JP2006072343A - 微小構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Noriyuki Iguchi
憲幸 井口
Masabumi Nakada
正文 中田
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Abstract

【課題】高スループットで、高精度に形状が加工され、微細な連続構造を有する微小構造体を得る。
【解決手段】少なくとも1本の柱状構造と、柱状構造の側面を基部として側面方向に伸びるスリット形成部とを有し、スリット形成部が、柱状構造の中心軸に添った方向に20〜1000nmの間隔で並列された多数のスリットを有することを特徴とする微小構造体。
【選択図】図6

Description

本発明は、微小で成形精度に優れた微少構造体の製造方法に関するものであり、特に光学素子として使用可能な微小構造体の製造方法に関する。
近年、種々の技術分野で各種の構造体の超小型化、精密化、超高性能化が盛んに進められており、例えば、ナノオーダーの寸法に微小化、微細化された構造体(以下「微小構造体」という。)が望まれている。この微小構造体は従来から様々な方法によって製造されている。具体的には、以下のような方法が挙げられる。
(1)自己組織化構造の利用
(2)レーザー、光共焦点を用いた光造型法
(3)電子ビーム、イオンビームを用いた立体構造作製法
(4)半導体プロセスの利用
(5)ナノインプリント法
ここで、(1)自己組織化とは例えば、特開2002−023356号公報(特許文献1)に開示されているように、基板など下地層等の所定位置に自己組織化可能な分子を配置し、この分子と反応可能な結合性官能基を有する分子を相互作用させることによって、
高い配向性を有する化合物を、基板上に配向させて形成する方法である。(2)光造型法とは、例えば、特開平7−329188号公報(特許文献2)に開示されているように、液状の光硬化性樹脂に紫外線等のレーザービームを照射して薄膜を形成し、この薄層を順次積層して微小構造体を製造する方法である。(3)電子ビーム、イオンビームを用いた立体構造作製法は、例えば特開平1−261601号公報(特許文献3)に開示されているように、基板上に塗布されたレジスト膜に強度調整した電子ビームを照射して微小構造体を製造する方法である。(4)半導体プロセスとは、フォトリソグラフィーを利用したマスクパターンの形成と、露出部分のエッチングによる除去加工を繰り返し行って、構造体を形成する方法である。(5)ナノインプリントとは、ナノサイズのパターンを有する型板を基板にプレスすることによって、型板のパターンを基板上に転写する方法である。
しかしながら、(1)自己組織化では、加工形状や組織化を行う部分の配置が限定され、所望の形状、配置の構造体を得ることが困難であった。(2)光造形法では、樹脂硬化に光を使用するため、ナノオーダーでの構造体の形状加工が困難であった。また、光硬化樹脂の造形後にフルキュア工程で完全硬化を行なう際、構造体全体が1%〜数%収縮してしまい、構造体の高精度な成形が困難であった。(3)立体構造作製法では、加工可能な厚さに限界があり、厚さ方向の形状自由度が小さく、スループットも小さかった。(4)半導体プロセス、(5)ナノインプリント法では、平面構造を作製し、これを積み上げて三次元構造体とするため、構造体作製に長時間が必要であった。また、複数の工程を経由するため、高精度な構造体の加工が困難であった。
一方、マイクロマシン/MEMS技術大全(非特許文献1)第304〜306頁には、Boschプロセスが開示されている。Boschプロセスとは、シリコン基板の加工方法の一種でありSF6ガスによるエッチングと、C48ガスによるパッシベーション膜の形成とを交互に行うことよって、シリコン基板層をその厚み方向にエッチングしていくものであり、微細かつ連続的な構造体を得ることができる。
特開2002−023356号公報 特開平7−329188号公報 特開平1−261601号公報 マイクロマシン/MEMS技術大全 第304〜306頁
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、高スループットで、高精度に形状加工が可能であり、微細な構造を有する微小構造体を得ることを目的とする。
また、この微小構造体を有し、優れた光処理特性を有する光学素子を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、本発明は、少なくとも1本の柱状構造と、該柱状構造の側面を基部として側面方向に伸びるスリット形成部とを有し、
該スリット形成部が、該柱状構造の中心軸に添った方向に20〜1000nmの間隔で並列された多数のスリットを有することを特徴とする微小構造体に関する。
また、本発明は少なくとも1本の柱状構造と、該柱状構造の側面を基部として側面方向に伸びるスリット形成部とを有し、該スリット形成部が該柱状構造の中心軸に添った方向に並列された多数のスリットを有する微小構造体の製造方法であって、
(1)前記柱状構造の高さよりも厚い基板を用意する工程と、
(2)該基板の上面上の所定の方向に延在し、前記スリット形成部となる部分を規定するための該延在方向と交差する方向の幅が狭い部分と、前記柱状構造となる部分を規定するための該延在方向と交差する方向の幅が広い部分とを有するマスクを設ける工程と、
(3)該マスクをエッチングマスクとして用いて、SF6ガスを用いた反応性イオンエッチング法により該基板の上面に等方性エッチングを行い、該基板の上面の前記マスクの少なくとも該延在方向に対する両側の部分を厚さ方向に掘り込んで2つの対向する溝を形成する工程と、
(4)前記溝が形成された基板上面をC48ガスを用いたプラズマ反応により形成されたパッシベーション膜で覆う工程と、
(5)前記パッシベーション膜で覆われた基板上面に対してSF6ガスを用いた反応性イオンエッチング法により等方性エッチングを行い、該基板の上面の少なくとも前記マスクの幅が狭い部分の下部に該マスクの幅が狭い部分を挟んで対向する溝間を連通する開口を設ける工程と、
(6)前記工程(3)〜(5)を繰り返して、前記基板の厚さ方向に前記溝を伸長させるとともに、前記マスクの幅が狭い部分下部の厚さ方向に開口を並列させて、前記微小構造体を得る工程と
を有することを特徴とする微小構造体の製造方法に関する。
