JP2006062791A - リフティングマグネット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱放散性や絶縁性に優れ、注入時の樹脂内の気泡発生や通電時のコイルの温度上昇を抑制することが可能なリフティングマグネット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 励磁用のコイル1と、このコイル1の内外に配置された内極2及び外極3からなる磁極と、前記内極2と外極3とを連結するヨーク4と、前記コイル1の押さえとなる底板5と、前記コイル1の絶縁及び固定のために注入される注型樹脂6とを備えたリフティングマグネット10において、前記注型樹脂6は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とから構成されており、前記注型樹脂6の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であることを特徴とするリフティングマグネット10を用いる。この注型樹脂6は適度な粘度を有するので、真空含浸法によって注入可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】 励磁用のコイル1と、このコイル1の内外に配置された内極2及び外極3からなる磁極と、前記内極2と外極3とを連結するヨーク4と、前記コイル1の押さえとなる底板5と、前記コイル1の絶縁及び固定のために注入される注型樹脂6とを備えたリフティングマグネット10において、前記注型樹脂6は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とから構成されており、前記注型樹脂6の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であることを特徴とするリフティングマグネット10を用いる。この注型樹脂6は適度な粘度を有するので、真空含浸法によって注入可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、 リフティングマグネット及びその製造方法に関する。
従来、製鉄所などでスクラップ等の鋼材を吊り上げて搬送する際に、リフティングマグネットが用いられている。この種のリフティングマグネットは、ヨークと、励磁用のコイルと、このコイルの内外に配置された内極及び外極からなる磁極と、前記コイルの押さえとなる底板と、前記コイルの絶縁及び固定のために注入される注型樹脂とを備える。コイルは、内極と外極とヨークと底板とによって囲まれた空間に装着され、前記空間には、注型樹脂の注入によって隙間が充填される。注型樹脂は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤とから構成される。リフティングマグネットの製造に際しては、コイルの周囲にヨークと内極及び外極を組み立て、注型樹脂を充填し、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、底板を固定して完成する。また、コイルの周囲に底板と内極及び外極を組み立て、注型樹脂を充填し、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、ヨークを固定して完成する手順もある。
ところで、従来のリフティングマグネットにおいては、注型樹脂の熱伝導率が金属に比べて低いため、コイル内に発生した熱が放熱されにくく、注型樹脂の内部で大きな温度勾配を有し、コイルが極めて高温となることがある。その結果、起磁力が低下し、リフティングマグネットの性能を低下させている。
コイル内で発生した熱を放散させる従来技術としては、以下に列挙した方法(1)〜(3)が挙げられる。
(1)コイルカバーの上面に複数のリブを形成して表面積を広げる(特許文献1参照)。
(2)コイルの内部に冷却パイプを設ける(特許文献2参照)。
(3)高温となる鋼材を吊り上げる場合に、鋼材側には熱伝導度の小さい材料を充填し、ヨーク側には熱伝導度の大きい材料を充填する(特許文献3参照)。
特開平11−349272号公報
実全昭63−182511号公報
特開平10−231085号公報
(1)コイルカバーの上面に複数のリブを形成して表面積を広げる(特許文献1参照)。
(2)コイルの内部に冷却パイプを設ける(特許文献2参照)。
(3)高温となる鋼材を吊り上げる場合に、鋼材側には熱伝導度の小さい材料を充填し、ヨーク側には熱伝導度の大きい材料を充填する(特許文献3参照)。
しかしながら、上記の方法(1)〜(3)では、それぞれ下記の問題(1)〜(3)があるため、実用的ではない。
