ところで、電磁接触器などは、近年、電気自動車や電動自転車などにおいて使用されるようになってきている。また、電磁接触器などは、フォークリフトなどにおいて利用されている。これらの電動式車両では、バッテリとモータとを接続し、バッテリの蓄電電力でモータを回転させ、車輪を駆動している。そのため、これらの電動式車両において、電磁接触器は、バッテリとモータとを接続する制御回路に過電流が流れ続けてしまうことがないように、ヒューズと直列に接続されて使用されることが多い。
図10は、本出願人が先に開発した従来における電磁接触器およびヒューズの固定方法を示す説明図である。電磁接触器201とヒューズ202とは、固定基板203の上に並べて固定される。電磁接触器201とヒューズ202とは、バスバー204で電気的に接続される。固定基板203は、車両の所定の取り付け場所に固定される。
このように固定基板203上に電磁接触器201とヒューズ202とを並べて配置した場合、その固定基板203のサイズは大きくなる。固定基板203を取り付ける場所としても大きな場所を確保しなければならない。また、ヒューズ202が切れた場合に交換する必要があることから、固定基板203は、車両の表面やトランクの中などに露出可能に配設する必要がある。スペースが限られている車両において、そのような場所の確保は、困難となっている。
本発明は、電磁開閉装置がヒューズとともに用いられる場合であっても、それらによる占有面積の増大を抑制することができる電磁開閉装置を得ることを目的とする。
本発明に係る電磁開閉装置は、内部に電磁コイルが配設されるハウジングと、電磁コイルにより移動される可動接点部材と接離し、その一端部が露出する状態でハウジングに保持される固定接点部材と、一端部に開設される固定接点部材貫通孔と、絶縁性材料からなり、ハウジングに固定される固定台本体と、固定台本体あるいは固定台本体に固定される保持板に開設されるとともに上記固定設定部材貫通孔から当該装置に取り付けられるヒューズの長さに相当する距離分離れた位置に設けられる固定台貫通孔と、を有するものである。
この構成を採用すれば、電磁開閉装置にヒューズを接続するときは、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔とにボルトを通し、またはこれらの貫通孔にボルトを圧入して固定し、このボルトでヒューズを電磁開閉装置のハウジングに簡単に取り付けることができる。しかも、ハウジングでヒューズを保持することができる。したがって、たとえば電磁開閉装置にヒューズを接続する場合において、この装置とを基板上に並べて配設する場合などに比べて、電磁開閉装置とヒューズとによる占有面積を小さくすることができる。
本発明に係る電磁開閉装置は、上述した発明の構成に加えて、固定接点部材の一端部が、固定台本体側に突出するとともに固定台本体側へ屈曲されているものである。
この構成を採用すれば、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔とは、略同一面に配置される状態になる。したがって、一対の端子部が両端から突出する一般的な形状のヒューズを、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔とで固定することができる。
本発明に係る電磁開閉装置は、上述した各発明の構成に加えて、ハウジングが、固定台本体が固定される側とは反対側に配設される脚部を有するものである。
この構成を採用すれば、脚部でハウジングを所定の場所に固定することができる。そして、脚部によりハウジングを所定の場所に固定することで、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔とは当該所定の固定場所において表側になる。したがって、ハウジングを当該所定の固定場所に固定したまま、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔に挿入したボルトに容易にヒューズを固定したり、容易にそのヒューズを交換したりすることができる。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、略立方体形状を有し、内部に電磁コイルが配設されるハウジングと、一端部が屈曲された略L字形状を有し、他端部において電磁コイルにより移動される可動接点部材が接離する第一の固定接点部材と、一端部が屈曲された略L字形状を有し、他端部において電磁コイルにより移動される可動接点部材が接離する第二の固定接点部材と、ハウジングの1つの面に固定され、第一の固定接点部材および第二の固定接点部材をそれらの一端部がハウジング側へ屈曲する姿勢で保持する保持体と、絶縁性材料からなり、ハウジングの保持体が固定されるハウジングの1つの面に隣接する他の面に固定される固定台本体と、第一の固定接点部材の一端部に開設される第一の固定接点部材貫通孔と、第二の固定接点部材の一端部に開設される第二の固定接点部材貫通孔と、導電性材料からなり、第一の固定接点部材貫通孔と第二の固定接点部材貫通孔の配列方向に沿った姿勢にて固定台本体に固定されるリンクバスバーと、リンクバスバーの両端部に開設される第一の固定台貫通孔および第二の固定台貫通孔と、を有するものである。
