JP2006077655A - 内燃機関及び掃気補助制御装置 - Google Patents

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大輔 内田
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Abstract

【課題】掃気を補助するための気体の供給量に上限がある場合でも、確実に残留ガスを掃気してノッキングを抑制すること。
【解決手段】この内燃機関10は、吸気弁8iと排気弁8eとを有し、燃焼室1bに存在する残留ガスGbの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスGaを発生する高圧空気タンク23を備える。高圧空気タンク23から送られる掃気補助ガスGaは、調圧弁22で圧力を調整されて、噴射弁21から所定の時期に噴射される。そして、吸気弁8iと排気弁8eとのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、調圧弁22は掃気補助ガスGaの圧力を低下させ、噴射弁21は、掃気補助ガスGaの供給時間を長くする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関に関し、さらに詳しくは、燃焼室内の残留ガスの掃気を促進する気体が供給される内燃機関及び掃気補助制御装置に関する。
近年の内燃機関では、燃焼室内の残留ガスの掃気を促進するため、空気を燃焼室内へ噴射するものがある。このような内燃機関には、例えば、特許文献1に開示されているように、バルブオーバーラップ期間中に吸気ポートへ高圧空気を噴射して、燃焼室内に残留した燃焼ガスを掃気する技術がある。
特開平7−224671号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、空気供給量に上限がある場合、供給可能な空気がなくなってしまうことがある。その結果、残留ガスを確実に掃気できない場合が発生して、ノッキングの発生を十分に抑制できない場合がある。特に、バルブオーバーラップ期間が大きい状態で内燃機関が運転される場合には空気の消費量が多くなるので、前記問題が顕著に現れる。また、特許文献1に開示された技術では、排気慣性効果によって、掃気を補助するための空気を供給しなくとも、十分に残留ガスを掃気できる場合については言及されておらず、かかる場合においてノッキングを改善する余地はある。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、掃気を補助する気体を燃焼室へ供給することで燃焼室内の残留ガスの掃気を促進するにあたり、前記気体の供給量に上限がある場合でも、確実に残留ガスを掃気してノッキングを抑制すること、掃気を補助するための気体を供給しなくとも残留ガスを掃気できる場合においてノッキングを抑制することのうち、少なくとも一つを達成できる内燃機関及び掃気補助制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内燃機関は、吸気弁と排気弁とを有する内燃機関であって、前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを発生する掃気補助ガス供給源と、前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、前記掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、前記掃気補助ガスの供給時間を長くして前記燃焼室へ供給する掃気補助ガス供給手段と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関は、吸気弁と排気弁とのオーバーラップ期間(以下必要に応じてオーバーラップ期間という)が長くなるにしたがって、燃焼室へ供給する掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、供給時間を長くする。これにより、オーバーラップ期間の大小に関わらず、ほぼ一定量の掃気補助ガスを内燃機関の燃焼室内へ導入することができる。その結果、オーバーラップ期間が大きくなった場合でも、オーバーラップ期間の途中で掃気補助ガスが途切れることなく前記掃気補助ガスを燃焼室内へ導入することができる。また、オーバーラップ期間が小さい場合であっても、限られた量の掃気補助ガスを確実に燃焼室内へ導入できる。このように、本発明に係る内燃機関では、掃気補助ガスの供給量に上限がある場合でも、確実に残留ガスを掃気してノッキングを抑制することができる。
次の本発明に係る内燃機関は、吸気弁と排気弁とを有する内燃機関であって、前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを発生する掃気補助ガス供給源と、排気行程中の所定の時期に、前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給する掃気補助ガス供給手段と、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出される場合には、前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向ける掃気補助ガス偏向手段と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関は、掃気補助ガスの流れる方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備える。そして、排気ポート内の圧力が燃焼室内の圧力よりも低いときのように、掃気補助ガスを供給しなくとも、残留ガスが内燃機関の排気ポート内へ吸い出される場合には、掃気補助ガスの流れをシリンダヘッド壁面に向ける。このように、掃気補助ガスを供給しなくとも残留ガスの掃気ができる場合には、掃気補助ガスによってシリンダヘッドを冷却して、ノッキングを抑制できる。
次の本発明に係る内燃機関は、前記内燃機関において、前記掃気補助ガス供給手段は、前記吸気弁が開く前に前記掃気補助ガスの供給を開始することを特徴とする。
この内燃機関は、前記内燃機関と同一の構成を備えるので、前記内燃機関と同様の作用、効果を奏する。さらに、この内燃機関は、吸気弁が開く前に掃気補助ガスの供給を開始する。これにより、吸気弁が開弁するよりも早く掃気補助ガスを供給できるので、掃気補助ガスが噴射されてから燃焼室まで到達するまでの時間遅れを改善することができる。
次の本発明に係る内燃機関は、前記内燃機関において、前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が存在しないときには、前記掃気補助ガス供給手段は、前記内燃機関の圧縮行程で前記掃気補助ガスを供給することを特徴とする。
この内燃機関は、前記内燃機関と同一の構成を備えるので、前記内燃機関と同様の作用、効果を奏する。さらに、この内燃機関は、オーバーラップ期間が存在しない場合、圧縮行程で前記掃気補助ガスを供給する。これによって、吸気弁を通して燃焼室内へ掃気補助ガスを導入することはできない場合には、掃気補助ガスによって吸気弁及びその近傍を冷却することができる。その結果、燃焼室内の燃焼ガス温度を低減できるので、ノッキングを抑制することができる。
次の本発明に係る内燃機関は、前記内燃機関において、前記内燃機関が、その吸気通路へ燃料を供給するポート噴射弁を備える場合、前記掃気補助ガス供給手段が前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給するときには、前記ポート噴射弁からの燃料噴射は吸気非同期とすることを特徴とする。
この内燃機関は、前記内燃機関と同一の構成を備えるので、前記内燃機関と同様の作用、効果を奏する。さらに、この内燃機関は、内燃機関がポート噴射弁を備える場合、掃気補助ガスを燃焼室へ供給するときには、ポート噴射弁からの燃料噴射は吸気非同期とする。これにより、ポート噴射弁から噴射された燃料の噴霧は、掃気補助ガスによってほとんど乱されることがなくなるので、燃料の余分な壁面付着を低減できる。その結果、掃気補助ガスを供給した場合でも、掃気補助ガスを供給しない場合と同等のエミッションや、燃料消費を維持できる。
次の本発明に係る内燃機関は、前記内燃機関において、さらに、前記掃気補助ガスの流れ方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備え、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出される場合には、前記掃気補助ガス偏向手段によって前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向けることを特徴とする。
