JP2006060913A - 車両の振動判定装置および振動抑制装置 - Google Patents

車両の振動判定装置および振動抑制装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 タイヤの偏心アンバランスが生じた場合であっても、ボディやサスペンションなどの振動を抑制し、フラッタなどの発生を防止する振動抑制装置を提供する。
【解決手段】 振動抑制装置は、車輪11,12を駆動するインホイールモータ21,22に流れる電流の電流値と電圧値とに基づいて、車輪11,12の偏心量を推定する。この推定された車輪11,12の偏心量と車輪11,12の回転速度とに基づいて、車輪11,12に生じるアンバランス力をそれぞれ推定する。車輪11,12におけるアンバランス力の差に基づいて、車両の振動を判定する。また、振動が発生した場合、インホイールモータの21,22に供給される電流値または電圧値を調整して、アンバランス力を打ち消し、振動を抑制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に生じる振動、特にモータで駆動する車両におけるモータの駆動に起因する振動を判定する車両の振動判定装置およびそのような振動を抑制する車両の振動抑制装置に関する。
モータに電流を供給し、モータで車輪を駆動することによって走行する車両として、いわゆる電気自動車が知られている。また、このような電気自動車に用いるモータとして、近年、モータを車輪に内蔵したいわゆるインホイールモータが開発されている。このようなインホイールモータを用いた車両としては、たとえば特開2002−186107号公報に開示された電気自動車がある。この電気自動車においては、個々の車輪にインホイールモータが設けられており、モータ制御部から各車輪ごとにインホイールモータを制御して、たとえばTRCやABSなどの制御を行うものである。
特開2002−186107号公報
ところで、車両に用いられる車輪(タイヤ)には、偏心アンバランスが生じることがある。この偏心アンバランスが生じた状態で車両が走行すると、車輪の回転速度に比例したアンバランス力が発生する。このような車輪の回転速度に比例したアンバランス力がボディやサスペンションなど、車両における他の部分の共振周波数に一致すると、車両の他の部分における振動を大きくするという問題がある。
ところが、上記特許文献1に開示された電気自動車においては、このようなアンバランス力による振動を抑制するための制御がなされていない。このため、車輪における偏心アンバランス力が生じた場合に、ボディやサスペンションといった車両における他の部分の振動を助長し、フラッタなどの原因となるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、タイヤの偏心アンバランスが生じた場合に振動を判定し、またはボディやサスペンションなどの振動を抑制することにより、フラッタなどの発生を防止することができる車両の振動判定装置および振動抑制装置を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係る車両の振動判定装置は、車両の左右に配置された車輪をそれぞれ駆動するモータを有し、各モータに電流を供給して車輪を駆動させることによって走行する車両に生じる振動を判定する車両の振動判定装置であって、各モータに流れる電流の電流値および電圧値の少なくとも一方に基づいて、各車輪の偏心量を推定するとともに、推定された各車輪の偏心量と各車輪の回転速度とに基づいて、各車輪に生じるアンバランス力をそれぞれ推定し、左右の車輪におけるアンバランス力の差に基づいて、車両の振動を判定するものである。
車両の左右に配置された車輪を有する車両において、各車輪におけるタイヤに偏心があると、タイヤが1回転する間にタイヤ半径に変動が生じる。ここで、車両が一定速度で走行していると仮定すると、タイヤ半径の変化に反比例してタイヤの回転速度が変化する。そのため、タイヤの角運動量が変化するので、角運動量の変化に必要な前後力を路面から受け、この前後力がタイヤにおけるアンバランス力となっている。
