(1)全体回路
図1はテンポ情報出力装置、テンポ情報出力方法及びテンポ情報出力のためのコンピュータプログラムを記憶して実行する装置、タッチ情報出力装置、タッチ情報出力方法及びタッチ情報出力のためのコンピュータプログラムを記憶して実行する装置、自動/手動演奏装置、楽音発生装置または電子楽器(以下「本装置」という)の全体回路を示す。
キーボード11の各キーは、楽音の発音及び消音を操作/指示するもので、キースキャン回路12によってスキャンされ、キーオン、キーオフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各キーのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各キーのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
このキーボード11は、ローアキーボード、アッパーキーボード、ペダルキーボード等から成っており、それぞれにつき異なる/同じ音色の楽音、つまり楽音波形または/及びエンベロープ波形の異なる/同じ楽音が発音される。なお、キーボード11は、場合によって、電子弦楽器、電子吹奏(管)楽器、電子打楽器(パッド等)、コンピュータのキーボード等で代用される。
このキーボード11によって演奏者の手動演奏のテンポまたはタッチが検出される。このようなタッチを検出するための速度センサー、加速度センサー、圧力センサーがキーボード11の各キーに対応して設けられる。
パネルスイッチ群13の各スイッチは、パネルスキャン回路14によって、スキャンされる。このスキャンにより、各スイッチのオン、オフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各スイッチのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各スイッチのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
上記パネルスイッチ群13には各種操作子17及び各種スイッチが設けられ、この各種操作子及び各種スイッチはペダル、ホイール、レバー、コントローラ、ジョイスティック、ダイヤル、ハンドル、回転/スライドつまみ/ボリューム、ベンダー、タッチスイッチ等である。このペダルはダンパペダル、サスティンペダル、ミュートペダル、ソフトペダル等である。
操作子17によって入力されるパラメータには、初級者、中級者、上級者などの演奏者の熟練度を示す熟練度情報、テンポ値(テンポデータTP)、セント/チューニング、音高/ノート/トランスポーズ値、エフェクト量、周波数変調量(グライド、グリッサンド、ビブラート、トリル、トレモロ等)、アフタータッチ量/イニシャルタッチ量、ミキサー量/楽音混合量、クオンタイズ量等である。この操作子17によって入力されるパラメータは、音楽的ファクタ(因子)の量/数であり、楽器用または電子楽器用のものである。
上記演奏者の熟練度を示す熟練度情報は、操作子17によって初級者、中級者、上級者の3段階のいずれかが入力され、プログラム/データ記憶部4に取り込まれて記憶される。上記テンポ情報は、操作子17によって1分間当たり演奏される四分音符の数として入力され、理想テンポ情報としてプログラム/データ記憶部4に取り込まれて記憶される。
上記キーボード11で演奏される演奏者の手動演奏のタッチは各キーに設けられた上記センサーによって検出され、手動タッチ情報として取り込まれ記憶される。またキーボード11で演奏される演奏者の手動演奏のテンポは後述するプログラム処理によって検出され、手動テンポ情報としてプログラム/データ記憶部4に取り込まれ記憶される。
上記理想テンポ情報は、後述する演奏情報MP内のテンポデータTPであり、実際の楽譜に基づいたタイミング/テンポを示す。上記手動テンポ情報は、楽譜を見て演奏する、またはナビゲーションの指示に応じて演奏する、演奏者の実施の演奏のタイミング/テンポ示す。
このようなプログラム処理によって検出される演奏者の手動テンポ情報は、演奏者が演奏する各楽音の各タイミングの間隔から検出されたり、演奏者が演奏する各楽音の各タイミングと、上記曲の自動演奏情報の各楽音の各タイミングとのずれ(両タイミングの差または比など)から検出されたりする。
上記演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報は、上記操作子17の操作によって入力されるほか、演奏者の過去の演奏の複数または1つのテンポずれ情報または/及びタッチずれ情報から決定される。このテンポずれ情報及びタッチずれ情報は、理想テンポ情報と手動テンポ情報とのずれを変換(修正)した値、理想タッチ情報と手動タッチ情報とのずれを変換(修正)した値である。
発音される楽音は上記キーボード11による手動演奏の楽音または演奏情報から再生された自動演奏の楽音である。この手動演奏または自動演奏の各楽音はミディインターフェース15からも送られてくる。この自動演奏の情報(後述する演奏情報MPを含む)の中には当該自動演奏の曲のテンポ情報やタッチ情報が含まれている。このテンポ情報やタッチ情報は通常は曲の先頭に記憶されるが、曲の途中で変化することもあり、この場合には自動演奏情報の曲の途中にも記憶される。
ミディインターフェース15は、外部接続された電子楽器との間で楽音データの送受を行うためのインターフェイスである。この楽音データはMIDI(ミュージカルインスツルメントデジタルインタフェース)規格のもので、この楽音データに基づいた発音も行われる。
このミディインターフェース15を通じて外部接続機器から上記テンポ情報またはタッチ情報を含む自動演奏情報が送られてくるし、当該テンポ情報やタッチ情報が自動演奏情報とは別個に送られてくることもある。このようなテンポ情報やタッチ情報は、上述の理想テンポ情報または理想タッチ情報としてプログラム/データ記憶部4に記憶される。
上記キーボード11またはミディインターフェース15には、手動演奏装置のほか、自動演奏装置も含まれる。これらキーボード11、パネルスイッチ群13及びミディインターフェース15から発生された演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるための情報である。
ミディインターフェース15を通じて、他の機器から上記演奏情報が送られてくるほか、プログラム/データ記憶部4内の上記演奏情報が他の機器へ送られたりする。この演奏情報は、自動演奏情報、理想テンポ情報、手動テンポ情報、理想タッチ情報、手動タッチ情報、テンポずれ情報、タッチずれ情報などである。
上記音高情報はキーナンバデータKNとして取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクターブデータ(音域データ)と音名データとからなる。上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等に対応しており、トーンナンバデータTNとして取り込まれる。上記エンベロープ情報は、上述のエンベロープスピードES、エンベロープレベルEL、エンベロープタイムET、エンベロープフェーズEFなどである。
このような音楽的ファクタ情報は、コントローラ2へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音発生情報はコントローラ2で処理され、各種データが楽音信号発生部5へ送られ、楽音波形信号が発生される。コントローラ2はCPU、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、ROM及びRAMなどからなっている。
プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からなり、光ディスクまたは磁気ディスク等の情報記憶部7(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプログラムが書き写され記憶される(インストール/転送される)。またプログラム/データ記憶部4には外部の電子楽器またはコンピュータから上記ミディインターフェース15または送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶される(インストール/転送される)。このプログラムの記憶媒体は通信媒体も含む。
このプログラムは、コントローラ(CPU)2が各種処理を行うための後述する各フローチャートに応じた楽音発生のためのプログラムである。このプログラム/データ記憶部4には、上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及びその他の各種データも記憶される。この各種データには時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当のためデータ等も含まれる。
楽音信号発生部5では、各楽音ごとに楽音波形信号が繰り返し発生されサウンドシステム6から発音出力される。上記音高情報に応じて、この繰り返し発生される楽音波形信号の発生速度は変化される。また上記音色情報などの音楽的ファクタ情報に応じて、この繰り返し発生される楽音波形信号の波形形状は切り換えられる。この楽音信号発生部5は時分割処理によって複数の楽音信号が同時に生成されポリフォニックに発音される。
タイミング発生部3からは、楽音生成装置の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール信号が各回路に出力される。このタイミングコントロール信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理のチャンネル分割時間の周期を持つチャンネルクロック信号、この整数倍または整数分の1の周波数のクロック信号、チャンネルナンバデータCHNo、タイムカウントデータ(発音時間情報)などを含む。上記スキャン処理もこのクロック信号に基づいて所定周期ごとに実行される。
