JP2006077046A - 新規なエナミン構造含有高分子化合物及びその製造方法。 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真感光体材料、センサー材料、静電記録素子、EL素子、光スイッチング素子、電子ペーパー等の各種表示デバイス用材料として有用である新規な高分子有機導電性化合物とその製造方法を提供すること。
【解決手段】新規なエナミン構造含有高分子化合物とその製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式の感光体や有機EL素子等に用いられる有機導電性材料として有用な、エナミン構造含有高分子化合物及びその製造方法に関するものである。
電荷輸送機能または光導電性機能を有する有機材料は、低コスト、多様な加工性、無公害等の多くの利点があるため、種々の化合物、例えば、オキサジアゾール化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物等が提案されている。この様な有機材料の特性を利用した技術として電子写真感光体や有機EL素子がある。
電子写真は、光導電性の感光体を暗所でコロナ放電或いは接触帯電等で帯電させ、次いで画像露光して露光部の電荷を選択的に散逸させて静電潜像を形成し、この潜像部分をトナー(着色粒子)で現像して紙等に転写する画像形成法である。
このような電子写真で使用される感光体(電子写真感光体)は、一般的に基本的な性質として、(1)暗所におけるコロナ放電に対して帯電性が高いこと、(2)得られた帯電電荷の暗所での漏洩(暗減衰)が少ないこと、(3)光の照射によって帯電電荷の散逸(光減衰)が速やかであること、(4)光照射後の残留電荷が少ないこと等がある。
これまで電子写真感光体に用いられる光導電性材料としては、無機系の化合物、例えばセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、シリコン等が知られており、かつ実用化されている。しかし、これら無機系の化合物は、多くの長所を持っているのと同時に種々の欠点をも有している。例えばセレンには製造条件が難しく、熱や機械的衝撃で結晶化しやすいという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛は耐湿性、耐久性に難がある。シリコンについては帯電性の不足や製造上の困難さが指摘されている。更に、セレンや硫化カドミウムには毒性の問題もある。
これに対し、有機系の低分子導電性物質は成膜性がよく、可撓性も優れていて軽量であり、透明性もよく、適当な増感方法により広範囲の波長域に対する感光体の設計が容易である等の利点を有していることから、近年においては、無機系の化合物に取って代わって、電子写真方式の光導電性材料として主流を成すに至っている。
更に最近になって、感光体の物理的ないし化学的耐久性の向上と、電気特性の更なる改良を目的とした有機高分子導電性材料が提案されている。しかしながら、これまでに開発された、これら高分子の導電性材料をもってしても、昨今における電子写真方式での感光体の更なる高感度、高耐久性の要求を満足させるまでには至っていない(例えば、特許文献1〜10参照)。
また、有機導電材料の電荷輸送機能を利用した技術のもうひとつの例として、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)を挙げることができる。有機化合物を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの研究が行われている。
一般に有機EL素子は、発光層及び該発光層をはさんだ一対の対向電極から構成されている。この電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する。この光を外部に取り出して、ディスプレー等に利用する技術である。
従来の有機EL素子は、無機EL素子に比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低かった。また特性劣化も著しく、実用化には至らなかった。しかし、近年これらの問題点を克服するため様々な改良が成され、長足の進歩が遂げられている。特に、発光効率を高めるために電極からのキャリアー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設けた有機電界発光素子が開発され、従来のアントラセン等の単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善がなされた(非特許文献1参照)。
しかしながら、現在までの有機EL素子は、構成の改善により発光強度は改良されてきてはいるが、未だ充分な発光輝度は有していない。また、繰り返し使用時の安定性に欠けるという大きな問題点も指摘されている。従って、より大きな発光輝度を持ち、繰り返し使用時での安定性に優れた有機EL素子の開発のために、優れた電荷輸送能を有し、耐久性のある電荷輸送材料の開発が望まれている。
特開平3−221522号公報 特開平4−11627号公報 特開平6−295077号公報 特開平7−228557号公報 特開平7−258399号公報 特開平8−62864号公報 特開平8−176293号公報 特開平9−194442号公報 特開2000−136169号公報 特開2002−249472号公報 (Appl. Phys. Lett.,51巻,913頁,1987年)
本発明の目的は、電子写真感光体材料、センサー材料、静電記録素子、EL素子、光スイッチング素子、電子ペーパー等の各種表示デバイス用材料として有用である新規な高分子有機導電性材料とその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成すべく有機導電性化合物の研究を行なった結果、特定の構造を有するエナミン構造含有高分子化合物が極めて有効であることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の(I)〜(IV)である。
(I)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物。
Figure 2006077046
