JP2006062352A - ラミネートシートの製造装置、ラミネートシートの製造方法、およびラミネートシートロール - Google Patents

ラミネートシートの製造装置、ラミネートシートの製造方法、およびラミネートシートロール Download PDF

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Atsuya Fujinaga
淳矢 藤永
Shusuke Ueno
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Abstract

【課題】高精度かつ連続的に貼り合わせることのできるラミネートシートの製造装置、またラミネートシートの製造方法、およびラミネートシートロールを提供すること。
【解決手段】透光性を有するシートと他のシートを貼り合わせて、ラミネートシートを製造するに際して、被貼り合わせ材の位置調整手段に対する位置調整命令を、反射率が前記透光性を有するシートよりも大きい検出ロールに該ラミネートシートを導入し、検出ロール上の前記ラミネートシートに光を照射し、前記ラミネートシートおよび検出ロールからの散乱反射光を受光し、電気信号に変換し、演算処理した結果に基づいて発する手段にて行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、透光性を有したシートと他のシートを貼り合わせる技術に関し、特に長尺もののシートを貼り合わせるのに好適である、ラミネートシートの製造装置、ラミネートシートの製造方法、およびラミネートシートロールを提供するものである。本発明によれば、精度のよいラミネートが実現できる。
半導体素子実装用キャリアテープの製造装置やフィルム同士のラミネート等の従来のラミネートシートの製造装置において、2種以上の被貼り合わせ材をラミネートする際に、その幅方向の位置精度を調整することは、品位や収率に影響する重要な課題である。この幅方向の位置関係を調整して貼り合わせる手段として、ラミネートシートに向かって照明し、その反射光を利用して貼り合わせ状態を検出し、位置調整手段にフィードバックする光学的な手段が使用されている。そのような方法として例えば、検出ロール上のラミネートシートに蛍光ランプ、あるいはハロゲンランプ等の光源から光を照射し、ラミネートシートから受ける正反射光を受光し、その結果に基づいて貼り合わせ位置を検出するものが知られている(特許文献1参照)。
一方で、半導体素子実装用キャリアテープの技術領域では、近年、電子機器の小型化、軽量化、高機能化に伴い、内部回路も高密度化、高精細化している。このため、半導体用途などで使用される接着剤付き積層フィルムとしても年々要求される精度は厳しくなってきている。しかしながら、従来のラミネート装置では、貼り合わせ位置精度を保つことは十分とは言えなくなってきており、次工程における配線の脱落等の品質トラブルを招き、収率低下等の問題が発生するおそれがあった。この問題は、従来装置の貼り合わせ位置の検出精度が十分ではないことに原因があり、貼り合わせ位置の検出機構の改善が必要となってきている。
特開平9−5020号公報(段落0006)
本発明は、要求される貼り合わせ位置精度が厳しくなったとしても、高精度かつ連続的な貼り合わせのできるラミネートシートの製造装置およびラミネートシートの製造方法を提供し、ならびに高い位置精度で被貼り合わせ材が貼り合わされたラミネートシートロールを提供することを目的とする。
本発明のラミネートシート製造装置は、透光性のあるシートと他のシートを貼り合わせるラミネートシートの製造装置であって、該装置は、該透光性のあるシートと他のシートを供給するシート供給手段と、該透光性のあるシートと他のシートを貼り合わせる貼り合わせ手段と、該透光性のあるシートまたは他のシートの幅方向の位置を調整する位置調整手段と前記貼り合わせ手段より後に具備される該ラミネートシートの貼り合わせ状態を検出する検出手段と該検出手段からの信号によって該位置調整手段に位置調整命令を発する演算手段とを少なくとも有し、該検出手段は前記透光性のあるシートの反射率よりも大きい反射率を有する検出ロールと、該検出ロール上の該ラミネートシートに向かって光を照射する照明手段と該ラミネートシートおよび該検出ロールからの散乱反射光を受光し、電気信号に変換・処理する受光機構とを有している。また、好ましくは、検出ロールの反射率が80〜100%であり、また、好ましくは、前記照明手段が、前記検出ロールと前記ラミネートシートの接触面におけるラミネートシート上の接面に対して、20〜90度の範囲に設置され、また、好ましくは、受光機構は検出ロールをはさんで前記照明手段とは反対側に設置され、かつ前記検出ロールと前記ラミネートシートの接触面におけるラミネートシート上の接面に対して、40〜90度の範囲に設置され、また、好ましくは、幅の異なるシートの貼り合わせに好適に用いるものである。
本発明のラミネートシート製造方法は、透光性を有するシートと他のシートを貼り合わせて、ラミネートシートを製造する方法であって、反射率が前記透光性を有するシートよりも大きい検出ロールに該ラミネートシートを導入し、検出ロール上の前記ラミネートシートに光を照射し、前記ラミネートシートおよび検出ロールからの散乱反射光を受光し、電気信号に変換・処理した結果に基づいて前記貼り合わせ前の透光性を有するシート若しくは他のシートの位置を制御してラミネートを行うことを本旨とするものである。
