JP2006078670A - 光学補償シートおよびその製造方法 - Google Patents

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クリスティアン ルスリム
Naoyuki Nishikawa
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Abstract

【課題】 透明支持体上に、ディスコティック液晶分子を偏光紫外線照射することにより重合反応させた、Re/Rthがゼロでない光学異方性層を有する光学補償シートの二軸性および安定性を改善する。
【解決手段】 Re/Rthがゼロでない光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートにおいて、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性分子と複数の重合性基を有する化合物との重合反応により光学異方性層を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透明支持体上に三方向の屈折率主値が異なる光学異方性層を有する光学補償シート、およびその製造方法に関する。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子および光学補償シート(位相差板)からなる。透過型液晶表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り付け、少なくとも一枚の光学補償シートを液晶セルと偏光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、少なくとも一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光素子の順に配置する。液晶セルは、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸ポリマーフイルムが従来から使用されていた。そのような延伸ポリマーフイルムとして、延伸することにより正の複屈折率性を示す屈折率異方体を形成するポリマーフイルムを二軸延伸することを特徴とする光学的二軸性を有するポリマーフイルムによる光学補償板の製造方法が開示され、ホメオトロピック配向させた棒状液晶性分子を含む液晶セル(例えば、前記VAモードの液晶セル)を光学的に補償するために特に有効に用いられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、液晶表示装置の視野角を拡大するための光学補償シートとして、前記の延伸フイルムを用いる場合、延伸ポリマーフイルムの遅相軸を偏光膜の透過軸と平行に配置する必要がある。偏光膜と延伸ポリマーフイルムとを連続的に貼り合わせるためには、フイルム(通常はロール状)の幅方向に延伸しなければならない。フイルムを幅方向に連続して延伸すると、ボウイング(面内の遅相軸の扇状のばらつき)が起こりやすい。
延伸ポリマーフイルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性分子には、多様な配向形態がある。液晶性分子を用いることで、従来の延伸ポリマーフイルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。光学補償シートの液晶性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が用いられている。棒状液晶性分子は、三方向の屈折率主値のうち二方向(分子の長軸に垂直な方向)の屈折率主値が実質的に同一で、残り一方向(分子の長軸方向)の屈折率主値がそれよりも大きい、正の光学的一軸性を有する液晶性分子である。ディスコティック液晶性分子は、三方向の屈折率主値のうち二方向(円盤面内の方向)の屈折率主値が実質的に同一で、残り一方向(円盤面の法線方向)の屈折率主値がそれよりも小さい、負の光学的一軸性を有する液晶性分子である。したがって、液晶分子から光学異方性層を形成する従来の方法では、光学二軸性を有する光学補償シート製造することは一般に難しい。
光学的二軸性を有する光学補償シートを液晶分子からなる光学的異方性層の形成を用いて製造する方法として、透明基板上に偏光を照射する前と後で光学異方性層の面内の屈折率が実質的に変化するディスコティック液晶分子を塗布し、5°未満の平均傾斜角で配向させ、偏光を照射することにより光学的二軸性を有する光学補償シートを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、複数の重合性基を有するトリフェニレン系ディスコティック液晶分子を透明基板上に塗布し、該ディスコティック液晶分子を5°未満の平均傾斜角で配向させた後に非偏光紫外線照射により重合反応を行い、続けて偏光紫外線照射により液晶分子からなる光学異方性層に二軸性を付与する方法が開示されている。また、偏光紫外線の照射により重合反応と二軸性の発現を同時に行う方法も言及されている。
特開平2−264905号公報 特開2002−6138号公報
本発明者が、特開2002−6138号公報に記載されている光学的二軸性を有する光学補償シートの製造方法について検討を進めた。しかし、製造的適性を考慮すると、一度の紫外線照射で光学的二軸性を有する光学補償シートを製造できる方法(偏光紫外線の照射により重合反応と二軸性の発現を同時に行う方法)が好ましい実施形態である。しかし、一度の紫外線照射で光学的二軸性を有する光学補償シートを製造するためには、二軸性の発現と得られた光学補償フイルムの安定性について、さらに改良が必要であることが判明した。
本発明の目的は、透明支持体上に、ディスコティック液晶分子を偏光紫外線照射することにより重合反応させた三方向の屈折率主値が異なる光学異方性層を有する光学補償シートにおいて、製造適性が優れ、かつその二軸性、および安定性が改善された光学補償シートとその製造法を提供することである。
上記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
