JP2006063269A - 難燃性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加工性と難燃性とを兼ね備えた難燃性組成物を提供する。
【解決手段】 (A)メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを含むポリエチレン樹脂成分と、(B)水和金属化合物と、(C)アルカンスルホン酸金属塩と、を配合した難燃性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性組成物に関する。
従来、電線やケーブルの絶縁体やシース等を構成する難燃性組成物は、ハロゲン化合物のような難燃剤を配合していた。しかしながら、ハロゲン化合物を含む難燃性組成物は、燃焼時にハロゲン化水素ガス等の有害ガスを発生するおそれがあった。そこで、このような有害ガスを発生しない難燃性組成物の開発が行われてきた。近年、難燃剤として金属水和化合物を含み、エチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂とした難燃性組成物が上記問題点を克服するものとして注目されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−327865号公報 (第〔0002〕段落)
しかしながら、上述した従来の難燃性組成物によれば、難燃剤としてベース樹脂であるエチレン−酢酸ビニル共重合体に金属水和化合物を添加したことによって、機械的強度(特に、引っ張り強度)が低下したり、押し出しトルクが高くなって成形性が低下したりするという問題点があった。更には、前記ベース樹脂自身の耐熱性が低く、また、耐ドリップ性等も劣るという問題点があった。
従って、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、加工性と難燃性とを兼ね備えた難燃性組成物を提供することにある。
この目的を達成するための本発明の難燃性組成物の特徴構成は、請求項1に記載してあるように、(A)メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを含むポリエチレン樹脂成分と、(B)水和金属化合物と、(C)アルカンスルホン酸金属塩と、を配合した点にある。
上記特徴構成において、請求項2に記載してあるように、前記メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂の配合量と前記直鎖状低密度ポリエチレンの配合量との総和に対して、前記直鎖状低密度ポリエチレンを25重量%以下含むことが好ましい。
また、請求項3に記載してあるように、(A)前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、(C)前記アルカンスルホン酸金属塩を1.5重量部以下配合することが好ましい。
また、請求項4に記載してあるように、(C)前記アルカンスルホン酸金属塩が、アルカンスルホン酸ナトリウムであることが好ましい。
また、請求項5に記載してあるように、(C)前記アルカンスルホン酸金属塩が、C1018のアルキル基を有するものであることが好ましい。
また、請求項6に記載してあるように、(A)前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、(B)前記水和金属化合物を120〜200重量部配合することが好ましい。
また、請求項7に記載してあるように、(B)前記水和金属化合物が水酸化マグネシウムであることが好ましい。
また、請求項8に記載してあるように、(B)前記水和金属化合物の粒径が0.1〜10μmであることが好ましい。
更に、この目的を達成するための本発明の電線又はケーブルの特徴構成は、請求項9に記載してあるように、請求項1〜8の何れか1項記載の難燃性組成物を、シースまたは絶縁体として使用した点にある。
本願発明者らは、難燃性組成物の各種特性について鋭意研究した結果、後述する実施例に記載してあるように、(A)ベース樹脂としてのポリエチレン樹脂成分と、(B)難燃剤としての水和金属化合物とを配合し、更に、(C)アルカンスルホン酸金属塩を配合することによって、電線・ケーブルの絶縁体やシース等の各種用途に適したメルトフローレートを有する成形性の良い難燃性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。ここで、従来、ポリエチレン樹脂製造において、界面活性剤としてアルカンスルホン酸金属塩は利用されていなかった。しかしながら、アルカンスルホン酸金属塩を配合することによって、前記ポリエチレン樹脂成分と前記水和金属化合物との濡れ性を改善し良好な相溶性を与えるため、均一な分散を促進したり、成形時において離型効果を発揮したりしたものと考えられる。また、(A)ポリエチレン樹脂成分としてメタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂のみを配合した場合は(B)水和金属化合物が共存することによって強度および伸びが非常に低下するが、直鎖状低密度ポリエチレンを追加配合することによってこれらを高く維持することができた。
