JP2006080478A - 光学素子及びこれを用いた投影露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
長期間にわたって良好な反射特性を示す光学素子を提供する。また、特性を長期間にわたって維持することができる光学素子を投影光学系等として組み込んだ投影露光装置を提供する。
【解決手段】
ニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム及びイリジウムのうち少なくともいずれか1つとニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム及びルテニウムのうち少なくともいずれか1つを含有する保護層30を最表層に備えることで、投影露光装置内において極端紫外線が照射されても光学素子50表面での酸化反応・カーボン膜生成を抑制することができる。これにより、光学素子50の良好な反射特性を保つことができる。
【選択図】
図1

Description

本発明は、極端紫外線等に対して用いられる光学素子及びこれを用いた投影露光装置に関する。
近年、半導体集積回路の微細化に伴い、光の回折限界によって達成される光学系の解像度を向上させるために、従来の紫外線に代えてこれより短い波長(例えば11〜14nm)となる極端紫外線を用いた露光技術が開発されている。これにより約5〜70nmのパターンサイズの露光が可能になるものと期待されているが、この波長領域の物質の屈折率は1に近いため、従来のように透過屈折型光学素子を使用できず、反射型の光学素子が使用される。露光装置に用いられるマスクもまた、透過率確保等の観点から、通常反射型の光学素子となる。この際、各光学素子において高い反射率を達成するために、使用波長域での屈折率の高い物質と屈折率の低い物質とを基板上に交互に多数積層することが一般的である(特許文献1参照)。
特開2003−14893号公報
露光装置内において、極端紫外線下で上述のような光学素子が使用される場合、環境は真空であるが、光学素子の周囲から酸素・水分、有機物を完全に排除することができない。一方、極端紫外線は非常に大きなエネルギーをもつ。この際、酸素・水分などと光学素子表面の物質とが極端紫外線に照射されることで酸化反応を起こしてしまう。また、有機物と光学素子表面の物質とが極端紫外線に照射されることで光化学気相堆積(光CVD)を起こし、光学素子表面にカーボン膜が生成してしまう。これらの現象により、光学素子の反射特性が劣化してしまい、寿命が短くなる問題が生じる。
従って、本発明では、長期間にわたって良好な反射特性を示す光学素子を提供することを目的とする。また、本発明は、特性を長期間にわたって維持することができる光学素子を投影光学系等として組み込んだ投影露光装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明に係る光学素子は、支持用の基板と、上記基板上に支持されるとともに、極端紫外線を反射する多層膜と、上記多層膜の最表層上に設けられ、耐酸化性金属と触媒作用性金属とを含有する保護層とを備える。
本発明においては、光学素子が、多層膜を有する反射型の素子であり、極端紫外線等に対して良好な反射特性を有する。また、本発明においては、光学素子が、さらに多層膜最表層に耐酸化性金属を含有する保護層を備えることにより、露光装置内の酸素・水分により光学素子が表面から侵食される酸化作用を抑制することが可能となる。さらに、保護層が含有する触媒作用性金属の正触媒作用により、露光装置内の有機物中に含まれる炭素を二酸化炭素に変換し、積極的にガス化する。つまり、露光装置内で光学素子表面にカーボン膜が生成する原因となる光CVD現象が生じ難くなる。
また、第2の発明は、第1の発明に係る光学素子において、上記耐酸化性金属が、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム及びイリジウムのうち少なくともいずれか1つを含む。この場合、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム及びイリジウムは、いずれも良好な耐酸化性を有するので、露光装置内の酸素・水分による上述の酸化作用を防ぐ保護層の作製が可能である。
また、第3の発明は、第1または第2の発明に係る光学素子において、上記触媒作用性金属が、ニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム及びルテニウムのうち少なくともいずれか1つを含む。この場合、ニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム及びルテニウムは、いずれも有機物中の炭素を二酸化炭素に酸化させるための正触媒作用を持つので、これにより有機物中の炭素によって光学素子表面上にカーボン膜が徐々に堆積することを防止又は低減できる。