この構成を採用すれば、電磁開閉装置にヒューズを接続するときは、第一の固定接点部材貫通孔と第一の固定台貫通孔とにボルトを通し、またはそれらの貫通孔にボルトを圧入して固定し、このボルトでヒューズを、電磁開閉装置のハウジングに簡単に取り付けることができる。しかも、ヒューズをハウジングで保持できる。また、第二の固定接点部材貫通孔と第二の固定台貫通孔とにボルトを通し、またはそれらの貫通孔にボルトを圧入して固定し、このボルトでヒューズを、電磁開閉装置のハウジングに保持できる。したがって、たとえば電磁開閉装置にヒューズを接続する場合においてこの装置とヒューズとを基板上に並べて配設する場合などに比べて、電磁開閉装置とヒューズとによる占有面積を小さくすることができる。
しかも、第一の固定接点部材貫通孔は、ハウジング側に屈曲される一端部に開設されているので、第一の固定接点部材貫通孔と第一の固定台貫通孔とは、略並行な状態になる。また、第二の固定接点部材貫通孔は、ハウジング側に屈曲される一端部に開設されているので、第二の固定接点部材貫通孔と第二の固定台貫通孔とは、略並行な状態になる。したがって、一対の端子部が両端から突出する一般的な形状のヒューズを、これらの固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔とで固定することができる。
また、この構成を採用すれば、ヒューズは、電磁開閉装置の第一の固定接点部材側あるいは第二の固定接点部材側のいずれにも接続することができる。したがって、第一の固定接点部材および第二の固定接点部材に、電磁開閉装置のプラス側およびマイナス側が設定されている場合などであっても、そのプラス側あるいはマイナス側のいずれにもヒューズを接続することができる。
しかも、ヒューズを電磁開閉装置のプラス側あるいはマイナス側に取り付けた場合、残りの固定接点部材貫通孔と残りの固定台貫通孔とは、ヒューズが取り付けられていない空いた状態になる。残りの固定台貫通孔は、リンクバスバーによりヒューズに接続されている。したがって、この残りの固定接点部材貫通孔と残りの固定台貫通孔とに、電磁開閉装置を使用する回路の配線を接続することで、電磁開閉装置およびヒューズをその回路に接続することができる。
さらに、このように残りの固定接点部材貫通孔と残りの固定台貫通孔とに回路の配線を接続することで、ヒューズと配線とを別々に電磁開閉装置に接続することができ、ヒューズ交換の際に配線が電磁開閉装置から外れてしまうことがなくなる。その結果、たとえばヒューズと配線とを同一の貫通孔で固定している場合においては、ヒューズ交換の際に電磁開閉装置から配線が外れ、その配線が電磁開閉装置の周囲のボディなどに接触してしまうことなどを防止することができる。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した他の発明の構成に加えて、ハウジングが、固定台本体が固定される面とは反対側に配設される脚部を有するものである。
この構成を採用すれば、脚部でハウジングを所定の場所に固定することができる。そして、脚部によりハウジングを所定の場所に固定することで、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔とは当該所定の固定場所において表側になる。したがって、ハウジングを当該所定の固定場所に固定したまま、容易にヒューズを固定あるいは交換することができる。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した各他の発明の構成に加えて、固定台本体が、ハウジングに固定された状態においてハウジングから突出する上部突出部を有し、この上部突出部は、第一の固定接点部材の一端部および第二の固定接点部材の一端部と、ハウジングおよび保持体との間に配設されるものである。
この構成を採用すれば、第一の固定接点部材貫通孔に挿入するボルトの頭部を、第一の固定接点部材の一端部と上部突出部との間に挟んで保持することかできる。また、第二の固定接点部材貫通孔に挿入するボルトの頭部を、第二の固定接点部材の一端部と上部突出部との間に挟んで保持することができる。したがって、ナットを嵌めていない状態であってもこれらのボルトは脱落しなくなる。しかも、ナットを緩めたときに、ボルトがハウジングなどに当接しなくなる。さらに、ボルトの頭部が一端部の裏側となるので、ボルトの先端が表側に突出し、ヒューズおよびナットを容易に取り付けることができる。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した各他の発明の構成に加えて、固定台本体が、リンクバスバーの第一の固定接点部材貫通孔および第二の固定接点部材貫通孔と重なる部位に、薄肉部を有するものである。
この構成を採用すれば、第一の固定接点部材貫通孔に挿入するボルトの頭部を、リンクバスバーと固定台本体の薄肉部との間に挟んで保持することができる。また、第二の固定接点部材貫通孔に挿入するボルトの頭部を、リンクバスバーと固定台本体の薄肉部との間に挟んで保持することができる。したがって、ナットを嵌めていない状態であってもこれらのボルトは脱落しなくなる。しかも、ナットを緩めたときに、ボルトがハウジングなどに当接しなくなる。さらに、ボルトの頭部がリンクバスバーの裏側となるので、ボルトの先端が表側に突出し、ヒューズおよびナットを容易に取り付けることができる。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した各他の発明の構成に加えて、固定台本体が、ハウジングに固定された状態においてハウジングから突出する下部突出部を有し、リンクバスバーが、下部突出部に形成される下部貫通孔に挿入される固定ネジにより、固定台本体に固定されるものである。
