JP2006078404A - 多層電極及び多層電極カートリッジ、電気化学分析装置及び電気化学分析方法、電気化学発光分析装置及び電気化学発光分析方法、並びに電気化学発光素子 - Google Patents

多層電極及び多層電極カートリッジ、電気化学分析装置及び電気化学分析方法、電気化学発光分析装置及び電気化学発光分析方法、並びに電気化学発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の電気化学発光に用いられる電極に比べて、構成が簡素で、材料や周辺装置等のコストが低く抑えられるとともに、発光効率に優れ、且つ、限られたスペースに多くの発光箇所を配置することが可能な電極を提供する。
【解決手段】 非電気絶縁性材料からなるn層の電極層W1〜W4と、電気絶縁性材料からなる(n+1)層の絶縁層I1〜I5とが交互に積層された多層体1(但し、nは2以上の整数を表わす。)において、多層体1の積層面と交差する方向に細孔h11〜h33を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気化学発光測定等に利用される多層電極及びこれを含む多層電極カートリッジと、この多層電極を用いた電気化学分析方法及び電気化学分析装置、並びに電気化学発光分析装置及び電気化学発光分析方法に関し、更には、この多層電極を用いた電気化学発光素子と、この電気化学発光素子を用いた電気化学発光分析装置及び電気化学発光分析方法に関する。
ある種の色素を含む電解液又は標識物質を含む溶液と電極とからなる系において、電極に電流を流すと、電解液から生じる発光を観測できる。この現象は電気化学発光(electrochemiluminescence:ECL)と呼ばれ、生化学・化学分野における検体分析や、表示デバイス、レーザ装置などへの応用が進められている。
電気化学発光を起こす方法の例として、電解液に一つの電極(作用電極)を入れて交流電位を印加する方法(交流法:単電極法)が挙げられる。交流法は、簡素な構成で実現できるものの、発光効率が低く発光強度が弱いため、実用に至っていない。その理由としては、電極電位を高速に掃引しなければならず、充電電流などの非ファラデー電流が流れてしまうため、入力した電流が電気化学反応に有効に利用されないことや、ラジカルは溶液中で寿命が短く、電極から交互に発生したカチオンラジカルとアニオンラジカルの拡散層の重なる部分が少ないため、電子移動反応を起こし難いことなどが挙げられる。
電気化学発光を起こす方法の別の例として、一対(即ち2つ)の作用電極を用い、交流電位ではなく直流電位を印加する方法(直流法:2電極法)は、一方の電位を常に酸化電位以上に、他方の電位を常に還元電位以下に設定しておけば、定常的に発光させることができる。電極で生成されたラジカルは寿命が短いので、発光効率を上げるためには、アニオンラジカルとカチオンラジカルとが接触する確率が高くなるように、電極の距離を接近させればよい。また、2つの電極が近接しているほど、発光反応後の分子が再び電極へ供給されるというサイクル状反応が起こるので、より発光効率を上げることができる。また、直流法では電位を変化させないので、充電電流などの非ファラデー電流が流れることがなく、交流法に比べ入力エネルギーを効率的に発光に利用できるという利点がある。
従来から多く提案されている、両電極を接近させる構造としては、薄層セルが挙げられる。これは、2枚の平板電極を対向させ、スペーサで両者を隔てるとともに、発光物質を含む電解質を電極間に介在させるものである。しかし、生じた発光を取り出すために、少なくとも一方の電極を透明にする必要がある。また、電極間隔はスペーサの厚みで規定されるので、その間隔を10μm以下にするのは実質的に困難であり、発光効率の向上には限界がある。また、セルの内容積も制限されてしまうので、出発物質の供給が不十分となり、これが発光効率を下げる一因にもなっている。
2電極を用いた直流法の電気化学発光として、非特許文献1には、微小な間隔で隔てられた2本又は3本のバンド電極を用いる技術が開示されている。この技術では、2枚又は3枚の金属薄膜を絶縁性薄膜を介して挟み、その端面を研磨してこれをバンド電極として用いる。電気化学発光では、電気化学反応による生成物が再び電気化学反応の出発物質となるレドックスサイクルを利用するため、バンド電極の数が多いほど再反応の割合が上昇し、反応効率を上げることができる。
また、リソグラフィ技術を利用すれば、微小間隔で多数のバンド電極(櫛形電極)を容易に作製することができ、発光効率を向上させることができる。例えば、特許文献1には、微小な間隙で隔てられた複数の櫛形電極(作用電極)を、絶縁性基板上にパターン形成することにより、電極の間隔をミクロンオーダー以下にまで接近させ、発光効率を更に高めることが記載されている。
更には、半導体製造技術を主に利用したMEMS(Microelectromechanical System)技術等を用いてシリコンウエハをベースに加工することにより、電極をより微小な間隔で、高い精度で形成することが可能である。
一方、シリコンウエハを使った電気化学測定用のアレイ状電極として、非特許文献2には、段差形の微小ディスクアレイ−電極を作製する技術が開示されている。この技術では、絶縁基板上に形成された薄膜の絶縁層を挟んだ2つの薄膜電極から、下部電極に向けて微小な経のホールが間の絶縁層を貫通している構造の電極を用いる。従って、下部の電極は微小ディスクアレイ、上部は通常のマクロな電極として働き、この結果、自己誘発レドックスサイクルが生じ、見かけの電流が増加する。
J. E. Bartelt、S. M. Drew、R. M. Wightman、J. Electrochem. Soc.、139巻、1992年、p.70〜74 T. Horiuchi、O. Orita、H. Tabei、J. Electroanal. Chem.、第295巻、1990年、p.25〜40 特開平10−135540号公報
しかしながら、非特許文献1や特許文献1等に記載されたバンド電極や櫛形電極は、従来の電極と同様、基本的には2次元的・平面的な拡がりを持った構造を有する。化学反応条件が同一の場合、発光量を稼ぐためには、この様な2次元的・平面的な拡がりを持った電極の面積を大きくとらなければならず、またアレイ状に並べて複数同時に検出するためにはこの電極を複数用い、これらを更に2次元的・平面的に並べて配置する必要があるため、限られたスペースで多数の発光箇所を確保するのは困難であった。
また、非特許文献2にあるような、段差タイプの微小ディスクアレイ電極は、一つの孔に対して上下方向に電極は1対しかない上に、電気化学反応による発光を測定するのではなく、電気化学反応により生じる電流を測定するもの(電流感知型)である。電流感知型の場合、電子の移動のため非特異的な反応も含めて測定されてしまうことから、所望の特異反応を検出するには反応スキムや所望の反応物を検出するための選択機能を持った表面処理等にかなりの工夫が必要となる。
更に、診断領域に応用する場合、多種多様のサンプルを同時に1回又は少数の計測回数で必ず検出できるようにするためには、この電極を各サンプルに合わせて、各サンプルに反応場もしくは電極エリアの区分けをし、そのエリアに対応するように電極を複雑にパターニング化する必要がある。電極を一列に多数並べたキャピラリーアレイタイプを除けば、行と列を持ったいわゆるアレイタイプへの応用は難しいため、これまで実用化されていないのが現状である。
また、これまで提案された微小電極の作製方法は、電極のパターニングにリソグラフィ技術を応用したものが多く、電極幅等について高い精度(例えばミクロンオーダー)で微細加工を行なう必要がある。その精度を維持しつつ、高品質の電極を大量に生産するのは困難であり、コスト高になる傾向がある。
更には、半導体製造技術やMEMS技術等を用いてシリコンウエハを加工することにより電極アレイを形成すれば、上述の様により高い精度での加工が可能ではあるが、やはりコストが高くなってしまうため、臨床検査に使用できるようないわゆる使い切りタイプの電極を製造するのは困難である。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものである。その目的は、電気化学発光に使用できる電極であって、従来の電極に比べて構成が簡素で、材料や周辺装置等のコストが低く抑えられるとともに、発光効率に優れ、且つ、限られたスペースに多くの発光箇所を配置することが可能な電極を提供すること、更には、それを用いた電極カートリッジ、電気化学分析装置及び電気化学分析方法、並びに電気化学発光素子、電気化学発光分析装置及び電気化学発光分析方法を提供することに存する。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、電気伝導性材料や半導体材料等の非電気絶縁性材料からなるn層の電極層と、電気絶縁性材料からなる(n+1)層の絶縁層とを交互に積層した多層体(但し、nは2以上の整数を表わす。)であって、その積層面と交差する方向に細孔が形成された多層電極を用いることにより、従来の電気化学発光に用いられる電極に比べて簡素な構成で、材料や周辺装置等のコストを低く抑えられるとともに、発光効率に優れ、且つ、限られたスペースに多くの発光箇所を配置することが可能となり、上記課題を効果的に解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、非電気絶縁性材料からなるn層の電極層と、電気絶縁性材料からなる(n+1)層の絶縁層とが交互に積層された多層体(但しnは2以上の整数を表わす。)において、該多層体の積層面と交差する方向に細孔が形成されていることを特徴とする、多層電極に存する(請求項1)。
なお、細孔は複数、集積して形成されていることが好ましい(請求項2)。
また、各電極層毎、及び/又は、各細孔毎に、個別に電圧を印加できるように構成されていることが好ましい(請求項3)。
また、細孔の直径は2mm以下であることが好ましい(請求項4)。
また、細孔の表面に機能性分子が固定化されていることが好ましい(請求項5)。
また、本発明の別の要旨は、上述の多層電極と、該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路とを有することを特徴とする、多層電極カートリッジに存する(請求項6)。
また、本発明の別の要旨は、上述の多層電極と、該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路と、該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との相互作用を電気化学的に検出する検出部とを備えたことを特徴とする、電気化学分析装置に存する(請求項7)。
また、本発明の別の要旨は、上述の多層電極の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との相互作用を電気化学的に検出することを特徴とする、電気化学分析方法に存する(請求項8)。
