JP2006065215A - 光ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】配線作業が容易で、しかも、ケーブルを曲げた際に、内蔵するケーブル心線に断線が生じることのない、ビルや一般住宅の屋内配線用として有用な光ケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバ心線11の外周に抗張力繊維層12を介して外被13を備えた光ケーブル101であって、外被13の内周面に、光ファイバ心線11が許容曲げ半径以下に曲げられることを規制する溝14を設けた光ケーブルである。
【選択図】図1
【解決手段】光ファイバ心線11の外周に抗張力繊維層12を介して外被13を備えた光ケーブル101であって、外被13の内周面に、光ファイバ心線11が許容曲げ半径以下に曲げられることを規制する溝14を設けた光ケーブルである。
【選択図】図1
Description
本発明は、ビルや一般住宅などの屋内配線に使用される光ケーブルに関する。
ビルや一般住宅などの屋内配線用光ケーブルとして、例えば図10や図11に示すような構造のものが知られている。
図10に示す光ケーブルは、単心光ファイバ心線1を中心にその両側に2本の鋼線やFRP(繊維強化プラスチック)などからなる抗張力体2を配置し、これらをポリエチレンなどの樹脂で一括被覆して外被3を形成したものであり、外被3の両長片部の中央、単心光ファイバ心線1が位置する部分には、引き裂き用のノッチ3a、3aが設けられている。また、図11に示す光ケーブルは、単心光ファイバ心線1の周囲に抗張力繊維4を配置し、その上にポリエチレンなどの樹脂からなる外被3を被覆したものである(例えば、特許文献1参照。)。
このような光ケーブルにおいては、細径かつ軽量で、また、柔軟性にも富むため、狭隘部においても容易に配線作業を行うことができるという特徴を有している。しかしながら、その反面、ケーブルの剛性が小さく、ケーブルを曲げた際に、内蔵する光ファイバ心線が許容曲げ半径以下に曲げられてしまい、光ファイバ心線に断線が生じるおそれがあった。
特開2001−221935号公報
上述したように、ビル構内や一般住宅内に布設する屋内配線用光ケーブルとして使用される従来の光ケーブルにおいては、柔軟性に富み、狭隘部においても容易に配線作業を行うことができるというという特徴を有しているが、その反面、ケーブルを曲げた際に、内蔵する光ファイバ心線が許容曲げ半径以下に曲げられてしまい、光ファイバ心線に断線が生じるおそれがあった。
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、配線作業が容易で、しかも、ケーブルを曲げた際に、内蔵するケーブル心線に断線が生じることのない、ビルや一般住宅の屋内配線用として有用な光ケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明の光ケーブルは、光ファイバ心線の外周に抗張力繊維層を介して外被を備えた光ケーブルであって、前記外被の内周面にケーブルの曲げを規制する溝を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光ケーブルにおいて、前記溝は、前記光ファイバ心線が許容曲げ半径以下に曲げられることを規制する溝であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の光ケーブルにおいて、前記溝は、ケーブルの長さ方向にスパイラル状に設けられた溝であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の光ケーブルにおいて、前記外被は、ショアD硬度が40〜70の熱可塑性樹脂からなることを特徴とするものである。
本発明の光ケーブルによれば、ケーブルにある一定の曲げが加えられたところで、ケーブルの曲げ剛性が急激に上昇してケーブルのさらなる屈曲が困難になるため、光ファイバ心線の断線を招くようなケーブルの過度の屈曲を防止することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の光ケーブルの一実施形態を示す図で、(a)は縦断面図、(b)はそのB−B線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光ケーブル101は、2本の単心光ファイバ心線11と、その周囲に設けられた抗張力繊維層12と、さらにその外側に樹脂を断面円形となるように被覆することにより形成された外被13とから構成されている。
そして、この外被13の内周面には、1条の断面がほぼV字乃至U字型のスパイラル状の溝14がケーブルの長さ方向に沿って設けられており、この溝14によって、ケーブルの曲げが規制されるようになっている。すなわち、図2は、本ケーブルを屈曲したときの屈曲点の山側に位置する溝14の断面形状の変化を概略的に示した図である。同図に示すように、屈曲に伴い溝14のクリアランスが徐々に狭くなり、終には全くなくなってしまう。この溝14のクリアランスが全く消滅した時点で、ケーブルの曲げ剛性が急激に上昇し、それ以上の屈曲が困難になる。