一般式(1)において、R〜Rは水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、Ar〜Arはアリール基もしくは複素環基を示す。Arは芳香環もしくは複素環より誘導される二価の連結基を示す。
(II)下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物。
Figure 2006077046
一般式(2)において、R〜Rは水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、R〜Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子を示す。また、R〜Rはアルキル基を示す。
(III)下記一般式(3)で示されるビスアルデヒド化合物と一般式(4)で示されるビスホスホネート化合物を反応させることを特徴とする請求項1記載のエナミン構造含有高分子化合物の製造方法。
Figure 2006077046
一般式(3)において、R〜R10は水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、Ar〜Arはアリール基もしくは複素環基を示す。一般式(4)において、R11はアルキル基もしくはアリール基を示し、Arは芳香環もしくは複素環より誘導される二価の連結基を示す。
(IV)下記一般式(5)で示されるビスアルデヒド化合物と一般式(6)で示されるビスホスホネート化合物を反応させることを特徴とする請求項2記載のエナミン構造含有高分子化合物の製造方法。
Figure 2006077046
一般式(5)において、R12〜R13は水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、R14〜R15は水素原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子を示す。一般式(6)において、R16はアルキル基もしくはアリール基を示し、R17〜R18はアルキル基を示す。
本発明により、電子写真方式の感光体や有機EL素子等に用いられる有機導電性材料として有用なエナミン構造含有高分子化合物を提供することができる。
一般式(1)において、R〜Rの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基を挙げることができ、Ar〜Arの具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基、ピリジル基、フリル基、チエニル基等の複素環基を挙げることができる。Arの具体例としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環から誘導される二価基及びピリジン環、フラン環、チオフェン環等の複素環から誘導される二価基を挙げることができる。
また、R〜R、Ar〜Arは置換基を有していてもよく、その具体例としては例えばシアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、エステル化されていてもよいカルボキシル基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基、フェニルチオ基等のアリールチオ基、ビニル基、アリル基、メタリル基等のアルケニル基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等のアミノ基、前述のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基等を挙げることができる。
一般式(2)において、R〜Rの具体例としては、水素原子、前述のアルキル基、アルコキシ基を挙げることができ、R〜Rの具体例としては水素原子、前述のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を挙げることができる。また、R〜Rの具体例としては前述のアルキル基を挙げることができるが、本発明の高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性を向上させるため、炭素数6以上のアルキル基であることが望ましい。
〜Rは置換基を有していてもよく、その具体例としては例えば前述のシアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができる。
本発明に係わる一般式(1)及び(2)で示される繰り返し単位の具体例として、例えば次の構造式を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006077046
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一般式(3)において、R〜R10の具体例としては、水素原子、前述のアルキル基、アルコキシ基を挙げることができ、Ar〜Arの具体例としては、前述のアリール基、複素環基を挙げることができる。また、R〜R10、Ar〜Arは置換基を有していてもよく、その具体例としては例えば前述のシアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができる。
一般式(4)において、Arの具体例としては前述した芳香環から誘導される二価基及び複素環から誘導される二価基を挙げることができ、R11の具体例としては、前述のアルキル基もしくはアリール基を示すことができる。Ar及びR11は置換基を有していてもよく、その具体例としては例えば前述のシアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができる。
一般式(5)において、R12〜R13の具体例としては、水素原子、前述のアルキル基、アルコキシ基を挙げることができ、R14〜R15の具体例としては、水素原子、前述のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を挙げることができる。また、R12〜R15は置換基を有していてもよく、その具体例としては例えば前述のシアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができる。
