JP2006082933A - エレベータ駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スイッチング素子の破損時、乗りかごを所定階まで移動させることにある。
【解決手段】P,N母線6a,6b間に2相のシリアル接続されたスイッチング素子5a−5d、5b−5cをもった電機子チョッパ装置5を接続するに際し、各相の素子両端部とP,N母線6a,6bとの間に切断手段21a,21d,21b,21cを接続する。切断手段21a,21d,21b,21cには切断された信号を制御部に送出する補助接点22a,22d,22b,22cを設けている。さらに、直流電動機8の電機子9a,9bとP,N母線6a,6bとの間に常時は開状態の接続手段23a,23bを設けている。素子の破損時、同相の切断手段が切断すると、対応補助接点から切断信号が制御部に送出する。制御部からの投入指示を出し、破損素子と対極側に接続される接続手段を閉じ、母線に直結する。そして、正常な素子と閉状態の接続手段を用いてチョッパ動作を行い、直流電動機8の電機子電流を制御し、乗りかごを移動可能にする。
【選択図】図1
【解決手段】P,N母線6a,6b間に2相のシリアル接続されたスイッチング素子5a−5d、5b−5cをもった電機子チョッパ装置5を接続するに際し、各相の素子両端部とP,N母線6a,6bとの間に切断手段21a,21d,21b,21cを接続する。切断手段21a,21d,21b,21cには切断された信号を制御部に送出する補助接点22a,22d,22b,22cを設けている。さらに、直流電動機8の電機子9a,9bとP,N母線6a,6bとの間に常時は開状態の接続手段23a,23bを設けている。素子の破損時、同相の切断手段が切断すると、対応補助接点から切断信号が制御部に送出する。制御部からの投入指示を出し、破損素子と対極側に接続される接続手段を閉じ、母線に直結する。そして、正常な素子と閉状態の接続手段を用いてチョッパ動作を行い、直流電動機8の電機子電流を制御し、乗りかごを移動可能にする。
【選択図】図1
Description
本発明は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のスイッチング素子を使用した直流チョッパ制御によって直流電動機を駆動するエレベータ駆動制御装置に関する。
エレベータ乗りかごを昇降駆動する大型直流電動機は、現在、新設のエレベータ装置にはほとんど新規に採用されておらず、主に三相交流誘導電動機、永久磁石電動機が採用されている。しかし、未だ既設のエレベータ装置には直流電動機が多数使用されている。エレベータ装置の中には既に20年以上稼動しているものもあり、老朽化が進んでいることも事実である。
そこで、老朽化が進んでいるエレベータ装置については、リニューアル化を実施する方向で検討されるが、このとき予算、工事期間、撤去スペース等の問題から、直流電動機を残し、直流電動機を駆動制御する電力変換系だけを交換する制御リニューアル工法がある。現在の電力変換系は、コンバータ装置−インバータ装置によるPWM制御が主流であり、当該インバータ装置で変換された所定の交流電力を用いて交流電動機を駆動制御する。よって、現存する直流電動機に適用する制御リニューアル工法としては、インバータ装置として直流チョッパ機能をもった電力変換系を用いて、直流電動機を駆動制御する方法が採られている。
図5は従来の直流チョッパ機能をもった電力変換系の構成を示す図である。同図において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1から所定の電動機駆動電力を取り出す電力変換装置である。電力変換装置2は、三相交流電源1を所定の直流電力に変換するコンバータ装置3と、このコンバータ装置3で変換された直流電力を平滑化する平滑コンデンサ4と、図示しない制御部からのゲート制御信号によって直流電力をチョッパ動作するIGBT等のスイッチング素子5a〜5dからなる電機子チョッパ装置5とで構成されている。6a,6bはコンバータ装置3、平滑コンデンサ4及び電機子チョッパ装置5を接続するP母線、N母線である。
なお、7aはスイッチング素子5a,5b,5c,5dの破損時に短絡電流7cを流入する短絡検出用コンデンサ、7bは短絡検出用コンデンサ7aから流れる短絡電流7cを検出する短絡検出用カレントセンサである。また、8は直流電動機、9a.9bは直流電動機8の電機子、10は直流電動機8内に収納される界磁コイル、11は界磁コイル10に通電し、界磁磁束を制御する界磁用電源である。
