JP2006075763A - マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
有機溶媒を使用しないで作業環境を悪化させることなく、水溶性或いは水分解性物質を内包でき、耐水性が高く、製造効率がよいマイクロカプセルの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
水溶性或いは水分解性の芯物質と、疎水性重合物質と、該疎水性重合物質を重合させる重合開始剤とを含有する液状カプセル化組成物を形成し、該液状カプセル化組成物を水性媒体中で乳化させて、該水性媒体中で前記液状カプセル化組成物を重合させるマイクロカプセルの製造方法であって、前記液状カプセル化組成物を前記水性媒体中で乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)と、乳化させて得られる該液状カプセル化組成物に含まれる前記芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離L(m/s)との間に、式:dp/L≧1が成立するマイクロカプセルの製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶性或いは水分解性物質を内包するマイクロカプセルの製造方法に関するものである。
疎水性物質を芯物質として内包するマイクロカプセルの製造方法については、種々の方法が提案されている。例えば、芯物質と、疎水性重合物質と、該疎水性重合物質を重合させる重合開始剤とを含有する重合性組成物を形成し、該重合性組成物を水中で乳化させて、該水中で前記重合性組成物を重合させるマイクロカプセルの製造方法が知られている。
上記製造方法で、水溶性或いは水分解性の芯物質を内包しようとすると、マイクロカプセルを形成させるO/W(水中油型)エマルジョンに水溶性或いは水分解性の芯物質が溶出或いは分解し、極めて製造効率が悪いものとなる。
これに対して、水溶性物質を内包するマイクロカプセルの製造方法として、例えば、特許文献1には、マイクロカプセル中に内包すべき水溶性物質と、マイクロカプセル殻形成用の水溶性モノマーとを含有する水系組成物を水不溶性有機媒体中に乳化させ、該乳化液中でマイクロカプセル殻形成用モノマーを重合させて、水溶性物質を内包するマイクロカプセルの製造方法も提案されている。
しかしながら、特許文献1記載の製造方法は、以下に示すような問題を有している。
即ち、水系組成物を使用するため、水溶性物質には適用できるが、水分解性物質には適用できない。
また、水不溶性有機溶媒を用いてマイクロカプセルを形成するため、有機溶媒の臭気や有機溶媒の揮発等の点で作業環境を悪化させる虞がある。
更に、マイクロカプセルの形成に水溶性のモノマーを用いているため、形成されたマイクロカプセルの耐水性が低く、マイクロカプセル化した後に水分が接触するとマイクロカプセルを形成している樹脂が溶出し、内包されている水溶性物質が、流出等する虞がある。
更に、マイクロカプセルの形成に水溶性のモノマーを用いているため、形成されたマイクロカプセルの耐水性が低く、屋外等の水分の接触が頻繁に起こる場所等において該マイクロカプセルを使用すると、内包されている水溶性物質の効果が短期間で失われてしまう虞がある。
そのため、有機溶媒を使用しないで作業環境を悪化させることなく、水溶性或いは水分解性物質を内包でき、耐水性が高く、製造効率がよいマイクロカプセルの製造方法が要望されている。
特開平2−293041号公報
本発明は、上記問題点及び要望に鑑み、有機溶媒を使用しないで作業環境を悪化させることなく、水溶性或いは水分解性物質を内包でき、耐水性が高く、製造効率がよいマイクロカプセルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水溶性或いは水分解性物質と疎水性重合物質とを含有する液状カプセル化組成物を形成し、該液状カプセル化組成物を水性媒体中で乳化し、重合させるマイクロカプセルの製造方法において、液状カプセル化組成物の直径と、乳化させて得られる該液状カプセル化組成物に含まれる芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離との間に一定の関係が成立する場合に上記問題を解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、水溶性或いは水分解性の芯物質と、疎水性重合物質と、該疎水性重合物質を重合させる重合開始剤とを含有する液状カプセル化組成物を形成し、該液状カプセル化組成物を水性媒体中で乳化させて、該水性媒体中で前記液状カプセル化組成物を重合させるマイクロカプセルの製造方法であって、前記液状カプセル化組成物を前記水性媒体中で乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)と、乳化させて得られる該液状カプセル化組成物に含まれる前記芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離L(m/s)との間に、dp/L≧1(式1)が成立することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法を提供する。