一般式(6)において、R17〜R18の具体例としては前述のアルキル基を挙げることができるが、本発明の高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性を向上させるために、炭素数6以上のアルキル基であることが望ましい。R16の具体例としては、前述のアルキル基もしくはアリール基を挙げることができる。R17〜R18及びR16は置換基を有していてもよく、その具体例としては例えば前述のシアノ基、ハロゲン原子、アミノ基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができる。
本発明に係わる一般式(3)及び(5)で示されるビスアルデヒド化合物の具体例として、例えば次の構造式を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006077046
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本発明に係わる一般式(4)及び(6)で示されるビスホスホネート化合物の具体例として、例えば次の構造式を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2006077046
Figure 2006077046
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本発明に係る一般式(3)及び(5)で示されるビスアルデヒド化合物は、下記一般式(107)で示されるエナミン化合物にホルミル基を2個導入して合成することができる。
Figure 2006077046
上記一般式(107)において、Ar〜Arはアリール基もしくは複素環基を示し、R19〜R20は水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
一般式(107)で示されるエナミン化合物は、特開平11−043458号公報等に記載されている方法により容易に合成することができる。
ホルミル基導入反応は様々な条件が公知となっているが、そのいずれの条件でも適用することができる。例えば、Organic Syntheses Vol.64,114-(John Wiely and Sons 社発行)等に記載されている有機金属化合物を経由する方法を挙げることができる。すなわち、あらかじめ導入しておいた臭素原子等のハロゲン原子にマグネシウムや有機リチウム試薬を作用させて有機金属化合物とし、これにDMF等を作用させてホルミル基を導入する方法である。この他に、Organic Reactions Vol.5 (John Wiely and Sons 社発行)等に記載されているGatterman-Koch反応、同Vol.9等に記載されているGattermanアルデヒド合成反応、オキシ塩化リンとDMFを用いたVilsmeier反応等を挙げることができる。
本発明の一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物は、一般式(3)、(5)で示されるビスアルデヒド化合物を原料とし、下記一般式(108)で示されるビスホスホニウム塩との反応(Wittig反応)もしくは一般式(4)、(6)で示されるビスホスホネート化合物との反応(Horner-Wadsworth-Emmons反応)により合成することができる。尚、本発明のエナミン構造含有高分子化合物の重量平均分子量に特に制限はないが、通常1,000から1,000,000程度である。
Figure 2006077046
上記一般式(108)において、Arは芳香環もしくは複素環より誘導される二価の連結基を示すし、Xはハロゲン原子を示す。
ここで本発明のエナミン構造含有高分子化合物合成の際の原料となる一般式(3)もしくは(5)で示されるビスアルデヒド化合物は、一種類もしくは複数種類のアルデヒド化合物の混合物として用いることができる。同様に、一般式(108)で示されるビスホスホニウム塩もしくは一般式(4)もしくは(6)で示されるビスホスホネート化合物も一種類もしくは複種類の化合物の混合物として用いることができる。
一般式(108)で示されるビスホスホニウム塩は、ハロメチル基が2個導入された芳香族もしくは複素環化合物とトリフェニルホスフィンの反応により容易に合成することができる。この化合物と一般式(3)、(5)で示されるビスアルデヒド化合物のWittig反応の条件としては、Organic Reactions Vol.14 (John Wiely and Sons 社発行)等に記載の条件を挙げることができる。
一般式(4)、(6)で示されるビスホスホネート化合物は、ハロメチル基が2個導入された芳香族もしくは複素環化合物と亜リン酸トリエチル等の亜リン酸エステルとのArbuzov反応により容易に合成することができる。この化合物と一般式(3)、(5)で示されるビスアルデヒド化合物のHorner-Wadsworth-Emmons反応の条件としては、Organic Reactions Vol.25 (John Wiely and Sons 社発行)等に記載の条件を挙げることができる。
Wittig反応により得られた本発明のエナミン構造含有高分子化合物は、有機溶媒に対する溶解性が良好で塗液を作製する上では取り扱いが容易である等の利点はあるが、平均分子量が低い傾向がある。一方、Horner-Wadsworth-Emmons反応により得られた本発明のエナミン構造含有高分子化合物は平均分子量が大きくなる傾向があり、電荷輸送材料としての特性上は好ましい特徴があるが、溶媒への溶解性が極めて悪くなり、塗液を作製する上では致命的な欠陥となる。一般に、平均分子量が大きく、かつ塗液作製上の取り扱いが容易な高分子材料を得るためには可溶性基を高分子中に導入することが効果的である。本発明に係る一般式(6)で示されるホスホネート化合物のR17もしくはR18に可溶性基として炭素数6以上のアルキル基を導入した化合物と一般式(3)、(5)で示されるビスアルデヒド化合物の反応により得られるエナミン構造含有高分子化合物は、大きな平均分子量と溶媒への溶解性を併せ持つことからより好ましい構造の化合物である。