本発明の製造方法では、高スループットで、高精度に形状が加工された微小構造体を得ることができる。また、本発明の製造方法では、連結部及び開口の形状、大きさ、間隔等を容易に制御することができる。このため、この特性を利用して本発明の微小構造体は、様々な用途に使用することができる。本発明の微小構造体は特に、その微細性、加工された形状の高精度性を利用して優れた光学素子として使用することができる。
本発明の製造方法では、微細、高スループット、且つ、高精度で加工された形状を有する微小構造体を製造することができる。また、製造条件の制御及び製造工程が簡易であり、簡易な装置を用いて短時間で微小構造体を製造することができる。更に、本発明の製造方法では、製造基板上に設けるマスクは少なくとも1つ以上の幅変化部分を有していれば良く、マスクとして様々な形状のものを用いることができ、高い設計自由度を有することができる。
本発明の製造方法では、マスク中に複数の幅変化部分を設けることによってスリット形成部の構造を容易に制御することができる。また、微小構造体中の位置によって目的とする特性を変化させた微小構造体を得ることができる。本発明の製造方法では、幅が広い部分をマスク両端部に設けることによって、スリット形成部を柱状構造で挟む構造とすることができ、製造時にスリット形成部の破損を防止することができる。
更に、本発明の微小構造体を光学素子として使用した場合、これらの微細性、形状の高精度性を利用して光学素子として要求される所望の特性を発揮することができる。また、本発明の微小構造体は、連結部及び開口(スリット)が軸方向に等間隔に配列されていることによって、より優れた所望の光学素子特性を発揮することができる。
(微小構造体の製造方法)
本発明の微小構造体は、等方性エッチングと、エッチング面全面への保護膜作製プロセスとを、交互に行うことによって作製できる。例えば、シリコン基板を用いて微小構造体を作製する場合、Boschプロセス(ASE:Advanced Silicon Etchingともいわれる)を用いることができる。Boshcプロセスとは、SF6によるエッチングと、C48によるフロロカーボン堆積とを繰り返すシリコンエッチングであり、高選択性、高アスペクト比のエッチングが実現可能である。
以下に、図1を用いて本発明の微小構造体の製造方法の一例を詳細に説明する。まず、柱状構造の高さよりも厚い基板11を用意する。基板としてはシリコン基板又はSOI基板を用い、基板の表面には熱酸化膜SiO2を形成しておく。このマスク12は幅変化部分31を介して幅が狭い部分33と幅が広い部分32とが接続されている。
次に、フォトリソグラフィー等を行うことにより、基板上にマスクで覆われていない基板露出部13を設ける。図1(a)及び(b)はこの状態を表した模式図であり、図1(a)は基板を厚み方向の上面から見た図、図1(b)は図1(a)のA−A’方向断面図である(図1では一例として、幅変化部分31を2つ有するマスクを用いている)。マスク12としては特に限定されるわけではないが、例えば、レジストマスクやSiO2膜を用いることができる。
この後、Boschプロセスを行う。すなわち、基板上のマスクをエッチングマスクに用いて、SF6ガスを用いた反応性イオンエッチング法により基板の等方性エッチングと、C48ガスを用いたプラズマ反応によるパッシベーション膜の堆積と、最初の等方性エッチングと同様のSF6ガスによる等方性エッチングを複数回、行う。以下、詳細に説明する。
まず、最初の等方性エッチングでは、基板の露出部(マスクが延在する方向14に対する両側の部分に設けた開口)13の少なくともマスク側方部分を基板の厚さ方向に掘り込み一対の溝16が形成される(図1(d))。基板と平行な断面で見ると、この溝16はマスクの輪郭13よりも広がった形で形成される。図1(c)〜(e)はこの状態を表した模式図であり、図1(c)は基板を厚み方向の上面から見た図、図1(d)は図1(c)のA−A’方向断面図、図1(e)は図1(c)のB−B’方向断面図である。
等方性エッチングが進むにつれて、溝16同士が一部で連通し、マスクのうち幅変化部分に隣接し、幅が狭い部分33下方で幅が狭い部分33を挟んで対向する溝間を連通する(マスクの延在方向14と交差する方向15に連通する)開口17が形成される。なお、開口17(スリット)が形成される部分は、幅が狭い部分33下方に限られるわけではなく、マスクの形状やエッチングの条件によっては幅が狭い部分33下方から幅変化部分31下方まで広がった形で開口が形成される。また、等方性エッチングは溝16同士が完全に連通する前に終了するため幅が狭い部分33の直下には等方性エッチングによって除去されなかった連結部18が形成される。
次に、CVD気相化学成長法によって基板上にC48ガスによるフロロカーボンのパッシベーション膜19を形成する。図2(a)〜(c)はこの状態を表した模式図であり、図2(a)は基板を厚み方向の上面から見た図、図2(b)は図2(a)のA−A’方向断面図、図2(c)は図2(a)のB−B’方向断面図である。
この後、最初の等方性エッチングと同様の方法によって、反応性イオンエッチング法による等方性エッチングを行う。図3(a)〜(c)はこの状態を表した模式図であり、図3(a)は基板を厚み方向の上面から見た図、図3(b)は図3(a)のA−A’方向断面図、図3(c)は図3(a)のB−B’方向断面図である。このエッチング時には、電圧バイアスがかけられているため、最初の溝の側壁(サイドエッチング部)のパッシベーション膜21はエッチングによって除去されず、基板水平方向のパッシベーション膜が優先的に除去され、そこから基板の厚さ方向下方に更にエッチングが進み、溝20が形成される。この溝20同士は開口17の下方で一部が連通し、マスクの狭い部分を挟んで対向する溝間を連通する開口(スリット)22が形成される。この等方性エッチングは溝20同士が完全に連通する前に終了するため、最初に形成した開口17と開口22との間には、エッチングによって除去されなかった連結部23が形成される。
以下、図1〜3に示されるような等方性エッチングと、パッシベーション膜の堆積を行うことにより多数のスリットを基板の厚み方向(柱状構造の中心軸に添った方向)に並列して形成し、スリット形成部を作製することができる。これらの等方性エッチング、パッシベーション膜堆積を行う回数は、少なくとも2回以上であれば良く、その数は特に限定されるわけではない。