本発明に係る振動判定装置においては、モータに供給される電流の電流値および電圧値の少なくとも一方に基づいて、車輪の偏心量を推定している。この車輪の偏心量から、タイヤ半径の変化を得ることができ、タイヤ半径の変化に基づいて、車輪に生じるアンバランス力を推定するので、タイヤの偏心アンバランスが生じたときの振動の判定を正確に行うことができる。
また、上記課題を解決した本発明に係る車両の振動抑制装置は、車両の左右に配置された車輪をそれぞれ駆動するモータを有し、各モータに電流を供給して車輪を駆動させることによって走行する車両に生じる振動を抑制する車両の振動抑制装置であって、各モータに供給される電流の電流値および電圧値の少なくとも一方に基づいて、各車輪の偏心量を推定するとともに、推定された各車輪の偏心量と各車輪の回転速度とに基づいて、各車輪に生じるアンバランス力をそれぞれ推定し、各車輪間のアンバランス力の差を求め、アンバランス力の差を打ち消すことにより、車両の振動を抑制するものである。
本発明に係る車両の振動抑制装置においては、モータに供給される電流の電流値および電圧値の少なくとも一方に基づいて、車輪の偏心量を推定している。この車輪の偏心量から、タイヤ半径の変化を得ることができ、タイヤ半径の変化に基づいて、車輪に生じるアンバランス力を推定することができるようになる。本発明に係る車両の振動抑制装置においては、このアンバランス力を打ち消すようにしているので、車輪に生じるアンバランス力を抑制することができる。その結果、車輪のアンバランス力によるボディやサスペンションといった車両の他の部分における振動を抑制し、フラッタなどの発生を防止することができる。
ここで、推定されたアンバランス力を打ち消す駆動力で各車輪のうちの少なくとも1輪を駆動するモータに供給される電流の電圧値を算出し、算出された電圧値の電流をモータに供給する態様とすることができる。
このように、モータに供給される電流の電圧値を制御することにより、車輪における回転速度を制御することができるので、推定されたアンバランス力を打ち消すような回転速度となるように、車輪の回転速度を制御することができる。このようにして、車輪の回転速度を制御することにより、車両のアンバランス力を打ち消すことができる。アンバランスを打ち消すために、たとえば左右の車輪に電流を供給するモータのそれぞれの電圧値を制御することもできるし、その一方のみを制御することもできる。
また、推定されたアンバランス力を打ち消す駆動力で各車輪のうちの少なくとも1輪を駆動するモータに供給される電流の電流値を算出し、算出された電流値の電流をモータに供給する態様とすることもできる。
このように、モータに供給される電流の電流値を制御することにより、車輪に掛かるトルクを制御することができるので、推定されたアンバランス力を打ち消すように車輪にトルクを付与することができる。このようにして、車両のアンバランス力を打ち消すことができる。
さらに、各モータに供給された電流の電圧値から電圧値の変動成分を取り出し、電圧値の変動成分を打ち消した電圧値を、各モータの電圧値を取り出した際の車輪の回転から所定回数後に、各車両を回転させる際のモータの電圧値として、アンバランス力の差を打ち消す態様とすることもできる。
本発明に係る車両の振動抑制装置においては、モータに供給された電流の電圧値から電圧値の変動成分を取り出し、車輪の回転変動に伴う電圧値の変動成分を打ち消した電圧値をモータの電圧値とする、フィードバック制御を行う。このフィードバック制御を行うにあたり、変動成分を打ち消した電圧値を、電圧値の変動成分を取り出した際の電圧値にフィードバックすると、制御遅れが生じてしまう。一方、車輪の回転変動は、数回転の間で大きく変化することは少ない。
そこで、本発明に係る車両の振動抑制装置では、車輪の回転変動の変動成分を打ち消した電圧値を与える際、電圧値の変動成分を取り出したときの回転から数回転、たとえば1回転した後の電圧値として与えている。数回転の間では、車輪の回転に大きな変動はないので、適正な電圧値をフィードバックすることができる。また、数回転の経過を待つことにより、制御遅れを防止することができる。こうして、車輪の回転変動成分を打ち消すことにより、車輪のアンバランス力によるボディやサスペンションといった車両の他の部分における振動を抑制し、フラッタの発生を防止することができる。
また、各モータに供給された電流の電流値から電流値の変動成分を取り出し、前記電流値の変動成分を打ち消した電流値を、前記各モータの電流値を取り出した際の前記車輪の回転から所定回数後に、前記各車輪を回転させる際の前記モータの電流値として、前記アンバランス力の差を打ち消す態様とすることもできる。
