JP2006077053A - 薄膜基材の貼り合わせ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、光反応型ホットメルト接着剤を用い、薄膜基材と厚膜基材とを貼り合わせた接合体を積み重ねる際に、基材に反りや凹みの現象が発生することを抑制する薄膜基材の貼り合わせ方法を提供することにある。
【解決手段】 光反応型ホットメルト接着剤を用いて、厚みが200μm以下の基材と厚みが300μm以上の基材とを貼り合わせた接合体を、硬化反応率が30〜100%で積み重ねて保管することを特徴とする薄膜基材の貼り合わせ方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、一方が薄膜基材である接合体を、光反応型ホットメルト接着剤を用いて貼り合わせる方法に関するものである。
従来、薄膜基材と厚膜基材とを貼り合わせる際にホットメルト接着剤を用いた場合、接着剤の固化に伴う収縮によって、基材に反りの現象が発生していた。また、この反りを抑制するために、接着剤が固化する前に圧締すると、薄膜基材側に不規則な凹みが多発するという問題があった。一方、固化に伴う収縮が発生しない液状型の接着剤を用いた場合には、貼り合わせ後の接合体の厚みを高精度で一定に保持することが困難であった。
この反りと凹みの両方の現象に対して有効な貼り合せ方法としては、ホットメルト接着剤を用いた場合、圧締しながらホットメルト接着剤の温度を徐々に低下させ、固化速度を非常に遅くすることが考えられる。しかしながら、この対策では生産性が悪いため現実に用いることは困難であった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、光反応型ホットメルト接着剤を用い、薄膜基材と厚膜基材とを貼り合わせた接合体を積み重ねる際に、基材に反りや凹みの現象が発生することを抑制する薄膜基材の貼り合わせ方法を提供することにある。
本発明の薄膜基材の貼り合わせ方法は、光反応型ホットメルト接着剤を用いて、厚みが200μm以下の基材と厚みが300μm以上の基材とを貼り合わせた接合体を、硬化反応率が30〜100%で積み重ねて保管することを特徴とする。
本発明においては、貼り合わせた接合体を積み重ねる前に反応を進めることが重要である。即ち、光反応型ホットメルト接着剤を用いて、一方が薄膜基材の被着体を貼り合わせる際に、接着剤を一方の被着体に塗布した後、反応を惹起させるか、あるいはもう一方の被着体と貼り合わせた後に反応を惹起させる。その後、貼り合わせた接合体を積み重ねると、固化収縮による基材の反りや凹みが著しく抑制され、平滑度が高く、かつ厚み精度も高い貼り合わせ製品を製造することが出来る。
本発明による光反応型ホットメルト接着剤としては、特に限定されず、光カチオン硬化型接着剤と光ラジカル硬化型接着剤があり、光カチオン硬化型接着剤とは、カチオン重合性化合物と光カチオン開始剤を少なくとも各1種類を配合されてなる組成物であり、活性エネルギー線(光)が照射されることによって反応が開始され硬化する接着剤であり好ましく用いられる。
上記カチオン重合性化合物としては、環状エーテル基及びビニルエーテル基の中から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものであれば、特に限定されないが、活性エネルギー線照射により十分な硬化速度を得るために、1つの分子内に2つ以上の重合性基を含む多官能を少なくとも1種類以上含んでいることが好ましい。
上記カチオン重合性化合物のうち、環状エーテル基を有する化合物としては、例えば、エポキシ基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基等を有する化合物が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物として、具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂類、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、脂環式エポキシ基を有する化合物として、具体的には、2,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、EHPE−3150(ダイセル化学工業社製、脂環式エポキシ樹脂)等が挙げられる。
オキセタニル基を有する化合物として、具体的には、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
上記カチオン重合硬化性化合物のうち、ビニルエーテル基を有する化合物としては、具体的に、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ポリエステルジビニルエーテル、ポリウレタンポリビニルエーテル等が挙げられる。