本発明の一般式(1)、(2)で示される構造単位を有するエナミン構造含有高分子化合物は、電子写真用の有機導電性材料として優れた性能を発揮する。該高分子化合物を含有する感光層を含む電子写真感光体の形態は、いずれのものでも用いることができる。例えば、導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸送物質及びフィルム形成性結着剤樹脂からなる感光層を設けた単層型の感光体や、導電性支持体上に、電荷発生物質と結着剤樹脂からなる電荷発生層と、電荷輸送物質と結着剤樹脂からなる電荷輸送層をこの順に設けた機能分離型と呼ばれる積層型の感光体が知られているが、本発明の化合物はいずれの構成においても用いることができる。
電子写真感光体は、本発明のエナミン構造含有高分子化合物の他に支持体、バインダー、電荷発生材料、電荷輸送材料、添加剤等の材料を用いて作製する。その具体的な例としては特開昭63−89866号公報、特開平1−200267号公報、特開平1−202757号公報、特開平2−51162号公報、特開平2−184857号公報、特開平3−73958号公報、特開2001−296675号公報、特開2002−14483号公報、特開2002−23396号公報、特開2002−23397号公報、特開2002−23398号公報、特開2002−40690号公報、特開2002−40691号公報、特開2002−49168号公報、特開2002−55469号公報、特開2002−82458号公報、特開2003−131409号公報、特開2003−195542号公報、特開2003−267971号公報、特開2003−270829号公報、特開2003−270863号公報、特開2003−280222号公報等に記載されている材料、作製方法が挙げられる。
本発明の一般式(1)、(2)で示される構造単位を有するエナミン構造含有高分子化合物は、有機EL素子用の有機導電性材料として優れた性能を発揮する。該高分子化合物を含有する正孔注入層を含む有機EL素子の形態は、いずれのものでも用いることができる。例えば、表面に金属薄膜等の電極を形成したガラス基板上に正孔注入層を設け、更に発光層、電極を積層した形態等が挙げられる。また、必要に応じて電子輸送層を挿入したり、発光層に添加剤を加えた形態で用いてもよい。
有機EL素子は、本発明のエナミン構造含有高分子化合物の他に支持体、電極材料、バインダー、発光層材料、添加剤、封止材料、電荷輸送材料等を用いて作製する。その具体的な例としては特開2000−340363号公報、特開平3−165829号公報、特開平2−220349号公報、特開平2−212150号公報、特開2000−150169号公報、特開2002−105445号公報、特表2000−514590号公報、有機EL材料とディスプレイ(城戸 淳二編、シーエムシー出版)、有機ELディスプレイ構成材料の市場(シーエムシー出版)、有機EL素子とその工業化最前線(宮田 清蔵監修、エヌ・ティー・エス)等に記載されている材料、作製方法が挙げられる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006077046
a)ホスホニウム塩(109)の合成
還流冷却器を装着した300mlのフラスコ中、1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン10.6g、トリフェニルホスフィン26.2g、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)140mlを混合し、フラスコ内を窒素置換した。反応器を165℃に加熱し、3時間加熱還流した。放冷後析出した結晶を濾取し、DMF、エーテルで順次洗浄した。得られた結晶をデシケーター中で減圧乾燥してホスホニウム塩(109)を27.4g得た。収率は86.9%であった。
Figure 2006077046
b)ホスホニウム塩(110)の合成
1,4−ジブロモメチルベンゼンの代わりに1,2−ビス(ブロモメチル)ベンゼンを用いる他は上記ホスホニウム塩(109)と同様にしてホスホニウム塩(110)を25.6g得た。収率は82%であった。
1H−NMR(DMSO-d6)δ4.70ppm(d,4H),δ6.9〜7.1ppm(m,4H),δ7.5〜8.0ppm(m,30H)
13C−NMR(DMSO-d6)δ25.28ppm,δ26.04ppm,δ116.89ppm,δ118.25ppm,δ128.44ppm,δ130.11ppm,δ132.34ppm,δ133.92ppm,δ135.15ppm
c)ホスホネート化合物(97)の合成
還流冷却器を装着した50mlのフラスコ中、2,5−ビス(ブロモメチル)−1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン13.8gと亜リン酸トリエチル16.3gを混合し、110℃で1時間加熱還流した。更に150℃で1時間加熱還流した後、還流冷却器を外して160℃で1時間加熱攪拌した。反応終了後、12Torrの減圧下に160℃で2時間加熱攪拌して揮発成分を除去し、ホスホネート化合物(97)を17.5g得た。収率はほぼ定量的であった。
1H−NMR(CDCl3)δ0.92ppm(m,6H),δ1.1〜1.8ppm(m,21H),δ3.23ppm(d,4H),δ3.82ppm(m,5H),δ4.00ppm(m,6H),δ6.90ppm(s,1H),δ6.96ppm(s,1H)
13C−NMR(CDCl3)δ11.06ppm,δ13.98ppm,δ16.21ppm,δ22.95ppm,δ23.80ppm,δ24.91ppm,δ25.25ppm,δ27.13ppm,δ27.48ppm,δ29.01ppm,δ30.49ppm,δ39.55ppm,δ56.02ppm,δ61.72ppm,δ71.03ppm,δ113.86ppm,δ114.68ppm,δ119.23ppm,δ150.55ppm
d)ホスホネート化合物(104)の合成