本発明に係る車両の振動抑制装置においては、モータに供給された電流の電流値から電流値の変動成分を取り出し、トルク変動に伴う電流値の変動成分を打ち消した電流値をモータの電流値とする、フィードバック制御を行う。このフィードバック制御を行うにあたり、変動成分を打ち消した電流値を、電流値の変動成分を取り出した際の電流値にフィードバックすると、制御遅れが生じてしまう。一方、トルク変動は、数回転の間で大きく変化することは少ない。
そこで、本発明に係る車両の振動抑制装置では、トルク変動の変動成分を打ち消した電流値を与える際、電流値の変動成分を取り出したときの回転から数回転、たとえば1回転した後の電流値として与えている。数回転の間では、車輪の回転に大きな変動はないので、適正な電流値をフィードバックすることができる。また、数回転の経過を待つことにより、制御遅れを防止することができる。こうして、トルク変動成分を打ち消すことにより、車輪のアンバランス力によるボディやサスペンションといった車両の他の部分における振動を抑制し、フラッタの発生を防止することができる。
なお、このようなフィードバック制御は、なんら電流の電流値または電圧値の制御を行うことなく、直接行うこともできるし、上記のように、アンバランス力の差を打ち消す駆動力となる電流の電流値または電圧値の電流をモータに供給するフィードフォワード制御を行った後の制御残存分について行うこともできる。
本発明に係る車両の振動抑制装置によれば、タイヤの偏心アンバランスが生じた場合であっても、ボディやサスペンションなどの振動を抑制し、フラッタなどの発生を防止することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る車両の振動抑制装置を備える車両のブロック構成図である。
図1に示すように、車両Mは、本発明の振動判定装置および振動抑制装置となる制御装置1を備えている。また、車両Mには、右前車輪11、左前車輪12、右後車輪13、および左後車輪14の4つの車輪が取り付けられている。これらの各車輪11〜14には、それぞれの車輪を駆動するためのインホイールモータ21〜24が設けられている。
制御装置1は、モータ駆動装置31〜34を介して、インホイールモータ21〜24にそれぞれ接続されている。また、インホイールモータ21〜24のそれぞれには、図示しない電流計および電圧計が設けられており、インホイールモータ21〜24における電流の電流値および電圧値を計測して、それぞれ制御装置1に出力している。
また、車両Mには、車速センサ40が設けられている。車速センサ40は、車両Mの速度である車速を検出し、検出した車速を制御装置1に出力している。制御装置1には、車輪11〜14におけるタイヤ半径が記憶されており、車速とタイヤ半径とに基づいて、車輪の速度を算出可能とされている。
制御装置1は、インホイールモータ21〜24に設けられた電流計および電圧計から出力される電流値および電圧値、ならびに車速センサ40から出力された車速等に基づいて、車輪11〜14におけるタイヤの偏心量を算出している。このタイヤの偏心量からタイヤのアンバランス力を推定し、アンバランス力を打ち消すように、各インホイールモータ21〜24に供給する電流の電流値または電圧値を算出している。制御装置1は、算出した電流値または電圧値となる電流をインホイールモータ21〜24に供給するように、モータ駆動装置31〜34に駆動信号を出力する。
本実施形態に係る振動抑制装置においては、振動抑制を行う前に、振動判定を行っている。以下、この振動判定の手順について説明する。図2は、本実施形態に係る振動判定を行う手順を示すフローチャートである。
振動判定を行うにあたり、制御装置1では、右前車輪11および左前輪12におけるトルクTと回転速度ω、および右前車輪11および左前車輪12の平均回転角速度ωを読み込む。右前車輪11および左前車輪12におけるトルクTは、右前車輪11および左前車輪12にそれぞれ設けられた右前インホイールモータ21および左前インホイールモータ22に流れる電流の電流値からそれぞれ算出される。