即ち、請求項1に記載してあるように、
(A)メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを含むポリエチレン樹脂成分と、
(B)水和金属化合物と、
(C)アルカンスルホン酸金属塩と、を配合したことによって、加工性、強度等と難燃性とを兼ね備えた難燃性組成物が得られた。
上記特徴構成において、請求項2に記載してあるように、前記メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂の配合量と前記直鎖状低密度ポリエチレンの配合量との総和に対して、前記直鎖状低密度ポリエチレンを25重量%以下含むものであると、高い難燃性及び成形性を維持しつつ、特に、引っ張りに対して強い難燃性組成物が得られた。
更に、請求項3に記載してあるように、(C)前記アルカンスルホン酸金属塩が、アルカンスルホン酸ナトリウムであると、成形流動性の高い難燃性組成物となるので好ましい。
ここで、発明者は、前記アルカンスルホン酸金属塩の配合比が高くなるほど、強度が低下してくることを明らかにした。そして、難燃性組成物の強度を保つため、請求項4に記載してあるように、前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、前記アルカンスルホン酸金属塩を1.5重量部以下で配合することが好ましいことを見出した。
また、請求項5に記載してあるように、C1018のアルキル基を有するアルカンスルホン酸金属塩を用いると、通常前記ポリエチレン樹脂成分を混練する温度において揮発し難い。従って、樹脂成分の溶融挙動に合わせて前記アルカンスルホン酸金属塩が溶融流動し易いので好ましい。
また、前記難燃性組成物において、前記水和金属化合物が適切な難燃性を発揮するために、請求項6に記載してあるように、前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、前記水和金属化合物を120〜200重量部配合することが好ましい。即ち、前述した範囲より前記水和金属化合物の配合比が低いと難燃性が低下する傾向にあり、この範囲より配合比が高くなっても難燃性の大きな改善は見られない。
また、請求項7に記載してあるように、前記水和金属化合物が水酸化マグネシウムであと、前記ポリエチレン樹脂成分の成形温度(溶融温度)では分解せずに、燃焼温度で分解して難燃性を発揮するので好ましい。
また、請求項8に記載してあるように、前記水和金属化合物の粒径が0.1〜10μmであると、マトリクス全体にこの水和金属化合物を均一に分散することが可能となり、安定した相溶性、耐水性、耐化学薬品性を付与することができ、均一な物性や加工性を付与できるので好ましい。
更に、請求項1〜8の何れか1項記載の難燃性組成物を、請求項9に記載してあるような電線又はケーブルのシースまたは絶縁体として使用すると、成形性が非常に良いので種々の径を有する線状に形成するのが容易であり、引張り等にも強く、しかも、優れた自己消火性、耐ドリップ性を備えているので、非常に適している。
以下に発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係る難燃性組成物は、ベース樹脂としてのポリエチレン樹脂成分と、難燃剤としての水和金属化合物とを配合したタイプの難燃性組成物であって、前記両成分に加えてアルカンスルホン酸金属塩を配合している。
前記ポリエチレン樹脂成分は、メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と、直鎖状低密度ポリエチレンとを含む。メタロセン触媒としては、エチレンの重合触媒として用いられる公知のメタロセン化合物(例えば、メタロセン/アルモキサン触媒など)を用いることができる。この種の触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂成分としては、例えば、カーネルKS240T(日本ポリケム株式会社製)、ユメリット20B(宇部興産株式会社)、エボリューSP2540(三井住友ポリオレフィン株式会社製)等の樹脂を用いることができるが、これらに限られるものではない。前記直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、ノバテックLL UR951(日本ポリケム株式会社製)、サンテックLL LM2020(旭化成株式会社製)、NUCポリエチレン−LL NUCG−5652(日本ユニカー株式会社製)を用いることができるが、これらに限られるものではない。ここで、特に、前記メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂の配合量と前記直鎖状低密度ポリエチレンの配合量との総和に対して、前記直鎖状低密度ポリエチレンを25重量%以下含むことにより、成形性、硬度、強度等の種々の特性に非常に優れた難燃性組成物が得られる。