(1)三方向の屈折率主値が異なる光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートであって、光学異方性層が少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性分子と複数の重合性基を有する化合物との重合反応により形成された層であることを特徴とする光学補償シート。
(2)ディスコティック液晶性分子が、円盤状核としてトリフェニレン核を有し、重合性基、ベンゼン環およびベンゼン環と共役する二重結合を含む一価の基を円盤状核の置換基として有する(1)に記載の光学補償シート。
(3)ディスコティック液晶性分子が下記式(I)で表される(2)に記載の光学補償シート:
Figure 2006078670
[式中、A1 は、CX1 またはNであって、X1 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基または炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基であり;A2 は、CX2 またはNであって、X2 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基または炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基であるか、あるいは、Yと結合して5員環または6員環を形成し;Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が1乃至12のアルキルアミノ基または炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基であるか、あるいは、X2 と結合して、5員環または6員環を形成し;Zは、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が1乃至12のアルキルアミノ基または炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基であり;L1 は、−O−、−CO−、−S−、−NH−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であり;L2 は、単結合または1,4−フェニレンであり;Qは、重合性基であり;aは、1、2、3または4であり;そして、bは、0、1、2または3である]。
(4)複数の重合性基を有する化合物が、多価アルコールと不飽和脂肪酸とのエステルである(1)に記載の光学補償シート。
(5)ディスコティック液晶性分子が、5゜未満の平均傾斜角で配向している(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の光学補償シート。
(6)透明支持体上に配向膜を形成する工程、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性分子と重合性基を複数有する化合物とを含む液晶組成物の塗布液を配向膜上に塗布する工程、液晶性分子を5゜未満の平均傾斜角で配向させる工程、そして偏光を照射して三方向の屈折率主値が異なる光学二軸性の発現とディスコティック液晶性分子と重合性基を複数有する化合物との重合反応を同時に行う工程をこの順序で実施することを特徴とする三方向の屈折率主値が異なる光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートの製造方法。
(7)偏光が、200乃至400nmの波長を有する紫外線である(6)に記載の製造方法。
本発明者は、研究の結果、重合性基を複数有する化合物を光学的に一軸性であるディスコティック液晶性分子を主成分とする光学的異方性層に添加することで、偏光照射により、光学的二軸性の達成と光学異方性層の重合反応を高効率で同時に実施することができることを特徴とする光学補償シートの製造に成功した。光学的異方性層の偏光照射によって、偏光方向に向いているディスコティック液晶性分子の感光性官能基(例えば、ベンゼン環およびベンゼン環と共役する二重結合を含む一価の基)が選択的に光反応する。光反応したディスコティック液晶性分子は、偏光方向において反応前よりも屈折率が低くなり、光学異方性層を光学的二軸性に変換できる。また、重合性基を複数有する化合物の添加によって、光重合反応が高効率で進行し、同時に光学異方性層の二軸性を増大することができる。さらに、前記の重合性基を複数有する化合物は架橋剤としても機能することから光学的異方性層の液晶配向を安定に固定化できる。従って、紫外線照射工程が一回に短縮され、かつ二軸性、および安定性が向上した光学的二軸性補償シートを得ることができる。
光学的二軸性光学補償シートは、様々な液晶表示装置に用いることができる。例えば、三方向の屈折率主値のうち最小の値を示す方向が透明支持体の法線と実質的に平行となるように液晶性分子が配向させることで、液晶セルに有効な光学補償シートが得られる。さらに、非常に生産性の高い光学補償シートを得ることもできる。配向膜のラビング処理は、ロール状の透明支持体の長手方向に対して実施することが最も容易である。そして、光学異方性層の面内の遅相軸がロール状の光学補償シートの幅方向に存在していれば、偏光膜と光学補償シートとの(偏光膜の透過軸と光学補償シートの遅相軸とを平行に配置する)貼り合わせ工程を、偏光膜と光学補償シートとが共にロールフイルムの状態で連続して行うことができる。すなわち、配向膜のラビング処理を最も容易な長手方向に対して実施することで、偏光膜との貼り合わせが容易な幅方向に光学異方性層の面内の遅相軸が発現する。従って、配向膜のラビング方向と光学異方性層の面内の遅相軸とが実質的に直交する光学的二軸性液晶性分子を使用することにより、非常に生産性が高い光学補償シートが得られる。
[透明支持体]
光学補償シートの透明支持体として、光学異方性を制御したポリマーフイルムが用いられる。支持体が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。光学異方性は、具体的には、面内レターデーション(Re)が100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーション(Rth)は、500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。
