JP2006079535A - 送り装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 送り制御系のゲインや回転機構の回転周波数での送り制御系の発振なしに、安定且つ高精度の送りを行なう送り装置を提供する。
【解決手段】 回転機構30の回転情報をもとに、動特性可変手段31により、送り装置の一次固有振動数が、回転機構30の回転周波数とその高次周波数に一致しないように設定し、その固有周波数とQ値データを送り制御手段32の可変ノッチフィルタ40a、40bに設定し、その固有振動数から得たその時の摩擦トルク情報信号が、送りモータ7のトルク信号に等価外乱信号として印加され、摩擦トルクの増加に伴う位置誤差の発生なしに、回転駆動による送り装置の振動励起を回避して、変更された固有振動数とQ値に対しては、固有振動数でのピークゲインを抑制し、送り制御手段32と並進制御手段60を、発振させずに安定に動作させ、安定且つ高精度の送り動作を行なうことが可能になる。
【選択図】 図1
Description
このような直線運動用案内装置で高精度の位置決めを行なう場合、直線運動案内機構や回転駆動機構に与圧を与えることにより、転動体と転動体転走溝間の隙間を0にし、剛性を高めることにより、転動体に荷重に対する弾性変位量を小さくすることが行なわれている。また、光ディスク原盤露光用のスライドテーブル装置などでは、静圧軸受を介してテーブルを進退自在にしたエアスライド式のスライドテーブルテーブルが使用されている。この場合、テーブルの駆動には、ボイスコイル型のリニアモータが一般的に使用され、位置検出器としては、干渉レーザや測長器やリニアスケールを使用した閉ループ制御方式の検出器が使用されている。
さらに、半導体検査装置などで静止状態が必要な場合や、移動体に回転機構を搭載する送り装置では、送り方向の剛性を必要とするため、テーブルの駆動にボールネジや摩擦駆動方式が用いられる。
さらに、移動体の質量と駆動軸を支持する軸受の剛性で決定される低周波領域に生じる装置の一次固有振動数や、ボールネジなどの縦横モードの固有振動数によって、送り制御系のループゲインの増加が不能になる事態を回避することも行なわれている。
を有することを特徴とするものである。
このような状態で、伸縮検出手段によって、伸縮支持手段の伸縮情報が検出され、位置検出手段によって移動体の移送位置が検出され、動特性変更手段によって、回転機構からの回転情報と伸縮検出手段からの伸縮情報に基づいて、与圧軸受に印加する与圧が調整され送り装置の動特性が変更される。
一方、摩擦トルク記憶手段には、伸縮支持手段と動特性変更手段の動作状態下での移動体の各移送位置における摩擦トルク情報が記憶されている。
さらに、並進送り制御手段では、送り制御手段からの位置偏差信号に基づいて、位置検出手段の位置検出情報が制御される。
このようにして、与圧軸受などに起因する弾性挙動領域が、伸縮支持手段の並進動作によって吸収され、送り制御手段が振動的な挙動を起こしても、ノッチフィルタを備えた並進送り制御手段が直ちに作動して、移動体が振動的挙動を起こさないような送り制御を行なうことが可能になり、また、回転機構の回転周波数及びその高次周波数との共振を避けて送り制御を行なうことが可能になり、回転機構が搭載された移動体の送り制御を安定に且つ高精度で行なうことが可能になる。
図1は本発明の第1の実施の形態の構成を示す説明図、図2は同実施の形態の送り制御手段及び並進制御手段の構成を示す説明図、図3は同実施の形態のノッチフィルタの構成を示す回路図、図4は同実施の形態の一次固有振動数と与圧量との関係を示す特性図、図5は同実施の形態の伸縮量と与圧量との関係を示す特性図、図6は同実施の形態の与圧量と摩擦トルクの関係を示す特性図、図7は同実施の形態の移動体位置と摩擦トルクの関係を示す特性図、図8は同実施の形態の低与圧条件下のゲインと周波数間の特性図、図9は同実施の形態の高与圧条件下のゲインと周波数間の特性図、図10は同実施の形態のノッチフィルタの伝達関数の特性図である。
移動体13の上面にはターンテーブル19が配設されており、このターンテーブル19には、外部からの圧縮空気によってラジアル、スラスト方向に静圧浮上するエアスピンドル22が取り付けられ、このエアスピンドル22には、回転駆動モータ21を介して、光学式のロータリーエンコーダ20が取り付けられており、このロータリーエンコーダ20は、1回転の360°を数1000等分した位置で出力されるA相パルス、B相パルスと、1回転の360°ごとに出力されるZ相パルスとにより、ターンテーブル19の回転情報を取得する。
