JP2006073397A - 異方導電膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 室温の保存時においての経時安定性が高く、すなわち長いポットライフを有し、かつ絶縁信頼性の低下がない異方導電膜、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤より作製される異方導電膜であり、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が、1000ppm以下であることを特徴とする異方導電膜、及びその製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤より作製される異方導電膜であり、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が、1000ppm以下であることを特徴とする異方導電膜、及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、多数の電極(端子)を有する回路や素子間の電気的接続に使用される異方導電膜に関するものである。
フレキシブルプリント基板(FPC)上の電極と液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO端子との電気的接続、半導体素子の高密度実装を可能にするフリップチップ法における、回路基板とフリップチップとの電気的接続等には、異方導電膜が使用されている。異方導電膜には、互いに電気的接続がされる電極間の電気抵抗、すなわち膜の厚み方向の抵抗(接続抵抗)が小さく、かつ隣接する電極間の絶縁性、すなわち膜の面方向の絶縁性が高い、との両特性(以下異方導電性と言うことがある。)が求められる。
このような異方導電膜としては、バインダーとしての機能を奏する絶縁性樹脂に、その硬化剤及び導電粒子を分散したものが知られており、例えば、特開2002−235060号公報には、「溶剤中に、絶縁性樹脂を溶解し硬化剤および導電粒子を分散した異方性導電接着剤より作製した異方性導電膜において、前記溶剤のSP値が8.0〜9.0であることを特徴とする異方性導電膜(異方導電膜)。」が開示されている。
ここで、絶縁性樹脂としては、絶縁性エポキシ樹脂が使用されている。又異方導電膜には、保存時においては硬化反応が進行せず、かつ異方導電膜による電極間の接続の際に硬化反応が行われるという性質が要求されるので、硬化剤として、室温では硬化反応の進行しない潜在性硬化剤が使用されている。
このような従来の異方導電膜は、絶縁性エポキシ樹脂を溶剤に溶解させた溶液中に、潜在性硬化剤および導電粒子を分散させた液状の異方導電性接着剤を、樹脂フィルム等に塗布して膜状に成形し、溶剤を乾燥させ成膜するとの方法により製造される(特開2002−235060号公報)。
しかし、この方法により製造される異方導電膜では、室温での保存時においても、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤による硬化反応が進行し、経時安定性が低下するという問題があった。又、この異方導電膜により得られた接合体(電子素子等)では、隣接する電極間の絶縁性(膜の面方向の絶縁性)が経時的に低下する等、絶縁信頼性が低いとの問題もあり、これらの問題を生じさせない異方導電膜が望まれていた。
特開2002−235060号公報
本発明は、従来技術の前記の問題を解決し、室温の保存時においての経時安定性が高く、すなわち長いポットライフを有し、かつ絶縁信頼性の低下がない異方導電膜、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、検討の結果、前記の従来の異方導電膜の製造の際に、絶縁性エポキシ樹脂の溶解に使用した溶剤が、乾燥後も1重量%程度残存するとともに、この溶剤が潜在性硬化剤をも溶解して硬化反応を進行させ、経時安定性を低下させることを見出した。又本発明者は、絶縁信頼性の低下は、残存している溶剤が、異方導電膜を用いて電極間を接続する際の加熱により揮発し、接続後の異方導電膜に気泡となって残り、この気泡への水分の浸透等により生じることも見出した。そして、溶剤をほとんど含有しない異方導電膜によれば、従来技術の前記の問題を解決できることを見出し、この知見に基づいて検討をした結果、本発明を完成した。
本発明は、分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤より作製される異方導電膜であり、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が、1000ppm以下であることを特徴とする異方導電膜を提供する(請求項1)。
前記接着剤組成物は、エポキシ樹脂を必須成分とし、このエポキシ樹脂は、分子量500未満のエポキシ樹脂と、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂との混合物である。この混合物を用いることにより、接着剤組成物の粘度の調整が容易で、室温では流動性が低く、加熱により流動性を有する異方導電性接着剤を容易に得ることができる。
