JP2006081231A - 電気機械用カーボンブラシ - Google Patents

電気機械用カーボンブラシ Download PDF

Info

Publication number
JP2006081231A
JP2006081231A JP2004256017A JP2004256017A JP2006081231A JP 2006081231 A JP2006081231 A JP 2006081231A JP 2004256017 A JP2004256017 A JP 2004256017A JP 2004256017 A JP2004256017 A JP 2004256017A JP 2006081231 A JP2006081231 A JP 2006081231A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brush
carbon brush
electric machine
metal
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004256017A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4588392B2 (ja
Inventor
Takahito Sakoda
隆仁 佐古田
Hidenori Shirakawa
秀則 白川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TotanKako Co Ltd
Original Assignee
TotanKako Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TotanKako Co Ltd filed Critical TotanKako Co Ltd
Priority to JP2004256017A priority Critical patent/JP4588392B2/ja
Publication of JP2006081231A publication Critical patent/JP2006081231A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4588392B2 publication Critical patent/JP4588392B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Motor Or Generator Current Collectors (AREA)

Abstract

【課題】よりいっそう安定した整流を確保し、モータに対する高い効率、長寿命、温度の低減、摺動音の抑制、整流子の摩耗量の低減が得られる電気機械用カーボンブラシを提供する。
【解決手段】回転体2に押し当てられる電気機械用カーボンブラシ1であり、カーボンを少なくとも1成分として含む骨材とバインダとからなる素材をブラシ基材とし、水あるいは有機溶剤に可溶な金属化合物をブラシ基材に含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気機械用カーボンブラシに関し、特に、小型モータに使用される電気機械用カーボンブラシに関する。
電動モータは小型化、大容量化、高出力化が進んでいる。例えば、電気掃除機に用いられるモータは、更に小型で吸引力が強いことが求められている。このため、モータのファンの外径を小さくし、超高速(30,000rpm以上)で回転させるようになっている。このような超高速回転のモータにおいては、電気機械用カーボンブラシ(以下、カーボンブラシという)と導電性の回転体である整流子との良好な摺動状態を保持することにより、正常な電気的接触を維持することが重要な課題とされてきた。
従来、このような課題に鑑みて、黒鉛粉末を合成樹脂で結合したいわゆるレジンボンド系のカーボンブラシが多く使用されるようになった。このレジンボンド系のカーボンブラシは、黒鉛粉末によって滑りを良くするとともに、レジンによって座乗性をよくすることにより、正常な電気的接触が確保されている。
また、電気掃除機等においては、吸引力(吸込仕事率)を高くするために、モータの入力を増やすことにより、カーボンブラシの電流密度を高くすることが可能である。しかし、このような方法による場合、特にレジンボンド系のカーボンブラシは、長時間の使用によるカーボンブラシの温度上昇やカーボンブラシの摩耗の増加による整流不良の恐れが生じる。
さらに、入力規制という背景を考慮しなければならず、一定の入力に対してより高い出力が得られるモータがよりいっそう求められていた。
このような状況から、安定した整流を確保するとともに、モータに対して高い効率(入力に対する出力)を与えることができるカーボンブラシが強く望まれていた。
こうした課題の対処として、黒鉛粉と、この黒鉛粉に対して0.5〜5重量%の概ね200メッシュ以下の粒状アルミニウム粉及び結合剤が混合されてなり、これを加圧成型した後、350℃以下の温度で加熱処理してなるカーボンブラシが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、黒鉛粉と、この黒鉛粉に対して0.2〜3.0重量%の概ねアルミニウム粉及び2〜10重量%の銅粉と熱硬化性樹脂が混合されてなり、これを成型した後、焼成してなるカーボンブラシが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特公昭58−58787号公報 特開昭64−8844号公報
ところで、上記した金属粉末を含むカーボンブラシにおいて、特許文献1及び2に開示されている技術では、下記の問題点(1)〜(4)がある。