また、本発明の別の要旨は、上述の多層電極と、該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路と、該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を検出する検出部とを備えたことを特徴とする、電気化学分析装置に存する(請求項9)。
また、本発明の別の要旨は、上述の多層電極の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を検出することを特徴とする、電気化学分析方法に存する(請求項10)。
また、本発明の別の要旨は、上述の多層電極と、該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路と、該多層電極の一方の側に配置された全反射層と、該多層電極の他方の側に配置された半透過層とを備え、該全反射層と該半透過層とが協働して共振器として機能し、該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光の強度を安定化するように配置されていることを特徴とする、電気化学発光素子に存する(請求項11)。
また、本発明の別の要旨は、上述の電気化学発光素子と、該電気化学発光素子の該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を該半透過層を介して検出する検出部とを備えたことを特徴とする、電気化学発光分析装置に存する(請求項12)。
また、本発明の別の要旨は、上述の電気化学発光素子の該多層電極の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を、該半透過層を介して検出することを特徴とする、電気化学発光分析方法に存する(請求項13)。
本発明の多層電極は、従来の電気化学発光に用いられる電極に比べて、構成が簡素で容易に作成でき、材料や周辺装置等のコストが低く抑えられるとともに、発光効率に優れ、且つ、限られたスペースに多くの発光箇所を配置することが可能となる。
以下、本発明について実施の形態を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
〔1.多層電極〕
[1−1.多層電極の構成]
本発明の多層電極は、非電気絶縁性材料からなるn層の電極層と、電気絶縁性材料からなる(n+1)層の絶縁層とが交互に積層された多層体からなる(但し、nは2以上の整数を表わす。)。そして、多層体の積層面と交差する方向に、細孔が形成されている。
図1(a)、(b)は何れも、本発明の一実施形態に係る多層電極1の構成を模式的に示す斜視図である。図1(a)では多層電極1の外観を示しており、図1(b)では多層電極1の内部構成を表わすために、その一部を破断して示している。図1(a)、(b)の多層電極1は、電気伝導性材料からなるn層(図ではn=4層)の電極層W1〜W4と、電気絶縁性材料からなる(n+1)層(図ではn+1=5層)の絶縁層I1〜I5とが、交互に積層された多層体として構成されている。即ち、絶縁層I1〜I5の各層間に、それぞれ電極層W1〜W4が介挿される。そして、多層体の積層面と交差する方向に、細孔h11〜h33が形成されている。
なお、図1(a)、(b)に示す多層電極1は、4層の電極層W1〜W4を有しているが、電極層の層数nはこれに制限されるものではなく、多層電極の用途に応じて2以上の数を任意に選択することができる。電極層の層数nの好ましい値は多層電極の用途により異なるが、個々の細孔における発光効率を高める観点からは、電極層の層数nをある程度多くすることが好ましく、具体的には通常2以上、中でも10以上、更には50以上の範囲とすることが望ましい。一方、電極層の層数nの上限は、特に制限はないが、通常は1万層以下の範囲とすることが好ましい。積層された全電極層の層数があまりに多過ぎると、多層電極全体の厚みが非常に大きくなり、それに伴って細孔の奥行き(深さ)が極めて深くなってしまうので、後述するように、多層電極の用途によっては好ましくない場合がある。
また、絶縁層は各電極層間及び最外層(積層方向を上下方向とすると最上下層)に配置されるため、絶縁層の層数は電極層の層数nに1を加えた数となる。例えば、図1(a)、(b)に示す多層電極1では電極層W1〜W4が4層であるため、絶縁層I1〜I5はこれに1を加えた5層となっているが、絶縁層の層数は勿論これに制限される訳ではなく、電極層の層数nの値に応じて適宜決定されることになる。
なお、多層体中で電極層と絶縁層とが一層ずつ交互に積層されておらず、複数の電極層や複数の絶縁層が連続して積層されている箇所が存在しても、通常は、それらは機能的にまとめて一層の電極層や絶縁層とみなすことが可能である。よって、それらをまとめて一層の電極層や絶縁層とみなした場合に上述した電極層及び絶縁層の層数の規定が成立する限り、本発明の多層体に該当するものと考えることができる。
また、2以上の電極層や2以上の絶縁層が端部で互いに連続している構造であっても、少なくとも各細孔の周囲において上述した電極層及び絶縁層の層数の規定が成立する限り、本発明の多層体に該当するものと考えることができる。
電極層は、非電気絶縁性材料により構成される。本明細書において「非電気絶縁性材料」とは、電気絶縁性を示さない材料、即ち、少しでも電気伝導性を示す材料を意味する。非電気絶縁性材料の種類は特に制限されず、多層電極の用途に応じて任意に選択すれば良い。その例としては、電気伝導性材料や、金属と絶縁体の中間に当たる半導体材料等が挙げられる。電気伝導性材料の具体例としては、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、パラジウム、クロム、ステンレス等の金属類;金、銀、白金等の貴金属類;グラファイト、グラッシーカーボン、パイロリティックグラファイト、導電性カーボンペースト、導電性ダイヤモンド等の炭素系材料;導電性高分子材料などが挙げられる。半導体材料としては、p型及びn型のSi、p型及びn型のGaAs、InP、GaP、CdS、ZnO、TiO2、SiC、ITO、In23、SnO2、CdO、Cd2SnO4などが挙げられる。中でも、電気伝導度等の物性面に優れ、安価で商用的にも大量且つ簡単に利用でき、量産化にも適しているという観点から、銅が特に好ましい。なお、これらの材料は何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせで用いても良い。また、全ての電極層を同じ材料で形成してもよく、互いに異なる材料から形成しても良い。なお、電極層については、必ずしもその全てを電気伝導性材料で形成する必要は無い。後述するように電極層を回路パターンとして形成する場合等は、少なくとも細孔の周囲を含む一部分のみを電気伝導性材料で形成し、その他の部分については次に述べる電気絶縁性材料で形成しても良い。ここで、半導体材料を電極層に用いた電極は、電極に光を照射すると電流が増加する効果があるため、光電池として使用できる。
また、絶縁層を構成する電気絶縁性材料も特に制限されず、多層電極の用途に応じて任意に選択すれば良い。例としては、無機固体絶縁材料(マイカ、石綿、石綿紙、電気絶縁セメント板)、絶縁磁器類(長石質磁器、アルミナ磁器、ベリリア磁器、ステアタイト磁器、フォルステライト磁器、ウォラストナイト磁器、マグネシア磁器、エライト磁器、ジルコン磁器、窒化ホウ素、窒化ケイ素)、誘電磁器(チタン磁器、チタン酸バリウム磁器)、ガラス(石英ガラス、高ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ケイ酸塩ガラス)、ガラスセラミックス(デヒドロセラミックス)、ガラス繊維(ガラスクロス、ガラステープ、蓄電池用ガラスマット)、ほうろう、玄武岩、イオウ(ポルトランドセメント)、繊維質材料、木材、紙電力ケーブル用絶縁、熱可塑性樹脂系材料、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン系共重合体、難燃性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)ポリスチレン(PS)、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト(PC)、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、フッ化エチレン・プロピレン共重合体(テフロンFEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリフッ化ビニデン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド樹脂、アクリル酸系樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、アセタール樹脂、熱効果性樹脂(網状高分子)、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、アルキド樹脂、天然繊維質材料、ゴム系材料、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ポリブデン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコーンゴム、フッ化ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、熱可塑性ゴム、架橋ポリエチレン(化学架橋ポリエチレン、放射線架橋ポリエチレン、シラン架橋ポリエチレン)等が挙げられる。中でも、電気伝導度等の物性面に優れ、安価で商用的にも大量且つ簡単に利用でき、量産化にも適しているという観点から、電子回路実装に用いられているフレキシブル基板材料のベースフィルム材のポリイミド、ポリエステル、ガラスエポキシが好ましく、厚みを薄くでき、加工寸法精度が安定しているポリイミドが特に好ましい。なお、これらの材料は何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせで用いても良い。また、全ての絶縁層を同じ材料で形成してもよく、互いに異なる材料から形成しても良い。
また、電気絶縁性材料としては、上に例示した各種の固体物質の他にも、気体(空気、窒素、水素、六フッ化イオウ、フロン系など)、液体(絶縁油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、アルキルベンゼン、ポリブデン、アルキルナフタレン、ジアリルアルカン、ジメチルシリコン、リン酸エステルなど)等も挙げることができる。本明細書において「電気絶縁性材料」とは、これらの気体、液体、固体の材質全てを包括する概念である。電極層間で保持することができ、且つ、細孔内に流れ込むことがなければ、絶縁層を構成する電気絶縁性材料の種類は特に制約を受ける訳ではない。