本発明のラミネートシートロールは、透光性を有するシートと他のシートが貼り合わされたラミネートシートロールであって、貼り合わせ位置精度が±0.08mm以下であることを本旨とし、また、好ましく、前記の他のシートは前記の透光性を有するシートとは幅の異なるシートであって、一方のシートの面内にもう一方のシートが貼着されたものである。
本発明によれば、透光性のあるシートと他のシートを、幅方向の所定の位置関係を維持して、高精度かつ連続的に貼り合わせることができる。本発明を用いて製造されたラミネートシートは、貼り合わせ位置精度が高いので、特に半導体素子実装キャリアテープの分野において好適に用いることができ、貼り合わせ位置精度が不十分であることによって生じる回路パターンの精度の低下や配線の脱落などの欠陥の発生を防止することができ、また、ラミネートシートの貼り合わせ位置の不適合による収率低下を防止することができる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明者らは、前記の問題がラミネートシートの製造工程において、貼り合わせ位置情報の検出が十分でない位置検出機構により生じていることを突き止めた。そして、ラミネートシートの製造装置における貼り合わせ位置の検出機構について鋭意検討した結果、表面の反射率が高い検出ロールを用い、かつ散乱反射光を電気信号に変換・処理する検出機構等を用いることにより、高精度かつ連続的に貼り合わせることができることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明のラミネートシートの製造装置は、反射率が被貼り合わせ材の1つである透光性のあるシートの反射率に比べて大きい検出ロールを有し、検出ロール上のラミネートシートに向かって光を照射し、散乱反射光を電気信号に変換・処理して、幅方向のプロファイルを求め、その結果に基づいて、貼り合わせ前の透光性を有するシート若しくは他のシートの位置を調整し、高精度かつ連続的に貼り合わせることができる機構を有している。
シート供給手段は、少なくとも100m以上の長尺のシートを連続的に供給できるものであって、コアに巻かれたロール状のシートをスムーズに巻き出すことに適した手段が好ましい。例えば、ロール状のシートをエアチャックにて巻き出し軸に固定し、巻き出し軸を所定の速度で回転しながらシートを巻き出す、巻き出し装置などがあげられる。
貼り合わせ手段は、少なくとも100m以上の長尺のシートを連続的に貼り合わせることが可能な機構を有していることが好ましく、貼り合わせ方法は特に限定されないが、2本のロール間で加熱圧着する方法や無限ベルト間に挟み込んで加熱押圧する方法などが挙げられる。2本のロールによる圧着が簡便であり好ましい。該2本のロールはラミネート特性の観点から、一方が金属製ロールでもう一方がゴム製ロールであることが好ましい。
位置調整手段は、シートの幅方向の位置をずらすことができれば、特に限定されないが、演算手段からの位置調整信号に対応して高精度な調整が可能な方式が好ましい。例えば、貼り合わせ前に、シートとほぼ同じ幅の溝をもつ鍔付きガイドロールを有し、そのガイドロールを高精度に移動・調整する動力をもつパルスモータ方式があげられる。
演算手段には、検出手段からの貼り合わせ位置に関する電気信号を演算し、位置調整命令に変換する計算機が用いられる。
本発明にかかるラミネートシートの製造装置において、検出ロールは入射光の波長における反射率が後述する透光性のあるシートの反射率に比べて大きい。反射率を該透光性のあるシートよりも大きくすることにより、検出ロールからの散乱反射光を小さくでき、透光性のあるシートやラミネートシートと検出ロールの反射率の差を大きくとることができるので検出感度が向上する。検出ロールの反射率としては、80〜100%であることが好ましい。さらに好ましくは90〜100%である。また透光性のあるシートの反射率よりも、ラミネートシートの反射率の方が小さいことが好ましい。さらに好ましくは、透光性のあるシートの反射率よりも、ラミネートシートの反射率の方が10%以上小さいことである。
ここで、「反射率」とは、JIS(Z 8120)において、「反射光の放射束または光束Φrと入射光の放射束または光束Φiとの比Φr/Φi」と定義されているが、本発明においては、後に説明する接面に対して入射角(入射光と前記接面がなす角)、受光角(反射光と前記接面がなす角)をそれぞれ85〜90度範囲内で、かつ正反射光を受光するように入射角と受光角を同一に光源と受光器を検出ロールに対して配置し、入射光の放射束、反射光の放射束を測定し、上記定義に従い反射率を算出する。なお、透光性のあるシート、ラミネートシートの反射率についても同様の方法で求めることができる。
本発明において、受光機構は散乱反射光を受光する。散乱反射光とは正反射によらない光であり、すなわち、入射角と同一でない角度で反射される光である。図2を用いて説明すると、照明手段からの光軸が後述する接面となす角(入射角)θ1と受光機構に受光される反射光の光軸と前記の接面となす角(受光角)θ2は等しくない。本発明は係る散乱反射光を用いてシートの位置検出を行うことにより高精度に位置検出できる。
