JP2006076339A - 車両用ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡便な構造で緊急時にSBW(ステア・バイ・ワイヤ)式の操舵装置の利点を活かすことが可能な車両用ステアリング装置を提供する。
【解決手段】 通常時にはドグクラッチ46を締結してステアリングホイールと車輪とを連結し、ドライバーがステアリングホイールに入力する操舵トルクで車輪を転舵するので、高精度なステア・バイ・ワイヤ機構を不要にしてコストダウンを図ることができる。また緊急時にはドグクラッチ46をソレノイド43で締結解除し、電子制御ユニットからの指令でステアリングアクチュエータを作動させて車輪を転舵するので、ドライバーの技量に依存せずに車両挙動を安定させて緊急事態を回避することができる。緊急時にステアリングホイールおよび車輪間の連結を解除すると、一対のフリクションプレート38,39が当接してステアリングホイールに操舵反力を付与するので、高価な操舵反力モータが不要になる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ドライバーによるステアリング操作子の操作あるいは電気信号によるステアリングアクチュエータの作動で車輪を転舵する車両用ステアリング装置に関する。
ドライバーによるステアリングホイールの操作を電気信号に変換し、その電気信号でステアリングアクチュエータを作動させることで車輪を転舵するSBW(ステア・バイ・ワイヤ)式の操舵装置において、ステアリングアクチュエータが作動不能になったときにステアリングホイールと車輪との間に配置したクラッチを締結し、ドライバーがステアリングホイールに入力する操舵トルクで車輪を転舵するものが、下記特許文献1により公知である。
特開2001−260908号公報
ところで上記従来のものは、クラッチでステアリングホイールを車輪から切り離してステアリングアクチュエータにより車輪を転舵する際に、ステアリングホイールの操作に応じて車輪を精度良く転舵するために、ステアリングホイールの操舵角センサやステアリングギヤボックスのラックバー位置センサに高精度のものが要求されるだけでなく、車輪から切り離されたステアリングハンドルに操舵反力を付与するために高価な操舵反力モータが必要となり、それがコストアップの要因となる問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、簡便な構造で緊急時にSBW(ステア・バイ・ワイヤ)式の操舵装置の利点を活かすことが可能な車両用ステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ドライバーにより操作されて車輪を転舵するステアリング操作子と、電気信号により作動して車輪を転舵するステアリングアクチュエータと、ステアリング操作子および車輪間を連結および連結解除するクラッチ手段と、ドライバーのステアリング操作と関連せずに車両状態に応じてステアリングアクチュエータを作動させるときに、クラッチ手段を作動させてステアリング操作子および車輪間の連結を解除する制御手段とを備えたことを特徴とする車両用ステアリング装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、クラッチ手段がステアリング操作子および車輪間の連結を解除したとき、ステアリング操作子に摩擦力による操舵反力を付与する操舵反力付与手段を備えたことを特徴とする車両用ステアリング装置が提案される。
尚、実施例の電子制御ユニットUは本発明の制御手段に対応し、実施例のステアリングホイール11は本発明のステアリング操作子に対応し、実施例の可動フリクションプレート38および固定フリクションプレート39は本発明の操舵反力付与手段に対応し、実施例のドグクラッチ46は本発明のクラッチ手段に対応する。
請求項1の構成によれば、通常時にはクラッチを締結してステアリング操作子と車輪とを連結し、ドライバーがステアリング操作子に入力する操舵トルクで車輪を転舵するので、高精度なステア・バイ・ワイヤ機構を不要にしてコストダウンを図ることができる。また緊急時にはクラッチを締結解除し、制御手段からの指令でステアリングアクチュエータを作動させて車輪を転舵するので、ドライバーの技量に依存せずに車両挙動を安定させて緊急事態を回避することができる。