この内燃機関は、前記内燃機関と同一の構成を備えるので、前記内燃機関と同様の作用、効果を奏する。さらに、この内燃機関は、掃気補助ガスの流れる方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備える。そして、排気ポート内の圧力が燃焼室内の圧力よりも低いときのように、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、残留ガスが内燃機関の排気ポート内へ吸い出される場合には、掃気補助ガスの流れをシリンダヘッド壁面に向ける。このように、掃気補助ガスを供給しなくとも残留ガスの掃気ができる場合には、掃気補助ガスによってシリンダヘッドを冷却して、ノッキングを抑制できる。
次の本発明に係る掃気補助制御装置は、吸気弁と排気弁とを有する内燃機関の制御に用いるものであり、前記内燃機関の運転状態から、前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるか否かを判定する運転状態判定部と、前記掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるときには、前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、前記掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、前記掃気補助ガスの供給時間を長く設定するガス供給条件設定部と、前記ガス供給条件設定部が設定した圧力及び供給時間で、前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給させるガス供給制御部と、を含んで構成されることを特徴とする。
この掃気補助制御装置は、吸気弁と排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、燃焼室へ供給する掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、供給時間を長くするように制御する。これにより、オーバーラップ期間の大小に関わらず、ほぼ一定量の掃気補助ガスを内燃機関の燃焼室内へ導入することができる。その結果、オーバーラップ期間が大きくなった場合でも、オーバーラップ期間の途中で掃気補助ガスが途切れることなく前記掃気補助ガスを燃焼室内へ導入できる。また、オーバーラップ期間が小さい場合であっても、限られた量の掃気補助ガスを確実に燃焼室内へ導入できる。このように、本発明に係る内燃機関では、掃気補助ガスの供給量に上限がある場合でも、確実に残留ガスを掃気してノッキングを抑制することができる。
次の本発明に係る掃気補助制御装置は、吸気弁と排気弁とを有する内燃機関の制御に用いるものであり、前記内燃機関の運転状態から、前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるか否かを判定する運転状態判定部と、前記掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるときには、前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給する時期を決定するガス供給条件設定部と、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出されると前記運転状態判定部が判定したきには、前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向けるように、前記内燃機関が備える前記掃気補助ガス偏向手段を制御するガス供給制御部と、を含んで構成されることを特徴とする。
この掃気補助制御装置は、制御対象の内燃機関が、掃気補助ガスの流れる方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備える場合、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出されるときには、掃気補助ガスの流れをシリンダヘッド壁面に向けるように制御する。このように、掃気補助ガスを供給しなくとも残留ガスの掃気ができる場合には、掃気補助ガスによってシリンダヘッドを冷却して、ノッキングを抑制できる。
次の本発明に係る掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置において、前記ガス供給条件設定部は、前記吸気弁が開く前に前記掃気補助ガスの供給を開始するように前記掃気補助ガスの供給開始時期を設定し、前記ガス供給制御部は、設定された供給開始時期で前記掃気補助ガスの供給を開始させることを特徴とする。
この掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置と同一の構成を備えるので、前記掃気補助制御装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この掃気補助制御装置は、吸気弁が開く前に掃気補助ガスの供給を開始するように制御する。これにより、吸気弁が開弁するよりも早く掃気補助ガスを供給できるので、掃気補助ガスが噴射されてから燃焼室まで到達するまでの時間遅れを改善することができる。
次の本発明に係る掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置において、前記運転状態判定部が、前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が存在しないと判定したときには、前記ガス供給条件設定部は、前記掃気補助ガスの供給時期を、前記内燃機関の圧縮行程に設定し、前記ガス供給制御部は、前記ガス供給条件設定部が設定した供給時期で前記掃気補助ガスを供給させることを特徴とする。
この掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置と同一の構成を備えるので、前記掃気補助制御装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この掃気補助制御装置は、オーバーラップ期間が存在しない場合、圧縮行程で前記掃気補助ガスを供給するように制御する。これによって、吸気弁を通して燃焼室内へ掃気補助ガスを導入することはできない場合には、掃気補助ガスによって吸気弁及びその近傍を冷却することができる。その結果、燃焼室内の燃焼ガス温度を低減できるので、ノッキングを抑制することができる。
次の本発明に係る掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置において、さらに、前記内燃機関の吸気通路へ燃料を供給するポート噴射弁の燃料噴射時期を制御可能な燃料噴射制御部を備え、前記掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であると前記運転状態判定部が判定したときには、前記燃料噴射制御部は、前記ポート噴射弁からの燃料噴射は吸気非同期とすることを特徴とする。
この掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置と同一の構成を備えるので、前記掃気補助制御装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この掃気補助制御装置は、制御対象の内燃機関がポート噴射弁を備える場合、掃気補助ガスを燃焼室へ供給するときには、ポート噴射弁からの燃料噴射は吸気非同期となるように制御する。これにより、ポート噴射弁から噴射された燃料の噴霧は、掃気補助ガスによってほとんど乱されることがなくなるので、燃料の余分な壁面付着を低減させることができる。その結果、掃気補助ガスを供給した場合でも、掃気補助ガスを供給しない場合と同等のエミッションや、燃料消費を維持させることができる。
次の本発明に係る掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置において、さらに、前記内燃機関が前記掃気補助ガスの流れ方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備える場合、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出されると前記運転状態判定部が判定した場合には、前記ガス供給制御部は、前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向けるように、前記掃気補助ガス偏向手段を制御することを特徴とする。