以下の説明において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。波長λには、通常450〜750nmの範囲の値が用いられる。本明細書においては、589nmの値を用いている。
Re(λ)は、KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフイルム法線方向に入射させて測定する。Rth(λ)は、前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA・21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフイルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜角(回転軸)としてフイルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA・21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(John Wiley & Sons, Inc)、各種光学フイルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フイルムの平均屈折率の値を以下に例示する。
セルロースアシレート: 1.48
シクロオレフィンポリマー:1.52
ポリカーボネート: 1.59
ポリメチルメタクリレート:1.49
ポリスチレン: 1.59
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA・21ADHはnx、ny、nzを算出する。
ポリマーフイルムを形成するポリマーは、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートおよびノルボルネン樹脂が好ましい。具体的には、トリアセチルセルロース(TAC)フイルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムが好ましい。市販のポリマーフイルム(例、アートンフイルム、ゼオノアフイルム)を用いてもよい。
ポリマーフイルムを延伸することによって、透明支持体自身にも光学異方性を与えることができる。なお、セルロースエステルフイルムにレターデーション上昇剤(欧州特許出願公開第0911656A2号明細書記載)を添加することで、光学的異方性のセルロースエステルフイルムを製造することもできる。セルロースエステルまたは合成ポリマーのフイルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、50乃至200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理、アルカリ処理、酸処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。
ディスコティック液晶性分子を配向させるため、配向膜が必要である。配向膜に使用するポリマーの種類は、配向させるディスコティック液晶性分子の平均傾斜角を考慮して決定する。ディスコティック液晶性分子を、実質的に水平に(5゜未満の平均傾斜角で)配向させる機能を有する配向膜、実質的に垂直に(50゜以上の平均傾斜角で)配向させる機能を有する配向膜、および斜めに(5゜以上、50゜未満の平均傾斜角で)配向させる機能を有する配向膜が、それぞれ知られている。ディスコティック液晶性分子を実質的に水平に配向させると、三方向の屈折率主値のうち最小の値を示す方向が、透明支持体の法線と実質的に平行になる。ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させると、三方向の屈折率主値のうち最小の値を示す方向が透明支持体の面と実質的に平行になる。
ディスコティック液晶性分子を斜めに配向させると、三方向の屈折率主値のうち最小の値を示す方向が透明支持体の面に対して斜めになる。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶セルの表示モードの種類も考慮して決定する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、ディスコティック液晶性分子を実質的に水平に配向させる機能を有する配向膜を用いる。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に水平に配向している表示モード(例、STN)では、ディスコティック液晶性分子を実質的に垂直に配向させる機能を有する配向膜を用いる。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配向している表示モード(例、TN)では、ディスコティック液晶性分子を斜めに配向させる機能を有する配向膜を用いる。
また、様々な配向状態を実現するため、配向膜に加えて、配向を調節する機能を有する添加剤(例、界面活性剤)を用いてもよい。なお、配向膜を用いて液晶性分子を配向させてから、その配向状態のまま液晶性分子を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層を透明支持体上に転写してもよい。配向状態で固定された液晶性分子は、配向膜がなくても配向状態を維持することができる。配向膜の厚さは、0.01乃至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmであることがさらに好ましい。
[光学的二軸性光学異方性層]
本発明では、光学異方性層は、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶分子と重合性基を複数有する化合物を重合反応させた層である。光学異方性層の光学異方性を、三方向の屈折率主値が異なる光学的二軸性となるように調節する。三方向の屈折率主値をn1、n2、n3(n1>n2>n3)とすると、それぞれの値は、下記式(I)を満足することが好ましく、下記式(II)を満足することがさらに好ましい。