前記アルカンスルホン酸金属塩は、以下に示す構造式を有する化合物である
(化1)
R−SO−M
(R:アルキル基、M:金属元素)
難燃性組成物製造およびこれを原料とする成形品製造における混練時、溶融時の温度(例えば、160〜180℃)で揮発しないものとして、C1018のアルキル基を有する前記アルカンスルホン酸金属塩を使用することが好ましい。前記アルカンスルホン酸金属塩としては、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸カリウム等を使用することができる。特に、アルカンスルホン酸ナトリウムは無機質充填材の分散性に優れ、良成形性を促す効果が大きいため好適である。尚、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンへのアニオン系界面活性剤の配合比は、一般的には0.2〜0.5PHR(ポリエチレン100重量部に対して0.2〜0.5重量部)であるが、アルカンスルホン酸金属塩を添加した場合、それ以上の配合比であっても成形品表面のブロッキングも抑えられ、ブリードも見られず、電気抵抗値も低下しなかった。そのため、アルカンスルホン酸金属塩の配合比が0.5PHRを超えることを許容し、むしろ、成形性と他の特性(強度、引っ張り強度、引っ張り破断伸び等)を考慮すると、1.5PHR以下での使用が好ましい。
水和金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等を使用することができる。これらの水和金属化合物は、難燃剤として作用すると共に、燃焼時に前記ポリエチレン樹脂成分の炭素化を促進して、ドリップを抑制する効果も有すると考えられる。特に、前記水和金属化合物として、水酸化マグネシウムが好適である。この組成物を用いた製品の使用環境などを配慮すると、耐酸性の優れた水酸化マグネシウム(たとえば協和化学工業製「キスマ5A」)を使用することが好ましい。前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、前記水和金属化合物を120〜200重量部配合する。前記水和金属化合物の粒径は、分散性等を考慮して、D50%=0.1〜10μmとすることが好ましい。
更に、必要に応じて、種々の添加物を追加配合することができる。例えば、ジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)、4.4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャルブチルフェノール)等の酸化防止剤を配合することによって、難燃性組成物の耐候性が向上する。東レダウ社製DC4−7045、DC4−7081等の高分子量シリコーン系難燃材を配合することによって、難燃性と耐ドリップ性が更に向上する。また、サリチル酸フェニル、アルキル錫ラウレート等の光安定剤を必要に応じ添加してもよい。これらの光安定剤は、熱・光・空気との接触によって、加工工程・使用環境で生じる脆化劣化を抑制する。
ジイソプロパールベンゼン(日本油脂製「パーブチルP」など)、ハイドロパーオキサイド(日本油脂製「パークミルP」など)等の架橋剤は、クリープを減少させ、耐熱変形性、耐ストレスクラッキング性を著しく改善するものである。
上記各種成分をドライブレンドし、ロールまたは二軸押し出し機で加熱溶融混練し、シート状又はストランド状になったものを所定の形状に切断したものがコンパウンドとなる。このコンパウンドを成形機で溶融し導体に被覆させることによって、前記難燃性組成物を含む絶縁体、シースを備えた電線またはケーブルを製造することができる。また、同様にして、鋼管の被覆材として、本発明に係る難燃性組成物を用いることができる。その他にも、前記コンパウンドを射出成形機で溶融しダイに充填することによって、電子機器のコネクタや筐体等の一般成形物を製造することができる。特に、本発明に係る難燃性組成物は、加工性(メルトフローレートを指標とする)、引張りに対する強さの双方を兼ね備えているので、電線またはケーブルを構成する絶縁体、シース等に使用するのに最適である。
〔難燃性組成物の作成〕
ポリエチレン樹脂成分(メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂および直鎖状低密度ポリエチレン)と、水和金属化合物と、アルカンスルホン酸金属塩とを配合し、ロール成形機により160〜170℃にて約15分間混練した後、ロールで押し出し、0.5mm厚のシートを作成した。または、リボンブレンダーにより各成分を乾式混合した後、スパイラルコンベアなどの搬送手段を用い押出し機に供給し、160〜190℃の温度条件にて2.5〜3.0mmφのストランドをノズルから押出し水冷槽を通し冷却後、ペレタイザーにて2.5〜3.0mmの長さに切断しペレットを得る。このペレットを熱圧縮成形に供して、15cm角2mm厚さのシートを作成する方法を採用してもよい。このようにして、実施例に係る難燃性組成物を作成した。