一般に反射光はθ2=θ1となる方向の光の強度が強く、|θ2−θ1|が大きくなるにつれ強度が小さくなる。従って、散乱反射光を効率よく受光するためには、入射光の光束は集束されたものであることが好ましく、|θ2−θ1|は正反射光が検出の妨げとならない程度に小さいことが好ましい。例えば、照明手段には集光レンズ、スリットなどの光学系を設けて集束し、また、|θ2−θ1|は、好ましくは3〜90度、さらに好ましくは、30〜70度の範囲となるように照明手段と受光機構を配置する。ここで、上記接面とは、図2で示すところのラミネートシート上の接面14で表された面であり、照射手段からの照射光がラミネートシート上を照らす照射部15の中心点ないし中心線16を含む平面であって、検出ロールに抱かれたラミネートシートに接する面である。
本発明に用いる照明手段に用いる光源としては、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード、レーザー等が好ましく用いられる。特に、受光機構による検出ロール部とラミネートシート部からの散乱反射光のコントラストが明確にできるので、光度の強いハロゲンランプ、メタルハライドランプを用いることが好ましい。また、集束度が高いという点ではレーザー光が好ましい。
受光機構としては、光を電気信号に変える手段(受光器)として、CCDカメラ、MOSカメラ、CMOSカメラ、ビジコンカメラ等が好ましく用いられる。これらのうち安価で種類が多いことにより、CCDカメラを用いることが好ましい。特に一次元のラインセンサが好ましく用いられる。受光機構は該受光器が光電変換を行った電気信号を演算手段に送出する。
本発明においては、照明手段から照射された光は検出ロール上のラミネートシートおよび検出ロールに照射され、その散乱反射光が受光機構に受光される。次に、照明手段と受光機構の好ましい位置関係を図2を用いてさらに詳細に説明する。
照明手段からの照射位置は、検出ロールとラミネートシートが接触している部分であれば特に制限はないが、安定した測定が可能であることから、接触部の長手方向の端部から内側に5〜50mmオフセットした位置を中心線16として照射部15を設定することが好ましい。中心線とは照射部におけるラミネートシートが進行する方向の中央部を結んだ線である。
入射角(θ1)は、ラミネートシート上の接面14に対して、20〜90度であることが好ましい。さらに好ましくは20〜50度である。角度が小さくなるにつれ、受光機構で受光する光量は小さくなる傾向なので、20度未満の場合は光源に負担がかかり好ましくない。
また、照明手段から照射位置までの距離(L1)は20〜300mmであることが好ましい。さらに好ましくは50〜200mmである。20mm未満の場合は、各部からの散乱反射光のコントラストが不明瞭となる傾向があって好ましくない。300mmを超える場合は、受光する光量が小さくなるので好ましくない。
受光機構は、前述したとおり、入射角θ1と受光角θ2が等しくない位置におかれるが、前記のラミネートシート上の接面14に対して、40〜90度の範囲とすることが好ましい。さらに好ましくは60〜90度である。40度に満たない場合は、受光機構で受光する光量が小さくなるので好ましくない。90度を超える場合は、受光する光量が小さくなるので好ましくない。
また、照射位置から受光器までの距離(L2)は50〜1000mmであることが好ましい。さらに好ましくは100〜500mmである。50mmに満たない場合は、受光機構で受光する光量が大きくなるので好ましくない。1000mmを越える場合は、受光する光量が小さくなるので好ましくない。
本発明においては、透光性を有するシートと他のシートを貼り合わせる。シート幅としては同じであっても異なっていても良いが、検出ロール面側のシートの幅が大きく、かつ、図3に示すように、一方のシートに貼り合わされる他の一方のシートは該検出ロール面側のシート面内に貼り合わされる態様が好ましい。また、幅が同じである場合は、貼り合わされるシートは全く重なって貼り合わされる態様でラミネートされるものが好ましい。
本発明に用いる透光性のあるシートに関し、透光性があるとは平行光線透過率で20%以上を有することをいい、厚い金属箔等の光を透過しないシートは含まれない。かかる透光性を有するシートとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリオレフィン等のプラスチックフィルム、また、粒子添加された前記プラスチックフィルム、BTレジン、エポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料などがあげられる。また、これらが積層されたもの(積層フィルムである場合を含む)であっても構わない。本発明においては、高接着性、耐熱性、電気絶縁性、寸法安定性などの観点から、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムが好ましく使用される。
