JP2006075710A - 粉体、脱水ケーキ等の造粒方法 - Google Patents

粉体、脱水ケーキ等の造粒方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理物の性質が変わっても、所望の粒径の造粒物を容易に製造することができる造粒方法を提供する。
【解決手段】被造粒物と水とが投入される横型造粒容器と、攪拌造粒羽根と、チョッパー羽根とから構成されている造粒装置を使用する。制御装置に、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを回転駆動して被処理物をプレミックスする時間(T1)と、塑性限界点におけるチョッパー羽根あるいは攪拌造粒羽根の消費電力(Max)とを記憶させておく。横型造粒容器に被処理物を一括投入し、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを回転駆動して、前記記憶されている時間プレミックスする。プレミックス後、予想される全投入量の60〜90%の水を投入し、その後、チョッパー羽根あるいは攪拌造粒羽根の塑性限界点における記憶されている電力値に達するまで補助水を少量宛て添加して核化生成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、粉体、脱水ケーキ等の造粒方法に関し、さらに具体的には粉体、脱水ケーキ等の被処理物と液体とが投入される横型造粒容器と、回転軸に取り付けられている攪拌造粒羽根と、前記横型造粒容器内で比較的高速で回転駆動されるチョッパー羽根とからなるバッチ式の造粒装置を使用して粉体、焼却灰、脱水ケーキ等から所望粒径の造粒物を得る、粉体、脱水ケーキ等の造粒方法に関するものである。
造粒装置は、文献名を挙げるまでもなく従来周知で、造粒容器内の被処理物を攪拌羽根で攪拌して造粒する強制攪拌形、筒型容器を回転駆動して内部の被処理物を造粒する転動造粒形、スクリュをシリンダ内で回転駆動してシリンダの先方から押し出し造粒する押出形、被処理物が入れられている槽を振動させる振動形等、多種類の造粒装置が知れらている。そして、これらの造粒装置の中から、脱水ケーキ、粉体、焼却灰等の被処理物の性質に適した造粒装置が適宜選択されて造粒されている。
強制攪拌形の造粒装置は、概略的には造粒容器と、この造粒容器の内部で回転駆動される混合撹拌羽根と、この混合攪拌羽根よりも高速で駆動されるチョッパー羽根とから構成されている。したがって、造粒容器に被処理物と水、あるいは水と例えば固着防止剤を供給し、混合撹拌羽根とチョッパー羽根とを所定時間回転駆動すると、塊状物は破砕され、また粉状物は核化生成後造粒される。
特開2002−153744 特開2001−162154
特許文献1には、攪拌羽根とチョッパー羽根とを備えた造粒装置が示されている。すなわち、横長の容器を軸方向に混合ゾーンと造粒ゾーンとに仕切壁で仕切り、混合ゾーンと造粒ゾーンには、攪拌羽根を取り付けた第1、2の回転軸をそれぞれ設け、混合ゾーンにはさらにチョッパー羽根を設けた造粒装置が示されている。特許文献1に記載されている造粒装置は、高速で回転駆動されるチョッパー羽根と比較的低速で回転駆動される攪拌羽根とを備えているので、投入された被処理物は、チョッパー羽根により短時間で混合・剪断・分散される。そして、攪拌羽根により造粒される。このように、特許文献1に記載されている発明によると、分散・造核作用と造粒作用の両作用を奏するにも拘わらず、混合・造粒装置を安価に得ることができるという効果が得られ、問題なく実施されている。
本発明の直接的な先行文献として、特許文献2を挙げることができる。この特許文献2に開示されている造粒装置は、被処理物と液体とが投入される横型造粒容器と、回転軸に取り付けられている攪拌造粒羽根と、前記横型造粒容器内で比較的高速で回転駆動されるチョッパー羽根とから構成されている。回転軸は、横型造粒容器の内部に水平方向に設けられ、チョッパー羽根は攪拌造粒羽根とは独立して駆動・停止できるようになっている。したがって、撹拌造粒羽根とチョッパー羽根とを駆動し、計量された所定量の被処理物と液体とを投入する。このとき、被処理物と液体の投入時期、混合・混練時間、造粒時間等を適宜決定する。そうすると、主としてチョッパー羽根により短時間で被処理物は混合・分散・剪断・混練作用により粒子が凝集と崩壊とを繰り返すうちに核化が生成される。そこで、チョッパー羽根を停止する。そうすると、今度は撹拌造粒羽根により、核同士が付着増大し造粒される。