尚、比較例として、(1)アルカンスルホン酸金属塩を含まない難燃性組成物、(2)直鎖状低密度ポリエチレンを含まない難燃性組成物、(3)アルカンスルホン酸金属塩に代えて他種の界面活性剤を配合した難燃性組成物を作成した。
上記実施例および比較例において、メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂として、カーネル KS240Tグレード(日本ポリケム株式会社製)を使用した。直鎖状低密度ポリエチレンとして、ノバテックLL UR951(日本ポリケム株式会社製)を使用した。水和金属化合物としては、キスマ5A(水酸化マグネシウム含有量97.6重量%)(協和化学工業株式会社製)を使用した。アルカンスルホン酸金属塩(C10〜18スルホン酸ナトリウム)としては、TB−160(松本油脂製薬株式会社製)を使用した。また、比較例の難燃性組成物を構成する界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、ニューコール220L(日本乳化剤株式会社製)、脂肪酸グリセリンエステルは、ニッコールMGC(日光ケミカルズ株式会社製)を用いた。
〔難燃性組成物の特性の測定〕
上記実施例および比較例に係る難燃性組成物の特性を、以下のようにして測定した。
(1)密度:JIS K6922に従い測定した。
(2)メルトフローレート(MFR):JIS K6760により測定した。測定は安田精機株式会社製メルトフローインデックステスターSA2000型を使用し、測定温度190±0.2℃、測定加重2.16kgの条件で測定を行った。
(3)硬度:ASTM D2240に規定する、ショアA硬度を測定した。
(4)引張り強度:JIS C3005に従い測定した。
(5)引張り破断伸び:JIS C3005に従い測定した。
(6)体積固有抵抗:JIS K6723に従い測定した。
表1は、アルカンスルホン酸金属塩の配合比について検討したものである。メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂90重量部、直鎖状低密度ポリエチレン10重量部、水酸化マグネシウム160重量部、酸化防止剤2重量部に対して、アルカンスルホン酸金属塩を夫々0,0.5,1.5,または3.0重量部配合した難燃性組成物(比較例1、および実施例1,2,3)を作成し、各種特性を測定した。アルカンスルホン酸金属塩を配合しなかった比較例1と比べて、アルカンスルホン酸金属塩を配合した実施例1〜3においては、MFRで示される加工性の改善が見られ、且つ、硬度、引張り強度、引張り破断伸びについても一定のレベルを維持した。特に、実施例1および2においては、MFRが上昇しているにも関わらず、硬度、引張り強度、および引張り破断伸びがあまり低下していない。従って、アルカンスルホン酸金属塩の配合比は、前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して1.5重量部以下とするのがよい。尚、本発明の目的を達するには、アルカンスルホン酸金属塩の添加が必須であるが、MFRとの関係(2より大きいことが好ましい)を考慮して、その下限を0.5重量部とすることができる。
Figure 2006063269
表2は、前記ポリエチレン樹脂成分におけるメタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとの配合比について検討したものである。メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂100,90,80,75または70重量部、直鎖状低密度ポリエチレン0,10,20,25または30重量部、水酸化マグネシウム160重量部、酸化防止剤2重量部、アルカンスルホン酸金属塩0.5重量部配合した難燃性組成物(比較例2、および実施例1,4〜6)を作成し、各種特性を測定した。直鎖状低密度ポリエチレンを配合しなかった比較例2と比べて、直鎖状低密度ポリエチレンを配合した実施例1,4〜6においては、MFRで示される加工性の改善が見られ、且つ、硬度、引張り強度、引張り破断伸びについても一定のレベルを維持した。特に、実施例1,4,および5においては、MFRが上昇しているにも関わらず、硬度、引張り強度、および引張り破断伸びが上昇、または、ほとんど低下していない。従って、前記メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂の配合量と前記直鎖状低密度ポリエチレンの配合量との総和に対して、前記直鎖状低密度ポリエチレンを25重量%以下配合するのがよい。尚、本発明の目的を達するには、直鎖状低密度ポリエチレンの添加が必須であるが、得られる成形体の物理特性を考慮して(具体的には、硬度が75以上、引張り強度が7.5MPa以上が好ましい)、その下限を10重量%とすることが好ましい。