分子量500未満のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール、ビフェニル、ナフタレン、ジシクロペンタジエン等の構造を持ち、少なくとも一つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂や、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル等の構造を持ち、エポキシ基を少なくとも一つ含有している低粘度エポキシ樹脂が例示される。又、エポキシ樹脂を低粘度化するために使用されるものであって、分子骨格上にエポキシ基を有し、硬化後のエポキシ樹脂の骨格の一部となるいわゆる反応性希釈剤も含まれる。
分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノール、ビフェニル、ナフタレン、ジシクロペンタジエン、又はノボラック等の構造に、二つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が例示される。
分子量500未満のエポキシ樹脂と分子量500以上のエポキシ樹脂の混合比により、混合物の粘度を調整することができる。好ましい混合比は、混合物の30℃における粘度が10000Pa・s以上で、80℃における粘度が1000Pa・s以下となる混合比である。その具体的な範囲は、用いられるエポキシ樹脂の種類等により変動し、特に限定されないが、通常は、分子量500未満のエポキシ樹脂:分子量500以上のエポキシ樹脂が、重量比で、20/80〜60/40となる範囲が好ましい。
前記接着剤組成物は、エポキシ樹脂(分子量500未満のエポキシ樹脂と分子量500以上のエポキシ樹脂の混合物。以下においても、この混合物を、単にエポキシ樹脂と表現する。)とともに、潜在性硬化剤を必須成分とする。潜在性硬化剤とは、室温以下の温度では硬化反応を進行させず、電極接続時の加熱によりエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤である。潜在性硬化剤の配合量は、その種類やエポキシ樹脂の種類により変動し特に限定されないが、後述するマイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤の場合は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して1〜40重量部の範囲が好ましい。
本発明の異方導電膜は、この接着剤組成物に、導電粒子を分散させて得られる異方導電性接着剤より作製される。この異方導電性接着剤は、室温では流動性が低い(ほとんど有しない)が、加熱すると流動性を有することを特徴とする。
導電粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、ハンダ等の金属粒子やカーボン等があげられる。又、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等の核の表面に、Au、Ag、Ni、Cu、ハンダ、ITO等の導電層を被覆等の手段で形成したものでも良い。
本発明の異方導電膜は、エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量、すなわち異方導電膜全体の重量に対する該溶剤成分の重量比が、1000ppm以下であることを特徴とする。ここでエポキシ樹脂の溶剤成分とは、異方導電膜の主成分である分子量500未満のエポキシ樹脂と分子量500以上のエポキシ樹脂を溶解することができる溶剤である。この溶剤には、本来は、保存時の硬化反応の進行を抑えるために潜在性硬化剤を溶解しない性質が求められるが、実際に使用されている溶剤は、潜在性硬化剤をある程度は溶解し、この溶剤が多量に残存すると、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との硬化反応が室温においても進行する。本発明の異方導電膜では、この溶剤成分の量を1000ppm以下とした結果、室温における硬化反応の進行を抑え、経時安定性が向上するとともに、電極間の接続の際の加熱による気泡の発生も抑えられ、絶縁信頼性の低下も防止される。
本発明の異方導電膜の前記の効果は、溶剤成分の含有量が少ない程大きい。従って、溶剤成分の含有量としては、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。10ppm以下とすることにより、室温における硬化反応の進行はほとんど生じない。請求項2は、このより好ましい態様に該当する。
本発明の異方導電膜は、室温では流動性が低い(ほとんど有しない)が、加熱すると流動性を有する異方導電性接着剤から作製されることを特徴とする。従って、この異方導電性接着剤は、加熱して流動化することにより、溶剤を用いることなしに、又は従来技術における異方導電性接着剤の溶液の場合と比較して、少量の溶剤のみにより、膜形成に必要な低粘度にすることができる。膜形成後、冷却して固化(非流動化)することにより成膜することができる。
膜形成に必要な低粘度とした後の成膜の工程は、従来の異方導電膜の場合と同様に、樹脂フィルム上で行うことができる。すなわち、離型処理された樹脂フィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に流動化された異方導電性接着剤を塗布し、その後冷却する方法により行うことができる。