また他のシートとしては、特に限定されないが、前記の透光性を有するシート、金属箔、顔料等によって平行光線透過率が20%以下となったシート等が好ましく用いられる。金属箔としては、たとえば銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔等があげられるが、回路材料用途には銅箔が好ましく使用される。
本発明において、透光性を有するシートと他のシートをラミネートする方法としては、接着剤を介在させて接合する方法や一方のシートの表層を軟化若しくは溶融させて接合する方法があげられる。接着剤は両方の若しくは一方のシートに予め構成しておいても、製造工程中に接着剤の塗布機構を設けても良い。接着剤としては、被着材が接合可能で有れば特に限定はないが、例えばエポキシ系、フェノール系、アクリル系、イミド系の接着剤があげられる。中でも、プラスチックフィルム、および金属箔への接着力、耐熱性、ラミネート特性などの観点から、エポキシ系樹脂接着剤が好ましく使用される。また、一方のシートの表層を軟化若しくは溶融させて接合する方法としては、シートの表層に熱融着可能な層を設けたシートを用いることがあげられる。かかるシートは該熱融着可能な層を共押出し若しくはコーティング等の方法により積層して得ることができる。
接着剤を予め透光性を有するシート状に塗布しておくことは好ましい態様である。透光性を有するシートに付与する方法としては公知の方法が使用できる。例えば前記の接着剤を溶剤に溶解後、透光性を有するシート上に塗工し溶媒を乾燥する方法があげられる。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系とメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系の混合溶剤が好適である。また溶剤の乾燥条件は100〜200℃で0.5〜5分間であれば好ましく、加熱圧着するラミネート特性の観点から、接着剤が半硬化状態にとどまることが必須である。乾燥後の接着剤の厚みは特に限定されないが、通常3〜36μm、好ましくは6〜24μm、さらに好ましくは9〜18μmの範囲である。
接着剤が予め構成されるシートの材料としては、可とう性や追随性に優れることからポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムが好ましい。
さらに乾燥後の接着剤に対し、接着剤の転写、防塵を目的として剥き出しとなっている接着剤面に保護フィルムをラミネートしてもよい。保護フィルムは、ラミネート時にシートから容易に剥離できれば特に限定されない。
本発明は、長さが10m以上、好ましくは100m以上の特に長尺なシートをラミネートすることに好適に用いることができる。
また、貼り合わせに際しては前記貼り合わせ手段との摩擦によるキズや押し跡がつくことを避けるため保護フィルムを前記貼り合わせ手段と被着材との間に介在してラミネートすることは差し支えない。
次に本発明の作用を簡単に説明する。本発明においては透光性のあるシートが検出ロール側に来るようにして位置の測定を行うことで干渉の影響を少なくできる。また、ラミネートされるシートの幅が異なる場合は、検出ロール側のシートが透光性のあるシートとすることが好ましく、また、幅が広いシートとすることが好ましい。照射手段から照射された光は少なくとも検出ロールとラミネートされたラミネートシート部分に照射される(図2−2参照)。この時、透光性のあるシートがマージン部分として若しくは貼り合わせ異常により露出された時は、反射光は、検出ロールからの反射光、ラミネートシート部分からの反射光、(ラミネートされていない)透光性のあるシートからの反射光、の3種の反射光として観測される。検出ロールからの散乱反射光は該ロールの反射率が高いため、非常に小さいものとなる。一方、ラミネートシート部分や(ラミネートされていない)透光性のあるシートからの散乱反射光は光の潜り込み等でその散乱反射光は検出ロールからの散乱反射光よりも強いものとなり、その強度は材料の種類,厚みによって異なるので、異なる強度として観測できる。よって、受光機構からの信号に基づいて貼り合わせ位置を明瞭に把握することが可能となる。
正反射光に基づいて検出を行っていた従来技術では、表面での反射光が支配的に強くなるため、貼り合わせ位置が明瞭に把握できないので、ノイズの影響が考慮されて、一定のデータ変位を蓄積してからでなくては、位置調整指令を発せざるを得なかった。このため、ラミネートの精度の改善に限界が生じていたのである。
一方、本発明においては、各散乱反射光の反射強度コントラストが明瞭なので、直ちに位置調整指令を発することが可能である。なお、他のシートが金属箔の様な高反射性の物質であっても検出ロールからの反射光と該高反射性の物質からの反射光との間に透光性のあるシートからの反射光が入ると、検出ロールからの反射光と誤認することも無い。
上記の例では、2種のシートを貼り合わせる態様を中心に説明したが、3種以上のシートを貼り合わせることは特に問題はない。この場合、検出機構は複数設け、ラミネートシートの両面を測定対象とし、独立して被着材の位置調整を行えば良い。あるいは、2回以上のラミネート操作を行えば、3層以上のラミネートシートを得ることは可能である。