この掃気補助制御装置は、前記掃気補助制御装置と同一の構成を備えるので、前記掃気補助制御装置と同様の作用、効果を奏する。さらに、この掃気補助制御装置は、制御対象の内燃機関が、掃気補助ガスの流れる方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備える場合、前記掃気補助ガスを供給しなくとも、残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出されるときには、掃気補助ガスの流れをシリンダヘッド壁面に向けるように制御する。このように、掃気補助ガスを供給しなくとも残留ガスの掃気ができる場合には、掃気補助ガスによってシリンダヘッドを冷却して、ノッキングを抑制できる。
本発明に係る内燃機関及び掃気補助制御装置では、掃気を補助するための気体の供給量に上限がある場合でも、確実に残留ガスを掃気してノッキングを抑制すること、掃気を補助するための気体を供給しなくとも残留ガスを掃気できる場合においてノッキングを抑制することのうち、少なくとも一つを達成できるという効果を奏する。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。特に本発明は、吸排気弁を備える内燃機関に対して好適である。
実施例1に係る内燃機関は、吸気弁と排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、燃焼室内の残留ガスの掃気を補助する掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、前記掃気補助ガスの供給時間を長くする点に特徴がある。図1は、実施例1に係る内燃機関の一例を示す説明図である。実施例1では、内燃機関が備える単一の気筒を取り出して説明するが、本発明は多気筒、単気筒を問わずに適用できる。
図1に示すように、実施例1に係る内燃機関10は、燃焼室1b内の残留ガスGbの掃気を補助するための気体(以下掃気補助ガスという)を供給する掃気補助ガス導入通路20を備える。実施例1において、掃気補助ガス導入通路20は、吸気通路の一部である吸気ポート4p内へ掃気補助ガスGaを供給し、吸気ポート4pを通して燃焼室1b内へ掃気補助ガスGaを供給する。実施例1において、掃気補助ガスGaには空気を用いるが、掃気補助ガスGaは空気に限定されるものではない(以下の実施例でも同様)。掃気アシストガスは、少なくとも吸気弁8iが開いている時期に、掃気補助ガス導入通路20から燃焼室1b内へ供給されて、気筒1s内の燃焼室1bに残留する排ガスExの掃気を補助する。
図2は、掃気補助ガス導入通路の他の例を示す説明図である。図2に示す内燃機関10'のように、掃気補助ガス導入通路20を直接燃焼室1b内へ開口させるとともに、掃気補助ガス導入通路20の途中に燃焼室1bからの逆流を防止し、かつ燃焼室1bへの流れを許容する逆止弁26を設けて、掃気補助ガスGaを燃焼室1bへ直接供給してもよい。
掃気補助ガス導入通路20は、掃気補助ガス発生手段である高圧空気タンク23に貯留される加圧された高圧の空気を、吸気通路の一部である吸気ポート4pへ導入する。予め一定量の空気を充填した高圧空気タンク23が、内燃機関10が搭載される車両等に搭載される。また、掃気補助ガス発生手段は、例えば内燃機関10や電動機によって駆動される圧縮機と高圧空気タンクとを組み合わせて使用してもよい。高圧空気タンク23と掃気補助ガス導入通路20との間には、ガス圧力調整手段である調圧弁22と、ガス供給時間可変手段である噴射弁21とが備えられている。
調圧弁22は、高圧空気タンク23に貯留されている空気の圧力を必要な大きさに調整して、吸気ポート4pへ供給する。なお、ガス圧力調整手段として、調圧弁22の代わりに、例えば、圧力可変式のプレッシャーレギュレータを用いることができる。噴射弁21は、例えばON−OFF弁であり、開弁時間を変化させることによって、掃気補助ガス導入通路に対する空気の供給時間を調整する。実施例1においては、掃気補助ガス導入通路20と、ガス圧力調整手段と、ガス供給時間可変手段とを含んで、掃気補助ガス供給手段が構成されている。
実施例1に係る内燃機関10は、気筒1sの燃焼室1b内へ直接燃料を噴射する直噴噴射弁3を備えた、いわゆる直噴内燃機関である。内燃機関10への燃料供給は、直噴噴射弁3に限られず、吸気通路の一部である吸気ポート4pへ燃料を噴射するポート噴射弁を用いてもよく、また、直噴噴射弁3とポート噴射弁とを兼備して、内燃機関10の運転条件に応じて両者の燃料噴射割合を変更して、内燃機関10へ燃料を供給してもよい。
実施例1に係る内燃機関10では、吸気カム62iが形成されている吸気カムシャフト61iには、吸気弁開閉時期変更機構60iが取り付けられ、また、排気カム62eが形成されている排気カムシャフト61eには、排気弁開閉時期変更機構60eが取り付けられている。図3は、吸気弁開閉時期変更機構及び排気弁開閉時期変更機構の一例を示す説明図である。なお、図3では、吸気側は遅角状態に、排気側は進角状態を表している。
吸気弁8i、排気弁8eの開閉時期は、図3に示す機構により変更することができる。この機構について簡単に説明する。吸気側ハウジング64iは吸気側ドリブンギヤ63iに固定されており、排気側ハウジング64eは排気側ドリブンギヤ63eに固定されている。また、吸気側ベーン部65iは吸気カムシャフト61iに固定されており、排気側ベーン部65eは排気カムシャフト61eに固定されている。
吸気側ハウジング64iと吸気側ベーン部65iとの間の空間、及び排気側ハウジング64eと排気側ベーン部65eとの間の空間には、吸気側進角室66i、吸気側遅角室67i、及び排気側進角室66e、排気側遅角室67eが形成される。吸気側進角室66i、排気側進角室66e等にはカム作動油が供給され、進角室、遅角室に作用するカム作動油の油圧を制御することにより、吸気側ベーン部65iあるいは排気側ベーン部65eを回転させ、吸気カムシャフト61iあるいは排気カムシャフト61eの位相を連続的に変化させる。上記機構によって吸気弁開時期と排気弁閉時期とを変更することにより、オーバーラップ期間を変更することができる。
これにより、吸気弁8iの開弁時期と閉弁時期及び排気弁8eの開弁時期と閉弁時期を可変できる。そして、吸気弁開閉時期変更機構60i又は排気弁開閉時期変更機構60eの少なくとも一方を作動させることにより、吸気弁8iと排気弁8eとのオーバーラップ期間を変化させることができる。実施例1においては、吸気弁開閉時期変更機構60i及び排気弁開閉時期変更機構60eが、オーバーラップ期間可変手段となる。なお、前記オーバーラップ期間を変化させるためには、吸気弁開閉時期変更機構60i又は排気弁開閉時期変更機構60eの少なくとも一方を備えていればよい。また、吸気弁開閉時期変更機構60i及び排気弁開閉時期変更機構60eの両方を備える場合には、両者のうち少なくとも一方を動作させることにより、オーバーラップ期間を変化させることができる。
図4は、オーバーラップ期間の説明図である。図4のTDCはTop Dead Centerであり、上死点を表す。また、BDCは、Bottom Dead Centerであり、下死点を表す。IVOは、Intake Valve Openであり、吸気弁8iが開き始める時期を表し、IVCは、Intake Valve Closeであり、吸気弁8iが閉じ始める時期を表す。また、EVOは、Exhaust Valve Openであり、排気弁8eが開き始める時期を表し、EVCは、Exhaust Valve Closeであり、排気弁8iが閉じ始める時期を表す。
ここで、「オーバーラップ期間」とは、排気弁8eの閉じる前に吸気弁8iが開き始める場合において、吸気弁8iの開く時期(IVO)から排気弁8eの閉じる時期(EVC)までの期間(図4参照)である。より具体的には、燃焼室内の残留ガスGbの排気時において、排気弁8iが開いている期間と吸気弁8eが開いている期間とが重なる期間をいう(図4参照)。また、「残留ガス」とは、膨張行程後において内燃機関10の燃焼室1bに存在する燃焼ガスをいう。実施例1に係る内燃機関では、吸気弁開閉時期変更機構60i又は排気弁開閉時期変更機構60eの少なくとも一方を作動させることにより、前記オーバーラップ期間を長くしたり、短くしたり、あるいは無くしたりすることができる。
内燃機関10には、その運転を制御するため、クランク角センサ41、アクセル開度センサ42、エアフローセンサ43、ノックセンサ44、吸気カム角度センサ45i、排気カム角度センサ45e、A/Fセンサ46その他のセンサ類が取り付けられている。エンジンECU(Engine Control Unit)50は、前記センサ類からの出力を取得して、内燃機関10の点火時期や燃料噴射量を決定したり、吸気弁8iと排気弁8eとのバルブオーバーラップ期間を決定したり、内燃機関10の運転を制御したりする。