電極層の厚さは特に制限されないが、通常10μm以下、中でも5μm以下、更には3μm以下の範囲が好ましい。一般に、電極層が薄過ぎると、量産プロセスにおけるハンドリングが難しくなる傾向があり、逆に電極層が厚過ぎると、回路スイッチングや任意の電位を各細孔に印加するのに必要な回路パターン(配線)を、エッチング等により寸法精度よく作製し難くなる傾向がある。また、電極層の厚さが厚過ぎると、多層電極全体の厚みが非常に大きくなり、それに伴って細孔の奥行きが極めて深くなってしまう傾向もある。
また、絶縁層の厚さも特に制限されないが、通常5μm以下、中でも3μm以下、更には2μm以下の範囲が好ましい。一般に、絶縁層が薄過ぎると、十分な電気的絶縁性の確保や量産プロセスにおけるハンドリングが難しくなる傾向があり、逆に絶縁層が厚過ぎると、反応において活性種の拡散する距離が大きくなり、入力した電気エネルギーが反応に十分に寄与せずバルクへ流れてしまい、発光効率が低下してしまう傾向がある。また、絶縁層の厚さが厚過ぎると、多層電極全体の厚みが非常に大きくなり、それに伴って細孔の奥行きが極めて深くなってしまう傾向もある。
電極層及び絶縁層の平面形状(積層面における形状)は任意である。全ての層が同一形状であっても良いが、各電極層間の絶縁性が確保される限りにおいて、電極層と絶縁層とをそれぞれ異なる形状としても良く、更には、個々の電極層や絶縁層を互いに異なる形状としても良い。少なくとも各細孔の周囲において、電極層と絶縁層とが交互に積層された構造となっていれば構わない。特に、各電極層毎や各細孔毎に個別に電圧を印加可能とするためには、後述する様に個々の電極層を回路パターンとして形成することが好ましいが、この場合には個々の電極層が回路パターンに応じた固有の形状を有することになる。
細孔の深さ(奥行き)の上限としては、特に制限はないが、通常は10cm以下が好ましい。細孔の奥行きが深過ぎると、細孔の奥の方における発光が細孔の外部に伝達され難くなったり、電極を構成する全ての細孔の内部に溶液が均一に流れ難くなる傾向がある。但し、細孔の奥の発光部位の光が検出に寄与でき、かつ溶液を細孔に均一に流すことができれば、細孔の奥行きが深くても特に問題は無い。また、溶液の流れが不均一になったとしても、例えば有無判断のセンシング等の用途に多層電極を利用する場合であれば、特に大きな問題はない。
細孔は、多層体の積層面と交差する方向に形成されていれば、その他に特に制限はない。ここで、細孔が「多層体の積層面と交差する方向に」形成されるとは、細孔が多層体の積層面に対して平行方向ではなく、垂直方向又は斜め方向に形成されることを言う。これによって、細孔は電極層を貫通し、又は電極層に陥入する様に形成されることになり、また、個々の電極層はこの細孔を通じて、多層体の外部に開放されることになる。なお、後述するように細孔が途中で曲がっている場合は、細孔が部分的に多層体の積層面に対して平行になっていても良い。細孔が全体として垂直方向又は斜め方向に形成されており、それによって個々の電極層が多層体外部に開放されていれば構わない。なお、以下の説明では簡便のために、多層体の積層面に対して垂直又は略垂直方向に設けられる場合を例にとって説明するが、細孔の方向はこれに制限される訳ではない。
図2(a)〜(e)は何れも、本実施形態の多層電極1において細孔が採り得る形態の例を模式的に示す断面図である。ここでは説明の便宜上、多層電極1に5つの細孔h1〜h5を設ける場合について説明する。図2(a)に示すように、個々の細孔h1〜h5が全ての電極層W1〜W4及び絶縁層I1〜I5を貫通するように形成しても良いが、図2(b)、(c)に示すように、電極層W1〜W4及び絶縁層I1〜I5の一部のみを貫通するように形成してもよい。図2(b)の例では、個々の細孔h1〜h5が全ての電極層W1〜W4と、最下層の絶縁層I5を除く全ての絶縁層I1〜I4を貫通するように形成されている。図2(c)の形態では、個々の細孔h1〜h5が最下層の絶縁層I5とそれに接する電極層W4を除く全ての電極層W1〜W3及び絶縁層I1〜I4を貫通し、且つ、最下層の絶縁層I5に接する電極層W4に陥入するように形成されている。
また、電極層W1〜W4及び絶縁層I1〜I5の一部のみを貫通するように細孔h1〜h5を形成する場合、先の図2(b)、(c)に示すように多層体(多層電極)1の片側のみに細孔h1〜h5を形成しても良いが、図2(d)、(e)に示すように多層体1の両側に細孔h1〜h5を形成しても良い。図2(d)、(e)の例では、細孔h1、h3、h5が、最上層の絶縁層I1から、反対側にある最下層の絶縁層I5に向けて形成されるとともに、細孔h2、h4が、最下層の絶縁層I5側から、反対側にある最上層の絶縁層I1に向けて形成されている。なお、図2(d)の例では、図2(b)の例と同様、個々の細孔h1〜h5が反対側の絶縁層I1、I5を除く全ての層(電極層W1〜W4及び絶縁層I2〜I5又はI1〜I4)を貫通するように設けられている。一方、図2(e)の形態では、個々の細孔h1〜h5が途中の電極層W2、W3までしか形成されていないが、多層体1の何れかの側に形成された細孔h1〜h5を通じて、全ての電極層W1〜W4が多層体1外部に開放されることになる。
勿論、本発明の多層電極が有する細孔の形態は、上述の図2(a)〜(e)に示した例に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、任意の形態を取ることが可能である。また、細孔毎に異なる形態を有していても良い。
細孔の形状も特に制限されず、任意の形状とすることができる。具体的に、細孔の水平方向(細孔の孔径に沿った方向)の断面形状の代表的な例としては、円形、楕円形、方形、多角形、星形、及びそれらのうち二以上を組み合わせた形状(例えば、二つの円形を組み合わせた8の字形(ゴーグル形)など)等が挙げられる。中でも、細孔の形成の容易さの観点からは、円形又はそれに順ずる形状が挙げられる。一方、細孔を8の字形(ゴーグル形)や星形等にすれば、電極のエッジ効果が期待できる。図1に示す多層電極1は、円形の細孔h11〜h33を有しているが、本発明は勿論この例に制限されるものではない。
また、細孔の垂直方向(孔軸に沿った方向)の断面形状も任意である。図3(a)〜(c)は何れも、本実施形態の多層電極が有する細孔の垂直方向の断面形状の例を模式的に示す断面図である。ここでは説明の便宜上、多層電極1に3つの細孔h1〜h3を設ける場合について説明する。垂直方向の断面形状の代表的な例として、図3(a)に示すように細孔h1〜h3の孔径が孔軸上の位置に寄らず一定である形状や、図3(b)、(c)に示すように細孔h1〜h3の奥に進むに従って孔径が小さくなる形状が挙げられる。これらの形状は任意に選択すればよいが、細孔h1〜h3内の電極層W1〜W4の露出面が電気化学反応場として機能することから、図3(b)、(c)の様に細孔h1〜h3の奥に進むに従って孔径が小さくなる形状とすれば、各電極端面がずれているため、電気化学反応により生じる発光が細孔h1〜h3の開口面から見た場合に入れ子状に重なるので、発光効率の上昇の観点から好ましい。後述するレーザ等の手法によって細孔h1〜h3を形成すると、通常は奥に進むに従って孔径が小さくなるので、形成の容易さの観点からも好ましいと言える。また、図3(b)に示すように孔径が連続的に変化する形状としてよいが、図3(c)に示すように孔径が段階的に変化する形状としても良い。勿論、本発明の多層電極が有する細孔の垂直方向の断面形状は、上述の図3(a)〜(c)に示した例に制限されるものではない。さらに、開口面から入った試薬が細孔h1〜h3中を流れることができればよいため、細孔h1〜h3が途中で折れ曲がった形状、例えばS字状やクランク状などの形状を有していても構わない。特に、多層電極の用途等によっては、細孔が途中で屈曲し、又は細くなっていれば、検体液等の溶液の流れに乱れが生じ、この乱れが反応に寄与する場合もある。更には、細孔を螺旋状に形成し、それによって流路を確保してもよい。螺旋状にする場合には、電極層と絶縁層の2層で形成された細孔の形状中心位置を、例えば円周上に沿って遂次積層すれば、螺旋状細孔の積層電極を作製できる。
細孔の孔径は特に制限されず、多層電極の用途等に応じて任意の値を選択すれば良い。一般的な範囲としては、細孔の断面形状を円形として、アレイ状に集積して(具体的には1cm2当たり例えば16個以上の密度で)配置する場合、光学系の装置コストを考えると、通常φ2mm以下の範囲である。孔径が大き過ぎると、発光が電極の近傍に集中してしまい、リング状に発光することになるので、発光した光を無駄なく検出するために、検出側に光学的な工夫を設けたり、電子回路やソフトウェアによる処理を行なう必要があるという理由で好ましくなく、逆に孔径が小さ過ぎると、寸法精度よく細孔加工ができず、一枚のアレイにおいて各細孔間に寸法のバラツキを生じるという理由でやはり好ましくない。ただし、図3(b)、(c)に示したように、細孔をすり鉢状の構成にする場合には、細孔の入り口(開口部)と奥の方とでは内径が異なるため、細孔の内径を一概に規定することはできない。また、細孔の内径は検出器の検出エリアの仕様にも依存するが、検出するエリアをレンズより縮小して検出する等の手法によればよい。
また、細孔の奥行きも特に制限されない。但し、図2(b)、(c)に示したように、細孔が多層体を貫通しない構成の場合は、細孔が狭く深いと試薬が流れ難く、試薬の流れが淀んでしまい、例えば反応時の洗浄工程等の際に不利になるので、検出エリアや細孔の個数を考慮に入れて、細孔の開口部の径や面積を大きくし、細孔の奥行きを浅くすることが好ましい。
細孔の個数も特に制限されず、1個でも複数個でも良い。但し、本発明では個々の細孔を電気化学発光部位として使用することができるので、多数の細孔を設ければ、複数の電気化学反応に基づく発光を検出することが可能となり好ましい。具体的な細孔の数は、多層電極の用途に応じて任意に選択すれば良い。
また、複数の細孔を設ける場合、細孔の配置は任意であるが、これらの細孔を集積して設けることが好ましい。集積の形態は特に制限されないが、例としては、多数の電極を一列に並べたキャピラリーアレイタイプや、複数の行と列とを形成するように並べたいわゆるアレイタイプが挙げられる。図1に示す多層電極1には、9個の細孔h11〜h33が3列×3行のアレイ状に集積して形成されているが、本発明は勿論この例に制限されるものではない。集積の密度も特に制限されないが、反応や測定に悪影響を与えない程度に高い密度とすることが好ましく、具体的には、多層電極表面の細孔が集積して設けられた部位(集積部位)の単位面積当たりにおいて、通常16個/cm2以上、中でも25個/cm2以上、また、通常400個/cm2以下、中でも100個/cm2以下の範囲である。但し、上記の細孔密度の数値範囲はアレイタイプのセンサの用途において有効であるが、表示デバイス(ディスプレイ)等においてはこの数値範囲に限定されることなく、解像度の要求に合わせて更に高密度にすることも可能である。なお、複数の細孔が集積して設けられた部位(集積部位)を、更に多層電極上に複数設けることも可能である。