この構成を採用すれば、固定ネジにより強固にリンクバスバーを固定台本体に固定することができる。しかも、固定ネジは、ハウジングから突出する下部突出部に取り付けられるので、固定ネジとハウジングとが接触しない。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した各他の発明の構成に加えて、固定台本体が、ハウジングに固定された状態において第一の固定接点部材貫通孔と第二の固定接点部材貫通孔の配列方向に沿って配列される複数の固定貫通孔であって、且つ、それぞれに挿入される複数の固定ネジがハウジングに固定される複数の固定貫通孔と、複数の固定貫通孔の間を通過し、且つ、リンクバスバーの側面と当接するように形成される稜部と、を有するものである。
この構成を採用すれば、リンクバスバーの第一の固定台貫通孔および第二の固定台貫通孔に挿入されるボルトをナット締めする際に、リンクバスバーに対してそれを回転させるような力が作用したとしても、その回転を稜部で抑止することができる。したがって、ボルトとナットとを硬く締め付けることができる。また、リンクバスバーを1つの固定ネジで固定台本体に固定することができる。
しかも、このように稜部によりリンクバスバーの回転を抑止することで、固定台本体の厚さは厚くしなくて済む。したがって、固定台本体のヒューズと重なる部位を薄く形成し、ヒューズを取り付けたときの電磁開閉装置の全体の高さを低く抑えることができる。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した各発明に係る電磁開閉装置であって、固定接点部材貫通孔と固定台貫通孔を用いてヒューズが固定されているものである。
この構成を採用すれば、ヒューズがハウジングに固定された固定台本体にて保持される。したがって、たとえば電磁開閉装置とヒューズとを基板上に並べて配設する場合などに比べて、電磁開閉装置とヒューズとによる占有面積は小さい。
本発明に係る他の電磁開閉装置は、上述した各他の発明に係る電磁開閉装置であって、第一の固定接点部材貫通孔と第一の固定台貫通孔を用いてヒューズが固定され、あるいは、第二の固定接点部材貫通孔と第二の固定台貫通孔を用いてヒューズが固定されているものである。
この構成を採用すれば、ヒューズがに固定された固定台本体にてハウジングに保持される。したがって、たとえば電磁開閉装置とヒューズとを基板上に並べて配設する場合などに比べて、電磁開閉装置とヒューズとによる占有面積は小さい。
本発明では、電磁開閉装置がヒューズとともに用いられる場合であっても、それらによる占有面積の増大を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る電磁開閉装置を、図面に基づいて説明する。なお、電磁開閉装置としては、電磁接触器を例として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電磁接触器を示す正面図である。図2は、図1の電磁接触器の上面図である。図3は、図1の電磁接触器の右側面図である。電磁接触器は、図3に示すように、ハウジング1を有する。ハウジング1は、鉄板、鋼板などの金属製の板を略立方体形状に形成したものである。
以下、この実施の形態において、ハウジング1の上面側の面を上面部2と呼び、上面部2に対向する面を底面部3と呼び、それ以外の4つの面を側面部と呼ぶ。また、ハウジング1の4つの側面部を個別に記載する場合には、正面側の面を前面部4と呼び、それに対向する面を裏面部5と呼び、図3で正面に現れる面を右側面部6と呼び、それに対向する面を左側面部7と呼ぶ。
略立方体形状を有するハウジング1は、脚部としての一対の固定脚部8,9を有する。一対の固定脚部8,9の中の一方の固定脚部8は、ハウジング1の右側面部6から図2で右方向へ突出している。一対の固定脚部8,9の中の他方の固定脚部9は、ハウジング1の左側面部7から図2で左方向へ突出している。また、一対の固定脚部8,9は、ハウジング1の右側面部6および左側面部7において、ハウジング1の裏面部5寄りの部位から突出している。
一対の固定脚部8,9は、一対の貫通孔10,11を有する。この一対の貫通孔10,11に挿入した固定ねじを固定することで、ハウジング1を所望の場所に固定することができる。ハウジング1を所望の場所に固定した状態では、ハウジング1の前面部4、右側面部6および左側面部7が表側となる。したがって、後述するように、ハウジング1を当該所定の固定場所に固定したまま、容易にヒューズ81を固定あるいは交換することができる。
図4は、図1中のハウジング1および周辺部の断面図である。この断面図は、ハウジング1の前後方向の略中央において切断した断面図である。上述したように、ハウジング1は、金属製の板を略立方体形状に形成したものである。ハウジング1内には、内部空洞12が形成される。ハウジング1の上面部2の中央には、貫通孔2aが形成される。
ハウジング1の内部空洞12には、電磁コイル21が配設される。電磁コイル21は、ボビン22に巻線23を巻きつけたものである。ボビン22は、円筒部22aを有する。円筒部22aの上下には、一対のつば部22b,22cが形成される。巻線23としては、たとえばエナメル線が用いられる。巻線23は、一対のつば部22b,22cの間において、円筒部22aに巻きつけられる。
ボビン22は、その円筒部22aの円筒軸がハウジング1の上下方向となる向きで、ハウジング1に固定される。巻線23の両端は、図1に示すようにハウジング1外へ引き出され、コネクタ24に接続される。