内燃機関10に供給される燃料Fは直噴噴射弁3から燃焼室1b内に噴射され、吸気弁8iから流入する空気と混合気を形成する。内燃機関10に供給される空気は、吸気通路4の入口に取り付けられるエアクリーナ4Cでごみ等が除去されてから、内燃機関10へ送られる。内燃機関10へ供給される空気は、吸気通路4に設けられるスロットル弁70によって流量が調整される。このスロットル弁70は、バタフライ弁71をスロットルアクチュエータ72で駆動する、電子スロットル弁である。
実施例1において、アクセル74の開度はアクセル開度センサ42で検出されて、エンジンECU50に取り込まれる。エンジンECU50は、バタフライ弁71に取り付けられるスロットル弁開度センサ73からの信号を用いて、スロットル弁70のスロットルアクチュエータ72をフィードバック制御して、バタフライ弁71を開閉する。このように、スロットル弁70の開度は、アクセル74と連動するように構成される。アクセル開度センサ42からのアクセル開度情報を元に、エンジンECU50はスロットル弁70の開度を調整する。
アクセル開度が大きくなると、スロットル弁70の開度は大きくなり、アクセル開度が小さくなると、スロットル弁70の開度は小さくなる。内燃機関10へ供給される空気は、吸気通路4であってスロットル弁70の上流に設けられるエアフローセンサ43で流量が計測されて、その計測値はエンジンECU(Electronic Control Unit)50に取り込まれる。エンジンECU50は、エアフローセンサ43により計測される吸入空気量Qaと、回転数センサ43で計測される内燃機関10の機関回転数NEとから、内燃機関10に対する燃料噴射量Qfを決定する。
燃焼室1b内に導かれた空気と、燃焼室1b内へ噴射された燃料Fとによって形成された混合気は、シリンダヘッド1hに取り付けられる点火プラグ7で着火されて燃焼し、燃焼ガスとなる。燃焼ガスの燃焼圧力はピストン5に伝えられ、ピストン5を往復運動させる。ピストン5の往復運動は、コネクティングロッド6cを介してクランク軸6へ伝達され、ここで回転運動に変換される。内燃機関10の燃焼室1bで燃焼した混合気は、排ガスExとなって排気弁8eを通って排気ポート9pへ排出される。この排ガスExは、排気通路を構成するエキゾーストマニホールド9mを通って浄化触媒9Cへ導かれ、ここで浄化されてから消音器9Mで消音されて、大気中へ排出される。
次に、実施例1に係る掃気補助制御装置について説明する。図5は、実施例1に係る掃気補助制御装置を示す説明図である。実施例1に係る掃気補助制御は、実施例1に係る掃気補助制御装置30によって実現できる。図5に示すように、掃気補助制御装置30は、エンジンECU50に組み込まれて構成されている。エンジンECU50は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)50pと、記憶部50mと、入力及び出力ポート55、56と、入力及び出力インターフェイス57、58とから構成される。
なお、エンジンECU50とは別個に、実施例1に係る掃気補助制御装置30を用意し、これをエンジンECU50に接続してもよい。そして、実施例1に係る掃気補助制御を実現するにあたっては、エンジンECU50が備える内燃機関10の制御機能を、前記掃気補助制御装置30が利用できるように構成してもよい。
掃気補助制御装置30は、運転状態判定部31と、ガス供給条件設定部32と、ガス供給制御部33とを含んで構成される。これらが、実施例1に係る掃気補助制御を実行する部分となる。実施例1において、掃気補助制御装置30は、エンジンECU50を構成するCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)50pの一部として構成される。この他に、CPU50pには、内燃機関10の運転の制御を司る制御部53が含まれている。
CPU50pと、記憶部50mとは、バス541〜543を介して、入力ポート55及び出力ポート56を介して接続される。これにより、掃気補助制御装置30を構成する運転状態判定部31とガス供給条件設定部32とガス供給制御部33とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成される。また、掃気補助制御装置30は、エンジンECU50が有する燃料噴射量のデータマップや吸排気弁開閉弁時期のデータマップその他の、内燃機関の運転制御データを取得してこれを利用することができる。また、掃気補助制御装置30は、実施例1に係る掃気補助制御をエンジンECU50が予め備えている運転制御ルーチンに割り込ませたりすることができる。
入力ポート55には、入力インターフェイス57が接続されている。入力インターフェイス57には、クランク角センサ41、アクセル開度センサ42、エアフローセンサ43、ノックセンサ44、吸気カム角度センサ45i、排気カム角度センサ45e、A/Fセンサ46その他の、内燃機関10の運転制御に必要な情報を取得するセンサ類が接続されている。これらのセンサ類から出力される信号は、入力インターフェイス57内のA/Dコンバータ57aやディジタルバッファ57dにより、CPU50pが利用できる信号に変換されて入力ポート55へ送られる。これにより、CPU50pは、内燃機関10の運転制御や、実施例1に係る掃気補助制御に必要な情報を取得することができる。
出力ポート56には、出力インターフェイス58が接続されている。出力インターフェイス58には、噴射弁21、調圧弁22、吸排気弁開閉時期変更機構60i、60eその他の、内燃機関10の運転制御に必要な制御対象が接続されている。なお、アクチュエータ25も制御対象であるが、これについては実施例2で説明する。出力インターフェイス58は、制御回路581、582等を備えており、CPU50pで演算された制御信号に基づき、前記制御対象を動作させる。このような構成により、前記センサ類からの出力信号に基づき、エンジンECU50のCPU50pは、内燃機関10を制御することができる。
記憶部50mには、実施例1に係る掃気補助制御の処理手順を含むコンピュータプログラムや制御マップ、あるいは実施例1に係る掃気補助制御に用いる掃気補助ガスGaの圧力や供給時間や供給時期等を記述した制御マップ等が格納されている。ここで、記憶部50mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、CPU50pへすでに記録されているコンピュータプログラムと組み合わせによって、実施例1に係る掃気補助制御の処理手順を実現できるものであってもよい。また、この掃気補助制御装置30は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、運転状態判定部31、ガス供給条件設定部32及びガス供給制御部33の機能を実現するものであってもよい。次に、実施例1に係る掃気補助制御について説明する。次の説明においては、適宜図1〜5を参照されたい。
図6は、実施例1に係る掃気補助制御の手順を示すフローチャートである。図7は、掃気補助ガスを供給する運転領域を判定するデータマップの一例を示す説明図である。実施例1に係る掃気補助制御を実行するにあたり、掃気補助制御装置30が備える運転状態判定部31は、内燃機関10の機関回転数NE、負荷率KL、オーバーラップ期間OLを取得して(ステップS101)、掃気補助ガスGaを供給する運転領域であるか否かを判定する(ステップS102)。
掃気補助ガスGaを供給する運転領域であるか否かは、許容できないノッキングが発生するおそれがあるか否かを基準として判定する。例えば、図7に示すデータマップ80のように、ある機関回転数域において、所定の負荷率以上になっている場合には、掃気補助ガスGaを供給する運転条件であると判定する。また、ノックセンサ44により、許容できないノッキングを検知したときには、掃気補助ガスGaを供給する運転条件であると判定してもよい。
掃気補助ガスGaを供給する運転領域でない場合(ステップS102;No)、運転状態判定部31は引き続き内燃機関10の運転状態を監視する。掃気補助ガスGaを供給する運転領域である場合(ステップS102;Yes)、掃気補助制御装置30が備えるガス供給条件設定部32は、オーバーラップ期間OL、吸気弁開時期Tio、排気弁閉時期Tecを取得し、掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定する(ステップS103)。次に、この決定方法について説明する。
