JP2006068679A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温域におけるHC浄化性能と、高負荷域におけるNOx 浄化性能との両方を満足させる。
【解決手段】外周部にPdを高濃度担持したPd領域31と、Pd領域の内周部にPtを高濃度担持したPt領域30と、をもつ偏在部3を、少なくとも排ガス上流側に形成した。
低温域では、外周部のPd領域31に流入したHC及びCOがPdによって酸化され、その反応熱が内周部に伝わる。したがってPt領域30における活性も早期に発現され、全体として低温域におけるHC浄化性能が向上する。一方、高速走行時などの高負荷域では、排ガスは主に触媒の内周部に存在するPt領域30に流入するので、NOx はPt領域30に高濃度で担持されているPtによって効率よく還元浄化される。
【選択図】 図1
【解決手段】外周部にPdを高濃度担持したPd領域31と、Pd領域の内周部にPtを高濃度担持したPt領域30と、をもつ偏在部3を、少なくとも排ガス上流側に形成した。
低温域では、外周部のPd領域31に流入したHC及びCOがPdによって酸化され、その反応熱が内周部に伝わる。したがってPt領域30における活性も早期に発現され、全体として低温域におけるHC浄化性能が向上する。一方、高速走行時などの高負荷域では、排ガスは主に触媒の内周部に存在するPt領域30に流入するので、NOx はPt領域30に高濃度で担持されているPtによって効率よく還元浄化される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、排ガス中のHC、CO及びNOx を浄化する三元触媒などの排ガス浄化用触媒に関し、詳しくは低温域におけるHC浄化性能と高負荷時におけるNOx 浄化性能の両方に優れた排ガス浄化用触媒に関する。
自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒として、従来より三元触媒が広く用いられている。この三元触媒は、アルミナなどの多孔質担体にPtなどの貴金属を担持してなり、理論空燃比近傍でCO,HC及びNOx を効率よく浄化することができる。
ところで三元触媒に担持されている貴金属は、その活性化温度より低い温度では触媒反応が生じない。そのためエンジン始動時など低温域の排ガス中では三元触媒が充分に機能せず、HCの排出量が多いという不具合があった。またコールドスタート時には、空燃比が燃料リッチ雰囲気とされる場合が多く、排ガス中のHC量が多いということも上記不具合の一因である。
そこで特開平06−205983号公報などに見られるように、触媒の排ガス上流側における貴金属担持量を多くすることが行われている。触媒の排ガス上流側では、まだ層流とならない排ガスが触媒のセル壁に衝突するので、触媒の昇温が早く貴金属は比較的早期に活性化温度に到達する。そして活性化温度に到達後は、反応熱によってさらに温度が上昇し、触媒の下流側での昇温が促進されるので、低温域における浄化性能が向上する。
また貴金属として、特にストイキ近傍におけるHCの酸化活性が高いPdを用いることも知られている。例えば特開平08−024644号公報には、触媒の全長にPdを均一に担持するとともに、排ガス上流側にPtを担持した触媒が提案されている。この触媒によれば、空燃比の変動が大きい条件下で浄化性能に優れるPtを上流側に担持することで、ストイキ近傍における三元活性に優れたPdの特性と、リーン側におけるNOx 浄化性能に優れたPtの特性とのバランスが最適となり、高い浄化性能が発現される。
さらに特開平08−332350号公報には、排ガス上流側にPdとRhを担持し、その下流側にPtとRhを担持した触媒が提案されている。この触媒によれば、上流側にPdが高濃度で担持されているために低温域におけるHC浄化性能に優れ、高温での耐久性にも優れている。そして上流側の反応熱によって下流側のPtの活性が高まり、高いNOx 浄化性能が発現される。
ところが排ガス上流側にPtを高濃度で担持した触媒においては、上記したようにエンジン始動時などの低温域におけるHC浄化性能が低い。