尚、疎水性重合物質とは、25℃での水中への溶解度が0.1重量%以下の物質を意味するものである。
本発明に係るマイクロカプセルの製造方法によれば、水性媒体を用いても該水性媒体に水溶性或いは水分解性の芯物質が溶出或いは水分解することを防止できる。
また、本発明に係るマイクロカプセルの製造方法によれば、マイクロカプセルの形成に疎水性重合物質を用いるため、得られるマイクロカプセルの耐水性が高められ、屋外等の水分の接触が頻繁に起こる場所等において使用しても水溶性或いは水分解性の芯物質を内包したマイクロカプセルの効果を長期間維持させることができる。
本発明に係るマイクロカプセルの製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態のマイクロカプセルの製造方法は、水溶性或いは水分解性の芯物質と、疎水性重合物質と、該疎水性重合物質を重合させる重合開始剤とを含有する液状カプセル化組成物を形成し、該液状カプセル化組成物を水性媒体中で乳化させて、該水性媒体中で前記液状カプセル化組成物を重合させるマイクロカプセルの製造方法であって、前記液状カプセル化組成物を前記水性媒体中で乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)と、乳化させて得られる該液状カプセル化組成物に含まれる前記芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離L(m/s)との間に、dp/L≧1の関係が成立することを特徴とするものである。
液状カプセル化組成物を水性媒体中で乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)の求め方は、芯物質を配合するか、又は配合しない状態で液状カプセル化組成物の予備塊状重合(水性媒体に滴下する前に予め重合をしておくこと)時間を変えて滴下前の粘度を測定し、水性媒体に滴下して重合させて形成したカプセルの粒径を測定することでdpを求めるものである。即ち、dpを求めるためには、予め予備実験を行うものである。
また、乳化させて得られる該液状カプセル化組成物に含まれる前記芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離L(m/s)の求め方は、Stokesの式:L=g(ρS−ρf)D2/18μを用いて求める。ここで、g:重力加速度(m/s2)、ρS:芯物質の密度(g/m3)、ρf:液状カプセル化組成物の密度(g/m3)、D:芯物質の粒径(m)、μ:液状カプセル化組成物の粘性係数(g/m・s)を表す。単位時間は水性媒体中への滴下から疎水性重合物質の重合が進んでカプセル内で芯物質が移動しなくなるまでの時間、μは時間経過と共に変化するが、便宜上、滴下時のものを用いる。
まず、本実施形態のマイクロカプセルの製造方法において、用いられる原料等について説明する。
本実施形態で用いられる液状カプセル化組成物は、水溶性或いは水分解性の芯物質と、疎水性重合物質と、該疎水性重合物質を重合させる重合開始剤とを含有するものである。
水溶性或いは水分解性の芯物質としては、実質上、水に可溶或いは水により分解する物質であればいかなる物質であってもよく、蛍光顔料(例えば、酸化アルミニウムにユーロピウムを配合した蛍光性物質)、蓄光顔料(例えば、アルミン酸ストロンチウム系蓄光性物質)、示熱材料(例えば、ジチオカルバミン酸誘導体の金属錯塩を用いたサーモクロミック性を有する示熱染料)等を挙げることができる。
疎水性重合物質としては、特に限定されず、25℃での水中への溶解度が0.1重量%以下の物質で分子内に重合性基を有するものであればよい。
疎水性重合物質の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート、ポリウレタン用モノマー、エポキシ樹脂用モノマー、フェノール樹脂用モノマー、ポリ尿素用モノマー等を挙げることができる。
尚、前記疎水性重合物質は、単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。
前記アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を挙げることができる。
前記アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等を挙げることができる。
前記ポリウレタン或いはポリ尿素用モノマーとしては、脂肪族、芳香族若しくは複素環式のポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート等を挙げることができる。
エポキシ樹脂用モノマーとしては、エポキシ化合物、例えばグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