図8−1は、掃気補助ガスの圧力及び供給時間を決定するためのデータマップの一例を示す説明図である。図8−2は、オーバーラップ期間と掃気補助ガスの圧力及び供給時間との関係を示す説明図である。図8−1中、オーバーラップ時間OL1<OLnであり、掃気補助ガスの圧力P1>Pnであり、供給時間Ti1<Tinである。図8−1に示すデータマップ81のように、実施例1では、オーバーラップ期間中に掃気補助ガスGaを供給する場合、オーバーラップ期間が短くなるにしたがって、掃気補助ガスGaの圧力Pを大きくするとともに、供給時間Tiは短くする。また、オーバーラップ期間が長くなるにしたがい、掃気補助ガスGaの圧力Pを小さくするとともに、供給時間Tiは長くする。
これにより、図8−2に示すように、オーバーラップ期間の大小に関わらず、掃気補助ガスGaの供給量Qをほぼ一定として、内燃機関10の燃焼室1b内へ導入することができる。その結果、オーバーラップ期間が大きくなった場合でも、オーバーラップ期間の途中で掃気補助ガスGaが途切れることなく前記掃気補助ガスGaを燃焼室1b内へ導入することができる。これにより、供給可能な掃気補助ガスGaの量が限られている場合であっても、効果的に残留ガスGbを掃気して、燃焼室の温度上昇を抑制できる。また、オーバーラップ期間が小さい場合には、掃気補助ガスGaの圧力Pを大きくするとともに、供給時間Tiは短くする。これにより、短いオーバーラップ期間中でも、限られた量の掃気補助ガスGaを確実に燃焼室1b内へ導入して効果的に残留ガスGbを掃気して、燃焼室の温度上昇を抑制できる。このように、実施例1によれば、限られた量の掃気補助ガスGaを最大限有効に利用して、効果的にノッキングを抑制することができる。
次に、掃気補助ガスGaの供給開始時期及び供給期間について説明する。図9−1〜図9−4は、掃気補助ガスの供給時期及び供給期間の説明図である。実施例1においては、原則としてオーバーラップ期間中に掃気補助ガスGaを燃焼室1b内へ導入する。すなわち、吸気弁8iが開き始める(IVO)とともに噴射弁21から掃気補助ガスGaを供給し、排気弁8eが閉じ始める(EVC)とともに噴射弁21からの掃気補助ガスGaの供給を停止する(図9−1)。しかし、内燃機関10の運転条件によっては、掃気補助ガスGaの供給開始、停止時期や供給期間を変化させてもよい。
図9−2は、掃気補助ガスの供給開始時期を、吸気弁8iの開弁時期よりも早くした例を示している。クランク角度CAで考えれば、掃気補助ガスGaの供給開始時期を吸気弁8iの開弁時期よりも進角させることになる。このようにすれば、吸気弁8iが開弁するよりも早く掃気補助ガスGaを供給できるので、掃気補助ガスGaが噴射弁21から噴射されてから吸気弁8i、すなわち燃焼室1bまで到達するまでの時間遅れを改善することができる。機関回転数NEが大きくなる程、前記時間遅れの影響は大きくなり、限られた量の掃気補助ガスGaの利用効率が低下するおそれがある。例えば、機関回転数NEが大きくなる程、掃気補助ガスGaの供給開始時期を吸気弁8iの開弁時期よりも進角させるようにすれば、高回転領域においても限られた量の掃気補助ガスGaを有効に利用して、効果的にノッキングを抑制することができる。
図9−3は、掃気補助ガスの供給期間を、オーバーラップ期間よりも短くした例を示している。この例では、掃気補助ガスGaの供給終了時期を、排気弁8eの閉弁時期よりも進角させている。例えば、内燃機関10の機関回転数NEによっては、内燃機関10の排気慣性効果によって、燃焼室1b内の残留ガスGbが排気弁8eから吸い出されるようになる。この場合には、掃気補助ガスGaの供給量が少なくても十分に燃焼室1bから残留ガスGbが掃気される。したがって、内燃機関10の排気慣性効果が利用できる内燃機関10の運転条件においては、掃気補助ガスGaの供給期間をオーバーラップ期間よりも短くして、燃焼室1b内へ導入する掃気補助ガス量を低減する。これにより、排気慣性効果と掃気補助ガスGaとを利用して残留ガスGbを効果的に燃焼室1bから掃気して効果的にノッキングを抑制するとともに、掃気補助ガスGaの消費量を抑制できる。これによって、限られた量の掃気補助ガスGaをさらに有効に利用できる。
図9−4は、オーバーラップが存在しない場合、圧縮行程で掃気補助ガスを燃焼室1b内へ導入する例を示している。オーバーラップ期間が存在しない場合、吸気弁8iを通して燃焼室1b内へ掃気補助ガスGaを導入することはできない。この場合には、圧縮行程で掃気補助ガスGaを噴射弁21から供給して、吸気弁8i及びその近傍を冷却する。これによって、燃焼室1b内の燃焼ガス温度を低減できるので、ノッキングを抑制することができる。また、燃焼室1b内の温度を低減できるので、空気の充填効率を向上させて、内燃機関10の出力を向上させることができる。
圧縮行程で内燃機関10の燃焼室1bへ掃気補助ガスGaを供給すると、その圧縮行程後の吸気行程で、この掃気補助ガスGaは、新しく燃焼室1b内へ導入される混合気(あるいは空気)とともに燃焼室1b内へ導入される。このため、エアフローセンサ43で測定された空気量よりも多くの空気が燃焼室1b内へ導入されることになり、空燃比A/Fに狂いが生ずる場合がある。このため、圧縮行程で掃気補助ガスGaを供給する場合には、例えば、A/Fセンサ46(図1参照)の測定値に基づき燃料噴射量制御や吸入空気量制御等を実行して、内燃機関10の空燃比A/Fを補正することが好ましい。また、圧縮行程で掃気補助ガスGaを供給する場合には、予め実験や解析等によって燃料噴射量や吸入空気量等を補正したデータマップを用意して、これに基づいて内燃機関10の運転を制御してもよい。
オーバーラップ期間中に掃気補助ガスGaを供給する場合、ガス供給条件設定部32が掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定するにあたっては、「オーバーラップ期間が短くなるにしたがって、掃気補助ガスGaの圧力Pを大きくする」という原則に従う。さらに、上述したように、機関回転数NEや排気慣性効果を考慮して、掃気補助ガスGaの供給開始時期をオーバーラップ期間の開始時よりも進角させたり、供給時間をオーバーラップ期間よりも短くしたりしてもよい。オーバーラップ期間が存在しない場合は、圧縮行程で掃気補助ガスGaを供給する。
ガス供給条件設定部32が掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定したら(ステップS103)、ガス供給制御部33は、ガス供給条件設定部32の決定値にしたがって調圧弁22を調整し、噴射弁21の開弁時期及び開弁時間を制御して、掃気補助ガスGaを供給する(ステップS104)。実施例1では、上記手順により内燃機関10の燃焼室1b内へ掃気補助ガスGaを供給し、燃焼室1b内の残留ガスGbの掃気を促進するとともに、燃焼室1b内のガス温度を低減してノッキングを抑制する。
次に、内燃機関がポート噴射弁を備える場合の燃料噴射時期について説明する。図10は、ポート噴射弁を備える内燃機関の一例を示す一部断面図である。図11は、燃料噴射時期と掃気補助ガスの噴射時期との関係を示す説明図である。図10に示す内燃機関10aは、吸気通路の一部である吸気ポート4pに燃料を噴射して、内燃機関10aに燃料を供給するポート噴射弁28を備える。また、この内燃機関10aでは、吸気ポート4p内へ掃気補助ガス導入通路20が開口しており、吸気弁8iへ向かって掃気補助ガスGaを供給する。
内燃機関10aがポート噴射弁28を備える場合、ポート噴射弁28からの燃料噴射時期が掃気補助ガスGaの供給時期と重なってしまうと(図11)、掃気補助ガスGaの影響により吸気ポート4pや燃焼室1bの内壁に付着する燃料が変化したり、燃料噴霧の流れが掃気補助ガスGaにより影響を受けたりする。その結果、余分に吸気ポート4pや燃焼室1bの内壁へ燃料が付着して、エミッションを悪化させたり、燃料消費を増加させたりするおそれがある。
そこで、ポート噴射弁28から燃料を噴射する際には、燃料の噴射時期と掃気補助ガスGaの供給時期とが重ならないようにする。すなわち、吸気同期でポート噴射弁28から燃料を噴射する場合であっても、燃料供給時期を吸気非同期に変更して燃料を噴射する(図11)。ここで、「ポート噴射弁28から吸気非同期で燃料を噴射する」とは、吸気弁8iが開き始める前に、ポート噴射弁28からの燃料噴射が完了することをいう。このようにすれば、ポート噴射弁28から噴射された燃料の噴霧は、掃気補助ガスGaによってほとんど乱されることがないので、燃料の余分な壁面付着は極めて少なくなる。その結果、掃気補助ガスGaを供給した場合でも、掃気補助ガスGaを供給しない場合と同等のエミッションや、燃料消費を維持できる。