次に、以上のような装置の動作について説明する。三相交流電源1はコンバータ装置3に供給される。コンバータ装置3は、図示しない制御部からのゲート制御信号によってスイッチング動作を行い、三相交流電源1を所定の直流電圧に変換し、P,N母線6a,6b間に印加する。電機子チョッパ装置5は、図示しない制御部から入力されるゲート制御信号に基づき、P,N母線6a,6b間の直流電圧をスイッチング素子5a〜5dでチョッパ動作制御を行うことにより、直流電動機8の電機子9a,9bに通電する電機子電流を制御し、直流電動機8を駆動制御する。
さらに、直流電動機8の駆動制御時、過熱や過電流等が生じてP極側スイッチング素子5aが破損した場合、図示しない制御部からのゲート制御信号によって同相対極(N極)側スイッチング素子5dをオンしたとき、PN母線6a,6b間が短絡状態となる。このとき、平滑コンデンサ4に充電されている直流電圧がPN母線6a,6b間に印加されているので、短絡検出用コンデンサ7a及び短絡検出用カレントセンサ7bを通って短絡電流7cが流れる。よって、短絡検出用カレントセンサ7bは、短絡電流7cを検出し、図示しない制御部に送出する。制御部は、電機子チョッパ装置5のスイッチング素子5a〜5dに送出するゲート制御信号を遮断し、エレベータ装置の動作を停止し、エレベータ乗りかごを安全に停止させる。
しかしながら、以上のようなエレベータ駆動制御装置では、次のような課題を有するものである。すなわち、従来のエレベータ駆動制御装置は、短絡保護動作として、短絡検出用カレントセンサ7bが短絡電流7cを検出すると、エレベータ装置の動作を停止させる。しかし、短絡検出用カレントセンサ7bの誤検出や図示しない制御部からのゲート制御信号に外乱ノイズ等が加わって短絡状態になり、一時的に短絡保護動作が働くことがある。
そこで、短絡保護動作が働いた場合でも、スイッチング素子が破損せずに保護されていることを考慮し、エレベータ装置の動作停止後、再起動する。そして、再起動を何回か繰り返し、同様な短絡保護動作が発生した場合にはスイッチング素子破損と判断し、エレベータ装置を完全に停止する。
このとき、エレベータ装置に遠隔監視装置等が設置されている場合、エレベータ装置の停止を監視室やサービスセンタ等に発報する。一方、エレベータ装置に遠隔監視装置等が設置されていない場合、乗りかごが停止した後、乗客がかご内のサービス電話等を利用し、乗りかご外部と連絡をとることができる。何れの場合においても、サービスセンタ等に待機するサービスマンが救出にくるまでの間、乗客が乗りかご内に閉じ込められた状態となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、スイッチング素子が破損した場合でも、乗りかごを所定階まで移動させて乗客をかご内に閉じ込めることのないエレベータ駆動制御装置を提供することを目的とする。
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、P,N母線間に電機子チョッパ装置が設けられ、当該電機子チョッパ装置は、当該P,N母線間に各相ごとにシリアル接続した複数のスイッチング素子を接続し、制御部からのゲート制御信号を受けて前記各スイッチング素子が前記PN母線間の直流電源をチョッパ動作して直流電動機の電機子電流を制御することにより、当該直流電動機を駆動制御するエレベータ駆動装置において、
各相ごとにシリアル接続されたスイッチング素子の両端部と前記P,N母線との間に接続され、前記スイッチング素子の破損時、破損したスイッチング素子側の相と前記P,N母線とを切り離す切断手段と、各切断手段に連動して動作し、前記切断手段が切り離したことの信号を前記制御部に送信する破損相検出手段と、前記各相から前記直流電動機の各電機子に接続される出力ラインと前記P,N母線との間に接続され、常時は開状態に設定され、前記破損相検出手段から切り離したことの信号に基づいて前記スイッチング素子の破損相を検出した前記制御部から送出される閉指示信号により、破損相側から導出される前記出力ラインと前記所定の母線とを接続する接続手段とを設け、破損していない相のスイッチング素子のチョッパ動作と閉状態の接続手段とを用いて、前記直流電動機を駆動しエレベータ乗りかごを所定階まで移動させるエレベータ駆動装置である。
各相ごとにシリアル接続されたスイッチング素子の両端部と前記P,N母線との間に接続され、前記スイッチング素子の破損時、破損したスイッチング素子側の相と前記P,N母線とを切り離す切断手段と、各切断手段に連動して動作し、前記切断手段が切り離したことの信号を前記制御部に送信する破損相検出手段と、前記各相から前記直流電動機の各電機子に接続される出力ラインと前記P,N母線との間に接続され、常時は開状態に設定され、前記破損相検出手段から切り離したことの信号に基づいて前記スイッチング素子の破損相を検出した前記制御部から送出される閉指示信号により、破損相側から導出される前記出力ラインと前記所定の母線とを接続する接続手段とを設け、破損していない相のスイッチング素子のチョッパ動作と閉状態の接続手段とを用いて、前記直流電動機を駆動しエレベータ乗りかごを所定階まで移動させるエレベータ駆動装置である。