上記特許文献2に記載されている発明によると、被処理物は上記したようにして短時間に混合・分散・剪断・混練され、そして造粒される。このとき、粒径は攪拌造粒羽根の駆動時間および速度により制御でき、一定の粒径の造粒物を製造することができるという、優れた効果が認められる。しかしながら、被処理物そのものが変わったり、あるいは被処理物の性質が変わったりした場合、所望の粒径および強度の造粒物を得るためには、被処理物および水あるいは液体の投入時期、混合剪断時間、造粒時間等を試行錯誤を繰り返し、決定しなければならず、実操作に入る前に時間が掛かるという問題がある。また、得られる造粒物の強度が不足することもある。
したがって、本発明は、横型造粒容器に攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とが設けられている造粒装置を使用して造粒するとき、被処理物の性質が変わっても、所望の粒径の造粒物を容易に製造することができる造粒方法を提供することを目的としている。
特許文献2に記載されている造粒装置は、横型造粒容器内に比較的低速で回転駆動される攪拌造粒羽根と、この攪拌造粒羽根よりも高速で回転駆動されるチョッパー羽根とが設けられているので、被処理物の物理的な性質にあった造粒条件に基づいて操作すると、所望の粒径の造粒物を効果的に得ることができる。したがって、本発明も攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを備えた造粒装置を使用して、上記目的が達成される。
本発明者は、この造粒装置が造粒作用において独特の性質を示すことを見出し、その知見により本発明を完成した。すなわち、被処理物は一括投入するが、水あるいは水に例えば固着防止剤を添加した液体は複数回に分けて投入することで、造粒に最も適した最適含水率を見つけることができる。このように最適含水率で核を形成し造粒すると、チョッパー羽根を駆動する電動モータの電力あるいは攪拌造粒羽根が取り付けられている回転軸を駆動する電動モータの電力は、処理時間の経過と共に特定のパターンを示すことを見出し、被処理物の性質が変わったとき、あるいは被処理物自体が変わったときも、所定のパターンを示すように、水あるいは液体の投入量および時期、換言すると含水率を制御することで、所望の粒径の造粒物が得られることを見出した。
以下、脱水ケーキ、粉体、焼却灰等は「被処理物」という表現で、また被処理物に添加する水および水に固着防止剤例えば高分子ポリマー系滑材を加えて添加する液体は「水」という表現で、さらに詳しく説明する。本発明の実施に使用される造粒装置は、バッチ式であるが、この造粒装置の横型造粒容器に投入する被処理物と水とについて考察すると、1バッチの処理量の全量の被処理物と水とを一度に横型造粒容器に投入するように実施することもできるが、全てを一度に投入すると、被処理物の物性変動もあり、造粒に対する最適含水率が正確につかめないために、造粒に失敗することもある。そこで、本発明では被処理物は一括投入するが、水は1次投入時には比較的大量に投入し、その後複数回に分けて投入あるいは添加する。これにより、被処理物に対する水分の過不足がなく、最適な含水率になるように投入することができる。
図1の(イ)に示されているチョッパー羽根の電力ー時間の関係図は、試行錯誤して試験を繰り返し、所望の粒径の造粒物が得られた時の関係図である。したがって、この関係図に示されているように、被処理物と水とを投入し、そして攪拌・混練すれば、所望の粒径の造粒物が得られる。図1の(イ)において、時間Aにおいて被処理物を一括投入する。そして、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを駆動する。被処理物は充分な混合、剪断、分散等の作用を受ける。この期間T1は、均一で小径の造粒物を得るに必要な、造粒に欠くことのできないプレミックス工程であり、水を添加しないので、この期間T1における消費電力あるいはトルクは略一定である。
