JP2006077035A - 難燃剤及びその製造方法並びに難燃性繊維布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な難燃性を付与できると共に、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生がなく、分散安定性及び塗工安定性に優れた難燃剤を提供する。
【解決手段】熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤をコーティングする。中でも、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされた構成とするのが好ましく、このような構成の難燃剤は、リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布した後、更に界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布し、乾燥させることによって製造できる。
【選択図】 なし
【解決手段】熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤をコーティングする。中でも、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされた構成とするのが好ましく、このような構成の難燃剤は、リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布した後、更に界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布し、乾燥させることによって製造できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水系合成樹脂エマルジョン等の液中での分散安定性に優れた難燃剤及びこれを用いた難燃性繊維布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用フロアーマット等の車両用内装材には、火災時の安全性を高めるために、優れた難燃性を備えていることが求められている。このような難燃化の要求に応えるために、従来より、自動車用フロアーマットの裏面に設けられる合成樹脂製の裏打層に難燃剤を含有せしめることが行われている。このような難燃剤としては、例えば塩素原子や臭素原子等のハロゲンを化学構造中に有する難燃剤(ハロゲン系難燃剤)が多く用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このようなハロゲン系難燃剤は、火災時には、塩化水素ガス、ハロゲンガス等の有毒ガスを発生することが知られており、搭乗者の安全確保の面から好ましいものではないし、使用後に焼却処分する際にも様々な有毒ガスを発生することが指摘されており、地球環境保護の観点からも好ましいものではなかった。
【0004】
そこで、前記裏打層を形成する水系合成樹脂エマルジョン中に難燃剤として熱膨張性黒鉛を含有せしめることが提案されている(特許文献2参照)。この技術によれば、十分な難燃性を付与できる上に、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−166148号公報(請求項1、段落0019)
【0006】
【特許文献2】
特開2001−73275号公報(請求項1、段落0015)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記熱膨張性黒鉛は、水系合成樹脂エマルジョン中における分散安定性が良好ではないという問題があった。このように分散安定性が良好ではないので、繊維布帛の裏面に塗布した際に熱膨張性黒鉛を均一分散状態で付与せしめることは難しかったし、エマルジョンの液安定性が悪く比較的短期間で熱膨張性黒鉛が凝集して沈降分離する傾向が強かった。
【0008】
また、繊維布帛の裏面に塗布した際の塗布のしやすさや、塗工安定性も十分と言えるものではなかった。
【0009】
更に、熱膨張性黒鉛を含有せしめたことで繊維布帛の柔軟性が低下する傾向があった。
【0010】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、十分な難燃性を付与できると共に、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生がなく、分散安定性及び塗工安定性に優れた難燃剤及びその製造方法並びに該難燃剤を用いた難燃性繊維布帛を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていることを特徴とする難燃剤(第1発明)によって達成される。
【0012】
また、上記目的は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされていることを特徴とする難燃剤(第2発明)によって達成される。
【0013】
上記いずれの難燃剤も、界面活性剤がコーティングされているので、分散安定性に優れたものとなり、例えば水系合成樹脂エマルジョン中に含有せしめた状態でも凝集して沈降分離することがない。従って、例えばこの難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布した際には、熱膨張性黒鉛を均一分散状態で繊維布帛に付与できると共に、塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れている。更に、リン酸エステルもコーティングされているので、界面活性剤の固着安定性を向上できると共に、繊維布帛に十分な柔軟性を付与できる。また、熱膨張性黒鉛及びリン酸エステルを含有しているので十分な難燃性を付与できるし、ハロゲン系難燃剤を用いないので火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。更に、このようにリン酸エステルを熱膨張性黒鉛にコーティングした構成を採用することで、熱膨張性黒鉛とリン酸エステルを単に混合して用いた系と比較して、同等の難燃性能を得るのに要する熱膨張性黒鉛使用量が少なくて済む、即ち減量化できるという利点も有する。
【0014】
また、第2発明の難燃剤では、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされているので、界面活性剤の離脱が効果的に防止され得て、長期間にわたって優れた分散安定性を確保できる。
【0015】
本発明の難燃剤においては、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量が5〜50重量部で界面活性剤のコーティング量が0.5〜10重量部の範囲である構成が採用されるのが好ましい。これにより、難燃剤としての分散安定性を向上できると共に、界面活性剤の固着安定性を向上できる利点がある。