(2) また、本発明は、P,N母線間に電機子チョッパ装置が設けられ、当該電機子チョッパ装置は、当該P,N母線間にP,N母線間に各相ごとにシリアル接続した複数のスイッチング素子を接続し、制御部からのゲート制御信号を受けて前記各スイッチング素子が前記PN母線間の直流電源をチョッパ動作して直流電動機の電機子電流を制御することにより、当該直流電動機を駆動制御するエレベータ駆動装置において、
各相ごとにシリアル接続されたスイッチング素子の両端部と前記P,N母線との間に接続され、常時は閉状態に設定されている接続手段と、前記各相各極ごとの前記スイッチング素子及び前記切断装置に跨って接続される電流帰還用素子と、P,N母線間に接続され、前記スイッチング素子の破損時に破損相に流れる短絡電流を検出し、短絡検出信号を前記制御部に送信する短絡検出手段と、この短絡検出手段から送信される短絡検出信号に基づいて前記スイッチング素子の破損相を検出した前記制御部から送出される切断指示信号により、当該破損した相に接続される接続手段を切断制御する前記制御部とを備え、前記スイッチング素子の破損による前記接続手段の切断時、破損したスイッチング素子に対して同相対極に位置するスイッチング素子と他相同極に位置するスイッチング素子によりチョッパ動作し、かつこれらスイッチング素子のオフ時に前記切断された接続手段側に接続される前記電流帰還用素を用いて電流帰還させることにより、前記直流電動機を駆動制御しエレベータ乗りかごを所定階まで移動させるエレベータ駆動装置である。
各相ごとにシリアル接続されたスイッチング素子の両端部と前記P,N母線との間に接続され、常時は閉状態に設定されている接続手段と、前記各相各極ごとの前記スイッチング素子及び前記切断装置に跨って接続される電流帰還用素子と、P,N母線間に接続され、前記スイッチング素子の破損時に破損相に流れる短絡電流を検出し、短絡検出信号を前記制御部に送信する短絡検出手段と、この短絡検出手段から送信される短絡検出信号に基づいて前記スイッチング素子の破損相を検出した前記制御部から送出される切断指示信号により、当該破損した相に接続される接続手段を切断制御する前記制御部とを備え、前記スイッチング素子の破損による前記接続手段の切断時、破損したスイッチング素子に対して同相対極に位置するスイッチング素子と他相同極に位置するスイッチング素子によりチョッパ動作し、かつこれらスイッチング素子のオフ時に前記切断された接続手段側に接続される前記電流帰還用素を用いて電流帰還させることにより、前記直流電動機を駆動制御しエレベータ乗りかごを所定階まで移動させるエレベータ駆動装置である。
なお、前記(1)、(2)に記載される制御部によるスイッチング素子の破損検出手段は、各相,各極ごとのスイッチング素子を順次ゲートオンし、前記破損相検出手段または前記短絡検出手段の出力から破損したスイッチング素子を検出するものである。
また、前記直流電動機の界磁コイル側に異なる極性の2つの界磁用電源を配置し、前記制御部からの切替指示信号に基づいて前記界磁用電源を選択的に前記界磁コイルに接続し、前記直流電動機を正転・反転させることにより、エレベータ乗りかごを昇降制御することができる。
本発明によれば、スイッチング素子が破損した場合でも、乗りかごを所定階まで移動させることができ、よって乗客をかご内に閉じ込めることなく所定階に安全に降ろすことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係るエレベータ駆動制御装置の一実施の形態を示す構成図である。
(実施の形態1)
図1は本発明に係るエレベータ駆動制御装置の一実施の形態を示す構成図である。
同図において、1は三相交流電源、2は三相交流電源1から所定の電動機駆動電力を取り出す電力変換装置である。電力変換装置2は、三相交流電源1を所定の直流電力に変換するコンバータ装置3と、このコンバータ装置3で変換された直流電力を平滑化する平滑コンデンサ4と、図示しない制御部からのゲート制御信号によって直流電力をチョッパ動作する電機子チョッパ装置5とで構成されている。6a,6bはコンバータ装置3、平滑コンデンサ4及び電機子チョッパ装置5を接続するP(正極)母線、N(負極)母線である。