所定時間T1だけプレミックスしたら、時間Bにおいて水を添加する。添加する量は全投入量の例えば60〜90%を投入する。電力は増加に転じる。以降、複数回例えば4回に分けて補助水を添加する。この期間T2は、造粒物の「芯」となる「核」が形成される造核工程期間で、核化生成すなわち「塑性限界点」まで混練を行う。塑性限界点に達すると、電力の上昇は止まる。1回に投入する補助水の量が多いと、塑性限界点に達する時間T2が短くなり、均一な核の生成が阻害される。また、投入過剰になる可能性も生じる。これに対し、1回の投入量が少ないと造核工程期間T2が長くなり、造粒サイクルが長くなる。塑性限界点に達したら、例えば過剰に投入されているときは必要に応じて少量の2次の被処理物を投入する。2次投入後の期間T3は、電力は安定し変化は見られない。この期間T3は、プレ攪拌期間ともいえる。
これ以降は、被処理物も、水も投入しない造粒工程に入る。この期間T4において、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根の駆動を続行し、分散・混練すると核同士が付着あるいは結合して造粒される。電力は急激に低下し、やがて低下が鈍る。低下が鈍った時間E点で、造粒物排出口を開いて、造粒物を取り出す。
あるいは、以降チョッパー羽根を停止し、攪拌造粒羽根の駆動を続ける。消費電力は、攪拌造粒羽根の駆動電力が表示されるので、大きくなる。造粒物は徐々に大きくなり、電力は穏やかな上昇に転じる。この期間T5は、粒径制御工程である。次の期間T6は、整粒工程で電力は下降に転じる。造粒物はしまり、強度は大きくなる。電力の変化が見られないようになったら、時間G点で、造粒物排出口を開いて、造粒物を取り出す。
なお、塑性限界点に達すると、消費電力は、図1の(イ)において点線で示されているように下降に転じ、造粒工程に入る。したがって、被処理物を2次投入することなく、そのままプレ攪拌工程T3を実施することもできる。また、チョッパー羽根は、横型造粒容器内に浮いた状態で設けられているので、被処理物の付着が少なく、消費動力は攪拌・造粒に費やされるエネルギとして現れるので、チョッパー羽根の電力が採用されているが、攪拌造粒羽根の駆動電力も略同様なパターンを示すので、攪拌造粒羽根が取り付けられている回転軸のトルクを利用することもできる。駆動電力は、図1の(ロ)において、t秒間の最大値と最小値の平均値の3点の平均を採用しているが、t秒間における最大値の50%の3点の平均を採用することもできる。
かくして、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、被造粒物と水とが投入される横型造粒容器と、回転軸に取り付けられている攪拌造粒羽根と、前記横型造粒容器内で前記攪拌造粒羽根よりも高速で回転駆動されるチョッパー羽根とから構成されている造粒装置を使用し、前記攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを回転駆動して被処理物から造粒物を得るとき、制御装置に、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを回転駆動して被処理物をプレミックスする時間と、塑性限界点におけるチョッパー羽根あるいは攪拌造粒羽根の消費電力とを記憶させておき、横型造粒容器に被処理物を一括投入し、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを回転駆動して、前記記憶されている時間プレミックスし、プレミックス後、予想される全投入量の60〜90%の水を投入し、その後、チョッパー羽根あるいは攪拌造粒羽根の塑性限界点における記憶されている電力値に達するまで補助水を少量宛て添加して核化生成するように構成され、そして請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の造粒方法において、所定時間で塑性限界点に達するように、補助水の添加量を制御するように構成される。