右前車輪11および左前車輪12における回転速度ωは、右前車輪11および左前車輪12にそれぞれ設けられた右前インホイールモータ21および左前インホイールモータ22に流れる電流の電圧値からそれぞれ算出される。また、右前車輪11と左前車輪12との平均回転角速度ωは、車速センサ40から出力された車速と、制御装置1が予め記憶している右前車輪11および左前車輪12のタイヤ半径から算出される。
制御装置1は、トルクT、回転速度ω、および平均回転角速度ωを読み込んだら、右前車輪11および左前車輪12のそれぞれのトルク変動|ΔT|および回転速度変動|Δω|を算出する(S2)。トルク変動|ΔT|および回転速度変動|Δω|は、それぞれ下記(1)式および(2)式を用いて算出することができる。
|ΔT|=(4π/ω){(∫Tsinωtdt)+(∫Tcosωtdt)}1/2・・・(1)
|Δω|=(4π/ω){(∫ωsinωtdt)+(∫ωcosωtdt)}1/2・・・(2)
こうして、トルク変動|ΔT|および回転速度変動|Δω|を求めたら、右前車輪11および左前車輪12におけるタイヤの偏心量ΔRを求める(S3)。偏心量ΔRは、下記(3)式によって求めることができる。
ΔR=JRω|Δω|/|ΔT| ・・・(3)
ただし、J:ホイル慣性モーメント
:タイヤ平均半径
上記(3)式は、次のようにして導き出される。まず、タイヤと地面とが滑らないとの仮定の下で車輪と地面との接地点におけるモーメントの釣り合いを考えると、下記(4)式が立てられる。
FΔR=J・dΔω/dt ・・・(4)
ただし、F:接地点において車輪から地面に伝わる力
(4)式を変形して、(5)式を得ることができる。
ΔR=JdΔω/(F・dt) ・・・(5)
また、一般的に下記(6)式が成り立つ。
F=T/R ・・・(6)
さらに、車輪は平均回転角速度ωで回転していることから、下記(7)式が成り立つ。
Δω/dt=Δω・ω ・・・(7)
これらの(6)式および(7)式を(5)式に代入して整理、回転速度変動Δωおよびトルク変動ΔTの絶対値を取ることにより、(3)式を得ることができる。
このようにして、右前車輪11および左前車輪12におけるタイヤの偏心量ΔRを求めたら、偏心量ΔRに対応するアンバランス力を推定する(S4)。アンバランス力は、タイヤの偏心量ΔRが大きいほど、大きくなる。こうして、右前車輪11および左前車輪12のアンバランス力を推定したら、推定した右前車輪11および左前輪のアンバランス力を比較する(S5)。その結果、アンバランス力の差が所定のしきい値よりも大きい場合には、振動が発生すると判断し、しきい値よりも小さい場合には、振動は発生しないと判断する。このようにして振動判定を行うことができる。
なお、この態様では、回転速度変動Δωおよびトルク変動ΔTを求めるために、上記(1)式および(2)式を用いてデジタル的な計算を行っているが、たとえば特定周波数の成分に対するフィルタをかけてこれらの成分を取り出すアナログ的な方法で回転速度変動Δωおよびトルク変動ΔTを求めることもできる。
ここで、振動が発生すると判断した場合には、振動の抑制を行う。以下に、振動の抑制を行う手順について説明する。振動の抑制は、車輪11,12における回転速度またはトルクを調整することによって行う。ここでは、回転速度を調整する場合について説明する。図3は、回転速度を調整することによる振動抑制の手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、振動抑制を行う際には、まず、右前車輪11および左前車輪12における回転速度ω、平均回転角速度ω、および(3)式で算出されたタイヤの偏心量ΔRを読み込む(S11)。続いて、振動が発生すると判断された際における1回転の間で、回転速度ωが最大になった時刻tを設定する(S12)。
時刻tを設定したら、アンバランス力の差をキャンセルするための目標車輪速を算出する(S13)。目標車輪速は、目標車輪速のアンバランス力によるアンバランスキャンセル分ωを用いて求める。このときの目標車輪速のアンバランスキャンセル分ωは、下記(8)式によって求めることができる。
ω=−ω(ΔR/R)sinωt ・・・(8)
上記(8)式は、次のようにして求められる。いま、車輪におけるタイヤに偏心がないとすると、車輪の回転速度ωは、下記(9)式で与えることができる。
ω=V/R ・・・(9)
ただし、V:車速