また排ガス上流部にPdを高濃度で担持した触媒においては、高速走行時などの高負荷域におけるNOx 浄化性能が低いという問題がある。この理由は、高負荷域では排ガス流速が大きいために、PdによるNOx 浄化反応速度が排ガス流速に追いつかないためと考えられている。
特開平06−205983号
特開平08−024644号
特開平08−332350号
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低温域におけるHC浄化性能と、高負荷域におけるNOx 浄化性能との両方を満足することができる触媒とすることを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明の排ガス浄化用触媒の特徴は、外周部にパラジウムを高濃度担持したPd領域と、Pd領域の内周部に白金を高濃度担持したPt領域と、をもつ偏在部を、少なくとも排ガス上流側に形成したことにある。
触媒全体の半径をR、前記Pt領域の半径をrとしたとき、偏在部は0.15≦(R−r)/R≦0.40の関係を満たすことが望ましい。
また偏在部は、排ガス上流側端面から10mm以上かつ30mm以下の範囲に形成されていることが好ましく、Pt領域のPt担持量は偏在部を除く部分のPt担持量の3倍以上であり、Pd領域のPd担持量は偏在部を除く部分のPd担持量の3倍以上であることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒によれば、エンジン始動時などの低温域におけるHC浄化性能に優れるとともに、高速走行時などの高負荷域におけるNOx 浄化性能にも優れている。したがって、三元触媒として高い性能が発現される。
エンジン始動時などの低温域では、排ガスの流速が小さく、排ガスは触媒の外周から内周までほぼ全体に流入する。しかしガス流量が少ないために、触媒を暖機するのに十分な熱量が得られない。また高速運転時などの高負荷域では、排ガスの流速が大きいものの、排ガスは主に触媒の内周部に流入する。
そこで本発明の排ガス浄化用触媒では、少なくとも排ガス上流側に、内周部のPt領域と外周部のPd領域とからなる偏在部を有している。始動時などの低温域では、外周部のPd領域に流入したHC及びCOがPdによって酸化され、その反応熱が内周部に伝わる。したがってPt領域における活性も早期に発現され、全体として低温域におけるHC浄化性能が向上する。
一方、高速走行時などの高負荷域では、排ガスは主に触媒の内周部に存在するPt領域に流入するので、NOx はPt領域に高濃度で担持されているPtによって効率よく還元浄化される。
本発明の排ガス浄化用触媒は、ペレット形状、ハニカム形状、フォーム形状などとすることができるが、以下、ハニカム触媒の場合について構成を詳細に説明する。ペレット触媒、フォーム触媒の場合にも、ハニカム触媒に準じた構成とされる。
基体を構成するハニカム基材は、コージェライトなどの耐熱セラミックス製のもの、あるいは金属箔製のものを用いることができる。このハニカム基材に形成された複数のセルの内周表面に、貴金属を担持した触媒担持層が形成されている。触媒担持層は、 Al2O3、SiO2、ZrO2、CeO2、TiO2などの単種あるいは複数種、さらにはこれらの複数種の複合酸化物などから選択された担体と、担体に担持された貴金属とから構成される。
本発明の排ガス浄化用触媒では、内周部に白金を高濃度担持したPt領域と、Pt領域の外周部にパラジウムを高濃度担持したPd領域とをもつ偏在部を、少なくとも排ガス上流側に形成している。
内周部のPt領域は、Ptを他の部位より高濃度で担持していればよく、Ptの特性を損なわない範囲であれば、Pd、Rh、Irなど他の貴金属あるいは遷移金属など卑金属の共存を否定するものではない。このPt領域におけるPtの担持量は、偏在部を除く部分のPt担持量の3倍以上とすることが望ましい。Pt領域におけるPt担持量がこれより少ないと、Pt領域を形成した効果が有効に発現されず、低温域におけるHC浄化性能が低下する。