電機子チョッパ装置5は、2つの相を構成するシリアル接続されたIGBT等のスイッチング素子5a−5d、5b−5cが設けられ、各相のスイッチング素子5a,5d,5b,5cの他端部と各P,N母線6a,6bとの間にそれぞれヒューズ,ブレーカ等の切断手段21a,21d,21b,21cが接続されている。これら切断手段21a,21d,21b,21cにはそれぞれ補助接点(破損相検出手段に相当する)22a,220d,22b,22cが設けられている。これら補助接点22a,22d,22b,22cは、切断手段21a,21d,21b,21cの動作に連動するもので、図示しない制御部によって監視されている。
また、P,N母線6a,6b間には、スイッチング素子5a〜5dが破損した場合に短絡電流7cが流入する短絡検出用コンデンサ7aとこの短絡検出用コンデンサ7aから流れる短絡電流7cを検出する短絡検出用カレントセンサ7bとのシリアル回路が接続されている。
さらに、各相を構成するスイッチング素子5a−5d、5b−5cには電機子9a,19bを介して直流電動機8が接続されている。そして、P,N母線6a,6bと直流電動機8の各電機子9a,9bとの間にコンタクタ等の接続手段23a,23bが接続されている。なお、10は直流電動機8内に収納されている界磁コイル、11は界磁用電源である。
次に、以上のようなエレベータ駆動制御装置において、スイッチング素子5aが破損した場合を想定して説明する。
今、種々の要因によって過熱や過電流が生じて電機子チョッパ装置5のスイッチング素子5aが破損した場合、図示しない制御部からのゲート制御信号によってスイッチング素子5dがオンすると、P,N母線6a,6b間が短絡し、スイッチング素子5a及び同相対極に位置するスイッチング素子5dに過電流7cが流れる。スイッチング素子5a,5dに過電流7cが流れると、これらスイッチング素子5a,5dに接続される切断手段21a,21dが動作し、P,N母線6a,6bから切断される。このとき、図示しない制御部は、切断手段21a,21dの補助接点22a,22dから切断手段21a,21dがP,N母線6a,6bから切断したことを表す補助接点信号を受けるので、破損した相を検出することができる。
今、種々の要因によって過熱や過電流が生じて電機子チョッパ装置5のスイッチング素子5aが破損した場合、図示しない制御部からのゲート制御信号によってスイッチング素子5dがオンすると、P,N母線6a,6b間が短絡し、スイッチング素子5a及び同相対極に位置するスイッチング素子5dに過電流7cが流れる。スイッチング素子5a,5dに過電流7cが流れると、これらスイッチング素子5a,5dに接続される切断手段21a,21dが動作し、P,N母線6a,6bから切断される。このとき、図示しない制御部は、切断手段21a,21dの補助接点22a,22dから切断手段21a,21dがP,N母線6a,6bから切断したことを表す補助接点信号を受けるので、破損した相を検出することができる。
そこで、図示しない制御部は、補助接点信号によって破損した相を検出すると、コンタクタ23bを投入し、電動機電機子9bとN母線6bとを接続する。この状態において、図示しない制御部は、スイッチング素子5bにゲート制御信号を送出して直流チョッパ動作を行うと、スイッチング素子5b−電機子9a−直流電動機8−電機子9b−コンタクタ23bの電流経路が形成され、直流電動機8を駆動することができる。よって、エレベータ装置の乗りかごを所定の階に移動させ、乗客を無事に降ろすことができる。
また、スイッチング素子5cが破損した場合、スイッチング素子5c及び同相対極に位置するスイッチング素子5bに過電流7cが流れるので、切断手段21b,21cが動作し、P,N母線6a,6bから切断される。このとき、図示しない制御部は、切断手段21b,21cの補助接点22b,22cから補助接点信号を受けるので、破損した相を検出することができる。
このとき、図示しない制御部は、補助接点信号によって破損した相を検出すると、コンタクタ23aを投入し、電動機電機子9aとP母線6aとを接続する。この状態において、図示しない制御部は、スイッチング素子5dにゲート制御信号を送出して直流チョッパ動作を行うと、コンタクタ23a−電機子9a−直流電動機8−電機子9b−スイッチング素子5dの電流経路が形成され、直流電動機8を駆動制御することができる。よって、エレベータ装置の乗りかごを所定の階に移動させ、乗客を無事に降ろすことができる。
従って、以上のような実施の形態によれば、電機子チョッパ装置5のスイッチング素子5a,5b,5c,5dの何れか1つが破損した場合、切断手段21a,21b,21c,21dによって、P,N母線6a,6bから破損したスイッチング素子で構成される相を切り離し、接続手段23aまたは23bを介してP母線6aまたはN母線6bを電機子9aまたは9bに接続し、破損していない相のスイッチング素子のみを直流チョッパ動作する。その結果、エレベータ装置を完全停止することなく、図示しない乗りかごを移動させて、乗客を無事降ろすことができる。
