた反応溶液を再び氷冷した後、オルトギ酸トリエチルの代わりにエタノールをを反応溶液に滴下した。氷冷したまま3時間攪拌した後、室温で2時間攪拌した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリエトキシ(ジエチルアミノ)シランが22%確認され、テトラエトキシシランが37%副生していた。
テトラクロロシランにジエチルアミンを先に添加し、後からナトリウムエトキシドでエトキシ化して、比較実験5を行った。すなわち、攪拌羽と滴下ロートを備えた容量500mLのフラスコ内を真空ポンプを用いて窒素置換した後,フラスコ内にテトラクロロシラン8.5g(0.050mol)、脱水n−ヘプタン50mLを入れ,トリエチルアミン20.2g(0.20mol)を加え氷浴中で攪拌した。滴下ロートにはジエチルアミン3.7g(0.050mol)を脱水n−ヘプタン5.2mLに溶かした溶液を入れた。氷浴中で攪拌したまま滴下ロートからジエチルアミン溶液をゆっくりと滴下し、氷冷したまま2時間攪拌した。反応により生成したトリエチルアミン塩酸塩を窒素ガス雰囲気化でろ過によって除去した。得られた反応溶液を、再び氷冷した後、20wt%ナトリウムエトキシドエタノール溶液61.2g(0.18mol)を反応溶液に滴下し、氷冷したまま3時間攪拌した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、トリエトキシ(ジエチルアミノ)シランが39%確認され、テトラエトキシシランが40%副生していた。
テトラエトキシシランのグリニヤール試薬を経由しない直接アミノ基置換して、比較実験6を行った。すなわち、攪拌羽と、モレキュラーシーブ4Aを詰めた円筒ろ紙を装填したソックスレー抽出器を備えた容量200mLのフラスコ内を真空ポンプを用いて窒素置換した後,フラスコ内にテトラエトキシシラン83.3g(0.40mol)とジエチルアミン73.1g(1.0mol)を入れ,8時間加熱還流した。得られた反応溶液をガスクロマトグラフィーで分析すると、目的としたアミノ置換体は得られず、出発物質であるテトラエトキシシランのみが確認された。
Claims (6)
- 前記化3のR1が、エチル基であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化アルコキシシランの製造方法。
- 前記化1のXが、クロル基であることを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化アルコキシシランの製造方法。
- 化1で表されるテトラハロシランと化2で表されるオルトギ酸エステルを酸性触媒の存在下で反応させることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のハロゲン化アルコキシシランの製造方法。
- 前記酸触媒がp−トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化アルコキシシランの製造方法。
- 化3のnが、1であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のハロゲン化アルコキシシランの製造方法。
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