還流冷却器を装着した50mlのフラスコ中、2,5−ビス(ブロモメチル)−1,4−ビス(オクチルオキシ)ベンゼン17.6gと亜リン酸トリエチル16.9gを混合し、110℃で1時間加熱還流した。更に150℃で1時間加熱還流した後、還流冷却器を外して160℃で1時間、次いで170℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、12Torrの減圧下に160℃で2時間加熱攪拌して揮発成分を除去した。放冷後、結晶化したフラスコ内容物をよく砕いてロート上へ移し、少量のヘキサンで洗浄してホスホネート化合物(104)を18.4g得た。収率は85.9%であった。
1H−NMR(CDCl3)δ0.89ppm(m,6H),δ1.2〜1.5ppm(m,32H),δ1.80ppm(m,4H),δ3.22ppm(d,4H),δ3.91ppm(t,4H),δ4.02ppm(m,8H),δ6.91ppm(s,2H)
13C−NMR(CDCl3)δ14.02ppm,δ16.28ppm,δ22.59ppm,δ25.02ppm,δ26.05ppm,δ27.25ppm,δ29.18ppm,δ29.32ppm,δ29.38ppm,δ31.74ppm,δ61.76ppm,δ68.88ppm,δ114.79ppm,δ119.30ppm,δ150.27ppm
e)アルデヒド化合物(82)の合成
200mlのフラスコに計量したDMF28.9gへ氷冷攪拌下に、内温18℃以下を維持しながらオキシ塩化リン40.5gを滴下した。氷浴上で更に1時間攪拌した後、特開平11−043458号公報に記載の方法で合成した下記(111)のエナミン化合物20.9gを添加し、80℃で65時間加熱攪拌した。
Figure 2006077046
反応終了後、反応液をDMF30mlで希釈して氷水600mlに注ぎ、55℃の水浴上で30分間加熱して加水分解した。放冷後、析出した固形分を濾取し、ロート上水、メタノールで順次洗浄した。クロロホルムを移動層とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで得られた固形分を精製して、アルデヒド化合物(82)を13.7g得た。収率は56.6%であった。
1H−NMR(CDCl3)δ6.72ppm(s,1H),δ6.9〜7.0ppm(m,5H),δ7.17ppm(d,4H),δ7.3〜7.4ppm(m,5H),δ7.66ppm(d,4H),δ9.83ppm(s,2H)
13C−NMR(CDCl3)δ121.96ppm,δ127.42ppm,δ127.88ppm,δ127.93ppm,δ128.00ppm,δ128.38ppm,δ128.58ppm,δ129.44ppm,δ130.95ppm,δ131.45ppm,δ137.15ppm,δ137.84ppm,δ140.22ppm,δ149.90ppm,δ190.57ppm
f)アルデヒド化合物(77)の合成
エナミン化合物(111)の代わりに特開平11−043458号公報に記載の方法で合成した下記(112)のエナミン化合物28.9gを用いた他はアルデヒド化合物(82)の場合と同様にしてアルデヒド化合物(77)を合成した。
1H−NMR(CDCl3)δ6.66ppm(s,1H),δ6.72ppm(t,2H),δ6.90ppm(m,2H),δ7.03ppm(t,2H),δ7.17ppm(d,4H),δ7.24ppm(m,2H),δ7.69ppm(d,4H),δ9.84ppm(s,2H)
13C−NMR(CDCl3)δ114.95ppm,δ115.29ppm,δ115.60ppm,δ121.92ppm,δ128.58ppm,δ129.14ppm,δ129.27ppm,δ131.02ppm,δ131.16ppm,δ131.66ppm,δ133.71ppm,δ133.76ppm,δ134.86ppm,δ136.18ppm,δ136.23ppm,δ149.73ppm,δ159.92ppm,δ160.77ppm,δ163.87ppm,δ164.72ppm,δ190.48ppm
Figure 2006077046
g)例示構造(23)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(82)1.61gとホスホニウム塩(110)3.15gをテトラヒドロフラン(THF)120mlに懸濁し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.34gを4分割で添加した。室温で30分間攪拌した後、水500mlで希釈して有機成分をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して減圧下に濃縮し、メタノールを添加して析出した結晶を濾取した。得られた結晶をTHF20mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(23)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物0.69gを得た。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図1に示す。
h)例示構造(21)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(82)1.61gとホスホニウム塩(109)3.15gをテトラヒドロフラン(THF)120mlに懸濁し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.34gを4分割で添加した。室温で30分間攪拌した後、水500mlで希釈して有機成分をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して減圧下に濃縮し、メタノールを添加して析出した結晶を濾取した。得られた結晶をTHF20mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(21)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物1.25gを得た。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図2に示す。
