JP2006062912A - 光電気変換素子実装用アルミナ基板及びその製造方法 - Google Patents

光電気変換素子実装用アルミナ基板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光電気変換効率の高い光電気変換素子実装用アルミナ基板を提供する。
【解決手段】 硫酸バリウムの含有率が2〜6質量%であることを特徴とする。硫酸バリウムによりアルミナのみの基板に比べて光の反射率を向上させることができる。また、硫酸バリウムによる吸水率の増加を低く抑えることができる。さらに、本発明を利用して3次元成形基板等の作製が可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミナを主成分とするセラミック製基板及びその製造方法に関するものであり、特に、非回路部分において光の反射率が高くて光電気変換素子の実装に好適な基板に関するものである。
本出願人は光電気変換素子を実装した半導体装置を提案している(特許文献1参照)。この半導体装置は、複数のLEDチップと、該LEDチップの各々を収納する複数の凹部が形成された3次元成形基板とを有し、前記凹部の対向する2つの側壁から上面にわたって配線パターンが形成され、前記LEDチップの電極面でない面が前記凹部の底面側になり、電極面が前記側壁に形成された配線パターンと対向するように前記LEDチップを搭載し、隣接するLEDチップの電極間を半田及び前記配線パターンにより接続するようにした半導体装置であって、前記側壁に形成された配線パターンは幅方向の中央部に比して両側辺部が薄肉状に形成されており、前記配線パターン上に半田めっきを予め施しておき、該半田めっきを溶融させ、前記配線パターンの薄肉部をなくならせて、溶融した半田を介して前記配線パターンと電極とを接続させることにより、隣接するLEDチップの電極間を接続するようにしたものである。また、上記の3次元成形基板の成形時に、熱伝導性の良い金属材料やセラミックス等の無機材料を同時成形したり、あるいは後で貼り付けることにより、放熱性を良くすることが可能であることも開示している。
特許第3271542号公報
上記のような半導体装置では、LEDチップを実装した3次元成形基板でLEDチップが発した光の一部を反射することが考えられるが、この場合、3次元成形基板の反射率が高いほどLEDチップの発光効率を高めることができる。従って、光の反射率が高い基板材料が必要とされていた。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光電気変換効率の高い光電気変換素子実装用アルミナ基板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板は、硫酸バリウムの含有率が2〜6質量%であることを特徴とするものである。
本発明によれば、硫酸バリウムによりアルミナのみの基板に比べて光の反射率を向上させることができるものであり、また、硫酸バリウムによる吸水率の増加を低く抑えることができるものである。さらに、本発明を利用して3次元成形基板等の作製が可能である。
また、本発明は、物理蒸着法により金属層2を形成するための表層1を有し、この表層1の厚みを1〜300μmにすると共に表層1の硫酸バリウムの含有率を他の部位よりも小さくすることができる。
この場合、実用上有効な光の反射率を確保しながら表層1に対する金属層2のピール強度を実用上剥離等の問題とならない程度に確保することができ、反射率と金属層2の耐剥離性を高くすることができるものである。
また、本発明は、請求項1に記載の光電気変換素子実装用アルミナ基板を製造する方法であって、粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを質量比94:6〜98:2の割合でバインダを添加しながら混練する工程と、射出成形機を用いて前記混練して得られた成形材料を所定の型内に射出成形して成形体を成形する成形工程と、成形体を焼結炉内でアルミナ粉末の焼結温度で加熱する焼結工程とを備えることを特徴とするものである。