また、吸気ポート4pの内壁に付着する燃料は常時一定となり、ポート噴射弁28からの燃料噴射量の補正に使用される燃料の壁面付着係数は一つになる。その結果、掃気補助ガスGaを供給した場合でも、吸気ポート4pや燃焼室1bの内壁に燃料が付着することによる燃料噴射量の補正を変更する必要はなく、燃料噴射制御を簡易化できる。また、ポート噴射弁28から噴射した燃料噴霧の流れが掃気補助ガスGaから受ける影響を極めて低減できる。その結果、掃気補助ガスGaを供給した場合でも安定して混合気を形成して、掃気補助ガスGaを供給しない場合と同様の燃焼状態を維持できる。
図12は、ポート噴射弁を備える内燃機関に対する掃気補助制御装置を示す説明図である。図13は、ポート噴射弁を備える内燃機関に対する掃気補助制御の手順を示すフローチャートである。ポート噴射弁28を備える内燃機関10aに実施例1に係る掃気補助制御を適用する場合、掃気補助制御装置30aは、燃料噴射時期変更部34をさらに備える。他の構成は上記掃気補助制御装置30と同様なので、説明を省略する。
ポート噴射弁を備える内燃機関に対して実施例1に係る掃気補助制御を実行するにあたって、ステップS201〜S203は、すでに説明した上記ステップS101〜S103と同様なので説明を省略する。ガス供給条件設定部32が掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定したら(ステップS203)、運転状態判定部31は、内燃機関10aの機関回転数NEや負荷率KL等の運転条件から、吸気非同期でポート噴射弁28から燃料を噴射する条件にあるか否かを判定する(ステップS204)。
内燃機関10aの運転条件が吸気非同期で燃料を供給する条件である場合(ステップS204;Yes)、掃気補助ガスGaを供給する際には、もともと吸気非同期でポート噴射弁28から燃料を噴射することになっている。したがって、ガス供給制御部33は、ガス供給条件設定部32の決定値にしたがって調圧弁22を調整し、噴射弁21の開弁時期及び開弁時間を制御し、掃気補助ガスGaを供給する(ステップS205)。
なお、掃気補助ガスGaを吸気弁8iの開弁時期よりも前に供給する場合(図9−2)、吸気非同期でポート噴射弁28から燃料を噴射しても、ポート噴射弁28からの燃料噴霧が掃気補助ガスGaの影響を受ける場合がある。このような場合には、例えば、掃気補助ガスGaの供給開始前にポート噴射弁28からの燃料噴射を終了させて、掃気補助ガスGaの影響を低減させてもよい。
吸気同期で燃料を噴射する条件である場合(ステップS204;No)、掃気補助ガスGaを供給する際には、吸気同期でポート噴射弁28から燃料を噴射することになっている。したがって、燃料噴射時期変更部34は、ポート噴射弁28からの燃料噴射時期を吸気非同期に変更して(ステップS206)、燃料を噴射させる。そして、ガス供給制御部33は、ガス供給条件設定部32の決定値にしたがって調圧弁22を調整し、噴射弁21の開弁時期及び開弁時間を制御し、掃気補助ガスGaを供給する(ステップS207)。
以上、実施例1によれば、吸気弁と排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、掃気補助ガスの供給時間を長くして内燃機関の燃焼室へ供給する。これにより、オーバーラップ期間の大小に関わらず、ほぼ一定量の掃気補助ガスを内燃機関の燃焼室内へ導入することができる。その結果、オーバーラップ期間が大きくなった場合でも、オーバーラップ期間の途中で掃気補助ガスが途切れることなく前記掃気補助ガスを燃焼室内へ導入することができる。また、オーバーラップ期間が小さい場合には、掃気補助ガスの圧力を大きくするとともに、供給時間は短くする。これにより、オーバーラップ期間が小さい場合であっても、限られた量の掃気補助ガスを確実に燃焼室内へ導入できる。そして、確実に残留ガスGbを掃気して、燃焼室の温度上昇を抑制し、効果的にノッキングを抑制できる。
このように、実施例1によれば、限られた量の掃気補助ガスを最大限有効に利用して、効果的にノッキングを抑制することができる。特に、車両に搭載する内燃機関では、掃気補助ガスの貯蔵量に制限があり、無尽蔵に掃気補助ガスを供給できる訳ではないが、実施例1によれば、限られた掃気補助ガスを最大限に有効利用して、確実に残留ガスGbを掃気できる。なお、実施例1で開示した構成は、以下の実施例に対しても必要に応じて適宜適用することができる。また、実施例1で開示した構成と同様の構成を備えれば、実施例1と同様の作用、効果を奏する。
実施例2は、掃気補助ガスの流れ方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備え、排気慣性効果によって燃焼室内の残留ガスGbが排気ポートへ吸い出されるときには、掃気補助ガス偏向手段によって掃気補助ガスの流れをシリンダヘッド側に向ける点に特徴がある。次の説明では、実施例1と共通する構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
図14−1〜図14−4は、実施例2に係る内燃機関を示す説明図である。実施例2の内燃機関10bは、ポート噴射弁28により燃料Fを供給するが、直噴噴射弁によって燃料Fを供給してもよい。また、ポート噴射弁と直噴噴射弁とを併用してもよい。内燃機関10bは、吸気通路の一部である吸気ポート4p内に、掃気補助ガス導入通路20が開口しており、吸気ポート4pを通して燃焼室1b内へ掃気補助ガスGaを導入する。そして、掃気補助ガス導入通路20の開口部20oには、掃気補助ガス偏向手段である回転弁24が設けられている。回転弁24にはアクチュエータ25が取り付けられている(図14−3)。このアクチュエータ25はエンジンECU50に接続されており、エンジンECU50内の掃気補助制御装置30が備えるガス供給制御部33からの指令で、アクチュエータ25を動作させることにより、回転軸zrを中心として回転する。
回転弁24は、回転軸zrが、内燃機関10bのクランク軸6とほぼ平行になるように配置される。また、図14−2、図14−3に示すように、回転弁24は、その回転軸zrと交差するようにガス通路24pが形成されており、回転軸zrを中心として回転すると、吸気ポート4pの管軸zpに対するガス通路24pの角度が変化する。これにより、掃気補助ガス導入通路20から吸気ポート4pへ供給される掃気補助ガスGaの方向が変化するので、燃焼室1b内へ導入される掃気補助ガスGaの方向を、気筒中心軸Z方向に変化させることができる。
実施例2に係る内燃機関10bのピストン5は、ピストン頂部5tに凹部5cが形成されている。燃焼室1b内の残留ガスGbの掃気を補助する場合、図14−1に示すように、吸気弁8iの傘部8iuのボア端部1bt側を狙って、掃気補助ガスGaを燃焼室1b内へ導入する。燃焼室1b内へ導入された掃気補助ガスGaは、ボア端部1bt側における傘部8iuに当たってピストン頂部5t方向へ流れる。そして、ピストン頂部5tに形成された凹部5cに沿って排気弁8e側に流れながら、燃焼室1b内の残留ガスGbを排気弁8eから十分に掃気する。その結果、燃焼室1b内の残留ガスGbの量を低減できるので、ノッキングの発生を抑制し、内燃機関10の出力も向上させることができる。
オーバーラップ期間中(排気弁8e及び吸気弁8iが同時に開いている状態)において、排気慣性効果が利用できる場合には、排気ポート内の圧力Pexが燃焼室1b内の圧力Pbよりも低くなる。この場合、オーバーラップ期間中に、燃焼室1b内の残留ガスGbが排気弁8eを通って排気ポート9pへ吸い出される。この場合、掃気補助ガスGaを燃焼室1b内へ導かなくても、十分に残留ガスGbを掃気できる。したがって、実施例2では、エンジンECU50内の掃気補助制御装置30が備えるガス供給制御部33が、エンジンECU50に接続されるアクチュエータ25を駆動して回転弁24を回転させ、掃気補助ガスGaの流れをシリンダヘッド1h側に変更する。そして、掃気補助ガスGaがシリンダヘッド壁面1hwに沿って排気弁8eへ流れるようにする。これによって、限られた量の掃気補助ガスGaによって、残留ガスGbの掃気を損なうことなく、同時にシリンダヘッド壁面1hwの温度を低下させることができる。その結果、さらに効果的にノッキングを抑制できる。
燃焼室1b内の残留ガスGbの量が増える場合には、回転弁24を回転させて掃気補助ガスGaの流れをピストン頂部5t側に向けて、掃気補助ガスGaが吸気弁8iの傘部8iuのピストン5側を通過するようにする。これによって、掃気補助ガスGaは、ピストン頂部5tに形成された凹部5cに沿って排気弁8e側に流れながら、燃焼室1b内の残留ガスGbを排気弁8eから掃気する。
オーバーラップ期間中において、排気ポート内の圧力Pexが、燃焼室1b内の圧力Pbよりも低い場合は、排気慣性効果が有効に作用する場合である。排気系の構成が変化しない場合、排気慣性が有効に作用する条件は、内燃機関10の機関回転数NEに依存する。排気系の構成が変化する場合、排気慣性が有効に作用する条件は、内燃機関10の機関回転数NEと排気系の構成とに依存する。
