JP2006066512A - 医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法とその電磁シールド成形品とその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができるとともに、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めることができる医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法とその電磁シールド成形品とその製造装置を提供することを最も主要な特徴とする。
【解決手段】電子内視鏡1内に組み込まれるチャンネルチューブ16を形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなるチューブ基材23上に、前処理を行い、下地層41を形成する下地層形成工程と、この下地層形成工程でチューブ基材23上に形成された下地層41の上に真空成膜法により電磁シールド用の金属薄膜42をコーティングするコーティング工程とを具備するものである。
【選択図】 図4
【解決手段】電子内視鏡1内に組み込まれるチャンネルチューブ16を形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなるチューブ基材23上に、前処理を行い、下地層41を形成する下地層形成工程と、この下地層形成工程でチューブ基材23上に形成された下地層41の上に真空成膜法により電磁シールド用の金属薄膜42をコーティングするコーティング工程とを具備するものである。
【選択図】 図4
Description
本発明は、例えば内視鏡などの医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法とその電磁シールド成形品とその製造装置に関する。
一般に、電子内視鏡(ビデオスコープ)などの医療器具では管腔内に挿入される挿入部の先端部にCCDなどの撮像素子が組み込まれ、この撮像素子によって内視鏡像が撮像される。また、内視鏡にはこの撮像素子から出力される信号を電送する信号ケーブルが配設されている。この信号ケーブルは外部のカメラコントロールユニット(CCU)に接続されている。このCCUはモニターなどの表示手段に接続されている。そして、撮像素子によって撮像される内視鏡像は、電気信号に変換されて信号ケーブルを介してCCUに電送され、モニターに表示されるようになっている。
さらに、内視鏡の挿入部には、鉗子チャンネル(処置具挿通チャンネル)が配設されている。この鉗子チャンネルには、例えば高周波処置具が挿入され、高周波処置が行なわれるようになっている。
特許文献1には、内視鏡の挿入部や、ユニバーサルケーブルの外皮の内周面に金属線を網状に編んだ網管などを装着することにより、電子内視鏡から放射される不要な輻射ノイズを低減したり、外部の他の電子機器から輻射されるノイズが電子内視鏡に混入することを防止する構成が示されている。
特許文献2には、内視鏡の挿入部に配設される鉗子チャンネルのチャンネルチューブの外周面にアルミニウムなどの金属箔を巻き付け、その上に銅などの金属を蒸着した金属蒸着被膜を設けた構成が示されている。
特許文献3には、携帯電話などの携帯電子機器のハウジングに金属蒸着膜を形成して電磁波のシールド効果を得る構成にした電磁シールド成形品が示されている。
特許第2997797号公報
特公平7−61308号公報
特許第3194185号公報
上記従来構成の鉗子チャンネルを有した電子内視鏡では、鉗子チャンネルに挿通された高周波処置具と組み合わせて使用した場合に、高周波処置具の周りに発生した電磁界によってCCDに接続されたケーブルにクロストークが生じる。これにより、鉗子チャンネルに通された高周波処置具から出されたノイズによって、モニターに表示される内視鏡の映像が乱れることがある。
また、特許文献1のように内視鏡の挿入部や、ユニバーサルケーブルの外皮の内周面に電磁シールドを設けた場合には、鉗子チャンネルに通された高周波処置具から出されたノイズがCCDに接続されたケーブルに電磁妨害を与えることを防止することができない。
さらに、特許文献2の内視鏡のように鉗子チャンネルのチャンネルチューブの外周面にアルミニウムなどの金属箔を巻き付け、その上に金属蒸着被膜を設けた場合にはチャンネルチューブ全体の厚さが大きくなる。そのため、挿入部の外径が太くなる。さらに、チャンネルチューブの可撓性が低下し、挿入部全体が曲がり難くなる。
また、特許文献3の携帯電話などの携帯電子機器のハウジングは硬質なプラスチック材料によって形成されている。このような硬質プラスチック材料の基材上に金属蒸着膜を形成する場合には金属蒸着膜の密着力が高い。
しかしながら、内視鏡の挿入部のように体内に挿入された際に体腔内の管腔の形状に応じて形状を変化させたい部分に内蔵される構成部品、例えば鉗子チャンネルを形成する管状部材の基材として硬質なプラスチック材料を使用した場合には挿入部全体が曲がり難くなる。そのため、内視鏡の挿入部に組み込まれる内蔵部品の基材としては軟らかい材料を使用することが望まれている。
また、特許文献3のように硬質なプラスチック材料の基材上に金属蒸着膜を形成する技術を軟らかい材料の基材に金属蒸着膜を形成する際に適用した場合には軟らかい材料の基材上に形成された金属蒸着膜の密着力を高めることは難しい。そのため、この場合には内視鏡の挿入部の形状が変形する際に、軟らかい材料の基材上に形成された金属蒸着膜の割れや、剥離を防止することが難しい。その結果、従来の成膜方法で軟らかい材料の基材上に金属蒸着膜を成膜した電磁シールド成形品では耐久性が低い問題がある。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができるとともに、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めることができる医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法とその電磁シールド成形品とその製造装置を提供することにある。
請求項1の発明は、医療器具内に組み込まれる可撓性チューブからなるチャンネルを形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行い、下地層を形成する下地層形成工程と、この下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上に真空成膜法により電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするコーティング工程とを具備することを特徴とする医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項1の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、医療器具用の電磁シールド成形品の製造時に、まず、医療器具内に組み込まれる可撓性チューブからなるチャンネルを形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行い、下地層を形成する(下地層形成工程)。その後、下地層形成工程で基材上に形成された下地層の上に真空成膜法により電磁シールド用の金属薄膜をコーティングする(コーティング工程)。これにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形するとともに、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止して耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項1の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、医療器具用の電磁シールド成形品の製造時に、まず、医療器具内に組み込まれる可撓性チューブからなるチャンネルを形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行い、下地層を形成する(下地層形成工程)。その後、下地層形成工程で基材上に形成された下地層の上に真空成膜法により電磁シールド用の金属薄膜をコーティングする(コーティング工程)。これにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形するとともに、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止して耐久性を高めるようにしたものである。
