JP2006062344A - 封着樹脂組成物及びそれを用いた封着構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部の空気が内部空間に浸透することなく、しかも内部空間から不活性ガスなどの封入ガスが漏出しないように基板間周縁部を封着できる封着用樹脂組成物、およびそれを用いたディスプレイ素子や真空複層ガラスなどの封着構造体。
【解決手段】 対向する2枚の基板によって構成される基板間周縁部を封着し、その内部空間が減圧または不活性ガス雰囲気に維持された封着構造体を形成するための封着用樹脂組成物であって、少なくとも1種の熱可塑性樹脂(a)と少なくとも1種の熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成し互いに隣接した多層構造になることを特徴とする封着用樹脂組成物などによって提供。
【選択図】図2
【解決手段】 対向する2枚の基板によって構成される基板間周縁部を封着し、その内部空間が減圧または不活性ガス雰囲気に維持された封着構造体を形成するための封着用樹脂組成物であって、少なくとも1種の熱可塑性樹脂(a)と少なくとも1種の熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成し互いに隣接した多層構造になることを特徴とする封着用樹脂組成物などによって提供。
【選択図】図2
Description
本発明は、封着樹脂組成物及びそれを用いた封着構造体に関し、さらに詳しくは、外部の空気が内部空間に浸透することなく、しかも内部空間から不活性ガスなどの封入ガスが漏出しないように基板間周縁部を封着できる封着用樹脂組成物、およびそれを用いたディスプレイ素子、真空複層ガラスなどの封着構造体に関する。
近年、液晶ディスプレイ素子をはじめ、PDP(プラズマディスプレイパネル)、FED(フィールドエミッションディスプレイ)、VFD(蛍光表示管)などの薄型のディスプレイ素子が注目され、さらに高機能を有する素子の開発が進められている。
液晶ディスプレイ素子には、素子内部を減圧に保つ機能を必要としないことから、通常ガスバリア性やアウトガスの特性が要求されていない。しかしながら、PDP、FED、VFDなどのディスプレイ素子においては、素子の内部空間が減圧され真空状態に維持されているため、基板間の周縁部を封着する封着材には、内部空間から不活性ガスのリークを防止する機能、すなわち減圧を維持する機能が必要とされている。
特に、PDPなどにおいては、基板を封着した際に発生する不純物を処理するために、封着後に内部空間を高真空に保つ工程が必要になる場合がある。例えば、PDPを製造する際、基板を封着した後、約300℃以上の高温下で加熱排気を行い、水分や炭素などの不純物を排出してから放電ガスを導入する工程を付加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
これまでPDP、FED、VFDなどでは、封着材として鉛ガラスが主に用いられている。ところが鉛ガラスは、それを融着焼成するのに最低でも450℃近い温度を必要とするため、素子内の蛍光体の損失が大きくなって性能が低下するだけでなく、環境に問題となる鉛を含有しているので使用上の制約がある。
これに対して液晶ディスプレイ素子においては、シリカなどのフィラーを含有するエポキシ樹脂がガラス基板間を封着する材料として広く利用されている。それは、エポキシ樹脂の硬化物が耐透湿性や機械的強度に優れているためである。そこで、PDPなどの封着構造体でも、このようなエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂単体からなる低温封着組成物を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これによれば鉛ガラスよりも低温で基板間の周縁部を封着できるが、水蒸気、Heガスなどの不活性ガス、さらには樹脂組成物の内部から発生するアウトガス等を長期にわたって遮蔽する効果が小さく、今後、ますます大画面化、薄型化のニーズが強まっているPDP等においては、製品の長期信頼性を維持できないとして問題視されていた。
一方、建築物のガラス窓やショーケースには、従来から単板ガラスが使用されているが、熱貫流率が大きく、冷暖房負荷を増大させていた。このガラス板部の断熱性を高めるために、一対の板ガラスの間に断熱層となる空気層を設け、周縁をシール材で密封し一体的に構成した複層ガラスが提案され、広く知られるようになってきている。この複層ガラスは、ガラス板間に断熱効果の高い空気層があるため、冷暖房負荷を極めて有効に軽減できる。しかし、前記空気層のため複層ガラスの厚さが大きくなり、この複層ガラスを取り付けると、サッシュを含めて美観が損なわれてしまう。
このようなことから、最近、複層ガラスの前記空気層を真空にして2枚のガラス板の間隙部を縮小しても、所望の断熱効果が得られるようにした真空複層ガラスが開発された。この真空複層ガラスは、前記間隙部に多数のスペーサが点在配置され、周縁封着材とともに、真空複層ガラスを構成するガラス板が減圧状態においても所定の間隔を確保できるようにしている。
しかし、この2枚のガラス板は外見上平坦にみえるが、板厚偏差、ウエーブなどを無くすことはできない。また、周縁封着材の厚みをスペーサの厚み(高さ)と同一にするのは至難である。また、スぺーサが振動や衝撃でしばしば所定の位置より動き、美観が低下するだけでなく、ガラス板の応力状態のバラツキが大きくなり、強度的に弱くなることが指摘されている。
しかし、この2枚のガラス板は外見上平坦にみえるが、板厚偏差、ウエーブなどを無くすことはできない。また、周縁封着材の厚みをスペーサの厚み(高さ)と同一にするのは至難である。また、スぺーサが振動や衝撃でしばしば所定の位置より動き、美観が低下するだけでなく、ガラス板の応力状態のバラツキが大きくなり、強度的に弱くなることが指摘されている。
このような状況下、鉛を含有せず、水蒸気、Heガスなどの不活性ガスやアウトガス等の長期にわたる遮蔽効果が大きく、PDP等の長期信頼性や真空複層ガラスの強度が確保できる封着用樹脂組成物の出現が切望されていた。
特開2000−243280号公報
特開2003−183624号公報
本発明の課題は、外部の空気が内部空間に浸透することなく、しかも内部空間から不活性ガスなどの封入ガスが漏出しないように基板間周縁部を封着できる封着用樹脂組成物、およびそれを用いたディスプレイ素子や真空複層ガラスなどの封着構造体を提供することにある。