(1)金属粉末が整流子を研削するため、整流子の摩耗量が増加する。
(2)カーボン基材と金属粉末との密着性が悪い場合には、金属粉末が脱離することがある。
(3)金属粉末を用いるため、この金属粉末がカーボンブラシの材質内で偏在を起こしやすい。
(4)金属粉末が多量に含有されると、カーボンブラシの弾性係数が高くなり、回転時にブラシが跳ねやすくなるなど、ブラシの座乗性が悪くなるため、回転電機の効率が低下し、ブラシの寿命を短くしてしまう。
本発明は、こうした状況を鑑みて創案されたものであり、よりいっそう安定した整流を確保し、モータに対する高い効率、長寿命、温度の低減、摺動音の抑制、整流子の摩耗量の低減が得られる電気機械用カーボンブラシを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の電気機械用カーボンブラシは、導電性の回転体に押し当てられる電気機械用カーボンブラシであって、カーボンを少なくとも1成分として含む骨材とバインダとからなる素材をブラシ基材とし、水あるいは有機溶剤に可溶な金属化合物が上記電気機械用カーボンブラシに含有されていることによって特徴付けられる。
骨材とバインダとから構成されているブラシ基材は、「気孔」と呼ばれる空隙部分が存在しているが、ここで含浸とは、その気孔に金属化合物を当該物質に存在せしめることを意味する。
なお、存在する気孔の大きさや容積はブラシの種類、製造方法及び製造条件等の違いによって異なる。そして、気孔はブラシ全体に存在しており、ブラシ表面から内部までつながっている開気孔と、ブラシ内部に孤立してある閉気孔が存在する。以下、単に「気孔」というときは開気孔を意味するものとする。
上記金属化合物は、水溶液あるいは有機溶剤に溶けた状態であるので分子レベルの大きさのままで金属化合物をブラシの気孔中に均一に含浸させることができる。金属化合物がブラシ気孔中に均一に含浸されていることによって、金属化合物が長時間に渡って、回転体との摺動面の全体に均一に作用し、摺動面での機械的抵抗が低減され、良好な摺動性が達成されることによってモータ効率の向上、長寿命、温度の低減、摺動音の抑制、整流子摩耗の低減が図れるものと考えられる。
ここで、金属化合物のブラシに対する含有量は0.05〜30重量%が好ましく、さらに、0.1〜10重量%が好ましい。さらに、この値を0.1〜5重量%とすれば、本発明の効果が著しく、より好ましい。
金属化合物のブラシに対する含有量は0.05重量%未満であれば金属化合物の効果が発言されず、30重量%を超えるとモータの効率を低下させてしまう。
この構成において、上記金属化合物がイオン結合性化合物又は共有結合性化合物であることが好ましく、さらに、上記金属化合物が金属錯化合物であることが好ましい。特に、この金属錯化合物がキレート化合物であることが好ましい。
また、上記金属化合物に含まれる金属は長周期型元素周期表における3〜14族かつ3〜5周期の金属であってもよく、この場合の金属は、Al,Ti,Fe,Ni,Cu,Zn,Ag,Snのいずれかであることが好ましい。これらの金属の中で特に、Fe,Cu,Zn,Agが好ましい。
更に本発明の電気機械用カーボンブラシでは、電気機械用カーボンブラシの導電性回転体と接触する面を除く当該カーボンブラシの表面の少なくとも1部分に電気良導性の金属皮膜が形成されているものを使用することができる。
このように金属皮膜が形成されているブラシを使用することによって、モータに対する効率をさらに向上させることができる。
本発明によれば、以上の構成により、モータの効率が向上し、ブラシの摩耗量が減少し、ブラシの寿命が長くなる。また、温度が高い場合にはモータに付随する他の部品が劣化しやすくなるが、本発明ではブラシの温度が低下することから、こうした問題も解消される。さらに、摺動音が低下し、整流子摩耗が低減する点でも有益である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るブラシを用いたモータの概略構成を示している。
ブラシ1は、モータの整流子である回転体2とブラシ1の下面1aが接触し、その部分で摺動する。このブラシ1はブラシホルダー4によってその外周を囲まれた状態で保持されている。
ブラシ1は、カーボンを少なくとも1成分として含む骨材とバインダとからなる素材を基材としている。この基材は、前述したように気孔を有しており、本実施の形態では、ブラシ基材の気孔中に金属化合物を含浸する。
ブラシ1の気孔については、例えば、水銀圧入法によって求めた平均気孔半径が1μm以下の小さな気孔半径を有するブラシ基材であってもよい。
ブラシ1の基材としては、CG(Carbon Graphite)系と呼ばれる炭素黒鉛質のブラシ、EG(Electric Graphite)系と呼ばれる電気黒鉛質のブラシ、バインダが炭素化されていない合成樹脂であるレジンボンド系ブラシ、銅粉、鉄粉、銀粉等の金属粉末を骨材の一部に使用した金属系ブラシ等を使用することができ、特に、レジンボンド系ブラシが好適である。
このレジンボンド系ブラシ基材の製造方法について以下に説明する。
まず、骨材100重量部に対してバインダ10〜40重量部を概ねの配合比として、これら骨材とバインダを混練する。
この骨材としては、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛等を使用することができる。このうち、特に黒鉛の結晶性があまり発達していない人造黒鉛又は、天然黒鉛と人造黒鉛とを配合した構成が好ましい。
