JP2006074849A - 自励式変換装置および加速器用電磁石電源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数台のチョッパ2a〜2dが並列に多重接続された自励式変換装置1であって、出力電流iを電流設定値d1に追従させる制御を行う定電流制御回路51と、定電流制御回路51の出力である電圧設定値d2と出力電圧vとを一致させる積分制御を行う定電圧制御回路52と、定電圧制御回路52の出力信号である信号波d3を変調してチョッパ2a〜2dの出力電圧を調整するPWM回路53とを備える。
【選択図】 図1
Description
池田博、外2名、「加速器用高速高精度電磁石電源」、東芝レビュー、1988年、第43巻、第4号、p.355−357
図1は、本発明の実施の形態1に係る自励式変換装置を示す構成図である。ここでは、電圧形変換器である二象限チョッパを4台並列に多重接続した場合を例にして説明する。
図1において、自励式変換装置1は、多重接続された4台のチョッパ2a,2b,2c,2dをパルス幅変調制御して、電磁石9に流れる負荷電流を制御するように構成されている。電磁石9は、例えば加速器用の電磁石である。以下、これを具体的に説明する。
そして、整流器3と各チョッパ2a〜2dとの間には、直流コンデンサ4が接続され、電圧変動を抑制するようになっている。なお、直流コンデンサ4は、各チョッパ2a〜2dおよび整流器3に含めるようにしてもよい。
コンデンサ回路8は、前記したリアクトル81,82とともにフィルタ用として用いられている。すなわち、コンデンサ回路8とリアクトル81,82とによってフィルタが構成されている。
なお、チョッパ2a〜2dは並列接続されているので、その合成出力電圧は、各チョッパ2a〜2dの出力電圧の平均値となる。また、搬送波の位相は、チョッパ2a〜2dごとにずれているので、チョッパ2a〜2dの合成パルス周波数は高くなる。
また、電流設定値d1は、電流断続時の特性を検討するため、図2に示すように、ピーク値を60A(定格電流の6%)、変化率を1000A/0.1sとしたランプ入力とした。そして、このランプ入力に対するトラッキング誤差を1/103の精度にするため、電流制御系のループゲインのクロスオーバ周波数を10krad/sとした。
そして、定電圧制御系のループゲインGLのクロスオーバ周波数wcなどを変化させて後記の各種シミュレーションを行い、それぞれの場合において、ランプ入力に対する応答の誤差、すなわち出力電流iと電流設定値d1との電流誤差(d1−i)を求めた。
まず、位相遅れに関して説明する。図1に示した定電圧制御回路52が積分制御を行う場合、90度の位相遅れがあるため、積分以外でのフィルタや出力電圧vの検出などによる位相遅れを60度以下にして位相余有を少なくとも30度確保しなければならない。しかし、チョッパ2a〜2dに流れる電流が小電流になって断続的になる場合には、チョッパ2a〜2dに電流が流れない期間が長くなり、フィルタの放電ができなくなるなどの理由で、チョッパ2a〜2dの電圧制御ができなくなる。このため、小電流領域においては、ハンチングが生じる場合があった。そこで、出力電圧vの検出などによる位相遅れをさらに小さくした。例えば、後記のシミュレーション2,3では、電圧検出の遅れなどによる位相遅れを10度以下となるように設定した。
図3に示した位相特性θ1の場合、位相遅れを10度以下にするため、クロスオーバ周波数wcを17krad/sに下げる必要がある。つまり、フィルタの遮断周波数は、クロスオーバ周波数wcに対して3.9倍(66/17)以上に設定しなければならない。ここでは、余裕をみて4倍とした。
まず、シミュレーション1について説明する。シミュレーション1では、定電圧制御系のループゲインGLのクロスオーバ周波数wcを20krad/s、フィルタの遮断周波数を132krad/s(図3のθ2,A2参照)に設定して行った。これにより、定電圧制御の応答速度は時定数が50μsとなり、定電圧制御の遅れが定電流制御に比べて小さくなる。
図4によると、比較例の自励式変換装置100では、破線で示したように、電流誤差が−1.5A〜+1.0Aとなった。特に、電流断続が生じる5ms過ぎまでの電流誤差が理論値と大きく異なった。
これに対し、実施例の自励式変換装置1では、実線で示したように、電流誤差が−1.0A〜+1.0Aとなり、電流断続が生じる5ms過ぎまでの間の電流誤差が理論値と大きく異なることはなかった。これは、次のような理由による。すなわち、図1に示した定電圧制御部52の信号波d3が負にバイアスされて、図1に示した出力電圧vが電圧設定値d2に等しくなるように制御されたからである。このときの出力電圧v、電圧設定値d2および信号波d3の関係を図6に示す。
シミュレーション2では、定電圧制御系のクロスオーバ周波数wcを40krad/s、フィルタの遮断周波数wcを256krad/s(図3のθ3,A3参照)に設定して行った。これにより、定電圧制御の応答速度は時定数が25μsとなり、定電圧制御の遅れが定電流制御に比べて十分小さくなる。
そして、電圧設定値d2から出力電圧vの検出値までの積分制御による90度遅れ以外の位相遅れを、クロスオーバ周波数wcにおいて約9度に設定した。このときの電圧設定値d2から出力電圧vの検出値までのオープンループでの角周波数特性を図7に示す。ただし、位相特性では積分制御による90度遅れを除いて示した。図7では、振幅特性を実線で、位相特性を破線でそれぞれ表している。この図7から、実際のクロスオーバ周波数wcは、フィルタの影響をうけて約45krad/sになり、そのときの位相遅れは約9度になる。
このシミュレーション2の結果を図8に示す。図8によると、定電圧制御系のクロスオーバ周波数wcをシミュレーション1の場合よりも高くしたため、電流設定値がピーク値で一定になったときの振動的な乱れがなくなり、より理想に近い電流誤差の波形となった。