ボビン22の円筒部22aには、中空部25が形成される。中空部25は、円筒部22aと略同心の円柱形状に形成される。中空部25の中には、固定鉄心部材29と、可動鉄心部材30が配設される。
固定鉄心部材29は、たとえば電磁軟鉄を円柱形状に形成したものである。固定鉄心部材29は、中空部25による空間より一回り小さいサイズの円筒形状に形成される。固定鉄心部材29は、その円筒の貫通孔が、ハウジング1の上面部2の中央に形成される貫通孔2aと連通する位置に固定される。
可動鉄心部材30は、たとえば電磁軟鉄を円柱形状に形成したものである。可動鉄心部材30は、中空部25による空間より一回り小さいサイズに形成される。可動鉄心部材30は、ボビン22と同軸にて中空部25に配設される。これにより、可動鉄心部材30は、中空部25内においてボビン22の円筒軸方向、つまりハウジング1の図4で上下方向に移動可能となる。なお、可動鉄心部材30は、珪素鋼板を積層して円柱形状に形成したものであってもよい。
ハウジング1の上面部2の上には、保持体としてのカバーユニット41が配設される。カバーユニット41は、下部カバー部42と、上部カバー部43と、を有する。
下部カバー部42は、略立方体形状の下部カバー部本体44と、下部カバー部本体44に立設される一対の立設部45と、を有する。下部カバー部本体44は、ハウジング1の上面部2と略同じサイズの底面を有する。下部カバー部本体44は、その中央部に貫通孔46を有する。一対の立設部45は、この貫通孔46がそれらの間に露出するように間隔を空けて、下部カバー部本体44に立設される。下部カバー部42は、その貫通孔46がハウジング1の上面部2中央に形成される貫通孔2aと重なるように、ハウジング1の上面部2の上に配設される。下部カバー部42の貫通孔46は、ハウジング1の上面部2中央に形成される貫通孔2aより大きな径を有する。この配設状態において、一対の立設部45は、下部カバー部本体44から上方へ突出する。
上部カバー部43は、下部カバー部本体44と略同じ底面サイズに形成され、下部カバー部42の立設部45の上に重なる姿勢で配設される。上部カバー部43は、その姿勢において下部カバー部42とともに、ハウジング1の上面部2にネジ止め固定される。
上部カバー部43と下部カバー部42の立設部45との間には、固定接点部材あるいは第一の固定接点部材としての右固定接点部材51と、固定接点部材あるいは第二の固定接点部材としての左固定接点部材52と、が配設される。右固定接点部材51および左固定接点部材52は、略棒形状に形成した銅板の一端を屈曲させた略L字形状を有する。なお、右固定接点部材51および左固定接点部材52には、銅板以外の金属を使用してもよい。右固定接点部材51および左固定接点部材52は、L字の長尺部分が上部カバー部43と下部カバー部42の立設部45との間に挟まれた状態(図3、図5参照)で、上部カバー部43および下部カバー部42とともにネジ止めされる。右固定接点部材51および左固定接点部材52は、L字の短尺部分がハウジング1側に屈曲した姿勢で、上部カバー部43および下部カバー部42とともにネジ止めされる。これにより、右固定接点部材51および左固定接点部材52は、固定される。
下部カバー部本体44の中央部に形成される貫通孔46および下部カバー部42の一対の立設部45の間により形成される空間には、可動軸31と、スライダ32と、可動接点部材33と、リターンバネ36と、接点バネ37と、が配設される。
可動軸31は、軸本体31aと、2つのリブ部31b,31cと、を有する。軸本体31aは、ステンレスなどの金属材料を円柱の棒形状に形成したものである。2つのリブ部31b,31cは、軸本体31aを約1/3ずつに分割するように、軸本体31aの外周に突出させて設けられる。軸本体31aの一端は、上部カバー部43の中央に形成された貫通孔に挿入される。以下、軸本体31aの一端側のリブ部を、第一リブ部31bと呼び、軸本体31aの他端側のリブ部を、第二リブ部31cと呼ぶ。
スライダ32は、絶縁材料のプラスチックあるいはゴムを円筒形状に形成したものである。スライダ32の円筒による貫通孔には、軸本体31aが挿入される。スライダ32は、第一リブ部31bと第二リブ部31cとの間に配設される。スライダ32の円筒による貫通孔は、軸本体31aより大きな径を有する。したがって、スライダ32は、第一リブ部31bと第二リブ部31cとの間において、軸本体31a上を移動可能となる。
可動接点部材33は、銅などの金属材料を長尺な長方体形状に形成したものである。可動接点部材33は、中央部に貫通孔を有する。可動接点部材33の貫通孔には、スライダ32が挿入される。可動接点部材33は、スライダ32とともに軸本体31a上を移動可能となる。
可動接点部材33の長尺方向の長さは、下部カバー部42の左右方向の長さと略等しい長さである。可動接点部材33は、下部カバー部42の一対の立設部45の間に配設される。可動接点部材33は、その長尺方向がハウジング1の左右方向となる姿勢で配設される。
可動接点部材33は、その長尺方向の両端上面側に一対の可動接点部34,35を有する。また、右固定接点部材51および左固定接点部材52の他端下面側には、固定接点部53が形成される。右固定接点部材51および左固定接点部材52の固定接点部53は、可動接点部材33の一対の可動接点部34,35と対向する。