本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂を用いた従来の封着用樹脂組成物では、たとえ鉛の問題を克服でき、所定間隔を保持して対向された2枚の基板の基板間周縁部を封着したとしても、樹脂中に含まれる低分子物のアウトガス化や透湿性の問題があるため十分とはいえないが、封着して得られる熱硬化性樹脂の層に熱可塑性樹脂の層が隣接した多層構造を形成すれば、基板間周縁部が、樹脂中に含まれる低分子物のアウトガス化や透湿性の問題が実質的に問題なく封着され、内部空間が減圧又は不活性ガスを含む雰囲気に維持された封着構造体が形成できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、対向する2枚の基板によって構成される基板間周縁部を封着し、その内部空間が減圧または不活性ガス雰囲気に維持された封着構造体を形成するための封着用樹脂組成物であって、少なくとも1種の熱可塑性樹脂(a)と少なくとも1種の熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成し互いに隣接した多層構造になることを特徴とする封着用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、熱可塑性樹脂(a)が、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレンナフタレート樹脂から選ばれるいずれか1種以上と、ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする、封着用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、熱硬化性樹脂(b)が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする、封着用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、さらに、無機微粒子(c)が、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)からなる樹脂成分の合計量に対して50〜95質量%配合されることを特徴とする、封着用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)の割合が、重量比で1:0.1〜1:30であることを特徴とする封着用樹脂組成物が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係る封着用樹脂組成物によって、基板間周縁部が樹脂層で封着されてなる封着構造体が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、樹脂層の中央部分に、熱硬化性樹脂層が形成され、一方、その熱硬化性樹脂層の両側に熱可塑性樹脂層が隣接して形成され、全体として多層構造になっていることを特徴とする封着構造体が提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、基板はガラス板であり、かつ封着構造体はその内部空間が減圧に維持された真空複層ガラスであることを特徴とする封着用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明に係る封着用樹脂組成物によって、ガラス板間周縁部が樹脂層で封着されてなる真空複層ガラスが提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、樹脂層の中央部分に、熱硬化性樹脂層が形成され、一方、その熱硬化性樹脂層の両側に熱可塑性樹脂層が隣接して形成され、全体として多層構造になっていることを特徴とする真空複層ガラスが提供される。
本発明の封着用樹脂組成物は、鉛を含有せず、樹脂成分として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含むため、水蒸気、Heガスなどの不活性ガスやアウトガス等の長期にわたる遮蔽効果が大きく、内部が減圧に維持される必要があり、かつ耐熱性を要求されるPDPなどのディスプレイ素子、あるいは強度が要求される真空複層ガラスにおいて優れた性能を発揮する。また、特別な装置を用いることなく容易に基板上に描画することができることから、本発明の封着用樹脂組成物の工業的価値は極めて大きい。
1.封着用樹脂組成物
本発明の封着用樹脂組成物は、対向する2枚の基板によって構成される基板間周縁部を封着し、その内部空間が減圧または不活性ガス雰囲気に維持された封着構造体を形成するための封着用樹脂組成物であって、少なくとも1種の熱可塑性樹脂(a)と少なくとも1種の熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成し互いに隣接した多層構造になるものである。なお、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)のいずれか、又は両者には無機微粒子(c)を配合することができる。
なお、本発明の封着用樹脂組成物は、ディスプレイ素子用の基板同士の封着だけでなく、真空複層ガラス用のガラス板の封着にも有効である。封着構造体が真空複層ガラスである場合は、以下、基板とはガラス板を指すものとする。
本発明の封着用樹脂組成物は、対向する2枚の基板によって構成される基板間周縁部を封着し、その内部空間が減圧または不活性ガス雰囲気に維持された封着構造体を形成するための封着用樹脂組成物であって、少なくとも1種の熱可塑性樹脂(a)と少なくとも1種の熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成し互いに隣接した多層構造になるものである。なお、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)のいずれか、又は両者には無機微粒子(c)を配合することができる。
なお、本発明の封着用樹脂組成物は、ディスプレイ素子用の基板同士の封着だけでなく、真空複層ガラス用のガラス板の封着にも有効である。封着構造体が真空複層ガラスである場合は、以下、基板とはガラス板を指すものとする。
(a)熱可塑性樹脂
本発明において用いる熱可塑性樹脂は、加熱により可塑性を示し冷却すると硬化し、さらに加熱すれば再び可塑性を示すような可逆的熱特性を持つ合成樹脂である。熱可塑性樹脂は、原料モノマーの単重合体だけでなく、他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品なども含まれる。
本発明において用いる熱可塑性樹脂は、加熱により可塑性を示し冷却すると硬化し、さらに加熱すれば再び可塑性を示すような可逆的熱特性を持つ合成樹脂である。熱可塑性樹脂は、原料モノマーの単重合体だけでなく、他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品なども含まれる。
例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂などのポリオレフィン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エタクリレート共重合樹脂、エチレン−メタクリレート共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、部分酸化ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系及びその共重合樹脂;ポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、エチレン−ポリテトラフロロエチレン共重合樹脂等が挙げられる。ポリアミド樹脂としては、例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、6,12ナイロン、芳香族系ナイロン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、特に限定されることなく単独で又は混合して使用できる。不活性ガスに対するガスバリア性に優れた樹脂、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ナイロンなど)、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレンナフタレート樹脂等は、数種選択して組み合わせるのが好ましい。これら不活性ガスに対するガスバリア性に優れる樹脂には、水蒸気に対するガスバリア性に優れるポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を組み合わせることが好ましい。