Pd領域は、Pt領域の外周部に形成されている。Pt領域の長さより多少短くても長くてもよいが、Pt領域と同一長さとするのが好ましい。Pd領域は、Pdを他の部位より高濃度で担持していればよく、Pdの特性を損なわない範囲であれば、Pt、Rh、Irなど他の貴金属あるいは遷移金属など卑金属の共存を否定するものではない。このPd領域におけるPdの担持量は、偏在部を除く部分のPd担持量の3倍以上とすることが望ましい。Pd領域におけるPd担持量がこれより少ないと、Pd領域を形成した効果が有効に発現されず、高負荷域におけるNOx 浄化性能が低下する。
偏在部においては、触媒全体の半径をR、Pt領域の半径をrとしたとき、0.15≦(R−r)/R≦0.40の関係を満たすことが望ましい。R−rはPd領域の径に相当し、(R−r)/Rは触媒断面に対するPd領域の比率に相当する。(R−r)/Rが0.15に満たないと、Pd領域が不足し、高負荷域におけるNOx 浄化性能が低下する。また(R−r)/Rが0.40を超えると、Pt領域が不足し、低温域におけるHC浄化性能が低下する。0.15≦(R−r)/R≦0.40を満たすことで、高負荷域におけるNOx 浄化性能と、低温域におけるHC浄化性能との両方を満足させることができる。
偏在部は、排ガス上流側端面から10mm以上かつ30mm以下の範囲に形成されていることが望ましい。排ガス上流側端面から10mm以内の範囲では、担持されている貴金属の触媒作用が発現されにくいことがわかっている。また上流側端面から30mmを超えて偏在部を形成しても偏在部の効果が飽和するので、30mmを超える長さの偏在部の形成はコストが上昇するだけになり好ましくない。
偏在部とその下流側の部分とは、担体の種類は同一でも異なってもよいが、触媒製造上は同一とするのが便利である。また偏在部から下流側の部分における貴金属の担持分布は、Pd領域よりPd担持量が少なく、Pt領域よりPt担持量が少なければ、特に制限されない。またRh、Irなど他の貴金属あるいは遷移金属などの卑金属を担持してもよい。
以下、実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本実施例の排ガス浄化用触媒を示す。この排ガス浄化用触媒は、多数の四角セルをもつ全長(L) 100mm、直径(2R)93mmの円柱状のハニカム基材1と、セルの表面に形成された触媒担持層2とからなり、排ガス上流側に偏在部3が形成されている。
図1に本実施例の排ガス浄化用触媒を示す。この排ガス浄化用触媒は、多数の四角セルをもつ全長(L) 100mm、直径(2R)93mmの円柱状のハニカム基材1と、セルの表面に形成された触媒担持層2とからなり、排ガス上流側に偏在部3が形成されている。
偏在部3は、内周部に形成されたPt領域30と、Pt領域30の外周部に形成されたPd領域31とから構成されている。Pt領域30は中心から半径(r)36.5mmの範囲に形成され、Pd領域31は外周から径(R−r)10mmの範囲に形成されている。また偏在部3は、上流側端面から長さ(l)20mmの範囲に形成されている。
以下、この触媒の製造方法を説明し、構成の詳細な説明に代える。
CeO2系複合酸化物粉末 150重量部と、ZrO2系複合酸化物粉末80重量部と、アルミナ粉末4重量部と、アルミナゾル 200重量部と、酢酸6重量部とを適量の水に混合してスラリーを調製し、コージェライト製のハニカム基材1( 600セル/in2 、全長 100mm、直径93mm)にウォッシュコートした。その後、エアにて余分なスラリーを吹き払い、 120℃で6時間乾燥後、 400℃で3時間焼成して、ハニカム基材1のセル全面にコート層を形成した。コート層は、ハニカム基材1の1リットルあたり 270g形成した。
次に、所定濃度のPt(NO2)2(NH3)2水溶液にコート層全体を浸漬し、乾燥・焼成してPtを担持した。また所定濃度のRhCl3 水溶液にコート層全体を浸漬し、乾燥・焼成してRhを担持した。ハニカム基材1リットルあたりの担持量は、Ptが 1.5g、Rhが 0.4gである。
次に、端面の外周から10mmの範囲をマスキングし、所定濃度のPt(NO2)2(NH3)2水溶液の所定量を排ガス上流側端面から20mmの範囲の内周部分のコート層に吸水させた。これを乾燥・焼成してPt領域30を形成した。次いで端面の中心から36.5mmの範囲をマスキングし、所定濃度のPdNO3 水溶液の所定量を排ガス上流側端面から20mmの範囲の外周部分のコート層に吸水させた。これを乾燥・焼成してPd領域31を形成した。