請求項2の発明は、前記下地層形成工程は、ナトリウム処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項2の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上に水酸基を形成するナトリウム処理を行なうことにより、下地層を形成するようにしたものである。
そして、本請求項2の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上に水酸基を形成するナトリウム処理を行なうことにより、下地層を形成するようにしたものである。
請求項3の発明は、前記下地層形成工程は、前記基材上に炭素からなる膜を形成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項3の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上に炭素からなる膜を形成することにより、下地層を形成するようにしたものである。
そして、本請求項3の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上に炭素からなる膜を形成することにより、下地層を形成するようにしたものである。
請求項4の発明は、前記下地層形成工程は、前記基材上にチタンによって前記下地層を形成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項4の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前記基材上にチタンによって前記下地層を形成するようにしたものである。
そして、本請求項4の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前記基材上にチタンによって前記下地層を形成するようにしたものである。
請求項5の発明は、前記下地層形成工程は、前記基材上にプラズマ処理により前記下地層を形成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項5の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上にプラズマ処理により前記下地層を形成するようにしたものである。
そして、本請求項5の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上にプラズマ処理により前記下地層を形成するようにしたものである。
請求項6の発明は、前記下地層形成工程は、前記基材上にナトリウム処理とプラズマ処理により前記下地層を形成する処理とを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項6の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上にナトリウム処理とプラズマ処理により前記下地層を形成するようにしたものである。
そして、本請求項6の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、下地層形成工程時には、前処理として前記基材上にナトリウム処理とプラズマ処理により前記下地層を形成するようにしたものである。
請求項7の発明は、前記コーティング工程は、DCスパッタ法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項7の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にDCスパッタ法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
そして、本請求項7の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にDCスパッタ法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
請求項8の発明は、前記コーティング工程は、RFスパッタ法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項8の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にRFスパッタ法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
そして、本請求項8の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にRFスパッタ法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
請求項9の発明は、前記コーティング工程は、イオンプレーティング法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項9の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にイオンプレーティング法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
そして、本請求項9の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にイオンプレーティング法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
請求項10の発明は、前記コーティング工程は、CVD法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法である。
そして、本請求項10の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にCVD法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
そして、本請求項10の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、コーティング工程時には、下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上にCVD法によって電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするようにしたものである。
請求項11の発明は、医療器具内に組み込まれる可撓性チューブからなるチャンネルを形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなる基材と、この基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成された下地層と、前記基材の前記下地層の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜とを具備することを特徴とする医療器具用の電磁シールド成形品である。
そして、本請求項11の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成された下地層と、基材の前記下地層の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜とを積層させることにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項11の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成された下地層と、基材の前記下地層の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜とを積層させることにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
請求項12の発明は、前記金属薄膜は、前記下地層の上にクロム、銅、金が順次成膜された積層構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品である。