この場合、アルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを予め乾式混合する工程が不要となり、生産性を向上させることができるものであり、また、バインダの配合により混練工程では十分大きなせん断応力が働くために、均一な成形材料を得ることができるものである。しかも、粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末を用いることにより、成形材料の流動性を実用上問題とならないレベルに確保することができると共にアルミナ基板の吸水率をほとんどゼロにすることができるものである。
また、本発明は、焼結工程後に表面を清浄化するための加熱処理工程を備え、この加熱処理工程時の加熱温度を硫酸バリウムの分解温度以下にすることができる。
この場合、アルミナ基板の表面を清浄化することができ、電気回路などの金属層2をアルミナ基板の表面に形成する場合にアルミナ基板と金属層2との密着性を向上させることができるものである。
また、本発明は、請求項2に記載の光電気変換素子実装用アルミナ基板を製造する方法であって、アルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを質量比94:6〜98:2の割合でバインダを配合しながら混練する工程と、射出成形機を用いて前記混練して得られた成形材料を所定の型内に射出成形して成形体を成形する成形工程と、成形体を焼結炉内でアルミナ粉末の焼結温度で加熱する焼結工程と、表層の硫酸バリウムを除去するために強酸性溶液にて溶剤処理する溶剤処理工程とを備えることを特徴とするものである。
この場合、アルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを予め乾式混合する工程が不要となり、生産性を向上させることができるものであり、また、バインダの配合により混練工程では十分大きなせん断応力が働くために、均一な成形材料を得ることができるものである。
本発明によれば、硫酸バリウムによりアルミナのみの基板に比べて光の反射率を向上させることができ、光電気変換効率の高い光電気変換素子実装用アルミナ基板を得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板は、アルミナと硫酸バリウムから形成されるものであって、硫酸バリウムの含有率(アルミナと硫酸バリウムの合計量に対する硫酸バリウムの含有量)を2〜6質量%にしたものである。硫酸バリウムの含有率が2質量%未満であると、アルミナ基板の反射率の向上が不充分であり、本発明の課題を解決することができない恐れがあり、また硫酸バリウムの含有率が6質量%よりも多くなると、アルミナ基板の吸水率が高くなりすぎてアルミナ基板の品質が低下する恐れがある。
上記のような本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板を製造する方法であって、次のようにして行う。まず、図1(a)に示す混練工程により、アルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを92:8〜98:2の割合でバインダを添加しながら混練する。この混練工程は二機の攪拌羽根10を備えた加圧ニーダー11などを用いることができる。ここで、アルミナ粉末としては粒径が0.3〜1μmのものを用いるのが好ましい。粒径が1μmよりも大きなアルミナ粉末を利用すると、粒径が粗いために1600℃程度の焼結が困難になり、焼結後のアルミナ基板に空孔が存在して吸水率が高くなる恐れがあり、これにより、より高温に対応した高価な焼結炉を使用する必要があり、設備投資費が高くなる恐れがある。また、粒径が0.3μmよりも小さなアルミナ粉末を利用すると、比表面積が大きくなるために成形材料の流動性が悪くなり、成形材料の混練や成形が困難になる恐れがある。また、アルミナ粉末と硫酸バリウムの粉末を予め乾式で混ぜた後、バインダを加えて混練する場合は、アルミナ粉末は粒径が小さく凝集しやすいので、硫酸バリウム粉末と均一に混ぜるのは困難であり、さらに、粉末の乾式混合工程とバインダとの混練工程との2つの工程が必要になる。しかし、上記本発明の方法では、アルミナ粉末とバインダを混練する際に硫酸バリウム粉末を一緒に混合・混練するので、混練工程で十分大きなせん断応力を働かせることができ、偏りなく均等に硫酸バリウム粉末を混合することができて均一な成形材料を得ることができ、反射率などの特性が均一なアルミナ基板を得ることができるものであり、しかも、予めアルミナ粉末と硫酸バリウム粉末を乾式混合する必要がなく、生産性が向上するものである。尚、硫酸バリウム粉末の粒径は特に設定されないが、使用するアルミナ粉末と同程度のものを用いるのが好ましい。また、バインダの配合量は特に設定されないが、アルミナ粉末と硫酸バリウム粉末の合計量100質量部に対して15〜25質量部にするのが好ましい。