【0016】
上記熱膨張性黒鉛の平均粒径は50〜1000μmであるのが好ましい。これにより、分散安定性を十分に確保しつつより優れた難燃性能を確保できる。
【0017】
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。これにより、界面活性剤の離脱(コーティング状態の解除)を確実に防止できる。
【0018】
また、この発明に係る難燃剤の製造方法は、リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布する第1塗布工程と、該第1塗布工程を経た後の熱膨張性黒鉛に、界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布する第2塗布工程とを包含することを特徴とする。この製造方法によれば、前記第2発明の難燃剤を生産効率良く製造できる。
【0019】
この製造方法では、前記第2塗布工程を経た後に乾燥処理を行うのが好ましい。これにより、リン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対して強く固着させることができる。
【0020】
また、第1塗布工程においてリン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を撹拌状態にある熱膨張性黒鉛にスプレー法により塗布する一方、第2塗布工程において界面活性剤を溶解含有した溶媒を撹拌状態にある熱膨張性黒鉛にスプレー法により塗布する場合には、これらリン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる利点がある。
【0021】
この発明に係る難燃性繊維布帛は、上記いずれかの構成に係る難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られたものである。
【0022】
また、この発明の別の難燃性繊維布帛は、上記いずれかの製造方法により製造された難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られたものである。
【0023】
上記いずれの難燃性繊維布帛も、熱膨張性黒鉛が均一分散状態で繊維布帛に付与され得るから優れた難燃性を確保できる。上記エマルジョンは塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れているので、繊維布帛としての品質を向上できる。また、熱膨張性黒鉛にリン酸エステルもコーティングされているので、繊維布帛として十分な柔軟性を確保できる。また、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【0024】
【発明の実施の形態】
第1発明の難燃剤は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていることを特徴とするものである。この難燃剤は、界面活性剤がコーティングされているので、分散安定性に優れている。従って、例えば水系合成樹脂エマルジョン中に含有せしめた状態でも凝集して沈降分離することがないから、例えばこの難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布した際には、熱膨張性黒鉛を均一分散状態で繊維布帛に付与できる利点があるし、また塗布がしやすく、塗工安定性にも優れている。更に、リン酸エステルもコーティングされているので、界面活性剤の固着安定性を向上できると共に、繊維布帛に十分な柔軟性を付与できる。また、熱膨張性黒鉛及びリン酸エステルを含有しているので十分な難燃性を付与できるし、ハロゲン系難燃剤を含有しないので火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【0025】
なお、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていれば十分であるが、勿論表面のみならず、熱膨張性黒鉛の層間内にもコーティングされていても良い。
【0026】
好適な形態は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされた構成(第2発明)である。リン酸エステル層を中間層に介することで、界面活性剤の離脱が一層効果的に防止されるので、長期間にわたって優れた分散安定性を維持できる。
【0027】
本発明で用いる熱膨張性黒鉛は、例えば天然黒鉛の粉末や粒子を硫酸と酸化剤で反応処理したのち、酸除去、水洗(中和)、乾燥を経ることによって製造できるが、特にこのような製造方法によって製造されるものに限定されるものではない。熱膨張性黒鉛の製造方法については、例えば特公昭60−34492号公報にも記載されている。一般に、熱膨張性黒鉛は、数百〜1000℃程度で加熱されると、その層間の間隔が数十倍から数百倍程度まで膨張することが知られている。
【0028】
前記熱膨張性黒鉛の平均粒径(常温状態)は、50〜1000μmであるのが好ましい。50μm未満では、十分な難燃性能が得られなくなるので好ましくないし、1000μmを超えると分散安定性が低下するので好ましくない。中でも、熱膨張性黒鉛の平均粒径(常温状態)は、150〜500μmの範囲であるのが特に好ましい。
【0029】
本発明においては、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量が5〜50重量部で界面活性剤のコーティング量が0.5〜10重量部の範囲であるのが好ましい。
【0030】
リン酸エステルのコーティング量が前記下限を下回ると、界面活性剤の固着安定性が低下するので好ましくないし、一方前記上限を超えても効果の増大は望めず徒に使用量を増大させるだけであるので好ましくない。
【0031】
また、界面活性剤のコーティング量が前記下限を下回ると、分散安定性が低下する傾向にあるので好ましくないし、一方前記上限を超えると窓ガラスを曇化させる傾向があるので好ましくない。
【0032】
中でも、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量を5〜30重量部、界面活性剤のコーティング量を0.5〜5重量部の範囲とするのが特に好ましい。
【0033】
前記リン酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えばレゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0034】
前記界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えばカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、この場合には界面活性剤の熱膨張性黒鉛に対する固着性を向上させることができて、界面活性剤の離脱を確実に防止できる。