更に、図16〜18を用いて本発明の微小構造体の製造方法の他の一例を詳細に説明する。図1と同様にして、基板11上にマスク12を形成する。次に、フォトリソグラフィー等を行うことにより、基板上にマスクで覆われていない基板露出部を設ける。この後、Boschプロセスを行う。まず、最初のSF6を用いた等方性エッチングでは、基板の露出部の少なくともマスク側方部分を基板の厚さ方向に掘り込む(図16(c))。図16(a)〜(c)はこの状態を表した模式図であり、図16(a)は基板を厚み方向の上面から見た図、図16(b)は図16(a)のA−A’方向断面図、図16(c)は図16(a)のB−B’方向断面図である。
次に、CVD気相化学成長法によって基板上にC48ガスによるフロロカーボンのパッシベーション膜19を形成する。図17(a)〜(c)はこの状態を表した模式図であり、図17(a)は基板を厚み方向の上面から見た図、図17(b)は図17(a)のA−A’方向断面図、図17(c)は図17(a)のB−B’方向断面図である。
次に、反応性イオンエッチング法による等方性エッチングを行う。この等方性エッチングが進むにつれて、溝16同士が一部で連通し、マスクのうち幅変化部分に隣接し、幅が狭い部分33下方で幅が狭い部分33を挟んで対向する溝間を連通する(マスクの延在方向14と交差する方向15に連通する)開口17が形成される。図18(a)及び(b)はこの状態を表した模式図であり、図18(a)は図17(a)のA−A’方向断面図、図18(b)は図17(a)のB−B’方向断面図に相当する。このエッチング時には、電圧バイアスがかけられているため、溝の側壁(サイドエッチング部)のパッシベーション膜はエッチングによって除去されず、基板水平方向のパッシベーション膜が優先的に除去され、溝が形成される。この溝同士は一部が連通し、マスクの狭い部分を挟んで対向する溝間を連通する開口(スリット)が形成される。この等方性エッチングは溝同士が完全に連通する前に終了する。
以下、図16〜18に示されるような工程を繰り返すごとに1つの開口が形成され、スリット形成部を作製することができる。
なお、各等方性エッチング及びパッシベーション膜堆積の条件は、同じであっても、異なっていても良い。これらの条件を同じにすると各連結部及び開口(スリット)は同じ形状、大きさとなり、基板厚み方向の間隔も高精度で等間隔とすることができる。このように開口の間隔を高精度で等間隔とすることによって、目的に応じた所望の特性を有する微小構造体とすることができる。一方、各等方性エッチング及びパッシベーション膜堆積ごとに条件を変えると、各連結部及び開口は異なる形状、大きさとなり、これらの基板厚み方向の間隔も異なるものとなる。また、等方性エッチング時に開口(スリット形成部)はマスクの幅が狭い部分下部だけでなく、幅変化部分下部にまで広がった形で形成されても良い。
次に、基板内を所望の深さまで等方性エッチングを行った後、エッチングを終了する。なお、このエッチングは溝が基板を貫通する前に終了しても良いし、基板を貫通するまで行っても良い。溝が基板を貫通する前に終了すると、基板上に設けられた微小構造体を得ることができる。また、溝が基板を貫通するまでエッチングを行った場合、微小構造体のみを得ることができる。基板としては厚さ5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
この後、残ったマスク12及びパッシベーション膜19を除去することによって本発明の微小構造体が形成される。この微小構造体の斜視図を図4(a)に示す。また、図4(b)は図4(a)の微小構造体の連結部のみを表した斜視図である。また、図4(c)は図4(b)の連結部のA−A’方向断面図である。最上連結部(基板厚み方向の最も上にある連結部:図4(a)の最上連結部44に相当する。)59は面50及び53から構成される。連結部(図4(a)の連結部のうち上から2番目の連結部に相当する。)60は面54及び55から構成される。連結部58(図4(a)の連結部のうち上から3番目の連結部に相当する。)は面56及び57から構成される。なお、図4(a)の微小構造体において、連結部58の下には2つの連結部が形成されるが、これらの連結部のうち、連結部58の直下に形成される連結部は連結部58と同じ形状を有し、最も下に形成される連結部は最上連結部59を逆さにした形状を有している。このため、図4(b)及び(c)では連結部58の下に形成される2つの連結部は省略されている。
実際に作製した微小構造体の電子顕微鏡写真を図5に示す。図5(a)は微小構造体を斜め方向から見た写真である。また、図5(b)は、図5(a)の微小構造体のスリット形成部の拡大図である。図5の電子顕微鏡写真からも精度良く周期的な構造が形成されていることが分かる。
本発明の製造方法では、使用するマスクは上記マスクに限定されるわけではなく、マスクの延在方向や幅変化部分の形状、大きさ、マスク中の幅変化部分を設ける位置や幅が狭い部分や幅が広い部分の幅を変化させたり、エッチング条件を調整することで、微小構造体の連結部やスリットの形状、大きさ、間隔を精度良く所望の形状に加工することができる。また、高スループットで再現性よく微細な三次元構造を作製することができる。
マスクは所定の方向に延在するように設けることができ、閉じた一つの曲線を有していても、開いて両端部を有していても良い。また、マスクは一定方向に延在する直線状となっていても、延在方向が変化する曲線状となっていても良い。また、複数の直線状マスク、曲線状マスク又はこれらのマスクが組み合わさって繋がったものであっても良い。更に、マスクは途中で複数のマスクに分岐し、途中で分岐した複数のマスクが繋がっていても良い。分岐したマスク、繋がったマスクはそれぞれ、閉じていても、開いていても良く、直線状であっても、曲線状であっても良い。
幅変化部分は幅が変化していれば良く、本明細書では幅の変化が連続的、不連続的であるとを問わない。幅の変化が連続的な場合、マスクの延在方向から見て幅が連続的に増加又は連続的に減少している部分を幅変化部分とする。このため、幅が連続的に増加している部分と、連続的に減少している部分がある場合、それぞれ別の幅変化部分を構成する。例えば、幅が階段状に不連続に変化する場合(例えば、図1(a)の31)、幅変化部はマスクの延在方向(例えば、図1(a)の14)の長さがなく、マスクの延在方向と直交する方向に直線状となった部分となる。幅変化部分の幅が変化する割合は特に限定されるわけではなく、その形状も特に限定されるわけではない。幅が連続的に変化する幅変化部分の側方は、曲線又は直線から構成される。この場合、曲線は凹状であっても凸状であっても凹凸状であっても良い。幅変化部分の側方は傾きの異なる1つの直線から構成されていても、複数の直線から構成されていても良い。また、これらの形状が複数、組み合わさったものであっても良い。