上記のようにアルミナ粉末と硫酸バリウム粉末及びバインダを混練して成形材料(ペレット)18を調製した後、図1(b)に示す成形工程により、射出成形機12を用いて成形材料を所定の型13内に射出成形して成形体(グリーン体)14を成形する。ここで、成形条件は適宜設定可能であるが、例えば、成形圧が15〜50MPa、成形温度が120〜190℃とすることができるが、これに限定されるものではない。
次に、図1(c)に示す脱脂工程により、成形体14中に含まれているバインダを分解する。この脱脂工程は必要に応じて行えばよく、不要であれば行う必要はない。脱脂工程はセッター15を用いて成形体14を多段に積み上げ、これを脱脂炉16で加熱して行うことができる。加熱条件は適宜設定可能であるが、例えば、最高温度を400〜650℃、最高温度での保持時間を0〜3時間とすることができるが、これに限定されるものではない。
次に、図1(d)に示す焼結工程により、成形体(脱脂処理を行なった場合は脱脂体である成形体)14を焼結炉17内でアルミナ粉末の焼結温度で加熱する。焼結工程はセッター15を用いて成形体14を多段に積み上げ、これを焼結炉17で加熱して行うことができる。加熱条件は適宜設定可能であるが、例えば、最高温度を1500〜1650℃、加熱時間を0.5〜4時間とすることができるが、これに限定されるものではない。このようにして本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板Aを製造することができる。そして、このアルミナ基板にスパッタリングや蒸着などの物理蒸着法により金属層2を形成し、3次元成形基板等の半導体装置用の基板を形成することができる。
本発明では、硫酸バリウムを2質量%以上含有させることにより、反射率を大幅に向上させることができる。また、硫酸バリウムを6質量%以下含有することにより、吸水率の上昇を抑えることができ、光電気変換素子実装用の基板として問題が生じないようにすることができる。
上記の製造方法において、焼結工程後に光電気変換素子実装用アルミナ基板Aの表面を清浄化するために焼結炉17内で光電気変換素子実装用アルミナ基板Aを加熱処理する工程(バーンアウト工程)を備えるのが好ましい。これにより、アルミナ基板Aの表面に吸着された有機物などの不純物を除去することができる。この加熱処理工程時の加熱温度は硫酸バリウムの分解温度以下にするのが好ましく、具体的には800〜1100℃で行うことができる。これにより、硫酸バリウムの分解を抑えて反射率が低下しないようにしながら、清浄化を図ることができるものである。
図2に示すように、本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板Aにおいて、厚み1〜300μmの表層1を設け、この表層1の硫酸バリウムの含有率を他の部位(表層1以外の内部)3よりも小さくするのが好ましく、表層1の表面に物理蒸着法により金属層2を形成することができる。上記のように、硫酸バリウムを含有することにより、光の反射率を向上させることができるが、一方、金属層2と本発明のアルミナ基板Aとの密着力が低減し、金属層2の剥がれ等の問題が生じやすい。そこで、アルミナ基板Aに金属層2を形成するための高純度アルミナ層として表層1を設けるのが好ましく、これにより、図2に示すように、表層1とその他の部位3との境界部分において光Cを反射させることができ、光Cの反射率を確保することができ、しかも、金属層2との密着力に影響を及ぼす表層1の硫酸バリウムの含有率を他の部位よりも小さくするために、表層1と金属層2との密着力を向上させることができる。表層1の厚みが1μm未満であると、金属層2の密着力を向上させることが難しくなり、表層1の厚みが300μmより大きくなると、反射率が低下する恐れがある。また、表層1の硫酸バリウムの含有率は表層1以外の部位3の硫酸バリウムの含有率の1/10〜1/2にすることができる。