【0035】
前記第1発明の難燃剤は、例えば、リン酸エステル及び界面活性剤を溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布した後、乾燥を行うことによって製造することができる。
【0036】
次に、前記第2発明の難燃剤の製造方法の一例について説明する。まず、リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布する(第1塗布工程)。この時、熱膨張性黒鉛を撹拌しながら塗布するのが好ましく、これによりリン酸エステルを熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。例えば、熱膨張性黒鉛をミキサー内で撹拌しながらその上方から塗布する。また、塗布はスプレー法により行うのが好ましく、これによりリン酸エステルを熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。
【0037】
前記有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。中でも、メタノールを用いるのが好ましい。メタノールを用いれば、乾燥時間を短くできる利点がある。
【0038】
前記第1塗布工程を経た後の熱膨張性黒鉛に、界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布する(第2塗布工程)。この時、熱膨張性黒鉛を撹拌しながら塗布するのが好ましく、これにより界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。例えば、熱膨張性黒鉛をミキサー内で撹拌しながらその上方から塗布する。また、塗布はスプレー法により行うのが好ましく、これにより界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。前記溶媒としては、特に限定されないが、例えば水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。中でも、メタノールを用いるのが好ましい。メタノールを用いれば、乾燥時間を短くできる利点がある。
【0039】
次いで、乾燥処理を行って、前記第1塗布工程での有機溶媒や、前記第2塗布工程での溶媒等を揮発せしめて、乾燥状態の難燃剤を得る。このような乾燥処理を行うことによって、リン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対して強く固着させることができる。
【0040】
なお、上記製造方法では、第1塗布工程と第2塗布工程の間に乾燥工程を設けていないが、ここに乾燥工程を設けるようにしても構わない。
【0041】
また、上記製造方法では、塗布をスプレー法により行っているが、他の方法により行うものとしても良く、例えばディッピング法により行っても良い。
【0042】
上記製造方法は、好適な一例を示したものに過ぎず、本発明の難燃剤は、上記例示の製造方法で製造されるものに特に限定されるものではない。
【0043】
次に、この発明に係る難燃性繊維布帛について説明する。この難燃性繊維布帛は、前記難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られたものである。
【0044】
前記水系合成樹脂エマルジョンを構成する合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系樹脂、EVA系樹脂、ウレタン系樹脂、合成ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーン・アクリル系樹脂等が挙げられる。中でも、アクリル樹脂を用いるのが好ましく、この場合には繊維布帛に対する接着安定性を向上できる利点がある。
【0045】
前記水系合成樹脂エマルジョンにおける難燃剤と合成樹脂の配合重量比は、難燃剤/合成樹脂=10/90〜90/10の範囲とするのが好ましい。難燃剤の配合割合が上記下限を下回ると繊維布帛に対して十分な難燃性能を付与できなくなるので好ましくないし、難燃剤の配合割合が上記上限を上回ると繊維布帛としての柔軟性が低下するので好ましくない。中でも、前記水系合成樹脂エマルジョンにおける難燃剤と合成樹脂の配合重量比は、難燃剤/合成樹脂=20/80〜40/60の範囲とするのが特に好ましい。
【0046】
前記エマルジョンの繊維布帛裏面への塗布量は、固形分換算で30〜300g/m2 の範囲とするのが好ましい。上記上限を上回ると繊維布帛としての軽量性を確保するのが困難になるので好ましくないし、一方上記下限を下回ると十分な難燃性能を付与できなくなるので好ましくない。
【0047】
前記エマルジョンの繊維布帛裏面への塗布方法は、特に限定されず、例えばドクターナイフ法、ロールコート法、パディング法、スプレー法などが挙げられる。
【0048】
前記エマルジョンには、水、合成樹脂、難燃剤の他に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、顔料、染料等の各種添加剤を含有せしめても良い。
【0049】
前記繊維布帛としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット等が挙げられる。
【0050】
なお、本発明の難燃剤は、上記例示の用途(難燃性繊維布帛)に限定されるものではなく、どのような用途にも適用することができる。
【0051】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0052】
<実施例1>
「ホスコン903N コンクA」(商品名、明成化学工業株式会社製、リン酸エステル)を50重量%溶解含有したメタノール溶液を、ミキサー内で撹拌されている熱膨張性黒鉛(平均粒径300μm、住金ケミカル株式会社製)に上方よりスプレー塗布した後、引き続いてミキサー内で熱膨張性黒鉛を十分に撹拌混合し、次いで「ホスコン903N コンクB」(商品名、明成化学工業株式会社製、アニオン系界面活性剤)を50重量%溶解含有したメタノール溶液を、前記撹拌されている熱膨張性黒鉛に上方よりスプレー塗布した後、引き続いてミキサー内で熱膨張性黒鉛を十分に撹拌混合した。次いで100〜120℃で乾燥処理を行って難燃剤を得た。この難燃剤は、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルが6.7重量部コーティングされ、界面活性剤が1.4重量部コーティングされたものであった。
【0053】