幅が狭い部分及び幅が広い部分は、幅変化部分を介して接続されている。すなわち、幅変化部分を挟んだ両側に形成されたマスクのうち幅が狭い方の部分を「幅が狭い部分」、幅が広い方の部分を「幅が広い部分」とする。このように「幅が狭い」、「幅が広い」とは相対的なものであり、同じマスクの部分であっても幅が狭い部分になったり、幅が広い部分になったりする。例えば、図15は、階段状に基板上に設けたマスクを上面から見た図である。図15のマスクは幅変化部分1501〜1503を有する。幅変化部分1503を基準とすると、この両側にはマスク1506と1507が存在する。マスクの1506及び1507のうち幅が広いほうのマスクは1506であるため、マスク1506が「幅が広い部分」、マスク1507が「幅が狭い部分」となる。一方、幅変化部分1502を基準とすると、この両側にはマスク1505と1506が存在する。マスクの1505及び1506のうち幅が広いほうのマスクは1505であるため、マスク1505が「幅が広い部分」、マスク1506が「幅が狭い部分」となる。つまり、マスク1506は幅変化部分1503を基準とすると「幅が広い部分」となり、幅変化部分1502を基準とすると「幅が狭い部分」となる。このように「幅が狭い部分」及び「幅が広い部分」は、基準とする幅変化部分によって決定され、マスク中の同じ部分であっても、「幅が狭い部分」になったり、「幅が広い部分」になったりする。また、「幅が狭い部分」及び「幅が広い部分」は延在方向(例えば、図1(a)の14)の長さがなくマスクの延在方向と直交する方向に直線状となった部分(例えば、図9(a)の904、図10(a)の1024)であっても、マスクの延在方向に所定の長さを有するものであっても良い。
例えば、図8(a)は本発明で用いるマスクの一例を表したものである。図8(a)では、幅変化部分は81〜84であり、幅が狭い部分は810、820、830、840である。また、幅が広い部分は815、825、835、845、855である。このようなマスクを用いた場合、図8(b)及び(c)のような構造を有する微小構造体を製造することができる。なお、図8(b)は図8(a)のA−A’方向の断面図、図8(c)は図8(a)の微小構造体の連結部のみを表した斜視図である。最上連結部811及び連結部812は幅が狭い部分810の下方に形成され、最上連結部821及び連結部822は幅が狭い部分820の下方に形成され、最上連結部831及び連結部832は幅が狭い部分830の下方に形成され、最上連結部841及び連結部842は幅が狭い部分840の下方に形成される。
図8から分かるように、幅が広い部分と幅が狭い部分との比を大きくすると、マスク開口部を含む領域に形成される溝は大きくなり、最上連結部及び連結部の高さH及び幅W’は小さくなる。また、幅が広い部分と幅が狭い部分との比を小さくすると、マスク開口部を含む領域に形成される溝は小さくなり、最上連結部及び連結部の高さH及び幅W’は大きくなる。また、幅が狭い部分の長さLを長くすると最上連結部及び連結部の長さL’も大きくなり、幅が狭い部分の長さLを短くすると最上連結部及び連結部の長さL’も短くなる(このように最上連結部及び連結部の高さHを調節することにより、並列されたスリット間の間隔も調節することができる)。
また、図9のようなマスクを用いることもできる。図9(a)は本発明で用いるマスクの一例を表したものである。図9(b)は図9(a)の微小構造体のA−A’方向の断面図、図9(c)は図9(a)の微小構造体の連結部のみを表した斜視図である。図9(a)では幅変化部分は91、94〜96となる。幅変化部分91、94、96の側方は直線から構成され、幅変化部分95の側方は一部、曲線から構成される。また、幅が狭い部分は901〜904、幅が広い部分は905〜909となる。最上連結部92及び連結部93は主に幅変化部分91の下方に形成され、最上連結部97及び連結部98は主に2つの幅変化部分94の下方に形成され、最上連結部99及び連結部100は主に2つの幅変化部分95の下方に形成され、構造101は主に2つの幅変化部分96の下方に形成される。
図9より幅変化部分91を用いて微小構造体を製造した場合には、連結部92及び93は一端901で高さ及び幅が最小となっている。また、幅変化部分94及び95を用いて微小構造体を製造した場合には、連結部97〜100は延在方向14中心902及び903にて高さ及び幅が最小となっている。幅変化部分96を用いた場合には、連結部101は延在方向14中心904で高さ及び幅が最小となっている(なお、図9(c)の101の場合では、図中に柱状構造の一部も含まれている)。
このようにマスクの幅が広い部分に対応する連結部の高さH及び幅W’は大きくなり、マスクの幅が狭い部分に対応する連結部の高さH及び幅W’は小さくなる。また、幅変化部分の幅Wを急激に変化させると、連結部の対応する部分も急激に変化する。
図10(a)は本発明で用いるマスクの他の一例を示したものである。幅変化部分は1010〜1013、幅が狭い部分は1021〜1024、幅が広い部分は1031〜1035である。図10(b)は図10(a)の微小構造体のA−A’方向の断面図、図10(c)は図10(a)の微小構造体の連結部のみを表した斜視図である。図10(a)の幅変化部分は、幅変化部分の幅が広い部分と幅が狭い部分が面1014側に揃っている点で図8(a)及び9(a)の幅変化部分と異なる。最上連結部1001及び連結部1002は幅が狭い部分1021の下方に形成され、最上連結部1003及び連結部1004は幅が狭い部分1022の下方に形成され、最上連結部1005及び連結部1006は主に幅変化部分1012の下方に形成され、最上連結部1007及び連結部1008は主に幅変化部分1013の下方に形成される。
更にマスクとしては図11のような形状のマスクを用いることもできる。図11(a)及び(c)のマスクでは、マスクが閉じており、図11(b)のマスクでは開いている。また、図11(a)及び(b)のマスクでは、それぞれ頂点に幅変化部分が設けられている。