そして、ターンテーブル19、エアスピンドル22、回転駆動モータ21及びロータリーエンコーダ20が回転機構30を構成し、外部から回転駆動モータ21に通電信号が入力されると、回転機構30は回転動作状態となる。
また、移動体13の図1(a)における右側端部からは、一体に突出部13aが突出形成されており、突出部13aの下部には、駆動軸1が挿通嵌合される嵌合部材23が固定されている。駆動軸1の外周面には、ボールネジなどのネジが刻設されており、嵌合部材23の駆動軸1が挿通嵌合される嵌合孔の内周面には、駆動軸1のネジと螺合する螺合溝が刻設されている。
また、貫通孔の嵌合部材23から離れる方向の端部近傍位置には、第2の段付部が形成されており、この第2の段付部において、駆動軸1を回転駆動する送りモータ7が、駆動軸1の端部にオルダム式カップリング6により連結され、送りモータ7は、取付板9を介して、支持体10に固定されている。この送りモータ7にはロータリエンコーダ8が固定されており、ロータリーエンコーダ8は、1回転の360°を数1000等分した位置で出力されるA相パルス、B相パルスと、1回転の360°ごとに出力されるZ相パルスとにより、ターンテーブル19の回転情報を取得する。
さらに、転動体2a、2bを含む軸受16a、16bの外輪は、駆動体1の軸線方向に伸縮する圧電素子などの与圧調整伸縮部5を介して、送りモータ7が固定される取付板9に固定され、与圧調整手段29からの電気信号により、与圧調整伸縮部5が作動して、軸受16a、16bに与圧が設定され、軸受16a、16bの軸受間隙が0になる。
このようにして、送りモータ7への通電信号の入力により駆動軸1が回転し、駆動軸1の回転によって、嵌合部材23を介して移動体13が軸線方向に移送され、また、伸縮部67に駆動信号が入力されると、駆動軸1が軸線方向に並進移動する。
切換器63の出力端子は、安定化条件を設定する補償器64の入力端子に接続され、補償器64の出力信号には、ゲイン回路66で位置サーボループのゲインKcが設定される。ゲイン回路66の出力信号は、送り制御手段32の可変ノッチフィルタ40aと同一設定条件のノッチフィルタ40bを介して、駆動アンプ66に入力され、駆動アンプ66の出力信号によって伸縮部67が駆動される。
そして、摩擦トルク記憶手段55の出力信号は、図2に示すように、送り制御手段32の駆動アンプ48の前段の信号加合回路RA1に、等価摩擦トルク外乱として入力される。
特性制御回路28では、必要特性演算部27で、図4に示すように、例えば固有周波数f2が演算されると、対応する与圧量W2を出力する。
与圧量と与圧調整伸縮部5の伸縮量の関係は、図5に示すようになり、軸受16a、16bの軸受間隙を0にする与圧をWoとすると、この時、軸受16a、16bは、駆動軸1の軸線に互いに逆方向にδo変形している。
この状態から、与圧調整手段29の出力信号により、与圧調整伸縮部5がX1まで伸長長すると、与圧量はW1になり、特性制御回路28から与圧量W2が与えられると、与圧調整手段29では伸縮量X2を決定して与圧調整伸縮部5に入力する。
この場合、可変ノッチフィルタ40a、40bの伝達関数と、ノッチ周波数とQ値の間には、ノッチ周波数foをfo=1/(2πRC)、ポルテージフォロワの利得をKとし、Q=1/[4(1−R)]、R=R1=R2=2・R3、C=C1=C2=C3/2として、〔数2〕で表される関係がある。
このようにして、予め設定された回転機構30の回転情報をもとに、動特性可変手段31により、送り装置の一次固有振動数が、回転機構30の回転周波数と、その高次周波数に一致しないように設定を行い、その固有周波数とQ値データを送り制御手段32の可変ノッチフィルタ40a、40bに設定し、且つその固有振動数から得たその時の摩擦トルク情報信号が、信号加合回路RA1に等価外乱信号として印加される。
このために、摩擦トルクの増加に伴う位置誤差を生じることなく、回転駆動による送り装置の振動励起が回避されると共に、変更された固有振動数とQ値に対応して、固有振動数でのピークゲインを抑制でき、送り制御手段32と並進制御手段60を安定に動作させて、高精度の送り動作を行なうことが可能になる。
本発明の第2の実施の形態を、図11を参照して説明する。