熱可塑性樹脂には、プラスチック成形用滑剤や種々の安定剤等を添加することができる。
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類)、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類)、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
また、安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、こはく酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、2−(3,5−ジ・第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダード・アミン系安定剤のほか、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸化剤等が挙げられる。
本発明において、各成分の混合方法は特に限定されず、例えばリボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して実施される。
こうして、各成分を混合することで、熱可塑性樹脂(組成物)は、パウダー、ビーズ、ペレットあるいはこれらの混合物の形で得られるが、取扱い易い点で、ペレットが望ましい。得られた組成物は、各種の熱可塑性樹脂成形機、好ましくはホットメルト・ガン等により塗布できるものとなる。
こうして、各成分を混合することで、熱可塑性樹脂(組成物)は、パウダー、ビーズ、ペレットあるいはこれらの混合物の形で得られるが、取扱い易い点で、ペレットが望ましい。得られた組成物は、各種の熱可塑性樹脂成形機、好ましくはホットメルト・ガン等により塗布できるものとなる。
(b)熱硬化性樹脂
一方、本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、一旦硬化すると三次元の網目構造を形成し、再加熱しても軟化溶融しない不可逆的熱特性をもつ合成樹脂である。
例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂等が挙げられ、いずれか単独もしくは2種以上の熱硬化性樹脂混合物として用いられる。熱硬化性樹脂は、基板間周縁部を多層構造の樹脂層で封着するために、前記熱可塑性樹脂と組み合わせて用いられる。
また、エポキシ樹脂の場合、脂環式エポキシ樹脂、水素添加型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂のいずれでもよく、これらの混合物であってもよい。
一方、本発明で用いられる熱硬化性樹脂は、一旦硬化すると三次元の網目構造を形成し、再加熱しても軟化溶融しない不可逆的熱特性をもつ合成樹脂である。
例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ビス・マレイミドトリアジン樹脂等が挙げられ、いずれか単独もしくは2種以上の熱硬化性樹脂混合物として用いられる。熱硬化性樹脂は、基板間周縁部を多層構造の樹脂層で封着するために、前記熱可塑性樹脂と組み合わせて用いられる。
また、エポキシ樹脂の場合、脂環式エポキシ樹脂、水素添加型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂のいずれでもよく、これらの混合物であってもよい。
脂環式エポキシ樹脂は、シクロヘキサンなどの脂環部分とエポキシ部分とを有する熱硬化性樹脂である。この脂環式エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などに代表される、ベンゼン環を有するエポキシ樹脂を水素化反応してシクロヘキサン環化した水素添加型エポキシ樹脂や、シクロヘキセン環の二重結合を過酢酸で酸化してエポキシ化した、脂肪族環状エポキシ樹脂などが挙げられる。例えば、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、(3,4−3’,4’−エポキシシクロ)ヘキシルメチルヘキサンカルボキシレート、ポリ(エポキシ化シクロヘキセンオキサイド)などがある。これらの脂環式エポキシ化合物は、単独で用いても、混合して使用しても差し支えない。
また、水素添加型エポキシ樹脂であれば、ベンゼン環のシクロヘキサン環化率が80%以上、好ましくは90%以上で、かつ不純物残留成分となる全塩素の含有率が0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下であることが望ましい。シクロヘキサン環化率は、ベンゼン環がシクロヘキサン環に変化した割合で、核磁気共鳴分析装置などで求めることが出来る。
また、水素添加型エポキシ樹脂であれば、ベンゼン環のシクロヘキサン環化率が80%以上、好ましくは90%以上で、かつ不純物残留成分となる全塩素の含有率が0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下であることが望ましい。シクロヘキサン環化率は、ベンゼン環がシクロヘキサン環に変化した割合で、核磁気共鳴分析装置などで求めることが出来る。
芳香族エポキシ樹脂は、1以上の芳香核と2以上のエポキシ基を有する化合物であり、脂環を有しない化合物である。芳香族エポキシ樹脂におけるエポキシ基は、グリシジル基であることが好ましい。代表的な芳香族エポキシ樹脂は、ポリフェノール類のグリシジルエーテルであり、また芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステル、芳香族アミンのグリシジルアミノ化物などがある。またこれらグリシジル化合物のオリゴマー化物も使用できる。具体的な芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリンなどがある。
本発明で使用する硬化剤は、上記の熱硬化性樹脂と反応するものであれば何ら制限は無い。例えば、ヒドラジド系硬化剤、酸無水物類やジシアンジアミドおよびその変性物など様々な硬化剤を使用でき、それらは単独でも複数種で使用しても差し支えない。
このようなヒドラジド系硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボジヒドラジド、或いは1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインなどが挙げられ、単独で用いても混合して使用しても構わない。
酸無水物であれば、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸等の、構造中の6員環部分がシクロ環になっているものが望ましく、さらには、一液性潜在性硬化剤として作用し、硬化物もより透明なものが得られやすい、ヒドラジド系硬化剤が望ましい。
このようなヒドラジド系硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボジヒドラジド、或いは1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントインなどが挙げられ、単独で用いても混合して使用しても構わない。
酸無水物であれば、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸等の、構造中の6員環部分がシクロ環になっているものが望ましく、さらには、一液性潜在性硬化剤として作用し、硬化物もより透明なものが得られやすい、ヒドラジド系硬化剤が望ましい。
硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン類;1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等や、その有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチルアセトン錯体等の有機金属化合物類;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類;三ふっ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物、塩化亜鉛、塩化第二錫等の金属ハロゲン化物が挙げられる。
さらには、高融点イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、アミンをエポキシ樹脂等に付加したアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性促進剤、イミダゾール系、リン系、ホスフィン系促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型で熱カチオン重合型の潜在性硬化促進剤等に代表される潜在性硬化促進剤も使用することができる。これらの硬化促進剤は単独又は2種以上を混合して使用することができる。
ここで、熱硬化性樹脂(主剤:エポキシ樹脂)と硬化剤の混合割合は、主剤のエポキシ当量と硬化剤の反応基当量の比によって異なるが、重量比率で97:3〜50:50、好ましくは95:5〜60:40とすることが望ましい。これは硬化剤の割合が3未満であるか、または50より多いと適切な硬化反応が進行せず、充分な特性が得られない場合があるためである。
この熱硬化性樹脂は、上記樹脂成分以外に、他の成分を含んでいてもよい。例えば、溶媒を配合して組成物の粘度を下げ、組成物の塗工性を向上させることができる。また、溶媒を使用することにより、上記各成分を混合する際の混合性を向上できる。
溶媒としては、通常の溶媒が使用できる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジエチルエーテル、エタノール、プロパノール、イソブタノール、四塩化炭素、アセトン、ジメチルホルムアミドなどの溶媒を用いることができる。
この他、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)及び硬化剤と反応しない溶剤としては、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシジペンタンイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−イソブチレート、イソブチルブチレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、或いは2−ヒドロオキシプロパン酸エチル等が挙げられる。
また、加熱時に熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)および硬化剤と反応し得る溶剤としては、フェニルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテルや、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる
この他、熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)及び硬化剤と反応しない溶剤としては、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシジペンタンイソブチレート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−イソブチレート、イソブチルブチレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、或いは2−ヒドロオキシプロパン酸エチル等が挙げられる。
また、加熱時に熱硬化性樹脂(特にエポキシ樹脂)および硬化剤と反応し得る溶剤としては、フェニルグリシジルエーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテルや、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる
(c)無機微粒子
上記樹脂成分である熱可塑性樹脂(a)及び/又は熱硬化性樹脂(b)には、封着部分の性能を改善するために無機微粒子(c)を配合できる。ただし、本発明においては、樹脂成分として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両樹脂を使用することから、無機微粒子は、それぞれの樹脂中に含有させることが望ましい。
上記樹脂成分である熱可塑性樹脂(a)及び/又は熱硬化性樹脂(b)には、封着部分の性能を改善するために無機微粒子(c)を配合できる。ただし、本発明においては、樹脂成分として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両樹脂を使用することから、無機微粒子は、それぞれの樹脂中に含有させることが望ましい。
無機微粒子としては、粒径が50μm以下で、かつアスペクト比の大きいものを50重量%以上含むシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物やマイカ等の鉱物が使用できる。基板がガラス基板であれば、無機微粒子としてシリカを用いることが好ましい。その配合量は、樹脂組成物全体に対して、50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%とすることができる。本発明においては、無機微粒子は任意成分であるが、封着部分の耐熱性を高めるだけでなく、強度を高め、ガスのリークをさらに抑制することが期待できる。配合量が50重量%未満ではその効果が小さく、95重量%を超えるとガラス基板間の接着強度が低下する。
2.封着構造体
本発明の封着構造体は、基板間周縁部が上記封着用樹脂組成物の樹脂層で封着された封着構造体、すなわち、所定間隔を保持して対向された2枚の基板の基板間周縁部が上記封着用樹脂組成物の樹脂層で封着され、その内部空間に不活性ガスが封入され、又は減圧に維持された封着構造体である。
本発明の封着構造体は、基板間周縁部が上記封着用樹脂組成物の樹脂層で封着された封着構造体、すなわち、所定間隔を保持して対向された2枚の基板の基板間周縁部が上記封着用樹脂組成物の樹脂層で封着され、その内部空間に不活性ガスが封入され、又は減圧に維持された封着構造体である。
基板としては、ディスプレー素子や真空複層ガラスを構成できるものであれば、ガラス基板、金属やセラミックスなどの耐熱性基板でよく、特に限定されないが、2枚の基板のうち少なくとも一方はガラス基板であることが好ましい。基板の一方をガラス基板とした場合、他方は金属やセラミックスなどの耐熱性材料からなる基板を用いてもよい。
基板としては、下板と上板のサイズは特に限定されず、小面積のものから大面積のものまで使用できる。例えば、縦50〜1000mm、横50〜2500mm、厚さ3〜10mmのものなどである。なお、真空複層ガラスの場合は、縦横、厚さがこれら上限を超えるものがある。下板と上板のいずれかには、直径(一辺)が3〜10mmの排気用の孔を設けることが好ましい。