本発明の多層電極は、個々の電極層に電圧を印加できるように構成される。電圧を印加する方式は特に制限されない。多層電極が有する電極層を二つずつ組として、各電極組毎に電圧を印加できるようにしてもよく、多層電極の使用時に他の電極(対電極)を設けて、この対電極との間に電圧を印加できるようにしてもよい。また、複数の電極層や複数の細孔に、同一の電圧を同時に印加するように構成しても良いが、各電極層毎、及び/又は、各細孔毎に、個別に電圧を印加できるように構成することが好ましい。このためには、後述するように、各電極層を細孔の形状に合わせた回路パターン(ランド回路パターン)として構成することが好ましい。
図4(a)、(b)は何れも、本実施形態の多層電極1において、電極層W1〜W4(以下、これらの電極層W1〜W4を特に区別せずに呼ぶ場合には、単にWという。)が有する回路パターンの平面形状の例を模式的に示す図である。ここでは図1と同様、細孔h11〜h33の水平断面形状が円形の場合の例を示している。図4(a)、(b)に示す回路パターンCP、CP’は、電極層Wに設けられるものであって、細孔h11〜h33断面の周囲を取り囲むリング状の電極erと、これらのリング状電極erに配線ecで接続された取り出し用の電極etとから構成されている。この取り出し用電極etを介して、各細孔h11〜h33周囲のリング状電極erを外部回路へ電気的に接続し、外部からスイッチングを行なうことが可能となる。図4(a)、(b)に示すように、取り出し用電極etは、細孔h11〜h33が集積して設けられるエリア(集積部位)の外周に配置することが好ましい。また、フライングリードのように、細孔の集積部位(図における四角のエリア)から取り出し用電極が枝状に飛び出した形としてもよい。なお、図4(a)に示す回路パターンCPのように、一つのリング状電極erに対して一つの取り出し用電極etを設け、個々のリング状電極erを全て独立にスイッチングできるようにしてもよく、図4(b)に示す回路パターンCP’のように、複数(図では3つ)のリング状電極erに対して一つの取り出し用電極etを設け、複数のリング状電極erをまとめてスイッチングするようにしてもよい。
また、複数の電極層を全て同一の回路パターンとして形成しても良いが、互いに異なる回路パターンとして形成しても良い。電極層毎に異なる回路パターンを用いることにより、電極層の電位として異なる電位を複数選択することが可能となる。また、何れかの電極層を電流検出用に用いることも可能になる。
2つの異なる回路パターンを電極層として用いた場合を例として、各電極層を接続する手法を、図5及び図6を用いて説明する。
図5(a)に示すように、電極層W1、W3及び電極層W2、W4として、異なる2種類の回路パターンCPA、CPBを形成する。これらの電極層W1〜W4を、絶縁層I1〜I5を挟んで交互に積層することにより、多層電極1が得られる。多層電極1をその積層方向に、図5(a)に示す破線Xに沿って切った場合の断面図を図5(b)に示す。多層体(多層電極)1の取り出し用電極erに相当する位置に、多層体1の厚み方向に沿って穴を開け、この穴を導電性ペーストepで埋めるとともに、この導電性ペーストepの一部を多層体1からバンプebとして露出させておく。多層体1への配電時には、このバンプebに対してIC用プローブ等を用いてコンタクトを取れば、各電極層W1〜W4に電圧を印加することが可能となる。
また、図6(a)、(b)に示すように、2種類の回路パターンCPA’、CPB’のリング状電極erの各々に取り出し用電極etを設ける場合に、回路パターンCPA’、CPB’のそれぞれの取り出し電極etが相互に重ならないように配置することが好ましい。即ち、図6(a)に示す配置で取り出し用電極etを設けると、回路パターンCPA’、CPB’を重ねた場合に、図6(b)に示すように取り出し用電極etが互いに重ならず、互いにずれて配置されるので、個々の取り出し用電極et毎に外部から容易にコンタクトを取ることが可能となる。これによって、任意の時間に個々のリング状電極erに任意の電位を印加できるとともに、回路パターンCPA’、CPB’の電位もそれぞれ個別に設定可能な、デュアルタイプの作用電極を有した積層アレイ型電極が実現できる。
なお、図6(a)、(b)に示すように、個々の回路パターンCPA’、CPB’の対応する位置に位置決めのパターンPPを形成しておき、この位置決めパターンPPが一致するように回路パターンCPA’、CPB’を重ねることが好ましい。これによって回路パターンCPA’、CPB’の位置決めが容易に可能となる。位置決めパターンPPの位置や形状は図6(a)、(b)に示すものに限られず、任意に選択することができる。
更に、図7(a)に示すように、個々の細孔の周囲に複数の作用電極が放射状に設けられた回路パターンCPC、CPC’を有する電極層W1’〜W4’を複数用意し、これを絶縁層I1’〜I5’と交互に積層した形態も好ましい(なお、図7(a)では説明の簡便のため、模式的に細孔を一つだけ示しているが、個々の電極層における細孔の数は特に制限されない。)。積層によって得られた多層電極の細孔内表面を、図7(a)の破線S0に沿った線で切開した図が図7(b)である。図7(b)に示すように、細孔の高さ(奥行き)方向に電極層W1’〜W4’と絶縁層I1’〜I5’との繰り返し構造が形成されるとともに、個々の電極層W1’〜W4’内でも細孔の周囲に作用電極と絶縁部との繰り返し構造が形成されるので、本発明の上述の効果がより顕著に発揮されることになる。更に、図7(a)に示すように、2種類の作用電極C1、C2を交互に配置するとともに、その配置をずらした2種類の回路パターンCPC、CPC’を用い、図7(c)に示すようにこれらの作用電極C1、C2を別個の電源VW1、VW2に配線により接続することにより、細孔の周方向に2種類のディアルの作用電極が配置され、更に細孔の高さ方向にもディアルの作用電極が配置されることになる。
[1−2.多層電極の製造]
本発明の多層電極を製造する方法は特に制限されず、任意の方法を用いることができる。一般的には、細孔を有さない電極層及び絶縁層を積層して多層体としてから、この多層体の積層面と交差する方向に細孔を形成する方法と、予め電極層及び絶縁層の対応する位置に細孔を形成し、これらを積層して多層体とする方法とが挙げられる。何れの方法を用いても構わないが、製造の容易さの観点からは前者の手法が好ましい。
電極層と絶縁層とを交互に積層して多層体を形成する手法は特に制限されない。予め膜状に形成された電極層及び絶縁層を用いてこれらを積層しても良く、最下層となる絶縁層のみを予め用意して、この上に他の層を順次、積層しながら形成しても良い。更には、電極膜と絶縁膜とが積層された積層体(電極積層基板)を複数重ね合わせて多層体としても良い。電極積層基板としては、絶縁膜上に電極膜を設けたものでも良く、その電極膜の上を更に別の絶縁膜で被覆したもの、即ち、電極膜を2枚の絶縁膜で挟み込んだものでも良い。
以下、電極膜を2枚の絶縁膜で挟み込んだ電極積層基板を用い、積層して多層体を形成し、この多層体に細孔を形成するという手順で本発明の多層電極を作製する場合の手順を、図8(a)〜(d)を用いて詳細に説明する。なお、図8(a)〜(d)では、図5(a)、(b)に示した多層電極1を作成する場合を例にとって説明している。
まず、所望の電極層の層数に応じた枚数の電極積層基板を用意する。各電極積層基板には、目的とする多層電極の細孔の配置に合わせて、所望の回路パターンを形成しておく。図8(a)では、互いに異なる回路パターンCPA、CPBを形成した2種類の電極積層基板CBA、CBBが記載されているが、これらはそれぞれ2枚ずつ用意されることになる(これらを区別するときは、それぞれCBA1、CBA2、CBB1、CBB2と番号を付して呼ぶ。)。
電極積層基板の種類は特に制限されない。多層電極の用途等に応じて、所望の電極膜と絶縁膜とを貼り合わせた電極積層基板を選択すればよい。安価な電極積層基板の例としては、フレキシブルプリント基板回路等に用いられる、銅薄膜等の電極膜とポリイミド系樹脂等の絶縁膜とを貼り合わせたフレキシブル積層基板(シート)が挙げられる。なお、電極積層基板としては1種類を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで用いても良い。
また、電極積層基板に回路パターンを形成する手法も特に制限されないが、具体例としては、プリント基板回路等の形成に通常用いられる以下の手法が挙げられる。即ち、まず、エッチングレジストを銅箔の表面にかけるため、表面クリーニングを行ない平滑化にした後に、エッチングレジストのドライフィルムをラミネートするか、又は液状レジストを塗布して乾燥を行なう。次に、回路パターンを焼き付けるためにフォトマスクを介して紫外線で露光を行ない、濃度1%程度の炭酸ナトリウム水溶液でレジストを除去する。続いて、塩化鉄、塩化銅、又は水酸化アンモニウム水溶液で回路パターン以外の銅をエッチングした後、回路の上に残ったレジストを強アルカリ水溶液で剥離除去(ストリッピング)して形成する、という手法である。また、このエッチングにより銅箔を削る手法とは逆に、回路パターンを電気メッキで作製するフィルアディティブ法等の手法も使用できる。この手法によれば、銅線回路パターンを数μmの回路幅まで作製でき、寸法精度よく超高密度に形成することが可能であるが、コスト的には割高になる。
更に、半導体プロセスを利用した高密度な銅線の回路パターンプロセスについて、ドライエッチングで加工をする場合には既存のスパッタ技術が使用できるが、化学的機械研磨(CMP)を用いる際には、被覆性の良い成膜技術が必要となる。被覆性の良い銅成膜技術としては、化学気相成長(CVD)法とスパッタリングリフロー法が挙げられる。銅CVD法には、主にコールドウォール型減圧熱CVD装置が用いられ、β-ketonate系の銅有機錯体原料を加熱蒸発させ、キャリアガスとともに反応室に送り込み、熱分解により銅を析出させる。原料としては室温で液体の原料が市販されており、これに伴って原料供給もマスフローコントローラを用いた流体流量の直接制御方式が可能となっており、生産に応用することができる。銅CVD技術は段差被覆性と膜質(抵抗率、平滑性)及び堆積速度が反応条件に大きく依存し、装置設計、ガス系の選択、下地表面処理などに多くのノウハウの蓄積が必要とされるため、単純に量産のために使用するのは難しいが、極めて良好な段差被覆性を持つため、CMPと併用すれば比較的容易にサブクォーターミクロン幅の銅配線を形成でき、高密度な銅配線が可能となる。
続いて、回路パターンを形成した電極積層基板を積層し、多層体を作製する。図8(b)の例では、2種類の回路パターンCPA、CPBを形成した4枚の電極積層基板CBA1、CBB1、CBA2、CBB2を交互に積層し、多層体1を形成している。積層された各電極積層基板の電極膜wA1、wB1、wA2、wB2が、多層電極1の電極層W1,W2,W3,W4を構成することになる。また、各電極膜wA1、wB1、wA2、wB2間に存在する隣接する3組の絶縁膜iA1 bとiB1 a、iB1 bとiA2 a、iA2 bとiB2 a、並びに、最上下層に存在する2枚の絶縁膜iA1 a、iB2 bが、それぞれ多層電極1の絶縁層I2、I3、I4、並びに、I1、I5を形成することになる。