i)例示構造(30)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(77)2.20gとホスホニウム塩(109)3.94gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに懸濁し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.68gを4分割で添加した。室温で30分間攪拌した後、水500mlで希釈して有機成分をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して減圧下に濃縮し、メタノールを添加して析出した結晶を濾取した。得られた結晶をTHF20mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(30)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物1.10gを得た。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図3に示す。
j)例示構造(33)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(77)1.32gとホスホネート化合物(97)1.61gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.01gを3分割で添加した。室温で17時間攪拌した後、水500mlで希釈して有機成分をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して減圧下に濃縮し、メタノールを添加して析出した結晶を濾取した。得られた結晶をTHF40mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(33)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物1.00gを得た。この化合物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)が36000、重量平均分子量(Mw)が38000であった。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図4に示す。
k)例示構造(36)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(77)1.32gとホスホネート化合物(104)1.90gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.01gを3分割で添加した。室温で17時間攪拌した後、水500mlで希釈して有機成分をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して減圧下に濃縮し、メタノールを添加して析出した結晶を濾取した。得られた結晶をTHF40mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(36)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物1.00gを得た。この化合物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)が118000、重量平均分子量(Mw)が125000であった。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図5に示す。
l)例示構造(27)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(82)1.21gとホスホネート化合物(104)1.90gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.01gを3分割で添加した。室温で17時間攪拌した後、水500mlで希釈して有機成分をクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別して減圧下に濃縮し、メタノールを添加して析出した結晶を濾取した。得られた結晶をTHF40mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(27)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物0.80gを得た。この化合物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)が96000、重量平均分子量(Mw)が101000であった。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図6に示す。
m)例示構造(24)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の合成。
アルデヒド化合物(82)1.21gとホスホネート化合物(97)1.61gをテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、氷浴上攪拌下、カリウム−t−ブトキシド1.01gを3分割で添加した。室温で17時間攪拌した後、水500mlで反応液を希釈した。デカンテーションにより上澄みの水層を廃棄し、沈殿物にメタノールを添加してよく砕いて濾取した。濾取物を自然乾燥してTHF40mlに溶解し、メタノール200mlに滴下して再沈殿を行った。沈殿した結晶を濾取し、ロート上メタノールで洗浄した。再度同様に再沈殿を行い、濾取、ロート上メタノール洗浄の後、自然乾燥して例示構造(24)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物1.20gを得た。この化合物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、ポリスチレン換算で数平均分子量(Mn)が49000、重量平均分子量(Mw)が49000であった。この高分子化合物の赤外吸収スペクトルを図7に示す。
[応用例1]ビスアゾ顔料を用いた電子写真感光体材料としての応用例