本発明においては、2枚の基板の間にスぺーサーを介在させることができる。スぺーサーは、前記基板の中央部分が切り抜かれた枠状の板状体である。外形(縦、横の長さ)は基板(下板と上板)のサイズと同じであるが、例えば、内形(中空部分)は縦30〜800mm、横30〜2480mm、厚さ0.5〜5mmとすることができる。なお、真空複層ガラスの場合は、縦横、厚さがこれら上限を超えるものがある。これにより、基板間周縁部の幅が、20〜50mm確保される。
この基板間周縁部は、互いに隣接する多層構造の樹脂層によって封着されている。多層構造の樹脂層は、樹脂成分として、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成され、互いに隣接した多層構造になる。多層構造とは、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)とが各1層である場合だけでなく、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)のいずれかが2層以上である場合を包含している。
基板間周縁部において、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)の位置関係は特に限定されない。熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)とが各1層である場合、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)は、どちらが内部空間側に位置していても良い。ただし、基板間周縁部の中央部分が熱硬化性樹脂の樹脂層によって封着され、その熱硬化性樹脂層の両側に熱可塑性樹脂層が隣接していることが好ましい。それは、樹脂成分のうち、熱可塑性樹脂(a)が主としてガスのリークを抑制する機能を担うのに対して、熱硬化性樹脂(b)が主として基板同士を接着すると共に機密性を確保する機能を担っているためである。
熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)のいずれか、又は両者には無機微粒子(c)を配合できる。無機微粒子は任意成分であるが、前記の通り、封着部分の耐熱性を高めるだけでなく、樹脂層の機械的強度を高めガスのリークをさらに抑制する。
熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)の割合は、特に限定するわけではないが、重量比で1:0.1〜1:30であることが好ましい。熱可塑性樹脂(a)よりも熱硬化性樹脂(b)の量が少なく、1:0.1未満であると、封着部の機械的強度が小さくなり、一方、熱可塑性樹脂(a)よりも熱硬化性樹脂(b)の量が1:30よりも多くなりすぎると、ガスのリークを十分には抑制できない場合があり好ましくない。
本発明の封着構造体は、2枚の基板間周縁部が封着されて形成される内部空間が減圧〜真空に維持されるPDP、FED、VFDなどのディスプレイ素子、あるいは真空複層ガラスとして有用である。ディスプレイ素子としては特にPDP、FEDが好ましい。
3.封着構造体の製造方法
本発明においては、(1)2枚の基板を重ね、必要によりスぺーサーを介在させることにより、2枚の基板間を所定の間隔に維持した状態で、(2)基板周縁部に本発明の封着用樹脂組成物である熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを塗布し、加圧し、所定の時間保持して、多層構造の樹脂層を形成し、(3)基板間の内部空間を減圧、排気してから、基板の排気孔を閉じることにより封着構造体が製造される。
本発明においては、(1)2枚の基板を重ね、必要によりスぺーサーを介在させることにより、2枚の基板間を所定の間隔に維持した状態で、(2)基板周縁部に本発明の封着用樹脂組成物である熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを塗布し、加圧し、所定の時間保持して、多層構造の樹脂層を形成し、(3)基板間の内部空間を減圧、排気してから、基板の排気孔を閉じることにより封着構造体が製造される。
(1)基板など材料の配置
すなわち、本発明の封着方法を図面により説明すれば、図1の基板2枚とスぺーサーを用意し、これらを図2又は図3のように重ね合わせ、基板の周縁でスぺーサーの上下に熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを塗布できるようにする。
すなわち、本発明の封着方法を図面により説明すれば、図1の基板2枚とスぺーサーを用意し、これらを図2又は図3のように重ね合わせ、基板の周縁でスぺーサーの上下に熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを塗布できるようにする。
基板のサイズは前記のとおりであり、特に限定されない。基板である下板1と上板2の間にスぺーサーとして枠状の中板3を挿入できる。
以下の手順では、便宜上、スぺーサー(中板)を用いない場合で封着構造体の製造方法を説明する。
(2)封着用樹脂組成物の塗布、封着
次に、基板の周縁部に封着用樹脂組成物を塗布する。そのためには、上記封着用樹脂組成物をディスペンサーから2枚の基板間周縁部に吐出させ、2枚の基板間を所定の間隔に維持した状態で樹脂組成物と密着させる。
次に、基板の周縁部に封着用樹脂組成物を塗布する。そのためには、上記封着用樹脂組成物をディスペンサーから2枚の基板間周縁部に吐出させ、2枚の基板間を所定の間隔に維持した状態で樹脂組成物と密着させる。
封着用樹脂組成物は、樹脂成分として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の樹脂成分とを含むが、各樹脂成分を同時に基板の周縁に吐出してもよいし、いずれかを先に吐出してもよい。すなわち、熱可塑性樹脂を先に塗布し、次に熱硬化性樹脂を塗布してもよいし、その逆であってもよい。
また、2枚の基板のうち、いずれか1枚に樹脂成分を塗布して、封着させてから、次に他の基板に樹脂成分を塗布して、封着させてもよいし、重ね合わせた2枚の基板の間に樹脂成分を吐出・注入して、一度に封着させてもよい。すなわち、重ね合わせた基板(上板)を取り去ってから、基板(下板)の周縁に封着用組成物を吐出し、次いで基板(上板)を重ね合わせて加圧し、2枚の基板間隔を所定の間隔としてから、封着用樹脂組成物の熱硬化性樹脂を硬化させる方法;間隔を保って重ねた2枚の基板の周縁間隙に封着用樹脂組成物を吐出して注入し、2枚の基板間を加圧して間隙を所定間隔に保持した後、封着用樹脂組成物の熱硬化性樹脂を硬化する方法などを採用できる。
この際、封着用樹脂組成物として熱可塑性樹脂のみを用いたのでは、接着性や気密性が不足する。また、従来技術のように熱硬化性樹脂のみを用いたのでは、シール部分に気泡が発生するなどして、気密性が不足する場合がある。
封着用樹脂組成物を手段は特に限定されないが、熱可塑性樹脂を吐出するにはホットガンを用い、熱硬化性樹脂はディスペンサー等を用いて、それぞれ基板上に塗布することが有利である。
ホットガンは、熱可塑性樹脂をホットメルト装置の中で溶融温度以上に加熱し、押し出し機構を用いて溶融状態の部材を直接封着すべき基板に吐出させるものである。ここでホットメルト装置内に原材料である熱可塑性樹脂を充填し、熱可塑性樹脂の溶融温度まで加熱しながら基板の所定の位置に吐出する。
一方、熱硬化性樹脂は、例えばディスペンサー等を用いて基板上に塗布されるが、当該ディスペンサーのシリンジ中や吐出部における組成物の粘度は10Pas〜70Pasであることが好ましく、そのためこれらにおける温度を100℃以上に維持して吐出を行うことが好ましい。熱硬化性樹脂の硬化温度は150〜250℃、特に180〜220℃であることが好ましい。この温度条件における硬化時間としては1〜20時間程度が好ましい。