電極積層基板を積層する方式としては、枚葉式、ロール・トゥ・ロール式などが挙げられる。何れを用いても良いが、精度の向上やコストを抑える観点からは、シート状の電極積層基板を一枚ずつ重ね合わせる枚葉式が望ましい。また、重ね合わせの精度を高めるために、対角位置決めやピン方式、或いは、位置決め基準のクロス図形(十字)の画像パターンを対角に配置し、それを計測して順次重ねる方法等を用いることが好ましい。
なお、積層後の電極積層基板の隣接する絶縁膜iA1 bとiB1 a間、iB1 bとiA2 a間、及びiA2 bとiB2 a間を、相互に接合することが好ましい。接合の手法は特に制限されないが、例えば熱圧縮等の手法が挙げられる。熱圧縮の条件は使用する電極積層基板の種類等に応じて適当に選択すればよいが、一般的な温度条件は通常160℃以上、210℃以下の範囲であり、圧力条件は通常15kg重/cm2(14.7kPa)以上、30kg重/cm2(29.4kPa)以下の範囲である。
その後、得られた多層体に細孔を形成する。また、回路パターンに取り出し用電極を設ける場合には、この取り出し電極に接続する導電性ペースト用の穴も同時に形成する。図8(c)の例では、リング状電極erに当たる各位置に、細孔h11〜h33を形成するとともに、取り出し電極etに当たる各位置に、これに接続する導電性ペースト用の穴htを形成している。細孔や導電性ペースト用の穴を形成する手段は特に制限されない。例としてはレーザ加工、エンドミル等が挙げられるが、加工の精度を高め、多数の細孔を効率的に形成する観点からは、レーザ加工を用いることが好ましい。レーザ加工によれば、例えば孔径0.2mm以下の微細な細孔や、例えば100個/cm2程度の高度に集積された細孔を、容易に形成することが可能となる。
なお、細孔の加工によって、樹脂スミア(樹脂の溶融によりフローしてスルーホール内に露出した導体上に付着することによる樹脂の汚れ)が発生し易いため、加工後にデスミア工程を行なって、電極層の電気導電性材料を露出させることが好ましい。更に、銅の表面を僅かに溶解させて清浄な金属面とする、いわゆるマイクロエッチング(ソフトエッチング、フラッシュエッチング等とも呼ばれる。)処理を行なうのも好ましい。マイクロエッチング処理には、過硫酸ナトリウム、硫酸一過酸化水素水等を用いることができる。
その後、形成された導電性ペースト用の穴に、公知の手法により導電性ペーストを充填し、その一部を露出させて通電用のバンプを形成することにより、所望とする多層電極1を得ることができる。
なお、電極層を形成する導電性素材としては上述のように銅等が用いられるが、銅は貴金属に比べイオンになりやすいため、これを保護するために、細孔内に露出している電極層の表面に貴金属で鍍金(めっき)を施すことが好ましい。貴金属系の金属としては、例えば金が好ましい。但し、銅が露出している部分に金でめっきを施す場合には、銅と金との密着性の問題があるため、下地の金属との密着性を向上させるため、ニッケルやチタンなどを一旦形成してから、金めっきを行なえばよい。図8(c)の点線円Cで示した部分を拡大して図8(d)に示す。図8(d)の例では、細孔h11〜h33(以下、特にこれらの細孔を区別せずに呼ぶ場合には、細孔hとする。)内に露出したリング状電極erに対して、まずニッケルによりめっきpNiを施し、その上に金によりめっきpAuを施している。なお、図8(d)ではリング状電極erを細孔h内に突出するように描いているが、これはあくまでも模式的な図であって、実際にはリング状電極erの突出の有無及び程度は細孔の形成方法によって大きく異なり、例えば機械的に細孔を形成した場合にはリング状電極erの突出は殆ど見られないことを付言しておく。
なお、このように電極層の表面に金でめっきを形成した多層電極を、電気化学発光分析等に用いる場合には、機能性分子の末端をチオール化し、これを金と共有結合させることにより、電極表面に固定化することが可能である。
[1−3.多層電極の使用]
本発明の多層電極の使用方法は特に制限されない。細孔内に電解液を導入し、電極層に電圧を印加することにより、各種の電気化学反応を生じさせることが可能である。上述したように、本発明の多層電極は、電極層と絶縁層とが積層された多層体に細孔が形成されてなるという極めて簡素な構成を有するので、従来の電気化学反応用の電極に比べて材料や製造のコストを抑えることができる。また、電気化学反応場となる細孔をアレイ状に多数集積して設けることができるので、反応の効率化や装置の小型化等の効果も得られる。よって、例えば電気化学分析や電気化学発光分析等の各種分析用途や、表示デバイス、レーザ装置等の電気化学発光素子用途等に、好適に使用することができる。
中でも、本発明の多層電極は、電気化学発光現象に利用することが好ましい。本発明の多層電極を電気化学発光に用いると、各細孔内に露出した複数の電極層の表面において電気化学発光が生じるので、細孔の開孔部から観察した場合に、これら電極層における発光が重なって発光強度が増幅され、発光効率の向上という効果が得られる。
言い換えると、本発明の多層電極では、電極層と絶縁層とを交互に多重に積層することにより、従来技術に挙げたバンド電極や櫛形電極を3次元的に形成したのと同様の効果を、個々の細孔において得ることができ、結果として、単位観測面積当たりの電気化学反応場を従来技術よりも増加させることができる。更に、積層の厚み方向の断面から分かるように、化学反応種の拡散距離を短くして反応効率を上げることができるため、従来技術よりも全体として発光効率を上げることができる。また、細孔を集積して配置することにより、限られたスペースに多くの発光箇所を設けることが可能となる。
電気化学発光現象を利用した具体的な用途の例として、電気化学発光分析法への応用が挙げられる。電気化学発光分析法は電気化学分析法の一種であって、電極に固定化した機能性分子と検体との相互作用により生じる発光を測定することにより、検体の分析を行なうものである。本発明の多層電極を電気化学発光分析に用いることによって、上述したように構成の簡素化や発光効率の上昇という効果が得られる。また、各電極層を回路パターンとして形成すれば、各電極層毎及び/又は各細孔毎に外部からスイッチングを行なうことが可能となり、その結果、光検出時には検出器をスキャンする必要がなく、検出器を固定して検出を行なうことができる。よって、分析装置を簡素な構成で安価に作製することができる。また、個々の細孔が発光するタイミングを制御することが可能となるので、複数の細孔が同時に発光するのを防ぐことができ、その結果、発光強度の観察時に複数の細孔の発光が干渉するおそれがなくなり、測定の精度が向上する。
本発明の多層電極を電気化学発光分析法に使用する場合、本発明の多層電極が有する細孔の表面、具体的には、細孔内に露出した電極層の表面に、機能性分子を固定化した上で、検体を含む液(検体液)を細孔内に導入して電極層に接触させ、機能性分子と検体との相互作用により生じる発光を、各細孔について測定する。機能性分子や検体等の種類、機能性分子の固定化の手法、電気化学反応の手順等の詳細については、電気化学発光分析法の分野において公知のものの中から適宜選択すればよい。電気化学発光分析法の詳細については、例えば次の文献1〜3に開示されている。
・文献1:「電気化学発光法(Electrochemiluminescence:ECL)による高感度免疫学的測定法の検討」、日本臨床検査自動化学会誌、21巻、1996年、680〜686頁
・文献2:“Electrogenerated Chemiluminescence. An oxidative reduction type ECL reaction sequence using tripropylamine”、J. Electrochem. Soc.、Vol.137、1990年、p.3127〜3131
・文献3:“Electrochemiluminescence detection for development of immunoassay and DNA probe assay for clinical diagnostics"、Clin. Chem.、Vol.37、1991年、p.1534〜1539
具体的に、本発明の多層電極を電気化学発光分析に用いる場合、その分析対象となる検体の種類は特に制限されるものではないが、具体例としては、蛋白質(イムノグロブリンやその派生物であるF(ab’)2、Fab’、Fab、レセプターや酵素とその派生物、等)、核酸、天然あるいは人工のペプチド、人工ポリマー、糖質、脂質、無機物質、有機配位子、ウィルス、細胞、薬物等が挙げられる。
また、分析対象となる機能性分子と検体との「相互作用」とは特に限定されるものではないが、通常は、機能性分子と検体との間の共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、静電力による結合等の各種の結合のうち、少なくとも1種から生じる分子間に働く力による作用を指す。なお、共有結合には、配位結合、双極子結合も含まれる。また、静電力による結合には、静電結合の他、電気的反発も含まれる。また、上記作用の結果として生じる結合反応、合成反応、分解反応も、相互作用に含まれる。
相互作用の具体例としては、抗原と抗体との間の結合及び解離、蛋白質レセプターとリガンドとの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子との間の結合及び解離、酵素と基質との間の結合及び解離、アポ酵素と補酵素との間の結合及び解離、核酸とそれに結合する蛋白質との間の結合及び解離、情報伝達系における蛋白質同士の間の結合及び解離、糖蛋白質と蛋白質との間の結合及び解離、糖鎖と蛋白質との間の結合及び解離、細胞及び生体組織と蛋白質の間の結合及び解離、細胞及び生体組織と低分子化合物との間の結合及び解離、イオンとイオン感応性物質との間の相互作用等が挙げられるが、これらの例示に限られるものではない。
ここでは、電気化学発光分析の具体例として、DNAプローブを電極上に固定化し、標識したDNAサンプルとハイブリダイゼーション反応させ、生じる電気化学発光を検出することによりDNAサンプルの分析を行なう場合の反応機構について、図9(a)〜(c)を用いて説明する。
図9(a)は、標識したサンプルDNA90の構造の例を説明する図である。ハイブリダイゼーション反応溶液(検体液)中のサンプルDNA91に、電気化学発光物質を修飾させる。この例では電気化学発光物質としてルテニウム錯体92を用い、電子供与物質にトリプロピルアミン(TPA)を用いることで、電気化学発光による検出を可能にする。