このように様々な形状のマスクを用いて微小構造体を製造しても、少なくとも1ヶ所に幅が狭い部分を有するため、等方性エッチングにより少なくともこの部分の下方には、連結部及び開口が形成されることとなる。
また、マスク中に設ける幅変化部分、幅が狭い部分、幅が広い部分の数は特に限定されるわけではないが、少なくとも1つ以上を設ける必要がある。また、マスク中にこれらの幅変化部分、幅が狭い部分、幅が広い部分を設ける位置は特に限定されるわけではないが、好ましくは開いたマスクではその両端部に幅が広い部分がくるように設けるのが良い。より好ましくは、マスク両端部及びマスク両端部で挟まれた部分に、幅が広い部分を設けるのが良い。幅が広い部分をマスク両端部に設けることによって、スリット形成部を柱状構造で挟むことができ、スリット形成部の破損を防止することができる。また、両端部以外の部分にも幅が広い部分を設けることによって、スリット形成部中に高精度かつ高面積密度で開口を有する微小構造体を得ることができる。
複数の幅変化部分、幅が狭い部分、幅が広い部分を設ける場合、これらのマスク延在方向の長さは特に限定されるわけではなく、自由に設定することができる。好ましくは、全て同じ長さとするのが良い。
例えば、図6(b)は、図6(a)に示されるような複数の幅変化部分31、幅が狭い部分33、幅が広い部分32を有するマスクを用いて製造した微小構造体を表したものある。このようなマスクを用いて上記方法と同様に等方性エッチングと、C48ガスを用いたプラズマ反応によるパッシベーション膜の堆積を行うと、所定の方向に配列された4つの柱状構造61と、隣接する柱状構造61間にスリット形成部62を有する微小構造体が形成される。各スリット形成部62には、最上橋構造(最上連結部)64と、3つの開口(スリット)63及び3つの橋状構造(連結部)65が形成されている。
また、このようなマスクを用いて実際に作製した微小構造体の電子顕微鏡写真を図7に示す(図7では、一例として2つの微小構造体が示されており、向かって前方の微小構造体は写真の中央部まで作製されている)。図7からもスリット形成部中に開口と連結部が均一な間隔で配列されていることが分かる。
なお、工程(3)及び(5)の等方性エッチング及びパッシベーション膜の堆積は、公知のBoschプロセスの操作条件を用いて行うことができる。基板としてはシリコン基板やSOI基板に限定されるわけではなく、様々な材質の基板を用いることができる。例えば、SiO2製の基板を用いる場合、等方性エッチングの条件としては無水HFベーパーを用いた等方性エッチングを行い、パッシベーション膜の堆積条件としては上記と同様の条件に設定することが好ましい。
(微小構造体)
本発明の微小構造体は、少なくとも1本の柱状構造と柱状構造の側面を基部として側面方向(柱状構造の中心軸に沿った方向と直交する方向)に伸びるスリット形成部とを有する。また、スリット形成部は、柱状構造の中心軸に添った方向に20〜1000nmの間隔で並列された、微小で形状均一性に優れる多数のスリットを有する。このような微小、形状の均一性に優れるという特性を利用して、本発明の微小構造体は様々な分野で利用することができ例えば、光通信用フィルターとして使用することができる。この場合、スリット間の間隔(スリットの周期)を20nm以上とすることで可視光域のフィルタリングが可能となる。また、1000nm以下とすることで伝送損失を小さくすると共に、通信波長帯(波長2μm以下)までフィルタリングすることが可能となる。また、スリット間の間隔とは、柱状構造の中心軸に沿った方向の開口間の間隔を表し、連結部又は最上連結部の高さHに該当するが、連結部又は最上連結部の高さHが、連結部又は最上連結部の長さ方向に変化する場合、どの部分の高さをスリットの間隔としても良い。
スリット間は一定の間隔で並列されていても、2種類の間隔で並列されていても良い(第一の間隔と第二の間隔を有していても良い)。この場合、スリット間の間隔について、第一の間隔と第二の間隔とが交互になるように並列されていても、所定領域だけ第一の間隔で並列され、他の所定領域だけ第二の間隔で並列されていても良い。また、スリットは3種類以上の異なる間隔で並列されていても良い。例えば、柱状構造の中心軸に沿った方向にスリット間の間隔が徐々に減っていくような構造であっても良い。
スリット間の間隔は120〜750nmであることが好ましい。また、スリットの厚さ(柱上構造の中心軸に沿った方向の、スリットの幅)もスリット間の間隔と同程度の幅を有することが好ましい。
図4は、本発明の微小構造体の一例を示したものである。微小構造体は、2本の柱状構造41と、隣接する柱状構造間に設けられたスリット形成部42とからなる。スリット形成部42は、柱状構造の軸方向43から見て、連結部(44及び45)とスリット46とを交互に有する(スリットが所定間隔で並列されている)。
ここで、柱状構造とは、微小構造体を軸方向に平行、且つ柱状構造の配列方向14に垂直な面で見たときに、断面中にスリットが表れない部分のことを表す。すなわち、図4(a)では、このように微小構造体を軸方向に平行、且つ柱状構造の配列方向14に垂直な面で見たときに、微小構造体のうち断面48及び断面49の部分は断面中にスリットが表れないため、柱状構造となる。また、連結部とは、隣接する柱状構造41の側面の一部を連結する構造のことを表し、微小構造体を軸方向に平行、且つ柱状構造の配列方向14に垂直な面で見たときに、断面中にスリットが表れる部分のことを表す。軸方向から見て最も上にある連結部を最上連結部とする。最上連結部は、柱状構造の最上面(基板の最上面に相当する)と、柱状構造の側面の一部を連結する。柱状構造の軸方向と直交する断面の形状は、その上部に設けられたマスクの幅が広い部分により主に規定される。
図4(a)の微小構造体の柱状構造は、曲面から構成されている。なお、連結部で連結される一対の柱状構造の形状は軸方向の高さHが同一で、同一面上にあれば良く、その形状は特に限定されるわけではない。例えば、柱状構造は、側面の少なくとも一部に凹面、凸面又は凹凸面を含んでいても良い。例えば、柱状構造の高さは1〜20μmであることが好ましく、2〜12μmであることがより好ましい。また、最大幅150nm〜3μmであることが好ましく、200nm〜1μmであることがより好ましい。長さは幅の2倍以下であることが好ましく、幅と同様であることがより好ましい。柱状構造の大きさ(高さ、長さ、幅)がこれらの範囲内にあることによって、使用目的に応じて所望の特性を有する微小構造体とすることができる。