一方、バインダとしては、合成樹脂が使用され、熱硬化性合成樹脂又は熱可塑性合成樹脂のいずれを使用してもよいし、これらの混合物を使用してもよい。特に好適な合成樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フラン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。
なお、混練の際には必要に応じてアルコール類、アセトン等の有機溶剤を適量加えてもよい。また、必要に応じて骨材の一部に添加剤、例えば、固体潤滑材、皮膜調整剤を加えてもよい。例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の固体潤滑材や、アルミナ、シリカ、炭化珪素等の皮膜調整剤を加えてもよい。
次に、混練した塊を粉砕して成形用の粉体に調整する。その後、その粉体をブラシ基材形状に成形する。そして成形体に樹脂が硬化する温度下(一般的には、100〜300℃)で熱処理を施して樹脂を硬化させる。
また、ブラシ1は、ブラシ基材の段階で、ブラシ1の下面1aを除く側面1b及び上面1aの全面又は1部分に電気良導性の金属皮膜を形成してもよい。この皮膜の材質としては、ニッケル、銅及び銀を挙げることができる。また、この皮膜の厚さは、概ね3〜100μmであるが、これに限定されるものではない。
なお、この金属皮膜の形成は、電解メッキ、無電解メッキ等の公知の方法によって行うことができる。
金属化合物をブラシに含有させる方法としては、ブラシを製造する途中でこれらを骨材やバインダと共に混合させる方法や、予め製造したブラシ基材に対してこれらをを含浸させる方法を採用することができる。
次に、ブラシ基材に金属化合物を含浸する構成について説明する。
この金属化合物は、水あるいは有機溶剤に可溶な金属化合物であり、この金属化合物は金属錯化合物であることが好ましく、さらに、この金属錯化合物がキレート化合物であることが好ましい。
また、この金属化合物に含まれる金属種は長周期型元素周期表における3〜14族かつ3〜5周期の金属であればよく、この場合、Al,Ti,Fe,Ni,Cu,Zn,Ag,Snのいずれかであることが好ましい。これらの金属の中で特に、Fe,Cu,Zn,Agが好ましい。
このような金属化合物としては、イオン結合性のものでも共有結合性のものでもよく、上記金属の硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩等の無機塩、上記金属の酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等の有機酸塩、上記金属が中心原子である金属錯化合物やキレート化合物が挙げられるが、特に限定はされず、市販のものが使用できる。
上記金属が中心原子である金属錯化合物やキレート化合物は、特に限定はされず、市販のものが使用できる。
上記金属が中心原子である金属錯化合物やキレート化合物の配位子は、エチレンジアミン(en)、ジエチレントリアミン(dien)、トリエチレンテトラミン(trien)、エチレンジアミン四酢酸(edta)、ピピリジン(bpy)、テルピリジン(terpy)等のアミン系化合物、アセチルアセトン(acac)等のケトン化合物、ジメチルグリオキシム(dmg)等のオキシム系化合物等であるものが好ましい。
ブラシ基材への金属化合物の含浸には、まず、上記金属化合物と水あるいは有機溶剤を混合し、この含浸液を調整する。金属化合物と水あるいは有機溶剤とは、容易に混ざり合うので撹拌棒を用いて手で撹拌するといった簡単な操作でこの含浸液を調整することができる。この含浸液における金属化合物の量は、目的とする含浸率、含浸条件、選択した基材の種類等に応じて適宜決められる。
調整した含浸液は、毛細管現象によって微細の気孔に内部まで浸透して、ブラシ基材の気孔中に均一に含浸される。従って、含浸は、単に含浸液中にブラシ基材を浸漬することによって行うことができる。ただし、一般的な含浸方法として知られる真空脱気や加圧操作を併用してもよい。
含浸液の温度は、水あるいは有機溶剤の沸点に応じて、適宜選択でき、20〜30℃程度の室温から40〜60℃の高温の温度範囲で行うことができる。また、浸漬時間は、含浸液の粘度、温度、ブラシ基材等の条件によって適宜決められるが、例えば10〜60分程度である。
ブラシを一定時間浸漬した後に、ブラシを取り出して100℃以上の温度下で乾燥することにより、ブラシに含浸された水あるいは有機溶剤を除去する。乾燥によるブラシの重量が恒量になった時点でこれらの除去が終点に達したものとみなして乾燥を終了する。ブラシ基材に残された金属化合物の重量が、含浸された重量である。
このように金属化合物が含浸されたブラシに適宜リード線3等が取り付けられる。
また、本実施形態においては、10〜20000mm2 /s(20℃)の動粘度を有する金属化合物と水あるいは有機溶媒の混合物が好ましい。さらに、10〜1000mm2 /sの動粘度を有することがより好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する。
[実施例]
まず、本実施例において使用するレジンボンド系のブラシ基材を以下のように作製した。
人造黒鉛粉末(平均粒径100μm、灰分5重量%以下)100重量部に対して、エポキシ樹脂30重量部を配合し、人造黒鉛粉末と樹脂とが均一に混合されるように、常温で所定の時間(30〜120分)混練した。
この混練物を40メッシュ以下に粉砕してブラシに成形するための成形用粉末とした。この成形用粉末を金型でブラシの形状に成形(寸法:5.5x6x25mm)した後、市販の乾燥器を用いて150℃の熱処理を施して、樹脂を硬化させた。
本ブラシ基材は、かさ密度が1.45g/cm3 であり、抵抗率が700μΩ・mであ
った。本ブラシ基材の累積気孔容積は212mm3 /g、平均気孔半径は0.76μmで