次に、水56重量部、アクリル樹脂22重量部、上記難燃剤18重量部、ポリリン酸アンモニウム4重量部からなる水系アクリル樹脂エマルジョンを調製し、このエマルジョンをドクターナイフ法により自動車用表皮材(繊維布帛)の裏面に塗布量(固形分)70g/m2 で塗布した後、150℃で乾燥処理を行って難燃性繊維布帛を得た。
【0054】
<実施例2〜9>
表1、2に示す条件(配合量等)で難燃剤及びエマルジョンを調製した以外は、実施例1と同様にして難燃性繊維布帛を得た。
【0055】
<比較例1>
水56重量部、アクリル樹脂22重量部からなる水系アクリル樹脂エマルジョンに、熱膨張性黒鉛16.5重量部、ホスコン903NコンクA(リン酸エステル)1.25重量部、ホスコン903NコンクB(アニオン系界面活性剤)0.25重量部、ポリリン酸アンモニウム4重量部を添加したものを調製し、これをドクターナイフ法により自動車用表皮材の裏面に塗布量(固形分)70g/m2 で塗布した後、150℃で乾燥処理を行って難燃性繊維布帛を得た。
【0056】
<参照例1>
水55重量部、アクリル樹脂25重量部からなる水系アクリル樹脂エマルジョンに、ハロゲン系難燃剤としてデカブロアンチモン20重量部を添加したものを調製し、これをドクターナイフ法により自動車用表皮材の裏面に塗布量(固形分)70g/m2 で塗布した後、150℃で乾燥処理を行って難燃性繊維布帛を得た。なお、「デカブロアンチモン」は商品名であり、デカブロモビフェニルエーテルと3酸化アンチモンの混合物からなるハロゲン系難燃剤である。
【0057】
<参照例2>
塗布量を35g/m2 とした以外は、参照例1と同様にして難燃性繊維布帛を得た。
【0058】
<参照例3>
エマルジョン組成を表2に示す条件とした以外は、参照例1と同様にして難燃性繊維布帛を得た。
【0059】
上記のようにして得られたエマルジョン、繊維布帛について下記評価法に基づいて各種評価を行った。これらの結果を表1、2に示す。
【0060】
<難燃性評価法>
JIS D1201−1977 F−MVSS302に基づいて燃焼性を確認し、燃焼速度(mm/分)を測定した。
【0061】
<エマルジョン中の熱膨張性黒鉛の分散安定性評価法>
エマルジョンを容器内で静置した状態で熱膨張性黒鉛の沈降分離の有無を観察し、24時間以内に沈降分離が認められたものを「×」、24時間〜96時間の間で沈降分離が認められたものを「△」、96時間〜15日間の間で沈降分離が認められたものを「○」、15日間経過しても沈降分離現象が全く認められなかったものを「◎」とした。
【0062】
<塗工性評価法>
JIS K5400のフィルムアプリケーター塗工方法に準拠して塗工性の評価を行った。樹脂及び黒鉛の鱗片が均一に塗布されたものを「○」、ほぼ均一に塗布されたものを「△」、均一な塗布が困難であったものを「×」とした。
【0063】
<布帛の剛軟度評価法>
JIS L1096の剛軟性45°カンチレバー法に準拠して試験片が移動した長さ(mm)を求めた。
【0064】
<曇化率測定法>
布帛試料50cm2 を容量500mLのガラス容器に投入し、ガラスプレートで蓋をして密閉した。容器全体を100℃のオイルバス中に浸漬し、この状態で20時間保温した。この後、取り外したガラスプレートを積分球式光線透過率測定装置内に入れて、入射光量(T1 )、全透過光量(T2 )、装置による散乱光量(T3 )、試験片からの散乱光量(T4 )をそれぞれ測定し、下記式より曇化率を算出した。
【0065】
曇化率=(Td/Tt)×100
Tt=(T2/T1)×100
Td={(T4−T2×T3/T1)/T1}×100
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表から明らかなように、この発明の実施例1〜9の難燃剤は、エマルジョン中の熱膨張性黒鉛の分散安定性に優れていると共に、このエマルジョンは塗工性に優れていた。また、この発明の実施例1〜9の難燃性繊維布帛は難燃性に優れていた。参照例1と実施例1との対比、参照例2と実施例8との対比、参照例3と実施例9との対比から明らかなように、この発明の繊維布帛は、従来のハロゲン系難燃剤を用いて構成された布帛(参照例の布帛)と同等又はそれ以上の優れた難燃性能を備えていた。
【0069】
これに対し、熱膨張性黒鉛、リン酸エステル、界面活性剤を単にエマルジョン中に混合せしめた比較例1では、熱膨張性黒鉛の分散安定性は悪かった。
【0070】
なお、実施例9と参照例3においては、難燃剤量を減らした状態でエマルジョンを3倍発泡して塗布するものとしたが、この場合、参照例3(従来法)では難燃効果が大きく低下するが、この発明の実施例9では発泡層の空間に熱膨張性黒鉛が膨張して難燃効果を十分に維持できる。
【0071】
【発明の効果】
請求項1、2に係る発明によれば、難燃剤として液中での分散安定性に優れたものとなる。従って、例えば水系合成樹脂エマルジョン中に含有せしめた状態でも凝集して沈降分離することがなく、例えばこの難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布すれば、熱膨張性黒鉛を均一分散状態で繊維布帛に付与できると共に、塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れるという効果が得られる。更に、リン酸エステルもコーティングされているので、界面活性剤の固着安定性を向上できると共に、前記繊維布帛には十分な柔軟性を付与できる。また、熱膨張性黒鉛及びリン酸エステルを含有しているので十分な難燃性を付与できるし、ハロゲン系難燃剤を用いないので火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。加えて、このようにリン酸エステルを熱膨張性黒鉛にコーティングした構成を採用することで、熱膨張性黒鉛とリン酸エステルを単に混合して用いた系と比較して、同等の難燃性能を得るのに要する熱膨張性黒鉛の使用量が少なくて済む、即ち減量化できるという利点も有する。
【0072】
また、請求項2に係る発明によれば、界面活性剤の離脱を効果的に防止できて、長期間にわたって優れた分散安定性を確保できる。
【0073】
請求項3に係る発明によれば、難燃剤としての分散安定性を向上できると共に、界面活性剤の固着安定性を向上できる。
【0074】
請求項4に係る発明(製造方法)によれば、請求項2の難燃剤を生産効率良く製造できる。
【0075】
請求項5に係る発明によれば、リン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。
【0076】
請求項6、7に係る発明(難燃性繊維布帛)によれば、熱膨張性黒鉛が均一分散状態で繊維布帛に付与され得るから優れた難燃性を確保できる。エマルジョンは塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れているので、繊維布帛としての品質も向上できる。また、熱膨張性黒鉛にリン酸エステルもコーティングされているので、繊維布帛として十分な柔軟性を確保できる。また、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【発明の属する技術分野】