なお、溝14は、光ケーブル101を屈曲した際に上記のようにケーブル剛性が急激に上昇してそれ以上の曲げを規制することができるように形成されていれば、その断面形状、大きさ、本数、ピッチなどは特に限定されるものではない。また、スパイラル状の溝14に代えて、外被13の内周面に、環状の溝をケーブルの長さ方向に間隔をおいて多数設けるようにしてもよい。ただし、製造の容易さの点からは、スパイラル状の溝14が好ましい。
本発明において、溝14は、内部に収容した単心光ファイバ心線11が許容曲げ半径以下に曲げられることを規制するように形成されていることが好ましい。すなわち、図2に示すように、光ケーブル101を屈曲した際に、屈曲点山側の溝14のクリアランスがなくなり、それ以上の曲げが困難になったとき、内部の単心光ファイバ心線11の曲げ半径が少なくともその許容曲げ半径以上になるように形成されていることが好ましい。このように形成することにより、光ケーブル101を屈曲した際の、過度な曲げによる、単心光ファイバ心線11の断線を防止することができる。溝14が、屈曲点山側の溝14のクリアランスがなくなったとき、内部の単心光ファイバ心線11の曲げ半径がその許容曲げ半径かもしくは僅かに大きくなるように形成されていると、配線作業性を確保しつつ、単心光ファイバ心線11の断線を防止することができ、より好ましい。
本発明で使用される単心光ファイバ心線11は、特に限定されるものではなく、光ファイバの外周にシリコーン樹脂や紫外線硬化型樹脂などを被覆したもの、その外周にさらにナイロン樹脂を被覆したもの(通常、ナイロン心線と称する)などが挙げられる。
また、このような単心光ファイバ心線11に周囲に設けられる抗張力繊維層12を構成する抗張力繊維としては、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維などのアラミド系繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル系繊維、ナイロン繊維などが使用される。抗張力繊維層12はこのような抗張力繊維を各単心光ファイバ心線11の周囲に縦添えすることにより形成される。
さらに、外被13を構成する樹脂としては、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂が好ましく、特にショアD硬度が40〜70の熱可塑性樹脂が好ましい。ショアD硬度が40未満では、屈曲に際して、溝14のクリアランスがなくなっても、十分な剛性が得られず、曲げが規制されないおそれがある。また、ショアD硬度が70を超えると、ケーブルの剛性が大きくなりすぎて、配線時の取り回し、引き回しが困難になり、配線作業性が低下する。なお、樹脂には、着色剤や難燃剤が配合されていてもよい。
このように構成される光ファイバケーブル101においては、ケーブル外被13の内周面に、ケーブルの曲げを規制する溝14が設けられているため、ケーブルの過度の屈曲を抑制することができる。特に、溝14が、内部に収容した単心光ファイバ心線11が許容曲げ半径以下に曲げられることを規制するように形成されている場合には、単心光ファイバ心線11が許容曲げ半径以下に曲げられることによる断線を防止することができる。さらに、溝14が、屈曲点山側の溝14のクリアランスがなくなったとき、内部の単心光ファイバ心線11の曲げ半径がその許容曲げ半径かもしくは僅かに大きくなるように形成されている場合には、良好な配線作業性を維持しつつ、配線時の単心光ファイバ心線11の断線を防止することができる。
本発明において、外被13の厚さは、あまり薄いと、単心光ファイバ心線11に対する保護効果や、ケーブルの機械的強度が不十分となり、逆に、あまり厚いと、外径や重量が増大して、細径化、軽量化が困難になる。このような観点から、外被13の厚さは、これを構成する材料の種類、収容する光ファイバ心線11の数や種類などにもよるが、一般には、0.5mm〜2.5mm程度が好ましい。
また、抗張力繊維層12を構成する抗張力繊維の繊維量が少ないと、単心光ファイバ心線11に対する保護効果や、外被13を引張った際の伸びを防止する効果が低下し、逆に、あまり多いと、ケーブル外径が大径化して、配管内などでのケーブルの占有面積の増大や可撓性の低下を招く。このような観点から、抗張力繊維層12を構成する抗張力繊維の合計量が、7000d(デニール)〜60000d(デニール)の範囲になるようにすることが好ましい。
本発明においては、例えば図3および図4に示すように、単心光ファイバ心線11の数が1本であってもよく、また3本もしくはそれ以上であってもよい。図3に示す光ケーブル102は、上記実施形態において、単心光ファイバ心線11を1本配置したものであり、また、図4に示す光ケーブル103は、上記実施形態において、単心光ファイバ心線11を3本配置したものである。