そして、本請求項12の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、前記下地層の上にクロム、銅、金が順次成膜された積層構造によって金属薄膜を形成することにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項12の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、前記下地層の上にクロム、銅、金が順次成膜された積層構造によって金属薄膜を形成することにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
請求項13の発明は、前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に成膜された全面成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品である。
そして、本請求項13の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に成膜された全面成膜構造の金属薄膜によって医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項13の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に成膜された全面成膜構造の金属薄膜によって医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
請求項14の発明は、前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に螺旋形状のマスク部材間の露出部に成膜された螺旋形状の成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品である。
そして、本請求項14の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に螺旋形状のマスク部材間の露出部に成膜された螺旋形状の成膜構造の金属薄膜によって医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項14の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に螺旋形状のマスク部材間の露出部に成膜された螺旋形状の成膜構造の金属薄膜によって医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
請求項15の発明は、前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に前記軟性チューブの軸方向に沿って直線状に成膜された直線形状の成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品である。
そして、本請求項15の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に前記軟性チューブの軸方向に沿って直線状に成膜された直線形状の成膜構造の金属薄膜によって医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項15の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に前記軟性チューブの軸方向に沿って直線状に成膜された直線形状の成膜構造の金属薄膜によって医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
請求項16の発明は、前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に略メッシュ状に成膜された成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品である。
そして、本請求項16の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に略メッシュ状に成膜された成膜構造の金属薄膜により、医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
そして、本請求項16の発明の医療器具用の電磁シールド成形品では、軟性チューブからなる基材の外周面全体に略メッシュ状に成膜された成膜構造の金属薄膜により、医療器具用の電磁シールドを成形することができ、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性を高めるようにしたものである。
請求項17の発明は、柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするための処理装置を備えた電磁シールド成形品の製造装置において、前記軟性チューブの端部を両側から挟持する一対の挟持片と、前記一対の挟持片の少なくとも一方に形成され、前記軟性チューブの端部を挿入した状態で係止する凹陥状の係合溝と、前記一対の挟持片間を着脱可能に連結し、前記一対の挟持片間で前記軟性チューブの端部を挟持する挟持力を発生させる締付け手段と、前記軟性チューブの少なくとも前記一対の挟持片間の挟持部に挿入され、前記軟性チューブの潰れを防止する棒状の潰れ防止部材とを具備する軟性チューブのクランプ装置を設けたことを特徴とする医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置である。
そして、本請求項17の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、軟性チューブのクランプ装置の使用時に、挟持片の凹陥状の係合溝に軟性チューブの端部を挿入した状態で係止させた状態で、一対の挟持片間を着脱可能に連結する。この状態で、締付け手段によって一対の挟持片間で軟性チューブの端部を挟持する挟持力を発生させる際に、軟性チューブの少なくとも前記一対の挟持片間の挟持部に棒状の潰れ防止部材を挿入させることにより、軟性チューブの潰れを防止するようにしたものである。
そして、本請求項17の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、軟性チューブのクランプ装置の使用時に、挟持片の凹陥状の係合溝に軟性チューブの端部を挿入した状態で係止させた状態で、一対の挟持片間を着脱可能に連結する。この状態で、締付け手段によって一対の挟持片間で軟性チューブの端部を挟持する挟持力を発生させる際に、軟性チューブの少なくとも前記一対の挟持片間の挟持部に棒状の潰れ防止部材を挿入させることにより、軟性チューブの潰れを防止するようにしたものである。
請求項18の発明は、前記係合溝は、V字溝であることを特徴とする請求項17に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置である。
そして、本請求項18の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、V字溝の係合溝に軟性チューブの端部を挿入することにより、軟性チューブの端部を安定に支持させるようにしたものである。
そして、本請求項18の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、V字溝の係合溝に軟性チューブの端部を挿入することにより、軟性チューブの端部を安定に支持させるようにしたものである。
請求項19の発明は、前記一対の挟持片は、一方の前記挟持片に前記係合溝が形成され、他方の前記挟持片が前記係合溝に前記軟性チューブを押し込む方向に押圧する押圧板によって形成されていることを特徴とする請求項17に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置である。
そして、本請求項19の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、一対の挟持片の一方の前記挟持片の係合溝に軟性チューブの端部を挿入した状態で、他方の前記挟持片の押圧板によって前記係合溝に前記軟性チューブを押し込む方向に押圧するようにしたものである。
そして、本請求項19の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、一対の挟持片の一方の前記挟持片の係合溝に軟性チューブの端部を挿入した状態で、他方の前記挟持片の押圧板によって前記係合溝に前記軟性チューブを押し込む方向に押圧するようにしたものである。
請求項20の発明は、前記潰れ防止部材は、前記軟性チューブの全長に亙り挿入される挿入部材であることを特徴とする請求項17に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置である。