リターンバネ36は、可動軸31の第一リブ部31bと上部カバー部43との間に配設される。リターンバネ36は、可動軸31の軸本体31aの周囲に巻きつけて配設される。リターンバネ36の自然長は、可動接点部材33が下部カバー部本体44に当接した状態における可動軸31の第一リブ部31bと上部カバー部43と間隔より長い。つまり、リターンバネ36は、収縮した状態で、可動軸31の第一リブ部31bと上部カバー部43との間に配設される。これにより、可動軸31、スライダ32、可動接点部材33には図4で下向きの付勢力が常に作用する。その結果、可動接点部材33は、下部カバー部本体44に当接している。右固定接点部材51および左固定接点部材52の固定接点部53と、可動接点部材33の一対の可動接点部34,35とは、離間している。
接点バネ37は、可動軸31の第二リブ部31cとスライダ32との間に配設される。接点バネ37は、可動軸31の軸本体31aの周囲に巻きつけて配設される。接点バネ37の自然長は、第一リブ部31bと第二リブ部31cとの間隔からスライダ32の長さを引いた長さより長い。つまり、リターンバネ36は、収縮した状態で、可動軸31の第二リブ部31cとスライダ32との間に配設される。これにより、スライダ32は、基本的に、第一リブ部31bに当接している。
可動鉄心部材30がハウジング1の図4で上方向に移動すると、可動軸31は、可動鉄心部材30により押し上げられる。可動軸31がハウジング1の図4で上方向に移動すると、第二リブ部31cも上方へ移動し、接点バネ37の力によってスライダ32および可動鉄心部材30も従動して図4で上方向に移動する。可動接点部材33の一対の可動接点部34,35は、右固定接点部材51および左固定接点部材52の固定接点部53に当接する。このとき、接点バネ37のバネ力により、一対の可動接点部34,35は、一対の固定接点部53と接触する。したがって、可動軸31などの取り付け誤差などがあったとしても、一対の可動接点部34,35と一対の固定接点部53との接触圧力を、所定の圧力にすることができる。
図3に示すように、右固定接点部材51および左固定接点部材52の一端は、上部カバー部43と下部カバー部42との間から前方へ突出する。右固定接点部材51および左固定接点部材52は、屈曲した一端部としての屈曲部54がハウジング1側に屈曲された状態となる向きで配設される。
右固定接点部材51および左固定接点部材52の2つの屈曲部54には、固定接点部材貫通孔あるいは第一の固定接点部材貫通孔および第二の固定接点部材貫通孔としての貫通孔55が1つずつ形成される。各貫通孔55には、真鍮製のボルト56,57が、裏側から挿入される。なお、真鍮製のボルト56,57は、各貫通孔55に圧入されてもよい。貫通孔55に圧入されることで、真鍮製のボルト56,57は、固定される。真鍮製のボルト56,57の替わりにアルミニウム、鉛あるいはそれらを含む合金製のボルトを使用してもよい。これら真鍮製のボルト56,57などは、たとえば鉄製の固定ボルトなどに比べて、同じネジ締め強度で締め付けようとした場合、ボルトの強度を確保するためにはボルトのサイズが大きくなってしまうが、ネジ止めしたときの電気的な抵抗値(接触抵抗値など)が低くなる傾向にある。
右固定接点部材51および左固定接点部材52の2つの屈曲部54とハウジング1の前面部4との間隔L1(図3参照)は、2〜15ミリメートル程度と狭くなっている。また、右固定接点部材51および左固定接点部材52は、図2に示すように、その約3分の1程度の幅L2の分だけ、上部カバー部43と下部カバー部42との間から左右方向へ突出した状態で配設される。その結果、屈曲部54とハウジング1の前面部4との間隔L1が2〜15ミリメートル程度に狭くても、大きい真鍮製のボルト56,57などを、屈曲部54とハウジング1の前面部4との間から斜め方向から貫通孔55へ挿入することが可能である。
図5は、図1の電磁接触器の一部分解右側面図である。電磁接触器は、ヒューズ固定台61を有する。図6は、図1中のヒューズ固定台61を示す分解斜視図である。ヒューズ固定台61は、固定台本体62と、保持板としてのリンクバスバー63と、を有する。
リンクバスバー63は、銅板などの導電性のよいものを長尺な略棒形状に形成したものである。リンクバスバー63は、その長尺方向中央部に、1つのねじ穴64を有する。リンクバスバー63は、その長尺方向両端部に、固定台貫通孔あるいは第一の固定台貫通孔および第二の固定台貫通孔としての2つの貫通孔65,66を有する。
固定台本体62は、フェノール樹脂を略長方形の板形状にモールドしたものである。固定台本体62は、本体部67と、稜部68と、上部突出部としての上部薄肉部69と、3つの貫通孔70,71,72と、を有する。フェノール樹脂は、高い絶縁性を有する。なお、フェノール樹脂の替わりに、ノンアンモニア樹脂を使用してもよい。これにより、高温高湿環境下でもヒューズ固定台61からアンモニアガスが発生しなくなる。
本体部67は、ハウジング1の前面部4より一回り大きい長方形の板形状に形成される。そのため、本体部67の上縁をハウジング1の上面部2と揃えて固定台本体62をハウジング1の前面部4に重ねた場合、本体部67の下端部は、ハウジング1より下方に突出する。