上記カチオン重合硬化性化合物としては、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、本発明の光反応型ホットメルト接着剤において、上記のカチオン重合硬化性化合物と同時に、ラジカル重合硬化性の化合物を併用しても差し支えない。このラジカル重合硬化性化合物としては、分子内に1つ以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するものであれば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を有する化合物を用いることができる。
このようなラジカル重合硬化性化合物のうち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、ビニル基を有する化合物としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
上記ラジカル重合硬化性化合物としては、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の光反応型ホットメルト接着剤には、公知の光カチオン開始剤又は熱重合カチオン硬化剤を含有することが好ましい。この光カチオン開始剤を含有する場合には、活性エネルギー線を照射することにより硬化する。
上記光カチオン開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩を用いることができ、特に、芳香族オニウム塩を用いることが好ましい。その他、フェロセン誘導体等の鉄−アレーン錯体や、アリールシラノール−アルミニウム錯体等も好ましく用いることができる。
これらの市販品としては、具体的には、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990(いずれも、ダウケミカル社製)、イルガキュア264(チバスペシャルティケミカルズ社製)、CIT−1682(日本曹達社製)等が挙げられる。
上記光カチオン開始剤の含有量は、特に限定されず、上記光反応型ホットメルト接着剤中に固形分として0.5〜5重量%が好ましい。
また、本発明の光反応型ホットメルト接着剤に、カチオン重合硬化性化合物の他にラジカル重合硬化性化合物も含む場合は、上記の光カチオン開始剤と同時に、光ラジカル開始剤を含有することが好ましい。この光ラジカル開始剤の市販品としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651 、イルガキュア184 、イルガキュア907(いずれも、チバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。
上記光ラジカル開始剤の含有量は、特に限定されず、上記光反応型ホットメルト接着剤中に固形分として0.5〜5重量%が好ましい。
本発明においては、光反応型ホットメルト接着剤を用いて貼り合わせた接合体を、硬化反応率が30〜100%で積み重ねて保管する。好ましくは30〜90%、より好ましくは40〜90%である。この光反応型ホットメルト接着剤の硬化反応が進むほど、積み重ねたときの凹みが少なくなるが、上記光カチオン硬化型接着剤を用いて光照射後に貼り合わせる場合は、硬化反応が進みすぎると貼り合わせが困難になることから、硬化反応率が30〜60%で積み重ねて保管するのが好ましい。
また、本発明においては、光反応型ホットメルト接着剤の粘度が80℃で1000〜10000mPa・sであることが好ましい。当該粘度が1000mPa・s未満では、流動性が高くなり塗布すべきでない箇所まで流れやすくなるため、作業性が劣るようになり、逆に、当該粘度が10000mPa・sを超えると、流動性が劣るようになり、塗布作業が困難となることがある。
上記光反応型ホットメルト接着剤には、必要に応じて、増感剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料などを含んでいても差し支えない。上記増感剤については、紫外線ランプの種類によっては触媒に適合する波長光を照射できないものもあり、適宜添加される。
上記光反応型ホットメルト接着剤を硬化反応させる手段としては、紫外線、電子線、可視光などの活性エネルギー線の中から適切なものを選択して用いればよい。ただし、本発明においては、光カチオン重合硬化性の場合には、酸素による硬化阻害は起こらないため、ラジカル重合系におけるような活性エネルギー線照射雰囲気中の酸素濃度を制御する必要はなく有利である。しかしながら、水分、アミン系化合物、アルカリ化合物による活性種の失活が起きやすいため、系中にこれらの成分が混入しないよう注意する必要がある。