Pt領域30におけるPt担持量は、先に担持されているPtを除いて、ハニカム基材1リットルあたり10gであり、Pd領域31におけるPd担持量は、ハニカム基材1リットルあたり10gである。
(実施例2〜11)
ハニカム基材1の大きさ、Pt領域30とPd領域31との構成比率、偏在部3の長さなどを表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様である。
ハニカム基材1の大きさ、Pt領域30とPd領域31との構成比率、偏在部3の長さなどを表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様である。
(比較例1)
全長 105mm、半径51.5mmのハニカム基材を用いたこと、偏在部3の全体をPd領域31としたこと以外は実施例1と同様である。
全長 105mm、半径51.5mmのハニカム基材を用いたこと、偏在部3の全体をPd領域31としたこと以外は実施例1と同様である。
(比較例2)
全長 105mm、半径51.5mmのハニカム基材を用いたこと、偏在部3の全体をPt領域30としたこと以外は実施例1と同様である。
全長 105mm、半径51.5mmのハニカム基材を用いたこと、偏在部3の全体をPt領域30としたこと以外は実施例1と同様である。
(参考例)
全長 105mm、半径51.5mmのハニカム基材を用いたこと、マスキングを行わず偏在部3の全体に(上流側端面から20mmの範囲に)均一にPt及びPtを担持したこと以外は実施例1と同様である。
全長 105mm、半径51.5mmのハニカム基材を用いたこと、マスキングを行わず偏在部3の全体に(上流側端面から20mmの範囲に)均一にPt及びPtを担持したこと以外は実施例1と同様である。
<試験・評価>
各実施例、参考例及び各比較例の触媒を、直列2気筒、 2.4Lエンジンを搭載した車両のスタート触媒としてエンジン直下にそれぞれ搭載し、LA#4モード走行におけるコールドスタート時のHC浄化率と、高負荷域(HOT 域)におけるNOx 浄化率とをそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
各実施例、参考例及び各比較例の触媒を、直列2気筒、 2.4Lエンジンを搭載した車両のスタート触媒としてエンジン直下にそれぞれ搭載し、LA#4モード走行におけるコールドスタート時のHC浄化率と、高負荷域(HOT 域)におけるNOx 浄化率とをそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
表1より、各実施例の触媒は、比較例1の触媒に比べて高いNOx 浄化性能を示し、比較例2の触媒に比べて高いHC浄化性能を示していることがわかり、これはPt領域30とPd領域31とからなる偏在部3を形成した効果であることが明らかである。
1:ハニカム基材 2:触媒担持層 3:偏在部
30:Pt領域 31:Pd領域
30:Pt領域 31:Pd領域
Claims (4)
- 外周部にパラジウムを高濃度担持したPd領域と、該Pd領域の内周部に白金を高濃度担持したPt領域と、をもつ偏在部を、少なくとも排ガス上流側に形成したことを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 触媒全体の半径をR、前記Pt領域の半径をrとしたとき、前記偏在部は0.15≦(R−r)/R≦0.40の関係を満たす請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記偏在部は、排ガス上流側端面から10mm以上かつ30mm以下の範囲に形成されている請求項1又は請求項2に記載の排ガス浄化用触媒。
- 前記Pt領域のPt担持量は前記偏在部を除く部分のPt担持量の3倍以上であり、前記Pd領域のPd担持量は前記偏在部を除く部分のPd担持量の3倍以上である請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化用触媒。
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