3つの貫通孔70,71,72の中の2つの貫通孔70,71は、本体部67の上下方向の中央部分(あるいは中央部分より若干上方寄りの部分)に形成される。この2つの貫通孔70,71は、固定貫通孔として機能する。2つの貫通孔70,71は、左右方向に並べて形成される。この2つの貫通孔70,71に本体部67の表側から固定ネジ73a,73bを挿入し、その2つの固定ネジ73a,73bを、ハウジング1の前面部4に左右に並べて形成される2つのネジ孔74,75に固定することで、固定台本体62をハウジング1の前面部4の上に固定することができる。この固定状態では、本体部67の上縁がハウジング1の上面部2と略揃う。固定台本体62の下端部は、ハウジング1より下方に突出する。
上部薄肉部69は、本体部67の上縁から上方へ延在するように形成される。したがって、固定台本体62をハウジング1の前面部4の上に固定した状態において、上部薄肉部69は、ハウジング1の上面部2より上方に突出する。上部薄肉部69は、右固定接点部材51および左固定接点部材52の2つの屈曲部54の貫通孔55に挿入される2つの真鍮製のボルト56,57とカバーユニット41との隙間に挿入される。これにより、真鍮製のボルト56,57の頭部は、屈曲部54と上部薄肉部69との間に挟まれる。真鍮製のボルト56,57は、屈曲部54の貫通孔55から脱落しなくなるとともにハウジング1への接触が防止される。
固定台本体62の残りの1つの貫通孔72は、本体部67の下端部の中央に形成される。この貫通孔72は、下部貫通孔として機能する。この貫通孔72に、本体部67の裏側から固定ネジ76を挿入し、その固定ネジ76を、リンクバスバー63のネジ穴64に固定する。これにより、リンクバスバー63は、固定台本体62の下端部に強固に固定される。また、固定ネジ76は、ハウジング1から下方に突出する部位に取り付けられるので、固定ネジ76とハウジング1とが接触しない。
本体部67の下端部には、リンクバスバー63の2つの貫通孔65,66と重なる部位が薄肉に形成される。以下、この部位を下部薄肉部77とよぶ。下部薄肉部77は、薄肉部および下部突出部として機能する。そして、リンクバスバー63を本体部67に固定ネジ76で固定する前に、リンクバスバー63の2つの貫通孔65,66に、リンクバスバー63の裏側から2つの真鍮製のボルト78,79を挿入する。なお、2つの真鍮製のボルト78,79は、2つの貫通孔65,66に圧入されてもよい。貫通孔65,66に圧入されることで、2つの真鍮製のボルト78,79は、固定される。これにより、真鍮製のボルト78,79の頭部は、リンクバスバー63と下部薄肉部77との間に挟まれる。真鍮製のボルト78,79は、リンクバスバー63の貫通孔65,66から脱落しなくなる。
稜部68は、左右に並べて形成される2つの貫通孔70,71の間において、固定台本体62の下端部に隣接する部位から、上部薄肉部69に隣接する部位までに渡って形成される。稜部68は、左右に並べて形成される2つの貫通孔70,71に挟まれるようにその間を通過する。また、稜部68の下端は、リンクバスバー63の側面に当接する。
このように、ハウジング1の前面部4にヒューズ固定台61を固定すると、電磁接触器の前方には、4つの真鍮製のボルト56,57,78,79が突出する。4つの真鍮製のボルト56,57,78,79は、固定台本体62によって挟まれることで、ナットがはめられていなくてもそれぞれの貫通孔55,55,65,66から抜け落ちてしまうことはない。これにより、電磁接触器の固定姿勢にかかわらず、4つの真鍮製のボルト56,57,78,79にナットを容易にはめることができる。特に、4つの真鍮製のボルト56,57,78,79をそれぞれの貫通孔に圧入することで、ボルト56,57,78,79が回転し難くなるので、さらに容易にナットをはめることができる。
以下、図1において右上となる真鍮製のボルト56を第一ボルトと呼び、図1において右下となる真鍮製のボルト78を第二ボルトと呼び、図1において左上となる真鍮製のボルト57を第三ボルトと呼び、図1において左下となる真鍮製のボルト79を第四ボルトと呼ぶ。
電磁接触器には、ヒューズ81が固定できる。図7は、図1中のヒューズ81を示す正面図である。ヒューズ81は、ヒューズ本体82と、一対の端子部83,84と、図示外の溶断部材と、を有する。ヒューズ本体82は、絶縁性の樹脂材料を固めたものである。一対の端子部83,84は、ヒューズ本体82の図7で上下方向両端から突出する。溶断部材は、ヒューズ本体82の内部において、一対の端子部83,84を電気的に接続する。溶断部材は、それに流れる電流が所定の電流値以上になると、その所定の電流値以上の過電流に伴う発熱によって溶断する。溶断部材が溶断すると、一対の端子部83,84は、電気的に切断され、一対の端子部83,84の間には電流が流れなくなる。一対の端子部83,84は、一対の切り込み部85,86を有する。なお、一対の切り込み部85,86の替わりに、一対の端子部83,84に一対の貫通孔を形成してもよい。
ヒューズ81は、ヒューズ本体82が第一ボルト56と第二ボルト78との間、あるいは、第三ボルト57と第四ボルト79との間に配設される。たとえば、図1に示すように第三ボルト57と第四ボルト79との間にヒューズ本体82が位置する場合、ヒューズ81の一対の端子部83,84の一対の切り込み部85,86には、第三ボルト57および第四ボルト79が挿入される。その状態で、第三ボルト57および第四ボルト79にナット90を嵌め、そのナット90を締め付けることで、電磁接触器の前側において、ヒューズ固定台61の上に、ヒューズ81が固定される。
したがって、この電磁接触器では、右固定接点部材51がプラス側に指定され、左固定接点部材52がプラス側に指定されているが、そのプラス側あるいはマイナス側のいずれにもヒューズ81を接続することができる。