(I)n1−n2>0.005かつn2−n3>0.005
(II)n1−n2>0.01かつn2−n3>0.01
n1、n2およびn3は、透明支持体について説明したように、KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてReおよびRthを測定し、さらにそれらの測定結果から素材の屈折率を仮定して計算により求めることができる。
(少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性分子)
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の円盤状核は、トリフェニレン核であることが特に好ましい。
本発明に用いられるディスコティック液晶性分子は少なくとも一つの重合性基を有する。重合性基は、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが最も好ましい。
さらに、ディスコティック液晶性分子は、感光性の官能基を有することが好ましい。感光性の官能基は、光により反応が誘起される(光機能性分子の科学、第2章、堀江一之、牛木秀治著、講談社、1992年参照)。反応には、シグマ結合の開裂、C=C二重結合の反応およびC=O二重結合の反応が含まれる。反応によりディスコティック液晶性分子の屈折率が変化することが望ましく、そのためには、シグマ結合の開裂またはC=C二重結合の反応が好ましく、C=C二重結合の反応が特に好ましい。C=C二重結合は、ベンゼン環と共役していることがさらに好ましい。ベンゼン環と共役している二重結合は、光照射により二つの分子間で4員環を形成して二量化する。これにより、ディスコティック液晶性分子の屈折率が変化する。ディスコティック液晶性分子は、ベンゼン環およびベンゼン環と共役する二重結合を含む一価の基を円盤状核の置換基として有することが特に好ましい。ベンゼン環およびベンゼン環と共役する二重結合は、ディスコティック液晶性分子の円盤状核と重合性基との間の連結基に含まれていることが好ましい。下記式(I)で表されるディスコティック液晶性分子が、特に好ましい。
Figure 2006078670
式(I)において、A1 は、CX1 またはNである。NよりもCX1 の方が好ましい。X1 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基または炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基である。X1 は、水素原子または炭素原子数が1乃至12のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。式(I)において、A2 は、CX2 またはNである。NよりもCX2 の方が好ましい。X2 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基または炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基であるか、あるいはYと結合して5員環または6員環を形成する。X2 は、水素原子または炭素原子数が1乃至12のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。X2 とYとが結合して形成する環は、複素環よりも炭化水素環であることが好ましく、芳香族環よりも脂肪族環であることがさらに好ましい。また、5員環よりも6員環であることが好ましい。
式(I)において、Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が1乃至12のアルキルアミノ基または炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基であるか、あるいは、X2 と結合して、5員環または6員環を形成する。Yは、水素原子または炭素原子数が1乃至12のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。式(I)において、Zは、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が1乃至12のアルキルアミノ基または炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基である。Zは、炭素原子数が1乃至12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがさらに好ましく、炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることが最も好ましい。
式(I)において、L1 は、−O−、−CO−、−S−、−NH−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。左側がベンゼン環に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L−1:−AL−CO−O−AL−
L−2:−AL−CO−O−AL−O−
L−3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L−4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L−5:−CO−AR−O−AL−
L−6:−CO−AR−O−AL−O−
L−7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−8:−CO−NH−AL−
L−9:−NH−AL−O−
L−10:−NH−AL−O−CO−
L−11:−O−AL−
L−12:−O−AL−O−
L−13:−O−AL−O−CO−
L−14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L−15:−O−AL−S−AL−