そして、本請求項20の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、前記軟性チューブの全長に亙り挿入される挿入部材によって潰れ防止部材を形成することにより、電磁シールド成形品の製造装置にセットされた軟性チューブの弛みを防止するようにしたものである。
そして、本請求項20の発明の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置では、前記軟性チューブの全長に亙り挿入される挿入部材によって潰れ防止部材を形成することにより、電磁シールド成形品の製造装置にセットされた軟性チューブの弛みを防止するようにしたものである。
本発明によれば、軟性チューブの外周面に金属薄膜をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形することができるとともに、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜の密着力を高め、熱膨張による膜の割れや、剥離を防止することができ、かつ耐久性をたかめることができる医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法とその電磁シールド成形品とその製造装置を提供することができる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図9を参照して説明する。図1は本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品であるチャンネルチューブ16が組み込まれた電子内視鏡(ビデオスコープ)1のシステム全体の概略構成を示すものである。電子内視鏡1のシステムは、電子内視鏡1と、光源装置2と、ビデオプロセッサ3と、モニター4とを有する。ビデオプロセッサ3にはモニター4が接続されている。
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図9を参照して説明する。図1は本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品であるチャンネルチューブ16が組み込まれた電子内視鏡(ビデオスコープ)1のシステム全体の概略構成を示すものである。電子内視鏡1のシステムは、電子内視鏡1と、光源装置2と、ビデオプロセッサ3と、モニター4とを有する。ビデオプロセッサ3にはモニター4が接続されている。
電子内視鏡1には、管腔内に挿入される細長い挿入部5と、この挿入部5の基端部に連結された操作部6とを有する。挿入部5には、可撓性を有する細長い可撓管部(蛇管)7が設けられている。この可撓管部7の基端部は操作部6と連結されている。挿入部5の最先端部には硬質な先端硬性部8が配設されている。この先端硬性部8の基端部と可撓管部7の先端部との間には湾曲部9が介設されている。
図2(A)に示すように先端硬性部8には、少なくとも観察部10と、処置具挿通チャンネル11の先端開口部11aと、図示しない照明部とが配設されている。さらに、先端硬性部8には、先端枠12が設けられている。この先端枠12には観察部装着穴12aと、処置具挿通チャンネル用穴12bと、図示しない照明用の穴とが設けられている。
観察部10には、対物レンズ群13aを組み込んだ対物レンズユニット13が設けられている。この対物レンズユニット13には、フィールドレンズ200とCCD(撮像素子)15を保持したCCD保持枠14が接続されている。このCCD保持枠14の後端部にはCCD15が配設されている。このCCD15は対物レンズ群13aの結像位置に配置されている。そして、先端枠12の観察部装着穴12aには、CCD保持枠14が挿入された状態で、接着剤などで液密に固定されている。
さらに、先端枠12の照明用の穴には照明光学系の照明レンズや、ライトガイドファイバなどを組み込んだ照明ユニットが装着されている。そして、接着剤などで同様に先端枠12に液密に固定されている。
また、処置具挿通チャンネル11は、本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品である可撓性を備えた細長いチャンネルチューブ16によって形成されている。このチャンネルチューブ16は、例えばPTFE,PFA,FEP(テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂)などの柔軟性が高い軟性チューブによって形成されている。そして、このチャンネルチューブ16の先端部が先端枠12の処置具挿通チャンネル用穴12bに挿入された状態で、接着剤などで液密に固定されている。
また、挿入部5の湾曲部9には図示しない複数の湾曲駒が挿入部5の軸方向に並設されている。各湾曲駒の前後の両端部はそれぞれ回動可能に連結されている。さらに、湾曲部9の外周面には可撓性を有する湾曲チューブ17が配設されている。そして、湾曲部9は手元側からの遠隔操作によって例えば前後左右の4方向、或いは2方向にそれぞれ湾曲操作可能になっている。
挿入部5の湾曲部9および可撓管部7の内部には、撮像ケーブル18と、チャンネルチューブ16と、図示しない照明用のライトガイドファイバと、湾曲操作用の操作ワイヤなどが配設されている。撮像ケーブル18の先端部はCCD15に接続されている。また、操作ワイヤの先端部は湾曲部9の最先端位置の湾曲駒に固定されている。さらに、撮像ケーブル18、チャンネルチューブ16、ライトガイドファイバおよび操作ワイヤの基端部は操作部6側に延出されている。
操作部6には、鉗子口であるチャンネル口金19と、湾曲操作レバー20とが配設されている。図2(A)に示すようにチャンネル口金19の内端部にはチャンネルチューブ16の基端部が連結されている。これにより、チャンネル口金19から挿入された高周波処置具21などの処置具は処置具挿通チャンネル11内を通して挿入部5の先端部側に導かれ、先端開口部11aから外部に突出されるようになっている。
また、湾曲操作レバー20は操作部6内に組み込まれた図示しない湾曲操作機構に連結されている。この湾曲操作機構には操作ワイヤの基端部が連結されている。そして、湾曲操作レバー20の操作によって湾曲操作機構を介して操作ワイヤが牽引操作され、湾曲部9が湾曲操作レバー20の操作方向に遠隔的に湾曲操作されるようになっている。
さらに、操作部6には、ユニバーサルケーブル22の基端部が連結されている。このユニバーサルケーブル22の先端部には光源装置2と着脱可能に連結される図示しないコネクタと、ビデオプロセッサ3と着脱可能に連結される図示しない電気コネクタとが設けられている。そして、光源装置2から出射される照明光が図示しないライトガイドファイバを介して先端硬性部8の図示しない照明部に送られ、ここから照明光が外部に出射されるようになっている。
また、撮像ケーブル18の基端部は操作部6内からユニバーサルケーブル22内を通り、図示しない電気コネクタに接続されている。そして、観察部10の対物レンズ群13aによって結像された内視鏡像は、CCD15によって撮像されて電気信号に変換される。さらに、CCD15から出力される電気信号は撮像ケーブル18を介してビデオプロセッサ3に送られて画像処理された後、モニター4に内視鏡像が表示されるようになっている。
また、図2(B)に示すように本実施の形態のチャンネルチューブ16は、PTFEなどの樹脂材料によって形成されたチューブ基材23の外周面に導電性を有した導電性被膜である金属膜が成膜されて外皮24が形成されている。ここで、チューブ基材23は、PTFE,PFA,FEP等のフッ素樹脂以外にもポリエチレン,塩化ビニル,PET,ポリアミド,ポリイミド等の高分子樹脂材料でもよい。
また、外皮24は図4に示すようにチューブ基材23の外周面上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成された下地層41と、チューブ基材23の下地層41の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜42とを具備する。金属薄膜42は、下地層41の上にクロム(Cr)層42a、銅(Cu)層42b、金(Au)層42cが順次成膜された積層構造である。
下地層41は、外皮24の金属膜の成膜時に被膜の前処理としてチューブ基材23の外周面に例えばナトリウム処理(商品名テトラエッチ等)、真空あるいは大気プラズマ等の親水化処理や、プライマー塗布などの少なくともいずれかの下処理が施されて形成される。