(実施の形態2)
図2は本発明に係るエレベータ駆動制御装置の他の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は図1に譲り、以下特に異なる点について説明する。
図2は本発明に係るエレベータ駆動制御装置の他の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は図1に譲り、以下特に異なる点について説明する。
このエレベータ駆動制御装置の電機子用チョッパ装置5は、切断手段21a〜21dに代えて、コンタクタなどの接続手段25a〜25dが設けられている。これらの接続手段25a〜25dは、常時は閉状態にあり、図示しない制御部から接続指示があったとき、破損したスイッチング素子5a〜5dとP,N母線6a,6bとを切り離す機能を持っている。また、各スイッチング素子5a(5b,5c,5d)と各接続手段25a(25b,25c,25d)とのシリアル接続回路に跨ってそれぞれ並列に素子破損時の電流帰還用素子(例えばダイオード)26a(26b,26c,26d)が接続されている。すなわち、電流帰還用素子26a(26b,26c,26d)は、破損されたスイッチング素子5a(5b,5c,5d)が該当する接続手段25a(25b,25c,25d)によってP,N母線6a,6bから切り離されたとき、当該破損されたスイッチング素子5a(5b,5c,5d)に跨って、同相対極のスイッチング素子5d(5c,5b,5a)とP,N母線6a,6bとを接続し、正常なスイッチング素子を利用して直流チョッパ動作を行うものである。
次に、以上のようなエレベータ駆動制御装置の動作に関し、例えばスイッチング素子5aが破損した場合を想定して説明する。
スイッチング素子5aが破損すると、当該スイッチング素子5aのコレクタ−エミッタ間が短絡モードとなる。このとき、図示しない制御部から送出されるゲート制御信号により、同相対極のスイッチング素子5dがオンすると、PN母線6a,6b間が短絡状態となる。このとき、平滑コンデンサ4の充電電圧がPN母線6a,6b間に印加されているので、短絡検出用コンデンサ7a及び短絡検出用カレントセンサ7bを通って短絡電流7cが流れる。ここで、短絡検出用カレントセンサ7bは、短絡電流7cを検出すると、短絡検出信号を図示しない制御部に送出する。図示しない制御部は、短絡検出信号を受けると、電機子チョッパ装置5のスイッチング素子5a〜5dに送出するゲート制御信号を遮断するので、エレベータ装置を安全に停止させることができる。
スイッチング素子5aが破損すると、当該スイッチング素子5aのコレクタ−エミッタ間が短絡モードとなる。このとき、図示しない制御部から送出されるゲート制御信号により、同相対極のスイッチング素子5dがオンすると、PN母線6a,6b間が短絡状態となる。このとき、平滑コンデンサ4の充電電圧がPN母線6a,6b間に印加されているので、短絡検出用コンデンサ7a及び短絡検出用カレントセンサ7bを通って短絡電流7cが流れる。ここで、短絡検出用カレントセンサ7bは、短絡電流7cを検出すると、短絡検出信号を図示しない制御部に送出する。図示しない制御部は、短絡検出信号を受けると、電機子チョッパ装置5のスイッチング素子5a〜5dに送出するゲート制御信号を遮断するので、エレベータ装置を安全に停止させることができる。
しかる後、図示しない制御部は、破損したスイッチング素子5aを検出すると(図3参照)、切り離し指示信号を接続手段25aに送り、当該接続手段25aを開状態にする。これにより破損したスイッチング素子5aはP母線6aから切り離される。そして、図示しない制御部は、正常な相のスイッチング素子5b,5dをスイッチング制御し、P,N母線6a,6b間の直流電圧に対する直流チョッパ動作を行う。このとき、破損したスイッチング素子5aのオフ時、破損時電流帰還用素子26aとスイッチング素子5dに含まれるダイオードとによって電流帰還させることにより、直流電動機8の電機子9a,9bに電流を供給し、エレベータ装置の乗りかごを移動させて乗客を所定階に安全に降ろすことができる。
従って、この実施の形態によれば、破損したスイッチング素子5aを検出すると、破損した同相同極側の接続手段25aを開状態に設定し、P母線6aから破損した素子5aを切り離した後、破損したスイッチング素子5aと同相対極のスイッチング素子5dと他相同極のスイッチング素子5bとをスイッチング制御して直流チョッパ動作を行うことにより、直流電動機8の電機子9a,9bに電流を供給することができ、図示しないエレベータ装置の乗りかごを所定階に移動させて乗客を安全に降ろすことができる。