以上のように、本発明によると、被処理物を横型造粒容器に一括投入し、そして攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを駆動して記憶されている時間プレミックスするので、核形成に必要な充分な分散・混練作用を受ける。そして、本発明によると、プレミックス後、予想される全投入量の60〜90%の水を投入し、その後、チョッパー羽根あるいは攪拌造粒羽根の塑性限界点における記憶されている電力値に達するまで補助水を少量当て添加し核化生成するので、被処理物の物理的性質が変わっても、水は過不足なく投入あるいは添加され、そして主としてチョッパー羽根により被処理物は混合・分散・剪断・混練作用により粒子が凝集と崩壊とを繰り返すうちに均一な核が生成されるという、本発明に特有の効果が得られる。また、水は過不足なく投入あるいは添加されているので、その後の造粒工程で得られる造粒物も所望の均一な粒径となる。請求項2に記載の発明によると、所定時間で塑性限界点に達するように、補助水の添加量を制御するので、核生成時間が長くなることも、また短くなることもなく、均一な核が生成される効果がさらに得られる。
以下、図2により本発明の実施に使用される造粒装置について説明する。本発明の実施に使用される造粒装置1は、図2の(イ)、(ロ)に示されているようにバッチ式で、軸芯が水平方向に配置される横型の横型造粒容器2を備えている。そして、この横型造粒容器2の内部に回転軸30が水平方向に設けられている。
横型造粒容器2は、略円筒状を呈している。そして、横型造粒容器2の上方には、エア抜3と、被処理物あるいは被処理物を横型造粒容器2内へ供給するための材料供給口4が、その下方には同様に開閉蓋5を有する造粒物排出口6がそれぞれ設けられている。材料供給口4には、水供給管4’も併設されている。材料供給口4の上方には、図示されないホッパが設けられ、ホッパ中の被処理物は機械式フイーダにより、また水は流量制御弁8により制御された量がそれぞれ供給されるようになっている。横型造粒容器2の両サイドは側壁7、7で閉鎖され、この側壁7、7の下方端部が基礎に固定されている。このように構成されている横型造粒容器2の外周部には、図2の(ロ)に示されているように、熱媒体用のジャケット10が設けられている。この熱媒体用のジャケット10は、横型造粒容器2の外周壁と、この外周壁と所定の間隔をおいて設けられているジャケット外周壁11とから構成されている。この熱媒体用のジャケット10は、材料供給口4、造粒物排出口6等は避けて設けられている。また、図には示されていないが、側壁7、7の内側壁にも、適宜設けられている。このように構成されている熱媒体用のジャケット10の内部は、蒸気あるいは冷却水の流路となっているが、これらの熱媒体がジャケット10内で短絡しないように邪魔板、ガイド板等が適宜設けられている。
熱媒体用のジャケット10の上方端部には、図2の(ロ)に示されているように、供給コネクタ12が取り付けられ、この供給コネクタ12に対向して、ジャケット10の下方端部には排出コネクタ13が取り付けられている。そして、供給コネクタ12には、熱媒体供給管14、また排出コネクタ13には戻管15がそれぞれ接続されている。これらの熱媒体供給管14と戻管15は、加熱あるいは冷却源20に接続されている。
上記のように構成されている横型造粒容器2の内部に、前述したように回転軸30が水平方向に設けられている。そして、この回転軸30に、軸方向および回転角度方向に所定の間隔をおいて複数個のアーム31、31、…が固定され、これらのアーム31、31、…に攪拌造粒羽根32、32、…が取り付けられている。攪拌造粒羽根32、32、…は、本実施の形態では鋤形すなわちショベル形を呈し、横型造粒容器2の内周壁に沿って駆動されるようになっている。被処理物は、これらの攪拌造粒羽根32、32、…により、浮遊拡散混合され、そして造粒される。このような攪拌造粒羽根32、32、…が取り付けられている回転軸30は、横型造粒容器2の側壁7、7に固定されている軸受33、(33)に回転自在に軸受けされ、その外側において減速機構34を介して電動モータ35に接続されている。したがって、電動モータ35を起動すると、攪拌造粒羽根32、32、…は、減速機構34を介して所定方向に比較的低速で回転駆動されることになる。
図2の(ロ)にも示されているように、横型造粒容器2の内部には、攪拌造粒羽根32、32、…の他にチョッパー羽根40、望ましくは複数個のチョッパー羽根40が、横型造粒容器2内に浮いたような状態で設けられている。チョッパー羽根40は、横型造粒容器2の下部近傍において、容器2の壁から離れて設けられ、攪拌造粒羽根32、32、…により持ち上げられ、そして落下してくる被処理物を剪断、分散するもので、外部に設けられている電動モータ41により、攪拌造粒羽根32、32、…とは関係なく独立的に比較的高速で回転駆動されるようになっている。