請求項2の構成によれば、緊急時にステアリング操作子および車輪間の連結を解除すると、操舵反力付与手段が摩擦力による操舵反力をステアリング操作子に付与するので、高価な操舵反力モータを必要とせずに操舵反力を発生させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、図1は車両用ステアリング装置の全体斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3部拡大図、図4は図3の4−4線拡大矢視図、図5は図3の5−5線拡大矢視図、図6は図2の6−6線断面図、図7は図2の7−7線断面図、図8は図3に対応する作用説明図である。
図1に示すように、ドライバーにより操作されるステアリングホイール11と、左右の車輪W,Wをタイロッド12,12を介して転舵するステアリングギヤボックス13とが、上部ステアリングシャフト14、上部ユニバーサルジョイント15、下部ステアリングシャフト16および下部ユニバーサルジョイント17を介して接続される。ステアリングギヤボックス13には、ドライバーによるステアリングホイール11の操作をアシストするとともに、ドライバーによるステアリング操作から独立して車輪W,Wを転舵するステアリングアクチュエータ18が設けられる。
図2および図3に示すように、ステアリングギヤボックス13の中間部の上面にギヤボックスカバー21がボルト22…で固定され、ギヤボックスカバー21の上面に操舵トルクセンサケース23がボルト24…で固定される。ステアリングギヤボックス13に左右摺動自在に支持されたラックバー25にラック25aが一体に形成されており、このラック25aに噛合するピニオン26aが一体に形成されたピニオンシャフト26が、ニードルベアリング27およびボールベアリング28でステアリングギヤボックス13に回転自在に支持される。ピニオンシャフト26の回転角を検出するピニオンシャフト回転角センサ29がステアリングギヤボックス13の下面に設けられ、ラックバー25の位置を検出するラックバー位置センサ30がステアリングギヤボックス13の側面に設けられる。
クラッチシャフト31の下端外周がピニオンシャフト26の上端内周に嵌合してニードルベアリング32で相対回転自在に支持され、クラッチシャフト31の上端がギヤボックスカバー21にボールベアリング33で支持される。クラッチシャフト31の下端に第1クラッチディスク34が上下摺動自在にスプライン結合され、ピニオンシャフト26の上端に第2クラッチディスク35が一体に形成される。
図3〜図7から明らかなように、第1クラッチディスク34の下面に12個の台形状の凹部34a…が30°間隔で形成され、第2クラッチディスク35の上面に前記12個の凹部34a…のうちの4個に係合可能な4個の台形状の突起35a…が90°間隔で形成される。第1クラッチディスク34の下面に1本のストッパピン36が下向きに植設されており、このストッパピン36が当接可能なストッパ壁35bが第2クラッチディスク35の上面に上向きに突設される。ストッパピン36およびストッパ壁35bの位相は180°ずれている。
第1クラッチディスク34の上端にフランジ状の可動フリクションプレート38が一体に形成されており、この可動フリクションプレート38が当接可能な固定フリクションプレート39がギヤボックスカバー21の下面に固定される。ギヤボックスカバー21にスライドシャフト40の上端が上下摺動自在に支持されており、その中間部に固定したフォーク41の二股部が第1クラッチディスク34に係合する。ステアリングギヤボックス13に固定したソレノイドケース42の内部に収納されたソレノイド43が、ギヤボックスカバー21との間に配置したリターンスプリング44で下向きに付勢されたスライドシャフト40を上向きに駆動する。フォーク41の上下位置が、それに設けられた突起41aに当接するリミットスイッチ45により検出される。
上記第1クラッチディスク34、第2クラッチディスク35、スライドシャフト40、フォーク41およびソレノイド43はドグクラッチ46を構成する。
図2に示すように、操舵トルクセンサケース23の内部に、ステアリングホイール11に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ47が収納される。操舵トルクセンサケース23から上方に突出するインプットシャフト48がトーションバー49を介してクラッチシャフト31の上端に接続されており、操舵トルクセンサ47はトーションバー49の捩じれ量に応じて操舵トルクを検出する。