Figure 2006063269
尚、実施例1および4に係る難燃性組成物については、体積固有抵抗についても測定した。この結果、表1および2に示すように、実施例1および4に係る難燃性組成物の体積固有抵抗は、何れも3.4×1015Ωcmであり、絶縁体として利用するに足りる値を示した。
表3は、前記直鎖状低密度ポリエチレンを配合せずに、アルカンスルホン酸金属塩の配合比を夫々0.5,1.5,又は3.0とした比較例2〜4に係る難燃性組成物(メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂100重量部、水酸化マグネシウム160重量部、酸化防止剤2重量部を配合。)の各種特性を示したものである。前記直鎖状低密度ポリエチレンおよびアルカンスルホン酸金属塩を配合しなかった比較例2では、MFRが低く、加工性があまり改善されなかった。比較例3および4では、引張り強度が極端に弱く、これらの難燃性組成物を用いた成形品、特に、電線、ケーブルの被覆材のように薄肉で線状に成形した場合に、強度が保てないおそれがある。
Figure 2006063269
表4は、前記アルカンスルホン酸金属塩に代えて、他種のアニオン系界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、または非イオン系界面活性剤である脂肪酸グリセリンエステルを配合した比較例5および6の特性を表すものである。アルカンスルホン酸金属塩を配合した実施例1と比べて、これらの比較例においては引張り強度、引張り破断伸びが非常に弱く、電線被覆には不向きであった。従って、界面活性剤として、特に、アルカンスルホン酸金属塩が、メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを含むポリエチレン樹脂成分を配合した難燃性組成物の物性改善に効果的であることがわかった。
Figure 2006063269
〔難燃性試験〕
難燃性試験は、国際規格UL−94を参考にして、以下のように行った。
ガスバーナ(バーナ口径:9.5mm、バーナ長さ:102mm)の青色炎の長さを19mmに調整し、これを、試験体(下端幅:12.7mm、長さ:127.0mm、厚み:3.1mm)の中央に10秒間当てた後に試験体を炎から遠ざけ、このときの自消時間をs1(秒)とした。続けて、前記試験体下端の中央に炎を10秒間当てた後に試験体を炎から遠ざけ、このときの自消時間をs2(秒)とした。この後、発煙を伴うくすぶりが収まるまでの時間をs3(秒)とした。この結果、前記実施例1に係る難燃性組成物では、
s1=1秒、s2=3秒、s3=15秒であった。前記実施例4に係る難燃性組成物では、s1=1秒、s2=2秒、s3=17秒であった。両実験において、試験体の溶融落下(ドリップ)は皆無であった。このように、本発明に係る難燃性組成物は、非常に自己消火性が高く、且つ、ドリップも生じず、優れた難燃効果を発揮した。
高い加工性と強度を有するので、前記難燃性組成物を含む絶縁体、シース電線またはケーブルのシース、絶縁体、鋼管の被覆材、電子機器のコネクタや筐体等の一般成形物に利用することができる。

Claims (9)

  1. (A)メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを含むポリエチレン樹脂成分と、
    (B)水和金属化合物と、
    (C)アルカンスルホン酸金属塩と、を配合した難燃性組成物。
  2. 前記メタロセン触媒を用いて製造したポリエチレン樹脂の配合量と前記直鎖状低密度ポリエチレンの配合量との総和に対して、前記直鎖状低密度ポリエチレンを25重量%以下含む請求項1記載の難燃性組成物。
  3. (A)前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、(C)アルカンスルホン酸金属塩を1.5重量部以下配合した請求項1または2記載の難燃性組成物。
  4. (C)前記アルカンスルホン酸金属塩が、アルカンスルホン酸ナトリウムである請求項1〜3の何れか1項記載の難燃性組成物。
  5. (C)前記アルカンスルホン酸金属塩が、C1018のアルキル基を有するものである請求項1〜4の何れか1項記載の難燃性組成物。
  6. (A)前記ポリエチレン樹脂成分100重量部に対して、(B)前記水和金属化合物を120〜200重量部配合した請求項1〜5の何れか1項記載の難燃性組成物。
  7. (B)前記水和金属化合物が水酸化マグネシウムである請求項1〜6の何れか1項記載の難燃性組成物。
  8. (B)前記水和金属化合物の粒径が0.1〜10μmである請求項7記載の難燃性組成物。
  9. 請求項1〜8の何れか1項記載の難燃性組成物を、シースまたは絶縁体として使用した電線又はケーブル。
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