(1)コイルカバー上面にリブを設けたとしても、コイルの内部から熱を放散させやすい構造にしなければ、コイル内部の熱の放散には役立たず、温度勾配を改善できない。
(2)冷却パイプを設けると内部構造が複雑になり、メンテナンスも面倒になる。また、コストも増大する。
(3)2種類の充填用材料を部位に応じて使い分けるため、製造工程数が増える上、コイルの内部まで材料を浸透させにくい。熱伝導性の高い材料として、アルミナ粉末を配合したエポキシ樹脂が例示されているが、アルミナは沈降性が大きいため、注型樹脂層の上部と下部とでアルミナの充填率にばらつきが生じ、アルミナの充填率が低くなった側の熱伝導性が悪くなる。
(1)コイルカバー上面にリブを設けたとしても、コイルの内部から熱を放散させやすい構造にしなければ、コイル内部の熱の放散には役立たず、温度勾配を改善できない。
(2)冷却パイプを設けると内部構造が複雑になり、メンテナンスも面倒になる。また、コストも増大する。
(3)2種類の充填用材料を部位に応じて使い分けるため、製造工程数が増える上、コイルの内部まで材料を浸透させにくい。熱伝導性の高い材料として、アルミナ粉末を配合したエポキシ樹脂が例示されているが、アルミナは沈降性が大きいため、注型樹脂層の上部と下部とでアルミナの充填率にばらつきが生じ、アルミナの充填率が低くなった側の熱伝導性が悪くなる。
その他、コイルの周囲にヨークと内極及び外極を組み立て、注型樹脂を充填し、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、底板を固定してリフティングマグネットを完成した場合(ヨークと底板の取付順序を逆にしても良い)、従来の充填剤入り注型樹脂は、隙間を埋めることを前提としているため、粘度が高くペーストに近い状態になっている。しかし、このような充填剤入り注型樹脂を注入すると、粘度が高すぎるため気泡ができやすく、気泡を通る経路で電気抵抗が低下し、絶縁性に問題を生じるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱放散性や絶縁性に優れ、注入時の樹脂内の気泡発生や通電時のコイルの温度上昇を抑制することが可能なリフティングマグネット及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、励磁用のコイルと、このコイルの内外に配置された内極及び外極からなる磁極と、前記内極と外極とを連結するヨークと、前記コイルの押さえとなる底板と、前記コイルの絶縁及び固定のために注入される注型樹脂とを備えたリフティングマグネットであって、前記注型樹脂は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とから構成されており、前記注型樹脂の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であることを特徴とするリフティングマグネットを提供する。
このリフティングマグネットにおいて、前記注型樹脂中の充填剤の添加率は、50〜60質量%であることが好ましい。
また本発明は、励磁用のコイルと、このコイルの内外に配置された内極及び外極からなる磁極と、前記内極と外極とを連結するヨークと、前記コイルの押さえとなる底板と、前記コイルの絶縁及び固定のために注入される注型樹脂とを備えたリフティングマグネットの製造方法であって、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とを用いて熱伝導率が0.4W/(m・K)以上となるように構成された注型樹脂を、真空含浸法により注入することを特徴とするリフティングマグネットの製造方法を提供する。
このリフティングマグネットにおいて、前記注型樹脂中の充填剤の添加率は、50〜60質量%であることが好ましい。
また本発明は、励磁用のコイルと、このコイルの内外に配置された内極及び外極からなる磁極と、前記内極と外極とを連結するヨークと、前記コイルの押さえとなる底板と、前記コイルの絶縁及び固定のために注入される注型樹脂とを備えたリフティングマグネットの製造方法であって、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とを用いて熱伝導率が0.4W/(m・K)以上となるように構成された注型樹脂を、真空含浸法により注入することを特徴とするリフティングマグネットの製造方法を提供する。
本発明のリフティングマグネットによれば、注型樹脂の充填剤として用いられるシリカは沈降性が低いので、注型樹脂中の充填剤の分布がばらつきにくい。適度に粘度の注型樹脂を用いることにより、注入時の気泡発生も抑制され、絶縁性に優れた注型樹脂層が得られる。充填剤無添加の場合に比べて、注型樹脂の熱伝導率が充分に高くなっているので、通電時のコイルの温度上昇を抑制することができる。