例えば、排気通路の長さが運転条件によって変化する、可変排気構造を備える場合、排気通路の長さと機関回転数NEとによって前記条件が決定される。また、オーバーラップ期間が可変できる場合には、オーバーラップ期間によっても排気慣性が有効に作用する条件が変化する。排気ポート9p内の圧力Pexが、燃焼室1b内の圧力Pbよりも低くなり、燃焼室1bから排気ポート9pへ残留ガスGbが吸い出される条件は、機関回転数NE、排気系の構成、オーバーラップ期間等を勘案して、予め実験や解析により求めておく。そして、求めた結果に基づいて掃気補助ガスGaの流れを制御することができる。
オーバーラップ期間中において、排気ポート内の圧力が燃焼室1bや吸気ポート4p内の圧力よりも高い場合には、掃気補助制御装置30が備えるガス供給制御部33がアクチュエータ25を駆動して回転弁24を回転させる。そして、燃焼室1bのボア端部1bt側における吸気弁8iの傘部8iuを狙って掃気補助ガスGaを流し、これを燃焼室1b内へ導入する(図14−1)。次に、実施例3に係る掃気補助制御について説明する。次の説明においては、適宜図1〜図5、図14−1〜図14−4を参照されたい。
図15は、実施例2に係る掃気補助制御の手順を示すフローチャートである。実施例2に係る掃気補助制御は、実施例1に係る掃気補助制御装置30(図5)により実現できる。図15は、掃気補助ガスGaを供給する運転領域を判定するデータマップの一例を示す説明図である。実施例2に係る掃気補助制御を実行するにあたって、掃気補助制御装置30が備える運転状態判定部31は、内燃機関10の機関回転数NE、負荷率KL、オーバーラップ期間OLを取得して(ステップS301)、掃気補助ガスGaを供給する運転領域であるか否かを判定する(ステップS302)。なお、掃気補助ガスGaは、燃焼室1b内の残留ガスGbの掃気を促進するために供給されるので、掃気補助ガスGaを供給する運転領域は、内燃機関10bの排気弁8eが開いている状態である。
掃気補助ガスGaを供給する運転領域でない場合(ステップS302;No)、運転状態判定部31は引き続き内燃機関10bの運転状態を監視する。掃気補助ガスGaを供給する運転領域である場合(ステップS302;Yes)、運転状態判定部31は、排気弁8eを通して燃焼室1b内の残留ガスGbが排気ポート9pへ吸い出される条件であるか否かを判定する(ステップS303)。
残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出されるか否かは、内燃機関10bの排気系の構成及びオーバーラップ期間が一定であれば、機関回転数NEに依存する。また、オーバーラップ期間が変化すれば、残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出されるか否かは、機関回転数NEと、オーバーラップ期間及び排気弁閉時期とに依存する。したがって、機関回転数NEやオーバーラップ期間等から、残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出されるか否かを判定することができる。
また、例えば、内燃機関10bの排気ポート9p内の圧力Pexが燃焼室1b内の圧力Pbよりも低いか否かによって、残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出されるか否かを判定することもできる。すなわち、Pex<Pbである場合は、残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出され、Pex≧Pbである場合は残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出されない。排気ポート9p内の圧力Pexと燃焼室1b内の圧力Pbとの比較により前記判定をする場合、例えば燃焼室1b及び排気ポート9pに、それぞれ圧力センサを取り付け、実際に圧力を測定する。
残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出されない場合(ステップS303;No)、すなわちPex≧Pbである場合、掃気補助制御装置30が備えるガス供給条件設定部32は、オーバーラップ期間OL、吸気弁開時期Tio、排気弁閉時期Tecを取得する。そして、ガス供給条件設定部32は、掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定する(ステップS304)。これらの決定方法は、実施例1と同様である。ガス供給条件設定部32が掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定したら(ステップS304)、ガス供給制御部33は、ガス偏向手段である回転弁24を動作させて、掃気補助ガスGaの流れが内燃機関10のピストン頂部5t側に向くようにする(ステップS305)。その後、ガス供給制御部33は、ガス供給条件設定部32の決定値にしたがって調圧弁22を調整し、噴射弁21の開弁時期及び開弁時間を制御し、掃気補助ガスGaを供給する(ステップS306)。
残留ガスGbが排気弁8eを通して排気ポート9pへ吸い出される場合(ステップS303;Yes)、すなわちPex<Pbである場合、掃気補助ガスGaを供給しなくとも残留ガスGbを掃気できる。この場合、実施例2では、上述したように掃気補助ガスGaをシリンダヘッド壁面1hwに向けて流し、前記壁面を冷却する。ガス供給条件設定部32は、オーバーラップ期間OL、吸気弁開時期Tio、排気弁閉時期Tecを取得し、掃気補助ガスGaをシリンダヘッド壁面1hwに向けて流す場合における掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定する(ステップS307)。これらの決定方法は、実施例1と同様である。
掃気補助ガスGaの圧力P、供給開始時期Ts、供給時間Tiを設定したら(ステップS307)、ガス供給制御部33は、ガス偏向手段である回転弁24を動作させて、掃気補助ガスGaの流れが内燃機関10のシリンダヘッド1h側を向くようにする(ステップS308)。これにより、掃気補助ガスGaを、シリンダヘッド壁面1hw側に沿って流すことができる。その後、ガス供給制御部33は、ガス供給条件設定部32の決定値にしたがって調圧弁22を調整し、噴射弁21の開弁時期及び開弁時間を制御し、掃気補助ガスGaを供給する(ステップS306)。
なお、上記制御は、内燃機関10がオーバーラップ期間可変手段を備える場合のものであるが、実施例2に係る掃気補助制御は、オーバーラップ期間化変種段を備えない、すなわちオーバーラップ期間が固定の内燃機関に対しても適用できる。すなわち、実施例2に係る掃気補助制御は、オーバーラップ期間の変化の有無に関わらず適用できる。
以上、実施例2では、内燃機関が、掃気補助ガスの流れる方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備えている場合、排気ポート内の圧力が燃焼室内の圧力よりも低いときには、掃気補助ガスの流れをシリンダヘッド壁面に向ける。これによって、掃気補助ガスを供給しなくとも残留ガスの掃気ができる場合には、残留ガスを確実に掃気できるとともに、掃気補助ガスによってシリンダヘッドを冷却して、効果的にノッキングを抑制できる。なお、上記実施例1で開示した、吸気弁が開く前に掃気補助ガスの供給を開始する制御や、オーバーラップ期間が存在しないときには圧縮行程で掃気補助ガスを供給する制御や、ポート噴射弁を備える場合には、吸気非同期で燃料を噴射する制御は、実施例2に適用することができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関及び掃気補助制御装置は、気体を燃焼室に供給することによって燃焼室内の残留ガスを掃気する内燃機関に有用であり、特に、燃焼室内の残留ガスを確実に掃気することに適している。