前記疎水性重合物質の選択の仕方は、任意であり、例えば、スチレン、クロロスチレン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート等から選ばれる少なくとも1種以上を基本成分とし用いることができる。また、透明性及び耐水性が高いマイクロカプセルを得る場合には、例えばメチルメタクリレート、スチレンの2種を基本成分として用いることもできる。
前記疎水性重合物質の配合量は、後述する水性媒体100重量部当たり、1〜50重量部、より好ましくは、10〜20重量部である。これらの量は、マイクロカプセルの粒径等により適宜調整できる。
前記重合開始剤としては、油溶性アゾ系又は過酸化物系開始剤、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ビス(p-クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボネート、tert-ブチルペルオクタノエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサン、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)および2,2'-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)等を用いることができる。
前記液状カプセル組成物には、さらに界面活性剤や高分子型機能剤を添加することもできる。
界面活性剤を添加することで前記液状カプセル化組成物中での水溶性或いは水分解性の芯物質の分散性を高めることができる。
前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルトリメチルアンモニウム塩、レシチン、スパン20(ICI社製、非イオン性界面活性剤)、スパン40(登録商標)、スパン60(登録商標)、スパン80(登録商標)、ソルビタンモノラウレソルビタントリオレート、ソルビタントリパルミテート、グリセロールモノステアレート等を挙げることができる。
前記高分子型機能剤を添加することで、水溶性或いは水分解性の芯物質が疎水性重合物質となじみやすくなるという効果を奏する。
該高分子型機能剤としては、例えば、無水マレイン酸とエチレンオキサイド・プロピレンオキサイドとの誘導体である「マリアリム」(登録商標、日本油脂(株)製)を挙げることができる。
尚、高分子型機能剤は、例えば、疎水性重合物質(液体)と水溶性或いは水分解性の芯物質(固体)との界面に働き、固体粒子を液体中に分散させる機能を有する機能剤である。
前記水溶性或いは水分解性の芯物質と前記疎水性重合物質との配合量は、通常、該水溶性或いは水分解性の芯物質1重量部に対して、該疎水性重合物質が2〜100重量部であり、好ましくは、該疎水性重合物質が10〜50重量部である。
疎水性重合物質の配合量が、2重量部未満では、芯物質を疎水性重合物質により完全に被覆しきるのが困難で、カプセル化した場合でも水分からの保護が不十分となるという問題を有する。
また、疎水性重合物質の配合量が、100重量部を超えると芯物質に対してカプセルの厚みが大きくなりすぎ、材料が無駄になると共に透光性や熱伝導性の低下等を招くという問題を有する。
尚、水溶性或いは水分解性の芯物質は、前記疎水性重合物質に溶解しないものでもよく、この場合、疎水性重合物質に微粒子状に分散させることによってカプセル化することができる。
前記重合開始剤の配合量は、前記疎水性重合物質 100重量部に対して1〜50重量部であり、好ましくは、該疎水性重合物質 100重量部に対して5〜20重量部である。
重合開始剤の配合量が、1倍重量部未満では、予備塊状重合を行っても疎水性重合物質が所定の粘度に達しなくなるという問題を有する。
また、重合開始剤の配合量が、50倍重量部を超えると重合速度が速くなりすぎて粘度が所定の値を超え易くなったり、また、増量分が無駄になったりする。
前記界面活性剤の配合量は、疎水性重合物質100重量部に対して1〜5重量部である。
界面活性剤の配合量が、1重量部未満では、疎水性重合物質とその他の成分、とりわけ表面の極性の高い芯物質との親和性が不足して馴染みが悪くなるという問題を有する。
また、界面活性剤の配合量が、5重量部を超えると、疎水性重合物質との親和性が一定以上のレベルに達し、それ以上界面活性剤を添加しても親和性は向上せず、増量分が無駄になる。
前記高分子型機能剤の配合量は、疎水性重合物質 100重量部に対して0.5〜5重量部である。
高分子型機能剤の配合量が、0.5重量部未満では、芯物質が十分に分散せずに塊状になるという問題を有する。
また、高分子型機能剤の配合量が、5重量部を超えると増量分が無駄になる。
本実施形態で用いられる水性媒体としては、通常、水が用いられる。
前記水性媒体には、さらに水溶性高分子、界面活性剤等を添加することができる。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