図11は本実施の形態の構成を示す説明図である。
本実施の形態のその他の部分の構成は、すでに説明した第1の実施の形態と同一なので、重複する説明は行なわない。
本実施の形態では、各移送位置において、支持部58と動特性変更手段31を作動させて測定した摩擦トルク情報が、摩擦トルク記憶手段55に記憶されるので、案内機構と駆動軸1の真直度があまり良くない場合でも、安定且つ高精度の送り制御が行なわれる。
本実施の形態の他の動作は、すでに説明した第1の実施の形態と同一なので、重複する説明は行なわない。
本発明の第3の実施の形態を、図12を参照して説明する。
図12は本実施の形態のノッチフィルタの構成を示す回路図である。
本実施の形態のその他の部分の構成は、すでに説明した第1の実施の形態、または第2の実施の形態と同一なので、重複する説明は行なわない。
本発明の第4の実施の形態を、図13を参照して説明する。
図13は本実施の形態のノッチフィルタの構成を示す回路図である。
本実施の形態のその他の部分の構成は、すでに説明した第3の実施の形態と同一なので、重複する説明は行なわない。
本実施の形態のその他の動作は、すでに説明した第3の実施の形態と同一なので、重複する説明は行なわない。
本発明の第5の実施の形態を、図14及び図15を参照して説明する。
図14は本実施の形態の構成を示す説明図、図15は本実施の形態の回転機構の回転周波数情報検出手段の構成を示すブロック図である。
振れ量検出手段39からの検出信号は、図15に示すように、基本波が正弦波であり、所定の信号レベルをスレッシュホールドとする比較器56で、基本レベルの選定をした後に、単位時間周期のカウントパルスで、計数動作を行なうカウンタ回路57で計数し、得られる周波数情報が、必要特性演算部27に入力される。
本発明の第6の実施の形態を、図16及び図17を参照して説明する。
ここでは、回転機構30の回転数情報は、図17に示すように、ロータリーエンコーダ20からのA相パルス信号で、この回転数情報は、 単位時間周期のカウントパルスで、計数動作を行なうカウンタ回路57で計数され、得られる周波数情報が、必要特性演算部27に入力される。
回転機構30が数1000rpm〜数10000rpmの高速回転の場合には、回転周波数が送り装置の一次固有周波数と同等レベルとなり、図3及び図4に示した特性の可変領域が狭いと、第1の実施の形態ないし第5の実施の形態の何れかの実施の形態では、共振が避けられず正常送り制御ができないことがある。
しかし、本実施の形態では、軸受12a、12b、16a、16bの与圧を利用することにより、動作周波数領域を拡大して、高回転周波数に適確に対応して、安定且つ高精度の送り制御が行なわれる。
2a〜2d 転動体
4 軸受止め
7 送りモータ
8 ロータリーエンコーダ
10、11 支持体
13 移動体
15 位置検出器
16a、16b 軸受
19 ターンテーブル
20 ロータリーエンコーダ
21 回転駆動モータ
23 嵌合部材
32 送り制御手段
58 支持部
60 並進制御手段
67 伸縮部
Claims (13)
- 移動体に回転機構が搭載され、送り指令信号によって、前記移動体の送り動作が行なわれる送り装置であり、
前記移動体の一端側に設けた送りモータで駆動され、前記移動体を長手軸線方向に移送する駆動軸と、
前記駆動軸の前記一端側を、与圧調整自在な与圧軸受を介して、前記長手軸線を中心に回動自在に保持する与圧支持手段と、
該駆動軸の他端側に設けられ、前記駆動軸を、前記長手軸線を中心に回動自在に且つ前記長手軸線方向に伸縮自在に保持する伸縮支持手段と、
該伸縮支持手段の伸縮情報を検出する伸縮検出手段と、
前記移動体の移送位置を検出する位置検出手段と、
前記回転機構からの回転情報と、前記伸縮検出手段からの伸縮情報に基づき、前記与圧軸受に印加する与圧を調整することにより、前記送り装置の動特性を変更する動特性変更手段と、
前記伸縮支持手段と前記動特性変更手段の動作状態下での前記移動体の各移送位置における摩擦トルク情報を記憶する摩擦トルク記憶手段と、
該摩擦トルク記憶手段からの摩擦トルク信号が、等価外乱として前記送りモータのトルク信号に加算され、前記動特性変更手段の変更情報に基づき、ノッチ周波数及びQ値を可変設定するノッチフィルタを備え、前記位置検出手段からの位置情報によって、前記送り指令信号に対する帰還制御を行なう送り制御手段と、