ここで、車輪のタイヤに偏心量ΔRの偏心が生じているとすると、車輪の回転速度ωは、下記(10)式で与えられることになる。
ω=V/{R(1+ΔR/R)sin(ωt+φ)} ・・・(10)
上記(10)式をテーラー展開し、微小となる項は省略することにより、(11)式が得られる。
ω≒(V/R){1−(ΔR/R)sin(ωt+φ)} ・・・(11)
ここで、(V/R)=ωであるので、上記(11)式から定常分を減算すると、アンバランスキャンセル分Δωとして、下記(12)式が得られる。
Δω=ω{−(ΔR/R)sin(ωt+φ)} ・・・(12)
また、車輪が1回転する間に、ωが最大となる時刻tでは、下記(13)式が成り立つ。
−sin(ωt+φ)=1 ・・・(13)
(13)式によって、φ=180°と求めることができる。
φ=180°を上記(12)式に代入することにより、アンバランス力によって生じた車輪の回転速度の加算分Δωは、下記(14)式によって表すことができる。
Δω=ω(ΔR/R)sinωt ・・・(14)
アンバランスによって生じた車輪の回転速度の加算分Δωは、(14)式で表されることから、この加算分をキャンセルするために、加算分Δωに負号を付した上記(8)式に示す目標車輪速のアンバランスキャンセル分ωを求めることができる。
こうして、本来の目標車輪速に目標車輪速のアンバランスキャンセル分ωを加算して目標車輪速を算出する(S13)。これらの目標車輪速および目標車輪速を求めるためのアンバランスキャンセル分ωは、右前車輪11および左前車輪12のそれぞれについて求める。そして、この目標車輪速となる電圧値の電流を、右前車輪11を駆動する右前インホイールモータ21および左前車輪12を駆動する左前インホイールモータ22のそれぞれに対して供給するフィードフォワード制御を行う。
このようにして、各車輪11,12におけるアンバランスキャンセル分ωを算出し、このアンバランスキャンセル分ωを考慮した目標車輪速とすることにより、左右の車輪11,12におけるアンバランス力の差を打ち消す駆動力とすることができる。したがって、車輪のアンバランス力によるボディやサスペンションといった車両の他の部分における振動を抑制し、フラッタの発生を防止することができる。
次に、車輪11,12のトルクを調整することによる振動の抑制について説明する図4は、トルクを調整することによる振動抑制の手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、振動抑制を行う際には、まず、右前車輪11および左前車輪12における回転速度ω、平均回転角速度ω、および上記(3)式で算出されたタイヤの偏心量ΔRを読み込む(S21)。続いて、振動が発生すると判断された際における1回転の間で、回転速度ωが最大になった時刻tを設定する(S12)。
時刻tを設定したら、アンバランス力の差をキャンセルするための車輪を駆動する際の目標制御トルクを算出する(S23)。このときの目標制御トルクのアンバランスキャンセル分Tを用いて求める。アンバランスキャンセル分Tは、下記(15)式によって求めることができる。
=−J(V/R )ΔRcosωt ・・・(15)
上記(15)式は、次のようにして求められる。トルク変動ΔTが生じたときにおける車輪におけるタイヤと地面との接触点に着目し、タイヤと地面とが滑らないとの仮定の下でモーメントの釣り合いを考えると、下記(16)式および(17)式を得ることができる。
ΔT=RΔF ・・・(16)
ΔFΔR=JωΔωsin(ωt+φ) ・・・(17)
ただし、ΔF:トルク変動ΔTが生じたときに車輪から地面に伝わる力
上記(16)式および(17)式からΔFを消去して、変形を施すことにより、下記(18)式を得ることができる。
ΔT=J(V/R )ΔRsin(ωt+φ) ・・・(18)
また、車輪が1回転する間に、ωが最大となる時刻tでは、下記(19)式が成り立つ。
sin(ωt+φ)=1 ・・・(19)
(19)式によって、φ=90°と求めることができる。
φ=90°を上記(12)式に代入することにより、アンバランス力によって生じたトルク変動の加算分ΔTは、下記(20)式によって表すことができる。
ΔT=J(V/R )ΔRcosωt ・・・(20)