この例においては、架橋剤としてN−ヒドロキシスクシンイミド活性化エステル(NHSエステル)93を用い、NHSエステル93にストレプトアビジン94を結合させる。一方、サンプルDNA91をビオチン95によりビオチン化させる。これにより、ストレプトアビジン・ビオチン結合により、サンプルDNA91にルテニウム錯体92を導入することができる。サンプルDNA91のビオチン化については、ビアス社他数社から市販のビオチン化キットを用いて行なえる。
この様に、予めサンプルDNA91をルテニウム錯体18で修飾した標識済みサンプルDNA90を検体として、これとTPAとを含有する検体液を調製する。この検体液を多層電極の細孔に導入し、その電極層に電圧を印加すると、標識済みサンプルDNA9のルテニウム錯体18が電極層の表面でTPAと反応して発光する。
図9(b)、(c)は、電極上での反応機構を表わす図である。TPAは、まず電極上で電子を1個放出した後、陽イオンラジカル(TPA+*)になる。陽イオンラジカルは非常に不安定で、陽子(H+)を放出してラジカルになるが、これもまだ不安定なため、Ru3+と反応して電子を1個放出する。一方、Ru2+は、電極板上で電子を1個放出してRu3+になり、TPAラジカルと反応して電子を1個もらうが、そのままでは不安定な状態(励起状態;Ru2+*)にあり、フォトン(光子)を放出して安定なRu2+に戻る。
なお、電気化学発光分析を抗体分析・免疫分析等に適用する場合には、以下の手法を用いることが好ましい。即ち、抗体を磁性粒子に結合させ、これに試料となる抗原及び電気化学的発光標識を免疫反応により結合させて、免疫複合体を形成する。そして、この免疫複合体を作用電極上に導入し、磁力により電極に捕捉させた上で、作用電極に一定の電圧を印加して電気化学発光を生じさせ、電気化学発光分析を行なう。この手法(以下適宜「磁性粒子法」と呼ぶ。)によれば、検体のうち反応したものだけが磁力により作用電極上に集められるので、反応検出時のS/N比を向上させることが可能となる。
本発明の多層電極を磁性粒子法に応用する場合には、作用電極の下部(即ち、細孔の下部)に磁石を設けるとともに、使用する抗体を適切な磁性粒子と結合させ、これを用いて検体と反応させる必要がある。この場合の磁石の種類、磁性粒子の種類及びこれを抗体と結合させる方法、検体液及び反応試薬の流通の手順、電圧を印加する手順等については、公知の各種文献(例えば特開2001−305136号公報等)を参照することができる。
なお、本発明の多層電極は、上述した検体と機能性分子との相互作用を、電気化学発光分析法により分析する場合のみならず、各種の相互作用を電気化学的に分析するその他の分析方法(電気化学分析法)に使用することも可能である。この場合には、検体を蛍光物質等によって標識する必要がない。具体的には、例えば各電極層における電位の変化を測定することによって、検体と機能性分子との相互作用を電気化学的に検出することができる。発光を利用しない電気化学分析法の詳細については、例えば特開2004−219325号公報等の記載を参照することができる。但し、上述した本発明の多層電極の効果は、電気化学発光分析に利用した場合にとりわけ顕著に得られるので、やはり電気化学発光分析への利用が最も好ましいといえる。
[1−4.その他]
以上、本発明の多層電極の実施の形態について説明したが、本発明の多層電極は上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更を加えて実施することが可能である。
例えば、多層電極の積層形態は上述したものに制限されるわけではない。例えば、本発明の趣旨を損なわない範囲において、多層電極の表面や任意の層間に別の層、例えば各層を保護するための保護層や、各層間の密着性を高めるための接着層、任意の機能を付与する機能層等を形成しても良い。また、電極層や絶縁層の機能を損なわない範囲において、これらの層に上述した電気伝導性材料や電気絶縁性材料以外の物質を含有させても良い。
また、本発明の趣旨を損なわない範囲において、多層電極の細孔内に各種の処理を施したり、細孔表面に他の層を形成したり、他の物質(電気化学分析や電気化学発光分析に用いられる機能性分子に制限されない)を固定化しても良い。
この様な変形の例として、微細孔を有する多孔質の材料を、本発明の多層電極の細孔内に固定化してもよい。多孔質材料を細孔内に固定化し、この多孔質材料が有する微細孔内に機能性分子を固定化することにより、限られた空間に高密度で三次元に機能性分子を固定化できるので好ましい。
多孔質材料が有する微細孔の特性は特に制限されないが、その平均孔径は通常0.1μm以上、100μm以下の範囲であり、また、その空孔率は通常30%以上、80%以下の範囲である。
多孔質材料の固定化の手法としては、本発明の多層電極の細孔内の表面に塗布する手法や、細孔内に充填する手法が挙げられる。
多孔質材料が有する微細孔の表面は、基板に固定化する機能性分子と結合し得る官能基を有する有機高分子物質で被覆されていることが好ましい。このような官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、エポキシ基、ビニル基、チオール基、マレイミド基、スクシニル基、リン酸基、イミダゾール基等が挙げられる。これらの官能基を有する有機高分子物質の中でも、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、アガロース、カラギーナン、アルギン酸、澱粉、セルロース等の水溶性有機高分子物質は、水への溶解度が高く、機能性分子の固定密度を向上させることができるので好ましく用いられる。中でも、三次元構造を有する被覆層を与えるポリアクリル酸やカルボキシメチルデキストランなどが好ましい。
このような官能基を有する有機高分子物質の被覆層は、例えば、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸及びその塩、ヒドロキシル基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アルデヒド基を有するアクロレイン、エポキシ基を有するグリジシル(メタ)アクリレート、スクシニル基を有するN−ヒドロキシスクシイミド(メタ)アクリレート、リン酸基を有するホスマー、イミダゾール基を有するビニルイミダゾールなどのモノマーを含む溶液をチップ基板上に塗布した後、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱して重合させることにより形成することができる。
有機高分子物質が有する官能基がカルボキシル基の場合、多層電極の細孔内表面に、カルボキシル基と共有結合する官能基を予め導入しておき、縮合剤の存在下、酸性条件でカルボキシル基を有するモノマーを共有結合させる方法で、有機高分子物質の被覆層を作製するのが好ましい。
細孔内の表面に予め導入しておく官能基としては、アミノ基、水酸基、チオール基などが挙げられるが、その導入が容易である点や、有機化合物の固定化反応の制御が容易である点から、アミノ基が好ましい。
官能基の導入方法としては、多層電極の細孔内の電極層表面(金属表面)にアミノ基を導入する場合を例に取ると、システアミン塩酸塩などのアミノ基を有するチオール化合物を電極層表面(金属表面)に作用させることにより、簡単に導入することができる。
縮合剤としては、カルボジイミドなどが挙げられる。カルボキシル基はアルカリ性溶液中では脱プロトン化、酸性溶液ではプロトン化している。このため、カルボキシル基を有する有機高分子物質は、アルカリ性溶液中では鎖が広がっており、酸性溶液中では比較的コンパクトな構造をとる傾向にあると考えられる。カルボキシル基を有する高分子鎖をコンパクトにまとめて基板表面に固定化することにより、カルボキシル基を高密度で有する表面を得ることができる。このため、反応は酸性条件下で行なうのが好ましい。具体的なpH条件としては通常pH5以下、中でもpH4以下、特にpH3以下の範囲である。
被覆層を形成している有機高分子物質と機能性分子との結合に際しては、有機高分子物質の官能基を公知の方法により活性化させるのが好ましい。カルボキシル基を有する有機高分子物質の場合は、有機高分子物質の被覆膜の表面をカルボジイミド及びその塩などの活性化剤を含有する水溶液に接触させることにより活性化することができる。
また、機能性分子を、金等の金属や、ポリスチレン等の高分子ポリマーなどからなる、粒径10μm〜10nm程度の粒子に担持させ、これを固定化しても良い。
更に、固定化された機能性分子を常法により洗浄して、夾雑物を除去してもよい。また、有機高分子物質の層で非特異的な反応が起こるのを防ぐため、有機高分子物質の層に存在する官能基を不活性化する処理を行なっても良い。不活性化は、官能基がカルボキシル基の場合には、エタノールアミンなどのブロッキング剤を1モル/リットル程度の割合で含有する水溶液に15分間程度浸漬させることにより行なうことができる。本発明では固定化された機能性分子の洗浄や有機高分子物質の官能基の不活性化の際には、機能性分子間に隔壁が存在しないので、洗浄や不活性化が妨げられることがない。
〔2.多層電極カートリッジ及び電気化学発光分析装置〕
本発明の多層電極カートリッジは、上述の多層電極(本発明の多層電極)と、この多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路とを備えて構成される。
図10(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る多層電極カートリッジ10の構成を模式的に示す図である。図10(a)は多層電極カートリッジ10の斜視図であり、図10(b)は多層電極カートリッジ10の積層方向に水平な面(図10(a)に点線で示す鉛直面Y)に沿って切った場合の断面図である。図10(a)、(b)に示すように、本実施形態の多層電極カートリッジ10は、上述した本発明の一実施形態の多層電極1と、その上方及び下方にそれぞれ接して設けられるガスケット21、22と、上方及び下方のガスケット21、22にそれぞれ接して設けられるプレート31、32と、上方プレート31に設けられる検体液供給口41と、下方プレート32に設けられる検体液排出口42及び対電極50とを備えている。そして、多層電極1と上方及び下方のプレート31、32との間隙がガスケット21、22によって密封されることにより、検体液供給口41から検体液排出口42に至る流路Rが形成され、検体液はこの流路Rを通じて、主に図中に示す矢印の向きに進行する。これによって、多層電極1の細孔h11〜h33内に検体液を接触させることができるようになっている。
プレート31、32の材料は、ある程度の形状安定性を有するとともに、使用する検体や機能性分子等との間で好ましからぬ反応を生じないものであれば、その種類は特に制限されない。但し、上方のプレート31は、多層電極1の細孔h11〜h33において生じる電気化学発光現象を観察・検出できるように、少なくともその一部(細孔h11〜h33に相当する部分)に関しては、通常は透明な材料で形成する必要がある。透明な材料の例としては、アクリル系樹脂、アモルファスポリオレフィン系樹脂、ゼオネックス、ガラス等が挙げられる。中でもアクリル系樹脂が好ましい。その他のプレート31の素材としては、タンパクなどの物理吸着が少ないものが望ましく、使い切りタイプのカートリッジを考えるポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