異方導電性接着剤を構成する接着剤組成物としては、30℃における粘度が10000Pa・s以上で、80℃における粘度が1000Pa・s以下のものが好ましい。請求項3は、この好ましい態様に該当するものである。30℃における粘度が10000Pa・s未満であると、膜形状の維持が困難となり室温での作業性が低下する。80℃における粘度が1000Pa・sを越える場合は、電極の接続の際に、80℃程度に加熱した段階では流動性が不十分であり、成膜が困難となる。又電極の接続の際の電極の凹凸への流れ込みが不十分であり、その結果、接続抵抗の増加や接着の不良等の問題が生じる場合がある。
潜在性硬化剤としては、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が、好ましく用いられる。請求項4は、この好ましい態様に該当する。マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤は、イミダゾール系硬化剤を微小カプセルで包んだ硬化剤であり、室温では硬化剤はカプセル内に内包されているのでエポキシ樹脂と接触せず、硬化反応は進行しないが、加熱により硬化剤が溶融してエポキシ樹脂中に分散し、硬化反応を進行させるものである。マイクロカプセルにより硬化剤がエポキシ樹脂と隔離されているため、経時安定性が高い。
マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤としては、例えば、特開2000−80146号公報に記載されている、壁膜がウレタン結合を有するものが挙げられる。内包されるイミダゾール系化合物としては、イミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示され、イミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
導電粒子として、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を用いると異方導電性が向上するので好ましい。請求項5は、この好ましい態様に該当する。微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を用いると、金属粉末の充てん密度を高くすることなしに、接続抵抗(膜の厚み方向の抵抗)を低下させることができるし、金属粉末の充てん密度を高くする必要がないので、隣接する電極間の絶縁性を高く維持することができる。
微細な金属粒子とは粒径10〜500nm程度のものが好ましい。鎖状に繋がった形状としては、平均長さ2〜20μm程度で、鎖の太さと長さの比が10〜100程度のものが好ましく用いられる。
微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属粉末は、金属のイオンを、3価のチタン化合物等の還元剤を含む溶液に加えることで、液中に析出させて形成することができる(いわゆる還元析出法)。
微細な金属粒子を形成する金属としては、Fe、Ni、Co等の強磁性を有する金属が好ましい。強磁性を有する金属を用いると、それ自体が有する磁性により配向するし、又後述するように磁場を用いて導電粒子の配向を行うことができる。強磁性を有する金属としては、強磁性を有する金属の単体又は強磁性を有する金属を含む複合体が挙げられる。
ここで、強磁性を有する金属を含む複合体としては、強磁性を有する2種類以上の金属の合金、強磁性を有する金属と他の金属との合金、強磁性を有する金属を含むその他の複合体が例示される。請求項6は、この好ましい態様に該当し、請求項5の異方導電膜であって、微細な金属粒子が、強磁性を有する金属の単体又は強磁性を有する金属を含む複合体から形成されることを特徴とする異方導電膜を提供するものである。
微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する導電粒子を、膜の厚み方向に配向させることにより、異方導電性がさらに向上するので好ましい。請求項7は、この好ましい態様に該当する。該導電粒子に強磁性を有する金属を用いる場合は、成膜工程で、異方導電性接着剤が流動性を有する状態で、膜の厚み方向の磁場を加えることにより、容易に配向を行うことができる。
導電粒子の添加量の好ましい範囲は、用途により変動し特に限定されないが、通常エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは、0.2〜10重量部である。0.1重量部未満では、電極間の電気的接続が充分得られない(接続抵抗が高い)場合が多く、20重量部を越えると、隣接する電極間の絶縁性が不充分となる場合が多くなる。
本発明の異方導電膜には、回路板の信頼性に悪影響を及ぼす可能性や、本発明の効果を損なう可能性のない範囲で、前記の必須成分に加えて、用途に応じて無機充填剤、有機充填剤、白色顔料、重合抑制剤、増感剤、シランカップリング剤、耐熱性、吸水性、密着性を上げるための改質剤、及びこれらの組み合わせから選択される添加物を含有しても良い。
本発明は、さらに、前記異方導電膜の製造方法として、分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤を加熱して流動化する工程、この流動化された異方導電性接着剤を、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が1000ppm以下の膜状にする工程、及び形成された膜を冷却し固化する工程を有することを特徴とする異方導電膜の製造方法を提供する(請求項8)。