上記のような表層1を形成するにあたっては、焼結工程後にさらに溶剤処理工程を行うようにする。すなわち、焼結工程後に得られる焼結体を強酸性溶液である濃硫酸溶液などに浸漬するなどして焼結体の表面の硫酸バリウムを溶出させて表層1を形成することができる。強酸性溶液が濃硫酸溶液である場合は濃度が10〜25%の水溶液を用いることができ、また処理時間は10〜60分とすることができるが、これらに限定されるものではない。このようにして上記のような表層1を有する光電気変換素子実装用アルミナ基板を容易に生産性良く製造することができる。また、表層1の表面粗さを粗くすることができるので、金属層2を表層1の表面に形成したときの密着力を向上させることができる。
また、高純度アルミナ層の表層1を形成する他の方法としては、上記溶剤処理工程の代わりに、焼結体にスパッタ処理を施すことができる。このアルミナスパッタ処理工程を用いた場合では、表層1の厚さを精度良くコントロールすることができるものである。また、マスクを用いることで、必要な領域のみに高純度アルミナ層を形成することが可能である。このような表層1は例えばECRスパッタ装置を用いて、アルミニウムをターゲットにして反応性スパッタを行って生成することができる。
上記のような本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板Aの表面に電気回路などの金属層2を形成するにあたっては次のようにして行う。まず、図3(a)に示すように、本発明のアルミナ基板Aの表面に導電性薄膜20を全面に亘って形成する。この導電性薄膜20は、厚み0.1〜1μmの銅で形成することができるが、これに限定されるものではない。次に、所望の回路パターン部22の輪郭のみに、YAGレーザの第3高調波(THG−YAG)などの電磁波を照射して除去部21を形成する。除去部21では導電性薄膜20が除去されてアルミナ基板Aの表面が露出している。次に、図3(b)に示すように、回路パターン部22上に電気めっきによって銅などの金属を付着して金属層2を形成する。次に、図3(c)に示すように、金属層2以外の導電性薄膜20をすべて除去することによって、アルミナ基板Aの表面に電気回路などの金属層2を形成することができる。
上記のような電気回路の形成方法では、立体形状を有する3次元基板にも容易に回路形成が可能である。また、電磁波照射プログラムを変更するだけで回路パターンの変更ができるために回路パターンの形状変更を容易に行うことができる。例えば、グリーンシートにタングステンペーストで回路を描いてから焼結する同時焼結法の場合、焼結時に回路パターンは基板と一緒に収縮するために、高い回路パターン精度を得ることは難しい。しかし、上記の回路形成方法では焼結後の基板にレーザで回路パターン部22を形成するために、高い回路パターン精度を得ることができるものである。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
[成形材料]
以下の材料を質量比が粉末原料:バインダ=100:20となるように加圧ニーダーに入れて混練し、ペレットを作成した。粉末原料の質量比をアルミナ粉末:硫酸バリウム粉末=100:0〜92:8の間で変化させ、複数のペレットを作成した。
粉末原料
アルミナ粉末(AES−11、住友化学製、平均粒径Φ0.5μm)
硫酸バリウム粉末(キシダ化学製)
バインダ
ポリスチレン…60wt%
パラフィンワックス…20wt%
ステアリン酸…20wt%
[成形工程]
射出成形機(ROBOSHOT−α50iAp,FANUC製)を用い、樹脂温度180℃、金型温度20℃、射出率40cc/sの成形条件で成形することにより、上記のペレットから40mm×30mm×2mmの矩形状の成形体を得た。
[脱脂工程]
脱脂炉の炉内温度を室温から550℃まで72時間かけて昇温させることで、上記成形体を脱脂し、脱脂体を得た。
[焼結工程]
焼結炉の炉内温度を室温から1600℃まで10時間かけて昇温させ、その後、1600℃で1時間保持することにより上記脱脂体を焼結し、焼結体を得た。