この発明は、水系合成樹脂エマルジョン等の液中での分散安定性に優れた難燃剤及びこれを用いた難燃性繊維布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用フロアーマット等の車両用内装材には、火災時の安全性を高めるために、優れた難燃性を備えていることが求められている。このような難燃化の要求に応えるために、従来より、自動車用フロアーマットの裏面に設けられる合成樹脂製の裏打層に難燃剤を含有せしめることが行われている。このような難燃剤としては、例えば塩素原子や臭素原子等のハロゲンを化学構造中に有する難燃剤(ハロゲン系難燃剤)が多く用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このようなハロゲン系難燃剤は、火災時には、塩化水素ガス、ハロゲンガス等の有毒ガスを発生することが知られており、搭乗者の安全確保の面から好ましいものではないし、使用後に焼却処分する際にも様々な有毒ガスを発生することが指摘されており、地球環境保護の観点からも好ましいものではなかった。
【0004】
そこで、前記裏打層を形成する水系合成樹脂エマルジョン中に難燃剤として熱膨張性黒鉛を含有せしめることが提案されている(特許文献2参照)。この技術によれば、十分な難燃性を付与できる上に、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−166148号公報(請求項1、段落0019)
【0006】
【特許文献2】
特開2001−73275号公報(請求項1、段落0015)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記熱膨張性黒鉛は、水系合成樹脂エマルジョン中における分散安定性が良好ではないという問題があった。このように分散安定性が良好ではないので、繊維布帛の裏面に塗布した際に熱膨張性黒鉛を均一分散状態で付与せしめることは難しかったし、エマルジョンの液安定性が悪く比較的短期間で熱膨張性黒鉛が凝集して沈降分離する傾向が強かった。
【0008】
また、繊維布帛の裏面に塗布した際の塗布のしやすさや、塗工安定性も十分と言えるものではなかった。
【0009】
更に、熱膨張性黒鉛を含有せしめたことで繊維布帛の柔軟性が低下する傾向があった。
【0010】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、十分な難燃性を付与できると共に、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生がなく、分散安定性及び塗工安定性に優れた難燃剤及びその製造方法並びに該難燃剤を用いた難燃性繊維布帛を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていることを特徴とする難燃剤(第1発明)によって達成される。
【0012】
また、上記目的は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされていることを特徴とする難燃剤(第2発明)によって達成される。
【0013】
上記いずれの難燃剤も、界面活性剤がコーティングされているので、分散安定性に優れたものとなり、例えば水系合成樹脂エマルジョン中に含有せしめた状態でも凝集して沈降分離することがない。従って、例えばこの難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布した際には、熱膨張性黒鉛を均一分散状態で繊維布帛に付与できると共に、塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れている。更に、リン酸エステルもコーティングされているので、界面活性剤の固着安定性を向上できると共に、繊維布帛に十分な柔軟性を付与できる。また、熱膨張性黒鉛及びリン酸エステルを含有しているので十分な難燃性を付与できるし、ハロゲン系難燃剤を用いないので火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。更に、このようにリン酸エステルを熱膨張性黒鉛にコーティングした構成を採用することで、熱膨張性黒鉛とリン酸エステルを単に混合して用いた系と比較して、同等の難燃性能を得るのに要する熱膨張性黒鉛使用量が少なくて済む、即ち減量化できるという利点も有する。
【0014】
また、第2発明の難燃剤では、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされているので、界面活性剤の離脱が効果的に防止され得て、長期間にわたって優れた分散安定性を確保できる。
【0015】
本発明の難燃剤においては、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量が5〜50重量部で界面活性剤のコーティング量が0.5〜10重量部の範囲である構成が採用されるのが好ましい。これにより、難燃剤としての分散安定性を向上できると共に、界面活性剤の固着安定性を向上できる利点がある。
【0016】
上記熱膨張性黒鉛の平均粒径は50〜1000μmであるのが好ましい。これにより、分散安定性を十分に確保しつつより優れた難燃性能を確保できる。
【0017】
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。これにより、界面活性剤の離脱(コーティング状態の解除)を確実に防止できる。
【0018】
また、この発明に係る難燃剤の製造方法は、リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布する第1塗布工程と、該第1塗布工程を経た後の熱膨張性黒鉛に、界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布する第2塗布工程とを包含することを特徴とする。この製造方法によれば、前記第2発明の難燃剤を生産効率良く製造できる。
【0019】
この製造方法では、前記第2塗布工程を経た後に乾燥処理を行うのが好ましい。これにより、リン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対して強く固着させることができる。
【0020】
また、第1塗布工程においてリン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を撹拌状態にある熱膨張性黒鉛にスプレー法により塗布する一方、第2塗布工程において界面活性剤を溶解含有した溶媒を撹拌状態にある熱膨張性黒鉛にスプレー法により塗布する場合には、これらリン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる利点がある。