なお、スイッチング素子5aの破損について説明したが、スイッチング素子5b,5c,5dが破損した場合も同様であるので、ここでは省略する。
(実施の形態3)
エレベータ制御装置の構成は図1,図2と同様であるので、省略する。また、スイッチング素子が破損し、エレベータ乗りかごを停止させるまでの一連の処理動作は実施の形態2と同様であるので、実施の形態2の説明に譲る。
この実施の形態は、エレベータ乗りかごを一旦停止させた後、図示しない制御部が破損したスイッチング素子を検出する処理例であって、図3を参照して説明する。
エレベータ制御装置の構成は図1,図2と同様であるので、省略する。また、スイッチング素子が破損し、エレベータ乗りかごを停止させるまでの一連の処理動作は実施の形態2と同様であるので、実施の形態2の説明に譲る。
この実施の形態は、エレベータ乗りかごを一旦停止させた後、図示しない制御部が破損したスイッチング素子を検出する処理例であって、図3を参照して説明する。
図示しない制御部は、エレベータ乗りかごを停止させた後(S1)、短絡状態の誤検出を考慮し、エレベータ装置を再起動する(S2)。すなわち、図示しない制御部は、スイッチング素子5aの破損を確認するため、スイッチング素子5a〜5dに対して順次ゲート制御信号を送信し(S3)、再び短絡保護動作が働くか否かを確認する(S4)。
このとき、破損したスイッチング素子5aと同相対極のスイッチング素子5dのゲートをオン制御したとき、スイッチング素子5aのコレクタ−エミッタ間が短絡されている場合には、P,N母線6a,6bは再度短絡し、前述したように短絡保護動作が働く。この時点において、図示しない制御部は、スイッチング素子5aが破損した素子であると認識し(S5)、実施の形態2で説明したように正常なスイッチング素子5b,5cに対してスイッチング制御を実施し、破損時電流帰還用素子26a及びスイッチング素子5dに含まれるダイオードを電流帰還させることにより、直流電動機8を駆動制御し、エレベータ乗りかごを移動させて乗客を所定階に降ろす(S6)。
一方、ステップS4において、短絡保護動作が働かない場合、残りの全てのスイッチング素子5b、5c、5dについても同相対極のスイッチング素子5c,5b,5aにゲート制御信号を送信し(S7)、再び短絡検出動作するか否かを確認する(S4)。全てのスイッチング素子5a〜5dについてゲート制御信号を送信しても短絡保護動作が働かなかった場合、スイッチング素子の破損は誤検出であると判断し、エレベータ制御装置を再起動する(S8)。
従って、以上のような実施の形態によれば、何れかのスイッチング素子5a〜5dが破損した場合、一時的には短絡検出用コンデンサ7a,短絡検出用カレントセンサ7bを通して短絡状態を検出した後、図示しない制御部によって全てのスイッチング素子5a〜5dのゲート制御信号を遮断し、一旦エレベータ装置を停止する。しかる後、エレベータ装置を再起動し、スイッチング素子の破損が誤検出であるか否かを確認する。つまり、再びスイッチング素子5a〜5dを順次ゲートオンし、短絡保護動作するか否かを確認し、同相対極のスイッチング素子のゲートオン時に短絡保護動作が働いたとき、破損したスイッチング素子を検出できる。この破損したスイッチング素子を検出した後は、実施の形態2の動作に従い、エレベータ乗りかごを移動させて乗客を所定階に安全に降ろすことができる。
(実施の形態4)
図4は本発明に係るエレベータ制御装置の他の実施形態を示す構成図である。
この実施の形態は、電力変換装置2は図1及び図2とほぼ同じ構成であるので、同一部分には同一符号を用いて説明する。
この装置において、特に異なる点は、界磁コイル10の両端側に異なる電圧極性を持つ第1の界磁用電源11a及び第2の界磁用電源11bが配置されている。また、界磁用電源11a,11bを選択的に切替るために、切替装置27が設けられている。切替装置27は、図示しない制御部からの切替指示信号に従い、何れかの界磁用電源11aまたは11bを選択する。
図4は本発明に係るエレベータ制御装置の他の実施形態を示す構成図である。
この実施の形態は、電力変換装置2は図1及び図2とほぼ同じ構成であるので、同一部分には同一符号を用いて説明する。
この装置において、特に異なる点は、界磁コイル10の両端側に異なる電圧極性を持つ第1の界磁用電源11a及び第2の界磁用電源11bが配置されている。また、界磁用電源11a,11bを選択的に切替るために、切替装置27が設けられている。切替装置27は、図示しない制御部からの切替指示信号に従い、何れかの界磁用電源11aまたは11bを選択する。
次に、以上のような装置の動作について説明する。