これらの中では、ポリビニルアルコールが好適である。
また、界面活性剤としては、前記記載のものを使用でき、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)等を挙げることができる。
前記水溶性高分子の配合量は、水性媒体100重量部に対して0.1〜5重量部である。
該水溶性高分子を配合することで、水性媒体の界面エネルギーが高められて疎水性重合物質との界面エネルギーの差を拡大してマイクロカプセルが真球に近い形状になりやすくなるという効果を奏する。
尚、使用する水溶性高分子の分子量は、特に制限されるものではない。
水溶性高分子の配合量が、0.1重量部未満では、上記の効果が不十分となる。
また、水溶性高分子の配合量が、5重量部を超えると水溶性高分子の特性が強く現れ、逆に界面エネルギーの低下に繋がるという問題を有する。
水性媒体に添加する前記界面活性剤の配合量は、水性媒体100重量部に対して0.01〜0.1重量部である。
該界面活性剤を配合することで、前記水性媒体と前記水溶性高分子との親和性を高め、O/Wエマルジョンの安定性を向上させる効果を奏する。
界面活性剤の配合量が、0.01重量部未満では、上記の効果が不十分となる。
また、界面活性剤の配合量が、0.1重量部を超えると水性媒体と疎水性重合物質との混和に繋がりかねなくなるという問題を有する。
次いで、本実施形態のマイクロカプセルの製造方法について説明する。
本実施形態においては、前記液状カプセル化組成物を水性媒体中に乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)と、乳化させて得られる液状カプセル化組成物に含まれる芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離L(m/s)との間に、dp/L≧1の関係が成立するものである。
尚、dp:乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径、L:乳化させて得られる液状カプセル化組成物に含まれる芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離(m/s)を表す。
dp/L≧1が成立する場合には、重合の際の攪拌時に、芯物質にかかる重力による液状カプセル化組成物からの芯物質の離脱を最小限に抑えられマイクロカプセル化される芯物質の効率を高めることができる。
尚、乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)は、実施例記載の方法により測定される。
また、乳化させて得られる液状カプセル化組成物に含まれる芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離(m/s)は、実施例記載の方法により測定される。
前記水性媒体の粘度(ηd)と前記液状カプセル化組成物の粘度(ηc)との間に、ηd/ηc=2〜15の関係が成立するように該水性媒体の粘度(ηd)と前記液状カプセル化組成物の粘度(ηc)とを調整し、前記液状カプセル化組成物を前記水性媒体中に滴下し、攪拌により乳化分散させた後、油滴界面で重合反応させることによりマイクロカプセルを製造する。
ηd/ηcが2〜15の範囲とすることで、疎水性重合物質が水溶性媒体中で、攪拌による剪断力によって毛管的な散開(Capillary break up)が起こり、マイクロカプセル化を円滑に行うことができる。更に、マイクロカプセルとして好適な直径50〜200μmの大きさ、及び略真球に近い形状とすることもできる。
ηd/ηcが2より小さくなると二分割的な散開(Binary breake up)となってマイクロカプセル化が円滑に行われず、直径及び形状が好適なものとならない。
また、ηd/ηcが15を超えると、水溶性媒体による剪断力でのマイクロカプセル化が困難となる。
尚、水性媒体の粘度(ηd)及び液状カプセル化組成物の粘度(ηc)は、実施例記載の方法により測定される。
更に、予め前記液状カプセル化組成物を所定の時間、予備塊状重合させた後に、前記水性媒体中に滴下し、攪拌により乳化分散させ、更に、油滴界面で重合反応させることによりマイクロカプセルを製造することもできる。
尚、予備塊状重合の時間は、適宜調整することができる。
前記液状カプセル化組成物と前記水性媒体との配合量は、液状カプセル化組成物1に対して水性媒体5〜100倍となるように設定することが好ましい。
特に、好ましくは、液状カプセル化組成物1に対して水性媒体10〜30倍である。
液状カプセル化組成物1に対して水性媒体が5倍未満では、液状カプセル化組成物が十分に分散するスペースが不足し、カプセル同士が付着した状態で重合が行われるという問題を有する。
また、液状カプセル化組成物1に対して水性媒体が100倍を超えると水性媒体の単位量当たりの液状カプセル化組成物の量が少なくなり、十分な剪断力を加えることができないという問題を有する。