図4(b)の最上連結部59は、軸方向43から見た最上面50と2つの曲面53とから構成されている。この最上連結部59の軸方向43に垂直な断面の面積の変化を軸方向に向かって見ていくと、最上面50で最大となり、軸方向の下側に向かって連続的に減少し、最下部501を過ぎたところで0となる。また、最上連結部59の長さ方向51に垂直な断面の面積の変化を長さ方向51に見ていくと、長さ方向の一端502で最大となり、連続的に減少して長さ方向中央503で最小となった後、連続的に増加して長さ方向の他端502で最大となっている。
なお、連結部の形状は、特に限定されるわけではないが、最上連結部は最上面と少なくとも2つ以上の曲面から構成される。最上面以外の面がいくつの面から構成されるかは、最初に設けるマスクの幅変化部分の大きさ、幅が広い部分及び幅が狭い部分の幅、位置等による。この曲面は内側に凹状であっても、凸状であっても、凹凸状であっても良い。
また、図4(b)において、連結部60は4つの面54及び55、連結部58は4つの面56及び57とから構成されている。
この連結部60及び58の軸方向43に垂直な断面の面積の変化を軸方向43に向かって見ていくと、最上部504で0となり、軸方向の下側に向かって連続的に増加し、最大となった後、連続的に減少して最下部505を過ぎたところで0となる。
また、長さ方向51に垂直な断面の面積の変化を長さ方向51に見ていくと、長さ方向の一端506で最大となり、連続的に減少して長さ方向中央で最小となった後、連続的に増加して長さ方向の他端507で最大となっている。
なお、この連結部の形状は、特に限定されるわけではなく、複数の面から構成されていても良い。連結部がいくつの面から構成されるかは、最初に設けるマスクの幅変化部分の大きさ、幅が広い部分及び幅が狭い部分の幅、位置等による。この曲面は内側に凹状であっても、凸状であっても、凹凸状であっても良い。
最上連結部の最上面以外の面及び連結部の各面はそれぞれ同じであっても異なっていても良い。また、一部のみが同一で一部のみが異なっていても良い。このように各面の形状を同じとするためには、各面を形成するためのエッチング条件及びパッシベーション膜の堆積条件を同一とすれば良い。また、各面の形状を異なるものとするためには、各面を形成するためのエッチング条件及びパッシベーション膜の堆積条件を異なるものとすれば良い。
連結部の最大高さ(図4(b)の方向43の最大長さ)は25〜200nmであることが好ましく、25〜150nmであることがより好ましい。長さ(図4(b)の方向51の長さ)は幅の2〜20倍であることが好ましく、5〜10倍であることがより好ましい。また、最大幅(図4(b)のA−A’方向43の最大長さ)は50〜500nmであることが好ましく、100〜250nmであることがより好ましい。最上連結部及び連結部の大きさ(最大高さ、長さ、最大幅)がこれらの範囲内にあることによって、使用目的に応じた所望の特性を有する微小構造体とすることができる。
最上連結部の最大高さは15〜100nmであることが好ましく、15〜80nmであることがより好ましい。
スリットは、スリット形成部中の連結部間に設けられる。ここで、スリットとは、軸方向から見て隣接する連結部の互いに対向する面から構成される。例えば、図4の微小構造体では最上連結部59の面53と連結部60の面54とからスリットが形成される。また、連結部60の面55と連結部58の面56とからスリットが形成される。
連結部及びスリットは軸方向に等間隔で配列されていることが好ましい。この場合、配列間隔は100nm〜1μmであることが好ましく、120〜750nmであることがより好ましい。配列間隔がこれらの範囲内にあることによって、形状が高精度かつ高面積密度を有する微小構造体とすることができる。
なお、図4は柱状構造が2つで、端部に形成された微小構造体について表しているが、本発明の微小構造体が有する柱状構造の数は少なくとも1本以上であれば良く、その数は特に限定されるわけではない。複数本の柱状構造を有する場合、これは所定の方向に直線状に配列されていてもランダムに配列されていても良い。また、スリット形成部は一本の柱状構造の側面上に設けられるか、2本の柱状構造間に設けられる。複数の柱状構造を設ける場合、スリット形成部は互いに隣接する2本の柱状構造間に設けても、複数の柱状構造の中の1本の柱状構造の側面上にのみ設けても良い。また、1本の柱状構造の側面には3つ以上のスリット形成部が設けられていても良い。
なお、一対の柱状構造間に連結部を3つ以上設ける場合であっても、3本以上の柱状構造とその間に連結部を設ける場合であっても上記連結部と同様の形状、大きさの連結部を設けることができる。更に、複数の微小構造体を設ける場合であっても、これらの異なる微小構造体の連結部を上記連結部と同様の形状、大きさとすることができる。また、これらの連結部間で一部の連結部のみが同一で、一部の連結部が異なるものとしても良い。
本発明の微小構造体は、その微細、且つ、高精度で間隔、形状を制御した連結部及び開口を有することができるため、光学素子として使用することができる。以下、詳細に説明する。
(光学素子)
本発明による微小構造体の光学素子への応用には、次の4つの異なる機構が利用できる。すなわち、
(1)構造性複屈折
(2)導波モード共振
(3)ワイヤーグリッド
(4)周期構造
である。それぞれについて、原理を簡単に説明し、それを利用したデバイスを示す。
(1)構造性複屈折
構造体が利用する光の波長よりも十分小さい場合、その構造体は一様な電磁界中に置かれているとみなせる。その場合の屈折率は、光をスリット形成部に垂直に入射した場合(例えば、図4aでは方向1000)に、入射偏光方向により大きく異なる。スリットの方向(例えば、図4aでは方向14)に直交する電界を有するTE波では誘電率は、
εTE=fε1+(f−1)ε2
となる。ここで、fはスリット構成材料の体積分率、ε1はスリット構成材料の誘電率、ε2は媒質の屈折率である。
一方、スリットの方向(例えば、図4aでは方向14)に平行な電界を有するTM波では、
1/εTM=f/ε1+(f−1)/ε2
となる。
Siでスリットを形成し、fを0.5とすると、TE方向の屈折率nTE=2.56、TM方向の屈折率nTM=1.36となり、従来の材料では実現できない複屈折が実現できる。