キーオンタイマ16では、上記キーボード11のキーオンまたはキーオフから次のキーオンまでの音楽的時間がカウントされる。このカウント速度は所定のテンポ、例えば1分間に四分音符120個の演奏速度のテンポに応じている。そして、例えば、4分音符/休符の音長で「96」、8分音符/休符の音長で「48」、4拍子1小節で「96×4=384」のカウントが実行される。
このキーオンタイマ16はクリア(リセット)によって「0」からカウントが開始される。このカウント速度は一定であり、上記テンポ値(テンポデータTP)が変更されても一定であり変更されない。なお、キーオンタイマ16のカウント速度は上記テンポに応じて変化してもよく、この場合、キーオンタイマ16のカウント周期/間隔が上記テンポに応じて変化する。
(2)評価表示パネル30、35
図2は、上記パネルスイッチ13に設けられている、テンポ評価表示パネル30及びタッチ評価表示パネル35を示す。
テンポ評価表示パネル30は、中央の適正ランプ31、過速ランプ32及び遅速ランプ33からなっている。演奏者の演奏の手動テンポが曲の理想テンポにほぼ一致していれば、中央の適正ランプ31が点灯し、演奏者の演奏の手動テンポが曲の理想テンポより速すぎれば、右側の過速ランプ32が点灯し、同じく遅すぎれば左側の遅速ランプ33が点灯する。
タッチ評価表示パネル35は、中央の適正ランプ36、過強ランプ37及び過弱ランプ38からなっている。演奏者の演奏の手動タッチが曲の理想タッチにほぼ一致していれば、中央の適正ランプ36が点灯し、演奏者の演奏の手動タッチが曲の理想タッチより強すぎれば、右側の過強ランプ37が点灯し、同じく弱すぎれば左側の過弱ランプ38が点灯する。以上の表示は、キーボード11の1音1音の操作ごとに実行される。
(3)テンポずれ情報テーブル21
図3は、上記プログラム/データ記憶部4の中のテンポずれ情報テーブル21を示す。この図3の曲線または直線の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」より、上記理想テンポ情報と上記演奏者の手動テンポ情報とのずれ(両テンポの差または比など)が大きく、手動テンポ情報の方が大きければ、上記テンポ評価表示ランプ30の過速ランプ32が点灯される。
また、このずれが大きく、手動テンポ情報の方が小さければ、上記テンポ評価表示ランプ30の遅速ランプ33が点灯される。さらに、このずれが小さければ、上記テンポ評価表示ランプ30の適正ランプ32が点灯される。以上のようにして演奏者の演奏テンポの評価情報が出力される。
このような「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は、上級者、中級者、初級者の熟練度が高くなる順に大きくなり、理想テンポ情報と手動テンポ情報とのずれ(両テンポの差または比など)は、演奏者の熟練度に応じて変換(修正)され、上記演奏者の評価情報として出力される。
この結果、同じテンポずれであっても、熟練度の高い演奏者における上記テンポずれ情報は、熟練度の低い演奏者におけるテンポずれ情報より、相対的に大きくされる。したがって、同じテンポずれであっても、熟練度が高いほど、より厳しい評価がなされ、より厳しい「テンポ評価情報」が出力される。
このような「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は、上級者、中級者及び初心者とでは、1分間に四分音符120個のテンポで最も小さくなり、理想テンポ情報と手動テンポ情報とのずれ(両テンポの差または比など)は、曲の理想テンポ情報に応じて変換(修正)され、上記演奏者の評価情報として出力される。
この結果、同じテンポのずれであっても、1分間に四分音符120個のテンポにおける上記テンポずれ情報は、これよりより大きくなるテンポまたは小さくなるテンポにおけるテンポずれ情報より、相対的に大きくされる。したがって、同じテンポずれであっても、曲のテンポが速くなるほどまたは遅くなるほど、より甘い評価がなされ、より甘い「テンポ評価情報」が出力される。
以上のように、この同じテンポのずれであっても相対的に大きくされる変換の度合いは、熟練度が上がるほど、また1分間に四分音符120個のテンポに近づくにしたがって、相乗的/相加的に大きくされ、評価が厳しくなる。言い換えると、同じテンポのずれであっても相対的に小さくされる変換の度合いは、熟練度が下がるほど、また1分間に四分音符120個のテンポから離れるにしたがって、相乗的/相加的に小さくされ、評価が甘くなる。
また、上記出力される理想テンポ情報と、上記演奏者の検出された手動テンポ情報とのずれ(両テンポの差または比など)は、上記熟練度情報に応じて変換(修正)されるし、曲の理想テンポ情報に応じても変換(修正)され、これが演奏者の「テンポ評価情報」として出力されるといえる。
さらに、このずれ変換(修正)は、上記理想テンポ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、このずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記理想テンポ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記手動テンポとの対比結果と、この手動テンポと上記理想テンポ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力するともいえる。
なお、熟練度情報(習熟度情報)は、初級者、中級者、上級者の3段階ではなく、2段階、4段階以上であってもよい。この場合、各「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」の2つ以上が一定であっても良いし、全ての「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が理想テンポ情報に応じて変化してもよい。また、全ての「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が理想テンポ情報に応じて一定であってもよいし、1分間に四分音符120個の理想テンポ情報付近で「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が上に膨らんでもよい。
さらに、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が最低となってテンポずれの評価が最も厳しくなる理想テンポは、1分間に四分音符120個のテンポ以外であってもよく、例えば1分間に四分音符80個のテンポ、1分間に四分音符50個のテンポ、1分間に四分音符30個のテンポでもよく、理想テンポが遅いほど評価が徐々に甘くなり、速くなるほど評価が徐々に厳しくなっていくようにしてもよい。また、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が最低となってテンポずれの評価が最も厳しくなる理想テンポは、初級者、中級者、上級者でそれぞれ異なっていてもよい。
なお、図12に示すように、この曲の理想テンポ情報に応じて相対的に大きくされる変換(修正)は、熟練度のかなり低い演奏者(初級者)、中級者または/及び上級者については行われず、上記「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は一定となってもよい。この場合、1分間に四分音符120個のテンポにおける初級者のテンポずれ情報と、1分間に四分音符120個のテンポより大きくなるまたは小さくなるテンポにおけるテンポずれ情報とは、同じとなる。
言い換えると、上記曲の理想テンポ情報に応じて相対的に大きくされる変換(修正)度合いは、熟練度の低い演奏者より、熟練度の高い演奏者の方が、大きくされるまたは小さくされるともいえる。
(4)タッチずれ情報テーブル22(第1実施例)
図4は、上記プログラム/データ記憶部4の中のタッチずれ情報テーブル22を示す。この図4の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」の「±10」「±5」「±3」より、上記理想タッチ情報と上記演奏者の手動タッチ情報とのずれ(両タッチの差または比など)が大きく、手動タッチ情報の方が大きければ、上記タッチ評価表示ランプ35の過強ランプ37が点灯される。
また、このずれが大きく、手動タッチ情報の方が小さければ、上記タッチ評価表示ランプ35の過弱ランプ38が点灯される。さらに、このずれが小さければ、上記タッチ評価表示ランプ35の適正ランプ36が点灯される。以上のようにして演奏者の演奏タッチの評価情報が出力される。
このような「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は、上級者、中級者、初級者の熟練度が高くなる順に大きくなり、理想タッチ情報と手動タッチ情報とのずれ(両タッチの差または比など)は、演奏者の熟練度に応じて変換(修正)され、上記演奏者の評価情報として出力される。
この結果、同じタッチずれであっても、熟練度の高い演奏者における上記タッチずれ情報は、熟練度の低い演奏者におけるタッチずれ情報より、相対的に大きくされる。したがって、同じタッチずれであっても、熟練度が高いほど、より厳しい評価がなされ、より厳しい「タッチ評価情報」が出力される。