また、第4の発明は、第1〜第3の発明に係る光学素子において、上記保護層が、上記耐酸化性金属と上記触媒作用性金属との混合層を含む。この場合、スパッタ法等様々な方法によって複合した機能を有する保護層の成膜が可能となる。
また、第5の発明は、第4の発明に係る光学素子において、上記混合層が、上記耐酸化性金属と上記触媒作用性金属とを含む合金により形成される。この場合、合金の成分及び成分の組成比率を適宜調整することにより、使用用途に応じた特性を有する当該光学素子の作製が可能となる。
また、第6の発明は、第1〜第4の発明に係る光学素子において、上記保護層が、上記多層膜側に設けられるとともに主に上記耐酸化性金属を含む内側層と、表面側に設けられるとともに主に上記触媒作用性金属を含む表面層とを含む。この場合、光学素子の多層膜生成に際して、耐酸化性金属と、触媒作用性金属とは個別に成膜される。内部への侵食性がある酸化作用を抑制するための耐酸化性金属を内側にし、表面上でのカーボン膜の堆積を抑制するために触媒作用性金属を表面側にすることで、それぞれの金属が発揮する効果をさらに高めることができる。
また、第7の発明は、第1〜第6の発明に係る光学素子において、上記多層膜が、当該多層膜を構成する層間に拡散防止層を有する。この場合、多層膜間の界面が明瞭化され、光学素子の反射特性が向上する。
また、第8の発明は、第1〜第7の発明に係る光学素子において、上記多層膜が、極端紫外線領域における真空の屈折率に対する屈折率差が大きい物質からなる第1層と小さい物質からなる第2層とを基板上に交互に積層してなる。この場合、各多層膜を目的とする極端紫外線に適合させるよう所定の膜厚で数層から数百層の多層膜として交互に積層させる構成をとることで、極端紫外線の反射率を高めることが可能となる。当該光学素子は、ガラス等から作製した基板上に、その反射特性を良好にするため、例えば、Mo/Siによる多層膜を有している。入射する極端紫外線に対し、Mo層は比較的小さい屈折率を持つ一方、Si層は比較的大きい屈折率を持つ。これらを所定の膜厚で数層から数百層の多層膜として交互に積層させることで極端紫外線の反射率を高めることが可能となる。
また、第9の発明に係る投影露光装置は、極端紫外線を発生させる光源と、上記光源からの極端紫外線を転写用のマスクに導く照明光学系と、上記マスクのパターン像を感応基板上に形成する投影光学系とを備え、上記マスク、上記照明光学系及び上記投影光学系のうち少なくともいずれか1つが第1〜第8の発明に係る光学素子のいずれかを含む。
投影露光装置内において、極端紫外線の光路上に存在する上記各光学系の構成部材等として本発明の光学素子を用いることにより、露光中に生じる光学素子表面の酸化やカーボン膜生成を低減することが可能になる。この場合、光学素子は、特性が劣化しにくくなるので、分解能等を長期間維持することができ、露光装置の長寿命化が図れる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態である光学素子50の構造を示す断面図である。この光学素子50は、凹面反射鏡であり、多層膜構造を支持する母材となる基板10と、反射用の多層膜20と、表層となる保護層30とを有する。多層膜20は、基板10上に真空に対する屈折率が異なる2種類の物質を例えば交互に積層することで形成した数層から数百層の多層膜である。この多層膜20を構成する2種類の薄膜層L1、L2は、例えば、Mo層及びSi層とすることができる。
基板10は、例えば合成石英ガラスや低膨張ガラスを加工することによって形成されたものであり、その上面10aは、所定精度の鏡面に研磨されている。上面10aは、図示のような凹面とすることもできるが、光学素子50の用途に応じて凹面、平面、多面その他の形状とすることができる。
基板10上の多層膜20については、反射鏡である光学素子50の反射率を高めるために、吸収の少ない物質を多数積層させ、それぞれの反射波の位相が合うように光干渉理論に基づいて各層の膜厚を調整する。つまり、投影露光装置内で使用される極端紫外線の波長領域に対して、比較的屈折率の小さい薄膜層L1(具体例ではMo層)と比較的屈折率の大きい薄膜層L2(具体例ではSi層)とを、基板10上に、反射波の位相が合うよう所定の膜厚で交互もしくは任意順序に積層させることで多層膜20が形成されている。