なお、プレート31を構成する材料に応じて、分析対象とする検体液の屈折率を、プレート31の材料の屈折率よりも高くなるようにすることが好ましい。これによって、多層電極1により得られる電気化学発光の強度を、更に向上させることが可能となる。
ガスケット21、22の材料も、多層電極1とプレート31、32との間を密封できる素材であって、使用する検体液や試薬との間で好ましからぬ反応を生じないものであれば、その種類は特に制限されない。例としては、一般的にOリングなどの材質として使われるゴム天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチクロロプレンゴム、ニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、四フッ化エチレン樹脂、中空金属Oリング等が挙げられる。中でもシリコーンゴムが好ましい。
ガスケット21、22、プレート31、32の形状も任意であり、目的とする多層電極カートリッジ10の用途や形状に応じて適宜選択すればよい。通常は図10(a)、(b)に示すように、多層電極1の平面形状と同一の平面形状を有する平板状のプレート31、32を使用するとともに、その平板形状の周囲を取り囲む形状のガスケット21、22を使用し、多層電極1の上面及び下面とプレート31、32との間を塞ぐことが好ましい。
検体液供給口41、検体液排出口42の材料としては、プレート31、32と同様の材料が挙げられる。それぞれ対応するプレート31、32と一体に形成しても良い。また、検体液供給口41、検体液排出口42の形状も特に規定されない。対象とする検体液の種類や、使用する電気化学発光分析装置の検体液供給路や検体液排出路(これらについては後述する。)の形状等に応じて、適宜選択することが好ましい。
ここで、ガスケット21、22の厚さや、検体液供給口41、検体液排出口42の口径によって、多層電極1の上面及び下面とプレート31、32との間に形成される流路Rの容積が規定され、ひいては検体液の流通性を調節することが可能となる。よって、検体液の種類や所望とする検体液の流速に応じて、これらの値を適切に選択する必要がある。
対電極50は、下方プレート32上に設けられるとともに、外部から電圧を印加できるように構成される。この対電極50を設けることにより、電気化学的に安定して電位を測定することができるため、検出の再現性を向上させることができる。対電極50の材料としては、多層電極1の電極層W1〜W4と同様の導電性材料が用いられる。
図11は、図10(a)、(b)に示す多層電極カートリッジ10を使用した、本発明の一実施の形態に係る電気化学発光分析装置100の要部の構成を模式的に示す図である。多層電極カートリッジ10については、図10(b)と同様、その積層方向に水平な面(即ち、図10(a)に点線で示す鉛直面Y)に沿って切った場合の断面図を示している。図11に示すように、本実施形態の電気化学発光分析装置100は、上述の多層電極カートリッジ10に加えて、検体液供給路RI、検体液排出路RO、参照電極200、検出部300、排出用ポンプ400を備えている。
検体液供給路RIは、多層電極カートリッジ10の検体液供給口41に接続され、外部から検体液を検体液供給口41に供給できるようになっている。また、検体液排出路ROは、多層電極カートリッジ10の検体液排出口42に接続されるとともに、その流路中に排出用ポンプ400が介装される。この排出用ポンプ400を動作させることによって、検体液を検体液排出口42から外部に排出できるようになっている。
参照電極200は、図示しない外部のポテンシオスタットと接続され、多層電極1の各電極層W1〜W4の電位を測定するための基準となる基準電位を測定するものである。図11では検体液供給路RI内に設けた例を示しているが、検体液と接触してその基準電位を測定することができれば、多層電極カートリッジ10の流路R内や検体液排出路RO内など、何れの位置に設けても良い。
検出部300は、細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との電気化学的相互作用により生じる発光(電気化学発光)を検出するものである。検出部300の種類としては、電気化学発光を検出可能なものであれば特に制限されず、検出対象となる検体や機能性分子の種類、反応の種類等に応じて適切なものを選択すれば良い。例としては電荷結合素子(CCD)カメラ、光電子増倍管(photomultiplier:PMT)、フォトダイオードアレイ等が挙げられるが、中でもS/N比に優れているという観点から、PMTが好ましい。
更に、図には示していないが、電気化学発光分析装置100には電源が設けられ、多層電極カートリッジ10の所望の細孔のリング状電極erと対電極50に対して、所望の電圧を印加できるようになっている。具体的に、この電源は多層電極カートリッジ10の所望のバンプeb並びに対電極50と通電できるように構成され、これによって所望のリング状電極erと対電極50との間に電圧を印加できるようになっている。
以上のように構成された本実施形態の電気化学発光分析装置100を使用する際には、まず、分析対象となる検体を含む検体液を検体液供給路RIから多層電極カートリッジ10の流路R内に供給する。流路R内に供給された検体液は図中に示す矢印の向きに進行し、多層電極カートリッジ10の各細孔h11〜h33内に入り込んで、検体液に含まれる検体が各細孔h11〜h33の表面に固定化された機能性分子と接触する。ここで、多層電極の所望の細孔h11〜h33におけるリング状電極erと対電極50との間に所望の電圧を印加すると、各細孔h11〜h33のリング状電極erの表面において検体と機能性分子とが電気化学的相互作用を起こし、これによって電気化学発光が生じる。この発光を検出部300で検出し、これをもとに検体の分析を行なうことができる。分析後は排出用ポンプ400を動作させることにより、流路R内の検体液を検体液排出路ROから排出することができる。
本実施形態の多層電極カートリッジ及び電気化学発光分析装置によれば、上述した本発明の多層電極を用いているので、電気化学発光の強度を増大させ、発光効率を向上させることができ、その結果、微小量の検体や反応性に劣る検体等を分析する場合でも、感度の高い分析が可能となる。また、複数の細孔が集積して配置された多層電極を用い、これらの細孔毎に、固定化する機能性分子の種類や量、印加する電圧の値等を変更することにより、複数種類の検体の分析や幅広い電圧範囲における分析などの様々な分析を、短時間で容易且つ効率的に行なうことが可能となる。また、検体液を流しながら発光させることもできるので、電極に対する出発物質の供給量に制限がなく、出発物質を電極に対して効率的に供給できる。これによって、ラジカル同士の混合割合が向上し、その結果として発光強度を増大させることができる。
以上、本発明の一実施形態に係る多層電極カートリッジ及び電気化学発光分析装置について説明したが、本発明の多層電極カートリッジ及び電気化学発光分析装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更を加えて実施することが可能である。
例えば、図12(a)に示す多層電極カートリッジ10’のように、下方プレート32ではなく上方プレート31に検体液排出口42’を設けてもよい。このような多層電極カートリッジ10’においては、検体液供給口41から検体液排出口42’に至る流路R’が形成され、検体液はこの流路R’を通じて、主に図中に示す矢印の向きに進行する。このような構成によっても、多層電極1の細孔h11〜h33内に検体液を接触させることができる。この多層電極カートリッジ10’を使用する場合には、図12(b)に示すように、多層電極カートリッジ10’の検体液排出口42’に対応する位置に検体液排出路RO及び排出用ポンプ400が設けられた他は、上述の電気化学発光分析装置100と同様の構成を有する電気化学発光分析装置100’を用いることにより、同様の手順で電気化学発光分析を行なうことが可能となる。
更には、図13に示す多層電極カートリッジ10”のように、多層電極1の一方の側(プレート32が存在する側)に、細孔h11〜h33内で生じた発光を全反射する層(以下、「全反射層」という。)61を配置するとともに、多層電極1の他方の側(プレート31が存在する側)に、細孔h11〜h33内で生じた発光を半透過する層(以下「半透過層」という。)62を配置し、これらの全反射層61と半透過層62とが協働して共振器として機能するように構成しても良い。このような構成によって、多層電極1の細孔h11〜h33に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との電気化学的相互作用により生じる発光を共振させ、発光の強度を安定化させるとともに、誘導放射を生じさせることができる。その結果、発光強度を上げて光を効率的に取り出すことが可能となるので、微量な検体の検出にとりわけ有効である。生じた発光の検出は、半透過層62を介して行なうことができる。
なお、図13では、プレート32に設けられた対電極50を全反射層61として形成するとともに、プレート31の一部を半透過層62として形成した例を示しているが、全反射層61及び半透過層62の態様はこれに制限されるものではない。例えば、プレート31の内側面又は外側面に全反射層61を貼り付ける構成としても良いし、対電極50とは別に独立の全反射層61を用意してこれをプレート32の内側面又は外側面に貼り付ける構成としても良い。いずれの場合にも、全反射層61と半透過層62とが細孔h11〜h33を挟んで対向し、且つ、細孔h11〜h33内で生じた発光が全反射層61と半透過層62とによって共振するように配置できれば良い。但し、図13の様な構成とすることで、多層電極カートリッジ10”をコンパクトな構成とすることができる。
具体的に、全反射層61の材料は、細孔h11〜h33内で生じた発光を全反射できるものであれば特に制限されず、使用する検体液の種類等に応じて適宜選択すれば良い。例としては、鏡面仕上げをした金属類、銀、アルミ、金等が挙げられるが、中でもこれら金属材料をベース材料(ガラス、シリコンなど)に蒸着して、膜半透明鏡、非金属多層膜鏡、金属膜を含む多層膜の鏡にしたものを利用するのが好ましい。また、図13に示すように対電極50の機能を兼ね備えさせるのではなく、対電極50と別に全反射層61を設ける場合には、溶液に接する部分は透明のガラス、シリコンまたは樹脂にしておき、その反対側にこれら金属の薄膜を蒸着で作製した鏡を用いることが好ましい。