L−16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
L−17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L−18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L−19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L−20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L−21:−S−AL−
L−22:−S−AL−O−
L−23:−S−AL−O−CO−
L−24:−S−AL−S−AL−
L−25:−S−AR−AL−
式(I)において、L2 は、単結合または1,4−フェニレンである。単結合の方が1,4−フェニレンよりも好ましい。式(I)において、Qは、重合性基である。重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示す。
Figure 2006078670
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)またはアジリジニル基(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。式(I)において、aは、1、2、3または4である。aは、1、2または3であることが好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。aが1である場合、−L1 −Qは、ベンゼン環の4位に結合することが好ましい。式(I)において、bは、0、1、2または3である。bは、0、1または2であることが好ましく、0または1であることがさらに好ましく、0であることが最も好ましい。式(I)において、a+bは、1、2、3または4である。式(I)における6個のRは異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
以下に、式(I)で表されるディスコティック液晶性分子の例を、Rで表示する。
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
Figure 2006078670
(重合性基を複数有する化合物)
重合性基を複数有する化合物は、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、ポリマーのいずれでもよい。
重合性基については、ディスコティック液晶性分子の重合性基と同様である。従って、重合性基は、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが最も好ましい。
重合性基を複数有する化合物は、多価アルコールと不飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。多価アルコールの例は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド付加物、グリセリンプロピレンオキシド付加物、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチルカルビトール、ネオペンチルグリコールを含む。不飽和脂肪酸は、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
多価アルコールと不飽和脂肪酸とのエステルの例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ付加物トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキシ付加物トリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールオリゴアクリレート、エチルカルビトールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレートを含む。トリメチロールプロパンエチレンオキシ付加物トリアクリレートが特に好ましい。多価アルコールと不飽和脂肪酸とのエステル以外の重合性基を複数有する化合物の例は、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェートを含む。
重合性基を複数有する化合物の添加量は、ディスコティック液晶性分子に対して1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
(光学異方性層の形成)
ディスコティック液晶性分子と重合性基を複数有する化合物を含む液晶組成物(塗布液)を、配向膜の上に塗布する。液晶組成物は、さらに、任意の添加剤(例、重合開始剤、可塑剤、モノマー、界面活性剤、配向温度低下剤、カイラル剤)を含むことができる。任意の添加剤の使用量は、液晶組成物の液晶性を損なわない量を限度とする。液晶組成物の塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例は、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)を含む。ケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
液晶組成物の塗布は、公知の方法(例、バーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