本実施の形態に係わる造粒装置1は、例えばマイクロコンピュータからなる制御装置を備えている。この制御装置とチョッパー羽根40を駆動する電動モータ41は信号ラインで接続され、電動モータ41の消費電力あるいはチョッパー羽根40を駆動する電動モータ41の電力値が制御装置に入力されるようになっている。また、制御装置と流量制御弁8も信号ラインにより接続されている。制御装置は、以下に説明するように演算手段、比較手段、記憶手段、設定手段等を備えている。
次に、上記造粒装置を使用した造粒方法について説明する。制御装置には、図1の(イ)に示されているようなチョッパー羽根40の消費電力パターンが記憶されている。制御装置のスタートスイッチを押す。そうすると、電動モータ35が起動して撹拌造粒羽根32、32、…が回転駆動する。また、電動モータ41によりチョッパー羽根40も回転駆動する。材料供給口4から、計量された所定量の1バッチ量の脱水ケーキ等の被処理物を投入する。投入された被処理物は、撹拌造粒羽根32、32、…により持ち上げられ、そして落下しチョッパー羽根40に当たる。これにより、被処理物は主としてチョッパー羽根40により短時間に混合・剪断・分散される。すなわち、プレミックスされる。このときの電動モータ41の消費電力は、制御装置に入力される。制御装置において、プレミックス時間T1が計時されると、1バッチに必要な水量の60〜90%の水が投入される。以下、複数回に分けて少量当て添加される。この期間T2は、造粒物の「芯」となる「核」が形成される造核工程で、核化生成すなわち「塑性限界点」まで混練を行う。この期間T2の消費電力は、上昇する。やがて、記憶されている塑性限界点における最高消費電力値Maxに達する。水の添加は停止される。これにより、造核工程期間T2が終わる。
水は、少量当てではあるが、複数回に分けて投入されているので、多くなりすぎている可能性もある。そこで、必要に応じて少量の被処理物を2次投入する(T3)。2次投入後の期間T3は、電力は安定し変化は見られない。この期間T3は、プレ造粒期間ともいえる期間である。
これ以降は、被処理物も水も投入しない造粒工程に入る。この期間T4において、被処理物は攪拌され核同士が付着あるいは結合して造粒される。電力は急激に低下し、やがて低下が鈍る。低下が鈍った時間E点で、造粒物排出口6の開閉蓋5を開いて、造粒物を取り出す。あるいは、造粒物を取り出すことなく、チョッパー羽根40を停止し、攪拌造粒羽根32、32、…の駆動を続ける。造粒物は徐々に大きくなり、電力は穏やかな上昇に転じる。この期間T5は、粒径制御工程である。次の期間T6は、整粒工程で電力は下降に転じる。造粒物はしまり、強度は大きくなる。電力の降下が見られないようになったら、時間G点で、造粒物排出口6を開いて、造粒物を取り出す。
上記のようにして造粒するとき、例えば寒冷地において立ち上げ時に温度が低いときは熱媒体用のジャケット10に温水を流して予熱し、操業に入り昇温し過ぎたときには冷却水を流すなどして、横型造粒容器2内を所定温度に保つ。以上により、1バッチの処理が終わる。以下前述したようなバッチ操作をして造粒する。
上記実施の形態の作用については、チョッパー羽根40の消費電力が塑性限界点の最高電力値に達すると、少量の2次被処理物を投入する旨説明したが、2次被処理物を投入することなく、そのまま継続して造粒工程に入ることができることは明らかである。また、上記説明においては、粒径制御工程(T5)と整粒工程T6時には攪拌造粒羽根32、32、…のみを駆動する旨説明したが、これらの工程時にも攪拌造粒羽根32、32、…とチョッパー羽根40の両羽根を駆動するように実施することもできる。このように実施すると、次の粒径制御工程T5で造粒物は細粒化される。また、造核工程T2が終わると、チョッパー羽根40の回転速度を落とし、攪拌造粒羽根32、32、…の速度も落として造粒することができることも明らかである。