あった。なお、気孔率は水銀圧入法(水銀ポロシメータFISONS Instrument社製、モデルMAPO120及びPO2000を使用)によって求めた。
本実施例においては、まず、このように作製したブラシ基材を用いて、金属化合物Cu(edta)を水に溶解させた含浸液とし、この含浸液にブラシ基材を浸漬する時間を変化させることにより、含浸率がそれぞれ、0.16重量%、0.32重量%、0.48重量%、0.96重量%の金属化合物含浸ブラシ(4種類)を得た。なお、含浸率(重量%)は、含浸による増加分の重量を含浸前のブラシの重量で除して求めた値に100を掛けてパーセント表示したものである。
モータの効率の測定には、まず、これらのブラシにリード線を取り付けた後、試験用のモータに41kPaのスプリング圧力でセットした。一定の条件の下、それぞれのブラシについて、吸込仕事率P(W)を測定した。なお、モータには、電圧230V、60Hzの下、約1550Wの電力を入力した。このとき、モータの回転数は約34000rpmであった。
モータの効率は(1)式によって計算した。
η=(P/I) x 100・・・(1)
ここで、ηはモータの効率(%)、Pは吸引仕事率(W)、Iは入力(W)である。
これによって得られたモータの効率(η)を、金属化合物を含浸していないブラシを使用した場合、上記4種類の金属化合物含浸ブラシを使用した場合のそれぞれのモータの効率の試験結果を表1に示す。なお、含浸率が0重量%は本実施例には含まず、比較例(1) として記す。
また、100時間当りのブラシの摩耗量(mm/100h)、ブラシホルダ外周先端部の温度(℃)、およびブラシの摺動音(dB )、100時間当りの整流子摩耗量(mm/100h)をそれぞれ測定した結果を表1に示す。
なお、温度は、ブラシホルダー4の外周の回転体側の先端部温度を熱電対を用いて測定した。
また、摺動音は、ブラシホルダー4から10cm(距離)離れた位置をサウンドレベルメータ(ONOSOKKI製LA−210)で測定した。
また、金属粉末Alを0.5重量%、 金属粉末Cuを0.5重量%含有させたブラシをそれぞれ比較例(2) 、比較例(3) とし、これらについても上記実施例と同様、モータの効率の計算及び、各測定を行った。
これらの試験結果を表2に示す。
Figure 2006081231
Figure 2006081231
表1に示すように、試料番号(2) 〜(5) では、モータの効率がそれぞれ41.2%、41.1%、41.1%、41.1%であり、金属化合物Cu(edta)を含浸していないブラシ(無含浸ブラシ)のモータの効率41.0%に対して0.1〜0.2%高い値を示した。
モータの効率が0.1〜0.2%向上することは、電気掃除機等に使用する小型モータの分野においては、顕著な効果と判断される。従って、こうしたモータの効率の向上は、大きな意義を持ち利用価値が高いものと評価される。特に、モータの規格等によって、入力が規制されているような状況では、入力を大きくすることにより、出力を高くすることができないことを考慮すると、このように、よりモータの効率の高いブラシが要求されることは必須である。
また、100時間当りのブラシ摩耗量については、試料番号(2) 〜(5) では、7〜9(mm/100h) の値となり、無含浸ブラシの10(mm/100h) に比べ、飛躍的に低減された。また、温度については、93℃以下に抑えられた。さらに、摺動音については、試料番号(2) 〜( 4) では、無含浸ブラシの110dBに比べ低くなった。100時間当りの整流子摩耗量については、試料番号(2) 〜(5) では、0.04〜0.05(mm/100h) の値となり、無含浸ブラシの0.12(mm/100h) に比べ、飛躍的に低減された。
金属粉末を含有させた試料番号(6)(7)の比較例(2)(3)においては、Al粉末を含有させた場合には、モータの効率が41.2%と高い値を示したものの、Cu粉末を含有させた場合には、モータの効率が40.7%と低い値を示した。しかし、100時間当りのブラシ摩耗量、温度、摺動音については、いずれも上記実施例のような効果はみられなかった。また、この比較例(3) (試料番号(7))の結果から明らかなように、Cu粉末を含有するブラシは、モータの効率は下がるものの、本実施例の金属化合物Cu(edta)が含浸されたブラシは、前述したように効果が顕著であることが証明された。
また、本実施例で作製したブラシ基材のブラシの回転部に接触する部分を除く周囲の表面の全面を厚さ10μmの銅皮膜を、銅の無電解メッキによって形成させた。
この銅皮膜を形成したブラシ基材に上記(本実施例)の方法で、同じ金属化合物を含浸させた。その結果、銅皮膜を形成したブラシ基材に対する金属化合物の含浸率は、上記の銅皮膜が無いブラシに比べて2割程度低い値となった。しかし、銅皮膜を形成したブラシ基材の場合には、浸漬時間を長くしたり浸漬温度を変化させたりするといった方法によって、銅皮膜が無いブラシに対する場合と同等の含浸率を得ることができた。
このようなブラシでは、ブラシ表面に電気良導性金属の皮膜による効果、すなわちブラシの温度上昇を抑制することができ、安定した整流を長期にわたって維持できる点で上記効果に寄与するものである。
電気掃除機など、モータを搭載する電気機械では、モータの規格等によって入力規制がある場合は、特に、モータ効率が高いことが要求される。本発明はそのようなモータに利用が可能である。さらに、ブラシの寿命も長く、摺動音を低減でき、経済的にも有益であり、モータの小型化にも寄与できる。
図1は、本発明の実施の形態に係るブラシを用いたモータの概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
1 ブラシ
2 回転体
3 リード線
4 ブラシホルダー