上記焼結体として得られた本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板の反射率を計測した。この計測は、紫外・可視分光光度計(UV3100PC,島津製作所製)を使用し、波長460nmの光に対する焼結体の反射率を計測した。
また、上記焼結体として得られた本発明の光電気変換素子実装用アルミナ基板の吸水率を計測した。この計測は、電子天秤を使用してJIS C−2141に準拠して焼結体の乾燥質量、水中質量、飽水質量を計測し、吸水率を算出した。
図4(a)にグラフで示すように、2wt%以上の硫酸バリウムを含有することで本発明の反射率は向上する。一方、図4(b)に示すように、硫酸バリウムを含有させると、吸水率は上昇するが、硫酸バリウムの含有率が6wt%以下では吸水率はほぼゼロであり、実用上問題とならない程度の基板品質を保つことができる。
(実施例2)
[焼結体の作成]
実施例1と同様にして焼結体を得た。但し、原料粉末の質量比は、アルミナ:硫酸バリウム=96:4の1種類のみとした。
[溶剤処理工程]
上記焼結体を濃硫酸溶液に浸漬し、表層部の硫酸バリウムを溶出させることで、焼結体に高純度アルミナ層である表層を形成した。この時、濃硫酸溶液の濃度や浸漬時間を変えることで、表層の厚みの異なるサンプルを作成した。
上記のようにして得られた本発明のサンプルについて、ピール強度を計測した。この場合、以下の手順に従った。
[加熱処理工程]
各サンプルを温度1000℃、保持時間1時間の条件で加熱処理して表面を清浄化した。
[導電性薄膜の形成]
上記清浄化したサンプル(表層を有する焼結体)をプラズマ処理し、さらにDCマグネトロンスパッタリング装置を使用して導電性薄膜を表層の表面に形成した。プラズマ処理は、まず、サンプルをプラズマ処理装置のチャンバ内にセットし、チャンバ内を10−4Pa程度に減圧した後、150℃で3分間、サンプルを予備加熱した。その後、チャンバ内に酸素ガスを流通させると共に、チャンバ内のガス圧を10Pa程度に制御する。そして、電極間に1kWの高周波電力(RF:13.56MHz)を300秒間印加することによって、プラズマ処理を行なった。次に、チャンバ内の圧力を10−4Pa以下にし、この状態でチャンバ内にアルゴンガスを0.6Paのガス圧になるように導入した後、さらに500Vの直流電圧を印加することによって、銅ターゲットをボンバートし、サンプルの表層の表面に300nm程度の膜厚の銅による導電性薄膜を形成した。
[回路パターンの形成]
大気中でYAGレーザーの第3高調波(THG−YAGレーザ)を使用し、平均出力6W、スポット径40μm、走査速度毎秒200mmで、上記のサンプルの表面の導電性薄膜に5mm間隔で平行にレーザーを走査して回路パターンを形成した。
[めっき]
上記のようにしてレーザで回路パターンを形成した後、この回路パターンの表面に電解めっきにより銅めっきを施して厚さ約15μmの金属層(金属膜)を形成した。
そして、この金属層を形成したサンプルに対して剥離強度試験(90度ピール試験)によりピール強度を計測した。剥離強度試験は、万能材料試験機(オートグラフAG10TD、島津製作所製)を用い、室温・大気雰囲気下で試験速度毎秒50mmの一定速度で行なった。そして、JIS C−6481に準拠して、単位幅あたりの引き剥がし強度(90度ピール強度)を算出した。
図5に示すグラフから明らかなように、サンプルの反射率については、表層(高純度アルミナ層)が厚くなると低下する傾向にあるが、膜厚300mm以下の領域では反射率は70%以上確保できるため、実用上問題とならなかった。また、ピール強度に関しては、表層が厚くなるとピール強度は向上した。表層の厚みが1μm以上の領域で、実用上問題とならないレベル(0.6N/mm)以上を確保することができた。
(実施例3)
実施例1と同様にして焼結体を得た。但し、原料粉末の質量比は、アルミナ:硫酸バリウム=96:4の1種類のみとした。また、原料アルミナ粉末として、平均粒径の異なる各種のものを用いて各種の成形材料を調製した。
上記各種の成形材料について、流動性の計測を行なった。この場合、フローテスター(CFT−500D、島津製作所製)を使用し、ダイス形状が直径1mm、長さ1mmとし、荷重0.98MPaとして流動性を計測した。そして、180℃における計測値が0.1ml/s以上であるものを良とし、0.1ml/s未満のものを不良とした。