多層膜20の最表層上には、さらに保護層30が形成されている。この保護層30は、耐酸化性金属と触媒作用性金属との合金その他の混合物からなる混合層である。つまり、保護層30は、耐酸化性金属であるニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム及びイリジウムのうち少なくともいずれか1つを主成分又は添加成分として含み、酸化防止膜としての役割を果たす。このような耐酸化性金属は、これ自身が極端紫外線で酸化され難く、或いは酸素や水を通し難く、酸化の内部への進行を阻止する役割を有する。さらに、保護層30は、触媒作用性金属であるニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム及びルテニウムのうち少なくともいずれか1つを主成分又は添加成分として含んでいるので、これによる正触媒作用によって、有機物中の炭素がガス化され、カーボン膜の生成が抑制される。これについてより詳細に説明すると、カーボン膜は、光学素子50表面に有機物の光CVD効果によって徐々に堆積される傾向を有する。これを保護層30の触媒作用によって二酸化炭素に酸化させ、ガス化することで、カーボン膜の堆積を防ぐことができる。
保護層30を構成する耐酸化性金属や触媒作用性金属として、特にニオブ、ルテニウム、ロジウム等は優れる。例えば、ニオブ、ルテニウム、ロジウム等は、上述のように、耐酸化性を有し、かつ、極端紫外線波長領域における反射率を低下させにくい。しかしながら、カーボン成長を抑制する性質はルテニウム、ロジウムにはいくらかあるものの弱く、それだけでは十分な抑制が行えない場合がある。そこで、ニオブ、ルテニウム、ロジウム等に対して、ニッケル、パラジウム、白金、銀等を混合し、その触媒作用によって光学素子50表面におけるカーボン膜生成を抑制する性質を高める。また、ニオブ、ルテニウム、ロジウム等に対して、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム、イリジウム等を混合し、その酸化反応抑制作用によって光学素子50の表面からの侵食を抑制する性質を高める。ところが、ニッケル、パラジウム、白金、銀、金、オスミウム、イリジウムは、いずれも極端紫外線の吸収が比較的大きく、極端紫外線の反射率を低下させる傾向がある。そこで、基本的に耐酸化性金属であるニオブ、ルテニウム、ロジウム、又はそれらの混合物を保護層30の主成分とし、これに触媒作用性金属であるニッケル、パラジウム、白金、又は銀、及び、極端紫外線の吸収は比較的大きいが耐酸化性金属である金、オスミウム及びイリジウムを光学素子50の用途等に応じてさらに付加的に混合させることで、酸化抑制とカーボン膜生成抑制とを同時に達成させることが可能となる。
また、保護層30の耐酸化性とカーボン膜生成抑制能力とを所望のバランスに設定するために、保護層30に耐酸化性金属と触媒作用性金属とを適当な割合で含有させる。また、保護層30のカーボン膜生成抑制能力を上げるため、表面に存在することによって触媒として機能する触媒作用性金属の濃度割合を保護層30の表面で相対的に高くしてもよい。
以上述べたように、光学素子50に要求される仕様に応じて保護層30に必要とされる特性によって、耐酸化性金属と触媒作用性金属とを適当な割合で含有する合金が非常に重要である。合金とすることによって、耐酸化性金属と触媒作用性金属とが協働して互いの効果を高め、これにより所望とする特性が得られる場合があるからである。このような合金の例としては、例えば、NbRu、NbPd、NbPdが使用可能である。また、例えば、極端紫外線の吸収が比較的大きいため、保護層30の主成分としては適さない金属であっても、極端紫外線の反射率に影響を与えない程度に小量であれば、当該合金中の添加物として含むことは可能であり、この小量の金属によって耐酸化性及び触媒作用性に関して相乗的な効果を得られる場合もある。
本実施形態において用いているニッケル、パラジウム、白金、金、銀、オスミウム及びイリジウムは、極端紫外線の吸収が比較的大きい金属であるが、ニッケルは、特に、触媒作用性に優れ、金、オスミウム及びイリジウムは、特に、耐酸化性に優れる。また、白金、銀及びパラジウムは、その双方に優れる。従って、これらの組み合わせや組成比については、具体的には、例えば以下のような場合が考えられる。
まず、1つの例として、主成分を耐酸化性金属であるニオブ、ルテニウム、ロジウム、又はそれらの混合物とし、これに比較的小量の白金、銀、パラジウム又はそれらの混合物を加えた合金によって保護層30を作製する場合が考えられる。これにより、耐酸化性に加え触媒作用性をも高めることができる。この場合の合金の組成としては、例えば、Ru80%、Rh10%、Pt10%などが挙げられる。
また、別の例として、主成分を耐酸化性金属であるニオブ、ルテニウム、ロジウム、又はそれらの混合物とし、これに比較的小量の金、オスミウム、イリジウムあるいはニッケル又はそれらの混合物を加えた合金によって保護層30を作製する場合が考えられる。この場合、金、オスミウム、イリジウムによりさらに耐酸化性を高め、ニッケルにより触媒作用性を高めることができる。この場合の合金の組成としては、例えば、Ru80%、Ni20%などが挙げられる。