外皮24の金属薄膜42の成膜条件は、例えば銅、クロム、ニッケル、チタンなどの金属がCVD法や真空成膜法、蒸着法、メッキなどにより形成される。ここで、外皮24の金属薄膜42のメッキ方法としては、乾式メッキとして蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどがある。また、湿式メッキとしてめっき、塗装(導電性塗料)などがある。
また、チャンネルチューブ16の外皮24の金属薄膜42には、リード線25の一端部が接続されている。図3に示すようにこのリード線25の他端部は、ビデオプロセッサ3に配設された、コンデンサ34、抵抗35、コイル36からなるアース回路37を介してビデオプロセッサ3の内部のグランド(GND)と接続されている。これにより、ビデオプロセッサ3の内部のグランドと導通させることにより、チャンネルチューブ16内に挿通される高周波処置具21から出るノイズの影響を防止する電磁シールド手段27が形成されている。
また、本実施の形態では、観察部10の対物レンズユニット13のCCD保持枠14は、非導電性のアルマイト処理を施したアルミ部材を用いて形成されている。ここで、CCD15を保持する枠部材15aにも同様に非導電性のアルマイト処理を施したアルミ部材が用いられている。
また、図5はチャンネルチューブ16のチューブ基材23の外周面の下地層41の上に外皮24の金属薄膜42を成膜するメタライズ用スパッタ装置(電磁シールド成形品の製造装置)43全体の概略構成を示す。図6(A)に示すようにこのスパッタ装置43は、ストッカー44と、ロードロック室45と、スパッタ処理部46とを有する。
ストッカー44は、ワーク47が導入される導入室である。このストッカー44内は大気開放(大気圧)状態で保持されている。ロードロック室45は、ストッカー44と、スパッタ処理部46との間に配置されている。そして、ワーク47は、ストッカー44から、ロードロック室45を経てスパッタ処理部46に搬送されるようになっている。
また、ロードロック室45とストッカー44との間には第1の真空バルブ48、ロードロック室45とスパッタ処理部46との間には第2の真空バルブ49がそれぞれ介設されている。そして、ロードロック室45の内部は大気開放状態と、真空状態とに切換え可能になっている。スパッタ処理部46の内部は、常時真空状態で保持されている。
スパッタ処理部46は、複数、本実施の形態では4つ(第1〜第4)のスパッタ室50,51,52,53を有する。第1のスパッタ室50は、チャンネルチューブ16の下地層41の上にクロム層42aを成膜する処理室である。第1のスパッタ室50の内部には蒸着材料となるクロムを保持する板状の一対のターゲット54a,54bが離間対向配置されている。
第2のスパッタ室51は、チャンネルチューブ16のクロム層42aの上に銅層42bを成膜する処理室である。第2のスパッタ室51の内部には蒸着材料となる銅を保持する板状の一対のターゲット54a,54bが離間対向配置されている。
第3のスパッタ室52は、銅層42bの上に金層42cを成膜する処理室である。第3のスパッタ室52の内部には蒸着材料となる金を保持する板状の一対のターゲット55a,55bが離間対向配置されている。
また、図7は、スパッタ装置43内に組み込まれたワーク搬送装置57を示す。このワーク搬送装置57は、複数、本実施の形態ではワークである8本のチャンネルチューブ16を支持するワーク支持台58と、移動装置59とを有する。各チャンネルチューブ16はそれぞれ水平方向に延設された状態で、鉛直方向に平行に並設されるようになっている。ワーク支持台58は、細長い基台60を有する。基台60の長さは、チャンネルチューブ16の長さよりもわずかに長い程度である。
図8に示すように基台60の底部の両側面には、外側に突出する突起部60a,60bがそれぞれ突設されている。これらの突起部60a,60bの上面には搬送時の横ズレを防止する横ズレ防止用の複数の転動ローラ61が配設されている。各転動ローラ61は突起部60a,60bの上面に鉛直に突設された支軸62に回転自在に軸支されている。
基台60の上面には、L字状の固定フレーム63が固定されている。この固定フレーム63には、前後の両端部に軟性チューブであるチャンネルチューブ16のクランプ装置64がそれぞれ取付けられている。クランプ装置64は、チャンネルチューブ16の端部を両側から挟持する一対(第1および第2)の挟持片65,66が配設されている。第1の挟持片65には、複数、本実施の形態では8つのV字溝(凹陥状の係合溝)67が形成されている。各V字溝67にはそれぞれチャンネルチューブ16の端部が挿入された状態で係止されるようになっている。
また、第2の挟持片66は、ほぼ平板状の固定プレートによって形成されている。この第2の挟持片66の両端部には、固定ねじ(締付け手段)68がそれぞれ挿通されている。各固定ねじ68は、第1の挟持片65側のねじ穴にねじ込み固定されている。そして、図9(A)に示すように第1の挟持片65の各V字溝67にそれぞれチャンネルチューブ16の端部が挿入された状態で、第1の挟持片65と第2の挟持片66との間で各チャンネルチューブ16が挟持される。このとき、各固定ねじ68のねじ込み力により、第1の挟持片65と第2の挟持片66との間で各チャンネルチューブ16の端部を挟持する挟持力を発生させるようになっている。
また、各チャンネルチューブ16の両端部には、軟性チューブの潰れを防止する潰れ防止ピン(潰れ防止部材)69がそれぞれ挿入されている。これらの潰れ防止ピン69は、第1の挟持片65と第2の挟持片66との間の挟持部に配置されている。なお、潰れ防止ピン69に代えて各チャンネルチューブ16とほぼ同じ長さの棒状の潰れ防止部材を設け、この棒状の潰れ防止部材を各チャンネルチューブ16内に挿入する構成にしてもよい。この場合には各チャンネルチューブ16の撓みを防止できる効果がある。
移動装置59は、ラックアンドピニオン型の駆動装置70を有する。この駆動装置70には基台60の下面に固定されたラック71と、このラック71の歯71aと噛合するピニオンギヤ72とが設けられている。ピニオンギヤ72はスパッタ装置43内のストッカー44とスパッタ処理部46との間の適宜の箇所に複数並設されている。
さらに、基台60の下面には、ラック71の前後の両端部の両側にそれぞれ車輪73が配設されている。そして、ピニオンギヤ72が回転駆動されることにより、ラック71がストッカー44とスパッタ処理部46との間で、前後方向に往復駆動されるようになっている。これにより、ワーク搬送装置57全体がストッカー44とスパッタ処理部46との間で送り駆動されるようになっている。
次に、チャンネルチューブ16のチューブ基材23の外周面上に電磁シールド用の金属薄膜42を積層構造で成形する本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法について図10のフローチャートを参照して説明する。まず、PTFEなどの柔軟性が高い軟性チューブによって形成されたチューブ基材23を洗浄する洗浄工程が行なわれる(ステップS1)。その後、チューブ基材23の外周面上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行い、下地層41を形成する下地層形成工程が行なわれる(ステップS2)。この下地層形成工程は、例えばチューブ基材23上にナトリウム処理、具体的にはテトラエッチ(商品名:潤工社)処理によって行なわれる。
続いて、前処理済のチューブ基材23をワーク搬送装置57のワーク支持台58にセットする治具セット工程がスパッタ装置43のストッカー44室内で行なわれる(ステップS3)。この治具セット工程では、8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23の両端部に潰れ防止ピン69をそれぞれ挿入させた状態で、各チューブ基材23の両端部を第1の挟持片65の各V字溝67にそれぞれ挿入させる。その後、各チューブ基材23の両端部をクランプ装置64の第1の挟持片65と第2の挟持片66との間に挟持させた状態で、クランプ装置64の各固定ねじ68をねじ込むことにより、図7に示すようにチューブ基材23をワーク搬送装置57のワーク支持台58にセットするワーク47の治具セット工程が完了する。
この治具セット工程の終了後、ワーク搬送装置57のピニオンギヤ72が回転駆動されることにより、ラック71が前進駆動される。そして、ワーク搬送装置57がストッカー44からロードロック室45に搬送される。このロードロック室45内にワーク搬送装置57がセットされた状態で、第1の真空バルブ48および第2の真空バルブ49がそれぞれ駆動され、ロードロック室45内が真空引きされる真空引き工程が行なわれる(ステップS4)。