しかも、ヒューズ81を電磁開閉装置のプラス側あるいはマイナス側に取り付けた場合、他方側となる残りの固定孔は、ヒューズ81が取り付けられていない、空いた状態になる。図1では、右固定接点部材51の貫通孔55と、リンクバスバー63の右側の貫通孔65には、第一ボルト56と第二ボルト78が挿入されているが、ナット90が取り付けられていない状態となっている。そして、この貫通孔55,56を用いて、電磁開閉装置に使用する回路の配線を接続することができる。このように残りの貫通孔に回路の配線を接続することで、ヒューズ81と配線とを別々に電磁開閉装置に接続することができる。その結果、ヒューズ81を交換する際に、配線が電磁開閉装置から外れてしまうことがなくなる。なお、たとえばヒューズ81と配線とを同一の貫通孔で固定している場合においては、ヒューズ交換の際に電磁開閉装置から配線が外れ、その配線が電磁開閉装置の周囲のボディなどに接触してしまう恐れなどがある。
ところで、第二ボルト78あるいは第四ボルト79にナット90を締め付ける際に、それらに加わる力が、リンクバスバー63を回転させる力として作用する場合がある。リンクバスバー63は、上述したように、その中央部の1点において固定ネジ76を用いて固定台本体62の本体部67にネジ止めされている。しかしながら、リンクバスバー63には、固定台本体62の稜部68が当接している。この稜部68は、固定台本体62をハウジング1に固定する2つの貫通孔70,71の間を通過するように形成されている。したがって、リンクバスバー63に対してそれを回転させるような力が加わったとしても、稜部68によってリンクバスバー63の回転が抑止されるので、リンクバスバー63が回転してしまうことはない。
また、固定台本体62の稜部68が形成される部位は、その稜部68の厚みによって十分な強度に形成され、且つ、稜部68はその左右両側においてハウジング1の前面部4にネジ止めされている。したがって、リンクバスバー63を回転させようとする力によって、固定台本体62は、撓んだり、ゆがんだりしてしまうことはない。
その結果、第二ボルト78あるいは第四ボルト79にナット90を硬く締め付けることができる。固定台本体62の全体が比較的薄い板形状に形成されているにもかかわらず、第二ボルト78あるいは第四ボルト79に対してナット90を硬く締め付けることができる。ヒューズ81は、しっかりと固定される。
このように稜部68によってリンクバスバー63の回転を抑止することで、固定台本体62の本体部67のヒューズ取り付け面を薄くすることができる。本体部67のヒューズ取り付け面は、たとえば4から8ミリメートル程度の薄さで形成することができる。その結果、ヒューズ81のヒューズ本体82とハウジング1の前面部4との間には固定台本体62の本体部67が配設されることになるが、たとえば本体部67の全体を稜部68が形成されている部位と同じ厚みに形成する場合に比べて、ハウジング1の一対の固定脚部8,9からヒューズ81の前面までの高さは、低く抑えられている。また、稜部68は、図1で左右の電導部を絶縁する機能を有している。
ところで、図1においては、ヒューズ81は、第三ボルト57と第四ボルト79との間に配設されている。図8は、図1に示す電磁接触器およびヒューズ81により構成される電気回路を示す回路図である。図8に示すように、右固定接点部材51の一端は、第一ボルト56に接続される。図8において、第一ボルト56は、プラス側と表記されている。右固定接点部材51の固定接点部53は、左固定接点部材52の固定接点部53とともに、可動接点部材33の一対の可動接点部34,35と離間している。左固定接点部材52の屈曲部54は、第三ボルト57を介してヒューズ81の一端に接続される。ヒューズ81の他端は、第四ボルト79およびリンクバスバー63を介して第二ボルト78に接続される。
コネクタ24から電磁コイル21に通電をすると、電磁コイル21に磁界が発生する。可動鉄心部材30は、この磁界による力で、リターンバネ36の力に抗して、ハウジング1の図4で上方に移動する。可動鉄心部材30がハウジング1の上方に移動すると、可動接点部材33の一対の可動接点部34,35は、右固定接点部材51および左固定接点部材52の固定接点部53に当接する。これにより、第一ボルト56と第二ボルト78は、右固定接点部材51、可動接点部材33、左固定接点部材52、ヒューズ81およびリンクバスバー63を介して電気的に接続される。
また、コネクタ24から電磁コイル21への通電を止めると、電磁コイル21による磁界が消失する。可動鉄心部材30は、リターンバネ36の力により、ハウジング1の図4で下方に移動する。可動鉄心部材30がハウジング1の下方に移動すると、可動接点部材33の一対の可動接点部34,35は、右固定接点部材51および左固定接点部材52の固定接点部53から離間する。これにより、第一ボルト56と第二ボルト78は、電気的に切り離される。
図9は、図1の電磁接触器を使用する制御回路を示す図である。この制御回路は、フォークリフト、電気自動車、電動自転車(電動アシスト自転車)、電車などの車両において、車輪を駆動するための駆動系で使用される制御回路の一例である。
制御回路は、バッテリ101、第一接触器102、第一ヒューズ103、補助接触器104、第二ヒューズとなる補助ヒューズ105、抵抗素子106、キャパシタ107、インバータ108、第三接触器109、第三ヒューズ110、およびモータ111を有する。モータ111は、インバータ108から供給される直流電力により回転し、車輪を回転させる駆動力を発生する。モータ111は、それに供給される電力が大きくなると、より大きな駆動力を発生する。