・波長板
スリットの厚さ(例えば、図4aでは方向1000の厚さ)を、利用波長にあわせて設定することで、1/4波長、1/2波長板を作製できる。この大きな複屈折を利用することで、以下の自立型の光学素子が実現できる。
・偏光ビームスプリッタ
波長より十分小さい周期λ1を有するスリットと、利用する光波長を回折する周期λ2のスリットを組み合わせて形成することで、偏光ビームスプリッタが形成可能である。すなわち、λ1により大きな偏光依存性のある部分を形成し、それらの部分によりλ2のグレーディングを形成する。これにより、TE波は回折するが、TM波は透過する偏光ビームスプリッタを自立型の微小構造で作製できる。周期は目的とする波長の1/10以下であることが好ましい。
・高効率回折格子
偏光ビームスプリッタにおける周期λ1を徐々に変化させることで、回折効率を高めることが可能である。
(2)導波モード共振
スリットの周期が利用する光の波長と同程度になる場合、スリットには導波モードが形成される。本発明の微小構造体では、スリット間の間隔(周期)が20〜1000nmである。スリット間の間隔を20〜1000nmとすることで、通信に使用する波長帯域(波長2μm以下)から可視光まで幅広い波長帯域のフィルタリングが可能で、伝送損失が小さな反射型フィルターを得ることができる。
(3)ワイヤーグリッド
Siで形成したスリットの表面に金属を被覆することで、ワイヤーグリッド構造が実現できる。なお、ワイヤーグリッド構造を形成する場合には、本発明の製造方法により製造した微小構造体上に公知の成膜法により金属層を成膜することにより形成することができる。成膜法としては例えば、CVD法、スパッタリング法などを用いることができる。スリットの周期が利用する光の波長よりも十分小さい場合(通常はP(周期)/λ(波長)<0.1)、TE波は透過し、TM波は反射する。この構造を利用することで偏光素子が実現できる。また、適当な周期を選ぶことでTM波のローパスフィルターを形成することができる。例えば、図13は本発明のワイヤーグリッドの一例を表したものである。方向1301から入射したTE波とTM波のうち、本発明の微小構造体でTM波は反射し、TE波のみ透過する。このため、本発明の微小構造体を利用することによって、特定の直線偏光を取り出すことができる。
(4)周期構造
本発明の微小構造体は、幅方向に対して連結部と開口が周期的な構造を有するため、光がスリット形成部に平行に入射した場合(例えば、図4aでは方向14)に、各種のフィルターを形成することができる。周期構造は、薄膜誘電体フィルターと同じ設計手法で設計できるが、微小構造体にSiを用い、スリットなどの微小構造体の空隙部分を空気とした組み合わせでは、微小構造体の方向14の厚さは20〜1000nmである。
以上、説明したように本発明の微小構造体を用いることで、ほとんどの光学素子を実現できる。この微小構造体と光学波路を組み合わせることで、次のような光学デバイスを小型で安価に実現できる。
(分散補償器)
ガラスなどの全ての光学材料は波長により屈折率が変化し、波長分散と呼ばれている。長距離光多重通信では、この屈折率の波長分散により、波長により伝送時間が変化し、問題となる。これを防止するためには、光ファイバーの波長分散と逆の分散特性を有するデバイスを伝送経路に接続することが行われており、分散補償器と呼ばれている。分散補償器は、誘電体多層膜等で等価屈折率の波長分散を構造により制御することで実現されている。本発明の微小構造体も構造により等価屈折率の制御が可能であり、分散補償器を形成できる。
(分波器)
導波モード共振を利用した狭帯域反射フィルターを導波路に対して適当な角度(好ましくは45度)で、一列に配列し、フィルター構造を抽出する波長に合わせて適正化することで、分波器が形成できる。図12は本発明の分波器の一例を示したものである。λ3、〜λ6の波長からなる入射光はフィルター1201〜1203により、それぞれλ3〜λ5の波長の光が分波される。
(実施例1)
面方位が(100)面のp型シリコン基板に熱酸化を行い、基板表面に50nmのシリコン酸化膜を形成した。次に、このシリコン酸化膜上に、スピンコーターを用いて基板回転数4000rpmにてネガ型EBレジスト、Calix(6)arena3質量%溶液を塗布し、温度100℃にて1時間、ベークを行った。次に、電子ビーム描画装置(JEOL−5FE:日本電子社製を使用)により、図14(a)に示すパターンを設けた。なお、図14(b)は図14(a)のレジストマスクパターンの一部を拡大したSEM写真である。この後、Rainbow4500(Lam Research社製)装置を用いて、CF4:CHF3:Ar=20:10:150sccm、150mTorr、RF200W、10℃、15秒の条件で、レジストマスクパターンをシリコン酸化膜へパターン転写を行った。次に、MULTIPLEX−ICP(住友精密工業(株))を用い、Boschプロセスにてシリコンエッチングとパッシベーション膜の形成を1サイクルとして、20℃で20サイクル行った。この際の条件を表1に示す。
Figure 2006072343
この後、シリコン酸化膜及びパッシベーション膜を除去し、本発明の微小構造体を製造した。この微小構造体は図14(c)に示すような形状を示し、図14(d)に示すような連結部を有する。この微小構造体の連結部の高さは20nm、幅70nm、長さ650nm、開口の高さは100nm、幅70nm、長さ650nmであった。
本発明の微小構造体の製造方法の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の製造方法の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の製造方法の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の一例を表す電子顕微鏡写真である。 本発明の微小構造体の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の一例を表す電子顕微鏡写真である。 本発明の微小構造体の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の製造方法で使用するマスクパターンの一例を表す図である。 本発明の分波器の一例を表す模式図である。 本発明のワイヤーグリッドの一例を表す模式図である。 実施例で用いたマスクパターン及び製造した微笑構造体を表す図である。 本発明の微小構造体の製造方法で使用するマスクパターンの一例を表す図である。 本発明の微小構造体の製造方法の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の製造方法の一例を表す模式図である。 本発明の微小構造体の製造方法の一例を表す模式図である。