このような「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は、理想タッチ情報がフォルテッシモ、フォルテ、メゾフォルテ、メゾピアノ、ピアノ、ピアニッシモ、…などと、変化しても常に一定である。理想タッチ情報のベロシティ値は、フォルテッシモ「104」、フォルテ「96」、メゾフォルテ「88」、メゾピアノ「78」、ピアノ「64」、ピアニッシモ「40」であり、上級者の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は「±10」、中級者の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は「±5」、初級者の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は「±3」である。
したがって、理想タッチ情報に対する割合で考えると、このような「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は、上級者、中級者、初級者いずれも、フォルテッシモで最も小さくなり、理想タッチ情報と手動タッチ情報とのずれ(両タッチの差または比など)は、曲の理想テンポ情報に応じて変換(修正)され、上記演奏者の評価情報として出力されるといえる。
この結果、同じタッチのずれであっても、強いタッチにおける上記タッチずれ情報は、これよりより小さくなるタッチにおけるタッチずれ情報より、相対的に大きくされる。したがって、同じタッチずれであっても、曲の理想タッチが強くなるほど、より厳しい評価がなされ、より厳しい「タッチ評価情報」が出力される。
したがって、上記曲の理想タッチ情報に応じて相対的に大きくされる変換(修正)度合いは、熟練度の低い演奏者より、熟練度の高い演奏者の方が、大きくされるまたは小さくされるともいえる。
以上のように、上記出力される理想タッチ情報と、上記演奏者の検出された手動タッチ情報とのずれ(両タッチの差または比など)は、上記熟練度情報に応じて変換(修正)されるし、曲の理想タッチ情報に応じても変換(修正)され、これが演奏者の「タッチ評価情報」として出力されるといえる。
また、このずれ変換(修正)は、上記理想タッチ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、このずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記理想タッチ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記手動タッチとの対比結果と、この手動タッチと上記理想タッチ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力するものといえる。
なお、この曲の理想タッチ情報に応じて相対的に大きくされる変換(修正)は、熟練度のかなり低い演奏者(初級者)については行われず、上記「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は一定としてもよい。したがって、フォルテッシモからピアニッシモまでにおける初級者のタッチずれ情報は、同じで一定となる。むろん、中級者や上級者と同様に、初級者の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は変化されてもよい。
なお、熟練度情報(習熟度情報)は、初級者、中級者、上級者の3段階ではなく、2段階、4段階以上であってもよい。この場合、各「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」の1つ以上が一定であっても良いし、全ての「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が理想タッチ情報に応じて変化してもよい。
また、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が最低となってテンポずれの評価が最も厳しくなる理想タッチは、フォルテッシモ以外であってもよく、例えばフォルテ、メゾフォルテ、メゾピアノ、ピアノ、ピアニッシモでもよく、ここでタッチずれの評価が最も厳しくなってもよい。さらに、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が最低となってテンポずれの評価が最も厳しくなる理想テンポは、初級者、中級者、上級者でそれぞれ異なっていてもよい。
(5)タッチずれ情報テーブル23(第2実施例)
図5は、上記プログラム/データ記憶部4の中のタッチずれ情報テーブル23の第2実施例を示す。この図5の例の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は、演奏する曲の理想テンポに応じて決定されるものである。上級者と中級者とでは、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は1分間に四分音符120個のテンポで最も小さくなり、理想タッチ情報と手動タッチ情報とのずれ(両タッチの差または比など)は、曲の理想テンポ情報に応じて変換(修正)され、上記演奏者の評価情報として出力される。
この結果、同じタッチのずれであっても、1分間に四分音符120個のテンポにおける上記タッチずれ情報は、これよりより大きくなるテンポまたは小さくなるテンポにおけるタッチずれ情報より、相対的に大きくされる。したがって、同じタッチずれであっても、曲のテンポが速くなるほどまたは遅くなるほど、より甘い評価がなされ、より甘い「タッチ評価情報」が出力される。
以上のように、この同じタッチのずれであっても相対的に大きくされる変換の度合いは、熟練度が上がるほど、また1分間に四分音符120個のテンポに近づくにしたがって、相乗的/相加的に大きくされ、評価が厳しくなる。言い換えると、同じタッチのずれであっても相対的に小さくされる変換の度合いは、熟練度が下がるほど、また1分間に四分音符120個のテンポから離れるにしたがって、相乗的/相加的に小さくされ、評価が甘くなる。
また、上記出力される理想タッチ情報と、上記演奏者の検出された手動タッチ情報とのずれ(両タッチの差または比など)は、上記熟練度情報に応じて変換(修正)されるし、曲の理想テンポ情報に応じても変換(修正)され、これが演奏者の「タッチ評価情報」として出力されるといえる。
さらに、このずれの変換(修正)は、理想テンポ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、このずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記理想テンポ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記手動タッチとの対比結果と、手動タッチと理想タッチ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力するといえる。
なお、熟練度情報(習熟度情報)は、初級者、中級者、上級者の3段階ではなく、2段階、4段階以上であってもよい。この場合、各「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」の2つ以上が一定であっても良いし、全ての「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が理想テンポ情報に応じて変化してもよい。また、全ての「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が理想テンポ情報に応じて一定であってもよいし、1分間に四分音符120個の理想テンポ情報付近で「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が上に膨らんでもよい。
さらに、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が最低となってテンポずれの評価が最も厳しくなる理想テンポは、1分間に四分音符120個のテンポ以外であってもよく、例えば1分間に四分音符80個のテンポ、1分間に四分音符50個のテンポ、1分間に四分音符30個のテンポでもよく、理想テンポが遅いほど評価が徐々に甘くなり、速くなるほど評価が徐々に厳しくなっていくようにしてもよい。また、「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」が最低となってテンポずれの評価が最も厳しくなる理想テンポは、初級者、中級者、上級者でそれぞれ異なっていてもよい。
さらに、上記図5のタッチずれ情報テーブル23において、上記横軸は理想テンポではなく手動テンポに置き換えたものでもよい。また、上記図4及び図5で横軸を理想タッチではなく手動タッチに置き換えたものとしてもよい。これにより理想テンポ/手動テンポ/手動タッチに応じても「タッチずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」を変化させることができる。
なお、図13に示すように、この曲の理想テンポ情報に応じて相対的に大きくされる変換(修正)は、熟練度のかなり低い演奏者(初級者)については行われず、上記「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は一定となる。したがって、1分間に四分音符120個のテンポにおける初級者のタッチずれ情報と、1分間に四分音符120個のテンポより大きくなるまたは小さくなるテンポにおけるタッチずれ情報とは、同じとなる。むろん、中級者や上級者と同様に、初級者の「ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」は変化されてもよい。
言い換えると、上記曲の理想テンポ情報に応じて相対的に大きくされる変換(修正)度合いは、熟練度の低い演奏者より、熟練度の高い演奏者の方が、大きくされるまたは小さくされるともいえる。
(6)演奏情報MP
図6は上記プログラム/データ記憶部4または情報記憶部7に記憶されている演奏情報MP(上記自動演奏情報と同じ)の内容を示す。上記音楽的ファクタ情報のうち、音高(音域)情報(音高決定因子)(キーナンバデータKN)、発音時間情報(音長)(デルタタイムデータDT)、タッチ情報(タッチデータTC)などによって、楽音発生情報が構成される。この楽音発生情報は、楽音そのものを発生させるのに必要な情報である。