本発明のリフティングマグネットの製造方法によれば、適度な粘度を有する注型樹脂を真空含浸によって充填するので、コイルの内部まで樹脂を含浸することが可能であり、コイル内部における絶縁性や熱放散性を向上させることが可能となる。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明のリフティングマグネットの一形態例を示す縦断面図である。図1に示すリフティングマグネット10は、従来のリフティングマグネットと同様に、励磁用のコイル1と、このコイル1の内外に配置された内極2及び外極3からなる磁極と、磁極2,3が固定されるヨーク4と、前記コイル1の押さえとなる底板5と、前記コイル1の絶縁及び固定のために注入される注型樹脂6とを備える。
図1は、本発明のリフティングマグネットの一形態例を示す縦断面図である。図1に示すリフティングマグネット10は、従来のリフティングマグネットと同様に、励磁用のコイル1と、このコイル1の内外に配置された内極2及び外極3からなる磁極と、磁極2,3が固定されるヨーク4と、前記コイル1の押さえとなる底板5と、前記コイル1の絶縁及び固定のために注入される注型樹脂6とを備える。
ヨーク4は、磁性材料から構成され、コイル1の片側(図1の上側)において内極2と外極3とを連結する。
底板5は、コイル1に対してヨーク4が設けられた側とは反対の側でコイル1の抑えとして機能し、例えばステンレスなどの非磁性材料で製作することができる。
コイル1は、内極2と外極3とヨーク4と底板5とによって囲まれた空間に装着されており、この空間には、注型樹脂6の注入によって隙間が充填される。
底板5は、コイル1に対してヨーク4が設けられた側とは反対の側でコイル1の抑えとして機能し、例えばステンレスなどの非磁性材料で製作することができる。
コイル1は、内極2と外極3とヨーク4と底板5とによって囲まれた空間に装着されており、この空間には、注型樹脂6の注入によって隙間が充填される。
この種のリフティングマグネット10においては、コイル1が通電されたときに、コイル1内に配置された内極2に磁界が発生する。コイル1に対してヨーク4が設けられた側とは反対の側に、図示しない吊り下げ対象物(鋼材など)が配置されると、コイル1より発生した磁界は、内極2、ヨーク4、外極3、吊り下げ対象物を通過する磁束が発生して、大きな吸着力が得られる。
本発明において、注型樹脂6は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、充填剤とから構成される。充填剤が添加されない従来の注型樹脂では、熱伝導率は約0.2W/(m・K)である。そこで、エポキシ樹脂よりも熱伝導率が高い充填剤を添加することにより、注型樹脂全体としての熱伝導率を向上することができる。
注型樹脂6に用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
注型樹脂6に用いられる硬化剤は、特に限定されるものではなく、使用するエポキシ樹脂の種類などに応じて適宜選択すればよい。硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤などが挙げられる。
注型樹脂6に用いられる促進剤(硬化促進剤)は、特に限定されるものではなく、使用するエポキシ樹脂や硬化剤の種類などに応じて適宜選択すればよい。促進剤としては、例えば、第3級アミン型硬化促進剤やイミダゾ−ル化合物などが挙げられる。
注型樹脂6に用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
注型樹脂6に用いられる硬化剤は、特に限定されるものではなく、使用するエポキシ樹脂の種類などに応じて適宜選択すればよい。硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤などが挙げられる。
注型樹脂6に用いられる促進剤(硬化促進剤)は、特に限定されるものではなく、使用するエポキシ樹脂や硬化剤の種類などに応じて適宜選択すればよい。促進剤としては、例えば、第3級アミン型硬化促進剤やイミダゾ−ル化合物などが挙げられる。
注型樹脂に添加される充填剤の種類としては、アルミナ、ベリリヤ、窒化アルミ等が考えられるが、アルミナは沈降しやすいので、樹脂を硬化させているうちに充填剤が下部に沈降し、硬化後には上部側がエポキシ樹脂の比率が高くなってしまい、熱伝導率の悪い部分が生じてしまう。ベリリヤおよび窒化アルミは非常に高価であるため、コスト増となり、実用的ではない。そのため、本発明で用いられる注型樹脂6においては、沈降性が低く、汎用性があり、比較的廉価に入手可能なシリカを用いる。