エレベータ装置の運転中にスイッチング素子が破損した場合、実施の形態1,2で記述したようにエレベータ装置を起動し、乗りかごを移動させることができる。しかし、乗りかごの乗客が最寄り階等の安全な階に移動する際、スイッチング素子が破損している場合、直流電動機8の電機子9a、9bに流入する電流は一方方向のみである。その結果、実施の形態1,2においては、図示しない制御部が乗りかごのかご位置を検出し、直流電動機8が回転できる方向であり、かつ乗客を降ろすことが可能な階床であるか否かを判断し、条件が満たす場合に乗りかごを移動させるものである。このことは、例えばエレベータ装置の乗りかごが最上階(または最下階)にあるとき、スイッチング素子が破損した場合、上昇方向(または下降方向)に回転できない場合、乗客を実質的に安全な階に移動させて降ろすことができない。
エレベータ装置の運転中にスイッチング素子が破損した場合、実施の形態1,2で記述したようにエレベータ装置を起動し、乗りかごを移動させることができる。しかし、乗りかごの乗客が最寄り階等の安全な階に移動する際、スイッチング素子が破損している場合、直流電動機8の電機子9a、9bに流入する電流は一方方向のみである。その結果、実施の形態1,2においては、図示しない制御部が乗りかごのかご位置を検出し、直流電動機8が回転できる方向であり、かつ乗客を降ろすことが可能な階床であるか否かを判断し、条件が満たす場合に乗りかごを移動させるものである。このことは、例えばエレベータ装置の乗りかごが最上階(または最下階)にあるとき、スイッチング素子が破損した場合、上昇方向(または下降方向)に回転できない場合、乗客を実質的に安全な階に移動させて降ろすことができない。
そこで、実施の形態4では、図示しない制御部が乗客を降ろす階床が無い場合や乗りかごが移動できない場合、切替装置27に電源切替指示信号を送出する。切替装置27は、制御部からの電源切替指示信号に従い、例えば第1の界磁用電源11aから第2の界磁用電源11bに切替え接続する。その結果、界磁コイル10によって発生する直流電動機8内の磁界の方向が逆になL、直流電動機8の回転方向を前述した方向から逆方向に回転させることができる。
従って、この実施の形態によれば、直流電動機8の回転方向と乗りかごのかご位置とから乗客を降ろす階床が無い状態や乗りかごが移動できない状態のとき、図示しない制御部は、切替指示信号を送出し、例えば第1の界磁用電源11aから第2の界磁用電源11bに切替え接続するので、直流電動機8を何れの方向にも回転されることができる。その結果、直流電動機8の回転方向を制御すれば、エレベータ乗りかご内の乗客を安全な階床に移動させて降ろすことができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、各実施の形態は可能な限り組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。
1…三相交流電源、2…電力変換装置、3…コンバータ装置、4…平滑コンデンサ、5…電機子チョッパ装置、5a〜5d…スイッチング素子、6a,6b…P,N母線、7a…短絡検出用コンデンサ、7b…短絡検出用カレントセンサ、8…直流電動機、9a,9b…電機子、10…界磁コイル、11,11a,11b…界磁用電源、21a〜21d…切断手段、22a〜22d…補助接点、23a,23b…接続手段、25a〜25d…接続手段、26a〜26d…電流帰還用素子。
Claims (4)
- P,N母線間に電機子チョッパ装置が設けられ、当該電機子チョッパ装置は、当該P,N母線間に各相ごとにシリアル接続した複数のスイッチング素子を接続し、制御部からのゲート制御信号を受けて前記各スイッチング素子が前記PN母線間の直流電源をチョッパ動作して直流電動機の電機子電流を制御することにより、当該直流電動機を駆動制御するエレベータ駆動装置において、
各相ごとにシリアル接続されたスイッチング素子の両端部と前記P,N母線との間に接続され、前記スイッチング素子の破損時、破損したスイッチング素子側の相と前記P,N母線とを切り離す切断手段と、
各切断手段に連動して動作し、前記切断手段が切り離したことの信号を前記制御部に送信する破損相検出手段と、
前記各相から前記直流電動機の各電機子に接続される出力ラインと前記P,N母線との間に接続され、常時は開状態に設定され、前記破損相検出手段から切り離したことの信号に基づいて前記スイッチング素子の破損相を検出した前記制御部から送出される閉指示信号により、破損相側から導出される前記出力ラインと前記所定の母線とを接続する接続手段と