また、音色情報(トーンナンバデータTN)、演奏分野情報(パートナンバデータPN)、エフェクト情報(エフェクトデータEF)、リズム情報、音像(ステレオ)情報(音像定位情報)、クオンタイズ情報、変調情報、テンポデータTP(テンポ情報であってビートデータBEも含む)、ラウドネス(音量)情報、エンベロープ情報などによって、楽音制御情報が構成される。この楽音制御情報は、上記楽音発生情報によって発生された楽音の内容を制御するのに必要な情報である。
上記楽音発生情報に応じた音高及び音長で楽音が発音/消音され、上記楽音制御情報に応じて楽音の内容が制御される。この演奏情報MPは、読み出されて表示装置に表示情報として送られ楽譜として表示され、または楽音信号発生部5へ送られて再生されて発音される。この図6の演奏情報MPはメロディパートであるが、この他に伴奏パート、コードパート、ベースパート、バッキングパート、アルペジオパート、リズムパート等の他のパートのデータも同様の形式で記憶されている。
この演奏情報MPは、ディレクトリデータDRおよび再生条件データRCを含み、このデータDR、RCの後には複数曲の演奏情報MPが記憶されている。ディレクトリデータDRには、各曲の先頭アドレス及び末尾アドレス等からなっている。
メロディパートの演奏情報MPは、音符データ群と、この音符データ群の間に挿入されるバーマークデータBM、リターンマークデータRT等からなっている。このバーマークデータBM、リターンマークデータRTはなくてもよい。音符データは、2種類あり、キーオン音符データとキーオフ音符データとからなっている。
キーオン音符データは、キーオンを示すフラグ、キーナンバデータKN、タッチデータTC、デルタタイムデータDT等よりなっている。キーオフ音符データも、キーオフを示すフラグ、キーナンバデータKN、タッチデータTC、デルタタイムデータDT等からなっている。
キーナンバデータKNは、上述したように当該楽音(当該音符)の音高、つまり楽音情報を表し、上記キーボード11の各キーのナンバに対応している。デルタタイムデータDTは、直前のイベントから当該楽音の発音開始、消音開始またはコマンド実行までの時間を示す。この直前のイベントは楽音のキーオンまたはキーオフいずれでも可能である。
したがって、このデルタタイムデータDTは、発音タイミングまたは消音タイミングつまり楽音の発生タイミングまたは終了タイミングを示す。このデルタタイムデータDTは、曲の先頭若しくは小節の先頭すなわちバーマークデータBMから当該楽音(当該音符)の発音開始またはコマンド実行までの時間を示してもよいし、消音タイミングを除く直前の楽音の発音タイミングから当該楽音(当該音符)の発音開始またはコマンド実行までの時間を示してもよい。
和音では複数の音符が同時に発音開始され、この複数の音符のデルタタイムデータDTは同じ値である。したがって、和音では、各構成音の音符に分けて、音符データが演奏情報MPの中に記憶される。
タッチデータTCは、キーオン/オフ(発音操作)の速さまたは強さ、つまり楽音の強さを示す。このタッチデータTCに応じて、楽音の音量または/及び周波数成分等の音色の制御が行われる。上記バーマークデータBMは、各小節の区切りを示し、次述するビートデータBEをしばしば含む。上記リターンマークデータRTは、曲の先頭へ戻ることを示す。
また、演奏情報MPの先頭には、演奏条件データPCが記憶されている。この演奏条件データPCは、ソングネームデータSN、テンポデータTP、ビートデータBE、トーンナンバデータTN等からなっている。ソングネームデータSNは演奏情報MPの曲名等の識別名を示す。
テンポデータTP、ビートデータBEはこの演奏情報MPによる自動演奏のテンポ、拍子(何分の何拍子)を示す。テンポデータTPは、1拍当たりのクロック信号φのカウント数を示す。拍子(ビート)は、演奏データMPの1小節当たりの拍数(ビート数)を示す。通常の演奏では1分間に4分音符60乃至180ぐらいのテンポデータTP及びビートデータBEが設定される。
上記トーンナンバデータTNは、演奏情報MPによる自動演奏の音色を示す。このトーンナンバデータTNは、1つの曲の演奏情報MPの先頭、途中または末尾に記憶され、この場合には曲の先頭、途中または末尾で音色が設定されたり変化されたりする。また、1つの曲の演奏情報MPは、複数トラックに分けて記憶され、かつ各トラック毎の演奏情報MPの先頭・途中・末尾にトーンナンバデータTNが記憶されていても良く、この場合には、各トラック毎に音色が異なる。
上記エフェクトデータEFは、音楽的効果の情報を示し、ビブラート、グライド、グリッサンド、グロウル、ポルタメント、トレモロ、トリル、レガート、スラー、コーラス、リバーブ、エコーなどの楽音周波数(音高)に関する音楽的効果と、残響に関する音楽的効果などがある。
なお、ベースパートの演奏情報MPの場合には、図6中のメロディ音のキーナンバデータKNは、ベース音の音高に応じたキーナンバデータKNとなる。また、和音の音符データについては、図6のキーナンバデータKNの代わりに、コードタイプデータCT、コードルートデータCR及びコードデータCPが記憶されてもよい。
(7)レジスタ群
図7は上記プログラム/データ記憶部4内のレジスタ群40を示す。このレジスタ群40は、フラグレジスタ41、理想テンポレジスタ42、理想タッチレジスタ43、読み出しアドレスレジスタ44、熟練度情報レジスタ45などからなっている。
フラグレジスタ41には、和音フラグ、計算フラグなどのフラグが記憶される。和音フラグは、読み出された演奏情報MPが和音かどうかを判別するのに使用される。計算フラグは、テンポずれ計算並びにタッチずれ計算及びずれテンポ変換(修正)並びにずれタッチ変換(修正)の処理を和音について行っているかどうかヲ判別するのに使用される。
理想テンポレジスタ42には、演奏情報MPから順次読み出されるテンポデータTPまたはパネルスイッチ群13から入力された若しくはミディ回路15から取り込まれたテンポデータTP、つまり理想テンポデータTPがストアされる。ミディ回路15からの理想テンポデータTPは、演奏情報MPとともにまたは当該演奏情報MPとは別に送られてくる。
理想タッチレジスタ43には、演奏情報MPから順次読み出される各音符データの中のタッチデータTCまたはパネルスイッチ群13から入力された若しくはミディ回路15から取り込まれたタッチデータTC、つまり理想タッチデータTCがストアされる。読み出しアドレスレジスタ44には、演奏情報MPの読み出しアドレスデータがストアされる。ミディ回路15からの理想タッチデータTCは、演奏情報MPとともにまたは当該演奏情報MPとは別に送られてくる。
熟練度情報レジスタ45には、上級者、中級者、初級者の熟練度情報がストアされる。この熟練度情報は上記パネルスイッチ群13から入力される。
(8)処理全体
図8はコントローラ(CPU)2によって実行される処理全体のフローチャートを示す。この処理全体は本楽音生成装置の電源オンによって開始され、電源オフまで繰り返し実行される。まず、プログラム/データ記憶部4の初期化など種々のイニシャライズ処理が行われ(ステップ01)、テンポ・タッチずれ評価処理(ステップ02)が実行される。
このテンポ・タッチずれ処理では、上述したように、上記理想テンポ情報と上記演奏者の検出される手動テンポとのずれ(両テンポの差または比など)が、熟練度情報に応じて変換(修正)され、曲の理想テンポ情報に応じても変換(修正)されて、演奏者のテンポ評価情報として出力される。
また、このテンポ・タッチずれ処理では、上述したように、上記理想タッチ情報と上記演奏者の検出される手動タッチとのずれ(両タッチの差または比など)が、熟練度情報に応じて変換(修正)され、場合によって曲の理想タッチ情報に応じても変換(修正)され、曲の理想テンポ情報に応じても変換(修正)されて、演奏者のタッチ評価情報として出力される。
次いで、上記キーボード11での手動演奏のキーオン操作に基づき、発音処理が行われる(ステップ04)。このステップ04の発音処理は、上記演奏情報MPの読み出し再生において、プログラム/データ記憶部4からの自動演奏のキーオン情報が読み出されるときにも実行される。また、このステップ04の発音処理は、演奏情報MPの書き込み記録において、プログラム/データ記憶部4に自動演奏のキーオン情報が書き込まれるときにも実行される。
この発音処理では、空きチャンネルがサーチされ、サーチされた空きチャンネルにオンイベントに係る楽音が割り当てられる。この楽音の内容は、上記キーボード11及びパネルスイッチ群13からの演奏情報MP(楽音発生情報)、楽音発生情報の音楽的ファクタに基づく。
この場合、サーチされた空きチャンネルのアサインメントメモリのエリアに「1」のオン/オフデータ、キーナンバデータ(周波数ナンバデータ)KN、エンベロープデータ、トーンナンバデータTN、タッチデータTCも書き込まれる。このアサインメントメモリに書き込まれたデータは、楽音信号発生部5へ送られ、対応する楽音波形データが読み出されるとともに、対応するエンベロープ波形データが発生され、サウンドシステム6で発音出力される。
次いで、上記キーボード11/パネルスイッチ群13での手動演奏のキーオフ操作に基づき、消音(減衰)処理が行われる(ステップ05)。この消音(減衰)処理では、オフイベント(キーオフイベント、消音イベント)に係る楽音が割り当てられているチャンネルがサーチされ、アサインメントメモリ(図示せず)内のオン/オフデータが「0」にされ、当該楽音が減衰され消音される。この場合、アサインメントメモリ内の「0」のオン/オフデータが楽音信号発生部5へ送られ、キーオフイベントに係る楽音のエンベロープフェーズがリリースとなり、エンベロープレベルが次第に「0」になる。