バッテリ101のプラス端子には、第一接触器102および補助接触器104が接続される。第一接触器102は、第一ヒューズ103に接続される。補助接触器104は、補助ヒューズ105を介して抵抗素子106に接続される。第一接触器102および抵抗素子106は、インバータ108とキャパシタ107との並列回路に接続される。インバータ108とキャパシタ107との並列回路は、第三接触器109に接続される。第三接触器109は、第三ヒューズ110に接続される。第三ヒューズ110は、バッテリ101のマイナス端子に接続される。
なお、図9においては、各ヒューズは、各接触器のマイナス側に接続されている。各ヒューズは、各接触器のプラス側に接続されることもある。ヒューズを接触器のプラス側に接続するか、あるいは、マイナス側に接続するかは、たとえば制御回路をアースするか否か、制御回路のどの配線区間においてアースをするかなどに応じて変化する。また、アースする配線区間に対する接触器の配置などに応じて、1つの制御回路において接触器のプラス側にヒューズを接続するものと、接触器のマイナス側にヒューズを接続するものとが混在する場合もある。
図9に示す制御回路は、たとえば図示外のイグニッションユニットから起動信号が出力されると、第一接触器102を開き、補助接触器104を閉じる。これにより、バッテリ101が抵抗素子106とキャパシタ107との直列回路に接続される。キャパシタ107は、抵抗素子106とキャパシタ107との直列回路の時定数にしたがって充電される。キャパシタ107が充電されると、第一接触器102を閉じるとともに補助接触器104を開く。これにより、バッテリ101は、第一接触器102および第三接触器109によりインバータ108に接続される。
図示外のアクセルユニットから加速信号が出力されると、インバータ108は、その加速信号に大きさに応じた電力をモータ111に供給する。モータ111は、供給される電力により回転する。これにより、車輪が回転し、車両が移動する。
また、以上の制御の最中に制御回路内に過剰な電流が流れると、第一ヒューズ103、補助ヒューズ105あるいは第三ヒューズ110が溶断する。第一ヒューズ103、補助ヒューズ105あるいは第三ヒューズ110が溶断すると、バッテリ101は、インバータ108から切り離される。これにより、制御回路内に過剰な電流が流れ続けてしまうことを防止することができる。
このような制御回路において、図1の電磁接触器およびそれに取り付けられたヒューズ81は、第一接触器102および第一ヒューズ103として使用することができる。図1の電磁接触器およびそれに取り付けられたヒューズ81は、補助接触器104および補助ヒューズ105としても使用することができる。図1の電磁接触器およびそれに取り付けられたヒューズ81は、さらに第三接触器109および第三ヒューズ110として使用することができる。
たとえば、ヒューズ81が取り付けられた図1の電磁接触器の第一ボルト56をバッテリ101に接続し、且つ、電磁接触器の第二ボルト78をキャパシタ107とインバータ108との並列回路に接続することで、そのヒューズ81が取り付けられた図1の電磁接触器を、第一接触器102および第一ヒューズ103として使用することができる。
このように図1の電磁接触器を使用することで、たとえば第一接触器102と第一ヒューズ103とを基板上に並べて配設する場合に比べて、第一接触器102および第一ヒューズ103による占有面積を小さくすることができる。よって制御回路の小型化を図ることができる。特に、ヒューズ81が取り付けられた図1の電磁接触器を3組用意し、それらを、第一接触器102および第一ヒューズ103、補助接触器104および補助ヒューズ105、並びに、第三接触器109および第三ヒューズ110として使用することで、制御回路の大幅な小型化を図ることができる。
また、屈曲部54とリンクバスバー63の各前面は、同一平面となるように配置されている。したがって、一対の端子部83,84が両端から突出する一般的な形状のヒューズ81を、屈曲部54の貫通孔55とリンクバスバー63の貫通孔65,66で固定することができる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。たとえば上述の実施の形態では、ヒューズ81を取り付けた例を示したが、ヒューズ81が取り付けられていない状態の電磁接触器としてもよい。
また、上記実施の形態では、電磁接触器に、ヒューズ固定台61を固定している。この他にもたとえば、モータの自動運転中にモータが過負荷となったときにモータへの通電を停止するためなどに用いられる電磁開閉器に、ヒューズ固定台61を固定するようにしてもよい。
上記実施の形態では、固定台本体62にリンクバスバー63を固定し、このリンクバスバー63に、真鍮製のボルト78,79を挿入する貫通孔65,66を開設している。この他にもたとえば、固定台本体62の下端部に貫通孔65,66を開設するようにしてもよい。
上記実施の形態では、右固定接点部材51のハウジング1から露出する部位は、屈曲部54として形成されている。また、左固定接点部材52のハウジング1から露出する部位は、屈曲部54として形成されている。この他にもたとえば、これらの部位は、真直ぐに形成されていてもよい。その場合、たとえば、ヒューズ81の一方の端子部83が屈曲部54のように曲げられて両固定接点部材51,52の一方に取り付けられることになる。