図1に示すように、ステアリングホイール11の回転を検出するステアリングホイール回転角センサ50と、ピニオンシャフト回転角センサ29と、ラックバー位置センサ30と、リミットスイッチ45とが接続された電子制御ユニットUは、ステアリングアクチュエータ18およびソレノイド43の作動を制御する。
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
通常時には、図8に示すように、電子制御ユニットUからの指令でソレノイド43が消磁されてスライドシャフト40がリターンスプリング44の弾発力で下向きに移動し、スライドシャフト40に設けたフォーク41が第1クラッチディスク34を第2クラッチディスク35に向けて下降させることで、第1クラッチディスク34の凹部34a…が第2クラッチディスク35の突起35a…に係合してドグクラッチ46が係合する。その結果、ステアリングホイール1の回転が、ステアリングシャフト14,16、ユニバーサルジョイント15,17、インプットシャフト48、ドグクラッチ46、ピニオンシャフト26、ピニオン26a、ラック25a、ラックバー25およびタイロッド12,12を介して車輪W,Wに伝達され、ドライバーがステアリングホイール11に入力する操舵トルクにより車輪W,Wが転舵される。
このとき、電子制御ユニットUは操舵トルクセンサ47で検出した操舵トルクに応じてステアリングアクチュエータ18を駆動し、ステアリングアクチュエータ18が発生するアシストトルクでドライバーのステアリング操作をアシストすることで、電動パワーステアリング機構の機能を発揮させることができる。
車両の旋回中に過大な操舵によりスピンが発生する可能性があると判断された場合や、車両が突然の強い横風等の外乱を受けたためにステアリングホイール11をニュートラル状態に保持しているにも関わらず進路を逸脱する可能性があると判断された場合には、電子制御ユニットUが緊急時であると判断してソレノイド43を励磁する。すると、図3に示すように、ソレノイド43がスライドシャフト40をリターンスプリング44の弾発力に抗して押し上げ、スライドシャフト40に設けたフォーク41が第1クラッチディスク34を第2クラッチディスク35から分離させる結果、ステアリングホイール11がステアリングギヤボックス13から切り離される。そしてフォーク41に設けた突起41aにより作動するリミットスイッチ45がドグクラッチ46の分離を検出すると、電子制御ユニットUはドライバーのステアリング操作とは関係なく、左右の車輪W,Wをステアリングアクチュエータ18により転舵する。
即ち、電子制御ユニットUは車両の挙動を安定させるのに必要な目標転舵角を算出、その目標転舵角が得られるようにステアリングアクチュエータ18を駆動する。その際に、車輪W,Wの転舵角をラックバー位置センサ30で検出して電子制御ユニットUにフィードバックすることで、車輪W,Wの転舵角を精度良く制御することができる。
このとき、第1クラッチディスク34の上面に一体に設けた可動フリクションプレート38がギヤボックスカバー21の下面に設けた固定フリクションプレート39に当接することで、ステアリングギヤボックス13から切り離されたステアリングホイール11に可動フリクションプレート38から操舵反力を付与し、ドライバーの違和感を解消することができる。しかも固定フリクションプレート39および可動フリクションプレート38で操舵反力を付与するので、反力付与モータを設けて操舵反力を付与する場合に比べて構造を簡素化することができる。
このように、緊急時にはドグクラッチ46が分離するので、ステアリングアクチュエータ18の駆動力がステアリングホイール11に逆伝達されることはないが、第1、第2クラッチディスク34,35の位相差が略180°を越えると、第1クラッチディスク34に植設したストッパピン36が第2クラッチディスク35に設けたストッパ壁35bに当接することで、ステアリングアクチュエータ18の駆動力がステアリングホイール11に逆伝達されるようになり、ステアリングホイール11の位置に対する車輪W,Wの転舵角のずれが所定値以上に増加するのを防止することができる。
またドグクラッチ46が分離する緊急時に、ドライバーによるステアリングホイール11の操作はドグクラッチ46により遮断されて車輪W,Wには伝達されないが、ドライバーがステアリングホイール11を大きく操作して第1、第2クラッチディスク34,35の位相差が略180°を越えると、第1クラッチディスク34に植設したストッパピン36が第2クラッチディスク35に設けたストッパ壁35bに当接することで、ドライバーがステアリングホイール11に入力した操舵トルクを車輪W,Wに伝達することができる。これにより、ドグクラッチ46が分離する緊急時であってもドライバーの意志による転舵を可能にすることができる。