このステップ05の消音処理は、演奏情報MPの読み出し再生において、プログラム/データ記憶部4からの自動演奏のキーオフ情報が読み出されるときにも実行される。また、このステップ05の消音処理は、演奏情報MPの書き込み記録において、プログラム/データ記憶部4に自動演奏のキーオフ情報が書き込まれるときにも実行される。
なお、これらの発音処理(ステップ04)及び消音処理(ステップ05)は、実際にはモード判別に基づいて手動演奏モードのときのみ実行される。また、この発音処理(ステップ04)及び消音処理(ステップ05)は、省略されてもよいし、次述するその他の処理の中で実行されてもよい。
さらに、上記パネルスイッチ群13の各種スイッチの操作があれば、このスイッチに対応する音楽的ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部4に記憶され、音楽的ファクタ情報が変更される(ステップ06)。この後、その他の処理が実行され(ステップ07)、上記ステップ02からこのステップ07までの処理が繰り返される。
(9)テンポ・タッチずれ評価処理(ステップ02)
図9及び図10は、上記テンポ・タッチずれ評価処理(ステップ02)を示す。まず、上記キーボード11のキーオンまたはキーオフのイベントがあれば(ステップ11)、イニシャライズ処理が実行される(ステップ12)。このイニシャライズ処理では、和音フラグがクリアされ、理想テンポレジスタ及び理想タッチレジスタがクリアされて、計算フラグがクリアされ、演奏情報MPの読み出しアドレスが選択された曲の先頭アドレスとされる。
次いで、読み出しアドレスに応じた演奏情報MPが読み出され(ステップ13)、この読み出された演奏情報MPがキーオン音符データであり(ステップ14)、和音フラグが「0」であれば(ステップ15)、和音フラグを「1」とし(ステップ16)、上記ステップ13で読み出された演奏情報MPのデルタタイムDTを理想テンポレジスタに書き込み(ステップ17)、同じくタッチデータTCを理想タッチレジスタに書き込み(ステップ18)、発音処理を行う(ステップ19)。この発音処理は上記ステップ04と同様であり、上記ステップ11で検出されたオンキーに応じた楽音が発音される。
そして、計算フラグが「0」であれば(ステップ20)、テンポずれ計算(ステップ21)並びにテンポずれ変換(修正)(ステップ22)及びタッチずれ計算(ステップ23)並びにタッチずれ変換(修正)(ステップ24)を行う。
このテンポずれ計算(ステップ21)では、上記理想テンポレジスタにストアされているデルタタイム(理想テンポ)にテンポデータTPが乗算されてキーオンタイマ16のキーオンタイム(手動テンポ)が除算される。
ここで、デルタタイムは演奏情報MPの各楽音データの前回のキーオンから今回のキーオンまでの音楽的時間であって、上記理想テンポを示す。キーオンタイムは演奏者の実際の演奏の前回のキーオンから今回のキーオンまでの音楽的時間であって、上記手動演奏テンポを示す。テンポデータTPは上記演奏情報MPの自動演奏のテンポ、またはパネルスイッチ群13から演奏者によって入力された自動演奏のテンポを示し、演奏者はこの設定テンポに応じて演奏を行うよう努力する。
これにより、上記ステップ21のテンポずれ計算では、設定されたテンポ理想テンポと手動テンポとのずれ(比)が求められる。しかも、このずれ(比)は、設定テンポに応じたものとなる。
上記ステップ22のテンポずれ変換(修正)では、この求められたテンポずれ情報と、熟練度情報と、テンポデータTP(理想テンポ)に基づき、図3のテンポずれ情報テーブル21でテンポずれ情報が変換(修正)される。すなわち、図3のテンポデータTPに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ許容値/ずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、求められたテンポずれ情報が減算される。
この減算データがプラスで、テンポずれが小さければ、テンポ評価表示パネル30の中央の適正ランプ31が点灯され、テンポ適正の表示が行われる。また、減算データがマイナスで、テンポずれが大きく、上記テンポずれ情報が設定テンポデータTPより大きく、手動テンポが速すぎれば、テンポ評価表示パネル30の過速ランプ32が点灯され、「テンポ速い」の表示が行われる。
さらに、減算データがマイナスで、テンポずれが大きく、上記テンポずれ情報が設定テンポデータTPより小さく、手動テンポが遅すぎれば、テンポ評価表示パネル30の遅速ランプ33が点灯され、「テンポ遅い」の表示が行われる。この表示処理は、実際には後述するステップ33で行われる。
以上のように、理想テンポと熟練度とからずれ許容値が決定され、このずれ許容値は熟練度及び理想テンポに応じて変化し、このずれ許容値と手動テンポとの対比結果と、この手動テンポと理想テンポとの対比結果とから、演奏者のテンポ評価がなされる。また、理想テンポと手動テンポとのずれ(両テンポの差または比など)は、熟練度及び理想テンポに応じて変換(修正)される。
上記タッチずれ計算(ステップ23)では、上記理想タッチレジスタにストアされている理想タッチデータから、ステップ11で検出されたオンキーの手動タッチデータが減算される。これにより、このステップ23のタッチずれ計算では、演奏情報MP内の理想タッチと手動タッチとのずれ(差)が求められる。
上記ステップ24のタッチずれ変換(修正)では、この求められたタッチずれ情報と、熟練度情報とに基づき、図4のタッチずれ情報テーブル22でタッチずれ情報が変換(修正)される。すなわち、図4の理想タッチデータTPに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ許容値/ずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、求められたタッチずれ情報が減算される。
この減算データがプラスで、タッチずれが小さければ、タッチ評価表示パネル35の中央の適正ランプ36が点灯され、タッチ適正の表示が行われる。また、減算データがマイナスで、タッチずれが大きく、上記タッチずれ情報がマイナスで、手動タッチが強すぎれば、タッチ評価表示パネル35の右の過強ランプ37が点灯され、「タッチ強い」の表示が行われる。
さらに、減算データがマイナスで、テンポずれが大きく、上記テンポずれ情報がプラスで、手動タッチが弱すぎれば、タッチ評価表示パネル35の左の過弱ランプ38が点灯され、「タッチ弱い」の表示が行われる。この表示処理は、実際には後述するステップ34で行われる。
以上のように、理想タッチと熟練度とからずれ許容値が決定され、このずれ許容値は熟練度及び理タッチに応じて変化し、このずれ許容値と手動タッチとの対比結果と、この手動タッチと理想タッチとの対比結果とから、演奏者のタッチ評価がなされる。また、理想タッチと手動タッチとのずれ(両テンポの差または比など)は、熟練度及び理想タッチに応じて変換(修正)される。
このように、演奏者のずれ評価における、理想テンポ/理想タッチと手動テンポ/理想タッチとのずれから評価情報への「変換」は、熟練度情報及び/または理想テンポ/理想タッチに応じて変換される。
次いで、計算フラグが「1」とされ(ステップ25)、演奏情報MPの読み出しアドレスが進められ(ステップ26)、上記ステップ13へ戻って、次の演奏情報MPが読み出される。
ここで、ステップ13に戻って、次の演奏情報MPが読み出されると、上記ステップ15で和音フラグが「1」となり、この読み出された演奏情報MPのデルタタイムDTが、前回のデルタタイムDTと異なっていれば(ステップ15、31)、上述したテンポ評価情報の表示処理(ステップ33)と、タッチ評価情報の表示処理(ステップ34)が実行される。なお、今回の楽音と前回の楽音とが同時に発音開始する場合には、このステップ31で今回のデルタタイムDTと前回のデルタタイムDTとが一致する。
すなわち、ステップ33では、テンポずれが小さければ、テンポ評価表示パネル30の中央の適正ランプ31が点灯され、テンポ適正の表示が行われる。また、テンポずれが大きく、手動テンポが速すぎれば、テンポ評価表示パネル30の右ランプ32が点灯され、「テンポ速い」の表示が行われる。さらに、テンポずれが大きく、手動テンポが遅すぎれば、テンポ評価表示パネル30の左ランプ33が点灯され、「テンポ遅い」の表示が行われる。
また、ステップ34では、タッチずれが小さければ、タッチ評価表示パネル35の中央の適正ランプ36が点灯され、タッチ適正の表示が行われる。また、タッチずれが大きく、手動タッチが速すぎれば、タッチ評価表示パネル35の右の過強ランプ37が点灯され、「タッチ強い」の表示が行われる。さらに、タッチずれが大きく、手動タッチが遅すぎれば、タッチ評価表示パネル35の左の過弱ランプ38が点灯され、「テンポ遅い」の表示が行われる。
次いで、キーオンタイマ16がクリアされる(ステップ35)。これにより、次のキーオンのタイミングまでのキーオンタイム(手動テンポ)の計測がスタートされる。そして、計算フラグ及び和音フラグがクリアされる(ステップ36、37)。こうして次のキーオンまでの手動テンポの計測の事前準備が完了する。
上記ステップ13で読み出された演奏情報MPが、和音の第2音、第3音のように、和音の第1音と同時に発音するような場合には、上記ステップ15で和音フラグが「1」となり、上記ステップ20で計算フラグが「1」となり、理想テンポレジスタ内の前回の第1音のデルタタイムが今回の第2音のデルタタイムに一致するため(ステップ31)、この第2音の発音処理のみが行われ(ステップ19)、ステップ16〜18及び21〜25のテンポずれ計算、ずれテンポ変換(修正)、タッチずれ計算及びずれタッチ変換(修正)などの処理は行われない。これは同時発音する第3音、第4音、…でも同様である。