実施例等:被処理物に含水率2%の電気炉集塵灰を使用し、所望の粒径の造粒物が得られたときの造粒条件を次の試験1に示す。同様に含水率を予め調整して、10%の電気炉集塵灰を使用したときの造粒条件を次の試験2に示す。また、被処理物に含水率15%の脱水ケーキを使用したときの造粒条件を次の試験3に示す。
「試験1」
造粒装置:大平洋機工株式会社製のスキ型ショベル羽根を持ったミキサを使用した。この装置の容量は3.5mで、攪拌造粒羽根6枚、チョッパー羽根8段×3台、攪拌造粒羽根が取り付けられている回転軸の駆動用の電動モータの出力37kw、チョッパー羽根1台の駆動用の電動モータの出力11kw。
被処理物:電気炉集塵灰、含水率2%、1バッチの処理量170kg
テスト条件:電気炉集塵灰は1次投入で170kgの76%で130kg、2次投入は24%の40kgを投入した。水は、1次で40kg、補助水は4〜5回に分けて1回あたり1kgあて添加した。混合・分散等の時間T1〜T4は、攪拌造粒羽根とチョッパー羽根とを駆動し、T5、T6は攪拌造粒羽根のみを駆動した。そのときの電力は、図1の(ロ)に示されているように、t秒間の最大値と最小値の平均値の3点の平均を採用した。駆動時間(秒)および消費電力(kw)は、次の表1の通りであった。
表1
Figure 2006075710
なお、時間T3における2.1kwが核化生成完了時、すなわち塑性限界点に達したときの最高電力値Maxである。
「試験2」
造粒装置およびテスト条件:試験1と同じ装置を使用し同じ条件で行った。
被処理物:電気炉集塵灰、含水率10%、1バッチの処理量170kg
その結果を、表2に示す。
表2
Figure 2006075710
なお、含水率が10%で試験1の2%よりも高かったので、プレミックスT1時における消費電力は試験1よりも多少高かったが、他のT2〜T6において差は認められなかった。
「試験3」
造粒装置およびテスト条件:試験1と同じ装置を使用し同じ条件で行った。
被処理物:汚泥の脱水ケーキ、含水率15%、1バッチの処理量170kg
その結果を、表3に示す。
表3
Figure 2006075710
脱水ケーキの含水率が15%と大きかったので、プレミックスT1における消費電力は1.5〜1.6kwのように比較的大きかったが、この時間T1内に電力の変化が認められないので、核は生成されていないと考えられる。他の時間T2〜T6において消費電力に格別な差は認められなかった。
以上の試験1〜3から、被処理物の物理的な性質が変わっても所望の造粒物が得られるときの電力ー時間の関係は、略同じパターンを描くといえる。
本発明の実施の形態を示す図で、その(イ)はチョッパー羽根を駆動する電動モータの消費電力値と造粒時間との関係を示す図で、その(ロ)は電力値のサンプリング法を示す図である。 本発明の実施に使用される造粒装置を示す図で、その(イ)は一部を破断して示す模式的斜視図、その(ロ)は造粒状態の1過程も示す模式的断面図である。
符号の説明
2 横型造粒容器 6 整粒物排出口
30 回転軸 32 攪拌造粒羽根
35 電動モータ(攪拌造粒羽根駆動用)
40 チョッパー羽根
41 電動モータ(チョッパー羽根駆動用)

Claims (2)

  1. 被造粒物と水とが投入される横型造粒容器と、回転軸に取り付けられている攪拌造粒羽根と、前記横型造粒容器内で前記攪拌造粒羽根よりも高速で回転駆動されるチョッパー羽根とから構成されている造粒装置を使用し、前記攪拌造粒羽根とチョッパ羽根とを回転駆動して被処理物から造粒物を得るとき、
    制御装置に、攪拌造粒羽根とチョッパ羽根とを回転駆動して被処理物をプレミックスする時間と、塑性限界点におけるチョッパ羽根あるいは攪拌造粒羽根の消費電力とを記憶させておき、
    横型造粒容器に被処理物を一括投入し、攪拌造粒羽根とチョッパ羽根とを回転駆動して、前記記憶されている時間プレミックスし、
    プレミックス後、予想される全投入量の60〜90%の水を投入し、その後、チョッパ羽根あるいは攪拌造粒羽根の塑性限界点における記憶されている電力値に達するまで補助水を少量宛て添加して核化生成することを特徴とする粉体、脱水ケーキ等の造粒方法。
  2. 請求項1に記載の造粒方法において、所定時間で塑性限界点に達するように、補助水の添加量を制御する粉体、脱水ケーキ等の造粒方法。
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