Claims (8)

  1. 導電性の回転体に押し当てられる電気機械用カーボンブラシであって、
    カーボンを少なくとも1成分として含む骨材とバインダとからなる素材をブラシ基材とし、
    水あるいは有機溶剤に可溶な金属化合物が上記電気機械用カーボンブラシに含有されていることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  2. 請求項1に記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記金属化合物の含有量が上記ブラシ基材に対して0.05〜30重量%であることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  3. 請求項1又は2に記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記金属化合物がイオン結合性化合物又は共有結合性化合物であることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  4. 請求項3に記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記金属化合物が金属錯化合物であることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  5. 請求項4に記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記金属錯化合物がキレート化合物であることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記金属化合物に含まれる金属は長周期型元素周期表における3〜14族かつ3〜5周期の金属であることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  7. 請求項6に記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記金属は、Al,Ti,Fe,Ni,Cu,Zn,Ag,Snのいずれかであることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の電気機械用カーボンブラシであって、
    上記電気機械用カーボンブラシの上記導電性の回転体と接触する面を除く当該カーボンブラシの表面の少なくとも1部分に電気良導性の金属皮膜が形成されていることを特徴とする電気機械用カーボンブラシ。
JP2004256017A 2004-09-02 2004-09-02 電気機械用カーボンブラシ Expired - Fee Related JP4588392B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256017A JP4588392B2 (ja) 2004-09-02 2004-09-02 電気機械用カーボンブラシ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256017A JP4588392B2 (ja) 2004-09-02 2004-09-02 電気機械用カーボンブラシ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006081231A true JP2006081231A (ja) 2006-03-23
JP4588392B2 JP4588392B2 (ja) 2010-12-01