本発明は、又、前記の異方導電膜の製造方法の他の態様として、分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が1000ppm以下である異方導電性接着剤を、加熱流動化して膜状にする工程、及び形成された膜を冷却し固化する工程を有することを特徴とする異方導電膜の製造方法を提供する(請求項9)。
前記の異方導電膜の製造方法のいずれにおいても、異方導電性接着剤は、エポキシ樹脂を加熱して流動化した後に、潜在性硬化剤及び導電粒子を分散させる方法により、又はエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤の混合物を加熱して流動化した後に、導電粒子を分散させる方法により、製造することができる。通常は、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤の混合物、すなわち接着剤組成物を加熱し流動化した後、導電粒子が添加され分散される。異方導電膜の製造工程を簡易にするためには、流動性を有する異方導電性接着剤を固化する前に、樹脂フィルム等に塗布して、成膜工程を行うことが好ましい。
加熱する温度としては、エポキシ樹脂、潜在性硬化剤と導電粒子を含有する異方導電性接着剤の粘度が1000Pa・s以下となる温度で、昇温速度10℃/分のDSC測定により定められる発熱開始温度以下が好ましい。1000Pa・sを越えると膜の形成が困難となる場合がある。又、発熱開始温度を越えると潜在硬化剤による硬化反応が生じる場合がある。
発熱開始温度以下で1000Pa・s以下の粘度となる異方導電性接着剤は、例えば、分子量500未満のエポキシ樹脂と分子量500以上のエポキシ樹脂を、所定の比で混合したエポキシ樹脂により得られる。しかし、この混合のみでは発熱開始温度以下で1000Pa・s以下の粘度とすることが困難な場合は、反応性希釈剤(分子量500未満のエポキシ樹脂)や少量の溶剤を添加して粘度を下げ、前記の範囲に調整することが好ましい。ここで溶剤は、エポキシ樹脂を溶解可能な溶剤であるが、従来技術の場合よりは少量でよい。
この加熱され流動化している段階で、溶剤成分の含有量が1000ppm以下の液状の膜が形成される。エポキシ樹脂等の原料に溶剤成分を含まないものを用い、かつ粘度を調整するための溶剤を用いない場合等、加熱、流動化の際の異方導電性接着剤中の溶剤成分の含有量が、1000ppm以下の場合、特に溶剤の除去を行う必要はない。請求項9は、この態様に該当する。
しかし、原料に溶剤成分を含むものを用いた場合、又は粘度を調整するために溶剤を用いた場合等、加熱、流動化の際の異方導電性接着剤中に、溶剤成分が1000ppmを越える量含まれている場合は、加熱、流動化後の異方導電性接着剤から、溶剤の除去を行う必要がある。請求項8は、この態様に該当する。溶剤の除去は、加熱して乾燥する方法により行うことができる。ただし、この方法では、溶剤を100ppm程度以下まで除去することは困難な場合が多いので、異方導電性接着剤の粘度の調整には溶剤よりも、反応性希釈剤が好ましく用いられる。
前記のように、好ましくは、膜の形成は、樹脂フィルム等の上に、流動性を有する異方導電性接着剤を塗布する方法により行われ、その後冷却されて固化、成膜される。樹脂フィルムとして、離型性が付与されたものを用いることにより、容易に成膜された膜を離型でき、本発明の異方導電膜が得られる。
異方導電性の向上のためには、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する導電粒子を用い、前記導電粒子を膜の厚み方向に配向させる工程を有することが好ましい。請求項10は、この好ましい態様に該当する。配向させる方法としては、膜を形成する際の異方導電性接着剤が流動性を有する状態で行うことが好ましく、特に厚み方向の磁場を加える方法が好ましく例示される。
本発明の異方導電膜は、FPC等の回路基板の電極と該回路基板上に実装される素子等の電極との電気的接続等に用いられる。この電気的接続は、例えば、本発明の異方導電膜を、室温、すなわち流動性がほとんどない状態で、接続される電極間に挟み込み、200℃程度まで加熱すると同時に加圧する方法で行うことができる。
昇温する過程で、異方導電膜の流動性が上がり電極の凹凸に流れ込むが、さらに、昇温することによりエポキシ樹脂の硬化反応が進行して、電極間の充分な接着、固定が達成される。又、加圧することにより、膜の厚み方向では、導電粒子間の接触が起こり、厚み方向における電気的接続が達成される。その後、室温まで冷却することにより、更に強く接着、固定がされる。
本発明の異方導電膜は、保存時にエポキシ樹脂の硬化反応が進行することがなく、長ポットライフを有する。又、電極間の接続に使用する際の加熱により気泡が発生することがないため、絶縁信頼性も高い。本発明の異方導電膜の製造方法により、この異方導電膜を容易に製造することができる。
次に発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
固体ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン製)60重量部を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂エピコート806(ジャパンエポキシレジン製)の40重量部中に80℃で溶解し、その後、80℃での樹脂粘度が1000Pa・s以下となるように酢酸ブチルを混合しエポキシ樹脂溶液を得た。