緊急時の制御から通常時の制御に復帰するには、電子制御ユニットUがステアリングホイール回転角センサ50の出力およびピニオンシャフト回転角センサ29の出力を比較し、ドグクラッチ46の第1クラッチディスク34および第2クラッチディスク35の位相が一致したときにソレノイド43を消磁する。その結果、リターンスプリング44の弾発力で第1クラッチディスク34が第2クラッチディスク35に向けて下降し、第1クラッチディスク34の凹部34a…が第2クラッチディスク35の突起35a…に係合することでドグクラッチ46が係合する。
このとき、凹部34a…および突起35a…が台形状であるため、ソレノイド43を消磁した瞬間のストッパピン36およびストッパ壁35bの位相が若干ずれていても、第1、第2クラッチディスク34,35を正しい位相(ストッパピン36およびストッパ壁35bが180°ずれる位相)に結合することができ、また突起凹部34a…および突起35a…が係合したときのガタの発生を防止することができる。万一、ステアリングホイール回転角センサ50の出力およびピニオンシャフト回転角センサ29の出力から、凹部34a…および突起35a…が不適切な位相で結合されたことが検出されると、電子制御ユニットUの指令により再度ソレノイド43を励磁してドグクラッチ46を締結解除した後に、再度ソレノイド43を消磁してドグクラッチ46を結合することで、第1、第2クラッチディスク34,35を正しい位相で結合する。但し、電子制御ユニットUが操舵系に異常があると判断した場合には、ドグクラッチ46の締結のやり直しは行わない。
以上のように、通常時にはドグクラッチ46を締結してステアリングホイール11と車輪W,Wとを連結してドライバーのステアリング操作で直接車輪W,Wを転舵するので、高精度なステア・バイ・ワイヤ機構を不要にしてコストダウンを図ることができる。一方、車両挙動が不安定になる緊急時にはドグクラッチ46を切り離し、電子制御ユニットUからの指令でステアリングアクチュエータ18を作動させて車輪W,Wを転舵するので、ドライバーの運転技量に依存せずに車両挙動を安定させて緊急事態を回避することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明のクラッチ手段は実施例のドグクラッチ46に限定されず、他の任意の構造のものを採用することができる。
また左右の車輪W,Wに異なる大きさの制動力を加えてヨーモーメントを発生させることで車両挙動を安定させるシステムに本発明を組み合わせれば、車両挙動を一層効果的に安定させることができる。
車両用ステアリング装置の全体斜視図 図1の2−2線拡大断面図 図2の3部拡大図 図3の4−4線拡大矢視図 図3の5−5線拡大矢視図 図2の6−6線断面図 図2の7−7線断面図 図3に対応する作用説明図
符号の説明
U 電子制御ユニット(制御手段)
W 車輪
11 ステアリングホイール(ステアリング操作子)
18 ステアリングアクチュエータ
38 可動フリクションプレート(操舵反力付与手段)
39 固定フリクションプレート(操舵反力付与手段)
46 ドグクラッチ(クラッチ手段)

Claims (2)

  1. ドライバーにより操作されて車輪(W)を転舵するステアリング操作子(11)と、
    電気信号により作動して車輪(W)を転舵するステアリングアクチュエータ(18)と、
    ステアリング操作子(11)および車輪(W)間を連結および連結解除するクラッチ手段(46)と、
    ドライバーのステアリング操作と関連せずに車両状態に応じてステアリングアクチュエータ(18)を作動させるときに、クラッチ手段(46)を作動させてステアリング操作子(11)および車輪(W)間の連結を解除する制御手段(U)と、
    を備えたことを特徴とする車両用ステアリング装置。
  2. クラッチ手段(46)がステアリング操作子(11)および車輪(W)間の連結を解除したとき、ステアリング操作子(11)に摩擦力による操舵反力を付与する操舵反力付与手段(38,39)を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用ステアリング装置。
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