この真空引き工程の終了後、再びワーク搬送装置57のピニオンギヤ72が回転駆動されてラック71が前進駆動され、ワーク搬送装置57がロードロック室45からスパッタ処理部46の第1のスパッタ室50に搬送される。このとき、ワーク搬送装置57にセットされている8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23は一対のターゲット54a,54b間に配置された状態にセットされる。この状態で、次のクロムの成膜工程が行なわれる(ステップS5)。
このクロムの成膜工程では、第1のスパッタ室50内でDCスパッタによるスパッタリングが行なわれる。このスパッタリングは、熱膨張による膜の割れ、剥離を防止するために無加熱にて成膜が行なわる。そして、このスパッタリングによって8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23の下地層41の上にクロムの薄膜が成膜され、例えば、10〜1000nm程度、好ましくは100〜500nm程度の厚さのクロム層42aが形成される。
さらに、クロム層42aの成膜工程の終了後、再びワーク搬送装置57のピニオンギヤ72が回転駆動されてラック71が前進駆動され、ワーク搬送装置57がスパッタ処理部46の第1のスパッタ室50から第2のスパッタ室51に搬送される。このとき、ワーク搬送装置57にセットされている8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23は一対のターゲット55a,55b間に配置された状態にセットされる。この状態で、次の銅の成膜工程が行なわれる(ステップS6)。
この銅の成膜工程では、第2のスパッタ室51内でDCスパッタによるスパッタリングが行なわれる。このスパッタリングも、熱膨張による膜の割れ、剥離を防止するために無加熱にて成膜が行なわる。そして、このスパッタリングによって8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23のクロム層42aの上に銅の薄膜が積層される状態で成膜され、例えば、100〜10000nm程度,好ましくは500〜5000nm程度の厚さの銅層42bが形成される。
さらに、銅層42bの成膜工程の終了後、再びワーク搬送装置57のピニオンギヤ72が回転駆動されてラック71が前進駆動され、ワーク搬送装置57がスパッタ処理部46の第2のスパッタ室51から第3のスパッタ室52に搬送される。このとき、ワーク搬送装置57にセットされている8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23は一対のターゲット56a,56b間に配置された状態にセットされる。この状態で、次の金の成膜工程が行なわれる(ステップS7)。
この金の成膜工程では、第3のスパッタ室52内でDCスパッタによるスパッタリングが行なわれる。このスパッタリングも、熱膨張による膜の割れ、剥離を防止するために無加熱にて成膜が行なわる。そして、このスパッタリングによって8本のチャンネルチューブ16の各チューブ基材23の銅層42bの上に金の薄膜が積層される状態で成膜され、例えば、10〜1000nm程度,好ましくは30〜300nm程度の厚さの金層42cが形成される。
さらに、金層42cの成膜工程の終了後、ワーク搬送装置57のピニオンギヤ72が逆回転駆動されてラック71が後退駆動される。これにより、ワーク搬送装置57がスパッタ処理部46の第3のスパッタ室52から第2のスパッタ室51、第1のスパッタ室50を経由してロードロック室45に搬送される。
このロードロック室45内にワーク搬送装置57がセットされた状態で、第1の真空バルブ48および第2の真空バルブ49がそれぞれ駆動され、ロードロック室45内が大気開放状態に切換える工程が行なわれる。
この大気開放工程の終了後、再びワーク搬送装置57のピニオンギヤ72が逆回転駆動されてラック71が後退駆動され、ワーク搬送装置57がロードロック室45からストッカー44に搬送されて真空成膜法による処理済のワーク47がスパッタ装置43の外部に取り出される取り出し工程が行なわれる(ステップS8)。これにより、チャンネルチューブ16のチューブ基材23の下地層41の上にクロム層42a、銅層42b、金層42cが順次成膜された積層構造の電磁シールド用の金属薄膜42を成形する電磁シールド成形品の製造方法が終了する。
次に、上記構成の電子内視鏡1のシステムの作用について説明する。本実施の形態の電子内視鏡1の使用時にはチャンネル口金19から高周波処置具21などの処置具が挿入される。この高周波処置具21は、処置具挿通チャンネル11内を通して挿入部5の先端部側に導かれ、先端開口部11aから外部に突出される。この状態で、電子内視鏡1と高周波処置具21とが組み合わせて使用される。このとき、電子内視鏡1内のCCD15によって管腔内の内視鏡像が撮像され、モニター4に内視鏡像が表示される。
また、高周波処置具21の使用時には高周波処置具21の周りに電磁界が発生する。このとき、本実施の形態ではチャンネルチューブ16の外皮24の金属膜がリード線25を介してアース回路26と接続されているので、アース回路26のグランドが高周波処置具21の周囲に発生する電磁界を遮断する。そのため、CCD15に接続された撮像ケーブル18に高周波処置具21の周りに発生した電磁界によってクロストークが生じることを防止することができるので、モニター4に表示される内視鏡像の画像が乱れることを防止できる。
そこで、本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品であるチャンネルチューブ16が組み込まれた上記構成の電子内視鏡1のシステムにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の電子内視鏡1のチャンネルチューブ16は、チューブ基材23の外周面に金属膜を成膜して外皮24を形成したので、チャンネルチューブ16内に通した高周波処置具21からのノイズに強い。そのため、挿入部5の処置具挿通チャンネル11に通された高周波処置具21から出るノイズによって内視鏡1の観察像が乱れることがない。
さらに、チャンネルチューブ16の外皮24は、チューブ基材23の外周面に金属膜を成膜してを形成したので、チャンネルチューブ16全体の厚さが格別に大きくなるおそれはない。そのため、挿入部5の外径が太くならず、かつ挿入部5の可撓性を損なわない効果もある。
また、本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品であるチャンネルチューブ16は、柔軟性が高いPTFEなどの樹脂材料の軟性チューブからなるチューブ基材23上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成された下地層41と、チューブ基材23の下地層41の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜42とを積層させることにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜42をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形している。そのため、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜42の密着力を高め、熱膨張による金属薄膜42の割れや、剥離を防止することができる。
さらに、本実施の形態ではチューブ基材23上に、金属薄膜をコーティングするための前処理として、チューブ基材23上にテトラエッチ処理によって水酸基や、カルボニル基、カルボキシル基等の親水基を有する下地層41を形成する工程が行なわれる。これにより、チューブ基材23の上に金属薄膜42を直接、コーティングする場合に比べてチューブ基材23に対する金属薄膜42の密着性を高めることができ、下地層41の上にコーティングした金属薄膜42をチューブ基材23から剥がれ難くすることができる。
また、チューブ基材23の下地層41の上に成膜エネルギーの高いスパッタを使用してクロム層42a、銅層42b、金層42cを順次成膜させて積層構造の金属薄膜42をコーティングしている。これにより、チューブ基材23に対する金属薄膜42の密着力を一層、高めることができる。
さらに、クロム層42a、銅層42b、金層42cの各スパッタリングは、無加熱にて成膜を行なうようにしたので、熱膨張による膜の割れ、剥離を防止することができる。また、金属薄膜42の最表層に金層42cを成膜したので、耐薬品性を高め、洗浄、消毒による劣化や、銅層42bの酸化を防止することができる。