【0021】
この発明に係る難燃性繊維布帛は、上記いずれかの構成に係る難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られたものである。
【0022】
また、この発明の別の難燃性繊維布帛は、上記いずれかの製造方法により製造された難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られたものである。
【0023】
上記いずれの難燃性繊維布帛も、熱膨張性黒鉛が均一分散状態で繊維布帛に付与され得るから優れた難燃性を確保できる。上記エマルジョンは塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れているので、繊維布帛としての品質を向上できる。また、熱膨張性黒鉛にリン酸エステルもコーティングされているので、繊維布帛として十分な柔軟性を確保できる。また、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【0024】
【発明の実施の形態】
第1発明の難燃剤は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていることを特徴とするものである。この難燃剤は、界面活性剤がコーティングされているので、分散安定性に優れている。従って、例えば水系合成樹脂エマルジョン中に含有せしめた状態でも凝集して沈降分離することがないから、例えばこの難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布した際には、熱膨張性黒鉛を均一分散状態で繊維布帛に付与できる利点があるし、また塗布がしやすく、塗工安定性にも優れている。更に、リン酸エステルもコーティングされているので、界面活性剤の固着安定性を向上できると共に、繊維布帛に十分な柔軟性を付与できる。また、熱膨張性黒鉛及びリン酸エステルを含有しているので十分な難燃性を付与できるし、ハロゲン系難燃剤を含有しないので火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
【0025】
なお、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていれば十分であるが、勿論表面のみならず、熱膨張性黒鉛の層間内にもコーティングされていても良い。
【0026】
好適な形態は、熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされた構成(第2発明)である。リン酸エステル層を中間層に介することで、界面活性剤の離脱が一層効果的に防止されるので、長期間にわたって優れた分散安定性を維持できる。
【0027】
本発明で用いる熱膨張性黒鉛は、例えば天然黒鉛の粉末や粒子を硫酸と酸化剤で反応処理したのち、酸除去、水洗(中和)、乾燥を経ることによって製造できるが、特にこのような製造方法によって製造されるものに限定されるものではない。熱膨張性黒鉛の製造方法については、例えば特公昭60−34492号公報にも記載されている。一般に、熱膨張性黒鉛は、数百〜1000℃程度で加熱されると、その層間の間隔が数十倍から数百倍程度まで膨張することが知られている。
【0028】
前記熱膨張性黒鉛の平均粒径(常温状態)は、50〜1000μmであるのが好ましい。50μm未満では、十分な難燃性能が得られなくなるので好ましくないし、1000μmを超えると分散安定性が低下するので好ましくない。中でも、熱膨張性黒鉛の平均粒径(常温状態)は、150〜500μmの範囲であるのが特に好ましい。
【0029】
本発明においては、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量が5〜50重量部で界面活性剤のコーティング量が0.5〜10重量部の範囲であるのが好ましい。
【0030】
リン酸エステルのコーティング量が前記下限を下回ると、界面活性剤の固着安定性が低下するので好ましくないし、一方前記上限を超えても効果の増大は望めず徒に使用量を増大させるだけであるので好ましくない。
【0031】
また、界面活性剤のコーティング量が前記下限を下回ると、分散安定性が低下する傾向にあるので好ましくないし、一方前記上限を超えると窓ガラスを曇化させる傾向があるので好ましくない。
【0032】
中でも、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量を5〜30重量部、界面活性剤のコーティング量を0.5〜5重量部の範囲とするのが特に好ましい。
【0033】
前記リン酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えばレゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0034】
前記界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えばカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、この場合には界面活性剤の熱膨張性黒鉛に対する固着性を向上させることができて、界面活性剤の離脱を確実に防止できる。
【0035】
前記第1発明の難燃剤は、例えば、リン酸エステル及び界面活性剤を溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布した後、乾燥を行うことによって製造することができる。
【0036】
次に、前記第2発明の難燃剤の製造方法の一例について説明する。まず、リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布する(第1塗布工程)。この時、熱膨張性黒鉛を撹拌しながら塗布するのが好ましく、これによりリン酸エステルを熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。例えば、熱膨張性黒鉛をミキサー内で撹拌しながらその上方から塗布する。また、塗布はスプレー法により行うのが好ましく、これによりリン酸エステルを熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。
【0037】
前記有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。中でも、メタノールを用いるのが好ましい。メタノールを用いれば、乾燥時間を短くできる利点がある。
【0038】