樹脂成分を塗布後は速やかに加圧し、この樹脂層を150〜250℃の範囲で1〜20時間段階的に加熱し昇温する。加熱条件は、用いる熱硬化性樹脂の種類によって異なるが、例えば、エポキシ樹脂であれば、150〜180℃で0.1〜5時間、180〜210℃で0.3〜5時間、200〜220℃で0.3〜5時間、210〜250℃で0.3〜5時間加熱することで、熱硬化性樹脂を硬化させることができる。その後、基板(上板)中央部の孔から真空ポンプを用いて脱気し、内部空間を10-8〜10-10Torrの真空にする。
(3)内部空間の排気
前記のようにして封着された2枚の基板間の内部空間を減圧にし、アウトガスが実質的に排出されてから、最後に減圧にするために用いた排気孔を閉じる。
前記のようにして封着された2枚の基板間の内部空間を減圧にし、アウトガスが実質的に排出されてから、最後に減圧にするために用いた排気孔を閉じる。
この工程で、基板間の内部空間に空気以外のガスを封入してもよい。通常ガスを封入するには、基板間の内部空間から空気を充分排出した後、空気以外のガスを導入して排気孔を閉じる。封入する不活性ガスとしては、例えば封着構造体がPDPである場合、ネオン、キセノン、ヘリウム、アルゴンなどの放電ガスがある。封着構造体の内部空間における減圧度は特に限定されるものではなく、0.5atm以下、特に 0.1atm以下が好ましい。不活性ガスが充填されている場合の減圧度もこの範囲が好ましい。
これにより、上記封着用樹脂組成物で封着された封着構造体、すなわち、所定間隔を保持して対向された2枚の基板の基板間周縁部が封着され、その内部空間が減圧に維持された図2又は図3のような封着構造体が製造される。
こうして得られる本発明の封着構造体は、気密性が高く、空気の浸透や不活性ガスの漏出が少なく、強度が高いという特徴を有する。本発明における封着用樹脂組成物は、例えば、ヘリウム(He)リークディテクターで評価すると、封着樹脂層のHeリークの値を10−10[Pa・m3/s]以下にすることができる。
こうして得られる本発明の封着構造体は、気密性が高く、空気の浸透や不活性ガスの漏出が少なく、強度が高いという特徴を有する。本発明における封着用樹脂組成物は、例えば、ヘリウム(He)リークディテクターで評価すると、封着樹脂層のHeリークの値を10−10[Pa・m3/s]以下にすることができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものでは無い。本実施例、比較例で使用した原材料および評価法を以下に示す。
[原材料]
A 熱可塑性樹脂
・熱可塑性樹脂1:芳香族ナイロン(ナイロンMXD6)
(商品名:MXナイロン 6001 三菱ガス化学(株)製)、融点236℃。
・熱可塑性樹脂2:ポリエチレンテレフタレート(PET)
(商品名:バイロン GM480 東洋紡績(株)製)、平均分子量25x103、融点163℃。
B 熱硬化性樹脂
・主剤1:ビスフェノール型エポキシ樹脂
(商品名:エピコート828 ジャパンエポキシレジン(株)製)
・主剤2:ノボラック型エポキシ樹脂
(商品名:エピコート152 ジャパンエポキシレジン(株)製)
・硬化剤1:ジシアンジアミド
(商品名:DICY7 ジャパンエポキシレジン(株)製)
・硬化剤2:酸無水物系硬化剤
(商品名:YH307 ジャパンエポキシレジン(株)製)
C 無機微粒子(商品名:デンカ溶融シリカ FB−67、 電気化学工業(株)製)、平均粒径 20μm。
A 熱可塑性樹脂
・熱可塑性樹脂1:芳香族ナイロン(ナイロンMXD6)
(商品名:MXナイロン 6001 三菱ガス化学(株)製)、融点236℃。
・熱可塑性樹脂2:ポリエチレンテレフタレート(PET)
(商品名:バイロン GM480 東洋紡績(株)製)、平均分子量25x103、融点163℃。
B 熱硬化性樹脂
・主剤1:ビスフェノール型エポキシ樹脂
(商品名:エピコート828 ジャパンエポキシレジン(株)製)
・主剤2:ノボラック型エポキシ樹脂
(商品名:エピコート152 ジャパンエポキシレジン(株)製)
・硬化剤1:ジシアンジアミド
(商品名:DICY7 ジャパンエポキシレジン(株)製)
・硬化剤2:酸無水物系硬化剤
(商品名:YH307 ジャパンエポキシレジン(株)製)
C 無機微粒子(商品名:デンカ溶融シリカ FB−67、 電気化学工業(株)製)、平均粒径 20μm。
[評価法]
(1)ポットライフ:熱硬化性樹脂組成物が硬化する一定の所定温度(150℃)で樹脂を加熱しながらその粘度を測定した。その結果を、ある粘度に到達するまでの時間で次のように相対評価した。
○;粘度上昇開始までの時間が長い。
×;粘度上昇開始までの時間が短い。
(2)気泡の有無:目視および光学顕微鏡観察により、次のように評価した。
○;硬化樹脂中に気泡が無い。
×;硬化樹脂中に気泡が存在する。
(3)気密性:周縁部を封着した基板(上板)中央部の孔から真空ポンプを用いて脱気し、内部空間を10-10Torrの真空にした後、リークの有無を測定した。
リークの有無の測定は、ULVACヘリウムリークディテクター HELIOTを用いたフード法で行った。最初にバックグラウンド値が1.5×10−11[Pa・m3/s]になるまでサンプル内を真空排気した後、フード内にヘリウムガスを導入し、10分間ヘリウムガスのリークレートを測定し、ヘリウムガスのリークレートの最大値を記録してリークの有無を確認した。
○;フード内にHeガスを投入して24時間、Heリークレートを観測した時、その値に殆ど変動が無く、24時間後のHeリークレートがバックグラウンド値以下である。
×;フード内にHeガスを投入して24時間、Heリークレートを観測した時、その値が変動し、24時間後のHeリークレートがバックグラウンド値より高い。
(4)耐久性:真空複層ガラスについては、得られた積層ガラスを、JIS R3209に基づき耐久試験を行った。試験の初期、JIS I類、II類、III類終了後に露点を測定し、JIS III類終了後に判定を行った。判定は、露点の実質的な変化がなければ合格、露点が上昇すれば不合格とした。
(1)ポットライフ:熱硬化性樹脂組成物が硬化する一定の所定温度(150℃)で樹脂を加熱しながらその粘度を測定した。その結果を、ある粘度に到達するまでの時間で次のように相対評価した。
○;粘度上昇開始までの時間が長い。
×;粘度上昇開始までの時間が短い。
(2)気泡の有無:目視および光学顕微鏡観察により、次のように評価した。
○;硬化樹脂中に気泡が無い。
×;硬化樹脂中に気泡が存在する。
(3)気密性:周縁部を封着した基板(上板)中央部の孔から真空ポンプを用いて脱気し、内部空間を10-10Torrの真空にした後、リークの有無を測定した。
リークの有無の測定は、ULVACヘリウムリークディテクター HELIOTを用いたフード法で行った。最初にバックグラウンド値が1.5×10−11[Pa・m3/s]になるまでサンプル内を真空排気した後、フード内にヘリウムガスを導入し、10分間ヘリウムガスのリークレートを測定し、ヘリウムガスのリークレートの最大値を記録してリークの有無を確認した。
○;フード内にHeガスを投入して24時間、Heリークレートを観測した時、その値に殆ど変動が無く、24時間後のHeリークレートがバックグラウンド値以下である。
×;フード内にHeガスを投入して24時間、Heリークレートを観測した時、その値が変動し、24時間後のHeリークレートがバックグラウンド値より高い。