また、例えば図5乃至図7に示すように、単心光ファイバ心線11に代えて、1枚乃至複数枚の光ファイバテープ心線111、112を使用してもよい。図5に示す光ケーブル104は、上記実施形態において、2本の単心光ファイバ心線11に代えて、2本の光ファイバ素線を並列させ、その外周に一括被覆を施した2心光ファイバテープ心線111を1枚配置したものであり、また、図6に示す光ケーブル105は、同様の2心光ファイバテープ心線111を2枚配置したものである。さらに、図7に示す光ケーブル106は、上記実施形態において、2本の単心光ファイバ心線11に代えて、4本の光ファイバ素線を並列させ、その外周に一括被覆を施した4心光ファイバテープ心線112を3枚配置したものである。
さらに、本発明においては、例えば図8に示す光ケーブル107のように、外被13の外周面に引き裂き用のノッチ15を設けるようにしてもよい。ケーブル接続作業の際に、これらの引き裂き用ノッチ15を起点に外被13を引き裂くことにより、内部の光ファイバ心線11を容易に取り出すことができる。
また、例えば図9に示す光ケーブル108のように、外被13内に抗張力繊維などからなる抗張力体16を埋設するようにしてもよい。埋設する抗張力体16の数は特に限定されるものではないが、複数本埋設する場合には、周方向にほぼ等しい間隔で配置することが好ましい。抗張力体16に使用する抗張力繊維としては、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維などのアラミド系繊維をはじめ、抗張力繊維層12と同様のものを使用することができる。
次に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜6
図1に示す構造の光ケーブルを製造した。
まず、2本の外径250μmの紫外線硬化型樹脂被覆光ファイバ心線(許容曲げ半径15mm)の外周に、太さ1420d(デニール)のポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維を6本縦添えしつつ、その外周に、ショアD硬度がそれぞれ30(実施例1)、40(実施例2)、50(実施例3)、60(実施例4)、70(実施例5)、80(実施例6)のポリ塩化ビニルを用いて、厚さが約1.0mmで、内周面に1条の断面V字乃至U字型のスパイラル溝(最大幅0.5mm、深さ0.5mm、ピッチ30mm)を有する外被を押出被覆して、外径約3mmの光ケーブルを製造した。
図1に示す構造の光ケーブルを製造した。
まず、2本の外径250μmの紫外線硬化型樹脂被覆光ファイバ心線(許容曲げ半径15mm)の外周に、太さ1420d(デニール)のポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維を6本縦添えしつつ、その外周に、ショアD硬度がそれぞれ30(実施例1)、40(実施例2)、50(実施例3)、60(実施例4)、70(実施例5)、80(実施例6)のポリ塩化ビニルを用いて、厚さが約1.0mmで、内周面に1条の断面V字乃至U字型のスパイラル溝(最大幅0.5mm、深さ0.5mm、ピッチ30mm)を有する外被を押出被覆して、外径約3mmの光ケーブルを製造した。
得られた各光ケーブルについて、ヒートサイクル試験(−10℃〜+60℃、3サイクル)を行い、最大伝送損失増加量を調べたところ、いずれも0.05dB/km未満であり、良好な温度特性を有していた。また、実際に、ビル構内でフリー配線を繰り返し試みたところ、外被材料としてショアD硬度が40〜70の範囲にあるものを用いた実施例2〜6では、内部の光ファイバ心線を断線させることなく、円滑に配線することができた。これに対し、外被材料としてショアD硬度が30のものを用いた実施例1では、ケーブル外被に傷が目立つ場合があった。また、外被材料としてショアD硬度が80のものを用いた実施例6では、ケーブルがやや硬く、引き回しが多少困難であった。
11…光ファイバ心線、12…抗張力繊維層、13…外被、14…溝、101〜108…光ケーブル、111,112…光ファイバテープ心線
Claims (4)
- 光ファイバ心線の外周に抗張力繊維層を介して外被を備えた光ケーブルであって、前記外被の内周面にケーブルの曲げを規制する溝を設けたことを特徴とする光ケーブル。
- 前記溝は、前記光ファイバ心線が許容曲げ半径以下に曲げられることを規制する溝であることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 前記溝は、ケーブルの長さ方向にスパイラル状に設けられた溝であることを特徴とする請求項1または2記載の光ケーブル。
- 前記外被は、ショアD硬度が40〜70の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の光ケーブル。
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