本発明のラミネートシートロールはその貼り合わせ位置精度は±0.08mm以下である。好ましくは、±0.05mm以下である。ここで貼り合わせ位置精度について、図3を用いて説明する。
位置精度とは、第1のシートに対する第2のシートの幅方向における貼着位置のずれから求まる。本来貼着されるべき位置を両端から各々a0、b0とし、実際に貼り合わされた位置をa、bとするとき、ずれは、|a−a0|および|b−b0|で示される。本発明における位置精度は、ラミネートシートの長手方向に対して1m毎に1点ずつのaおよびbを各100点について測定し、ずれの最大の値がcであったとき、±cという形で表現される。なお、測定は、万能投影機((株)ニコン製、型式:V−16E)により測定される。
貼り合わせ位置精度をかかる範囲とする本発明のラミネートシートロールは、ラミネート位置の信頼性が高いので、後加工工程における位置精度の不良に伴うロスが低減できる。特に、半導体素子実装用キャリアテープとして用いるときには、回路パターンの精度の低下や配線の脱落などの欠陥を防止することができ、収率を向上させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)第2のシートの作製
下記組成の接着剤組成物を固形分濃度20重量%となるようにモノクロルベンゼン/ベンジルアルコール/イソプロピルアルコール混合溶液に溶解した後、厚さ25μmのポリエステルフィルムに乾燥膜厚が12μmとなるように塗布し、エアーオーブンを使用し120℃で1分間、170℃で2分間乾燥した後、ポリプロピレンフィルム(保護フィルム)を貼り合わせ、第2のシート(他のシート)を作製した。
ポリアミド樹脂(ユニケマ社製、「PRIADIT2053」) 50重量部
フェノール樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、「エピコート828」 30重量部
エポキシ樹脂(群栄化学(株)製、「PS2780」) 20重量部。
(2)ラミネート方法
図1は、以下の実施例において用いたラミネートシートの製造装置の概要を示したモデル図である。
図1において、第1のシート2(透光性のあるシート)は図示しない巻出し装置(シート供給手段)から巻き出されて、加熱ロール5とニップロール6との接触部分に送り込まれる。第2のシートは前記とは異なる巻出し装置から巻き出されて、接着剤面に保護フィルムがある場合は保護フィルムを剥離した後、加熱ロール5とニップロール6との接触部分に送り込まれる。ラミネート速度を20m/分に設定し、剥き出しになった第2のシートの接着剤面に第1のシートを連続的に貼り合わせる。貼り合わせ後のラミネートシート4を、検出ロール7に送り出し、照明手段8から検出ロール7上のラミネートシート4に光を照射し、その散乱反射光を受光機構9で受光する。受光したラミネートシート4の幅方向の受光量は電気信号に変換され、制御装置(演算手段)10に入力される。入力信号はここで各シートの幅、貼り合わせ位置の検出値から偏位量を演算し、この偏位量に基づく電気的修正信号が制御装置10から出力される。次に、出力された修正信号は、ガイドロール12とそれを幅方向に移動する駆動手段であるサーボ機構13を備えたシート走行位置制御装置(位置調整手段)11に入力され、連続的に走行している第2のシート3の走行位置を調整する。連続的に幅方向の貼り合わせ位置が調整されたラミネートシートは、巻取り装置により巻き取られる。
実施例1
第1のシートとして、幅96mm、厚さ75μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、「ユーピレックスS」)を使用し、前記(1)の方法で作製した第2のシートから保護フィルムを剥離し、反射率95%、表面材質がステンレス製の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:60度、光源の距離L1:80mm、受光器の角度θ2:75度、受光器の距離L2:280mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ精度測定方法にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.05mmのラミネートシートが得られた。本ラミネートシートを次工程(テープ加工工程)に投入すると、収率は98%であった。なお、検出ロールは、ステンレス製ロール表面を研磨機を用いて表面研磨し、上記の反射率にした。また、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ78%、68%であった。光源にはメタルハライドランプ、受光器にはCCDカメラを用いた。
実施例2