実施例1に係る内燃機関の一例を示す説明図である。 掃気補助ガス導入通路の他の例を示す説明図である。 吸気弁開閉時期変更機構及び排気弁開閉時期変更機構の一例を示す説明図である。 オーバーラップ期間の説明図である。 実施例1に係る掃気補助制御装置を示す説明図である。 実施例1に係る掃気補助制御の手順を示すフローチャートである。 掃気補助ガスを供給する運転領域を判定するデータマップの一例を示す説明図である。 掃気補助ガスの圧力及び供給時間を決定するためのデータマップの一例を示す説明図である。 オーバーラップ期間と掃気補助ガスの圧力及び供給時間との関係を示す説明図である。 掃気補助ガスの供給時期及び供給期間の説明図である。 掃気補助ガスの供給時期及び供給期間の説明図である。 掃気補助ガスの供給時期及び供給期間の説明図である。 掃気補助ガスの供給時期及び供給期間の説明図である。 ポート噴射弁を備える内燃機関の一例を示す一部断面図である。 燃料噴射時期と掃気補助ガスの噴射時期との関係を示す説明図である。 ポート噴射弁を備える内燃機関に対する掃気補助制御装置を示す説明図である。 ポート噴射弁を備える内燃機関に対する掃気補助制御の手順を示すフローチャートである。 実施例2に係る内燃機関を示す説明図である。 実施例2に係る内燃機関を示す説明図である。 実施例2に係る内燃機関を示す説明図である。 実施例2に係る内燃機関を示す説明図である。 実施例2に係る掃気補助制御の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1h シリンダヘッド
1hw シリンダヘッド壁面
1b ボア端部
1s 気筒
1bt 燃焼室
4 吸気通路
4p 吸気ポート
8i 吸気弁
8iu 傘部
8e 排気弁
9p 排気ポート
10、10'、10a、10b 内燃機関
20 掃気補助ガス導入通路
21 噴射弁
22 調圧弁
23 高圧空気タンク
24 回転弁
25 アクチュエータ
26 逆止弁
28 ポート噴射弁
30、30a 掃気補助制御装置
31 運転状態判定部
32 ガス供給条件設定部
33 ガス供給制御部
34 燃料噴射時期変更部
50 エンジンECU
60i 吸気弁開閉時期変更機構
60e 排気弁開閉時期変更機構

Claims (12)

  1. 吸気弁と排気弁とを有する内燃機関であって、
    前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを発生する掃気補助ガス供給源と、
    前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、前記掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、前記掃気補助ガスの供給時間を長くして前記燃焼室へ供給する掃気補助ガス供給手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関。
  2. 吸気弁と排気弁とを有する内燃機関であって、
    前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを発生する掃気補助ガス供給源と、
    排気行程中の所定の時期に、前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給する掃気補助ガス供給手段と、
    前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出される場合には、前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向ける掃気補助ガス偏向手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関。
  3. 前記掃気補助ガス供給手段は、前記吸気弁が開く前に前記掃気補助ガスの供給を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  4. 前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が存在しないときには、
    前記掃気補助ガス供給手段は、前記内燃機関の圧縮行程で前記掃気補助ガスを供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
  5. 前記内燃機関が、その吸気通路へ燃料を供給するポート噴射弁を備える場合、
    前記掃気補助ガス供給手段が前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給するときには、前記ポート噴射弁からの燃料噴射は吸気非同期とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関。
  6. さらに、前記掃気補助ガスの流れ方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備え、
    前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出される場合には、前記掃気補助ガス偏向手段によって前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向けることを特徴とする請求項1、3〜5のいずれか1項に記載の内燃機関。
  7. 吸気弁と排気弁とを有する内燃機関の制御に用いるものであり、
    前記内燃機関の運転状態から、前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるか否かを判定する運転状態判定部と、
    前記掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるときには、前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が長くなるにしたがって、前記掃気補助ガスの圧力を低下させるとともに、前記掃気補助ガスの供給時間を長く設定するガス供給条件設定部と、
    前記ガス供給条件設定部が設定した圧力及び供給時間で、前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給させるガス供給制御部と、
    を含んで構成されることを特徴とする掃気補助制御装置。
  8. 吸気弁と排気弁とを有する内燃機関の制御に用いるものであり、
    前記内燃機関の運転状態から、前記内燃機関の燃焼室に存在する残留ガスの掃気を補助するために用いる掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるか否かを判定する運転状態判定部と、
    前記掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であるときには、前記掃気補助ガスを前記燃焼室へ供給する時期を決定するガス供給条件設定部と、
    前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出されると前記運転状態判定部が判定したきには、前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向けるように、前記内燃機関が備える前記掃気補助ガス偏向手段を制御するガス供給制御部と、
    を含んで構成されることを特徴とする掃気補助制御装置。
  9. 前記ガス供給条件設定部は、前記吸気弁が開く前に前記掃気補助ガスの供給を開始するように前記掃気補助ガスの供給開始時期を設定し、
    前記ガス供給制御部は、設定された供給開始時期で前記掃気補助ガスの供給を開始させることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃気補助制御装置。
  10. 前記運転状態判定部が、前記吸気弁と前記排気弁とのオーバーラップ期間が存在しないと判定したときには、
    前記ガス供給条件設定部は、前記掃気補助ガスの供給時期を、前記内燃機関の圧縮行程に設定し、
    前記ガス供給制御部は、前記ガス供給条件設定部が設定した供給時期で前記掃気補助ガスを供給させることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の掃気補助制御装置。
  11. さらに、前記内燃機関の吸気通路へ燃料を供給するポート噴射弁の燃料噴射時期を制御可能な燃料噴射制御部を備え、
    前記掃気補助ガスを前記燃焼室に供給する条件であると前記運転状態判定部が判定したときには、
    前記燃料噴射制御部は、前記ポート噴射弁からの燃料噴射は吸気非同期とすることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の掃気補助制御装置。
  12. さらに、前記内燃機関が前記掃気補助ガスの流れ方向を変更可能な掃気補助ガス偏向手段を備える場合、
    前記掃気補助ガスを供給しなくとも、前記残留ガスが前記内燃機関の排気ポート内へ吸い出されると前記運転状態判定部が判定した場合には、
    前記ガス供給制御部は、前記掃気補助ガスの流れを前記内燃機関のシリンダヘッド側に向けるように、前記掃気補助ガス偏向手段を制御することを特徴とする請求項7、9〜11のいずれか1項に記載の掃気補助制御装置。
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