(4)耐久性:真空複層ガラスについては、得られた積層ガラスを、JIS R3209に基づき耐久試験を行った。試験の初期、JIS I類、II類、III類終了後に露点を測定し、JIS III類終了後に判定を行った。判定は、露点の実質的な変化がなければ合格、露点が上昇すれば不合格とした。
(実施例1)
図1に示すソーダライムガラス板3枚を用意し、下板1と中板(スぺーサー)3との間、上板2と中板3との間に、図2のように封着用樹脂組成物を挟んで加圧して、樹脂層6、7、8の多層構造(内部空間側からみて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の3層)が形成されるように積層した。なお、ガラス板のサイズは、下板1;100×200×5mm、孔4を有する上板2;100×200×5mm、孔の直径5mm、枠状の中板4;外形100×200mm、内形70×170mm、厚さ5mmとした。なお、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂成分には、無機微粒子をそれぞれの樹脂成分の合計に対して、50質量%配合しておいた。
熱可塑性樹脂1、2はホットガンを用い、主剤1 95重量%及び硬化剤1 5重量%からなる熱硬化性樹脂1は、ディスペンサー等を用いてそれぞれ基板上に同時に塗布し、速やかに加圧した(合計シール幅6mm)。なお、熱可塑性樹脂1及び2と熱硬化性樹脂1は、重量比が1:1の割合となるように吐出した。次に、この積層体を180℃で2時間、200℃で4時間、210℃で4時間、220℃で4時間かけて加熱し、熱硬化性樹脂1の硬化を行った。その後、上板中央部の孔4から真空ポンプを用いて脱気し、内部空間を10-10Torrの真空にして、リークを測定した。
ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価して、その結果を表1に示した。
図1に示すソーダライムガラス板3枚を用意し、下板1と中板(スぺーサー)3との間、上板2と中板3との間に、図2のように封着用樹脂組成物を挟んで加圧して、樹脂層6、7、8の多層構造(内部空間側からみて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の3層)が形成されるように積層した。なお、ガラス板のサイズは、下板1;100×200×5mm、孔4を有する上板2;100×200×5mm、孔の直径5mm、枠状の中板4;外形100×200mm、内形70×170mm、厚さ5mmとした。なお、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂成分には、無機微粒子をそれぞれの樹脂成分の合計に対して、50質量%配合しておいた。
熱可塑性樹脂1、2はホットガンを用い、主剤1 95重量%及び硬化剤1 5重量%からなる熱硬化性樹脂1は、ディスペンサー等を用いてそれぞれ基板上に同時に塗布し、速やかに加圧した(合計シール幅6mm)。なお、熱可塑性樹脂1及び2と熱硬化性樹脂1は、重量比が1:1の割合となるように吐出した。次に、この積層体を180℃で2時間、200℃で4時間、210℃で4時間、220℃で4時間かけて加熱し、熱硬化性樹脂1の硬化を行った。その後、上板中央部の孔4から真空ポンプを用いて脱気し、内部空間を10-10Torrの真空にして、リークを測定した。
ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価して、その結果を表1に示した。
(実施例2〜7)
熱可塑性樹脂の種類、熱硬化性樹脂(主剤、硬化剤)の種類と組成、基板周縁部への吐出位置を表1、2のように変更した以外は実施例1と同様にして実験した。
ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価して、その結果を表1、2に示した。
熱可塑性樹脂の種類、熱硬化性樹脂(主剤、硬化剤)の種類と組成、基板周縁部への吐出位置を表1、2のように変更した以外は実施例1と同様にして実験した。
ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価して、その結果を表1、2に示した。
(実施例8)
熱可塑性樹脂1と、主剤1 95重量%及び硬化剤1 5重量%からなる熱硬化性樹脂と組成物を用いて、第3図に示す構造の複層ガラスを製造して、封着用樹脂組成物の性能試験を実施した。2枚のガラス板に封着用樹脂組成物を挟んで加圧して、樹脂層6、7、8の多層構造(内部空間側からみて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の3層)が形成されるように積層した。なお、封着用樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂成分には、無機微粒子を樹脂成分の合計に対して、50質量%配合しておいた。
熱可塑性樹脂はホットガンを用い、熱硬化性樹脂はディスペンサー等を用いてそれぞれガラス板状に逐次、速やかに積層し、加圧した。なお、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、重量比が1:1の割合となるように吐出した。次に、この積層体を180℃で2時間、200℃で4時間、210℃で4時間、220℃で4時間かけて加熱し、熱硬化性樹脂の硬化を行った。
得られた積層ガラスについて、JIS R3209に基づく耐久試験を行った。その結果を表4に示す。なお、表中の数値は各複層ガラスの層内露点のうち最も高い温度を示す。
熱可塑性樹脂1と、主剤1 95重量%及び硬化剤1 5重量%からなる熱硬化性樹脂と組成物を用いて、第3図に示す構造の複層ガラスを製造して、封着用樹脂組成物の性能試験を実施した。2枚のガラス板に封着用樹脂組成物を挟んで加圧して、樹脂層6、7、8の多層構造(内部空間側からみて、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の3層)が形成されるように積層した。なお、封着用樹脂組成物のうち、熱硬化性樹脂成分には、無機微粒子を樹脂成分の合計に対して、50質量%配合しておいた。
熱可塑性樹脂はホットガンを用い、熱硬化性樹脂はディスペンサー等を用いてそれぞれガラス板状に逐次、速やかに積層し、加圧した。なお、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、重量比が1:1の割合となるように吐出した。次に、この積層体を180℃で2時間、200℃で4時間、210℃で4時間、220℃で4時間かけて加熱し、熱硬化性樹脂の硬化を行った。
得られた積層ガラスについて、JIS R3209に基づく耐久試験を行った。その結果を表4に示す。なお、表中の数値は各複層ガラスの層内露点のうち最も高い温度を示す。
(実施例9〜14)
熱可塑性樹脂の種類、熱硬化性樹脂(主剤、硬化剤)の種類と組成、ガラス板への吐出位置を表4、5のように変更した以外は実施例1と同様にして実験した。
得られた積層ガラスについて、JIS R3209に基づく耐久試験を行った。その結果を表4、5に示す。なお、表中の数値は各複層ガラスの層内露点のうち最も高い温度を示す。
熱可塑性樹脂の種類、熱硬化性樹脂(主剤、硬化剤)の種類と組成、ガラス板への吐出位置を表4、5のように変更した以外は実施例1と同様にして実験した。
得られた積層ガラスについて、JIS R3209に基づく耐久試験を行った。その結果を表4、5に示す。なお、表中の数値は各複層ガラスの層内露点のうち最も高い温度を示す。
(比較例1、2)