前記第1塗布工程を経た後の熱膨張性黒鉛に、界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布する(第2塗布工程)。この時、熱膨張性黒鉛を撹拌しながら塗布するのが好ましく、これにより界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。例えば、熱膨張性黒鉛をミキサー内で撹拌しながらその上方から塗布する。また、塗布はスプレー法により行うのが好ましく、これにより界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。前記溶媒としては、特に限定されないが、例えば水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。中でも、メタノールを用いるのが好ましい。メタノールを用いれば、乾燥時間を短くできる利点がある。
【0039】
次いで、乾燥処理を行って、前記第1塗布工程での有機溶媒や、前記第2塗布工程での溶媒等を揮発せしめて、乾燥状態の難燃剤を得る。このような乾燥処理を行うことによって、リン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対して強く固着させることができる。
【0040】
なお、上記製造方法では、第1塗布工程と第2塗布工程の間に乾燥工程を設けていないが、ここに乾燥工程を設けるようにしても構わない。
【0041】
また、上記製造方法では、塗布をスプレー法により行っているが、他の方法により行うものとしても良く、例えばディッピング法により行っても良い。
【0042】
上記製造方法は、好適な一例を示したものに過ぎず、本発明の難燃剤は、上記例示の製造方法で製造されるものに特に限定されるものではない。
【0043】
次に、この発明に係る難燃性繊維布帛について説明する。この難燃性繊維布帛は、前記難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られたものである。
【0044】
前記水系合成樹脂エマルジョンを構成する合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル系樹脂、EVA系樹脂、ウレタン系樹脂、合成ゴム系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーン・アクリル系樹脂等が挙げられる。中でも、アクリル樹脂を用いるのが好ましく、この場合には繊維布帛に対する接着安定性を向上できる利点がある。
【0045】
前記水系合成樹脂エマルジョンにおける難燃剤と合成樹脂の配合重量比は、難燃剤/合成樹脂=10/90〜90/10の範囲とするのが好ましい。難燃剤の配合割合が上記下限を下回ると繊維布帛に対して十分な難燃性能を付与できなくなるので好ましくないし、難燃剤の配合割合が上記上限を上回ると繊維布帛としての柔軟性が低下するので好ましくない。中でも、前記水系合成樹脂エマルジョンにおける難燃剤と合成樹脂の配合重量比は、難燃剤/合成樹脂=20/80〜40/60の範囲とするのが特に好ましい。
【0046】
前記エマルジョンの繊維布帛裏面への塗布量は、固形分換算で30〜300g/m2 の範囲とするのが好ましい。上記上限を上回ると繊維布帛としての軽量性を確保するのが困難になるので好ましくないし、一方上記下限を下回ると十分な難燃性能を付与できなくなるので好ましくない。
【0047】
前記エマルジョンの繊維布帛裏面への塗布方法は、特に限定されず、例えばドクターナイフ法、ロールコート法、パディング法、スプレー法などが挙げられる。
【0048】
前記エマルジョンには、水、合成樹脂、難燃剤の他に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、顔料、染料等の各種添加剤を含有せしめても良い。
【0049】
前記繊維布帛としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット等が挙げられる。
【0050】
なお、本発明の難燃剤は、上記例示の用途(難燃性繊維布帛)に限定されるものではなく、どのような用途にも適用することができる。
【0051】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0052】
<実施例1>
「ホスコン903N コンクA」(商品名、明成化学工業株式会社製、リン酸エステル)を50重量%溶解含有したメタノール溶液を、ミキサー内で撹拌されている熱膨張性黒鉛(平均粒径300μm、住金ケミカル株式会社製)に上方よりスプレー塗布した後、引き続いてミキサー内で熱膨張性黒鉛を十分に撹拌混合し、次いで「ホスコン903N コンクB」(商品名、明成化学工業株式会社製、アニオン系界面活性剤)を50重量%溶解含有したメタノール溶液を、前記撹拌されている熱膨張性黒鉛に上方よりスプレー塗布した後、引き続いてミキサー内で熱膨張性黒鉛を十分に撹拌混合した。次いで100〜120℃で乾燥処理を行って難燃剤を得た。この難燃剤は、熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルが6.7重量部コーティングされ、界面活性剤が1.4重量部コーティングされたものであった。
【0053】
次に、水56重量部、アクリル樹脂22重量部、上記難燃剤18重量部、ポリリン酸アンモニウム4重量部からなる水系アクリル樹脂エマルジョンを調製し、このエマルジョンをドクターナイフ法により自動車用表皮材(繊維布帛)の裏面に塗布量(固形分)70g/m2 で塗布した後、150℃で乾燥処理を行って難燃性繊維布帛を得た。
【0054】
<実施例2〜9>
表1、2に示す条件(配合量等)で難燃剤及びエマルジョンを調製した以外は、実施例1と同様にして難燃性繊維布帛を得た。
【0055】
<比較例1>
水56重量部、アクリル樹脂22重量部からなる水系アクリル樹脂エマルジョンに、熱膨張性黒鉛16.5重量部、ホスコン903NコンクA(リン酸エステル)1.25重量部、ホスコン903NコンクB(アニオン系界面活性剤)0.25重量部、ポリリン酸アンモニウム4重量部を添加したものを調製し、これをドクターナイフ法により自動車用表皮材の裏面に塗布量(固形分)70g/m2 で塗布した後、150℃で乾燥処理を行って難燃性繊維布帛を得た。
【0056】
<参照例1>
水55重量部、アクリル樹脂25重量部からなる水系アクリル樹脂エマルジョンに、ハロゲン系難燃剤としてデカブロアンチモン20重量部を添加したものを調製し、これをドクターナイフ法により自動車用表皮材の裏面に塗布量(固形分)70g/m2 で塗布した後、150℃で乾燥処理を行って難燃性繊維布帛を得た。なお、「デカブロアンチモン」は商品名であり、デカブロモビフェニルエーテルと3酸化アンチモンの混合物からなるハロゲン系難燃剤である。
【0057】
<参照例2>
塗布量を35g/m2 とした以外は、参照例1と同様にして難燃性繊維布帛を得た。
【0058】
<参照例3>
エマルジョン組成を表2に示す条件とした以外は、参照例1と同様にして難燃性繊維布帛を得た。
【0059】