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、反射率88%、表面材質がステンレス製の検出ロールを備え、かつ光源の角度、距離、受光器の角度、距離を実施例1と同一の位置に設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定方法にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.08mmのラミネートシートが得られた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は95%であった。なお、検出ロールは、ステンレス製ロール表面を研磨機を用いて表面研磨し、上記の反射率にした。また、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ77%、65%であった。光源にはハロゲンランプ、受光器にはCCDカメラを用いた。
実施例3
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、実施例1と同一の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:70度、距離L1:80mm、受光器の角度θ2:45度、距離L2:280mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.08mmのラミネートシートができた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は94%であった。なお、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ77%、67%であった。光源、受光器は実施例1と同一とした。
実施例4
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、実施例1と同一の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:30度、光源の距離L1:150mm、受光器の角度θ2:80度、受光器の距離L2:300mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.04mmのラミネートシートが得られた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は99%であった。なお、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ78%、67%であった。光源、受光器は実施例1と同一とした。
実施例5
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、実施例2と同一の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:30度、光源の距離L1:150mm、受光器の角度θ2:80度、受光器の距離L2:300mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.05mmのラミネートシートが得られた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は98%であった。なお、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ78%、68%であった。光源、受光器は実施例2と同一とした。
実施例6
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、実施例1と同一の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:45度、光源の距離L1:150mm、受光器の角度θ2:90度、受光器の距離L2:300mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.08mmのラミネートシートが得られた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は94%であった。なお、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ77%、66%であった。光源、受光器は実施例1と同一とした。
比較例1
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、反射率24%、表面材質が黒アルマイト製の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:60度、距離L1:80mm、受光器の角度θ2:60度、距離L2:280mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.45mmのラミネートシートができた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は63%であった。なお、検出ロールは、アルミニウム製ロール表面にアルマイト陽極酸化処理を施し、研磨機を用いて表面研磨し、上記の反射率にした。また、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ76%、65%であった。光源には、高周波蛍光灯、受光器にはCCDカメラを用いた。
比較例2
実施例1と同一の第1のシート、第2のシートを用いて、比較例1と同一の検出ロールを備え、かつ光源の角度θ1:60度、光源の距離L1:150mm、受光器の角度θ2:60度、受光器の距離L2:300mmに光源、受光器を設置したラミネートシートの製造装置を用いて、上記ラミネート方法にて第1のシートと第2のシートを約100mにわたって貼り合わせた。上記ラミネートシートの貼り合わせ位置精度測定にて貼り合わせ位置精度を算出したところ、位置精度±0.39mmのラミネートシートができた。本ラミネートシートを次工程に投入すると、収率は68%であった。なお、第1のシート、ラミネートシートの反射率はそれぞれ77%、67%であった。光源、受光器は実施例1と同一とした。
Figure 2006062352
上記表1に示した実施例、比較例から、本発明によれば、貼り合わせ位置精度±0.08mm以下のラミネートシートの製造装置、ラミネートシートの製造方法、およびラミネートシートロールの提供が可能となる。
本発明のラミネートシートの製造装置、ラミネートシートの製造方法、ラミネートシートロールは、透光性のあるシートと他のシートを貼り合わせるラミネートシートの製造工程において、それぞれのシートの幅方向の所定の位置関係を維持して、高精度かつ連続的に貼り合わせることにより貼り合わせ位置精度が向上し、半導体素子実装キャリアテープなどのラミネートシートの製造業で利用されうる。
本発明のラミネートシート製造装置を示す模式図である。 本発明にかかる照明手段の照射角、照射距離、受光機構の受光角、受光距離を説明するための模式図(側面図(図2−1)および照射位置付近をX方向から見た図(図2−2))である。 本発明にかかるラミネートシートの貼り合わせ位置精度を測定する方法を説明するための模式図である。
符号の説明
1:ラミネートシートの製造装置
2:第1のシート(透光性のあるシート)
3:第2のシート(他のシート)
4:ラミネートシート
5:加熱ロール
6:ニップロール
7:検出ロール
8:照明手段
9:受光機構
10:制御装置(演算手段)
11:シート走行位置制御装置
12:ガイドロール
13:サーボ機構
14:ラミネートシート上の接面
15:照射部
16:中心線

Claims (8)

  1. 透光性のあるシートと他のシートを貼り合わせるラミネートシートの製造装置であって、該装置は、該透光性のあるシートと他のシートを供給するシート供給手段と、該透光性のあるシートと他のシートを貼り合わせる貼り合わせ手段と、該透光性のあるシートまたは他のシートの幅方向の位置を調整する位置調整手段と、前記貼り合わせ手段より後に具備される該ラミネートシートの貼り合わせ状態を検出する検出手段と該検出手段からの信号によって該位置調整手段に位置調整命令を発する演算手段とを少なくとも有し、該検出手段は前記透光性のあるシートの反射率よりも大きい反射率を有する検出ロールと、該検出ロール上の該ラミネートシートに向かって光を照射する照明手段と該ラミネートシート及び該検出ロールからの散乱反射光を受光し、電気信号に変換・処理する受光機構とを有することを特徴とするラミネートシートの製造装置。
  2. 検出ロールの反射率が80〜100%であることを特徴とする請求項1記載のラミネートシートの製造装置。
  3. 前記照明手段が、前記検出ロールと前記ラミネートシートの接触面におけるラミネートシート上の接面に対して、20〜90度の範囲に設置されていることを特徴とする請求項1記載のラミネートシートの製造装置。
  4. 前記受光機構は、検出ロールをはさんで前記照明手段とは反対側に設置され、かつ前記検出ロールと前記ラミネートシートの接触面におけるラミネートシート上の接面に対して、40〜90度の範囲に設置されていることを特徴とする請求項1記載のラミネートシートの製造装置。
  5. 幅の異なるシートの貼り合わせに用いる請求項1記載のラミネートシートの製造装置。
  6. 透光性を有するシートと他のシートを貼り合わせて、ラミネートシートを製造する方法であって、反射率が前記透光性を有するシートよりも大きい検出ロールに該ラミネートシートを導入し、検出ロール上の前記ラミネートシートに光を照射し、前記ラミネートシートおよび検出ロールからの散乱反射光を受光し、電気信号に変換・処理した結果に基づいて前記貼り合わせ前の透光性を有するシート若しくは他のシートの位置を制御してラミネートを行うことを特徴とするラミネートシートの製造方法。
  7. 透光性を有するシートと他のシートが貼り合わされたラミネートシートロールであって、貼り合わせ位置精度が±0.08mm以下であることを特徴とするラミネートシートロール。
  8. 前記の他のシートは前記透光性を有するシートとは幅の異なるシートであって、一方のシートの面内にもう一方のシートが貼着されたものである請求項7記載のラミネートシートロール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009208231A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Nitto Denko Corp 粘着フィルム位置検出器および粘着フィルム貼付装置

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