さらに別の例として、主成分を耐酸化性金属であり、ある程度の触媒作用性をも示すルテニウム、ロジウム、又はそれらの混合物とし、これに比較的小量のニッケルを加えた合金によって保護層30を作製する場合が考えられる。これにより、さらに触媒作用性を高めることが可能である。または、ニッケルに代えて小量の白金、銀、パラジウム又はそれらの混合物を加えた合金によって、触媒作用性に加え耐酸化性をも高めることも可能である。この場合の合金の組成としては、例えば、Ru90%Pd10%、あるいは、Rh70%、Ag30%などが挙げられる。
この他にも光学素子50の使用用途等に合わせて適宜合金の組成及び組成比率を変えることによって所望の保護膜30の形成が可能である。
保護層30の成膜は、表面荒さを悪化せず繊密な膜ができれば蒸着、スパッタ法など成膜手法を問わない。例えば、イオンビームスパッタ法により保護層30の成膜を行うことができる。その際、例えば、耐酸化性金属と触媒作用性金属とを含む合金のターゲットをスパッタすることで、両金属の合金からなる保護層30を簡単に成膜することができる。また、耐酸化性金属のターゲットと触媒作用性金属のターゲットとを同時にスパッタすることによっても、両金属が混在する合金の保護層30を形成することができる。
以上、耐酸化性金属と触媒作用性金属とを組み合わせた合金について述べたが、耐酸化性金属同士を組み合わせた合金や触媒作用性金属同士を組み合わせた合金についても同様に形成することができ、これにより、酸化抑制あるいはカーボン膜生成抑制に特化した保護層30を形成してもよい。耐酸化性金属同士、あるいは、触媒作用性金属同士を適当な割合で含有する合金とすることによって、耐酸化性金属同士、あるいは、触媒作用性金属同士が協働して互いの効果を高め、保護層30について、所望とする特性が得られる場合がある。
尚、表面荒さを悪化せず繊密な膜を形成するのを助けるため、保護層30と多層膜20の最表面層との間に別の材料を成膜してもよい。
また、保護層30を形成する合金が極端紫外線を吸収することによる反射率の大幅な低下が生じないように、保護層30の膜厚は4nm以下とする。ただし、光学素子50の構成によっては、膜厚の条件は4nm以下であるとは限らず、さらに最適な膜厚の条件を必要とする場合もある。勿論、予め保護層30を構成要素として考慮し、光学素子50の反射特性が所望の値となるよう光学設計しておいてもよい。
〔第2実施形態〕
図2は、第2実施形態の光学素子150を示す断面図である。本実施形態の光学素子150は、第1実施形態を変形したものであり、保護層130の構造以外については図1のものと同一であるから説明を割愛する。以下、保護層30と保護層130との相違点について述べる。
第1実施形態においては、耐酸化性金属と触媒作用性金属とは混在して保護層30を構成したが、本実施形態では、両金属を個別に成膜し、保護層130を2重構造としている。つまり、本実施形態における保護層130は、多層膜20側に位置し耐酸化性金属よりなる下層膜141と、表面側に位置し触媒作用性金属よりなる上層膜142とからなる。
本実施形態において、下層膜141を形成するニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の耐酸化性金属は、その耐酸化性によって光学素子150の酸化を防いでいる。ここで、酸化反応は、内部への侵食性があり、酸化防止を行わない場合、光学素子150内部に酸化反応が進んでいってしまう。従って、侵食を防ぐための耐酸化性金属は、保護層130の内部に存在しても十分に機能し得る。一方、上層膜142を形成するニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム、ルテニウム等の触媒作用性金属は、その触媒作用によって光学素子150表面にカーボン膜が生成するのを防いでいる。カーボン膜の生成は、有機物と光学素子150の物質とが極端紫外線に照射されることによって光CVDを起こした結果である。従って、カーボン膜の生成を抑えるためには、光学素子150の表面側において触媒作用が十分に働く必要がある。つまり、ニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム、ルテニウム等の触媒作用性金属は、表層部に存在する必要がある。以上により、保護層130を耐酸化性金属と触媒作用性金属との2層構造にする場合、内側層となる下層膜141を耐酸化性金属よりなる層とし、表面層となる上層膜142を触媒作用性金属よりなる層としている。
ここで、上述のように、触媒作用性金属としてニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム、ルテニウム等を用いた場合、これらの金属は大なり小なり極端紫外線を吸収する性質を持つので、上層膜142の成膜に際し、触媒作用を失わず、かつ、極端紫外線を吸収しすぎない程度(例えば1nm〜数nm程度)に上層膜142の膜厚を調整する必要がある。