ここで、注型樹脂中の充填剤の添加率は、下記の式により求められる。
ここで、注型樹脂中の充填剤の添加率は、下記の式により求められる。
添加率(質量%)=(充填剤の量)/(充填剤を含む注型樹脂の全量)×100
解析結果によれば、注型樹脂の熱伝導率は約0.4W/(m・K)以上であることが好ましい。そこで、注型樹脂に添加されるシリカの添加率は、50質量%以上であることが好ましい。図2に示すように、シリカの添加率が50質量%以上であれば、注型樹脂の熱伝導率を約0.4W/(m・K)以上とすることができる。シリカの添加率が50質量%未満であると、注型樹脂6の熱伝導率を増加させる効果が小さくなり、好ましくない。
しかし、シリカの添加率が高いと、熱伝導率の向上には有利であるが、粘度が高くなり真空含浸が困難になったり、気泡ができやすくなる等の問題が生じる。含浸時に注型樹脂を加温すれば粘度を低下させて注型性を改善することが可能であるが、シリカの添加率が余りに多い場合は、加温しても粘度低下の効果が得られない。また、加温する温度があまり高すぎると、含浸前にエポキシ樹脂の硬化が開始してしまうという不都合もある。
そのため、硬化前の注型樹脂6は、80℃以下の加温によって、粘度を2Pa・s以下に低下できることが好ましい。そこで、注型樹脂に添加されるシリカの添加率は、60質量%以下であることが好ましい。図3に示すように、シリカの添加率が60質量%以下であれば、80℃以下の加温によって、粘度を2Pa・s以下に低下させることができる。シリカの添加率が60質量%を超えると、注型樹脂6の粘度が高くなり、好ましくない。
以上から、注型樹脂6中に添加されるシリカの添加率は、50〜60質量%の範囲内であることが望ましい。
しかし、シリカの添加率が高いと、熱伝導率の向上には有利であるが、粘度が高くなり真空含浸が困難になったり、気泡ができやすくなる等の問題が生じる。含浸時に注型樹脂を加温すれば粘度を低下させて注型性を改善することが可能であるが、シリカの添加率が余りに多い場合は、加温しても粘度低下の効果が得られない。また、加温する温度があまり高すぎると、含浸前にエポキシ樹脂の硬化が開始してしまうという不都合もある。
そのため、硬化前の注型樹脂6は、80℃以下の加温によって、粘度を2Pa・s以下に低下できることが好ましい。そこで、注型樹脂に添加されるシリカの添加率は、60質量%以下であることが好ましい。図3に示すように、シリカの添加率が60質量%以下であれば、80℃以下の加温によって、粘度を2Pa・s以下に低下させることができる。シリカの添加率が60質量%を超えると、注型樹脂6の粘度が高くなり、好ましくない。
以上から、注型樹脂6中に添加されるシリカの添加率は、50〜60質量%の範囲内であることが望ましい。
従来、充填剤が添加された注型樹脂を用いる場合、流し込みによって充填作業が行われる。しかしながら、流し込みではコイル1の内部まで樹脂を注入することが難しい。これに対して、真空含浸法を用いて注型樹脂の充填を行うと、コイル1の内部まで樹脂を注入させることが可能となるため、コイル1の絶縁性に優れたリフティングマグネット10を得ることができる。
従来、真空含浸法による樹脂の充填は、回転機などでは一般的に使用されているが、リフティングマグネットの製造にはあまり利用されてはいない。この理由は、従来の充填剤が添加された注型樹脂の場合、粘度が高くて真空含浸法に適していないためである。そこで、本発明においては、上述した組成の注型樹脂を使用することにより、真空含浸法をリフティングマグネットの製造に適用することを可能とした。
さらに、真空含浸法の前には、上述したように、注型樹脂を加温しておくと、粘度を低下させることができるので、好ましい。
注型樹脂の配合に当たっては、配合に先立ってエポキシ樹脂や充填剤等の成分ごとに恒温炉などで一旦加熱しておき、充填剤の添加率が50〜60質量%になるように配合した後、恒温炉などによって再度所望の温度(70℃以上)に加温する。
従来、真空含浸法による樹脂の充填は、回転機などでは一般的に使用されているが、リフティングマグネットの製造にはあまり利用されてはいない。この理由は、従来の充填剤が添加された注型樹脂の場合、粘度が高くて真空含浸法に適していないためである。そこで、本発明においては、上述した組成の注型樹脂を使用することにより、真空含浸法をリフティングマグネットの製造に適用することを可能とした。
さらに、真空含浸法の前には、上述したように、注型樹脂を加温しておくと、粘度を低下させることができるので、好ましい。
注型樹脂の配合に当たっては、配合に先立ってエポキシ樹脂や充填剤等の成分ごとに恒温炉などで一旦加熱しておき、充填剤の添加率が50〜60質量%になるように配合した後、恒温炉などによって再度所望の温度(70℃以上)に加温する。