上記のようにして得られたエマルジョン、繊維布帛について下記評価法に基づいて各種評価を行った。これらの結果を表1、2に示す。
【0060】
<難燃性評価法>
JIS D1201−1977 F−MVSS302に基づいて燃焼性を確認し、燃焼速度(mm/分)を測定した。
【0061】
<エマルジョン中の熱膨張性黒鉛の分散安定性評価法>
エマルジョンを容器内で静置した状態で熱膨張性黒鉛の沈降分離の有無を観察し、24時間以内に沈降分離が認められたものを「×」、24時間〜96時間の間で沈降分離が認められたものを「△」、96時間〜15日間の間で沈降分離が認められたものを「○」、15日間経過しても沈降分離現象が全く認められなかったものを「◎」とした。
【0062】
<塗工性評価法>
JIS K5400のフィルムアプリケーター塗工方法に準拠して塗工性の評価を行った。樹脂及び黒鉛の鱗片が均一に塗布されたものを「○」、ほぼ均一に塗布されたものを「△」、均一な塗布が困難であったものを「×」とした。
【0063】
<布帛の剛軟度評価法>
JIS L1096の剛軟性45°カンチレバー法に準拠して試験片が移動した長さ(mm)を求めた。
【0064】
<曇化率測定法>
布帛試料50cm2 を容量500mLのガラス容器に投入し、ガラスプレートで蓋をして密閉した。容器全体を100℃のオイルバス中に浸漬し、この状態で20時間保温した。この後、取り外したガラスプレートを積分球式光線透過率測定装置内に入れて、入射光量(T1 )、全透過光量(T2 )、装置による散乱光量(T3 )、試験片からの散乱光量(T4 )をそれぞれ測定し、下記式より曇化率を算出した。
【0065】
曇化率=(Td/Tt)×100
Tt=(T2/T1)×100
Td={(T4−T2×T3/T1)/T1}×100
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表から明らかなように、この発明の実施例1〜9の難燃剤は、エマルジョン中の熱膨張性黒鉛の分散安定性に優れていると共に、このエマルジョンは塗工性に優れていた。また、この発明の実施例1〜9の難燃性繊維布帛は難燃性に優れていた。参照例1と実施例1との対比、参照例2と実施例8との対比、参照例3と実施例9との対比から明らかなように、この発明の繊維布帛は、従来のハロゲン系難燃剤を用いて構成された布帛(参照例の布帛)と同等又はそれ以上の優れた難燃性能を備えていた。
【0069】
これに対し、熱膨張性黒鉛、リン酸エステル、界面活性剤を単にエマルジョン中に混合せしめた比較例1では、熱膨張性黒鉛の分散安定性は悪かった。
【0070】
なお、実施例9と参照例3においては、難燃剤量を減らした状態でエマルジョンを3倍発泡して塗布するものとしたが、この場合、参照例3(従来法)では難燃効果が大きく低下するが、この発明の実施例9では発泡層の空間に熱膨張性黒鉛が膨張して難燃効果を十分に維持できる。
【0071】
【発明の効果】
請求項1、2に係る発明によれば、難燃剤として液中での分散安定性に優れたものとなる。従って、例えば水系合成樹脂エマルジョン中に含有せしめた状態でも凝集して沈降分離することがなく、例えばこの難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布すれば、熱膨張性黒鉛を均一分散状態で繊維布帛に付与できると共に、塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れるという効果が得られる。更に、リン酸エステルもコーティングされているので、界面活性剤の固着安定性を向上できると共に、前記繊維布帛には十分な柔軟性を付与できる。また、熱膨張性黒鉛及びリン酸エステルを含有しているので十分な難燃性を付与できるし、ハロゲン系難燃剤を用いないので火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。加えて、このようにリン酸エステルを熱膨張性黒鉛にコーティングした構成を採用することで、熱膨張性黒鉛とリン酸エステルを単に混合して用いた系と比較して、同等の難燃性能を得るのに要する熱膨張性黒鉛の使用量が少なくて済む、即ち減量化できるという利点も有する。
【0072】
また、請求項2に係る発明によれば、界面活性剤の離脱を効果的に防止できて、長期間にわたって優れた分散安定性を確保できる。
【0073】
請求項3に係る発明によれば、難燃剤としての分散安定性を向上できると共に、界面活性剤の固着安定性を向上できる。
【0074】
請求項4に係る発明(製造方法)によれば、請求項2の難燃剤を生産効率良く製造できる。
【0075】
請求項5に係る発明によれば、リン酸エステルや界面活性剤を熱膨張性黒鉛に対してより均一状態に固着させることができる。
【0076】
請求項6、7に係る発明(難燃性繊維布帛)によれば、熱膨張性黒鉛が均一分散状態で繊維布帛に付与され得るから優れた難燃性を確保できる。エマルジョンは塗布がしやすいし、塗工安定性にも優れているので、繊維布帛としての品質も向上できる。また、熱膨張性黒鉛にリン酸エステルもコーティングされているので、繊維布帛として十分な柔軟性を確保できる。また、火災時や焼却処分時に有毒ガスの発生もない。
Claims (7)
- 熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部にリン酸エステル及び界面活性剤がコーティングされていることを特徴とする難燃剤。
- 熱膨張性黒鉛の表面の少なくとも一部に、リン酸エステル層を介して界面活性剤層がコーティングされていることを特徴とする難燃剤。
- 前記熱膨張性黒鉛100重量部に対して、リン酸エステルのコーティング量が5〜50重量部で界面活性剤のコーティング量が0.5〜10重量部の範囲である請求項1または2に記載の難燃剤。
- リン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を熱膨張性黒鉛に塗布する第1塗布工程と、
該第1塗布工程を経た後の熱膨張性黒鉛に、界面活性剤を溶解含有した溶媒を塗布する第2塗布工程とを包含することを特徴とする難燃剤の製造方法。 - 前記第1塗布工程においてリン酸エステルを溶解含有した有機溶媒を撹拌状態にある熱膨張性黒鉛にスプレー法により塗布する一方、前記第2塗布工程において界面活性剤を溶解含有した溶媒を撹拌状態にある熱膨張性黒鉛にスプレー法により塗布する請求項4に記載の難燃剤の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られた難燃性繊維布帛。
- 請求項4または5に記載の難燃剤の製造方法により製造された難燃剤を含有した水系合成樹脂エマルジョンを繊維布帛の裏面に塗布、乾燥して得られた難燃性繊維布帛。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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