前記乳化分散させるための攪拌条件は、50〜1000rpmであり、好ましくは100〜500rpmである。
攪拌条件を調整することで生成するマイクロカプセルの粒径を調整することができる。
乳化分散等の攪拌に用いられる攪拌機は、例えば、高速デゾルバー型ミキサー(オートホモミキサー、ホモディスパー等)、ホットプレート付マグネットスターラ、超音波ホモジナイザー、ホモジスターラ等を用いることができる。
前記重合反応の反応温度としては、使用する重合開始剤の種類により適宜調整できるが、50〜100℃であり、好ましくは60〜80℃である。
反応温度が50℃未満の場合には、重合に係わる化学反応の反応速度が遅く、単位時間移動距離が大きくなりすぎて芯物質が脱離する割合が大きくなるという問題を有する。
また、反応温度が100℃を超える場合には、水性媒体の揮発やドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)の変質が起こり水性媒体の性状を維持することが困難となるためである。
マイクロカプセルを形成させるための重合時間としては、2〜20時間であり、好ましくは6〜10時間である。
重合時間が2時間未満では、マイクロカプセルの内部まで十分に重合が行われないという問題を有する。
前記反応条件を調整することにより、粒径10〜200μmのマイクロカプセルを作製することができる。
尚、粒径の大きさ実施例記載の方法により測定される。
前記重合反応により得られたマイクロカプセルを水性媒体中から回収する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば、遠心分離法、加圧濾過法、減圧吸引濾過方等を挙げることができる。
回収されたマイクロカプセルは、従来公知の方法、例えば、加熱乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等のよって適宜乾燥させてもよい。
本実施形態において使用する疎水性重合物質の種類、配合量を適宜調整することで使用目的に応じた性能を有するマイクロカプセルを得ることができる。
例えば、疎水性重合物質として、メタクリル酸メチル、スチレン、トリメチロールプロパントリアクリレートの3種類の混合物を用いて、水分解性の芯物質として蓄光材をマイクロカプセル化した場合には、透明性及び耐水性が高いマイクロカプセルを得ることができる。
該マイクロカプセルは、透明性が高いため、蓄光材への光の入射及び蓄光材から発せられる光が遮られることなく、蓄光材本来の性能を損なう度合いが小さくできる。更に、該マイクロカプセルは、耐水性が高いため屋外等において使用しても蓄光材の分解を抑えることができる。
また、本実施形態において、水性媒体の粘度(ηd)及び液状カプセル化組成物の粘度(ηc)の比を一定の範囲にすることで粒子径が略均一で略真球な形状のマイクロカプセルが得られる。
さらに、本実施形態において、乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dpと、乳化させて得られる液状カプセル化組成物に含まれる芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する移動距離Lとが、dp/L≧1の関係を満たす場合には液状カプセル化組成物からの芯物質の離脱を最小限に抑えることができる。例えば、水分解性の蓄光材が芯物質の場合、形成されたマイクロカプセルの表面部分に該蓄光材がほとんどなく、略中心部分に蓄光材が集まっているために、水分による影響を受けにくく長時間効果を持続することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されるものではない。
(形成されたマイクロカプセル粒径の測定方法)
粒子径は以下の方法により測定される。
形成後のマイクロカプセルをスケールを入れた状態でCCDカメラで撮影し、マイクロカプセルが20個以上含まれる箇所を無作為に切り出し該箇所内のマイクロカプセル全ての粒径を測定し、その平均を算出した。
(水溶性媒体及び液状マイクロ化組成物の粘度の測定方法)
JIS Z 8803「液体の粘度測定法法」に記載されている単一円筒型回転粘度計を用いて測定した。
(液状カプセル化組成物のdpの測定方法)
dpは形成後のマイクロカプセルの粒径をそのまま用いた。
(単位時間移動距離の測定方法)
単位時間移動距離L(m/s)の求め方は、Stokesの式:L=g(ρS−ρf)D2/18μを用いて求める。ここで、g:重力加速度(m/s2)、ρS:芯物質の密度(g/m3)、ρf:液状カプセル化組成物の密度(g/m3)、D:芯物質の粒径(m)、μ:液状カプセル化組成物の粘性係数(g/m・s)。単位時間は水性媒体中への滴下から疎水性重合物質の重合が進んでカプセル内で芯物質が移動しなくなるまでの時間、μは時間経過と共に変化するが、便宜上、滴下時のものを用いた。
(マイクロカプセル中の蓄光顔料の含有量の測定方法)
(形成されたマイクロカプセルの重量−用いた液状カプセル化組成物の重量)÷形成されたマイクロカプセルの重量で求めた。