したがって、和音のように、同時発音する複数の楽音については、演奏情報MPの中でこれらの先頭の第1音についてのみ、テンポずれ計算、ずれテンポ変換(修正)、タッチずれ計算及びずれタッチ変換(修正)が行われ、第2音以降については行われない。よって、同時発音する楽音については、テンポずれ表示及びタッチずれ表示は重複して行われず、計算及び表示が混乱してしまうことがない。
また、上記ステップ13で読み出された演奏情報MPがキーオフデータであれば(ステップ41)、消音処理が行われ(ステップ42)、演奏情報MPの読み出しアドレスが進められ(ステップ43)、上記ステップ13へ戻る。このステップ42の消音処理では、アサインメントメモリ(図示せず)内のこのキーオフに係るキーナンバデータKNの楽音データがキーオンからキーオフに切り換えられる。
さらに、上記ステップ13で読み出された演奏情報MPがエンドマークデータENであれば(ステップ44)、演奏情報MPの読み出し処理が終了される(ステップ45)。また、上記ステップ13で読み出された演奏情報MPがキーオン、キーオフ、エンドマークデータENのいずれでもなければ、演奏情報MPの読み出しアドレスが進められ(ステップ46)、上記ステップ13へ戻る。
(10)タッチずれ計算及びずれタッチ変換(修正)の処理(第2実施例)
上記図5のタッチずれ情報テーブル23を使った場合、上記ステップ23及び24のタッチずれ計算及びずれタッチ変換(修正)の処理は以下の通りとなる。
上記タッチずれ計算(ステップ23)では、上記理想タッチレジスタにストアされている理想タッチデータから、ステップ11で検出されたオンキーの手動タッチデータが減算される。これにより、このステップ23のタッチずれ計算では、演奏情報MP内の理想タッチと手動タッチとのずれ(差)が求められる。
上記ステップ24のタッチずれ変換(修正)では、この求められたタッチずれ情報と、上記理想テンポデータ(テンポデータTP)と、熟練度情報とに基づき、図5のタッチずれ情報テーブル23でタッチずれ情報が変換(修正)される。すなわち、図5の理想テンポデータTPに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ許容値/ずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、求められたタッチずれ情報が減算される。
この減算データがプラスで、タッチずれが小さければ、タッチ評価表示パネル35の中央の適正ランプ36が点灯され、タッチ適正の表示が行われる。また、減算データがマイナスで、タッチずれが大きく、上記タッチずれ情報が理想タッチデータTCより大きく、手動タッチが強すぎれば、タッチ評価表示パネル35の過強ランプ37が点灯され、「タッチ強い」の表示が行われる。
さらに、減算データがマイナスで、タッチずれが大きく、上記タッチずれ情報が理想タッチデータTCより小さく、手動タッチが弱すぎれば、タッチ評価表示パネル35の過弱ランプ38が点灯され、「タッチ弱い」の表示が行われる。
このように図5の本実施例では、理想テンポに応じて、許容されるタッチのずれが変化するので、理想テンポの変化に応じて手動タッチのずれの評価を変化させることができる。また、上級者などの熟練度の変化に応じても手動タッチのずれの評価を変化させることができる。
また、上記図4の実施例では、理想タッチに応じて、許容されるタッチのずれが変化するので、理想タッチの変化に応じて手動タッチのずれの評価を変化させることができる。さらに、上級者などの熟練度の変化に応じても手動タッチのずれの評価を変化させることができる。なお、図4では許容されるタッチのずれは熟練度ごとに一定であるが、理想タッチデータTCの値に対する許容されるタッチのずれの値の「割合」は変化しているので、理想タッチに応じて、許容されるタッチのずれが変化しているといえる。
また、上記図3の実施例では、理想テンポに応じて、許容されるテンポのずれが変化するので、理想テンポの変化に応じて手動テンポのずれの評価を変化させることができる。さらに、上級者などの熟練度の変化に応じても手動テンポのずれの評価を変化させることができる。
なお、上記ステップ24では、図4の理想テンポデータTPに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ許容値/ずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、求められたタッチずれ情報が減算され、さらに図5の理想テンポデータTPに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、この減算値がさらに減算されてもよい。
これにより、理想テンポ、理想タッチ及び熟練度情報の3要素の変化に応じて手動タッチのずれの評価を変化させることができる。
また、図3のテンポずれ情報テーブル21の横軸を理想テンポに応じたものではなく、理想タッチに応じたものとしてもよい。そうすると、理想タッチ及び熟練度情報の変化に応じて手動テンポのずれの評価を変化させることができる。
この場合、上記出力される理想テンポ情報と、上記演奏者の検出された手動テンポ情報とのずれ(両テンポの差または比など)は、上記熟練度情報に応じて変換(修正)されるし、曲の理想タッチ情報に応じても変換(修正)され、これが演奏者の「テンポ評価情報」として出力されるといえる。
また、このずれの変換(修正)は、理想タッチ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、このずれ許容値は、上記熟練度情報及び理想タッチ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記手動テンポとの対比結果と、手動テンポと理想テンポ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力するといえる。
さらに、図3のテンポずれ情報テーブル21と、このテンポずれ情報テーブル21の横軸を理想タッチに応じたものとを使って、図3の理想テンポデータTPに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、求められたテンポずれ情報が減算され、さらに横軸を理想タッチに応じたものを使って、理想タッチデータTCに応じた地点における上級者などの熟練度情報に応じたずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から、この減算値がさらに減算されてもよい。
これにより、理想テンポ、理想タッチ及び熟練度情報の3要素の変化に応じて手動テンポのずれの評価を変化させることができる。この場合、上記横軸は理想タッチではなく手動タッチに置き換えたものでもよい。また、上記図3で横軸を理想テンポではなく手動テンポに置き換えたものであってもよい。これにより理想タッチ/手動テンポ/手動タッチに応じても「テンポずれ許容値/ずれ変換(修正)特性」を変化させることができる。
(11)他の実施の形態
本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更可能である。例えば、上述のステップ02のテンポ・タッチずれ評価処理で読み出される演奏情報MPは、デルタタイムデータDTが直前の音符データのキーオンから当該音符データのキーオンまでの時間を示していたが、曲の先頭または小節の先頭から各音符データのキーオンまでの時間を示していてもよい。
この場合、上記ステップ35のキーオンタイマ16のクリア処理は、ステップ31の和音の検出の後に行われるのではなく、上記ステップ13の演奏情報MPの読み出しでバーマークデータBMが読み出されたときに実行されてリターンされるか、または上記ステップ13へ戻る。
また、テンポずれ計算及びずれテンポ変換(修正)と、タッチずれ計算及びずれタッチ変換(修正)と別の独立した処理・プログラムで別々に実行されてもよい。上記ステップ21のテンポのずれの計算では、理想テンポと手動テンポとの比ではなく、両テンポの差が求められてもよい。この場合両テンポの差が、図3の理想テンポデータTPに応じた地点における、熟練度情報に応じたずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から減算され、テンポ評価表示パネル30にこれに応じた表示が行われる。
上記ステップ23のタッチのずれの計算では、理想タッチと手動タッチとの差ではなく、両タッチの比が求められてもよい。この場合両タッチの比が、図4の理想タッチデータTPに応じた地点または図5理想テンポデータTPに応じた地点における、熟練度情報に応じたずれ変換(修正)特性のずれ変換(修正)値から減算され、タッチ評価表示パネル35にこれに応じた表示が行われる。
さらに、手動テンポは、上記ステップ35、21のように、演奏者が演奏する各楽音の各タイミングの間隔から検出されるほか、演奏者が演奏する各楽音の各タイミングと、上記曲の自動演奏情報の各楽音の各タイミングとのずれから検出されてもよい。この場合、演奏情報MPを読み出してミュート状態で自動演奏を行い、音符データのキーオンタイミングでキーオンタイマ16がクリアされてカウント開始され、同じ音高のキーがオンされたとき、このカウント値が取り込まれる。このカウント値自体で、理想テンポと手動テンポとの差が示される。
また、手動テンポの検出、手動タッチの検出、テンポの評価、タッチの評価は、1音1音ごとではなく、同時発音(和音)の複数音ずつ、同時発音しない複数音ずつ、1小節ずつ、数小節ずつ実行されてもよい。この場合、上記ステップ11でキーオンイベントをカウントし、所定数または1小節分若しくは数小節分のカウント値に達したらステップ12以降の処理にはいる。またはステップ13でバーマークデータBMが読み出されるとステップ44以降の処理にはいる。
さらに、ステップ13でバーマークデータBMが所定数読み出されるとステップ44以降の処理にはいる。この場合、読み出される演奏情報MPの各音符データの各デルタタイムデータDTが累積され、この両累算値がステップ21、22で対比・演算される。