シミュレーション3では、定電圧制御系のループゲインGLのクロスオーバ周波数wcを40krad/s、フィルタの遮断周波数をクロスオーバ周波数wcの10倍以上となる520krad/sに設定した。また、電流制御系のループゲインのクロスオーバ周波数を20krad/sとした。
このときの電圧設定値d2から出力電圧vの検出値までのオープンループでの角周波数特性を図9に示す。ここでも、振幅特性を実線で、位相特性を破線でそれぞれ表している。この図9から、クロスオーバ周波数wcにおける位相遅れは約5度になる。このため、シミュレーション3では、電流制御系のクロスオーバ周波数を前記した20krad/sのように高くすることができる。
このシミュレーション3の結果を図10に示す。図10によると、電流誤差が−0.5A〜+0.5Aとなり、シミュレーション1,2(図4,図8参照)の場合に比べて、電流誤差が半減した。したがって、電流誤差の波形がより改善され、より高精度の電流制御を実現することが可能となる。
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2に係る自励式変換装置1Aは、図11に示すように、図1に示した自励式変換装置1に並列接続された4台のチョッパ2a〜2dを2台のチョッパ2a,2bで構成した点に特徴を有する。その他の自励式変換装置1Aの構成は、前記した実施の形態1とほぼ同様である。このように構成しても、加速器用電磁石9に高速でかつ高精度に通電することが可能となる。
実施の形態3に係る自励式変換装置1Bは、図12に示すように、2台のチョッパ2a,2bの出力側に電圧検出器7をそれぞれ設けるとともに、チョッパ制御装置5に電圧平均値算出回路56を設けた点に特徴を有する。
電圧検出器7は、各チョッパ2a,2bの出力電圧va,vbを検出するようになっている。また、電圧平均値算出回路56は、電圧検出器7によって検出された出力電圧va,vbの平均値を算出して加算器55に出力するようになっている。その他の自励式変換装置1Bの構成は、図11に示した実施の形態2とほぼ同様である。
このように構成すると、図12に示したように、定電圧制御回路52には、出力電圧va,vbの平均値がフィードバックされることとなり、電圧検出による遅れの影響を受けることなく、より高精度で定電圧制御を行うことが可能となる。なお、実施の形態3の場合もノイズ抑制用のフィルタを設けるようにしてもよい。
実施の形態4に係る自励式変換装置1Cは、図13に示すように、2台のチョッパ2a,2bを相間リアクトル83,84を介して並列接続するとともに、リアクトル81,82をフィルタ専用とした。また、電圧検出器7をフィルタ8の前に設け、フィルタによる電圧検出の遅れを解消するようにした点に特徴を有する。その他の自励式変換装置1Cの構成は、図11に示した実施の形態2とほぼ同様である。このように構成しても、加速器用電磁石9に高速でかつ高精度に通電することが可能となる。
2a,2b,2c,2d チョッパ
5 チョッパ制御装置
51 定電流制御回路
52 定電圧制御回路
53 パルス幅変調回路
56 加算平均回路
6 電流検出器
7 電圧検出器
9 電磁石
Claims (9)
- 複数台の電圧形変換器が並列に多重接続された自励式変換装置であって、
前記自励式変換装置の出力電流を予め設定された電流設定値に追従させる制御を行う電流制御部と、
前記電流制御部の出力と前記自励式変換装置の出力電圧とを一致させる積分制御を行う電圧制御部と、
前記電圧制御部の出力信号を変調して前記各電圧形変換器の出力電圧を調整する調整部と
を備えたことを特徴とする自励式変換装置。 - 前記電圧制御部を具備してなる電圧制御系のループゲインのクロスオーバ周波数を10krad/s以上に設定したことを特徴とする請求項1に記載の自励式変換装置。
- 前記電圧制御部を具備してなる電圧制御系のループゲインのクロスオーバ周波数を40krad/s以上に設定したことを特徴とする請求項1に記載の自励式変換装置。
- 前記自励式変換装置の出力側にリプル抑制用のフィルタが接続されている場合、前記フィルタの遮断周波数を前記電圧制御系のループゲインのクロスオーバ周波数の4倍以上とするとともに、前記自励式変換装置の出力電圧検出までの位相遅れを10度以下にしたことを特徴とする請求項3に記載の自励式変換装置。
- 前記自励式変換装置の出力側にリプル抑制用のフィルタが接続されている場合、前記フィルタの遮断周波数を前記電圧制御系のループゲインのクロスオーバ周波数の10倍以上とするとともに、前記自励式変換装置の出力電圧検出までの位相遅れを5度以下にしたことを特徴とする請求項3に記載の自励式変換装置。
- 前記電圧形変換器を少なくとも4台並列接続した場合、前記各電圧形変換器の合成パルス周波数を前記電圧制御系のループゲインのクロスオーバ周波数の10倍以上にしたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自励式変換装置。
- 前記自励式変換装置の出力電圧は、前記各電圧形変換器の出力電圧の平均値であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の自励式変換装置。
- 前記電圧制御部をアナログ回路で構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の自励式変換装置。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の自励式変換装置の出力電流を加速器用電磁石に通電して構成したことを特徴する加速器用電磁石電源装置。
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