また、耐酸化性金属としてニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム、イリジウム等を用いた場合、これらの金属も大なり小なり極端紫外線を吸収する性質を持つので、下層膜141の成膜に際し、触媒作用を失わず、かつ、極端紫外線を吸収しすぎない程度(例えば1nm〜数nm程度)に下層膜141の膜厚を調整する必要がある。
尚、本実施形態における下膜層141及び上層膜142の成膜は、表面荒さを悪化せず繊密な膜ができれば蒸着、スパッタ法など成膜手法を問わない。
〔第3実施形態〕
図3は、第3実施形態の光学素子250の構造を示す断面図である。多層膜220以外の部分については図1又は図2のいずれかと同様であるから説明を割愛する。本実施形態において、多層膜220は、薄膜層L1と薄膜層L2との間にさらにBCなどからなる拡散防止膜L3を備える。
多層膜220を形成する薄膜層L1、L2として、特に金属やシリコン等を用いた場合には、薄膜層L1と薄膜層L2との境界付近においておのおのを形成する材料同士が混ざり合い、界面が曖昧になりやすい。これにより、反射特性が影響を受け、光学素子250の反射率が下がってしまうことがある。そこで、界面を明瞭化するために、本実施形態においては、多層膜220の形成にあたって、薄膜層L1(例えばMo層)と薄膜層L2(例えばSi層)との間に、さらに拡散防止膜L3を設ける。材料としては、例えばBCやC、MoC、MoO等が用いられる。このように界面を明確化することにより、光学素子250の反射特性が向上する。
図1〜図3で説明したいずれの実施形態においても、極端紫外線波長領域では各保護層30、130に酸素由来の吸収があり、酸化物の吸収が大きくなるので、極端紫外線が吸収されることによる反射率の大幅な低下が生じないように、各保護層30、130の膜厚は4nm以下とする必要がある。ただし、各光学素子50、150、250の構成によっては、膜厚の条件は4nm以下であるとは限らず、さらに最適な膜厚の条件を必要とする場合もある。勿論、予め各保護層30、130を構成要素として考慮し、各光学素子50、150、250の反射特性が所望の値となるよう光学設計しておいてもよい。
尚、以上の説明において、薄膜層L1、L2の組み合わせをMo/Siとしたが、この他にも例えば、Mo/Beといった組み合わせ等も可能である。
〔第4実施形態〕
図4は、第1〜第3実施形態に係る光学素子を光学部品として組み込んだ、第4実施形態に係る投影露光装置の構造を説明するための図である。
この投影露光装置は、主に、極端紫外線光源S、コンデンサC、照明光学系IR〜IR、マスクMを支持するステージMST、投影光学系PR〜PR、感応基板(ウエハ)WAを支持するステージWST等により構成されている。
極端紫外線光源Sには、プラズマ励起用レーザ光を発生するレーザ光源Lと、ターゲット材料であるキセノン等のガスを筐体SC中に供給するチューブTとが付設されている。チューブTの先端から出射するキセノンにレーザ光源Lからのレーザ光を集光させることにより、その部分のターゲット材がプラズマ化して極端紫外線を発する。コンデンサCは、チューブTの先端で発生した極端紫外線を集光する。コンデンサCを経た極端紫外線は、収束されつつ筐体SC外に射出し、コリメータミラーCMに入射する。尚、以上のようなレーザプラズマ光源に代えて、放電プラズマ光源、SOR光源からの放射光等を使用することができる。
照明光学系IR〜IRは、反射型のオプティカルインテグレータIR、IR、コンデンサミラーIR等により構成されている。この照明光学系IR〜IRによって、マスクM上の所定領域を所望の波長の極端紫外線で均一に照明することができる。
極端紫外線の波長域で完全に透明な物質は存在しないので、マスクMには透過型のマスクではなく反射型のマスクが使用される。
投影光学系PR〜PRは、通常複数の多層膜ミラー等により構成されている。マスクM上に形成された回路パターンは、このような投影光学系PR〜PRによってレジストが塗布されたウエハWA上に結像してこのレジストに転写される。尚、極端紫外線は大気に吸収されて減衰するが、装置全体を真空チャンバVCによって覆って、極端紫外線の光路を所定の真空度(例えば、1.3×10−3Pa以下)に維持することで、極端紫外線の減衰を低減している。
以上の投影露光装置において、コンデンサC、コリメータミラーCM、照明光学系IR〜IR、マスクM、若しくは投影光学系PR〜PRとして、図1、図2、若しくは図3に例示される光学素子50、150、250のいずれかを用いる。この際、光学素子50、150、250の光学面の形状は、凹面に限らず、平面、凸面、多面等組み込む場所によって適宜調整する。