また、上記各種の成形材料から得られる焼結体について、実施例1と同様にして吸水率を計測した。
図6に示すグラフから明らかなように、成形材料の流動性に関しては、アルミナ粉末の粒径0.3μm以上の場合、実用上問題ないレベル(0.1ml/s)を確保することができた。一方、焼結体の吸水性については、アルミナ粉末の粒径1μm以下の場合に吸水率がほぼゼロであって、実用上問題とならないレベルであった。
(実施例4)
実施例2と同様にして焼結体を得た。但し、焼結体を濃度15%の濃硫酸溶液に浸漬することにより、厚み10μmの表層(高純度アルミナ層)を形成した。この表層の硫酸バリウムの含有率は他の部分の含有率の1/5であった。
また、実施例2と同様にして、ピール強度計測用のサンプルを作成し、ピール強度を計測した。但し、加熱処理工程については、加熱処理なし、1000℃×1h(時間)、1400℃×1h(時間)の3種類で実施した。
図7に示すグラフで明らかなように、加熱処理によりピール強度が向上した。また、硫酸バリウムの分解温度以下で加熱処理を実施することで、反射率の低下を抑制することができた。
本発明の実施の形態の一例を示し、(a)〜(d)は断面図である。 同上の一部を示す断面図である。 同上の回路形成工程を示し、(a)〜(c)は一部の斜視図である。 同上の実施例1において、(a)は硫酸バリウムの含有率に対する本発明の反射率の変化を示すグラフ、(b)は硫酸バリウムの含有率に対する本発明の吸水率の変化を示すグラフである。 同上の実施例2において、高純度アルミナ層(表層)の厚みに対する本発明の反射率の変化とピール強度の変化を示すグラフである。 同上の実施例3において、アルミナ粉末の粒径に対する成形材料の流れ性の変化と本発明の吸水率の変化を示すグラフである。 同上の実施例4において、(a)は加熱処理工程の条件に対する本発明のピール強度の変化を示すグラフ、(b)は加熱処理工程の条件に対する本発明の反射率の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 表層
2 金属層
3 他の部位
14 成形体
18 成形材料
A 光電気変換素子実装用アルミナ基板

Claims (5)

  1. 硫酸バリウムの含有率が2〜6質量%であることを特徴とする光電気変換素子実装用アルミナ基板。
  2. 物理蒸着法により金属層を形成するための表層を有し、この表層の厚みを1〜300μmにすると共に表層の硫酸バリウムの含有率を他の部位よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載の光電気変換素子実装用アルミナ基板。
  3. 請求項1に記載の光電気変換素子実装用アルミナ基板を製造する方法であって、粒径が0.3〜1μmのアルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを質量比94:6〜98:2の割合でバインダを配合しながら混練する工程と、射出成形機を用いて前記混練して得られた成形材料を所定の型内に射出成形して成形体を成形する成形工程と、成形体を焼結炉内でアルミナ粉末の焼結温度で加熱する焼結工程とを備えることを特徴とする光電気変換素子実装用アルミナ基板の製造方法。
  4. 焼結工程後に表面を清浄化するための加熱処理工程を備え、この加熱処理工程時の加熱温度を硫酸バリウムの分解温度以下にすることを特徴とする請求項3に記載の光電気変換素子実装用アルミナ基板の製造方法。
  5. 請求項2に記載の光電気変換素子実装用アルミナ基板を製造する方法であって、アルミナ粉末と硫酸バリウム粉末とを質量比94:6〜98:2の割合でバインダを配合しながら混練する工程と、射出成形機を用いて前記混練して得られた成形材料を所定の型内に射出成形して成形体を成形する成形工程と、成形体を焼結炉内でアルミナ粉末の焼結温度で加熱する焼結工程と、表層の硫酸バリウムを除去するために強酸性溶液にて溶剤処理する溶剤処理工程とを備えることを特徴とする光電気変換素子実装用アルミナ基板の製造方法。
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