次に、80℃で前記エポキシ樹脂溶液、マイクロカプセル型潜在性硬化剤HX3941HP(旭化成エポキシ製)及び導電粒子を、重量比が90/9/1となるように混合し、導電粒子が均一に分散した異方導電性接着剤を得た。得られた異方導電性接着剤の80℃での粘度は1000Pa・s以下であった。ここで導電粒子としては、微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有し、金属粒の平均粒径が300nm、長さが平均4μm、最大13μmであるNi粉末を用いた。
その後、この異方導電接着剤を、80℃に加熱した状態で、離型処理したPETフィルム上に塗布した後、80℃で、磁束密度8000ガウスの膜の厚み方向の磁場を加え、粒子配向させるとともに、酢酸ブチルを残分500ppmとなるまで乾燥した後、磁場中で冷却することによって、膜の厚み方向に導電粒子を配向させた状態で固定した、厚み20μmの異方導電膜を得た。
固体ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン製)60重量部を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂エピコート806(ジャパンエポキシレジン製)の40重量部中に80℃で溶解し、その後、80℃での樹脂粘度が1000Pa・s以下となるように、反応性希釈剤YED111(ジャパンエポキシレジン製:アルキレンモノグリシジルエーテル)を混合しエポキシ樹脂溶液を得た。
その後、マイクロカプセル型潜在性硬化剤HX3941HP(旭化成エポキシ製)、及び導電粒子としては、微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有し、金属粒の平均粒径が300nm、長さが平均4μm、最大13μmであるNi粉末を用い、実施例1と同様にして、膜の厚み方向に導電粒子を配向させた状態で固定した、厚み20μmの異方導電膜を得た。膜中の溶剤残分は10ppm以下であった。
比較例
固体ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン製)60重量部を酢酸ブチルに溶解した溶液、及び液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂エピコート806(ジャパンエポキシレジン製)の40重量部を混合し、室温での樹脂粘度が1000Pa・s以下である樹脂溶液を作製した。
固体ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン製)60重量部を酢酸ブチルに溶解した溶液、及び液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂エピコート806(ジャパンエポキシレジン製)の40重量部を混合し、室温での樹脂粘度が1000Pa・s以下である樹脂溶液を作製した。
次に前記エポキシ樹脂溶液、マイクロカプセル型潜在性硬化剤HX3941HP(旭化成エポキシ製)、導電粒子を重量比が90:9:1となるように混合し、導電粒子が均一に分散した異方導電性接着剤を得た。得られた異方導電性接着剤の80℃での粘度は1000Pa・s以下であった。ここで導電粒子としては、微細な金属粒が多数、鎖状に繋がった形状を有し、金属粒の平均粒径が300nm、長さが平均4μm、最大13μmであるNi粉末を用いた。
その後、室温で、離型処理したPETフィルム上に塗布した以外は実施例1と同様にして、厚み20μmの異方導電膜を得た。膜中の溶剤残分は3000ppmであった。
なお、実施例1、2及び比較例において、溶剤残分の測定は、次に示す方法で行った。
濃度既知の溶剤を用いてGC−MS分析を行い、ピーク面積と溶剤濃度を対応させた検量線を作成する。その後、150℃×1hrの条件で異方導電膜を加熱し、溶剤等の揮発成分を気化させた後、一旦凝縮して液体とし、この液体のGC−MS分析を行い、ピーク面積と、前記の検量線から溶剤濃度を求め、残分を算出した。
濃度既知の溶剤を用いてGC−MS分析を行い、ピーク面積と溶剤濃度を対応させた検量線を作成する。その後、150℃×1hrの条件で異方導電膜を加熱し、溶剤等の揮発成分を気化させた後、一旦凝縮して液体とし、この液体のGC−MS分析を行い、ピーク面積と、前記の検量線から溶剤濃度を求め、残分を算出した。
[反応率変化]
実施例1、2及び比較例において作製した異方導電膜を、25℃で、表1に示す一定期間保存した後のエポキシ反応率を、DSC(30℃−300℃、昇温速度10℃/min)で測定することにより、保存安定性を調べた。結果を表1に示す。異方導電膜作製初期のDSC反応熱量に対する反応熱量の減少率を、エポキシ反応率とした。
実施例1、2及び比較例において作製した異方導電膜を、25℃で、表1に示す一定期間保存した後のエポキシ反応率を、DSC(30℃−300℃、昇温速度10℃/min)で測定することにより、保存安定性を調べた。結果を表1に示す。異方導電膜作製初期のDSC反応熱量に対する反応熱量の減少率を、エポキシ反応率とした。
表1から明らかなように、本発明例である実施例1、2では、溶剤の残量が1000ppmを越える比較例と比べて、保存安定性が高く、3月経過後もエポキシ反応率が小さい。特に、溶剤の残量が10ppm以下の実施例2では、3月経過後もエポキシ反応率は0である。
[接続評価]