なお、上記実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品ではチャンネルチューブ16のチューブ基材23の外周面の全体に金属膜を成膜して外皮24を形成した構成を示したが、図11(A)に示す第1の変形例のようにスパイラル状の外皮24を成膜したり、図11(B)に示す第2の変形例のように逆回りの2つのスパイラル状の外皮24をクロスする状態で成膜してもよい。
さらに、外皮24の金属膜の形状は、これに限定されるものではなく、軟性チューブからなる基材の外周面全体に前記軟性チューブの軸方向に沿って直線状に成膜された直線形状の成膜構造、メッシュ状、或いは格子状など種々に変形実施できることは勿論である。この場合にはチャンネルチューブ16の柔軟性を一層、確実に確保することができる。
また、図12は、第1の実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法の変形例を説明するためのフローチャートである。本変形例は、図11(A)の第1の変形例のスパイラル状の外皮24や、図11(B)の第2の変形例の逆回りの2つのスパイラル状の外皮24をクロスする状態で成膜する方法を示す。
すなわち、本変形例では、第1の実施の形態の電磁シールド成形品の製造方法のフローチャート(図10参照)の中で、ステップS2とステップS3との間にステップS11のマスキング工程を挿入したものである。このマスキング工程では、ステップS2で前処理済のチューブ基材23の外周面に例えばスパイラル状のマスキング部材を使用してマスキングを施すものである。
また、図13は、第1の実施の形態のスパッタ装置43内に装着されるワーク搬送装置57の第1の変形例を示す。第1の実施の形態のワーク搬送装置57では、8本のチャンネルチューブ16がそれぞれ水平方向に延設された状態で、鉛直方向に沿って平行に並設される構成のワーク支持台58を示したが、本変形例は、8本のチャンネルチューブ16をそれぞれ鉛直方向に延設させた状態で、水平方向に沿って平行に並設させる構成のワーク支持台81を設けたものである。
ワーク支持台81には、基台82の上面の一側部に支柱83が立設されている。この支柱83の上端部には上部クランプ装置84、支柱83の下端部には下部クランプ装置85がそれぞれ配設されている。これらの上部クランプ装置84および下部クランプ装置85は、第1の実施の形態のワーク搬送装置57のクランプ装置64と同一構成になっている。
なお、下部クランプ装置85に代えて8本のチャンネルチューブ16の下端部におもりを取付け、このおもりの重さによって8本のチャンネルチューブ16を鉛直方向に伸ばした姿勢で保持する構成にしてもよい。
また、図14(A),(B)および図15は、第1の実施の形態のスパッタ装置43内に装着されるワーク搬送装置57の第2の変形例を示す。本変形例は、第1の実施の形態のワーク支持台58の基台60の上部構造を次の通り変更したものである。
すなわち、基台60の上面には、前端部側に第1の回転治具91、後端部側に第2の回転治具92がそれぞれ設けられている。第1の回転治具91は、基台60の上面に突設された鉛直軸93を中心に回転自在に軸支されている。この第1の回転治具91は、ディスク状の回転部材94と、この回転部材94の上に固定されたクランプ装置95とを有する。回転部材94の外周面には、複数、本実施の形態では8本のピン96が横向きに突設されている。
なお、図14(A)に示すようにワーク支持台58の搬送路の一側部には第1の回転治具91のピン96と対応する位置に多数の係合ピン97が鉛直方向に向けて突設されている。これらの係合ピン97はワーク支持台58の搬送方向に沿って適宜の間隔で並設されている。そして、図15に示すようにワーク支持台58の搬送時にはこれらの各係合ピン97には、第1の回転治具91のピン96が当接するようになっている。この状態で、ワーク支持台58が搬送方向に移動するとピン96と係合ピン97との当接部から第1の回転治具91の回転部材94に回転力が作用する。そのため、ワーク支持台58の搬送動作に連動して第1の回転治具91が鉛直軸93を中心に回転駆動されるようになっている。
また、クランプ装置95にはチャンネルチューブ16の一端部が着脱可能にクランプされている。このチャンネルチューブ16の固定端部には第1の実施の形態と同様の潰れ防止ピン69(図9(A),(B)参照)が挿入されている。
第2の回転治具92は、基台60の上面に突設された鉛直軸98を中心に回転自在に軸支されている。この第2の回転治具92は、ディスク状の回転部材99と、この回転部材99の上に固定されたクランプ装置100とを有する。クランプ装置100にはチャンネルチューブ16の他端部が着脱可能にクランプされている。このチャンネルチューブ16の固定端部には第1の実施の形態と同様の潰れ防止ピン69(図9(A),(B)参照)が挿入されている。
そして、本変形例では図14(B)に示すようにワークであるチャンネルチューブ16の前端部がワーク支持台58の前端部側の第1の回転治具91にクランプされ、このチャンネルチューブ16の後端部がワーク支持台58の後端部側の第2の回転治具92にクランプされた状態でセットされる。
この状態で、ワーク支持台58が搬送方向に移動するとピン96と係合ピン97との当接部から第1の回転治具91の回転部材94に回転力が作用することにより、ワーク支持台58の搬送動作に連動して第1の回転治具91が鉛直軸93を中心に回転駆動される。これにより、チャンネルチューブ16の前端部が軸回り方向に回転駆動される。この回転動作はチャンネルチューブ16の後端部側まで伝達される。そのため、ワーク支持台58が搬送方向に移動する動作に連動してチャンネルチューブ16は軸回り方向に回転駆動される。
したがって、本変形例ではスパッタ処理部46に搬送されるワーク支持台58の搬送動作中にチャンネルチューブ16を軸回り方向に回転駆動させることができるので、チャンネルチューブ16のチューブ基材23の外周面に金属薄膜42を成膜する作業時に、チューブ基材23の周方向全体に均一に金属薄膜42を成膜することができる。
[第2の実施の形態]
また、図16は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法を次の通り変更したものである。
また、図16は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図10参照)の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態では第1の実施の形態の電磁シールド成形品の製造方法のフローチャート(図10参照)の中で、ステップS2とステップS3との間にステップS11のマスキング工程を挿入し、かつステップS4とステップS5との間にステップS12の予備加熱またはプラズマ加工工程を挿入したものである。ここで、ステップS12の予備加熱またはプラズマ加工工程は、成膜中の温度上昇と同程度にまでチューブ基材23を予備加熱するものである。これにより、チューブ基材23の外周面に金属薄膜42を成膜する成膜中の熱膨張を防止することができる。
[第3の実施の形態]
また、図17および図18は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は図17に示すようにチューブ基材23の外周面上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行う下地層形成工程で形成される下地層をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜101に変更したものである。
また、図17および図18は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は図17に示すようにチューブ基材23の外周面上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行う下地層形成工程で形成される下地層をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜101に変更したものである。
図18は本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法を実施するためのフローチャートを示す。本実施の形態ではプラズマCVDの成膜装置102が使用される。そして、本実施の形態の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法では、チューブ基材23を洗浄する洗浄工程(ステップS1)の後、プラズマCVDの成膜装置102で次の真空引き工程(ステップS21)、DLC成膜工程(ステップS22)、取り出し工程(ステップS23)が順次行なわれる。