符号の説明
11 基板
12 マスク
13 基板の露出部
14 所定の方向
15 所定方向と交差する方向
16 溝
17 開口
18 最上連結部
19 パッシベーション膜
20 溝
21 パッシベーション膜
22 開口
23 連結部
31 幅変化部分
32 幅が広い部分
33 幅が狭い部分
41 柱状構造
42 スリット形成部
43 軸方向
44 最上連結部
45 連結部
46 スリット
47 最上面
48、49 所定方向に垂直な断面
50 最上面
51 長さ方向
53、54、55、56、57 面
58、60 連結部
59 最上連結部
61 柱状構造
62 スリット形成部
63 スリット
64 最上連結部
65 連結部
81、82、83、84 幅変化部分
91、94、95、96 幅変化部分
92、97、99 最上連結部
93、98、100 連結部
101 構造
810、820、830、840 幅が狭い部分
811、821、831、841 最上連結部
812、822、832、842 連結部
815、825、835、845、855 幅が広い部分
850 溝
860 開口
901、902、903、904 幅が狭い部分
905,906、907,908、909 幅が広い部分
1000 光の入射方向
1001、1003、1005、1007 最上連結部
1002、1004、1006、1008 連結部
1010、1011、1012.1013 幅変化部分
1014 面
1021、1022、1023、1024 幅が狭い部分
1031、1032、1033,1034、1035 幅が広い部分
1201、1202、1203 フィルター
1205、1301 入射方向
1501、1502、1503 幅変化部分
1504、1505、1506、1507 マスク

Claims (15)

  1. 少なくとも1本の柱状構造と、該柱状構造の側面を基部として側面方向に伸びるスリット形成部とを有し、
    該スリット形成部が、該柱状構造の中心軸に添った方向に20〜1000nmの間隔で並列された多数のスリットを有することを特徴とする微小構造体。
  2. 請求項1に記載の微小構造体を有することを特徴とする光学素子。
  3. 表面に金属層が被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記スリットの、柱状構造の中心軸に添った方向の間隔が一定であることを特徴とする請求項2又は3に記載の光学素子。
  5. 請求項2〜4の何れか1項に記載の光学素子を用いたことを特徴とする光学フィルター。
  6. 請求項5に記載の光学フィルターを有することを特徴とする分波器。
  7. 前記スリット形成部が、柱状構造の中心軸に添った方向に第一の間隔で並列されたスリットと、第二の間隔で並列されたスリットとを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の光学素子。
  8. 前記第一の間隔と第二の間隔の比が1:5〜1:20であることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  9. 請求項7又は8に記載の光学素子を用いたことを特徴とする偏光ビームスプリッタ。
  10. 少なくとも1本の柱状構造と、該柱状構造の側面を基部として側面方向に伸びるスリット形成部とを有し、該スリット形成部が該柱状構造の中心軸に添った方向に並列された多数のスリットを有する微小構造体の製造方法であって、
    (1)前記柱状構造の高さよりも厚い基板を用意する工程と、
    (2)該基板の上面上の所定の方向に延在し、前記スリット形成部となる部分を規定するための該延在方向と交差する方向の幅が狭い部分と、前記柱状構造となる部分を規定するための該延在方向と交差する方向の幅が広い部分とを有するマスクを設ける工程と、
    (3)該マスクをエッチングマスクとして用いて、SF6ガスを用いた反応性イオンエッチング法により該基板の上面に等方性エッチングを行い、該基板の上面の前記マスクの少なくとも該延在方向に対する両側の部分を厚さ方向に掘り込んで2つの対向する溝を形成する工程と、
    (4)前記溝が形成された基板上面をC48ガスを用いたプラズマ反応により形成されたパッシベーション膜で覆う工程と、
    (5)前記パッシベーション膜で覆われた基板上面に対してSF6ガスを用いた反応性イオンエッチング法により等方性エッチングを行い、該基板の上面の少なくとも前記マスクの幅が狭い部分の下部に該マスクの幅が狭い部分を挟んで対向する溝間を連通する開口を設ける工程と、
    (6)前記工程(3)〜(5)を繰り返して、前記基板の厚さ方向に前記溝を伸長させるとともに、前記マスクの幅が狭い部分下部の厚さ方向に開口を並列させて、前記微小構造体を得る工程と
    を有することを特徴とする微小構造体の製造方法。
  11. 前記マスクが、一つの端部から前記基板の上面上にある他の端部に延在する部分を有し、これらの端部が前記幅が広い部分である請求項10に記載の微小構造体の製造方法。
  12. 前記マスクが更に、前記端部以外の部分に前記幅が広い部分を有することを特徴とする請求項11に記載の微小構造体の製造方法。
  13. 前記マスクは、複数の所定の方向に分岐して延在していることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の微小構造体の製造方法。
  14. 前記基板が、SOI基板であることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の微小構造体の製造方法。
  15. 前記溝が基板の下面まで貫通する前に、前記(3)〜(5)の工程を終了することを特徴とする請求項10〜14の何れか1項に記載の微小構造体の製造方法。
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