該送り制御手段からの位置偏差信号に基づいて、前記位置検出手段の位置検出情報を制御する並進送り制御手段と
を有することを特徴とする送り装置。 - 並進送り制御手段には、予め設定された基準信号と送り制御手段からの偏差信号とを比較する比較器と、該比較器により前記偏差信号に所定値以上の偏差があると判定されると、前記並進送り制御手段の動作を停止する停止手段とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の送り装置。
- 停止手段が切換スイッチであることを特徴とする請求項2記載の送り装置。
- 駆動軸が、軸受の剛性と前記駆動軸の長手軸線方向の剛性との和剛性、及び移動体の質量で定まる一次共振周波数を持つ並進二次系として、回転駆動要素及び並進駆動要素として取り扱われ、前記駆動軸は、該駆動軸に軸受を介して同心状に設けられた伸縮部を介して、前記長手軸線方向に伸縮する構成であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の送り装置。
- 摩擦トルク記憶手段が、伸縮検出手段の伸縮情報と動特性変更手段の与圧情報、或いは固有振動数情報に基づいて、予め設定した移動体の各移送位置において、伸縮支持手段と前記動特性変更手段の作動状態下で計測した摩擦トルク情報の平均摩擦トルク情報を記憶することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の送り装置。
- 摩擦トルク記憶手段が、伸縮検出手段の伸縮情報と動特性変更手段の与圧情報、或いは固有振動数情報と位置検出手段の位置情報に基づいて、予め設定した移動体の各移送位置において、伸縮支持手段と前記動特性変更手段を作動させて計測した摩擦トルク情報を記憶することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の送り装置。
- 送り制御手段と並進送り制御手段の可変ノッチフィルタは、ノッチ周波数及びQ値を決定する多回転型可変抵抗と、該多回転型可変抵抗の抵抗値を変更する回転モータとから構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の送り装置。
- 送り制御手段と並進送り制御手段の可変ノッチフィルタは、ノッチ周波数及びQ値を決定する複数の抵抗と、これらの抵抗の組合せを変更して、ノッチ周波数とQ値を切換える切換手段から構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れかに記載の送り装置。
- 切換手段には、回転機構の現在回転数に基づいて、切換駆動信号が読み出されるROMが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れかに記載の送り装置。
- 動特性変更手段が、与圧調整により設定される送り装置の固有振動数foが、回転機構の回転周波数及びその高次周波数と一致しないように前記送り装置の動特性を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項9の何れかに記載の送り装置。
- 動特性変更手段による与圧支持手段での与圧調整により、伸縮支持手段での与圧調整をも行なう与圧伝達手段が、前記与圧支持手段と前記伸縮支持手段間に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れかに記載の送り装置。
- 回転機構の駆動軸方向の振れを検出する振れ量検出手段と、駆動軸の与圧支持手段側の変位量を検出する軸変位検出手段とがさらに設けられ、動特性変更手段が、与圧調整により設定される送り装置の固有振動数foが、回転機構の回転周波数及びその高次周波数と一致しないように前記送り装置の動特性を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れかに記載の送り装置。
- 動特性変更手段が印加する与圧を、基準値よりも高めに設定する与圧調整手段がさらに設けられ、動特性変更手段は、外力に対する減衰性を高め、整定時間を短縮して動特性変更を行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項12の何れかに記載の送り装置。
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