そして、上記ステップ11でキーオンイベントごとに手動タッチデータTCが累算されていき、演奏情報MPの中の各音符データの理想タッチデータTCも累算され、この両累算値がステップ23、24で対比・演算される。
この場合、上記同時発音(和音)または同時発音しない複数音の累算された手動タッチデータTCが当該複数音の音数で除算され、演奏情報MPの中の複数音の音符データの1つの理想タッチデータTCと、ステップ23、24で対比・演算されてもよい。これにより、同時発音(和音)または同時発音しない複数音の平均タッチと理想タッチとのずれ評価がなされる。
またこの場合、上記同時発音(和音)または同時発音しない複数音の累算されたキーオンタイマ16の値が当該複数音の音数で除算され、演奏情報MPの中の複数音の音符データの1つのデルタタイムデータDTと、ステップ21、22で対比・演算されてもよい。これにより、同時発音(和音)または同時発音しない複数音の平均テンポと理想テンポとのずれ評価がなされる。
また、上記熟練度情報は、演奏者の過去の演奏の複数または1つの上記テンポ評価情報及び/またはタッチ評価情報から決定されてもよい。この場合、上記ステップ23、25の減算データ、テンポずれ情報及びタッチずれ情報の平均値が順次取られていき、この平均値の大きさによって、上級者、中級者、初級者の熟練度情報が決定される。
さらに、出力される演奏者の評価情報は、表示データだけでなく、プリントデータとして出力されてもよいし、ミディ回路15を介して他の接続機器に転送/送信されてもよいし、記憶手段に書き込まれてもよい。
また、図3乃至図5のテンポずれ情報テーブル21、タッチずれ情報テーブル22および23は、下記変換式/計算式で代用可能である。この場合、理想テンポデータ/理想タッチデータRと熟練度情報Pと手動テンポデータ/手動タッチデータSから以下の変換式/計算式でテンポずれ許容値/タッチずれ許容値/ずれ変換(修正)特性値Mを導き出して、テンポずれ評価情報/タッチずれ評価情報を出力することができる。
M=a×P×Rn+b(a、bは定数、指数n=2、4、6、…(偶数)のいずれかの数)
M>|S−R|なら「テンポ/タッチ適正」となる。
M<|S−R|かつS>Rなら、「テンポ過速/タッチ過強」となる。
M<|S−R|かつS<Rなら、「テンポ遅速/タッチ過弱」となる。
「| |」は絶対値を示す記号である。
さらに、テンポずれ評価情報/タッチずれ評価情報は、3段階だけでなく、4段階以上としてもよい。この場合、上記M>|S−R|かつS>Rなら、「テンポ/タッチ適正だがテンポやや速い/タッチやや強い」とし、M>|S−R|かつS<Rなら、「テンポ/タッチ適正だがテンポやや遅い/タッチやや弱い」となる。または、上記ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性は2つ以上となる。これに応じて、テンポ評価表示パネル30及びタッチ評価表示パネル35のランプ数も4つ以上となる。
また、上記変換/演算では、テンポずれ/タッチずれが「差」ではなく「比」であってもよい。この場合、上記テンポずれ許容値/タッチずれ許容値/ずれ変換(修正)特性値Mは、理想テンポずれ/理想タッチに対する許容量の比率/割合を示すことになり、上記変換式/演算式は以下のようになる。
M=a×P×Rn+b(a、bは定数、指数n=2、4、6、…(偶数)のいずれかの数)
M>|1−(S/R)|なら「テンポ/タッチ適正」となる。
M<|1−(S/R)|かつS>Rまたは1<(S/R)なら、「テンポ過速/タッチ過強」となる。
M<|1−(S/R)|かつS<Rまたは1>(S/R)なら、「テンポ遅速/タッチ過弱」となる。
この場合、上記図3乃至図5のテンポずれ情報テーブル21、タッチずれ情報テーブル22及びタッチずれ情報テーブル23には、「差」の許容値ではなく、「比」の許容値が記憶される。このように、演奏者のずれ評価における、理想テンポ/理想タッチと手動テンポ/理想タッチとのずれから評価情報への「変換」は、熟練度情報及び/または理想テンポ/理想タッチに応じて変換され、上述のように種々のものが考えられる。
さらに、上記図3乃至図5のテンポずれ情報テーブル21、タッチずれ情報テーブル22および23は、理想テンポデータTPまたは理想タッチデータTCが変化しても、ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性は変化せず一定であってもよい。これにより、熟練度情報だけでずれ許容値/ずれ変換(修正)特性が変化される。
また、上記図3乃至図5のテンポずれ情報テーブル21、タッチずれ情報テーブル22および23は、熟練度情報が変化しても、ずれ許容値/ずれ変換(修正)特性は変化せず一定であってもよい。これにより、理想テンポデータTPまたは理想タッチデータTCだけでずれ許容値/ずれ変換(修正)特性が変化される。
さらに、このずれの変換(修正)は、理想タッチ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、このずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記理想タッチ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記手動テンポとの対比結果と、手動テンポと理想テンポ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力するものといえる。
(12)他の発明の効果
[1]曲の演奏のテンポ情報であって、記憶されたテンポ情報を出力する手段と、 当該曲につき演奏者が演奏する各楽音の各タイミングを検出して当該演奏のテンポを検出する手段と、 予め記憶された、この演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報を出力する手段と、 上記出力されるテンポ情報と上記演奏者の検出テンポとのずれを、上記熟練度情報に応じて変換するとともに、上記曲のテンポ情報に応じても変換して、上記演奏者の評価情報にとして変換出力する手段とを備えたことを特徴とするテンポ情報出力装置。これにより、演奏者の熟練度及び理想テンポに応じてテンポ評価が変化される。
[2]上記ずれの変換は、上記曲の演奏のテンポ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、しかもこのずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記曲のテンポ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記演奏者の検出テンポとの対比結果と、この演奏者の検出テンポと上記曲の演奏のテンポ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力することを特徴とする請求項1記載のテンポ情報出力装置。これにより、許容範囲かどうかという形で演奏テンポが評価されることができ、熟練度及び理想テンポに応じてテンポ評価が変化される。
[3]上記ずれの変換は、曲の演奏のタッチ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、しかもこのずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記曲のタッチ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記演奏者の検出テンポとの対比結果と、演奏者の検出テンポと曲の演奏のテンポ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力することを特徴とする請求項1または2記載のテンポ情報出力装置。これにより、許容範囲が理想タッチに応じて変化するので、熟練度及び理想テンポだけでなく、理想タッチにも応じてテンポ評価が変化される。これは図3で横軸を理想タッチに置き換えた場合の実施例に対応している。
[4]上記曲の演奏のテンポ情報は、当該曲の自動演奏情報とともに予め記憶されている、または外部接続機器から当該曲の自動演奏情報とともにまたは当該曲の自動演奏情報とは別に送られてくることを特徴とする請求項1、2または3記載のテンポ情報出力装置。これにより、自動演奏情報に対してテンポ練習及びテンポ評価を得ることができる。また、自動演奏情報固有のテンポに対してテンポ練習及びテンポ評価を得ることができる。さらに、自動演奏情報固有のテンポを変更してテンポ練習及びテンポ評価を得ることができる。
[5]上記検出される演奏者の演奏のテンポは、演奏者が演奏する各楽音の各タイミングの間隔から検出される、または演奏者が演奏する各楽音の各タイミングと、上記曲の自動演奏情報の各楽音の各タイミングとのずれから検出されることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のテンポ情報出力装置。これにより、手動テンポが1音1音などごとに検出され、きめ細かいテンポ評価を行うことができる。
[6]演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報は、操作子の操作によって入力される、または当該演奏者の過去の演奏の複数または1つの上記テンポ評価情報から決定されることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のテンポ情報出力装置。これにより、演奏者は熟練度情報を選択できる。また、演奏者は熟練度情報を入力しなくても済む。
[7]上記熟練度情報に応じての変換では、同じテンポのずれであっても、熟練度の高い演奏者におけるテンポずれは、熟練度の低い演奏者におけるテンポずれより、相対的に大きくされより厳しく評価されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のテンポ情報出力装置。これにより、熟練度が高くなるほど、テンポずれの評価を厳しくすることができる。
[8]上記曲のテンポ情報に応じての変換は、同じテンポのずれであっても、ある所定のテンポ値、例えば1分間に四分音符120個のテンポにおける上記テンポずれは、他のある所定のテンポ値、例えば1分間に四分音符120個のテンポより大きくなるテンポにおけるテンポずれ、または小さくなるテンポにおけるテンポずれより、相対的に大きくされより厳しく評価されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のテンポ情報出力装置。これにより、通常のテンポに近づくほど、テンポずれの評価を厳しくすることができる。
[9]上記請求項8における曲のテンポ情報に応じて相対的に大きくされる変換度合いは、熟練度の低い演奏者より、熟練度の高い演奏者の方が、大きくされより厳しく評価されるまたは小さくされより甘く評価されることを特徴とする請求項8記載のテンポ情報出力装置。これにより、熟練度が高くなるほど、テンポずれの評価を厳しくまたは甘くすることができる。
[10]同時に発音する複数の楽音については、このうちの1つの楽音についてのみ、上記ずれ変換及びテンポ評価を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載のテンポ情報出力装置。これにより、同時に発音する和音などでは、複数のテンポ評価情報がいっしょに出力されてしまうことがなく混乱しない。
[11]曲の演奏のテンポ情報であって、記憶されたテンポ情報を取り込みさせ、 当該曲につき演奏者が演奏する各楽音の各タイミングを検出して当該演奏のテンポを検出させ、 予め記憶された、この演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報を取り込みさせ、 上記出力されるテンポ情報と上記演奏者の検出テンポとのずれを、上記熟練度情報に応じて変換させるとともに、上記曲のテンポ情報に応じても変換して、上記演奏者の評価情報として変換出力させることを特徴とするテンポ情報出力方法。これにより、熟練度及び理想テンポに応じてテンポ評価が変化される。
[12]曲の演奏のテンポ情報であって、記憶されたテンポ情報を取り込みさせる処理と、 当該曲につき演奏者が演奏する各楽音の各タイミングを検出して当該演奏のテンポを検出させる処理と、 予め記憶された、この演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報を取り込みさせる処理と、 上記出力されるテンポ情報と上記演奏者の検出テンポとのずれを、上記熟練度情報に応じて変換させるとともに、上記曲のテンポ情報に応じても変換させ、上記演奏者の評価情報として変換出力させる処理とをコンピュータに実行させること特徴とするテンポ情報出力のためのコンピュータプログラム。これにより、演奏者の熟練度に応じてタッチ評価が変化される。
[13]曲の演奏のタッチ情報であって、記憶されたタッチ情報を出力する手段と、 当該曲につき演奏者が演奏する各楽音の各タッチを検出する手段と、 予め記憶された、この演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報を出力する手段と、 上記出力されるタッチ情報と上記演奏者の検出タッチとのずれを、上記熟練度情報に応じて変換して、上記演奏者の評価情報として変換出力する手段とを備えたことを特徴とするタッチ情報出力装置。これにより、熟練度及び理想タッチに応じてタッチ評価が変化される。
[14]上記ずれの変換は、上記曲の演奏のタッチ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、しかもこのずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記曲のタッチ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記演奏者の検出タッチとの対比結果と、この演奏者の検出タッチと上記曲の演奏のタッチ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力することを特徴とする請求項13記載のタッチ情報出力装置。これにより、許容範囲かどうかという形で演奏タッチが評価されることができ、熟練度及び理想タッチに応じてタッチ評価が変化される。
[15]上記ずれの変換は、曲の演奏のテンポ情報と上記熟練度情報とから、ずれ許容値を決定し、しかもこのずれ許容値は、上記熟練度情報及び上記曲のテンポ情報に応じて変化するものであり、このずれ許容値と上記演奏者の検出タッチとの対比結果と、演奏者の検出タッチと曲の演奏のタッチ情報との対比結果とから、上記演奏者の評価情報を出力することを特徴とする請求項13または14記載のタッチ情報出力装置。これにより、許容範囲が理想テンポに応じて変化するので、熟練度及び理想タッチだけでなく、理想テンポにも応じてタッチ評価が変化される。これは図5の実施例に対応している。
[16]上記曲の演奏のタッチ情報は、当該曲の自動演奏情報とともに予め記憶されている、または外部接続機器から当該曲の自動演奏情報とともにまたは当該曲の自動演奏情報とは別に送られてくることを特徴とする請求項13、14または15記載のタッチ情報出力装置。これにより、自動演奏情報に対してタッチ練習及びタッチ評価を得ることができる。また、自動演奏情報固有のタッチに対してタッチ練習及びタッチ評価を得ることができる。さらに、自動演奏情報固有のタッチを変更してタッチ練習及びタッチ評価を得ることができる。
[17]演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報は、操作子の操作によって入力される、または当該演奏者の過去の演奏の複数または1つの上記タッチ評価情報から決定されることを特徴とする請求項13、14、15または16記載のタッチ情報出力装置。これにより、演奏者は熟練度情報を選択できる。また、演奏者は熟練度情報を入力しなくても済む。
[18]上記変換は、上記曲のタッチ情報に応じても変換され、この変換は同じタッチのずれであっても、ある所定のタッチ値、例えば普通のタッチにおける当該タッチずれは、他のある所定のタッチ値、例えば普通より強くなるタッチにおけるタッチずれ、または弱くなるタッチにおけるタッチずれより、相対的に大きくされより厳しく評価されることを特徴とする請求項13、14、15、16または17記載のタッチ情報出力装置。これにより、通常のタッチに近づくほど、タッチずれの評価を厳しくすることができる。
[19]上記請求項18における曲のタッチ情報に応じて相対的に大きくされる変換度合いは、熟練度の低い演奏者より、熟練度の高い演奏者の方が、大きくされより厳しく評価されるまたは小さくされより甘く評価されることを特徴とする請求項18記載のタッチ情報出力装置。これにより、熟練度が高くなるほど、タッチずれの評価を厳しくすることができる。
[20]同時に発音する複数の楽音については、このうちの1つの楽音についてのみ、または全楽音のタッチについて、上記ずれ変換及びタッチ評価を行うことを特徴とする請求項13、14、15、16、17、18または19記載のテンポ情報出力装置。これにより、同時に発音する和音などでは、複数のタッチ評価情報がいっしょに出力されてしまうことがなく混乱しない。
[21]曲の演奏のタッチ情報であって、記憶されたタッチ情報を取り込みさせ、 当該曲につき演奏者が演奏する各楽音の各タッチを検出させ、 予め記憶された、この演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報を出力させ、 上記出力されるタッチ情報と上記演奏者の検出タッチとのずれを、上記熟練度情報に応じて変換させて上記演奏者の評価情報として変換出力させることを特徴とするタッチ情報出力方法。これにより、熟練度及び理想タッチに応じてタッチ評価が変化される。
[22]曲の演奏のタッチ情報であって、記憶されたタッチ情報を取り込みさせる処理と、 当該曲につき演奏者が演奏する各楽音の各タッチを検出させる処理と、 予め記憶された、この演奏者の演奏の熟練度を示す熟練度情報を出力させる処理と、 上記出力されるタッチ情報と上記演奏者の検出タッチとのずれを、上記熟練度情報に応じて変換させて、上記演奏者の評価情報として変換出力させる処理とをコンピュータに実行させること特徴とするタッチ情報出力のためのコンピュータプログラム。これにより、熟練度及び理想タッチに応じてタッチ評価が変化される。
[23]上記請求項8または請求項9における曲のテンポ情報に応じて相対的に大きくされる変換は、熟練度のかなり低い演奏者については行われず、ある所定のテンポ値、例えば1分間に四分音符120個のテンポにおける上記テンポ評価情報と、他のある所定のテンポ値、例えば1分間に四分音符120個のテンポより大きくなるテンポにおけるテンポ評価情報、または小さくなるテンポにおけるテンポ評価情報とは、同じとなることを特徴とする請求項8または9記載のテンポ情報出力装置。これにより、初級者などの特定の熟練度の演奏者については、理想テンポに応じてテンポ評価を変化させないで一定にすることができる。
[24]上記請求項18または請求項19における曲のタッチ情報に応じて相対的に大きくされる変換は、熟練度のかなり低い演奏者については行われず、ある所定のタッチ、例えば普通のタッチにおける当該タッチ評価情報と、他のある所定のタッチ値、例えば普通より強くなるタッチにおけるタッチ評価情報、または弱くなるタッチにおけるタッチ評価情報とは、同じとなることを特徴とする請求項18または19記載のタッチ情報出力装置。これにより、初級者などの特定の熟練度の演奏者については、理想タッチに応じてタッチ評価を変化させないで一定にすることができる。