を設け、破損していない相のスイッチング素子のチョッパ動作と閉状態の接続手段とを用いて、前記直流電動機を駆動しエレベータ乗りかごを所定階まで移動させることを特徴とするエレベータ駆動装置。 - P,N母線間に電機子チョッパ装置が設けられ、当該電機子チョッパ装置は、当該P,N母線間にP,N母線間に各相ごとにシリアル接続した複数のスイッチング素子を接続し、制御部からのゲート制御信号を受けて前記各スイッチング素子が前記PN母線間の直流電源をチョッパ動作して直流電動機の電機子電流を制御することにより、当該直流電動機を駆動制御するエレベータ駆動装置において、
各相ごとにシリアル接続されたスイッチング素子の両端部と前記P,N母線との間に接続され、常時は閉状態に設定されている接続手段と、
前記各相各極ごとの前記スイッチング素子及び前記切断装置に跨って接続される電流帰還用素子と、
P,N母線間に接続され、前記スイッチング素子の破損時に破損相に流れる短絡電流を検出し、短絡検出信号を前記制御部に送信する短絡検出手段と、
この短絡検出手段から送信される短絡検出信号に基づいて前記スイッチング素子の破損相を検出した前記制御部から送出される切断指示信号により、当該破損した相に接続される接続手段を切断制御する前記制御部と
を備え、前記スイッチング素子の破損による前記接続手段の切断時、破損したスイッチング素子に対して同相対極に位置するスイッチング素子と他相同極に位置するスイッチング素子によりチョッパ動作し、かつこれらスイッチング素子のオフ時に前記切断された接続手段側に接続される前記電流帰還用素を用いて電流帰還させることにより、前記直流電動機を駆動制御しエレベータ乗りかごを所定階まで移動させることを特徴とするエレベータ駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載のエレベータ駆動装置において、
前記制御部によるスイッチング素子の破損検出手段は、順次スイッチング素子をゲートオンし、破損したスイッチング素子と同相対極のスイッチング素子をオンしたとき、前記破損相検出手段または前記短絡検出手段から短絡検出信号を受けた場合、前記破損したスイッチング素子を破損したと検出することを特徴とするエレベータ駆動装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のエレベータ駆動装置において、
前記直流電動機の界磁コイル側に異なる極性の2つの界磁用電源を配置し、前記制御部からの切替指示信号に基づいて前記界磁用電源を選択的に前記界磁コイルに接続し、前記直流電動機を正転・反転させることにより、エレベータ乗りかごを昇降制御することを特徴とするエレベータ駆動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004270138A JP2006082933A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | エレベータ駆動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004270138A JP2006082933A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | エレベータ駆動制御装置 |
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JP2006082933A true JP2006082933A (ja) | 2006-03-30 |
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ID=36161758
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JP2004270138A Pending JP2006082933A (ja) | 2004-09-16 | 2004-09-16 | エレベータ駆動制御装置 |
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JP (1) | JP2006082933A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5976873B1 (ja) * | 2015-03-31 | 2016-08-24 | 東芝エレベータ株式会社 | エレベータの制御装置 |
-
2004
- 2004-09-16 JP JP2004270138A patent/JP2006082933A/ja active Pending
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