リフティングマグネット10の製造に際しては、コイル1の周囲に内極2、外極3及びヨーク4を組み立てておき、これらの構成要素も予め70℃以上で加熱しながら真空引きを行う。所望の真空度(減圧)になったら、リフティングマグネット10の前記構成要素を注型樹脂6の入ったタンクとホースを介して接続する。注型樹脂6の注入はゆっくりと入れるほうが良い。なお、注型樹脂の注入中も、真空引きを継続して行う。注型樹脂6の液面がコイル1よりも高くなった時点で注型樹脂6の注入を一旦中止する。ここで真空引きを継続したまま、注入をしばらく停止することによって、コイル1の内部まで注型樹脂6が入り込む。
さらに注型樹脂6の注入を再開して、注型樹脂6をリフティングマグネット10の内部に完全に注入させる。注入完了後、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、底板5を固定してリフティングマグネット10を完成する。
なお、リフティングマグネット10の各構成要素の組立手順は上記の手順に限定されるものではなく、他にも、例えば、コイル1の周囲に内極2、外極3及び底板5を組み立て、注型樹脂6を充填し、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、ヨーク4を固定して完成する手順もある。
さらに注型樹脂6の注入を再開して、注型樹脂6をリフティングマグネット10の内部に完全に注入させる。注入完了後、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、底板5を固定してリフティングマグネット10を完成する。
なお、リフティングマグネット10の各構成要素の組立手順は上記の手順に限定されるものではなく、他にも、例えば、コイル1の周囲に内極2、外極3及び底板5を組み立て、注型樹脂6を充填し、恒温炉などで加熱して樹脂を熱硬化させた後、ヨーク4を固定して完成する手順もある。
上記の方法によって製造された実施例に係るリフティングマグネット10の熱放散性の測定結果を図4に示す。この測定では図4のA−A線に沿って複数の測定位置(図4中、線A−Aに直交する短線により示す)において温度を測定した。
図4のグラフに示すように、従来例のリフティングマグネットと比較すると、コイル1の中心部(図4中の位置4及び位置10に対応する)では、温度低下の効果は約60℃に達した。また、外極3の部分では約30℃の効果が見られた。この測定結果により、本発明のリフティングマグネットは、熱放散性が高く、使用中にコイルの内部温度が上昇しにくく、高い性能をより長時間維持できるものであることが実証された。
図4のグラフに示すように、従来例のリフティングマグネットと比較すると、コイル1の中心部(図4中の位置4及び位置10に対応する)では、温度低下の効果は約60℃に達した。また、外極3の部分では約30℃の効果が見られた。この測定結果により、本発明のリフティングマグネットは、熱放散性が高く、使用中にコイルの内部温度が上昇しにくく、高い性能をより長時間維持できるものであることが実証された。
1…コイル、2…内極、3…外極、4…ヨーク、5…底板、6…注型樹脂、10…リフティングマグネット。
Claims (3)
- 励磁用のコイルと、このコイルの内外に配置された内極及び外極からなる磁極と、前記内極と外極とを連結するヨークと、前記コイルの押さえとなる底板と、前記コイルの絶縁及び固定のために注入される注型樹脂とを備えたリフティングマグネットであって、
前記注型樹脂は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とから構成されており、前記注型樹脂の熱伝導率が0.4W/(m・K)以上であることを特徴とするリフティングマグネット。 - 請求項1に記載のリフティングマグネットにおいて、前記注型樹脂中の充填剤の添加率が50〜60質量%であることを特徴とするリフティングマグネット。
- 励磁用のコイルと、このコイルの内外に配置された内極及び外極からなる磁極と、前記内極と外極とを連結するヨークと、前記コイルの押さえとなる底板と、前記コイルの絶縁及び固定のために注入される注型樹脂とを備えたリフティングマグネットの製造方法であって、
エポキシ樹脂と、硬化剤と、促進剤と、シリカからなる充填剤とを用いて熱伝導率が0.4W/(m・K)以上となるように構成された注型樹脂を、真空含浸法により注入することを特徴とするリフティングマグネットの製造方法。
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Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20071106 |