アンバランスによって生じたトルク変動の加算分は、上記(20)式で表されることから、この加算分をキャンセルするために、ΔTに負号を付した上記(15)式に示す目標車輪速のアンバランスキャンセル分Tを求めることができる。したがって、目標制御トルクのアンバランスキャンセル分Tは、上記(15)式のように表すことができる。
こうして、本来の目標制御トルクに目標制御トルクのアンバランスキャンセル分Tを加算して目標制御トルクを算出する(S13)。これらの目標制御トルクおよび目標制御トルクを求めるためのアンバランスキャンセル分Tは、右前車輪11および左前車輪12のそれぞれについて求める。そして、この目標制御トルクとなる電流値の電流を、右前車輪11を駆動する右前インホイールモータ21および左前車輪12を駆動する左前インホイールモータ22のそれぞれに対して供給するフィードフォワード制御を行う。
このようにして、各車輪11,12における目標制御トルクのアンバランスキャンセル分Tを算出し、このアンバランスキャンセル分Tを考慮した目標制御トルクとすることにより、左右の車輪11,12におけるアンバランス力の差を打ち消す駆動力とすることができる。したがって、車輪のアンバランス力によるボディやサスペンションといった車両の他の部分における振動を抑制し、フラッタの発生を防止することができる。
上記の態様では、フィードフォワード制御によって振動抑制を行っているが、これらのフィードフォワード制御に加えて、フィードバック制御を行う態様とすることもできる。以下に、フィードバック制御を加えた場合について説明する。図5は、電圧値を用いたフィードバック制御を行う制御系のブロック線図である。
図5に示す制御系では、目標車速に応じて設定される目標回転数(目標車輪速)に対して、補正回転数として上記(8)式で求めた車輪の回転速度のアンバランスキャンセル分ωを加算した車輪の回転数に対応する電圧値を設定する。このように、目標回転数に対して補正回転数を加算した回転数となる電圧値の電流をモータに供給する。モータでは、供給された電流を所定のバンドパスフィルタを通過させる。
バンドパスフィルタを通過させることにより、補正回転数を加算しても補正しきれない、回転速度変動成分を取り出す。この変動成分を取り出したら、取り出した変動成分を除去すべくフィードバック制御を行う。本実施形態では、このフィードバック制御を行う際に、変動成分を取り出した回転から所定回転数遅れた回転、たとえば1回転遅れの回転に対して変動成分をフィードバックする。
車両を走行させるモータは、数回転の間にその回転数が大きく変動することは少ない。したがって、1回転遅れの回転に対してフィードバック制御を行ったとしても、その変動成分を精度よく除去することができる。このように、1回転遅れの回転に対してフィードバック制御を行うことにより、回転速度の変動成分を精度よく除去することができる。
さらに、電圧値を調整する回転数の変動に対してのほか、電流値を調整するトルク変動に対するフィードバック制御を行うこともできる。図6は、電流値を用いたフィードバック制御を行う制御系のブロック線図である。
図6に示す制御系では、車両の目標駆動力に応じて設定されるモータの目標駆動力に対して、補正トルクとして、上記(15)式で求めたトルクのアンバランスキャンセル分Tを加算したトルクに対応する電流値を設定する。このように、目標駆動力に対して補正トルクを加算したトルクとなる電流値の電流をモータに供給する。モータでは、供給された電流を所定のバンドパスフィルタに通過させる。
バンドパスフィルタを通過させることにより、補正トルクを加算しても補正しきれないトルク変動成分を取り出す。この変動成分を取り出したら、取り出した変動成分を除去すべくフィードバック制御を行う。本実施形態では、このフィードバック制御を行う際に、変動成分を取り出した回転から所定回転数遅れた回転、例えば1回転遅れの回転に対して変動成分をフィードバックする。
車両を走行させるモータは、数回転の間にそのトルクが大きく変動することは少ない。したがって、1回転遅れの回転に対してフィードバック制御を行ったとしても、その変動成分を精度よく除去することができる。このように、1回転遅れの回転に対してフィードバック制御を行うことにより、トルクの変動成分を精度よく除去することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、フィードバック制御を行う際に、フィードフォワード制御で除去しきれない分についての制御を行っているが、フィードフォワード制御を行うことなく、フィードバック制御を行う態様とすることができる。