電荷発生物質として、下記構造式のビスアゾ顔料(113)1重量部及びポリエステル樹脂(東洋紡績製バイロン200)1重量部をテトラヒドロフラン100重量部と混合し、ペイントコンディショナー装置でガラスビーズと共に2時間分散した。こうして得た分散液を、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布して乾燥し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。次に、ジクロロエタンを溶媒として実施例で合成した本発明の例示構造(24)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の10重量%の溶液を作り、上記の電荷発生層の上にアプリケーターで塗布して膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2006077046
この様にして作製した積層型感光体について、静電記録試験装置(川口電機製EPA−8200)を用いて電子写真特性の評価を行った。
測定条件:印加電圧−6kV、スタティックNo. 3(ターンテーブルの回転スピードモード:10m/min )。その結果、帯電電位(Vo)が−700V、半減露光量(E1/2)が1.00ルックス・秒と高感度の値を示した。
更に同装置を用いて、帯電−除電(除電光:白色光で400ルックス×1秒照射)を1サイクルとする繰返し使用に対する特性評価を行った。5000回での繰返しによる帯電電位の変化を求めたところ、1回目の帯電電位(Vo)−700Vに対し、5000回目の帯電電位(Vo)は−695Vであり、繰返しによる電位の低下がほとんどなく安定した特性を示した。また、1回目の半減露光量(E1/2)1.00ルックス・秒に対して5000回目の半減露光量(E1/2)は1.00ルックス・秒と変化が少なく優れた特性を示した。
[応用例2]フタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体材料としての応用例
電荷発生物質として、アゾ顔料(113)の代わりに、特開2000−129156号公報に記載の方法で製造したCuKα1.541ÅのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が、9.5°、13.5°、14.2°、18.0°、24.0°、27.2°に主要なピークを示すX線回折スペクトルを有するチタニルオキシフタロシアニンを、例示構造(24)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物の代わりに例示構造(36)の繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物を用いた他は、応用例1と同様にして感光体を作製し、その特性を応用例1と同様に評価した。結果は、帯電電位(Vo)が−720V、半減露光量(E1/2)が0.85ルックス・秒と高感度の値を示した。また、繰返し使用に対する特性評価でも、1回目の帯電電位(Vo)−720Vに対し、5000回目の帯電電位(Vo)は−720Vであり、繰返しによる電位の変動がなく安定した特性を示した。また、1回目の半減露光量(E1/2)0.85ルックス・秒に対して5000回目の半減露光量(E1/2)は0.83ルックス・秒と殆ど変化がなく優れた特性を示した。
本発明のエナミン構造含有高分子化合物の活用例として、従来用途に加え、静電記録素子、有機EL素子、光スイッチング素子、電子ペーパー等の各種表示デバイス及びセンサー素子材料としての活用が挙げられる。
実施例で合成した高分子化合物(23)の赤外吸収スペクトル 実施例で合成した高分子化合物(21)の赤外吸収スペクトル 実施例で合成した高分子化合物(30)の赤外吸収スペクトル 実施例で合成した高分子化合物(33)の赤外吸収スペクトル 実施例で合成した高分子化合物(36)の赤外吸収スペクトル 実施例で合成した高分子化合物(27)の赤外吸収スペクトル 実施例で合成した高分子化合物(24)の赤外吸収スペクトル

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物。
    Figure 2006077046
    (一般式(1)において、R〜Rは水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、Ar〜Arはアリール基もしくは複素環基を示す。Arは芳香環もしくは複素環より誘導される二価の連結基を示す。)
  2. 下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するエナミン構造含有高分子化合物。
    Figure 2006077046
    (一般式(2)において、R〜Rは水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、R〜Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子を示す。また、R〜Rはアルキル基を示す。)
  3. 下記一般式(3)で示されるビスアルデヒド化合物と一般式(4)で示されるビスホスホネート化合物を反応させることを特徴とする請求項1記載のエナミン構造含有高分子化合物の製造方法。
    Figure 2006077046
    (一般式(3)において、R〜R10は水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、Ar〜Arはアリール基もしくは複素環基を示す。一般式(4)において、R11はアルキル基もしくはアリール基を示し、Arは芳香環もしくは複素環より誘導される二価の連結基を示す。)
  4. 下記一般式(5)で示されるビスアルデヒド化合物と一般式(6)で示されるビスホスホネート化合物を反応させることを特徴とする請求項2記載のエナミン構造含有高分子化合物の製造方法。
    Figure 2006077046
    (一般式(5)において、R12〜R13は水素原子、アルキル基もしくはアルコキシ基を示し、R14〜R15は水素原子、アルキル基、アルコキシ基もしくはハロゲン原子を示す。一般式(6)において、R16はアルキル基もしくはアリール基を示し、R17〜R18はアルキル基を示す。)
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