Family

ID=36160239

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004256017A Expired - Fee Related JP4588392B2 (ja) 2004-09-02 2004-09-02 電気機械用カーボンブラシ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4588392B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007306724A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Totan Kako Kk 金属カーボン複合通電摺動材料
WO2015162862A1 (ja) * 2014-04-23 2015-10-29 東洋炭素株式会社 樹脂結合炭素質ブラシおよびその製造方法
WO2021161751A1 (ja) * 2020-02-12 2021-08-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 電動機及び電動送風機
CN114556720A (zh) * 2019-11-25 2022-05-27 特耐斯株式会社 以银为主成分的金属石墨质接地电刷及其制造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52822B2 (ja) * 1973-04-06 1977-01-11
JPS5757477A (en) * 1980-09-24 1982-04-06 Hitachi Chemical Co Ltd Brush for electric rotary machine
JPH01103140A (ja) * 1987-10-14 1989-04-20 Toshiba Ceramics Co Ltd 金属黒鉛質ブラシ
JPH05182733A (ja) * 1991-12-27 1993-07-23 Toutan Kako Kk 電気機械用カーボンブラシ
JP2002056944A (ja) * 2000-08-09 2002-02-22 Totan Kako Kk 電気機械用カーボンブラシ
JP2002084715A (ja) * 2000-09-06 2002-03-22 Totan Kako Kk 電気機械用カーボンブラシ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52822B2 (ja) * 1973-04-06 1977-01-11
JPS5757477A (en) * 1980-09-24 1982-04-06 Hitachi Chemical Co Ltd Brush for electric rotary machine
JPH01103140A (ja) * 1987-10-14 1989-04-20 Toshiba Ceramics Co Ltd 金属黒鉛質ブラシ
JPH05182733A (ja) * 1991-12-27 1993-07-23 Toutan Kako Kk 電気機械用カーボンブラシ
JP2002056944A (ja) * 2000-08-09 2002-02-22 Totan Kako Kk 電気機械用カーボンブラシ
JP2002084715A (ja) * 2000-09-06 2002-03-22 Totan Kako Kk 電気機械用カーボンブラシ