(マイクロカプセル中の蓄光顔料の輝度の測定方法)
マイクロカプセルをシャーレに5mmの厚みに入れて、昼光下に2時間放置した後、暗所に移動させて、残光輝度を輝度計(トプコン社製BM−5A)にて測定した。
(dpを求める予備実験の一例)
メタクリル酸メチル 10cm3、スチレン 10cm3、トリメチロールプロパントリアクリレート 2.2cm3を混合し、液状カプセル化組成物を調整した。
蒸留水 400cm3にポリビニルアルコール 2.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1gを添加混合して、水性媒体を調整した。
上記で調整した液状カプセル化組成物を温度70℃で5分間の予備塊状重合を行った。
滴下前に該予備塊状重合後の液状カプセル化組成物の粘度を測定した。
該液状カプセル化組成物を前記水性媒体に滴下して、所定時間重合を行い得られたカプセルの粒径を測定した。
同様に条件下で、予備塊状重合の時間を変えて、重合を行い、得られたマイクロカプセルの粒径を測定した。
(実施例1)
(液状カプセル化組成物調整)
メタクリル酸メチル 10cm3、スチレン 10cm3、トリメチロールプロパントリアクリレート 2.2cm3を混合し、該混合溶液に蓄光材 2.0g(根本特殊化学(株)製、SW-300M、アルミン酸ストロンチウム系蓄光性物質、粒径5〜40μm)、重合開始剤 1.0g(関東化学(株)製、商品名:V-65)、界面活性剤 0.21g(ICI社製、商品名:Span80)、分散剤 0.2g(日本油脂(株)製、商品名:マリアリム)を添加混合して、液状カプセル化組成物を調整した。
(水性媒体の調整)
蒸留水 400cm3にポリビニルアルコール 2.0g(関東化学(株)製、重合度500)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1gを添加混合して、水性媒体を調整した。
(予備塊状重合)
上記で調整した液状カプセル化組成物を温度70℃で15分間、予備塊状重合を行った。
(マイクロカプセル化)
予備塊状重合を行った液状カプセル化組成物を前記水性媒体中に滴下し、温度70℃、攪拌速度300rpm(東京理化器機(株)製、MDC-NS:マグネチックスターラー)で8時間重合反応を行い蓄光材含有マイクロカプセルを得た。
得られたマイクロカプセルの粒径及び状態(外観)を表1に示した。
(実施例2)
実施例1に示した配合量及び条件にて、予備塊状重合を13分間行い、蓄光材含有マイクロカプセルを得た。
(比較例1)
実施例1に示した配合量及び条件にて、予備塊状重合を10分間行い、蓄光材含有マイクロカプセルを得た。
(比較例2)
実施例1に示した配合量及び条件にて、予備塊状重合を5分間行い、蓄光材含有マイクロカプセルを得た。
実施例1及び2、比較例1及び2を用いて、dp/Lと得られたマイクロカプセルの粒径及びマイクロカプセル形成直後の蓄光顔料の含有量、輝度の測定を行った。
その結果を表1に示した。
Figure 2006075763
表1から明らかなように水溶性或いは水分解性物質を内包したマイクロカプセルを得ることができた。

Claims (3)

  1. 水溶性或いは水分解性の芯物質と、疎水性重合物質と、該疎水性重合物質を重合させる重合開始剤とを含有する液状カプセル化組成物を形成し、該液状カプセル化組成物を水性媒体中で乳化させて、該水性媒体中で前記液状カプセル化組成物を重合させるマイクロカプセルの製造方法であって、
    前記液状カプセル化組成物を前記水性媒体中で乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径dp(μm)と、乳化させて得られる該液状カプセル化組成物に含まれる前記芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離L(m/s)との間に、下記式(1)が成立することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
    dp/L≧1 (1)
    ここで、dp:乳化させて得られる液状カプセル化組成物の直径、L:乳化させて得られる液状カプセル化組成物に含まれる芯物質が該液状カプセル化組成物中を移動する単位時間移動距離(m/s)を表す。
  2. 前記水性媒体の粘度(ηd)と前記液状カプセル化組成物の粘度(ηc)とを、下記式(2)が成立するように調整することを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセルの製造方法。
    ηd/ηc=2〜15 (2)
    ここで、ηd:水性媒体の粘度、ηc:液状カプセル化組成物の粘度を表す。
  3. 前記芯物質が、蛍光顔料、蓄光顔料、示熱材料からなる群から選ばれた少なくとも1つである請求項1又は2に記載のマイクロカプセルの製造方法。
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