熱可塑性樹脂を用いず、熱硬化性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いた以外は、実施例と同様にして実験した。ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価し、結果を表3に示した。
熱可塑性樹脂を用いず、熱硬化性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いた以外は、実施例と同様にして実験した。ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価し、結果を表3に示した。
(比較例3)
熱可塑性樹脂を用い、熱硬化性樹脂を用いずに封着用樹脂組成物とした以外は、実施例と同様にして実験した。ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価し、結果を表3に示した。
熱可塑性樹脂を用い、熱硬化性樹脂を用いずに封着用樹脂組成物とした以外は、実施例と同様にして実験した。ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価し、結果を表3に示した。
(比較例4〜6)
熱可塑性樹脂を用いず、熱硬化性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いた以外は、実施例8と同様にして実験した。ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価し、結果を表6に示した。得られた積層ガラスについて、JIS R3209に基づく耐久試験を行った。その結果を表6に示す。なお、表中の数値は各複層ガラスの層内露点のうち最も高い温度を示す。
熱可塑性樹脂を用いず、熱硬化性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いた以外は、実施例8と同様にして実験した。ポットライフ、気泡の有無、気密性を前記の要領で評価し、結果を表6に示した。得られた積層ガラスについて、JIS R3209に基づく耐久試験を行った。その結果を表6に示す。なお、表中の数値は各複層ガラスの層内露点のうち最も高い温度を示す。
「評価」
実施例1〜7は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を含む封着用樹脂組成物を用いたために、ポットライフ、気泡の有無、気密性のいずれも良好な封着構造体が得られている。これに対して、比較例1、2は、熱硬化性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いたために、ポットライフは良好であるが、気泡の有無、気密性は不十分であった。また、比較例3は、熱可塑性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いたために、気泡は無いものの、気密性は不十分であった。
実施例8〜14は、本発明の封着用樹脂組成物を用いて真空複層ガラスを製造した場合であり、JIS耐久評価III類終了時にも露点上昇がみられず、すべての実施例において合格であったのに対し、比較例4〜6においては、JIS耐久評価III類終了までにガラス板の界面で剥離が生じて層内の露点が上昇したため、耐久試験には不合格となった。
実施例1〜7は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を含む封着用樹脂組成物を用いたために、ポットライフ、気泡の有無、気密性のいずれも良好な封着構造体が得られている。これに対して、比較例1、2は、熱硬化性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いたために、ポットライフは良好であるが、気泡の有無、気密性は不十分であった。また、比較例3は、熱可塑性樹脂のみを封着用樹脂組成物として用いたために、気泡は無いものの、気密性は不十分であった。
実施例8〜14は、本発明の封着用樹脂組成物を用いて真空複層ガラスを製造した場合であり、JIS耐久評価III類終了時にも露点上昇がみられず、すべての実施例において合格であったのに対し、比較例4〜6においては、JIS耐久評価III類終了までにガラス板の界面で剥離が生じて層内の露点が上昇したため、耐久試験には不合格となった。
1 基板(下板)
2 基板(上板)
3 スぺーサー(中板)
4 孔
5 ガラス板
6、8 熱可塑性樹脂
7 熱硬化性樹脂
2 基板(上板)
3 スぺーサー(中板)
4 孔
5 ガラス板
6、8 熱可塑性樹脂
7 熱硬化性樹脂
Claims (10)
- 対向する2枚の基板によって構成される基板間周縁部を封着し、その内部空間が減圧または不活性ガス雰囲気に維持された封着構造体を形成するための封着用樹脂組成物であって、
少なくとも1種の熱可塑性樹脂(a)と少なくとも1種の熱硬化性樹脂(b)とを含むとともに、封着により得られる樹脂層がそれぞれ独立して形成し互いに隣接した多層構造になることを特徴とする封着用樹脂組成物。 - 熱可塑性樹脂(a)が、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリエチレンナフタレート樹脂から選ばれるいずれか1種以上と、ポリオレフィン樹脂とであることを特徴とする、請求項1に記載の封着用樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂(b)が、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、又はフェノール樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の封着用樹脂組成物。
- さらに、無機微粒子(c)が、熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)からなる樹脂成分の合計量に対して50〜95質量%配合されることを特徴とする、請求項1に記載の封着用樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(a)と熱硬化性樹脂(b)の割合が、重量比で1:0.1〜1:30であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の封着用樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の封着用樹脂組成物によって、基板間周縁部が樹脂層で封着されてなる封着構造体。
- 樹脂層の中央部分に、熱硬化性樹脂層が形成され、一方、その熱硬化性樹脂層の両側に熱可塑性樹脂層が隣接して形成され、全体として多層構造になっていることを特徴とする、請求項6に記載の封着構造体。
- 基板はガラス板であり、かつ封着構造体はその内部空間が減圧に維持された真空複層ガラスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の封着用樹脂組成物。
- 請求項8に記載の封着用樹脂組成物によって、ガラス板間周縁部が樹脂層で封着されてなる真空複層ガラス。
- 樹脂層の中央部分に、熱硬化性樹脂層が形成され、一方、その熱硬化性樹脂層の両側に熱可塑性樹脂層が隣接して形成され、全体として多層構造になっていることを特徴とする、請求項9に記載の真空複層ガラス。
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- 2005-02-04 JP JP2005028717A patent/JP2006062344A/ja active Pending
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