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007306724A (ja) * 2006-05-12 2007-11-22 Totan Kako Kk 金属カーボン複合通電摺動材料
WO2015162862A1 (ja) * 2014-04-23 2015-10-29 東洋炭素株式会社 樹脂結合炭素質ブラシおよびその製造方法
CN106233590A (zh) * 2014-04-23 2016-12-14 东洋炭素株式会社 树脂结合碳质电刷及其制造方法
US20170047697A1 (en) * 2014-04-23 2017-02-16 Toyo Tanso Co., Ltd. Resin bonded carbonaceous brush and method of manufacturing the same
EP3136558A4 (en) * 2014-04-23 2018-01-10 Toyo Tanso Co., Ltd. Resin-bonded carbonaceous brush and method for manufacturing same
CN106233590B (zh) * 2014-04-23 2020-12-29 东炭化工株式会社 树脂结合碳质电刷及其制造方法
US10903613B2 (en) 2014-04-23 2021-01-26 Totan Kako Co., Ltd. Resin bonded carbonaceous brush and method of manufacturing the same
CN114556720A (zh) * 2019-11-25 2022-05-27 特耐斯株式会社 以银为主成分的金属石墨质接地电刷及其制造方法
CN114556720B (zh) * 2019-11-25 2024-06-04 特耐斯株式会社 以银为主成分的金属石墨质接地电刷及其制造方法
WO2021161751A1 (ja) * 2020-02-12 2021-08-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 電動機及び電動送風機

Also Published As

Publication number Publication date
JP4588392B2 (ja) 2010-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6909219B2 (en) Carbon brush for electric machine
KR102098193B1 (ko) 표면이 개질된 탄소 분말을 이용한 모터용 탄소 브러쉬 및 이의 제조방법
WO2006011267A1 (ja) カーボンブラシ
CN106233590B (zh) 树脂结合碳质电刷及其制造方法
KR101011999B1 (ko) 전기기계용 카본 브러시
JP4588392B2 (ja) 電気機械用カーボンブラシ
JPWO2007096989A1 (ja) モータ用金属黒鉛質ブラシ材料の製造方法
JP3858038B2 (ja) 電気機械用カーボンブラシ
KR100771804B1 (ko) 금속피복 카본 브러시
JP5166704B2 (ja) 金属カーボン複合通電摺動材料
JPH05182733A (ja) 電気機械用カーボンブラシ
JP2001327127A (ja) 銅カーボン質ブラシおよびその製造方法
EP3054570B1 (en) Metal-carbonaceous brush and method for producing same
JP4533513B2 (ja) 電気機械用カーボンブラシ
JP4476458B2 (ja) 電気機械用カーボンブラシ
JPH0474938B2 (ja)
JP4678478B2 (ja) 電刷子
KR960011512B1 (ko) 금속 흑연질 브러쉬 제조방법
JP2006288132A (ja) カーボンブラシ
JP2007060859A (ja) ブラシ
JP2006025568A (ja) 金属黒鉛質ブラシ
JP2005304115A (ja) 金属黒鉛質電刷子
JP2006320067A (ja) 金属黒鉛質ブラシの製造法
JP2006187111A (ja) 電刷子
KR20090090238A (ko) 교류전동기용 카본브러쉬의 코팅층 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060509

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090818

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100205

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100406

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100706

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100824

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees