JP2006063299A - 石綿飛散防止処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 より長期間に渡って石綿の飛散防止効果を維持すること。
【解決手段】 石綿含有物の表面に処理剤を浸透・固化させることにより、前記石綿含有物からの石綿の飛散を防止する石綿飛散防止処理方法において、前記処理剤が、珪素化合物を含有し、かつ、前記珪素化合物がシリコーンとアルコキシシランとからなることを特徴とする。
また、石綿含有物の表面にアクリル系材料又はポリビニルアルコールを含有する浸透材を含浸させ、その上に二酸化チタン、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウムの1つ、又は、これらの中の2つ以上の組合わせからなるカバーリング材を被覆することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 石綿含有物の表面に処理剤を浸透・固化させることにより、前記石綿含有物からの石綿の飛散を防止する石綿飛散防止処理方法において、前記処理剤が、珪素化合物を含有し、かつ、前記珪素化合物がシリコーンとアルコキシシランとからなることを特徴とする。
また、石綿含有物の表面にアクリル系材料又はポリビニルアルコールを含有する浸透材を含浸させ、その上に二酸化チタン、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウムの1つ、又は、これらの中の2つ以上の組合わせからなるカバーリング材を被覆することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、石綿の飛散防止処理技術に関するものである。
石綿は強度、耐火性、耐薬品性など、その優れた物性的特長から様々な分野において利用され、とりわけ建築用耐火材料により多く利用されてきた。しかし、大気中に石綿が飛散すると人体に有害であることが指摘され、社会問題となった。このため、建築用耐火材料に代表される石綿含有物は、その石綿が大気中に飛散するのを防止する策を講ずることが必須となっている。
石綿の飛散を防止する技術としては、例えば、石綿含有物の表面を薬剤によりコーティングするものや、石綿含有物の表面に薬剤を浸透・固化させる技術が提案されている。また、これらの薬剤は一般に多量の有機材料を含むため、火災時等において有毒ガスを発生するおそれがあることから、当該有毒ガスの発生を抑制する技術も提案されている(特許文献1)。
ここで、従来の薬剤は上述した通り多量の有機材料を含むことから、経年的に組織が変質するおそれがあり、長期間に渡って石綿の飛散防止効果が維持できないおそれがある。
そこで、本発明の目的は、より長期間に渡って石綿の飛散防止効果を維持することにある。
本発明によれば、石綿含有物の表面に処理剤を浸透・固化させることにより、前記石綿含有物からの石綿の飛散を防止する石綿飛散防止処理方法において、前記処理剤が、珪素化合物を含有し、かつ、前記珪素化合物がシリコーンとアルコキシシランとからなることを特徴とする石綿飛散防止処理方法が提供される。
本発明によれば、経年的に組織が変質しにくい珪素化合物を含有する処理剤を用いることにより、石綿の飛散防止効果をより長期間維持することができる。
本発明において、好ましくは、前記処理剤が、前記シリコーンを40〜95重量%、前記アルコキシシランを1〜15重量%含有する。珪素化合物をより多く含有することで、石綿の飛散防止効果をより一層長期間維持することができる。
また、本発明によれば、浸透材を石綿含有物の表面に浸透・固化させ、更にその表面をカバーリング材で被覆することにより前記石綿含有物からの石綿の飛散を防止する石綿飛散防止処理方法において、前記浸透材が、アクリル系材料、又は、ポリビニルアルコールを含有し、前記カバーリング材が、アクリル系材料と無機材料とを含有し、前記無機材料が、二酸化チタン、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウムの1つ、又は、これらの中の2つ以上の組合せ、からなることを特徴とする石綿飛散防止処理方法が提供される。
この石綿飛散防止処理方法では、経年的に組織が変質しにくい無機材料を含有するカバーリング材で石綿含有物の表面を被覆することにより、浸透材及びカバーリング材自体による石綿の飛散防止効果をより長期間維持することができる。
本発明において、好ましくは、前記カバーリング材が、前記無機材料を60重量%以上含有する。無機材料をより多く含有することで、石綿の飛散防止効果をより一層長期間維持することができる。
また、本発明において、好ましくは、前記浸透材又は前記カバーリング材の少なくともいずれか一方が、増粘材としてメトローズを含有する。浸透材やカバーリング材をスプレーにより石綿含有物に塗布するにあたり、スプレー性能を調整することができる。
以上述べたとおり、本発明によれば、より長期間に渡って石綿の飛散防止効果を維持することができる。
<石綿飛散防止効果の試験>
本発明の一実施例による石綿飛散防止処理の試験結果について説明する。なお、現在では石綿が入手できないため、本試験では石綿と性状が近い岩綿を使用している。図1(a)は試験装置の構成図である。試験装置は、試験体1を収容する、概ね気密な収容箱2と、収容箱2内の微細な粉塵の数を測定するパーティクルカウンタ3と、試験体1にエアーを吹き付けるノズル4と、ノズル4へエアーを供給するコンプレッサ5と、を備える。
本発明の一実施例による石綿飛散防止処理の試験結果について説明する。なお、現在では石綿が入手できないため、本試験では石綿と性状が近い岩綿を使用している。図1(a)は試験装置の構成図である。試験装置は、試験体1を収容する、概ね気密な収容箱2と、収容箱2内の微細な粉塵の数を測定するパーティクルカウンタ3と、試験体1にエアーを吹き付けるノズル4と、ノズル4へエアーを供給するコンプレッサ5と、を備える。
本実施例では試験体1として2種類の試験体A、Bを用い、それぞれ異なる石綿飛散防止処理を施した。試験体Aは150mm×300mm×3mmの鋼板に石綿を模擬するものとして岩綿を成分として吹付ロックウールを50mmの厚さで吹き付け、コテ押さえして一定期間養生して岩綿含有物としたものである。図1(b)は試験体Aの断面を示す。一方、試験体Bは試験体Aの表面に深さ6mmの直線的な切り込みを7本施したものである。図1(c)は試験体Bの断面を示す。これは、既設建築物等に用いられている石綿含有物が、その表面に傷、ひび割れ等が存在する場合を想定している。
石綿飛散防止処理Xは、試験体の表面に珪素化合物を含有する処理剤を浸透・固化させたものであり、石綿飛散防止処理Yは浸透材を試験体の表面に浸透・固化させ、更にその表面をカバーリング材で被覆したものである。
・飛散防止処理X
珪素化合物として、シリコーンを94重量%、アルコキシシランを3重量%含有し、更に、酢酸を3重量%含有する処理剤を水で希釈し、試験体の全面に浸透深さを略3mmとして、浸透・固化させた。
・飛散防止処理Y
始めに、ポリビニルアルコールを4重量%含有する浸透材を試験体の全面に浸透深さを略3mmとして、浸透・固化させ、更に、その上に、無機材料として、二酸化チタン、水酸化アルミ及び硫酸カルシウムを合計60重量%を含有し、更に、アクリル樹脂を20重量%(アクリルエマルジョンとして40重量%)含有するカバーリング材を試験体の全面に塗布して被覆した。この飛散防止処理Yは既に浸透材により石綿含有物に対して飛散防止処理が施されている場合を想定し、これに更に耐久性向上のため、カバーリング材により飛散防止処理を施すことを目的としている。
・飛散防止処理X
珪素化合物として、シリコーンを94重量%、アルコキシシランを3重量%含有し、更に、酢酸を3重量%含有する処理剤を水で希釈し、試験体の全面に浸透深さを略3mmとして、浸透・固化させた。
・飛散防止処理Y
始めに、ポリビニルアルコールを4重量%含有する浸透材を試験体の全面に浸透深さを略3mmとして、浸透・固化させ、更に、その上に、無機材料として、二酸化チタン、水酸化アルミ及び硫酸カルシウムを合計60重量%を含有し、更に、アクリル樹脂を20重量%(アクリルエマルジョンとして40重量%)含有するカバーリング材を試験体の全面に塗布して被覆した。この飛散防止処理Yは既に浸透材により石綿含有物に対して飛散防止処理が施されている場合を想定し、これに更に耐久性向上のため、カバーリング材により飛散防止処理を施すことを目的としている。
そして、各試験体A、Bにそれぞれ飛散防止処理X、Yを施して、試験体表面にノズル4から風速12〜15m/sでエアーを10分間吹きつけ、パーティクルカウンタ3により収容箱2内の粉塵数をそれぞれ計測し、これを2回づつ行った。また、比較例として、収容箱2内に試験体を収容しない場合及び試験体Aについて、上記の飛散防止処理X、Yのいずれも行わない場合についてもそれぞれ収容箱2内の粉塵数をそれぞれ計測した。試験結果を図2(a)に示す。
飛散防止処理を施した場合、飛散防止処理を施していない場合よりも著しく粉塵数が小さく、また、収容箱2内に試験体を収容しない場合とほとんど粉塵数が変わらないことから数値的には石綿を模擬した岩綿が全く飛散していないことが確認された。
<耐久性の試験>
次に、上記石綿飛散防止処理による耐久性の試験について説明する。この耐久性試験では、上記の飛散防止処理X、Yを施した上記の試験体A、B並びに上記の飛散防止処理X、Yのいずれも施されていない試験体Aを対象とした。そして、気温60℃、湿度95%の多湿環境下に16時間置き、その後、気温60℃、湿度30%の乾燥環境下に8時間置く工程を1サイクルとして、これを10サイクル繰り返し、その後、上記の石綿飛散防止効果の試験を行った。試験結果を図2(b)に示す。
次に、上記石綿飛散防止処理による耐久性の試験について説明する。この耐久性試験では、上記の飛散防止処理X、Yを施した上記の試験体A、B並びに上記の飛散防止処理X、Yのいずれも施されていない試験体Aを対象とした。そして、気温60℃、湿度95%の多湿環境下に16時間置き、その後、気温60℃、湿度30%の乾燥環境下に8時間置く工程を1サイクルとして、これを10サイクル繰り返し、その後、上記の石綿飛散防止効果の試験を行った。試験結果を図2(b)に示す。
飛散防止処理X、Yを施した場合、飛散防止処理を施していない場合よりも著しく粉塵数が小さく、また、収容箱2内に試験体を収容しない場合とほとんど粉塵数が変わらないことから数値的には石綿の飛散防止効果が全く損なわれていないことが確認された。
Claims (5)
- 石綿含有物の表面に処理剤を浸透・固化させることにより、前記石綿含有物からの石綿の飛散を防止する石綿飛散防止処理方法において、
前記処理剤が、珪素化合物を含有し、かつ、前記珪素化合物がシリコーンとアルコキシシランとからなることを特徴とする石綿飛散防止処理方法。 - 前記処理剤が、
前記シリコーンを40〜95重量%、前記アルコキシシランを1〜15重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の石綿飛散防止処理方法。 - 浸透材を石綿含有物の表面に浸透・固化させ、更にその表面をカバーリング材で被覆することにより前記石綿含有物からの石綿の飛散を防止する石綿飛散防止処理方法において、
前記浸透材が、アクリル系材料、又は、ポリビニルアルコールを含有し、
前記カバーリング材が、アクリル系材料と無機材料とを含有し、前記無機材料が、二酸化チタン、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウムの1つ、又は、これらの中の2つ以上の組合せ、からなることを特徴とする石綿飛散防止処理方法。 - 前記カバーリング材が、前記無機材料を60重量%以上含有することを特徴とする請求項3に記載の石綿飛散防止処理方法。
- 前記浸透材又は前記カバーリング材の少なくともいずれか一方が、増粘材としてメトローズを含有することを特徴とする請求項3に記載の石綿飛散防止処理方法。
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- 2004-12-17 JP JP2004366669A patent/JP2006063299A/ja active Pending
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