また、目標車輪速のアンバランスキャンセル分を上記(8)式で、目標制御トルクのアンバランスキャンセル分を上記(15)式で求めているが、他の態様で求めることもできる。さらに、上記実施形態では、車両の前輪における左右車輪の偏心量に基づいて振動判定および振動抑制を行っているが、車両の後輪あるいは前輪と後輪の左右車輪の偏心量の平均を用いて振動判定および振動抑制を行う態様とすることもできる。
また、上記各実施形態では、モータに流れる電流の電流値または電圧値の一方に基づいて、各車輪の偏心量を推定しているが、電流値および電圧値の両方を用いて各車輪の偏心量を推定することもできる。
本発明に係る車両の振動抑制装置を備える車両のブロック構成図である。 本実施形態に係る振動判定を行う手順を示すフローチャートである。 回転速度を調整することによる振動抑制の手順を示すフローチャートである。 トルクを調整することによる振動抑制の手順を示すフローチャートである。 電圧値を用いたフィードバック制御を行う制御系のブロック線図である。 電流値を用いたフィードバック制御を行う制御系のブロック線図である。
符号の説明
1…制御装置、21〜24…インホイールモータ、31〜34…モータ駆動装置、11…右前車輪、12…左前車輪、13…右後車輪、14…左後車輪、40…車速センサ、M…車両。

Claims (6)

  1. 車両の左右に配置された車輪をそれぞれ駆動するモータを有し、前記各モータに電流を供給して前記車輪を駆動させることによって走行する車両に生じる振動を判定する車両の振動判定装置であって、
    前記各モータに流れる電流の電流値および電圧値の少なくとも一方に基づいて、前記各車輪の偏心量を推定するとともに、
    推定された前記各車輪の偏心量と前記各車輪の回転速度とに基づいて、前記各車輪に生じるアンバランス力をそれぞれ推定し、
    前記左右の車輪における前記アンバランス力の差に基づいて、前記車両の振動を判定することを特徴とする車両の振動判定装置。
  2. 車両の左右に配置された車輪をそれぞれ駆動するモータを有し、前記各モータに電流を供給して前記車輪を駆動させることによって走行する車両に生じる振動を抑制する車両の振動抑制装置であって、
    前記各モータに流れる電流の電流値および電圧値の少なくとも一方に基づいて、前記各車輪の偏心量を推定するとともに、
    推定された前記各車輪の偏心量と前記各車輪の回転速度とに基づいて、前記各車輪に生じるアンバランス力をそれぞれ推定し、
    前記各車輪間のアンバランス力の差を求め、前記アンバランス力の差を打ち消すことにより、車両の振動を抑制することを特徴とする車両の振動抑制装置。
  3. 前記アンバランス力の差を打ち消す駆動力で前記各車輪のうちの少なくとも1輪を駆動するモータに供給される電流の電圧値を算出し、
    算出された電圧値の電流を前記モータに供給する請求項2に記載の車両の振動抑制装置。
  4. 前記アンバランス力の差を打ち消す駆動力で前記各車輪のうちの少なくとも1輪を駆動するモータに供給される電流の電流値を算出し、
    算出された電流値の電流を前記モータに供給する請求項2に記載の車両の振動抑制装置。
  5. 前記各モータに流れる電流の電圧値から電圧値の変動成分を取り出し、前記電圧値の変動成分を打ち消した電圧値を、前記各モータの電圧値を取り出した際の前記車輪の回転から所定回数後に、前記各車両を回転させる際の前記モータに供給する電流の電圧値とする請求項2〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の車両の振動抑制装置。
  6. 前記各モータに流れる電流の電流値から電流値の変動成分を取り出し、前記電流値の変動成分を打ち消した電流値を、前記各モータの電流値を取り出した際の前記車輪の回転から所定回数後に、前記各車輪を回転させる際の前記モータに供給する電流の電流値とする請求項2〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の車両の振動抑制装置。
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