ディスコティック液晶性分子を(好ましくは5゜未満の平均傾斜角で)配向させてから、偏光を照射することが好ましい。偏光は、直線偏光であることが好ましい。照射する偏光は、200乃至400nmの波長を有する紫外線であることが好ましい。偏光を照射する前と後で、光学異方性層の面内の屈折率が実質的に変化することが好ましい。ディスコティック液晶性分子を5゜未満の平均傾斜角で配向させると、透明支持体の法線と実質的に平行である方向の屈折率が最小の値となり、他の二方向(透明支持体の面内の方向)が実質的に同じ値になる。偏光を照射すると、透明支持体の面内の二方向の屈折率が変化して、実質的に異なる値となる。その結果、三方向の屈折率主値が異なる光学的二軸性の光学異方性層が形成できる。上記のディスコティック液晶性分子の傾斜角は、ディスコティック液晶性分子の円盤面と透明支持体面とのなす角度を意味する。偏光照射により、光学的二軸性の達成と光学異方性層の重合反応を高効率で同時に実施することができる。
液晶性分子と重合性基を複数有する化合物の重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、米国特許第2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%であることが好ましく、0.5乃至5質量%であることがさらに好ましい。液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層の厚さは、0.1乃至20μmであることが好ましく、0.5乃至15μmであることがさらに好ましく、1乃至10μmであることが最も好ましい。
[光学補償シートの用途]
本発明の光学補償シートは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。本発明は、VAモードの液晶表示装置に用いると特に効果がある。VAモードの液晶表示装置に用いる場合、三方向の屈折率主値のうち最小の値を示す方向が透明支持体の法線と実質的に平行となるように、光学的二軸性液晶性分子を配向させる。液晶表示装置は液晶セル、偏光素子および光学補償シート(位相差板)からなる。偏光素子は、一般に偏光膜と保護膜からなる。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。保護膜は偏光膜の両面に設けられる。光学補償シートの透明支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜としても機能させることができる。他方の側の保護膜としては、光学的等方性が高いセルロースエステルフイルムを用いることが好ましい。
[実施例1]
ポリビニルアルコール(PVA−203、クラレ(株)製)をメタノール/水混合溶媒(容積比:20/80)に溶解して、5質量%溶液を調製した。この溶液をガラス板上に、バーコーターを用いて塗布した。塗布層を、80℃の温風で2分間乾燥した。ディスコティック液晶性分子(I−2)1.0gに、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学製)33mg、下記の添加剤(1)5mg、および下記の光重合開始剤(1)30mgを加え、得られた混合物をメチルエチルケトンに溶解して、24質量%溶液を調製した。溶液をポリビニルアルコール塗布層の上に、バーコーターを用いて塗布した。塗布したフイルムを125℃、30秒間で加熱した。形成した塗布層に、偏光板と干渉フィルターとを用いて偏光紫外線照射装置(ニコン技術工房(株)製)を用いて、125℃で波長が365nmの偏光を30分間照射した。その後、光学顕微鏡で観察して調べた結果、均一な異方性層(厚みは2μm)を得た。KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてレターデーションを測定したところ、Re=21.2nm、Rth=186nmであった。二軸性を表すパラメーターは、BI(=Re/Rth)=0.114であり、三方向の屈折率主値が異なっていることを確認した。
Figure 2006078670
Figure 2006078670
[実施例2]
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学製)の使用量を66mgとし、後は実施例1と同様にして均一な異方性層(厚みは2μm)を作成した。KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてレターデーションを測定したところ、Re=22.0nm、Rth=186nmであった。二軸性を表すパラメーターは、BI(=Re/Rth)=0.118であり、三方向の屈折率主値が異なっていることを確認した。
[実施例3]
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学製)の使用量を99mgとし、後は実施例1と同様にして均一な異方性層(厚みは2μm)を作成した。KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてレターデーションを測定したところ、Re=22.3nm、Rth=184nmであった。二軸性を表すパラメーターは、BI(=Re/Rth)=0.121であり、三方向の屈折率主値が異なっていることを確認した。
[実施例4]
厚さ100μmのロール状トリアセチルセルロースフイルムを透明支持体として用いた。透明支持体の正面(Re)レターデーションは2nm、厚み方向の(Rth)レターデーションは45nmであった。透明支持体の片面にゼラチン下塗り層を、反対側の面にジアセチルセルロース層を設けた。ゼラチン下塗り層の上に、アルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の2質量%水/メタノール溶液を#12バーで塗布し、120℃で2分間乾燥して、配向膜を形成した。ディスコティック液晶性分子(I−2)1.0gに、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学製)33mg、実施例1で用いた添加剤(1)5mg、および実施例1で用いた光重合開始剤(1)30mgを加え、得られた混合物をメチルエチルケトンに溶解して、24質量%溶液を調製した。溶液をポリビニルアルコール塗布層の上に、バーコーターを用いて塗布した。塗布したフイルムを125℃、30秒間で加熱した。形成した塗布層に、偏光板と干渉フィルターとを用いて偏光紫外線照射装置(ニコン技術工房(株)製)を用いて、125℃で波長が365nmの偏光(偏光板の透過軸を支持体の進相軸に一致させた)を30分間照射した。その後、光学顕微鏡で観察して調べた結果、均一な異方性層(厚みは2μm)を得た。KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてレターデーションを測定したところ、Re=24nm、Rth=230nmであった(支持体のレターデーションが加算されている)。光学的異方性層の二軸性を表すパラメーターは、BI(=Re/Rth)=0.104であり、三方向の屈折率主値が異なっていることを確認した。