以下、図4に示す投影露光装置の動作について説明する。この投影露光装置では、照明光学系IR〜IRからの照明光によってマスクMが照明され、マスクMのパターン像がウエハWA上に投影される。これにより、マスクMのパターン像がウエハWAに転写される。
以上説明した投影露光装置では、高反射率で高精度に制御された光学素子が用いられているので、投影露光装置内の光学素子表面での酸化反応・カーボン膜生成を抑制することができ、光学素子の反射特性が劣化するのを防ぎ、延いては投影露光装置の寿命を長くすることができる。
尚、投影露光装置内で用いられる光学素子に対し、極端紫外線を照射しながら酸素を意図的に導入することで、ニッケル、パラジウム及び白金等の触媒作用性金属による有機物中の炭素を二酸化炭素に酸化させる正触媒作用を増進させ、光学素子表面でのカーボン膜生成をより抑制することも可能である。
上記実施形態では、露光光として極端紫外線を用いる投影露光装置について説明したが、露光光として極端紫外線以外の紫外線を用いる投影露光装置においても、図1に示すような光学素子50を組み込むことができ、光学素子の反射特性の劣化を抑制することができる。
また、投影露光装置以外にも、例えば、軟X線顕微鏡や、軟X線分析装置といった軟X線光学機器を含む様々な光学機器についても同様に図1に示すような光学素子50を組み込むことができる。
第1実施形態に係る光学素子の構造の一態様を示す断面図である。 第2実施形態に係る光学素子の構造の別の一態様を示す断面図である。 第3実施形態に係る光学素子の構造のさらに別の一態様を示す断面図である。 第1乃至第3実施形態に係る光学素子を光学部品として組み込んだ第4実施形態に係る投影露光装置の図である。
符号の説明
50、150、250…光学素子、 30、130…保護層、 20、220…多層膜、 10…基板、 L1、L2…薄膜層、 141…下層膜、 142…上層膜、 L3…拡散防止膜、 S…極端紫外線光源、 C…コンデンサ、 IR〜IR…照明光学系、 M…マスク、 MST、WST…ステージ、 PR〜PR…投影光学系、 WA…ウエハ

Claims (9)

  1. 支持用の基板と、
    前記基板上に支持されるとともに、極端紫外線を反射する多層膜と、
    前記多層膜の最表層上に設けられ、耐酸化性金属と触媒作用性金属とを含有する保護層と、
    を備える光学素子。
  2. 前記耐酸化性金属は、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、白金、金、銀、パラジウム、オスミウム及びイリジウムのうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴する請求項1記載の光学素子。
  3. 前記触媒作用性金属は、ニッケル、パラジウム、白金、銀、ロジウム及びルテニウムのうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか一項記載の光学素子。
  4. 前記保護層は、前記耐酸化性金属と前記触媒作用性金属との混合層を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の光学素子。
  5. 前記混合層は、前記耐酸化性金属と前記触媒作用性金属とを含む合金により形成されることを特徴とする請求項4記載の光学素子。
  6. 前記保護層は、前記多層膜側に設けられるとともに主に前記耐酸化性金属を含む内側層と、表面側に設けられるとともに主に前記触媒作用性金属を含む表面層とを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項記載の光学素子。
  7. 前記多層膜は、当該多層膜を構成する層間に拡散防止層を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項記載の光学素子。
  8. 前記多層膜は、極端紫外線領域における真空の屈折率に対する屈折率差が大きい物質からなる第1層と小さい物質からなる第2層とを基板上に交互に積層してなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項記載の光学素子。
  9. 極端紫外線を発生させる光源と、
    前記光源からの極端紫外線を転写用のマスクに導く照明光学系と、
    前記マスクのパターン像を感応基板上に形成する投影光学系とを備え、
    前記マスク、前記照明光学系及び前記投影光学系のうち少なくともいずれか1つが請求項1から請求項8のいずれか一項記載の光学素子を含むことを特徴とする投影露光装置。
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