本発明の貼り合わせ方法においては、まず、対象となる基材表面に、光反応型ホットメル接着剤を塗布する。その塗布方法としては、ディップコート法、グラビアコート法、ロールコーター法、コンマコーター法、シム法、プレス法等の各種塗布方法を用いることができるが、気泡の混入を防ぐために減圧下等で行う方法も可能である。
この接着剤塗布の際の温度が高すぎると、基材を傷めるし、カチオン重合開始剤の反応が熱により進行する場合もあるため、15〜80℃が好ましいが、選ばれるカチオン重合性樹脂の反応性とカチオン重合開始剤の種類によって調整される。
上記接着剤塗布の後、紫外線照射により重合硬化させる場合は、適切な紫外線の照射量としては、添加される触媒量にも影響されるが、例えば1〜500mJ/cmが好ましく、1〜200mJ/cmがより好ましい。
また、電子線照射を行う場合には、電子線の照射量としては、使用する樹脂の反応性基の種類や量、層の厚さ、含有されるフィラー等の添加剤等の影響をうけるが、例えば1〜30Mradが好ましく、1〜10Mradがより好ましい。
上記光反応型ホットメルト接着剤層の厚みとしては、特に限定されることなく、対象となる基材の種類や用途によって適宜設定することができる。
本発明の薄膜基材の貼り合わせ方法は上述の通りの構成であり、光反応型ホットメルト接着剤を用い、薄膜基材と厚膜基材とを貼り合わせた接合体を積み重ねる際に、基材に反りや凹みの現象が発生することを抑制することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
1.光反応型ホットメルト接着剤の調製
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製)30重量部とビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート1001、ジャパンエポキシレジン社製)70重量部、カチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990、ダウケミカル社製)3重量部を100℃で撹拌混練し、光ディスク用光反応型ホットメルト接着剤を調製した。
2.貼り合わせ接合体の調製
上記1.で得られた接着剤を、厚みが100μmのポリカーボネート樹脂の基材上に、ロールコーター法により約200μm厚みに塗布した。次に、大気中で光源として超高圧水銀灯を用い、40mW/cmで30秒間紫外線を照射した。紫外線を照射後、厚みが500μmのポリカーボネート樹脂の基材と、約80℃で貼り合わせることにより接合体を調製した。
3.性能評価
上記2.で得られた貼り合わせ接合体の上に、表面が平滑な金属板(約1kg)を載せ、積み重ねて保管することの代替とすることにより、以下の方法で性能を評価した。その結果は表1に示す通りであった。
・凹み:上記金属板を取り除き、貼り合わせ接合体の凹みを目視で確認した。
・反り:金属板を取り除き、貼り合わせ接合体の反りを目視で確認した。また、金属板を載せない貼り合わせ接合体の反りも目視で確認した。
・硬化反応率:上記1.で得られた光反応型ホットメルト接着剤を、離型PETの間で約100μm厚みに加工して、実施例と同条件で紫外線を照射して、硬化反応率測定のための試料を調製した。この試料をMEK(メチルエチルケトン)に浸漬し、浸漬後に乾燥させた重量を、浸漬前の重量で割った値の百分率を硬化反応率とした。
(実施例2)
貼り合わせを実施した後に、紫外線を照射した以外は実施例1と同様にして、貼り合わせ接合体を調製した。
(比較例1)
紫外線を照射しないこと以外は実施例1と同様にして、貼り合わせ接合体を調製した。
(比較例2)
光反応型ホットメルト接着剤の代りに湿気硬化型ウレタンホットメルト接着剤(エスダイン9613A、積水化学工業社製)を用い、また紫外線を照射しないこと以外は実施例1と同様にして、貼り合わせ接合体を調製した。
実施例2及び比較例1〜2で得られた貼り合わせ接合体の性能を、実施例1と同様にして評価した。その結果は表1に示す通りであった。
Figure 2006077053

Claims (3)

  1. 光反応型ホットメルト接着剤を用いて、厚みが200μm以下の基材と厚みが300μm以上の基材とを貼り合わせた接合体を、硬化反応率が30〜100%で積み重ねて保管することを特徴とする薄膜基材の貼り合わせ方法。
  2. 光反応型ホットメルト接着剤の粘度が80℃で1000〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1記載の薄膜基材の貼り合わせ方法。
  3. 光反応型ホットメルト接着剤が光カチオン硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜基材の貼り合わせ方法。
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