また、半透過層62の材料も、細孔h11〜h33内で生じた発光を半透過できるものであれば特に制限されず、使用する検体液の種類等に応じて適宜選択すれば良い。例としては金属類、銀、アルミ、金等が挙げられるが、中でも溶液に接するという理由から、発光検出用に既に設けてある窓に使う材料に、これら金属を蒸着して、金属膜半透明鏡、非金属多層膜半透明鏡、金属膜を含む多層膜の半透明鏡を形成したものを利用するのが好ましい。
以上説明した各種態様の多層電極カートリッジは、電気化学発光分析ではなく、電気化学的相互作用に基づくその他の分析方法に応用することも可能である。この場合も、多層電極(本発明の多層電極)の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と検体液に含まれる検体との電気化学的相互作用を、各種の手段、例えば、各電極層の電圧の変化を検出する等の手段により分析すればよい。但し、上述した本発明の多層電極カートリッジの効果は、電気化学発光分析に利用した場合にとりわけ顕著に得られるので、やはり電気化学発光分析への利用が最も好ましいといえる。
また、これらの多層電極カートリッジは、適当な変更を加えることによって、電気化学発光分析や電気化学分析以外の用途、例えば表示デバイス、レーザ装置等の電気化学発光素子としても用いることが可能である。具体的には、図11〜図13に示す多層電極カートリッジ10、10’、10”において、多層電極1の積層数や各層の厚さ、細孔の数や配置等を調整するとともに、その他の構成要素(ガスケット21、22、プレート31、32等)にも適宜変更を加えればよい。検体液供給口41、検体液排出口42、42’等は、不要であれば省略することもできる。この様な構成により、簡素な構成及び安価なコストで、発光効率に優れた電気化学発光素子を得ることができる。特に、図13に示す全反射層61と半透過層62を備えた多層電極カートリッジ10”を電気化学発光素子として構成すれば、多層電極の細孔内で生じた発光が全反射層61と半透過層62からなる共振器によって共振され、その強度が安定化されるので、発光効率に極めて優れた電気化学発光素子を得ることができる。
本発明の多層電極は、従来の電気化学発光に用いられる電極に比べて、構成が簡素で、材料や周辺装置等のコストを低く抑えられるとともに、発光効率に優れ、且つ、限られたスペースに多くの発光箇所を配置することが可能となるという利点がある。よって、電気化学反応に伴う発光現象を利用した各種の分野、例えば電気化学発光分析や、表示デバイス、レーザ装置等の分野において、とりわけ好適に用いることができる。また、電気化学反応を利用したその他の分野、例えば、電気化学反応に伴う電位分布の変化等を利用した電気化学分析等の分野においても、広範に利用することが可能である。
(a)、(b)は何れも、本発明の一実施形態に係る多層電極の構成を模式的に示す斜視図である。 (a)〜(e)は何れも、本実施形態の多層電極において細孔が採り得る形態の例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(c)は何れも、本実施形態の多層電極が有する細孔の垂直方向の断面形状の例を模式的に示す断面図である。 (a)、(b)は何れも、本実施形態の多層電極において、電極層に用いられる回路パターンの平面形状の例を模式的に示す図である。 (a)、(b)は、本実施形態の多層電極において、2つの異なる回路パターンを電極層として用いた場合の構成について説明するための図で、(a)は各電極層の平面形状を模式的に示す図、(b)は(a)の電極層を用いた多層電極を(a)に示す点線X−Xを垂直に通る平面で切断した断面図である。 (a)、(b)は、本実施形態の多層電極において、2つの異なる回路パターンを電極層として用いた場合の取り出し用電極の配置について説明するための図で、(a)は各電極層の平面形状を模式的に示す図、(b)は(a)に示す電極層を積層した場合の電極パターンの重なり具合を示す透視平面図である。 (a)〜(c)は、本実施形態の多層電極の変形例の構成について説明するための図で、(a)は各電極層の部分平面形状を拡大して模式的に示す図、(b)は(a)の電極層を用いた多層電極の細孔内表面形状を(a)に示す点線So−Soで切開して模式的に示す図、(c)は(b)における各電極の配線状態を示す図である。 (a)〜(d)は、本実施形態の多層電極を製造する手順の一例について説明するための図で、(a)は各電極層の部分平面形状を拡大して模式的に示す図、(b)は(a)に示す電極層を用いた多層体を(a)に示す点線X−Xを垂直に通る平面で切断して得られる断面形状を模式的に示す図、(c)は(b)の多層体に細孔を形成した状態を示す図、(d)は(c)の円Cで囲まれた部分を拡大して示す図である。 (a)〜(c)は、電気化学発光分析の一例として、ハイブリダイゼーションによるDNA分析の原理を説明するための図で、(a)は標識したサンプルDNAの構造の例を示す図、(b)、(c)は何れも電極上での反応機構を示す図である。 (a)、(b)は何れも、本発明の一実施形態に係る多層電極カートリッジの構成を模式的に示す図で、(a)は多層電極カートリッジの上方斜視図、(b)は(a)の多層電極カートリッジを(a)に示す平面Yで切断した断面図である。 図10に示す多層電極カートリッジを使用した、本発明の一実施の形態に係る電気化学発光分析装置の要部の構成を模式的に示す図である。 (a)は、本実施形態の変形例に係る多層電極カートリッジの構成を模式的に示す図で、(b)はそれを使用した、本実施形態の変形例に係る電気化学発光分析装置の要部の構成を模式的に示す図である。 本実施形態の別の変形例に係る多層電極カートリッジ(電気化学発光素子)の構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1 多層電極
10、10’、10” 多層電極カートリッジ
21、22 ガスケット
31、32 プレート
41 検体液供給口
42、42’ 検体液排出口
50 対電極
61 全反射層
62 半透過層
90 標識したサンプルDNA
91 サンプルDNA
92 ルテニウム錯体
93 N−ヒドロキシスクシンイミド活性化エステル(NHSエステル)
94 ストレプトアビジン
95 ビオチン
100、100’ 電気化学発光分析装置
200 参照電極
300 検出部
400 排出用ポンプ
CP、CP’、CPA、CPB、CPA’、CPB’ 回路パターン
CBA、CBA1、CBA2、CBB、CBB1、CBB2 電極積層基板
r リング状電極
c 配線
t 取り出し用電極
p 導電性ペースト
b バンプ
h、h1〜h5、h11〜h33 細孔
t 導電性ペースト用の穴
I、I1〜I5、I1’〜I5’ 絶縁層
A1 a、iA1 b、iB1 a、iB1 b、iA2 a、iA2 b、iB2 a、iB2 b 絶縁膜
Ni めっき(ニッケル)
Au めっき(金)
PP 位置決めパターン
R 流路
I 検体液供給路
O 検体液排出路
W、W1〜W4、W1’〜W4’ 電極層
A1、WB1、WA2、WB2 電極膜

Claims (13)

  1. 非電気絶縁性材料からなるn層の電極層と、電気絶縁性材料からなる(n+1)層の絶縁層とが交互に積層された多層体(但し、nは2以上の整数を表わす。)において、
    該多層体の積層面と交差する方向に細孔が形成されている
    ことを特徴とする、多層電極。
  2. 細孔が複数、集積して形成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の多層電極。
  3. 各電極層毎、及び/又は、各細孔毎に、個別に電圧を印加できるように構成された
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多層電極。
  4. 細孔の直径が2mm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の多層電極。
  5. 細孔の表面に機能性分子が固定化されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の多層電極。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の多層電極と、
    該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路とを有する
    ことを特徴とする、多層電極カートリッジ。
  7. 請求項5記載の多層電極と、
    該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路と
    該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用を電気化学的に検出する検出部とを備えた
    ことを特徴とする、電気化学分析装置。
  8. 請求項5記載の多層電極の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用を電気化学的に検出する
    ことを特徴とする、電気化学分析方法。
  9. 請求項5記載の多層電極と、
    該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路と
    該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を検出する検出部とを備えた
    ことを特徴とする、電気化学発光分析装置。
  10. 請求項5記載の多層電極の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を検出する
    ことを特徴とする、電気化学発光分析方法。
  11. 請求項5記載の多層電極と、
    該多層電極の細孔に検体液を接触させ得る流路と、
    該多層電極の一方の側に配置された全反射層と、
    該多層電極の他方の側に配置された半透過層とを備え、
    該全反射層と該半透過層とが協働して共振器として機能し、該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光の強度を安定化するように配置されている
    ことを特徴とする、電気化学発光素子。
  12. 請求項11記載の電気化学発光素子と、
    該電気化学発光素子の該多層電極の細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を、該半透過層を介して検出する検出部とを備えた
    ことを特徴とする、電気化学発光分析装置。
  13. 請求項11記載の電気化学発光素子の該多層電極の細孔に検体液を接触させ、細孔に固定化された機能性分子と、検体液に含まれる検体との相互作用により生じる発光を、該半透過層を介して検出する
    ことを特徴とする、電気化学発光分析方法。
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