このプラズマCVDの成膜装置102による上記各工程の終了後、第2の実施の形態(図16参照)のステップS11のマスキング工程に進む。その後の工程は、第2の実施の形態と同様である。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態でも第1の実施の形態(図1乃至図10参照)と同様に医療器具用の電磁シールド成形品であるチャンネルチューブ16は、柔軟性が高いPTFEなどの樹脂材料の軟性チューブからなるチューブ基材23上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成されたDLC膜101と、チューブ基材23のDLC膜101の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜42とを積層させることにより、軟性チューブの外周面に金属薄膜42をコーティングして医療器具用の電磁シールドを成形している。そのため、軟性チューブの外周面にコーティングされた金属薄膜42の密着力を高め、熱膨張による金属薄膜42の割れや、剥離を防止することができる。
さらに、本実施の形態ではチューブ基材23上に、金属薄膜をコーティングするための前処理として、チューブ基材23上にDLC膜101を成膜したので、チューブ基材23の上に金属薄膜42を直接、コーティングする場合に比べてチューブ基材23に対する金属薄膜42の密着性を高めることができ、DLC膜101の上にコーティングした金属薄膜42をチューブ基材23から剥がれ難くすることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、金属薄膜42の膜構成は、クロム層42aに代えてチタン(Ti)層を用いても良い。また、チューブ基材23上に、金属薄膜をコーティングするための前処理は、予備加熱、プラズマ処理、ナトリウム処理から1つ以上を適宜、選択、あるいは組み合わせて実施すればよい。また、マスキング工程は、プラズマCVDによるDLC成膜工程の前に実施しても良い。
さらに、成膜手法は、RFスパッタ(低温成膜)や、イオンプレーティングや、CVDに変更しても良い。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
本発明は、高周波処置具などと組み合わせて使用される内視鏡などの医療器具内に組み込まれる可撓性のチャンネルを形成する軟性チューブに金属蒸着膜を成膜して医療器具用の電磁シールドを製造する電磁シールド成形品の製造方法とその電磁シールド成形品とその製造装置の技術分野で有効である。
1…電子内視鏡(医療器具)、16…チャンネルチューブ、23…チューブ基材、24…外皮、41…下地層、42…金属薄膜。
Claims (20)
- 医療器具内に組み込まれる可撓性チューブからなるチャンネルを形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理を行い、下地層を形成する下地層形成工程と、
この下地層形成工程で前記基材上に形成された下地層の上に真空成膜法により電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするコーティング工程と
を具備することを特徴とする医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。 - 前記下地層形成工程は、ナトリウム処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記下地層形成工程は、前記基材上に炭素からなる膜を形成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記下地層形成工程は、前記基材上にチタンによって前記下地層を形成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記下地層形成工程は、前記基材上にプラズマ処理により前記下地層を形成する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記下地層形成工程は、ナトリウム処理とプラズマ処理により前記下地層を形成する処理とを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記コーティング工程は、DCスパッタ法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記コーティング工程は、RFスパッタ法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記コーティング工程は、イオンプレーティング法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 前記コーティング工程は、CVD法を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造方法。
- 医療器具内に組み込まれる可撓性チューブからなるチャンネルを形成するための柔軟性が高い軟性チューブからなる基材と、
この基材上に、金属薄膜をコーティングするための前処理によって形成された下地層と、
前記基材の前記下地層の上に真空成膜法によりコーティングされた電磁シールド用の金属薄膜と
を具備することを特徴とする医療器具用の電磁シールド成形品。 - 前記金属薄膜は、前記下地層の上にクロム、銅、金が順次成膜された積層構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品。
- 前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に成膜された全面成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品。
- 前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に螺旋形状のマスク部材間の露出部に成膜された螺旋形状の成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品。
- 前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に前記軟性チューブの軸方向に沿って直線状に成膜された直線形状の成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品。
- 前記金属薄膜は、軟性チューブからなる基材の外周面全体に略メッシュ状に成膜された成膜構造であることを特徴とする請求項11に記載の医療器具用の電磁シールド成形品。
- 柔軟性が高い軟性チューブからなる基材上に、電磁シールド用の金属薄膜をコーティングするための処理装置を備えた電磁シールド成形品の製造装置において、
前記軟性チューブの端部を両側から挟持する一対の挟持片と、
前記一対の挟持片の少なくとも一方に形成され、前記軟性チューブの端部を挿入した状態で係止する凹陥状の係合溝と、
前記一対の挟持片間を着脱可能に連結し、前記一対の挟持片間で前記軟性チューブの端部を挟持する挟持力を発生させる締付け手段と、
前記軟性チューブの少なくとも前記一対の挟持片間の挟持部に挿入され、前記軟性チューブの潰れを防止する棒状の潰れ防止部材と
を具備する軟性チューブのクランプ装置を設けたことを特徴とする医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置。 - 前記係合溝は、V字溝であることを特徴とする請求項17に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置。
- 前記一対の挟持片は、一方の前記挟持片に前記係合溝が形成され、他方の前記挟持片が前記係合溝に前記軟性チューブを押し込む方向に押圧する押圧板によって形成されていることを特徴とする請求項17に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置。
- 前記潰れ防止部材は、前記軟性チューブの全長に亙り挿入される挿入部材であることを特徴とする請求項17に記載の医療器具用の電磁シールド成形品の製造装置。
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