[実施例5]
ガラス基板をノルボルネン系フイルムに変え、あとは実施例1と同様にして均一な異方性層(厚みは2μm)を得た。KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてレターデーションを測定したところ、Re=20.8nm、Rth=188nmであった。二軸性を表すパラメーターは、BI(=Re/Rth)=0.111であり、三方向の屈折率主値が異なっていることを確認した。
[比較例1]
比較例として重合性基を複数有する化合物として架橋剤であるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートを添加せず、他は実施例1と同様な工程で光学的異方性層を作製した。得られた異方性層を光学顕微鏡で観察して調べた結果、均一な異方性層を得た。KOBRA・21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてレターデーションを測定した結果、Re=21.0nm、Rth=194nmであった。二軸性を表すパラメーターは、BI(=Re/Rth)=0.108であった。その結果、図1に示すように、重合性基を複数有する化合物の添加により二軸性を向上できることを確認した。
[比較例2]
比較例1、および実施例1で得られた試料に対し、200mW/cmの強度を有する非偏光紫外線を照射し、その安定性を評価した。レターデーションReの初期値を100%として、その経時変化を調べた。その結果、図2に示すように、重合性基を複数有する化合物の添加により安定性を向上できることを確認した。
比較例1における重合性基を複数有する化合物の添加により二軸性の向上を表す図である。 比較例2における重合性基を複数有する化合物の添加により安定性の向上を表す図である。

Claims (7)

  1. 三方向の屈折率主値が異なる光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートであって、光学異方性層が少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性分子と複数の重合性基を有する化合物との重合反応により形成された層であることを特徴とする光学補償シート。
  2. ディスコティック液晶性分子が、円盤状核としてトリフェニレン核を有し、重合性基、ベンゼン環およびベンゼン環と共役する二重結合を含む一価の基を円盤状核の置換基として有する請求項1に記載の光学補償シート。
  3. ディスコティック液晶性分子が下記式(I)で表される請求項2に記載の光学補償シート:
    Figure 2006078670
    [式中、A1 は、CX1 またはNであって、X1 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基または炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基であり;A2 は、CX2 またはNであって、X2 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基または炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基であるか、あるいは、Yと結合して5員環または6員環を形成し;Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が1乃至12のアルキルアミノ基または炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基であるか、あるいは、X2 と結合して、5員環または6員環を形成し;Zは、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が1乃至12のアルキルアミノ基または炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基であり;L1 は、−O−、−CO−、−S−、−NH−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であり;L2 は、単結合または1,4−フェニレンであり;Qは、重合性基であり;aは、1、2、3または4であり;そして、bは、0、1、2または3である]。
  4. 複数の重合性基を有する化合物が、多価アルコールと不飽和脂肪酸とのエステルである請求項1に記載の光学補償シート。
  5. ディスコティック液晶性分子が、5゜未満の平均傾斜角で配向している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学補償シート。
  6. 透明支持体上に配向膜を形成する工程、少なくとも一つの重合性基を有するディスコティック液晶性分子と重合性基を複数有する化合物とを含む液晶組成物の塗布液を配向膜上に塗布する工程、液晶性分子を5゜未満の平均傾斜角で配向させる工程、そして偏光を照射して三方向の屈折率主値が異なる光学二軸性の発現とディスコティック液晶性分子と重合性基を複数有する化合物との重合反応を同時に行う工程をこの順序で実施することを特徴とする三方向の屈折率主値が異なる光学異方性層および透明支持体を有する光学補償シートの製造方法。
  7. 偏光が、200乃至400nmの波長を有する紫外線である請求項6に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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