幅15μm、長さ100μm、高さ16μmのAuメッキバンプが15μm間隔で726個配列されたICチップと、幅15μm、スペース15μmで同数のAuメッキCu電極が配列されたフレキシブルプリント基板(FPC)とを用意した。このICチップと回路基板との間に、前記実施例1、2、比較例で得られた異方導電膜であって、25℃で、表2に示す一定期間保存後の異方導電膜を挟み、200℃に加熱しながら1バンプ当たり30gfの圧力で15秒間加圧して接着させ、IC−FPC接合体を得た。85℃85%RHの高温高湿槽に一定時間静置した後、微小電流測定機を用いて隣接するAuメッキCu電極間の絶縁抵抗を測定した。その結果を表2に示す。絶縁不良は1GΩ以下の抵抗である。
幅15μm、長さ100μm、高さ16μmのAuメッキバンプが15μm間隔で726個配列されたICチップと、幅15μm、スペース15μmで同数のAuメッキCu電極が配列されたフレキシブルプリント基板(FPC)とを用意した。このICチップと回路基板との間に、前記実施例1、2、比較例で得られた異方導電膜であって、25℃で、表2に示す一定期間保存後の異方導電膜を挟み、200℃に加熱しながら1バンプ当たり30gfの圧力で15秒間加圧して接着させ、IC−FPC接合体を得た。85℃85%RHの高温高湿槽に一定時間静置した後、微小電流測定機を用いて隣接するAuメッキCu電極間の絶縁抵抗を測定した。その結果を表2に示す。絶縁不良は1GΩ以下の抵抗である。
表2から明らかなように、本発明例である実施例1、2の異方導電膜により得られたIC−FPC接合体では、高温高湿で1000hr保存後も良好な電極間の絶縁抵抗を維持しており、特に、溶剤の残量が10ppm以下の実施例2では、高い絶縁抵抗を維持している。一方、比較例では、絶縁抵抗の経時による低下が大きく、500hrで、1GΩ以下の絶縁不良となる。
Claims (10)
- 分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤より作製される異方導電膜であり、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が、1000ppm以下であることを特徴とする異方導電膜。
- 前記溶剤成分の含有量が、10ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の異方導電膜。
- 前記接着剤組成物の、30℃における粘度が10000Pa・s以上で、80℃における粘度が、1000Pa・s以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の異方導電膜。
- 前記潜在性硬化剤が、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の異方導電膜。
- 前記導電粒子が、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の異方導電膜。
- 前記微細な金属粒子が、強磁性を有する金属の単体又は強磁性を有する金属を含む複合体から形成されることを特徴とする請求項5に記載の異方導電膜。
- 前記導電粒子を、膜の厚み方向に配向させたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の異方導電膜。
- 分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤を加熱して流動化する工程、この流動化された異方導電性接着剤を、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が1000ppm以下の膜状にする工程、及び形成された膜を冷却し固化する工程を有することを特徴とする異方導電膜の製造方法。
- 分子量500未満のエポキシ樹脂、分子内に二つ以上エポキシ基を含む分子量500以上のエポキシ樹脂、及び潜在性硬化剤を必須成分とする接着剤組成物中に、導電粒子を分散させた異方導電性接着剤であって、前記エポキシ樹脂を溶解する溶剤成分の含有量が1000ppm以下である異方導電性接着剤を、加熱流動化して膜状にする工程、及び形成された膜を冷却し固化する工程を有することを特徴とする異方導電膜の製造方法。
- 前記導電粒子が、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有し、かつ前記導電粒子を膜の厚み方向に配向させる工程をさらに有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の異方導電膜の製造方法。
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JP2004256787A JP2006073397A (ja) | 2004-09-03 | 2004-09-03 | 異方導電膜及びその製造方法 |
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JP2010225606A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Sanyo Electric Co Ltd | 固体電解コンデンサの製造方法 |
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2004
- 2004-09-03 JP JP2004256787A patent/JP2006073397A/ja active Pending
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